外傷初期診療
重症外傷では、診断名をそろえてから治療するのではなく、生命を脅かす問題を生理学的に見つけ、蘇生しながら止血・手術・IVRへつなぐ。PTD ZEROの初期診療記事を、Primary Survey → 蘇生・止血 → 部位別損傷 → 手術戦略 → 特殊集団の順に再構成した。
医療従事者向け:個々の記事では指針と主要原著を照合し、推奨の条件・陰性結果・限界まで示しています。
まず全体像
- Primary Survey・初療判断:ABCを生理学的に評価し、検査より先に治療すべき病態を見つける。
- 蘇生・止血:出血性ショック、MTP、骨盤出血、DCSを一つの流れで考える。
- 胸部外傷:気胸・血胸、肋骨骨折、大動脈損傷を初療から definitive care へつなぐ。
- 腹部・骨盤外傷:NOM、IVR、開腹を循環動態と損傷形態から選ぶ。
- 頭頸部・脊椎・四肢:見逃すと機能予後を失う損傷を早期に拾う。
- 手術・周術期:DCSと外傷麻酔で「いつ切り上げるか」まで考える。
- 患者背景別の外傷診療:小児、妊産婦、高齢者、抗凝固薬内服患者では標準手順を調整する。
- 外傷手技:適応、器具、実際の手順、pitfall、次の治療までをつなぐ。
- 歴史から読む:いまの標準がなぜそうなったかを、転機の研究からたどる。
1.Primary Survey・初療判断
まず「何の損傷か」より「今、何で死に得るか」を考える。
- 外傷外科医の思考 ― Decision Making
状況認識、優先順位、治療反応から仮説を更新する思考を分解する。 - 顔面外傷
気道・視力・咬合をPrimary Surveyから守る。 - 頸部穿通性外傷
no-zone approachで気道・血管・食道損傷を評価する。
2.蘇生・止血
- 外傷性凝固障害(TIC)
- 大量輸血プロトコル(MTP)
- 凝固・線溶の基礎
標準凝固検査とROTEM・TEGの読み方、DIC診断基準の違いを整理する。 - 骨盤骨折出血
TAE・PPP・REBOAをどう組み合わせるか。 - Damage Control Surgery
生理学的破綻の中で手術をどこで切り上げるか。 - 外傷後の輸液管理
初療のrestricted resuscitationから止血後のfluid stewardshipへ。
3.胸部外傷
- 胸腔ドレーン挿入手技・緊急脱気
第4・5肋間の刺入位置、物品、局所麻酔、Finger thoracostomy、留置後の確認を解説。 - 外傷性気胸・血胸と胸腔ドレーン
緊張性気胸を含む初療判断から残存血胸まで。外傷初期診療と集中治療管理の両方に配置する。 - 肋骨骨折
初療で呼吸不全リスクを拾い、鎮痛・呼吸管理・固定術へつなぐ。外傷初期診療と集中治療管理の両方に配置する。 - 外傷性大動脈損傷・TEVAR
4.腹部・骨盤外傷
- 肝損傷:NOM・IVR・手術
- 肝損傷:止血後の合併症
胆汁漏・仮性動脈瘤・肝壊死を見つける再CTの適応と、ドレナージ・ERCPの成績。 - 脾損傷
- 腸管・腸間膜損傷
- 膵・十二指腸損傷
- 骨盤骨折出血
5.頭頸部・脊椎・血管・四肢
- 急性脊髄損傷
- BCVI
- 重度四肢外傷・皮弁再建
- 急性四肢コンパートメント症候群
serial exam、圧測定、ΔPから下腿4-compartment fasciotomyへ。AAOS公式手術動画付き。 - 頭部外傷の血圧・ICP・CPP・Hb管理
初療後の神経集中治療へつなぐ。
6.手術・周術期
- 外傷麻酔・出血性ショック
- Damage Control Surgery
- 腹腔内圧亢進・腹部コンパートメント症候群
膀胱内圧の測り方、危険因子、非手術的減圧から減圧開腹の適応まで。
7.患者背景別の外傷診療
8.外傷手技|TRAUMA PROCEDURES
「やり方」だけでなく、いつやるか → いつやらないか → 手技 → 合併症 → 次のdefinitive treatmentまでを一つの記事でつなぐ実践シリーズ。気道から四肢まで部位順に並べた一覧は、専用ページ「外傷手技」にまとめた。
- 胸腔ドレーン/外傷性気胸・血胸
- 輪状甲状膜切開 — CICOでのScalpel–Bougie–Tube
- 下腿4-compartment fasciotomy — AAOS公式動画付き
- 蘇生的開胸術 — 適応判断から心膜切開・大動脈遮断まで
- REBOA — Zone選択からdefinitive hemostasisまで
- Preperitoneal Pelvic Packing — 骨盤出血のdamage control
- Damage Control Packing — 4-quadrant packingと汚染制御
- Temporary Abdominal Closure — NPWTから早期fascial closureへ
- Temporary Intravascular Shunt — 四肢虚血時間を短縮するbridge
- Pericardiotomy / Cardiorrhaphy — 外傷性心損傷の一時止血と修復
9.歴史から読む|エビデンスヒストリー
いまの標準が「なぜそうなったか」を、転機になった研究を年代順にたどって読む。本編の判断の背景として。
- ダメージコントロール手術のエビデンスヒストリー — 救命の段階手術から適応の再検証へ
- REBOAのエビデンスヒストリー — 血圧の回復から生存利益の検証へ
- 外傷性脾損傷のエビデンスヒストリー — 脾摘から臓器温存・塞栓へ
- 鈍的腸管・腸間膜損傷のエビデンスヒストリー — CTが進歩しても、なぜ見逃すのか
- そもそもPTDとは — 歴史・日本への普及・PTD率の変遷とJATEC
- エビデンスヒストリーの一覧へ — 凝固・輸血や熱傷の歴史も含めた全体。
初療の次へ
止血・手術が終わった後は、呼吸、循環、神経、感染、栄養、腎、リハビリを並行して管理する。ICUフェーズは「集中治療管理」へ。
本ページは医療従事者への教育および一般的な医学情報の提供を目的としています。各記事の文献照合日・確認範囲は記事末に記載しています。
