外傷外科医の思考 ― Decision Making:エキスパートは何を見て、どう次の一手を決めるのか

外傷外科医の意思決定のアイキャッチ:紺地に『外傷外科医の思考』とDECISION MAKINGの文字

外傷の初療室で、経験のある医師は何を見て、どう決めているのか。エキスパートへの面接と観察の研究は、判断の要素の多くが「いま何が起きているかを捉えること」にあり、診断がそろう前でも生理学的な状態から優先順位を決めることを重視していると示した。本稿はこの2つの質的研究(Madani 2018、Sonesson 2018)を出発点に、防ぎ得た外傷死の監査、認知バイアス、チーム訓練・判断支援・教育の比較研究を並べ、何が示され、何がまだ示されていないかを整理する。対象は成人外傷の初療室で方針を決めるリーダー医師と外傷チームである。

  • Decision Making
  • 外傷初期診療
  • Situation Awareness
  • 外傷教育

医療従事者向け:本記事は教育および一般的な医学情報の提供を目的としています。個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。

目次

まず押さえる要点

  1. エキスパートの判断の中心は「何が起きているかを捉えること」と整理されている。北米のエキスパート14人への面接、外傷チームの観察35件、文献15件を分析した質的研究では、29のコンピテンシーのうち17(59%)が状況認識に分類された[1]。7か国のエキスパート11人の研究は、外傷の経験が少ない外科医に教えるべき課題の筆頭に「生理学的に考える」ことを挙げた[2]。どちらも専門家の見解を体系化した研究で、この枠組みで教えると患者の転帰が良くなるかは示されていない。
  2. 熟練者は多くの場面で、選択肢を並べて比べずに「型」を認識して動く。消防指揮官26人の156の判断点では、2つ以上の案を同時に比べた証拠は12%未満で、80%超では状況を典型的な型と認識して行動を選んでいた[3]。医療以外の研究で、外傷医で同じ割合を測った研究は本稿の検索では見つからなかった。
  3. 「ゆっくり考えよ」「バイアスを知れ」と促すだけで誤りが減ることは、示されていない。熟考を指示した研修医と速さを指示した研修医の診断の正答率は45.0%と44.5%で、有意差はなかった[4]。バイアスの認識を目的とした教育は誤りを減らさないとする総説がある一方[5]、振り返りを導く方法は比較的一貫して効果を示した[6]。いずれも内科の症例問題が中心で、外傷初療での検証ではない。
  4. 判断は訓練で変えられる可能性があるが、評価は仮想症例にとどまる。主に非外傷センターで働く救急医368人の無作為化試験で、判断の癖を較正するよう設計したビデオゲームは、重症患者のアンダートリアージを減らした(53%対64%、差0.11、95%CI 0.05〜0.16)[7]。実際の転送や患者の転帰の改善は示されていない。
  5. チームの判断を測る尺度はあるが、評価者間の一致は研究によってばらつく。訓練や判断支援で診療の過程が改善したとの報告はあるが、死亡の減少は示されていない。判断アルゴリズムをコンピュータで実時間に示した無作為化試験では、患者あたりの誤りが2.30から2.13に減った(同時期の対照群との比較、P=.04)[8]。シミュレーションによるチーム訓練の系統的レビューでは、患者転帰を評価した2研究のいずれも改善を示さなかった[9]。録画で「評価と意思決定」が良好とされた蘇生は自己心拍再開と関連したが、61例の単変量解析で、5項目の合計点との関連は有意でなかった[10]。

対象と扱わない範囲

対象:成人外傷の初療室(救急外来の蘇生室)で、蘇生と初期評価の方針を決めるリーダー医師と外傷チーム。扱う問いは、エキスパートは何を見ているか(状況認識)、どう決めているか(意思決定)、判断の誤りはどこから来るか(認知バイアス)、チームでどう判断を共有するか(チームの意思決定、チェックリスト、判断支援)、判断は教えられるか(シミュレーション、振り返り)である。

扱わない範囲:

読み方:本稿の研究は、答えている問いで3つに分かれる。①エキスパートは何を見て、どう考えているか(2〜4節)、②教育や支援で判断や行動が変わるか(5〜7節)、③判断の質が患者の転帰と結びつくか(1節の監査と6節の録画研究)である。①の研究は②と③を示さない。②で診療の過程が改善しても、③が示されたことにはならない。「本稿の解釈」「本稿の整理」と記した部分は、原著の結果ではなく本稿の読み方である。本稿は検索方法を記録したナラティブレビューで、系統的レビューではない。

1.なぜ初療室の「判断」を研究するのか

研究結果成熟した外傷センターでも、防ぎ得た死はなくならない。症例数の多いレベルI外傷センター1施設の9年間(1996〜2004年)の監査では、入院44,401例のうち死亡は2,594例(5.8%)だった[11]。予測死亡率が低〜中等度の死亡(601例)と診療の質に懸念のある死亡を3段階の検討会で審査した結果、診療上の誤りが死亡に寄与したと判断されたのは64例(入院の0.14%、死亡の2.47%)だった。重要な誤りのパターンは、気道確保の失敗(16%)、腹部・骨盤の出血に対する手術または血管造影による止血の遅れ(16%)、胸腔内出血への介入の遅れ(9%)、深部静脈血栓症・消化管出血の予防の不足(9%)、不安定な患者でダメージコントロール手術を選ばず長時間の初回手術を行ったこと(8%)、過剰な輸液(5%)、栄養チューブの合併症(5%)だった[11]。

研究結果別の大学病院のレベルI外傷センター1施設の8年間(1998〜2005年)の解析では、入院35,311例のうち死亡は2,081例(5.9%)で、防ぎ得た死亡11例(死亡の0.53%)と防ぎ得た可能性のある死亡40例(1.92%)、計51例(2.5%)が判定された[12]。51例の死因は出血20例(39.2%)、多臓器不全14例(27.5%)が多く、寄与した問題は治療の遅れ27例(52.9%)、臨床判断の誤り11例(21.6%)、診断の見逃し6例(11.8%)、技術的な誤り4例(7.8%)だった。死亡の時期は24時間以内が26例(51.1%)、7日以降が16例(31.4%)だった[12]。

本稿の解釈手技の失敗は一部で、多くは「いつ、何を、どこまでやるか」の判断と時間に関わる。ただし、Gruenらのパターンには血栓予防や栄養チューブのように初療室の外の誤りも含まれ、すべてが初療の判断の問題ではない。

限界:いずれも成熟したレベルI外傷センター1施設の後ろ向きの審査で、防ぎ得たかどうかは院内の検討会(Teixeiraらでは外傷外科・集中治療・救急・脳神経外科・看護・監察医からなる委員会)の判定による[11][12]。判定の再現性は両論文の抄録からは評価できず、国内の診療体制にそのまま当てはまるとは限らない(本稿の解釈)。

Madaniらは、判断と意思決定の訓練・評価の方法が主観的で標準化されておらず、誤りを生みやすいという問題意識から、エキスパートの判断を分解する研究を行った[1]。

2.エキスパートの判断を分解した2つの研究

Madani 2018:29のコンピテンシーと40の誤り

Madaniらは、不安定な外傷患者の管理について、認知タスク分析と階層的タスク分析を質的な方法で行った[1]。外傷チームリーダーと専門医資格をもつ外傷外科医への半構造化面接を逐語で書き起こし、外傷チーム起動時の観察記録と文献で補い、2人の研究者が独立にグラウンデッド・セオリーで分析した。

研究結果データは、エキスパート14人(外傷外科医11人、救急医3人。北米の大学病院のレベル1外傷センター7施設、臨床経験の中央値12年[8〜17年])への1件1〜2時間の面接14件、現場観察35件(鈍的20件[57%]、穿通性15件[43%]、ISS中央値20[13〜25])、文献15件である。抽出されたコンピテンシーは29で、状況認識17(59%)、意思決定6(21%)、対人スキル6(21%)だった。想定される誤り40件の根本原因は、状況認識20件(50%)、意思決定10件(25%)、対人スキル10件(25%)に分類された[1]。

著者らは、この枠組みが判断力を訓練・評価する新しいカリキュラムや、チームと個人の質の指標の基礎になり得るとしている[1]。本稿では原著の本文を取得できなかったため、抄録にない細目(観察の期間と施設数、各分類に含まれる個々のコンピテンシー、個々の誤りの内容、著者が挙げた限界)は扱わない。

Sonesson 2018:外傷の経験が少ない外科医に何を教えるか

Sonessonらは、欧州の外科医は専門分化して待機手術を中心に訓練されており、外傷の症例数も少ないため、外傷チームを率いるときに複雑な多発外傷、異なる優先順位、多職種の診療に直面する、という問題から出発した[2]。

方法は設計に基づく研究(design-based research)で、エキスパートへの半構造化面接、実際の外傷症例の検討、民間の大学病院の高症例数外傷センターで録画された蘇生場面を組み合わせた。エキスパートは、IATSIC(International Association for Trauma Surgery and Intensive Care)と、外科医向けの外傷手術講習DSTC(Definitive Surgical Trauma Care)の上級講師から集めた7か国(カナダ、ニュージーランド、ノルウェー、南アフリカ、スウェーデン、英国、米国)の11人で、うち9人は結果の検証にも協力した[2]。研究の場は、主に民間の環境を扱うDSTCに、軍事用の武器による損傷を扱う軍事版(1〜2日)を加えた講習で、抄録は民間・人道・軍事のいずれの環境で求められる判断も対象としている[2]。

研究結果教育上の課題として、①生理学的に考える、②ダメージコントロール蘇生・手術の適用、③優先順位の違いと時間管理、④環境の影響、⑤限られた資源の管理、⑥一般外科手技の不足、⑦文化的な振る舞いの違い、⑧倫理的な問題、の8つが挙げられた。①は教えることと学ぶことの両面で最も重要とされ、何をまず管理し優先するかを決めるのは損傷そのものではなく生理学的状態だと説明されている[2]。⑦について、エキスパートが教える側として最も大きな課題としたのは、多職種の集団の中のサブカルチャーを扱うことだった[2]。

限界:11人のエキスパートの見解を体系化した研究で、患者の転帰は評価していない[2]。本稿で確認した範囲では、分析した録画の件数は本文に記載がなかった。

3.状況認識:何が起きていて、次に何が起きるか

状況認識(situation awareness)は、動的なシステムでの人の意思決定の研究から理論化された概念である。Endsleyは、状況認識を動的な意思決定の中心に置き、注意と作業記憶の容量が環境の情報を取り込み解釈する働きを制限すること、メンタルモデルと目標に導かれた行動がその限界を補うことを理論化し、状況認識の誤りの分類も示した[13]。

本稿の解釈Madaniらの研究でコンピテンシーの約6割と想定される誤りの半数が状況認識に分類されたこと[1]は、初療室の判断の多くが「決める前」、すなわち何が起きているかをどう捉えるかの段階にあることを示唆する。本稿では、初療室の状況認識を次の3つの問いに分けて整理する。広く使われる「知覚・理解・予測」の3段階に沿った本稿の整理であり、Endsleyの原著本文にある定義は本稿では確認していない。

  • 知覚:何が見えているか。病院前情報、受傷機転、気道・呼吸・循環・意識の所見、処置への反応を集める。
  • 理解:それは何を意味するか。バイタルサインを1回の値でなく、推移と受傷からの時間で読む。同じ収縮期血圧でも、受傷直後の値と数時間後の値では意味が違う。
  • 予測:次に何が起きるか。この患者が悪化するとしたら何によってか、そのときの次の一手は何かを先に用意する。

Sonessonらのエキスパートが最重要とした「生理学的に考える」は、この「理解」と「予測」の中心にあたる。Sonessonらは、参加者にとっての課題を、何が起きているかを正確に知らず、完全な診断もないかもしれないまま治療を始めることであり、しかも限られた時間をうまく使う自信と知識が十分でない点にあると述べている[2]。日本でJATECを運営する日本外傷診療研究機構も、「生理学的評価と蘇生を最優先する」ことをJATECのエッセンスと説明している[14]。JATECがMadaniやSonessonの枠組みを採用しているという意味ではないが、解剖学的な診断より先に生理学的な破綻を捉えるという点は共通する(本稿の解釈)。

チームとしての状況認識は航空や軍事の分野で広く研究されてきたが、医療での研究はまだ発展途上である。2026年のスコーピングレビューは16研究(無作為化比較試験1件、非無作為化の介入・質改善研究3件、量的な観察・尺度開発研究10件、質的研究2件)を集め、標準化された測定法、実臨床での検証、長期の評価が不足しているとした[15]。

4.決断:比べるより、認識して試す

研究結果教科書的な意思決定は、選択肢を並べて長所と短所を比べる形をとる。Kleinらは、時間の制約が強く結果が人命と財産に関わる環境の熟練者として、消防指揮官を調べた。平均23年の経験をもつ26人に、定型でなく熟練を要した出来事を1件ずつ面接で振り返ってもらい、156の判断点を調べたところ、2つ以上の案を同時に比べて評価した証拠があったのは12%未満だった。80%を超える判断点では、状況を標準的な型として直接認識し、その型に典型的な行動を選んでいた[3]。ここから、計算や分析より認識を重視する認識主導型意思決定(recognition-primed decision、RPD)モデルがまとめられた[3]。

限界:1985年の未発表研究を2010年に編集・公表したもので、対象は消防指揮官である[3]。外傷医の判断点で同じ割合を測った研究は、本稿の検索範囲では見つからなかった。

本稿の解釈外傷初療に当てはめると、経験のある医師が「この患者は出血が続いており、今すぐ止血が要る」と早く判断できるのは、型の認識による部分が大きいと考えられる。Sonessonらの研究では、ケアの優先順位について「待つべきときと、待ってはいけないとき」の理解が人によって異なることが、治療の考え方に関わる根本的な教育上の課題とされた[2]。Gruenらの監査で、止血の遅れや不安定な患者での長時間の初回手術が誤りのパターンに挙がったこと[11]は、この課題と重なる。型の認識は速いが、型に当てはまらない患者や、情報が互いに矛盾する場面では外れる。その手当てとして研究されてきたことを5節で扱う。

治療への反応も、次の判断の材料になる(本稿の整理)

本稿の解釈3節で見たように、初療室では完全な診断のないまま治療を始めなければならないことがある[2]。そのため処置への反応は、治療の結果であると同時に、最初の見立てが正しかったかを確かめる材料にもなる。本稿では初療室の判断を次の循環として整理する。原著の図の転載ではなく、検証された枠組みでもない。

  1. 捉える:受傷機転、生理学的所見、全体の印象を集め、推移と受傷からの時間で重さを読み、次に起こり得ることを予測する(3節の3つの問い)。
  2. 決める:優先順位と、どこまで積極的に進むかを決める。
  3. 伝える:チームに方針を宣言し、役割を指示する。
  4. 確かめる:処置への反応で見立てを確かめ、合わなければ計画を修正して1に戻る。

判断の研究は、個々の治療の適応を決める根拠ではない。「生理学的に考える」「型を認識して動く」といった考え方だけで、開腹、血管造影による止血(IVR)、REBOA、開胸などの適応を決めてはならない。実際の介入は、患者の状態、損傷部位、各治療の指針、施設の資源を合わせて判断する。

5.速い判断の落とし穴:認知バイアスと「立ち止まる」こと

認知バイアスは判断の誤りと関連するが、根拠の質は低い

研究結果Saposnikらの系統的レビュー(MEDLINEとCochrane Library、1980年〜2015年5月)は、症例問題または実際の場面で医師の認知的要因と結果の関連を評価した20研究(医師6,810人)を含めた[16]。すべての研究が、少なくとも1つの認知バイアスまたは性格特性が医師に影響すると報告した。過信、リスクへの許容度の低さ、アンカリング、情報バイアスと利用可能性バイアスは、症例問題の36.5〜77%で診断の不正確さと関連し、治療・管理の誤りとの関連は7研究中5研究(71.4%)で示された。一方、患者の転帰を評価したのは2研究(10%)だけで、関連を示したのはそのうち1研究(曖昧さへの許容度が高いことが合併症の増加と関連、9.7%対6.5%、p=.004)だった。12研究(60%)は質が低いと判定された[16]。

「ゆっくり考えよ」と指示するだけでは、正答率は上がらなかった

研究結果Normanらは、カナダの3大学の2年目研修医にコンピュータで内科の20症例を診断させ、2010年の群(96人)には間違えない範囲でできるだけ速く、2011年の群(108人)には慎重に、網羅的に、振り返りながら解くよう指示した[4]。正答率は速さ群44.5%、熟考群45.0%で有意差はなく、1症例あたりの時間は69秒対89秒(P<.001)だった。誤答した症例は正答した症例より平均17秒長くかかった。著者らは、ゆっくり分析的に考えるよう促すだけでは診断の正確さを上げるのに不十分だと結論した[4]。年度で群を分けた比較で、抄録に無作為化の記載はない。

同じ研究グループの総説は、実験的にバイアス(特に利用可能性バイアス)を誘発することはできても、実際の診断の誤りにどの程度寄与するかは確立していないとし、バイアスの認識を目的とした教育は誤りを減らさない一方、知識を再構成する方法には小さいが一貫した効果があるとまとめた[5]。

研究結果Lambeらの系統的レビュー(28研究)では、多くの介入に何らかの効果がみられ、振り返りを導く方法(guided reflection)が5研究で最も一貫して効果を示し、認知的強制戦略(cognitive forcing strategies)は正確さと確信度の判断を改善した[6]。ただし測定方法のばらつきが大きく、対象は主に経験の浅い医師だった[6]。

限界:これらの研究の多くは内科の症例問題による診断課題で、時間の制約とチームのある外傷初療で検証したものではない(本稿の解釈)。外傷トリアージの無作為化試験では、課題中の認知負荷の高低でアンダートリアージに有意な差はみられなかった(P=0.66)が、これも仮想症例での結果である[7]。

「立ち止まる」とは、どこで立ち止まるかを決めておくこと

Moultonらは、熟達の重要な働きを、多くの作業では効率的な非分析的処理を使いながら、必要なときに労力を要する分析的処理へ移る判断にあるとし、これを「slowing down when you should(立ち止まるべきときに立ち止まる)」というモデルとして提案した[17]。教育学の熟達研究、注意と労力、状況認識、ヒューマンファクターの文献を検討した理論的な論考である。

研究結果その後、大学関連の4病院の外科医28人(診療科はさまざま)への面接研究では、外科医はこの現象と判断との結びつきを認識しており、きっかけとして、手術や患者の特徴から術前に予期して計画する「立ち止まり」と、予期しない出来事に応じる「立ち止まり」の2つを挙げた。影響する要因として疲労や自信が語られた[18]。手術中の判断の研究で、外傷初療の研究ではない。

本稿の解釈Normanらの結果と合わせると、有効なのは「常にゆっくり」ではなく、立ち止まる場面を前もって決めておき、そこで知識を使って仮説を点検することだと考えられる。初療室なら、患者をCT室へ移す前、手術か血管造影かを決める前、処置への反応が予想と違ったときなどが候補になる。これは検証された手順ではない。

6.チームで考える:測る、訓練する、支える

チームの判断を測る

研究結果T-NOTECHS(Non-Technical Skills Scale for Trauma)は、多職種の外傷蘇生チームのチームワークを教え評価するために作られた尺度で[19]、リーダーシップ、協力と資源管理、コミュニケーションと相互作用、評価と意思決定、状況認識・ストレスへの対処の5項目を5段階で採点する[20]。開発研究では、その場での評価の評価者間信頼性(級内相関係数)はシミュレーション0.44、実際の蘇生0.48で、録画による評価では0.71だった。得点が高いほど、シミュレーションでは完了した処置が多く(r=0.50)完了までが速く(r=−0.38)、実際の蘇生でも蘇生が速く報告漏れの処置が少なかったが、実際の蘇生での相関は弱かった(r=−0.13、−0.16)[19]。フィンランド語版の検証(シミュレーション61回、参加者193人)では、内的一貫性(Cronbachのα)0.70、級内相関係数0.54で、著者らは信頼性を「まずまず(fair)」とした[20]。

2026年の系統的レビューは、録画で外傷チームのリーダーシップを評価した20研究(1988〜2024年、米国15、カナダ3、オランダ2)から19の評価ツールを見いだした。最も多く使われたのはT-NOTECHS(7研究)で、評価者間信頼性の報告は一貫せず、低いものから非常に高いものまで幅があった。ツールの構成の違いが研究間・施設間の比較を難しくしている[21]。

チームを訓練する

チーム訓練の研究は、単施設の前後比較が中心である。代表的な3研究の結果を示す(根拠の比較表にもまとめた)。

  • 研究結果CRM研修:外傷蘇生向けに調整した3時間のCRM(crew resource management)研修を、3か月間に324人のスタッフが受けた。研修後の調査(132件)では、リーダーの明示・計画の伝達・役割分担(p=0.001)、病院前と院内の情報伝達の正確さ(p=0.029、p=0.002)が改善したと回答され、患者の安全に懸念があるときに声を上げやすくなった(p=0.002)。抄録に効果の大きさの数値や信頼区間はなく、患者の転帰は評価していない[22]。
  • 研究結果TeamSTEPPS+シミュレーション:研修前33件と研修後40件の蘇生の比較で、観察者が採点したチームワークの総合点が3.12から3.70に上がり(p<0.001)、到着からCTまで(26.4→22.1分、p=0.005)と手術室まで(130.1→94.5分、p=0.021)が短くなった。抄録は気管挿管までの短縮(10.1→6.6分)も有意としているが、示されたp値は0.49である[23]。
  • 研究結果現場型(in situ)シミュレーション:救急外来で行う約4時間の多職種研修(ウェブ講義と、15分のシナリオ3本、録画を使った直後の振り返り)を137人が受けた。研修前後6か月ずつの実際の鈍的外傷の蘇生244件で、処置の報告漏れが1つ以下の「ほぼ完全な」蘇生は76%増え、蘇生時間の平均は16%短縮した[24]。

限界:3研究とも単施設の前後比較で、同時期の対照がなく、時間の経過や他の改善の影響を除けない(本稿の解釈)。Gjeraaらの系統的レビュー(13研究)では、無作為化・対照・盲検のそろった研究はなく、バイアスのリスクは中等度〜高度だった。学習(知識・技能)の改善はすべての研究でみられ、臨床の場でのチームの行動の改善は3研究で示された(うち1研究では維持が難しかった)。患者転帰を評価した2研究は、いずれも死亡率・合併症率・入院期間の改善を示さなかった[9]。

判断を支える:アルゴリズムの提示とチェックリスト

研究結果Fitzgeraldらは、成人の高次外傷センター1施設で、初療の最初の30分に、根拠に基づく判断・行動のアルゴリズムをコンピュータで実時間に提示する方法を、非盲検の無作為化比較試験で評価した(2006年1月〜2008年2月)[8]。重症の成人1,171例を、導入前の対照群300例、同時期の対照群436例、介入群435例に分けた。主要評価項目は、録画による監査でアルゴリズムからの逸脱として数えた患者あたりの誤りで、導入前の対照群2.53、同時期の対照群2.30、介入群2.13だった(介入群と同時期の対照群の比較でP=.04、導入前の対照群との比較でP=.004。2つの対照群の間はP=.21)。重大な判断が72秒に1回求められ、最初の30分に誤りのなかった蘇生は16.0%から21.8%に増えた(P=.049。抄録は比較した群を明示していない)。ショック管理に関連する合併症(P=.03)、輸血量(P<.001)、誤嚥性肺炎(P=.046)も減った。抄録に効果の大きさの信頼区間の記載はない[8]。

研究結果WHOの外傷診療チェックリスト(Trauma Care Checklist)を9か国11病院に導入した研究では、導入開始日を無作為に割り付けたステップウェッジ型の前後比較(2010〜2012年)で、導入前1,641例と導入後1,781例を比べた[25]。年齢、女性の割合、ISS 25以上の割合(10%対10%)に前後で有意差はなかった(p>0.05)。19の診療過程の指標のうち18が改善し、腹部診察(OR 3.26)、胸部聴診(OR 2.68)、末梢動脈の触知(OR 2.33)が行われる確率が上がった(いずれもp<0.05。抄録に信頼区間の記載なし)[25]。死亡と合併症は副次的に収集されたが、その結果は抄録に記載がない。

限界:判断支援の試験は単施設の非盲検試験で、誤りはそのアルゴリズムからの逸脱として定義されている[8]。アルゴリズムの内容が施設の標準と異なれば、同じ効果は期待できない(本稿の解釈)。チェックリストの研究は所得水準の異なる国の病院を含み、評価項目は診療過程の実施率である[25]。

録画で判断を振り返る:判断の質は転帰と結びつくか

研究結果Dumasらは、単施設で24か月間に連続録画で捉えた救急外来開胸61例の蘇生を、T-NOTECHSの5項目を3段階(1=最良、2=平均、3=最悪)に改変した尺度で評価した[10]。患者の97%は穿通性外傷だった。自己心拍再開(ROSC。心臓内マッサージが不要になった組織化された調律と定義)は19例(31%)で、「評価と意思決定」の項目が最良と評価された蘇生はROSCと関連した(平均・最悪と比べたオッズ比5.33、95%CI 1.35〜21.06、P=0.02)。ほかの4項目(リーダーシップ、協力と資源管理、コミュニケーション、状況認識)はいずれも有意な関連を示さず(P=0.11〜0.54)、二値化した5項目の合計点とROSCの関連もオッズ比1.20(95%CI 0.97〜1.57、P=0.09)で有意でなかった。年齢・性別・受傷機転・生命徴候の有無は単変量でROSCと関連しなかったため、多変量解析は行われていない[10]。

著者らは限界として、症例数の少なさ、3人の評価者による主観性と評価者間信頼性を算出していないこと、5段階から3段階への改変による精度の低下、評価時に転帰を知り得たことによる偏り、チームワークと独立に転帰を左右する治療の要素を捉えていないことを挙げた[10]。本稿の解釈として、オッズ比は「ROSCが5.3倍多い」という意味ではなく、信頼区間の幅も広い。「評価と意思決定」の良さがROSCを起こしたとは言えず、判断の質を転帰と同じ研究の中で測れる可能性を示した探索的な研究と読むのが妥当である。

この施設では、各初療室に2台の常時録画のカメラとマイクがあり、録画は安全なサーバーに1か月保存された後に自動で消去され、研究は施設の視聴覚による質改善プログラムの一部として倫理審査委員会の審査を免除されていた[10]。

7.判断をどう鍛えるか

暗黙知を言葉にする

研究結果エキスパートは、自分が下している判断の多くを説明から抜かしてしまう。Clarkらは、都市部の外傷センター1施設の外傷外科医10人に大腿動脈シャントの手順を説明してもらい、何も使わない自由想起(4人)、器具や視覚資料を使う自由想起(5人)、認知タスク分析による面接(無作為に選んだ1人)を比べた[26]。認知タスク分析は自由想起より約70%完全で正確な記述を生み、自由想起の外科医は必要な判断の手順のほぼ70%を省いていた[26]。

限界:認知タスク分析の群は外科医1人で、対象は手技の手順の記述であり、初療の判断そのものではない。本稿の解釈として、指導医が手順だけでなく、どの所見をきっかけに次の行動へ移ったか、何を最も恐れていたか、何は待てると判断したか、ほかにどんな案があったかを言葉にして残すことは、この研究が示した「省略」を補う方法になり得る。

判断の場面を繰り返す:シミュレーションとゲーム

研究結果Mohanらの無作為化試験では、主に非外傷センターで働く救急医368人を、パターン認識を較正して中等症〜重症の損傷を見抜けるよう設計した物語型のビデオゲーム(1時間)と、従来の講義に基づくアプリに1対1で割り付けた[7]。10症例(うち4例が重症)の仮想シミュレーションで、重症患者のアンダートリアージはゲーム群316/596(0.53)、対照群377/592(0.64)で、推定差0.11(95%CI 0.05〜0.16、P<0.001)だった。6か月後の再評価(無作為に選んだ200人のうち、ゲーム群64人・対照群58人が完了)でも0.57対0.74(差0.17、95%CI 0.09〜0.25)だった。試験を完了したのはゲーム群149人(81%)、対照群148人(80%)で、副作用の報告はなかった。著者らは、効果は大きいが信頼区間は小さな効果の可能性も含み、実臨床での効果は不確かだとしている[7]。

研究結果同じゲームを2時間用いた別の無作為化試験(米国のレベルIII〜Vの外傷センターと非外傷センターの救急外来でトリアージを担う医師800人、2023年11月〜2024年3月)の二次解析では、3回の救急外来の勤務を模した仮想シミュレーションで、アンダートリアージが22%対38%(差16ポイント、95%CI 15〜18、P<.001)だった。介入は、偽陽性の判断(転送しすぎ)への許容度を中等度に高め(Cohenのd=0.6)、重症患者を見分ける力を小さく改善していた(d=0.2)[27]。本稿の解釈として、アンダートリアージの減少には転送の閾値が下がったことの寄与が大きいと読める。オーバートリアージ(不要な転送)の変化は抄録に記載がない。

限界:どちらも評価は仮想症例で、実際の転送判断や患者の転帰は評価していない[7][27]。

Sonessonらは、実際の症例をもとに、選んだ管理によって経過が変わるバーチャルペイシェントとブレンド型学習で、同じ意思決定の過程を学ぶ教材を作れると提案している[2]。提案の段階で、効果は検証されていない。

振り返りを「誰が悪いか」から「どの判断が抜けたか」へ

本稿の解釈Madaniらが想定される誤りを状況認識・意思決定・対人スキルに分けたこと[1]は、症例検討会(M&M)で誤りを分類する枠組みとして使える。見逃しなら状況認識、止血の遅れなら意思決定、情報が共有されなかったならチームの問題、と分ければ、打つべき対策が変わる。録画による振り返りは、カルテに残らない判断のテンポやリーダーの行動を評価する手段として使われているが、評価ツールと評価者間信頼性はまだ揃っていない[21]。

初療中に自分へ問う(本稿の整理)

本稿の解釈次は、本稿で上記の文献をもとに整理した問いかけの例である。検証された評価ツールではないが、自分の判断の抜けに気づく手がかりになる。

  1. エネルギーはどこから入り、どこを通ったか。
  2. この値は、推移と受傷からの時間で見るとどういう意味か。
  3. 理屈を抜きにして、この患者は「重そう」か。
  4. 今の仮説は、治療への反応で支持されているか。
  5. 自分が介入するかどうかで結果が変わるのは、どれか。
  6. 今の積極性は、重症である確率に見合っているか。
  7. 最悪のシナリオと、その時の次の一手は用意できているか。
  8. この場の資源と自分の力量で足りるか。応援・転院を今呼ぶべきか。

著者(運営者)の見解:「外傷外科医の思考を言語化する試みは、『経験の民主化』への一歩だと考えています。」(改訂前の本文から残した記述)

指針の比較表

初療と外傷手術の教育体系、国内の専門医像が、判断をどう位置づけているかを公式資料で比べる。いずれも教育の目標や専門医の要件を示す資料で、判断の方法について推奨の強さを付けた診療ガイドラインではない。

指針・教育体系対象記載・位置づけ推奨の強さ・確実性注意
JATEC(日本外傷診療研究機構)外傷患者を診察する機会のある全ての医師[28]「外傷初期診療ガイドライン」で示した標準的な外傷診療を、すべての医師が実践できることが目標[29]。「生理学的評価と蘇生を最優先する」ことをJATECのエッセンスとし、コースではハンズオンを基本にした意思決定のトレーニングに力点を置く[14]教育コースの目標と公式の説明。推奨の強さの表示はないガイドライン改訂第6版の本文は未取得。JATECが本稿の枠組み(Madani、Sonesson)を採用しているという意味ではない
ATLS(米国外科学会。2025年に更新された第11版)外傷患者を診療する臨床医[30]外傷患者の診療への体系的で簡潔な方法を教える。到達目標は、標準的な手順で患者の状態を迅速・正確に評価する、生命を脅かす損傷を認識し優先順位を付けて管理する、必要な管理が施設の資源や臨床医の能力を超えるかを判断する、効果的なチームワークと明確なコミュニケーションなどを促す、である。2025年の更新で、チームダイナミクスと、家族への重大な知らせの伝え方が取り入れられた[30]教育プログラムの到達目標。推奨の強さの表示はない初期診療の標準化が目的で、本稿の判断の枠組みの効果を検証したものではない(本稿の解釈)
DSTC(IATSIC)外科医と外科研修医(もとは外科医が外科医向けに作った講習。手術室看護師と麻酔科医が学ぶ場にもなっている)[31]ATLSと重複させず、重症外傷で手術と集中治療を要する患者に特に当てはまる技術を教える[31]。Sonessonらは、多発外傷の管理に必要な意思決定の教育と技術の訓練を行う講習と説明している[2]教育コース。推奨の強さの表示はないSonessonらの研究のエキスパートはIATSICとDSTCの上級講師で、研究の場もDSTC(軍事版を含む)だった[2]
外傷専門医像(日本外傷学会)外傷専門医重症外傷患者の救命から社会復帰までの治療方略を理解し実践する判断能力と、チームリーダーとして指揮命令系統を確立しチームワークを構築するチームコーディネート能力を求める[32]学会の専門医像の文書。推奨の強さの表示はない文書に作成日の記載はない

根拠の比較表

表はスマートフォンでは横にスクロールして読む。数値は抄録(Sonesson、Dumasは本文)で確認できた範囲に限った。

出典(年)デザイン対象介入・比較主な結果限界と診療への意味
Gruen(2006)[11]単施設後ろ向き監査(9年)入院44,401例、死亡2,594例3段階の検討会で誤りを審査誤りが死亡に寄与64例(死亡の2.47%)。気道確保の失敗16%、腹部・骨盤止血の遅れ16%、長時間の初回手術8%など1施設。初療室の外の誤りを含む。判定は院内の審査
Teixeira(2007)[12]単施設後ろ向き(8年)入院35,311例、死亡2,081例多職種の委員会で判定防ぎ得た・可能性あり51例(死亡の2.5%)。治療の遅れ52.9%、臨床判断の誤り21.6%、見逃し11.8%、技術的な誤り7.8%1施設。判定は院内の審査
Madani(2018)[1]質的研究(認知・階層的タスク分析)エキスパート14人(北米7施設)、観察35件、文献15件—(記述研究)コンピテンシー29(状況認識59%)。想定される誤り40件(状況認識50%)転帰は評価せず。抄録のみ確認
Sonesson(2018)[2]設計に基づく研究(面接・症例検討・蘇生録画)7か国のエキスパート11人—(記述研究)教育上の課題8つ。「生理学的に考える」が最重要見解の体系化。転帰は評価せず
Klein(2010、原研究1985)[3]面接による記述研究消防指揮官26人、判断点156—(記述研究)複数案の同時比較は12%未満。型の認識による判断が80%超医療以外。外傷医での割合は未測定
Saposnik(2016)[16]系統的レビュー20研究、医師6,810人認知バイアス・性格特性と結果の関連診断の不正確さと関連(症例問題の36.5〜77%)。患者転帰の評価は2研究のみ60%が低品質。症例問題が中心
Norman(2014)[4]比較試験(年度で指示を分けた2群)2年目研修医204人(96人・108人)熟考の指示対速さの指示正答率45.0%対44.5%(有意差なし)。1症例89秒対69秒内科の症例問題。抄録に無作為化の記載なし
Lambe(2016)[6]系統的レビュー28研究二重過程理論に基づく認知的介入振り返りを導く方法が5研究で最も一貫して有効。認知的強制戦略は正確さを改善測定法が不均一。主に若手の医師
Mohan(2017)[7]無作為化比較試験(2×2要因)救急医368人(主に非外傷センター)ビデオゲーム1時間対講義型アプリアンダートリアージ0.53対0.64(差0.11、95%CI 0.05〜0.16)。6か月後0.57対0.74(差0.17、95%CI 0.09〜0.25)仮想症例。実臨床の効果は不確か(著者)
Mohan(2025)[27]無作為化試験の二次解析医師800人(レベルIII〜V・非外傷センター)ビデオゲーム2時間対通常の教育アンダートリアージ22%対38%(差16ポイント、95%CI 15〜18)仮想症例。機序と効果の異質性の評価
Fitzgerald(2011)[8]非盲検無作為化比較試験(単施設)重症成人1,171例実時間の判断アルゴリズム提示対なし(同時期の対照、導入前の対照)患者あたりの誤り2.13対2.30(P=.04)、対2.53(P=.004)。誤りのない蘇生16.0%→21.8%誤り=アルゴリズムからの逸脱。抄録にCIなし
Lashoher(2017)[25]ステップウェッジ型前後比較(開始日を無作為化)9か国11病院、導入前1,641例・導入後1,781例WHO外傷診療チェックリストの導入過程指標19のうち18が改善(腹部診察OR 3.26など)死亡・合併症の結果は抄録に記載なし。抄録にCIなし
Hughes(2014)[22]単施設前後比較受講324人、調査160人→132件、観察25件→38件外傷蘇生向けCRM研修(3時間)リーダーの明示・計画の伝達・役割分担(p=0.001。研修後の調査への回答)、声を上げる(p=0.002)が改善効果量・CIなし。患者転帰なし
Capella(2010)[23]単施設前後比較蘇生33件→40件TeamSTEPPS+シミュレーション総合得点3.12→3.70。CTまで26.4→22.1分、手術室まで130.1→94.5分同時期の対照なし。挿管までの短縮はp=0.49
Steinemann(2011)[24]単施設前後比較受講137人、実際の蘇生244件現場型シミュレーション研修(約4時間)ほぼ完全な蘇生が76%増、蘇生時間16%短縮同時期の対照なし。患者転帰なし
Steinemann(2012)[19]尺度の開発・検証シミュレーションと実際の蘇生T-NOTECHS評価者間信頼性0.44〜0.48(録画0.71)。処置の完了・速さと相関実際の蘇生での相関は弱い(r=−0.13〜−0.16)
Dumas(2020)[10]単施設後ろ向き(録画)救急外来開胸61例(穿通性97%)T-NOTECHS改変版(3段階)の各項目「評価と意思決定」最良でROSCのOR 5.33(95%CI 1.35〜21.06)。ほかの4項目と合計点(OR 1.20、95%CI 0.97〜1.57)は有意でない単変量。評価者間信頼性なし
Gjeraa(2014)[9]系統的レビュー13研究シミュレーションによるチームのノンテクニカルスキル訓練学習は全研究で改善。臨床の行動の改善は3研究。患者転帰を評価した2研究はいずれも改善を示さず無作為化・対照・盲検の研究なし。バイアスのリスク中〜高

評価時点について:防ぎ得た外傷死の監査は入院中の死亡、Dumasは初療室での短期転帰(ROSC)、Fitzgeraldの主要評価項目は初療の最初の30分の誤りである(合併症の評価時点は抄録に明記なし)。Mohan 2017は介入直後と6か月後、Capellaは研修前(2008年11月〜2009年2月)と研修後(2009年5〜7月)、Steinemann 2011は研修前後の各6か月の観察である。Gjeraaの系統的レビューに含まれる患者転帰の評価時点は、抄録からは分からない。

日本で実施するとき

国内の教育と制度

日本外傷診療研究機構は、「防ぎえた外傷死」をなくすために、教育活動(JATECコース)と研究(日本外傷データバンク:JTDB)を行うとしている[33]。JATECコースは、外傷初期診療ガイドラインで示した標準的な外傷診療をすべての医師が実践できることを目標とし[29]、ケースシナリオや実技指導を中心に少人数で行う体験学習と位置づけられている[28]。2022年7月からは、ウェブセミナー1日と対面研修1日の2日間のコース(1コースの受講者定員16人)になった[34]。同機構のページによると、2026年3月末現在でコースは694回開催され、受講生の累積総数は21,973人である。同じページは、事前学習を強化したことで、コースではハンズオンを基本にした意思決定のトレーニングに力点を置いているとしている[14]。

未確認本稿で確認したJATECの公開資料(コースの案内と概要、開催の現況のページ、2022年の改訂案内、改訂第6版の改訂概要[35])には、意思決定のトレーニングへの言及はあるが、チームリーダーの行動やノンテクニカルスキルの評価についての明示的な記載は見当たらなかった。外傷初期診療ガイドライン改訂第6版の本文は取得しておらず、そこに書かれた初期診療の手順と、本稿の枠組み(状況認識・意思決定・チーム)との対応は確認していない。

手術を担う外科医向けには、IATSICのDSTCがある(指針の比較表)。IATSICの公式サイトには、東京でのDSTCコースの開催予定(2026年12月2〜4日)が掲載されている[36]。

病院前では、救急隊員向けの外傷教育プログラムとしてJPTEC(Japan Prehospital Trauma Evaluation and Care)が開発された[37]。本稿は病院前を扱わないが、初療室の状況認識の入口は病院前からの情報である(本稿の解釈)。

日本外傷学会の「外傷専門医像」(医師向けの文書)は、外傷診療はチーム医療でありチームワークの構築が重症外傷の救命率向上につながるとして、外傷専門医に判断能力とチームコーディネート能力を求めている(指針の比較表)[32]。

国内のデータ

研究結果2002年5月に、生命徴候のある状態で救命救急センター(原文はemergency centers)に到着して死亡した外傷患者の約40%が、防ぎ得た可能性が高いと報告された。これを契機に、JPTEC、ドクターヘリ、JATEC、外傷登録が整備された[37]。

研究結果JTDBの2004〜2011年の47,095例(登録94,664例から選択)を解析した研究では、TRISSで調整した院内死亡のオッズは、2004〜2006年に比べて2009〜2011年で低かった(OR 0.68、95%CI 0.61〜0.76)[38]。胸部・腹部手術の有無で有意な交互作用がみられ(抄録の表記はOR 0.83対0.68、p<0.001)、著者らは、2007年以降の死亡率の低下は軽症例でみられた一方、重症例や手術を要した例では有意に悪かった(significantly worse)と結論した[38]。何と比べて悪かったのかは抄録からは読み取れない。JATEC(2002年導入)の受講そのものを測った研究ではなく、時期による変化と教育の因果関係は示せない(本稿の解釈)。

研究結果千葉県の2011年の交通事故による死亡175例のうち、救急隊の接触時に生命徴候のあった69例を検討会で判定した研究では、明らかに防ぎ得た死亡9例(13%)、防ぎ得た可能性のある死亡11例(16%)だった。この20例の問題は、病院到着前の搬送先選定5例、地域の救急医療体制4例、輸血を含む循環管理の不適切さと院内での止血の遅れ(または未実施)15例だった[39](合計が20を超えるため、1例に複数の問題が数えられている)。

国内のノンテクニカルスキル研修の報告は、受講者の意識や満足度の評価が中心である。救急領域のノンテクニカルスキル研修(NoTAM)を受けた看護師12人の前後比較(受講1か月後)では、「問題指摘に対する抵抗感」の項目の点数が有意に低下した[40]。市中病院の初期研修医向け外傷初療トレーニングコース(2015年から11回、受講335人、回答323人)では、回答者全員が満足度と有用性について肯定的に答えた[41]。未確認国内で、外傷チームの訓練や判断支援が臨床の行動や患者の転帰を変えるかを比較した研究は、本稿の検索範囲では見つからなかった。

施設で取り入れるとき(本稿の提案)

  • 症例検討会では、7節の分け方(状況認識・意思決定・チーム)で誤りを記録する(本稿の解釈)。
  • シミュレーションの振り返りにT-NOTECHSのような尺度を使う場合は、評価者の訓練と評価者間の一致の確認を前提にする。フィンランド語版では信頼性は「まずまず」だった[20]。日本語版の妥当性を検証した研究は、本稿では確認できなかった(未確認)。
  • 初療の録画を振り返りに使う場合は、利用目的、同意、保存期間、閲覧できる人を院内の規程で決める。国内でこれを定めた指針は本稿では確認していない(未確認)。Dumasらの施設は録画を1か月で自動消去していた[10]。
  • チェックリストや判断アルゴリズムの提示を導入する場合、改善が示されたのは主に診療過程の指標(判断支援の試験ではショック管理に関連する合併症・輸血量・誤嚥性肺炎の減少も報告)で、死亡の減少は示されていない[8][25]。内容を自施設の標準手順と一致させる。

日本外傷学会の臓器損傷分類2008、医薬品の添付文書、保険診療上の扱いは、本稿の主題(判断・チーム・教育)には該当しない。

まだ分からないこと

  • エキスパートの枠組みで教えると転帰は変わるか。MadaniやSonessonの枠組みに基づく教育の効果を、患者の転帰で評価した研究は本稿の検索範囲では見つからなかった。
  • 日本でも同じ課題が上位に来るか。Sonessonらの8つの課題は7か国のエキスパート11人の見解で[2]、国内の外傷診療の環境で同じ順位になるかは検証されていない。
  • チーム訓練は死亡を減らすか。2014年の系統的レビューの時点で患者転帰を評価した研究は2件で、いずれも改善を示さなかった[9]。その後の統合研究は本稿では網羅的に検索していない。
  • 仮想症例での改善は実際の判断に移るか。ゲームの効果は仮想のシミュレーションで示されたもので、著者ら自身が実臨床での効果は不確かとしている[7]。
  • チームの状況認識をどう測るか。測定法の標準化と実臨床での検証が不足しており[15]、録画でリーダーシップを評価するツールもばらついている[21]。
  • 外傷初療での認知バイアス対策。立ち止まる指示や振り返りの効果の研究は内科の症例問題が中心で[4][6]、時間の制約とチームのある外傷初療で検証されていない。
  • 国内での検証。国内のノンテクニカルスキルの報告は意識や満足度の評価が中心で[40][41]、日本語版T-NOTECHSの妥当性、録画による振り返りの運用、外傷チームの訓練と転帰の関係は未確認である。

まとめ

エキスパートの判断を分解した研究は、判断の要素の多くが「何が起きているかを捉える」段階にあると整理し(29のコンピテンシーの59%が状況認識)[1]、外傷の経験が少ない外科医に教えるべき最も重要な課題として「生理学的に考える」ことを挙げた[2]。一方、熟考を促す指示やバイアスの知識だけで誤りが減ることは示されておらず[4][5]、チーム訓練や判断支援で改善が報告されたのは主に診療の過程で、患者転帰を評価した研究では死亡の減少は示されていない[9]。

本稿の解釈現時点で言えるのは、「エキスパートの勘」を観察できる行動と言葉に分け、振り返りと訓練の対象にできる、というところまでである。それが患者の転帰を変えるかは、まだ検証されていない。

文献

  1. Madani A, Gips A, Razek T, Deckelbaum DL, Mulder DS, Grushka JR. Defining and measuring decision-making for the management of trauma patients. J Surg Educ. 2018;75(2):358-369. doi:10.1016/j.jsurg.2017.07.012. PMID: 28756147.
  2. Sonesson L, Boffard K, Lundberg L, Rydmark M, Karlgren K. Decision-making in management of the complex trauma patient: changing the mindset of the non-trauma surgeon. World J Surg. 2018;42(8):2392-2397. doi:10.1007/s00268-018-4460-x. PMID: 29340725. PMCID: PMC6060797.
  3. Klein G, Calderwood R, Clinton-Cirocco A. Rapid decision making on the fire ground: the original study plus a postscript. J Cogn Eng Decis Mak. 2010;4(3):186-209. doi:10.1518/155534310X12844000801203.(1985年の未発表研究の編集版)
  4. Norman G, Sherbino J, Dore K, Wood T, Young M, Gaissmaier W, Kreuger S, Monteiro S. The etiology of diagnostic errors: a controlled trial of system 1 versus system 2 reasoning. Acad Med. 2014;89(2):277-284. doi:10.1097/ACM.0000000000000105. PMID: 24362377.
  5. Norman GR, Monteiro SD, Sherbino J, Ilgen JS, Schmidt HG, Mamede S. The causes of errors in clinical reasoning: cognitive biases, knowledge deficits, and dual process thinking. Acad Med. 2017;92(1):23-30. doi:10.1097/ACM.0000000000001421. PMID: 27782919.
  6. Lambe KA, O’Reilly G, Kelly BD, Curristan S. Dual-process cognitive interventions to enhance diagnostic reasoning: a systematic review. BMJ Qual Saf. 2016;25(10):808-820. doi:10.1136/bmjqs-2015-004417. PMID: 26873253.
  7. Mohan D, Farris C, Fischhoff B, Rosengart MR, Angus DC, Yealy DM, Wallace DJ, Barnato AE. Efficacy of educational video game versus traditional educational apps at improving physician decision making in trauma triage: randomized controlled trial. BMJ. 2017;359:j5416. doi:10.1136/bmj.j5416. PMID: 29233854.
  8. Fitzgerald M, Cameron P, Mackenzie C, Farrow N, Scicluna P, Gocentas R, et al. Trauma resuscitation errors and computer-assisted decision support. Arch Surg. 2011;146(2):218-225. doi:10.1001/archsurg.2010.333. PMID: 21339436.
  9. Gjeraa K, Moller TP, Ostergaard D. Efficacy of simulation-based trauma team training of non-technical skills. A systematic review. Acta Anaesthesiol Scand. 2014;58(7):775-787. doi:10.1111/aas.12336. PMID: 24828210.
  10. Dumas RP, Vella MA, Chreiman KC, Smith BP, Subramanian M, Maher Z, Seamon MJ, Holena DN. Team assessment and decision making is associated with outcomes: a trauma video review analysis. J Surg Res. 2020;246:544-549. doi:10.1016/j.jss.2019.09.033. PMID: 31635832. PMCID: PMC8406277.
  11. Gruen RL, Jurkovich GJ, McIntyre LK, Foy HM, Maier RV. Patterns of errors contributing to trauma mortality: lessons learned from 2,594 deaths. Ann Surg. 2006;244(3):371-380. doi:10.1097/01.sla.0000234655.83517.56. PMID: 16926563.
  12. Teixeira PG, Inaba K, Hadjizacharia P, Brown C, Salim A, Rhee P, Browder T, Noguchi TT, Demetriades D. Preventable or potentially preventable mortality at a mature trauma center. J Trauma. 2007;63(6):1338-1347. doi:10.1097/TA.0b013e31815078ae. PMID: 18212658.
  13. Endsley MR. Toward a theory of situation awareness in dynamic systems. Hum Factors. 1995;37(1):32-64. doi:10.1518/001872095779049543.
  14. 日本外傷診療研究機構. JATECコース開催の現況と「外傷初期診療ガイドライン」の活用. https://www.jtcr-jatec.org/jatec_25years.html(2026年9月26日閲覧。ページに作成日の記載なし)
  15. Shi T, Ma H, Yao X, Zhang S, Luo Y. Team situation awareness within the medical field context: a scoping review. Nurs Crit Care. 2026;31(5). doi:10.1111/nicc.70650. PMID: 42638328.
  16. Saposnik G, Redelmeier D, Ruff CC, Tobler PN. Cognitive biases associated with medical decisions: a systematic review. BMC Med Inform Decis Mak. 2016;16(1):138. doi:10.1186/s12911-016-0377-1. PMID: 27809908.
  17. Moulton CA, Regehr G, Mylopoulos M, MacRae HM. Slowing down when you should: a new model of expert judgment. Acad Med. 2007;82(10 Suppl):S109-S116. doi:10.1097/ACM.0b013e3181405a76. PMID: 17895673.
  18. Moulton CA, Regehr G, Lingard L, Merritt C, MacRae H. ‘Slowing down when you should’: initiators and influences of the transition from the routine to the effortful. J Gastrointest Surg. 2010;14(6):1019-1026. doi:10.1007/s11605-010-1178-y. PMID: 20309647.
  19. Steinemann S, Berg B, DiTullio A, Skinner A, Terada K, Anzelon K, Ho HC. Assessing teamwork in the trauma bay: introduction of a modified “NOTECHS” scale for trauma. Am J Surg. 2012;203(1):69-75. doi:10.1016/j.amjsurg.2011.08.004. PMID: 22172484.
  20. Repo JP, Rosqvist E, Lauritsalo S, Paloneva J. Translatability and validation of non-technical skills scale for trauma (T-NOTECHS) for assessing simulated multi-professional trauma team resuscitations. BMC Med Educ. 2019;19(1):40. doi:10.1186/s12909-019-1474-5. PMID: 30700296. PMCID: PMC6354341.
  21. McKiernan C, Kumar P, Bowie P, Lowe DJ. Exploring tools used in the assessment of trauma team leadership using video review: a systematic review. Scand J Trauma Resusc Emerg Med. 2026. doi:10.1186/s13049-026-01643-z. PMID: 42381031.(巻・頁は本稿の確認時点で未確認)
  22. Hughes KM, Benenson RS, Krichten AE, Clancy KD, Ryan JP, Hammond C. A crew resource management program tailored to trauma resuscitation improves team behavior and communication. J Am Coll Surg. 2014;219(3):545-551. doi:10.1016/j.jamcollsurg.2014.03.049. PMID: 25026871.
  23. Capella J, Smith S, Philp A, Putnam T, Gilbert C, Fry W, et al. Teamwork training improves the clinical care of trauma patients. J Surg Educ. 2010;67(6):439-443. doi:10.1016/j.jsurg.2010.06.006. PMID: 21156305.
  24. Steinemann S, Berg B, Skinner A, DiTulio A, Anzelon K, Terada K, Oliver C, Ho HC, Speck C. In situ, multidisciplinary, simulation-based teamwork training improves early trauma care. J Surg Educ. 2011;68(6):472-477. doi:10.1016/j.jsurg.2011.05.009. PMID: 22000533.
  25. Lashoher A, Schneider EB, Juillard C, Stevens K, Colantuoni E, Berry WR, et al. Implementation of the World Health Organization Trauma Care Checklist Program in 11 centers across multiple economic strata: effect on care process measures. World J Surg. 2017;41(4):954-962. doi:10.1007/s00268-016-3759-8. PMID: 27800590.
  26. Clark RE, Pugh CM, Yates KA, Inaba K, Green DJ, Sullivan ME. The use of cognitive task analysis to improve instructional descriptions of procedures. J Surg Res. 2012;173(1):e37-e42. doi:10.1016/j.jss.2011.09.003. PMID: 22099596.
  27. Mohan D, Fischhoff B, Talisa V, Elmer J, White DB, Angus DC, et al. An educational video game in trauma triage at nontrauma centers: a secondary analysis of a randomized clinical trial. JAMA Netw Open. 2025;8(6):e2513375. doi:10.1001/jamanetworkopen.2025.13375. PMID: 40465299.
  28. 日本外傷診療研究機構. JATECコースの意義と概要. https://www.jtcr-jatec.org/jatec_about.html(2026年9月26日閲覧)
  29. 日本外傷診療研究機構. JATEC(外傷診療研修コース). https://www.jtcr-jatec.org/index_jatec.html(2026年9月26日閲覧)
  30. American College of Surgeons. Advanced Trauma Life Support (ATLS). https://www.facs.org/quality-programs/trauma/education/advanced-trauma-life-support/(2026年9月26日閲覧)
  31. International Association for Trauma Surgery and Intensive Care (IATSIC). DSTC Introduction. https://www.iatsic.org/DSTC-Introduction/(2026年9月26日閲覧)
  32. 日本外傷学会. 外傷専門医像(医師向け文書). https://jast-hp.org/wp-content/themes/jast/libs/img/ishi.pdf(掲載ページ:https://jast-hp.org/specialist/image/。作成日の記載なし。2026年9月25日閲覧)
  33. 日本外傷診療研究機構. トップページ. https://www.jtcr-jatec.org/(2026年9月25日閲覧)
  34. 日本外傷診療研究機構. 2022年7月からJATECコースがリニューアルします. https://www.jtcr-jatec.org/jatec-renewal_220311.pdf(2026年9月25日閲覧)
  35. 日本外傷診療研究機構. JATEC コースに関連する改訂の概要(外傷初期診療ガイドライン改訂第6版). https://www.jtcr-jatec.org/JATEC6th_kaiteigaiyo.pdf(2026年9月25日閲覧)
  36. International Association for Trauma Surgery and Intensive Care (IATSIC). DSTC Courses(Planned DSTC / DATC Courses). https://www.iatsic.org/DSTC-Courses/(2026年9月26日閲覧)
  37. Mashiko K. Trauma systems in Japan: history, present status and future perspectives. J Nippon Med Sch. 2005;72(4):194-202. doi:10.1272/jnms.72.194.
  38. Hondo K, Shiraishi A, Fujie S, Saitoh D, Otomo Y. In-hospital trauma mortality has decreased in Japan possibly due to trauma education. J Am Coll Surg. 2013;217(5):850-857. doi:10.1016/j.jamcollsurg.2013.05.026. PMID: 23993144.
  39. Motomura T, Mashiko K, Matsumoto H, Motomura A, Iwase H, Oda S, et al. Preventable trauma deaths after traffic accidents in Chiba Prefecture, Japan, 2011: problems and solutions. J Nippon Med Sch. 2014;81(5):320-327. doi:10.1272/jnms.81.320.
  40. Iwamura M, Yasuda K, Shimamoto C, Shinyama N, Terada T, Noda T, Nishimura T, Mizobata Y. NoTAM(Non-Technical Skills for Acute Medicine)研修受講前後の看護師のチームワークに対する意識の変化について. 日本臨床救急医学会雑誌. 2019;22(1):27-32. doi:10.11240/jsem.22.27.
  41. 市川元啓, 池上徹則. 市中病院における独自の初期研修医対象の外傷初療トレーニングコースの効果. 日本臨床救急医学会雑誌. 2026;29(4):785-791. doi:10.11240/jsem.29.785.

医学的内容の最終確認日・確認範囲

文献ごとの確認範囲を開く(最終確認日:2026年9月26日)

医学的内容の最終確認日:2026年9月26日(著者確認)。文献照合日:2026年9月26日(日本時間)。文献の検索・照合は2026年9月25〜26日に行った。PubMedの抄録(NCBI BioC、PubTator3)、PMCの公開本文(NCBI BioC)、OpenAlex・Crossref・Semantic Scholarの書誌、出版社・学会・公的機関の公式ページ、J-STAGEを直接開いて確認した。Europe PMCと、一部のCrossref・OpenAlex・Semantic Scholar・NCBIの経路には、接続できない時間帯があった。数値・用量・適用条件を含む医学的内容は、2026年9月26日に著者(医師)が確認した。検索記録は編集部で保管している。

  • 本文を確認:[2](PMCの公開本文。方法と研究の場、エキスパートの構成と結果の検証への協力、8つの課題、DSTCの説明、提案)、[10](PMCの著者原稿。方法、結果の表2・表3、限界、録画の運用)、[20](出版社の公開本文。抄録と尺度の5項目)。
  • 抄録のみ確認:[1] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [11] [12] [15] [16] [17] [18] [19] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [37] [38] [39] [40] [41]。本文中の数値は抄録にある範囲に限った。[1]は本文を取得できなかった(出版社のページは有料で抄録と序論のみ、OpenAlexで非公開の扱い、PMCに収載なし)。そのため枠組みの細目と著者の挙げた限界は扱っていない。[22]の結果の記載は、3つの経路(NCBI BioC、PubTator3、OpenAlex)で照合した。[25]の死亡・合併症の結果は抄録になく、扱っていない。
  • 抄録と書誌のみ(定義は未確認):[13]。状況認識の「知覚・理解・予測」の3段階の定義は抄録になく、本文は取得できなかった。本文ではこの3段階を本稿の整理として示した。
  • 公式情報を確認:[14] [28] [29] [30] [31] [32] [33] [34] [35] [36](日本外傷診療研究機構のページとPDF、日本外傷学会の外傷専門医像の文書、米国外科学会のATLSのページ、IATSICのDSTCのページ)。
  • 未取得:Madani 2018の本文、Endsley 1995の本文、外傷初期診療ガイドライン改訂第6版の本文、Madani 2015(腹腔鏡下胆嚢摘出術の研究。接続の制限で抄録を取得できなかったため本文から外した)。
  • 訂正・撤回:Teixeira 2007とKlein 2010、Endsley 1995はCrossrefで訂正・撤回の登録なし(2026年9月25日確認)。そのほかの文献は、Crossrefへの接続の制限により訂正・撤回の有無を個別には確認できていない。
  • 構成の出発点:最初の版の記事はMadani 2018とSonesson 2018を出発点としており、講演や書籍ではない。念のため第40回日本外傷学会総会・学術集会(2026年6月11〜12日、大宮ソニックシティ)の公式プログラムを確認したが、本稿の主題と題名が一致する演題は見当たらなかった。

更新履歴

更新履歴を開く(全4件・最新:2026年9月26日)
  • 2026年9月26日(著者確認):著者(医師)が数値・用量・適用条件を含む医学的内容を確認した。確認日の表記を更新した。あわせて、確認範囲の記載を読者向けの表現に改め、関連記事と分野の一覧へのリンクを加えた(医学的内容は変えていない)。
  • 2026年9月26日(改訂):9月25日の改訂版の記述を原著・公式資料と1件ずつ照合し直し、全面的に改めた。主な変更は次のとおり。(1)Madani 2018の本文でしか確かめられない記述(観察の期間と施設数、状況認識・意思決定の下位項目、リーダーシップとチームワークの内訳、積極性に関する誤りの例、治療への反応で仮説を確かめる過程など)は、本文を取得できず確認できないため削除し、抄録の範囲に絞った。治療への反応を次の判断の材料とみる考え方は、本稿の整理として示し直した。(2)防ぎ得た外傷死の監査、状況認識と認識主導型意思決定の研究、認知バイアスと熟考の指示の研究、教育用ゲームと判断支援の無作為化試験、チーム訓練の研究と系統的レビュー、T-NOTECHSの信頼性、国内のデータと研修の報告を加え、文献を11件から41件にした。(3)指針の比較表を公式ページの記載に合わせて改め(ATLSの2025年の更新内容、DSTCの説明)、日本外傷学会の外傷専門医像を加え、表中の記載に出典の番号を付けた。本稿で確認できなかった記載(各学会の指針の有無についての記載、DSTCが限られた資源下での戦略的思考を扱うとの記載)は外した。(4)Hughes 2014の研修後の調査の単位を「132人」から「132件」に改めた。(5)Dumas 2020に、著者が挙げた限界と録画の運用を加えた。(6)文献にDOI・PMID・公式ページのリンクを付け、本文で引用していなかった文献をなくした。(7)文献ごとの確認範囲を、本稿で実際に確認した経路に合わせて書き直した。理由:本文を確認できない記述と確認できた記述を分け、読者が主張の根拠をたどれるようにするため。
  • 2026年9月25日(改訂):統一デザインの書式で全面改訂した版を公開し、題名を「外傷外科医の思考 ― Decision Making:エキスパートは何を見て、どう次の一手を決めるのか」に改めた(同版の更新履歴によると、質的研究と患者転帰の研究を分け、指針の比較表、根拠の比較表、「日本で実施するとき」、未解決点、文献ごとの確認範囲を追加)。
  • 2026年9月25日(初回公開):Madani 2018とSonesson 2018を軸に、状況認識・意思決定・チームワークの研究をつないだ解説として公開(13文献)。

本記事は医療従事者への教育および一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。実際の診療では、各施設のプロトコルおよび最新の診療ガイドラインをご確認ください。
利益相反:本記事に関連して開示すべき利益相反はありません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

外科医・救急科専門医。外傷外科、Acute Care Surgery、救急・集中治療領域の診療と研究に従事しています。外傷性凝固障害、出血性ショック、止血蘇生、大量輸血、腹部外傷を中心に、臨床で使えるエビデンスを解説します。

コメント

コメント一覧 (1件)

コメントする

目次