外傷手技
外傷の手技は「やり方」だけでは完結しない。いつやるか → いつやらないか → 手技 → 合併症 → 次のdefinitive treatmentまでを一つの記事でつなぐ実践シリーズを、気道から四肢まで身体の上から順に並べた。初療室で迷ったとき、手術前に手順を確かめたいときの入口にしてほしい。
医療従事者向け:各記事は指針と主要原著を照合し、適応の条件・器具・pitfall・合併症まで整理しています。実施にあたっては指導医・国内指針・施設手順を確認してください。
まず全体像
- 気道:挿管も換気もできないとき、前頸部へ移る判断と手順。
- 胸部:緊急脱気、胸腔ドレーン、蘇生的開胸、心損傷の修復。
- 腹部・骨盤:REBOA、骨盤パッキング、腹腔内パッキング、一時的閉腹、減圧開腹。
- 血管:再建までの時間を稼ぐ一時的血管内シャント。
- 四肢:コンパートメント症候群の診断と筋膜切開。
- 判断の土台:手技を選ぶ前に、DCSの考え方と外傷外科医の思考を押さえる。
1.気道
- 輪状甲状膜切開:CICOで迷わないScalpel–Bougie–Tube
CICOを宣言したら前頸部へ。Scalpel–Bougie–Tubeの器具と手順、pitfall。
2.胸部
Primary SurveyのBで見つける病態から、開胸を要する状況まで。緊急度の高い順に並べた。
- 胸腔ドレーンの手技と緊急脱気:成人外傷の物品・挿入・留置確認
Primary SurveyのBで見つける病態に対する緊急脱気から、胸腔ドレーンの物品、挿入の手順、留置後の確認まで。 - 外傷性気胸・血胸と胸腔ドレーン:入れる判断から残存血胸まで
チューブの太さ、開胸を考える排液量、潜在性気胸、残存血胸、抜去までを根拠から整理する。 - 蘇生的開胸術:適応・器具・左前側方開胸から心膜切開・大動脈遮断まで
適応の条件、器具、左前側方開胸から心膜切開・大動脈遮断までの手順。 - 外傷性心損傷:PericardiotomyとCardiorrhaphy
心膜を開き、指で押さえ、縫う。一時止血から修復までの手順と合併症。
3.腹部・骨盤
止血までの橋渡し、出血源の圧迫、閉じない選択、腹腔内圧の管理。ダメージコントロールの流れに沿って並べた。
- REBOA:適応・Zone選択・大動脈遮断からdefinitive hemostasisまで
止血ではなく、止血への橋渡し。適応、Zone選択、遮断からdefinitive hemostasisまで。 - Preperitoneal Pelvic Packing:骨盤出血をどうパッキングするか
腹膜前腔から骨盤出血を圧迫する、骨盤出血のdamage control。 - Damage Control Packing:4-quadrant packingと汚染制御
4-quadrant packingの手順と汚染制御、パックを外す時期。 - Temporary Abdominal Closure:Open Abdomenを安全に閉じるまで
陰圧閉鎖・筋膜牽引から早期の筋膜閉鎖へ。再手術の間隔、腸管皮膚瘻、栄養まで。 - 腹腔内圧亢進とAbdominal Compartment Syndrome
膀胱内圧の測り方、危険因子、非手術的減圧から減圧開腹の適応まで。
4.血管
- Temporary Intravascular Shunt:四肢血管損傷で虚血時間を短縮する
血流を先に戻し、再建へつなぐ。四肢の虚血時間を短縮するbridge。
5.四肢
- 急性コンパートメント症候群:診断・圧測定から下腿4-compartment fasciotomyまで
serial exam、圧測定、ΔPから筋膜切開の判断へ。下腿4区画の開け方を手術動画とともに。 - 重度四肢外傷と皮弁再建
救命・血流・固定・被覆と機能回復をつなぐ初期対応。
6.判断の土台
手技の優劣より、「今この患者にこの手技をするか」の判断が結果を分ける。手技記事の前後に読む。
- ダメージコントロール手術(DCS)
手術を切り上げる判断と、ICUでの立て直し、再建・閉腹のタイミング。 - 外傷外科医の思考 ― Decision Making
状況認識、優先順位、治療反応から仮説を更新する思考を分解する。 - 動画ライブラリー
外傷開腹、蘇生的開胸、骨盤パッキングなどの公開教材を、記事の解説と対にして見る。 - ダメージコントロール手術のエビデンスヒストリー
救命の段階手術から、適応の再検証へ。手技が生まれた経緯と、使いすぎが問題になった経緯を読む。 - REBOAのエビデンスヒストリー
血圧の回復から、生存利益の検証へ。ほかの歴史はエビデンスヒストリーの一覧から。
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初療室で迷っているなら「気道」「胸部」から、手術室に向かう前なら「腹部・骨盤」「血管」を、翌日以降の四肢の痛みなら「四肢」を開く。各記事は独立して読めるが、手技の前に「判断の土台」を一度通しておくと、適応の条件が頭に残る。初療全体の流れは外傷初期診療、手技後の全身管理は集中治療管理へ。
本ページは医療従事者への教育および一般的な医学情報の提供を目的としています。各記事の文献照合日・確認範囲は記事末に記載しています。
