小児外傷の初期診療は、成人と同じく生命を脅かす出血・気道・呼吸・循環を優先するが、それを実行する器材・用量・バイタルサインの読み方・画像検査の判断を、年齢と体重に合わせて組み直す必要がある。本稿は18歳未満の鈍的外傷を対象に、PECARNの頭部・腹部・頸椎の予測ルールの対象と精度(95%信頼区間)、APSAの肝・脾損傷指針、小児の輸血とトラネキサム酸の根拠、国内の診療体制と搬送の実情を、原著と指針で照合して整理する。
医療従事者向け:本記事は教育および一般的な医学情報の提供を目的としています。個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。
まず押さえる要点
- 体重・器材・役割は到着前に決め、バイタルサインは年齢の基準で読む。日本外傷データバンク(JTDB)の18歳未満3,798例では、ATLSの収縮期血圧の基準は重症外傷に対する感度が12.5%(95%CI 9.5〜16.0%)にとどまった[3]。血圧が保たれていることを、出血がないことの根拠にしない。
- 頭部CTは、PECARNの頭部ルールで「撮らなくてよい子」を見分ける。対象はGCS 14〜15で受傷24時間以内の子どもである。2024年の前向き検証では、臨床的に重要な頭部外傷に対する感度は2歳未満100%(95%CI 93.1〜100%)、2歳以上98.8%(同95.8〜99.9%)で[10]、豪州・ニュージーランドの外部検証でも高かった[11]。
- 腹部と頸椎のルールも「陰性なら画像を減らせる」道具で、見逃しはゼロではない。腹部ルールは2024年の検証で、治療介入を要した腹腔内損傷145例をすべて拾った(感度100%、95%CI 98.0〜100%)[10]。頸椎ルールは検証群で感度94.3%(同90.7〜97.9%)、特異度60.4%だった[14]。2026年の年齢別解析は同じ集団の再解析で、独立した外部検証ではない[15]。
- 出血には早く血液製剤を。ただし小児の製剤比・全血・トラネキサム酸(TXA)の根拠は観察研究が中心である。JATEC改訂第6版は小児の初期輸液を20 mL/kgとし、循環が明らかに破綻していれば初期輸液の反応を待たずに止血と大量輸血プロトコルを発動するとした[2]。国内の重症小児336例では、新鮮凍結血漿と赤血球の比が1以上の群で院内死亡が少なかったが、施設差を考慮した解析では有意差が消えた[5]。
- 国内では小児専用の外傷センター体制は確立していない。自施設の限界を早く見極める。国内の研究者は、小児外傷センターのような小児に特化した体制はまだなく、多くの外傷患者が最寄りの三次救急医療施設に搬送されていると述べている[25]。JTDBでは夜間の来院が死亡オッズの上昇と関連した(調整OR 1.35、95%CI 1.09〜1.68)[26]。検査がすべて終わるのを待たずに、搬送先との調整を始める。
対象と扱わない範囲
対象:18歳未満の鈍的外傷で、到着前の準備から、初期の蘇生、画像検査の選択、初期の輸血、搬送の判断までを扱う。引用する予測ルールの研究の多くは、米国の小児救急部門で行われたものである。
扱わない範囲:
- 穿通性外傷、熱傷、溺水、新生児。本稿の予測ルールは穿通性外傷を対象にしていない。
- 頭蓋内圧管理など小児集中治療の詳細、脊髄損傷の治療(成人は急性脊髄損傷の初期診療と集中治療を参照)、麻酔導入の薬剤選択(外傷麻酔を参照)。
- 虐待の評価・通告の手順の詳細。本稿では、初療で虐待を疑う契機だけを扱う。
1.到着前の準備:体重・器材・役割
指針メルボルン王立小児病院(RCH)の小児外傷の一次評価の指針(2022年1月更新)は、到着前に外傷チームを起動し、放射線技師や輸血部門にも知らせること、予想される損傷を口頭でまとめて共有すること、体重を推定し、年齢・体重に合った薬剤量と器材を準備することを求めている[1]。
本稿の解釈到着前のブリーフィングでは、次の項目を声に出して確認するとよい。
- 体重:「○kg、実測・保護者の申告・推定のどれか」。推定値は推定と明記し、到着後に実測や申告で置き換える。
- 薬剤:mg/kg、上限量、実際のmg、手元の製剤の濃度、投与するmL。少量投与では、成人用の濃度のままでは誤差が大きくなる。
- 気道・循環:年齢に合ったマスク・気管チューブ・吸引、代替の気道器具、静脈路と骨髄路、輸血の払い出しまでの手順。
- 役割と搬送:リーダー、気道、処置、薬剤、記録、家族対応の担当と、小児外科・脳神経外科・小児集中治療室(PICU)など必要な機能をもつ受け入れ先。
頭部が相対的に大きい乳幼児では、仰臥位で頸部が屈曲しやすい。RCHの指針は、8歳未満では肩甲骨の下にタオルや胸部を持ち上げる器具を入れて中間位を得るとしている[1]。
2.バイタルサインは年齢の基準で読む
研究結果JTDBの2019〜2022年の18歳未満3,798例を用いた多施設後ろ向き研究では、救急外来で最初に測ったバイタルサインについて、PALS(小児二次救命処置)の基準、ATLSの基準、データから求めた基準を比べた。重症外傷(損傷重症度が高く、死亡・輸血・ICU入室・人工呼吸・手術または血管内治療のいずれかを要したもの)は417例(11.0%)だった[3]。
- 心拍数:どの基準も感度42.2〜45.3%、特異度75.4〜79.2%で同程度だった。
- 収縮期血圧:PALSの基準は感度68.2%(95%CI 63.5〜72.7%)・特異度42.5%(同37.4〜47.1%)、ATLSの基準は感度12.5%(同9.5〜16.0%)・特異度98.3%(同97.8〜98.7%)だった。
- 多変量モデルのAUC:PALS 0.65、データから求めた基準 0.68、ATLS 0.63。
本稿の解釈ATLSの血圧基準は特異度が高い一方、感度12.5%は、重症外傷の子の約9割がこの基準では低血圧と判定されなかったことを意味する。どの基準も単独では見逃しと過剰判定の両方が起こるため、意識、末梢循環、呼吸の様子、経時的な変化、輸液や輸血への反応を合わせて評価する。頻脈を痛みや不安だけで説明しないことも同じ理由による。
3.出血への対応:初期輸液、血液製剤、TXA
指針数値は指針によって違う。JATEC改訂第6版は、初期輸液の量を成人1 L、小児20 mL/kgに変更し、循環が明らかに破綻している場合は初期輸液による反応をみるまでもなく、蘇生的な止血術と大量輸血プロトコルを発動することを強調した[2]。RCHの指針は、循環が不十分なら生理食塩液10 mL/kgを投与し、目に見える出血が続くか体内の出血が疑われれば、赤血球製剤10 mL/kgを投与し、必要なら大量輸血プロトコルを起動するとしている[1]。
本稿の解釈初期輸液の量は、JATECの20 mL/kgとRCHの10 mL/kgで異なる。自施設でどちらを採るかを事前に決め、赤血球製剤や血漿を何mL/kg単位で払い出すかを輸血部門と合わせておく。
指針2023年に公表された小児外傷性出血性ショックの合意会議の推奨は、血液製剤と輸液、病院前の血液製剤、止血補助薬、ターニケット、病院前の気道と血圧、通常の凝固検査と粘弾性検査の6領域で21の声明をまとめたが、そのうち臨床推奨は2つで、14は専門家の合意、5は良い診療の声明だった[4]。小児では、推奨の多くが専門家の合意に頼っていることを示している。
- 研究結果製剤の比(国内):JTDBの2019〜2023年、18歳未満で損傷重症度スコア(ISS)16以上の336例(新鮮凍結血漿:赤血球比が1以上の群284例)を傾向スコアで重み付けした解析では、比が1以上の群で院内死亡が少なかった(調整OR 0.47、95%CI 0.28〜0.78)。しかし施設内のまとまりを考慮した感度分析では有意差がなくなった(調整OR 0.67、95%CI 0.29〜1.53)。著者らは、施設単位の交絡の可能性から慎重な解釈を求めている[5]。
- 研究結果低力価O型全血(米国):小児のレベルI外傷センター1施設の前向き観察研究で、入院後24時間に40 mL/kgを超える輸血を受けた1〜17歳の80例のうち、27例(33%)が低力価O型全血を受けた。年齢、24時間の総輸血量、来院時の塩基欠乏、INR、ISSで調整すると、全血群は72時間(調整OR 0.23、p=0.009)と28日(同0.41、p=0.02)の生存の改善と関連したが、6時間では有意差はなかった[6]。単施設の80例で、抄録に信頼区間はない。国内で低力価O型全血を小児外傷に使える供給体制は、本稿では未確認である。
- 研究結果TXA:PED-TRAXは、アフガニスタンのNATO病院で2008〜2012年に入院した18歳以下の外傷766例の後ろ向き研究で、66例(9%)がTXAを受けた。TXAは死亡の減少と独立に関連した(OR 0.3、p=0.03、抄録に信頼区間なし)。血栓塞栓症などの合併症に有意差はなかった[7]。戦傷の集団であり、平時の小児外傷にそのまま当てはめられるかは分からない。
指針RCHの指針は、出血が疑われ循環が不安定な場合にTXA 15 mg/kgを投与するとしている[1]。一方、国内のトランサミン注の電子添文(2023年1月改訂)には、効能・効果に「外傷」の文言がなく、用量は成人の量と「年齢、症状により適宜増減する」の記載で、小児の用量は示されていない[8]。小児外傷にTXAを使うなら、効能・効果の記載との関係と用量を施設で確認し、手順に書いておく。
用量の扱い:本節の数値(初期輸液20 mL/kg、生理食塩液10 mL/kg、赤血球製剤10 mL/kg、TXA 15 mg/kg)は各出典の記載をそのまま示したもので、本稿が推奨する用量ではない。RCHの該当ページには、TXAの上限量や受傷からの投与時期の記載はない。実際の投与量と適否は、施設の指針と担当医の判断で決める。
頭部外傷を伴う子どもでは、RCHの指針は二次性脳損傷を避けるために、十分な酸素化の維持、低血圧の是正、頭部挙上30度、低血糖の是正を挙げている[1]。成人の出血性ショックで議論される許容低血圧の目標を、小児、とくに頭部外傷合併例に当てはめる根拠は、本稿の確認範囲にはなかった。RCHの指針は、露出を必要な範囲にとどめ、投与する輸液をすべて加温して低体温を避けることも求めている[1]。
4.頭部CT:PECARNの頭部ルール
研究結果Kuppermannら(2009)は、北米25施設で、受傷24時間以内に受診したGCS 14〜15の18歳未満42,412例を登録し、年齢別の予測ルールを導出・検証した。臨床的に重要な頭部外傷(ciTBI:頭部外傷による死亡、脳神経外科手術、24時間を超える挿管、2泊以上の入院)は376例(0.9%)、脳神経外科手術は60例(0.1%)だった[9]。
- 2歳未満のルール:意識状態が正常、前頭部以外の頭皮血腫がない、意識消失がないか5秒未満、重症の受傷機転でない、触知できる頭蓋骨骨折がない、保護者からみて普段どおり。検証群で陰性的中率100%(1,176/1,176、95%CI 99.7〜100%)、感度100%(25/25、同86.3〜100%)[9]。
- 2歳以上のルール:意識状態が正常、意識消失がない、嘔吐がない、重症の受傷機転でない、頭蓋底骨折の徴候がない、強い頭痛がない。検証群で陰性的中率99.95%(3,798/3,800、同99.81〜99.99%)、感度96.8%(61/63、同89.0〜99.6%)。どちらのルールも、検証群で脳神経外科手術の例を見逃さなかった[9]。
その後、二つの検証が加わった。豪州・ニュージーランドの10施設で頭部外傷の20,137例を前向きに調べた研究では、PECARNの感度は2歳未満100%(38/38、95%CI 90.7〜100%)、2歳以上99.0%(97/98、同94.4〜100%)で、点推定ではCATCH、CHALICEより高かった[11]。米国6施設の2024年の前向き検証(2016〜2021年、頭部外傷19,999例)では、2歳未満で感度100%(42/42、同93.1〜100%)、2歳以上で感度98.8%(168/170、同95.8〜99.9%)で、見逃された2例は経過観察の入院で、脳神経外科手術は要さなかった[10]。ACS TQIPの画像検査の指針(2018年)も、小児の頭部CTの適応はPECARNに従うべきとしている[12]。
本稿の解釈ルールは「CTが不要なほどリスクが低い子」を見分けるためのもので、ルールに当てはまらない子の全員にCTを求めるものではない。特異度は、本稿で確認した抄録には示されていない。適用できるのはGCS 14〜15、受傷24時間以内の鈍的外傷で、2024年の検証は妊娠、穿通性外傷、検査を妨げる神経疾患、転院前にCT・MRIを受けた子、虐待が強く疑われる子を除外している[10]。
国内では、2022年4月〜2023年3月の外来レセプトの解析で、6歳未満の軽症頭部外傷に対するCTは年間15,066件、その検査理由の66.7%が「家族等の希望」だった[13]。ルールの結果を家族と共有し、帰宅後に再受診すべき症状を具体的に伝えることが、不要なCTを減らす手がかりになる(本稿の解釈)。
5.頸椎画像:PECARN 2024と年齢別の検討
研究結果Leonardら(2024)は、PECARNの18施設で2018年12月〜2021年12月に、鈍的外傷(既知または疑い)で、受傷現場から救急隊で搬送された、外傷チームの評価を受けた、または頸椎の画像検査を受けた18歳未満22,430例を前向きに登録した。頸椎損傷(骨折・靱帯損傷、脊柱管内出血・椎骨動脈損傷、頸髄損傷)は433例(1.9%)で、判定は小児脳神経外科医が行い、21〜28日後の診療録確認と保護者への連絡で追跡した。導出群と検証群はそれぞれ別の9施設で登録された。登録期間は導出群が2018年12月〜2021年10月、検証群が2019年2月〜2021年12月で、大半が重なる[14]。
- 高リスク因子(CTへ):GCS 3〜8またはAVPUのU、気道・呼吸・循環の異常、局所神経症状(感覚異常・しびれ・脱力)。導出群でいずれかがある928例の12.7%に頸椎損傷があった。
- その他の因子(単純X線へ):頸部痛、意識の変容(GCS 9〜14、AVPUのVまたはPなど)、体幹の重大な損傷、頭部の重大な損傷、後頸部正中の圧痛。
- 検証群の成績:感度94.3%(150/159、95%CI 90.7〜97.9%)、特異度60.4%(同59.4〜61.3%)、陰性的中率99.9%(6,287/6,296、同99.8〜100%)。導出群の感度は92.7%(同89.6〜95.8%)だった(導出群の感度と次項の単純X線の値は、PubMed Centralの著者原稿の表による。2024年11月に出た訂正の内容は未確認)。
- 画像検査の推計:このアルゴリズムに従えば、CTは17.2%から6.9%に、単純X線は39.7%から34.2%に減ると推計された。実装後の効果を測ったものではない[14]。
著者らは限界として、小児専門の救急部門での研究で地域の一般救急外来に一般化できない可能性、転院例の組み入れによるスペクトラムバイアス、画像結果を知る前に所見を記録できなかった例があることを挙げ、一般救急外来での実装方法の検討が必要としている[14]。
研究結果Corwinら(2026)は、同じ22,430例を事前に計画した二次解析で4つの年齢群に分けた。ルールの感度は2歳未満94.4%(51/54、95%CI 88.3〜100%)、2〜7歳91.7%(同86.8〜96.6%)、8〜15歳93.9%(同90.6〜97.3%)、16〜17歳93.3%(同87.0〜99.6%)で、特異度は72.3%から44.6%へ年齢とともに下がった。年齢別に作り直したルールも感度88.4〜97.5%で、明らかな改善はなかった[15]。
この解析は導出群と検証群を合わせた同じ集団で行われており、新しい集団での外部検証ではない。著者ら自身、全例が三次の小児専門施設の登録であること、年齢群ごとの検出力が不足している可能性を限界に挙げ、地域の救急外来での年齢別の検証を今後の課題としている[15]。2歳未満の頸椎損傷は54例と少なく、信頼区間の下限は88.3%である。
指針ACS TQIPの指針(2018年)は、信頼できる診察で症状のない子は頸椎の画像検査なしで除外できるとし、成人向けのNEXUSやカナダ頸椎ルール(CCR)は10歳以下では感度・特異度が十分でないとしている[12]。
本稿の解釈言葉で痛みを訴えられない乳幼児や、発達特性のある子では、評価できた項目とできなかった項目を分けて記録する。「訴えがない」ことと「確かめて陰性だった」ことは別である。
6.腹部:PECARNの腹部ルールとFAST
研究結果腹部ルールは、20施設の鈍的体幹外傷12,044例から導出された。腹腔内損傷は761例(6.3%)、そのうち治療介入(治療的開腹、血管塞栓、腹部出血への輸血、膵・消化管損傷への2夜以上の輸液)を要したのは203例だった。ルールは、腹壁外傷やシートベルト痕がない、GCS 14以上(原文は13超)、腹部圧痛がない、胸壁外傷がない、腹痛の訴えがない、呼吸音の減弱がない、嘔吐がない、の7項目で、陰性的中率99.9%(95%CI 99.7〜100%)、感度97%(同94〜99%)、特異度42.5%(同41.6〜43.4%)だった[16]。
2024年の前向き検証(米国6施設、腹部外傷7,542例)では、介入を要した腹腔内損傷145例すべてでルールが陽性で(感度100%、95%CI 98.0〜100%)、ルール陰性の3,488例に介入を要する損傷はなかった(陰性的中率100%、同99.9〜100%)[10]。CTは担当医の判断で撮られ、ルールの項目は画像結果を見る前に記録された。
研究結果FASTについては、循環の安定した18歳未満の鈍的体幹外傷925例を、救急医によるFASTを加える群と通常の評価だけの群に無作為に割り付けた単施設の試験がある。腹部CTの施行率は52.4%対54.6%(差−2.2%、95%CI −8.7〜4.2%)、救急外来の滞在時間、医療費にも有意差はなく、見逃しはFAST群の1例だった[17]。この試験は、循環の安定した子でFASTがCTの削減や転帰の改善に結びつくことを示せなかった。循環が不安定な子でのFASTの価値を評価したものではない。
指針RCHの指針も、小児外傷ではeFASTの役割は限られるとしている[1]。
本稿の解釈FAST陰性やルール陰性は「今は腹部CTを急がなくてよい可能性が高い」という情報であり、腸管損傷などを否定するものではない。痛みや腹部所見が変われば再評価する。逆に、循環が不安定な子では、ルールや画像検査より止血の判断を優先する。腸管損傷の見つけ方は腸管・腸間膜損傷の記事も参照。
7.被ばくと全身CT
研究結果英国で1985〜2002年に22歳未満でCTを受けた約18万人の後ろ向きコホートでは、累積線量が30 mGy以上の群の白血病の相対リスクは5 mGy未満の群の3.18倍(95%CI 1.46〜6.94)、50〜74 mGyの群の脳腫瘍は2.82倍(同1.33〜6.03)だった。著者らは、10歳未満の頭部CT 1万回あたり、最初の検査から10年間に白血病と脳腫瘍がそれぞれ約1例増えると推定した[18]。絶対リスクは小さいが、ゼロではない。
国内では、JTDBの15歳未満の自動車乗員を2004〜2007年(94例)と2017〜2019年(203例)で比べた研究で、後期に全身CTを受けた割合が有意に高かった一方、体幹・四肢の損傷の重症度に有意な差はなかった[19]。小規模な比較だが、国内でも小児の全身CTが増えていることを示す。
本稿の解釈小児の全身CTが転帰を改善するかを直接比べた質の高い研究は、本稿の確認範囲にはなかった。被ばくを理由に適応のあるCTを取り上げることはしないが、頭部・頸椎・腹部はそれぞれ別の問いであり、頸椎のルールを頭部や腹部の判断に流用しない。撮る場合は小児用の撮影条件を使えるかを確認する。
8.肝・脾損傷:APSA 2023と診療のばらつき
指針米国小児外科学会(APSA)の2023年の改訂指針は、入院・処置・退院・退院後の4部で構成される。ICU入室は蘇生後のバイタルサインの異常で決め、安定した子は制限の少ない一般病棟に入院させる。輸血は低いヘモグロビン値または持続出血の徴候で行い、血管塞栓と手術は蘇生後も出血の臨床徴候が続く子に限る。退院は損傷のgradeではなく臨床状態で決め、活動制限は従来どおりとし、再画像は症状のある子に限る。根拠のレベルは5(文献の検討と専門家の合意)である[20]。
研究結果2019年の改訂APSA指針以後の診療を、米国ACS TQIPの2020〜2023年のデータで調べた研究では、肝・脾の鈍的損傷をもつ18歳以下13,788例の97%が血管内治療なしで管理され、診断的血管造影のみが1.6%、塞栓が1.5%だった。輸血を要したのは塞栓群85%、血管内治療なしの群18%で、塞栓を行わなかった血管造影のみの群では47%だった。塞栓の割合は成人の外傷センター2.0%、成人・小児の両方を扱う施設1.7%、小児の外傷センター0.8%で異なり、塞栓は脾摘のオッズの低下と独立には関連しなかった[21]。
国内のJTDB(2004〜2018年)の小児の単独の高度脾損傷(AIS 3以上)230例では、保存的管理68%、保存的管理と脾動脈塞栓27%、手術5.2%で、死亡はなく、脾温存率は97%だった[22]。対象が高度脾損傷に限られるため、米国のデータと塞栓の割合を単純には比べられない。塞栓の適応を画像所見で決めるか、循環で決めるかは施設で差が出やすい点である(本稿の解釈)。成人の脾損傷の塞栓と退院後の管理は脾損傷の非手術治療と塞栓術を参照。
9.搬送:自施設の対応範囲を早く見極める
研究結果米国11州759病院の2012〜2021年のデータ(救急外来から入院・転院・死亡に至った0〜17歳の2,416,030例、うち外傷337,167例)では、救急外来の小児対応準備(pediatric readiness)を失った病院と、一度も高い水準になかった病院で、超過死亡がそれぞれ1,727例(95%CI 751〜2,646)、3,776例(同2,327〜5,143)と推計された。小児の入院機能を失った病院と持たない病院でも超過死亡が推計され、著者らは両者が独立に超過死亡と関連したと結論している[23]。外傷の子どもだけの効果量は抄録では確認できない。観察研究であり、病院の体制以外の地域差が残る可能性がある(本稿の解釈)。
指針RCHの指針は、重症外傷の子はすべて、確定的治療のために重症外傷を扱う施設(major trauma service)へ転送すべきとしている[1]。
本稿の解釈小児外科手術、脳神経外科治療、小児の集中治療を自施設で続けられない可能性があれば、生命を脅かす問題への介入と並行して受け入れ先に連絡し、移動中の気道・循環・輸血を相談する。すべての診断がそろうまで搬送の調整を始めない運用は、確定的治療を遅らせる。
10.子どもと家族、虐待を疑う契機
家族は普段の反応、発達、内服、アレルギー、受傷前後の変化を知っている。説明役を決め、子どもには年齢に応じた短い言葉でこれから行うことを伝える。
指針米国東部外傷外科学会(EAST)の指針(2020年)は、1980〜2020年の文献の系統的レビューにもとづき、3歳未満の肋骨骨折と、18か月未満の上腕骨・大腿骨骨折では、虐待の専門チームへの相談を含む評価をルーチンに行うことを強く推奨している。3歳未満の肋骨骨折の77%が虐待によるもので、交通事故を除くと96%だった[24]。受傷の説明と損傷・発達段階が合わないときも評価の契機になる。断定や対立を避け、子どもの安全を優先し、院内の専門チームと連携して事実を記録する。
根拠の比較表
表はスマートフォンでは横にスクロールして読む。感度・特異度は、それぞれの研究が定めた転帰(ciTBI、介入を要する腹腔内損傷、頸椎損傷)に対する値である。
| 出典(年) | デザイン | 対象 | 評価したもの | 主な結果(95%CI) | 限界と診療への意味 |
|---|---|---|---|---|---|
| Kuppermann(2009)[9] | 前向き多施設(導出・検証) | 北米25施設、GCS 14〜15、受傷24時間以内の18歳未満42,412例 | PECARN頭部ルール(2歳未満・2歳以上) | 検証群の感度:2歳未満100%(86.3〜100)、2歳以上96.8%(89.0〜99.6)。陰性的中率はともに99.9%以上 | 特異度は抄録になし。2歳未満の検証群のciTBIは25例と少ない |
| Babl(2017)[11] | 前向き多施設(外部検証) | 豪州・NZの10施設、頭部外傷20,137例 | PECARN・CATCH・CHALICE | PECARNの感度:2歳未満100%(90.7〜100)、2歳以上99.0%(94.4〜100) | 北米以外での検証。値は各ルールのpoint validationの感度。特異度は抄録になし |
| Holmes(2024)[10] | 前向き多施設(検証) | 米国6施設、腹部外傷7,542例、頭部外傷19,999例 | PECARN腹部ルール・頭部ルール | 腹部:感度100%(98.0〜100)、陰性的中率100%(99.9〜100)。頭部:感度 2歳未満100%(93.1〜100)、2歳以上98.8%(95.8〜99.9) | 特異度は抄録になし。虐待が強く疑われる例、転院前に画像を受けた例を除外 |
| Holmes(2013)[16] | 前向き多施設(導出) | 20施設、鈍的体幹外傷12,044例 | PECARN腹部ルール | 感度97%(94〜99)、特異度42.5%(41.6〜43.4)、陰性的中率99.9%(99.7〜100) | 特異度は低く、陽性でもCTが必要とは限らない |
| Holmes(2017)[17] | 無作為化試験(単施設) | 循環の安定した鈍的体幹外傷925例 | FAST追加対通常の評価 | 腹部CT 52.4%対54.6%(差−2.2%、−8.7〜4.2) | 循環の安定した子で利益を示せず。不安定例は対象外 |
| Leonard(2024)[14] | 前向き多施設(導出・検証) | PECARN 18施設、22,430例(頸椎損傷433例) | PECARN頸椎ルール | 検証群:感度94.3%(90.7〜97.9)、特異度60.4%(59.4〜61.3)、陰性的中率99.9%(99.8〜100) | 小児専門施設のみ。CT削減は推計で、実装の効果は未検証 |
| Corwin(2026)[15] | 同コホートの計画された二次解析 | 同上の22,430例を4つの年齢群に分割 | 年齢別の成績、年齢別ルール | 感度91.7%(2〜7歳、86.8〜96.6)〜94.4%(2歳未満、88.3〜100)。特異度は2歳未満72.3%から16〜17歳44.6%へ低下 | 外部検証ではない。年齢群ごとの検出力不足の可能性 |
| APSA(2023)[20] | 指針(文献の検討と合意、根拠レベル5) | 小児の鈍的肝・脾損傷 | 入院・処置・退院・退院後の管理 | ICU入室・塞栓・手術は臨床所見で、退院はgradeでなく臨床状態で決める | 比較試験にもとづく推奨ではない |
| Fadl(2026)[21] | 後ろ向き(ACS TQIP 2020〜2023年) | 18歳以下の肝・脾の鈍的損傷13,788例 | 血管造影・塞栓の使用 | 塞栓1.5%。施設別に成人2.0%、両方1.7%、小児0.8% | 登録データで適応の妥当性は判断できない |
| JTDBの製剤比の研究(2026)[5] | 後ろ向き(JTDB 2019〜2023年) | 18歳未満、ISS 16以上の336例 | FFP:RBC比1以上対1未満 | 院内死亡の調整OR 0.47(0.28〜0.78)。感度分析0.67(0.29〜1.53) | 施設単位の交絡の可能性。感度分析で有意差なし |
| Gaines(2023)[6] | 前向き観察(単施設) | 入院後24時間に40 mL/kg超を輸血された1〜17歳80例 | 低力価O型全血を含む蘇生対成分輸血 | 72時間の調整OR 0.23(p=0.009)、28日0.41(p=0.02) | 抄録にCIなし。例数が少ない |
| PED-TRAX(2014)[7] | 後ろ向き(戦地の病院) | 18歳以下の外傷766例(TXA 66例) | TXAの有無 | 死亡のOR 0.3(p=0.03) | 抄録にCIなし。戦傷で平時への一般化は不明 |
| Shinohara(2025)[3] | 後ろ向き多施設(JTDB 2019〜2022年) | 18歳未満3,798例 | PALS・ATLS・データ由来のバイタル基準 | 収縮期血圧:ATLSの感度12.5%(9.5〜16.0)、PALS 68.2%(63.5〜72.7) | 最初の測定値のみ。経時変化は評価していない |
| Newgard(2026)[23] | 後ろ向きコホート | 米国759病院の0〜17歳2,416,030例(外傷337,167例) | 小児対応準備と入院機能の変化 | 準備を失った病院で超過死亡1,727例(751〜2,646) | 観察研究。外傷だけの効果量は抄録で確認できず |
評価時点について:頸椎ルールの研究は、21〜28日後の診療録の確認と保護者への連絡で見逃しを確かめている[14]。頭部・腹部ルールの研究での追跡の方法と期間は、本稿で確認した抄録には書かれていない。輸血の研究の転帰は院内死亡[5]、72時間と28日の生存[6]で、PED-TRAXの抄録には死亡の評価時点の記載がない[7]。
日本で実施するとき
国内の指針
- JATEC:日本外傷診療研究機構が公開する改訂第6版の改訂概要では、小児に関する変更として初期輸液の量(20 mL/kg)が挙げられている[2]。小児外傷の章の本文(気道、画像検査の適応、搬送の基準など)は取得できず未確認である。
- 小児の頭部CT・頸椎・腹部の国内指針:日本小児救急医学会など国内学会が小児外傷の画像検査や搬送について示した指針・提言は、本稿の検索では見つからず未確認である。
- 臓器損傷の分類:国内では日本外傷学会臓器損傷分類2008で損傷を記載することがあるが、APSAは入院・退院を損傷gradeで決めない方針である[20]。どちらの分類で記載しても、方針は循環と臨床経過で決める(本稿の解釈)。両分類の対応は本稿では扱わない。
国内の診療体制と搬送の実情
- 集約されていない:JTDBの2014〜2018年のISS 16以上53,088例のうち18歳未満は2,889例(5.4%)で、解析の対象は176施設だった。著者らは、小児外傷センターのような小児に特化した外傷診療体制はまだ確立しておらず、多くの外傷患者が最寄りの三次救急医療施設に搬送されると述べている。重症外傷を年150例以上受け入れる13施設では、小児の標準化死亡比がいずれも1未満だったが、症例数の多い施設群と少ない施設群の差は有意でなかった[25]。
- 重症頭部外傷:2010〜2018年の小児の重症頭部外傷(GCS 9未満かつ頭部AIS 3以上)1,148例(年齢中央値12歳)は、141施設で治療されていた。施設の症例数と院内死亡の関連は有意でなかった(多い施設の調整OR 1.15、95%CI 0.80〜1.64)[27]。信頼区間は広く、症例数が転帰に影響しないことを示したものではない。
- 時間帯:2004〜2019年の18歳未満、ISS 16以上の6,562例では、夜間(17時〜翌9時前)の来院で死亡のオッズが高かった(調整OR 1.35、95%CI 1.09〜1.68)。週末・祝日の来院では有意差はなかった(調整OR 0.95、同0.79〜1.13)[26]。
- 病院前:JTDBの18歳以下14,535例で、救急隊の現場滞在時間の中央値は13分(四分位範囲9〜18分)だった。自殺企図、暴力、脊椎や四肢の重い損傷、頸椎カラーやバックボードによる固定、知的障害の併存が長い滞在と関連した[28]。東京都の東京ルール(5医療機関への照会または20分以上を要しても搬送先が決まらない中等症以下の事案)の2009〜2010年の検討では、15歳未満で該当したのは0.2%と少なかったが、その80.4%は外傷で(該当224件の79%が骨折・打撲・挫創)、土日祝日と準夜帯に多かった[29]。中等症以下の事案の検討であり、重症外傷の搬送先選定を直接示すものではない(本稿の解釈)。
- 小児救命救急センター:国の小児救命救急センターの指定数と要件、外傷の受け入れ実績は、本稿では公式資料を取得できず未確認である。
- 保険:小児の外傷の初期診療や転院搬送にかかわる診療報酬上の扱いは、本稿では確認しておらず未確認である。
薬剤と製剤
トラネキサム酸注射液(トランサミン注)の電子添文には、効能・効果に「外傷」の文言がなく、小児の用量の記載もない[8]。小児の用量を施設の手順に書く場合は、根拠とした指針(例:RCHの15 mg/kg[1])と、効能・効果の記載との関係についての施設の判断を併記する。大量輸血プロトコルの小児版(体重あたりの製剤量、払い出しの単位、加温)は、輸血部門と事前に決める。
施設で確認しておくこと
- 夜間・休日を含め、小児の気道管理、輸血、CTの撮影条件、読影、小児外科・脳神経外科への相談がどこまで自施設でできるか。
- 画像検査の判断にPECARNのルールを使うなら、ルールごとの対象(頭部ルールはGCS 14〜15・受傷24時間以内)と、検証研究で除外された条件(穿通性外傷、虐待が強く疑われる例、転院前に画像検査を受けた例など)を手順に明記する。
- 転送が必要なときの連絡先と、移動中の輸血・気道管理を誰が担うか。
- 虐待を疑ったときの院内の相談先と記録の方法。
まだ分からないこと
- PECARNのルールは地域の一般救急外来や日本で同じ性能を示すか。頸椎ルールの検証は、本稿の確認範囲では小児専門施設のデータに限られ、著者らも一般救急外来での実装方法を課題としている[14][15]。国内での検証研究は本稿の確認範囲にはない。
- 小児の最適な製剤比、全血、TXAの効果。いずれも観察研究が中心で、小児外傷の無作為化試験の結果は本稿の確認範囲にない。
- 小児の全身CTが転帰を改善するか。被ばくの害は推定されている一方[18]、全身CTの利益を小児で直接比べた研究は確認できなかった。
- 国内の体制。小児外傷を集約すべきか、どの施設に搬送すべきかを示す国内の基準は確認できなかった。
関連記事
- 脾損傷の非手術治療と塞栓術:止血から仮性動脈瘤・退院後まで
- 鈍的頸部血管損傷(BCVI):脳梗塞の前に見つけ、抗血栓治療へつなぐ
- 急性脊髄損傷の初期診療と集中治療:血圧・手術時期・ステロイドを考え直す
- 外傷麻酔の実践:出血性ショックの導入から止血までをエビデンスで考える
- 妊産婦外傷の初期対応:母体蘇生・胎児評価・蘇生的分娩を2025年指針で整理する
- 分野の一覧:外傷初期診療|Primary Surveyから手術・IVRまでの実践ガイド
文献
- The Royal Children’s Hospital Melbourne. Clinical Practice Guidelines: Trauma – primary survey. Last updated January 2022. https://www.rch.org.au/clinicalguide/guideline_index/Major_paediatric_trauma_The_primary_survey/(2026年9月24日閲覧).
- 日本外傷診療研究機構. JATEC コースに関連する改訂の概要(外傷初期診療ガイドライン改訂第6版). https://www.jtcr-jatec.org/JATEC6th_kaiteigaiyo.pdf(2026年9月24日閲覧).
- Shinohara M, Abe T, Gorski JK, et al. Evaluating age-based vital sign cutoffs for pediatric trauma: a multicenter evaluation of the Japanese trauma data bank. Eur J Trauma Emerg Surg. 2025;51(1):323. doi:10.1007/s00068-025-02985-6. PMID: 41148333.
- Russell RT, Esparaz JR, Beckwith MA, et al. Pediatric traumatic hemorrhagic shock consensus conference recommendations. J Trauma Acute Care Surg. 2023;94(1S Suppl 1):S2-S10. doi:10.1097/TA.0000000000003805. PMID: 36245074.
- Utsumi S, Ohki S, Ishii J, Shime N. Association between the fresh frozen plasma-to-red blood cell ratio and mortality in pediatric severe trauma. J Trauma Acute Care Surg. 2026(2026年6月24日オンライン公開、巻号未定). doi:10.1097/TA.0000000000005095. PMID: 42335301.
- Gaines BA, Yazer MH, Triulzi DJ, et al. Low titer group O whole blood in injured children requiring massive transfusion. Ann Surg. 2023;277(4):e919-e924. doi:10.1097/SLA.0000000000005251. PMID: 35129530.
- Eckert MJ, Wertin TM, Tyner SD, et al. Tranexamic acid administration to pediatric trauma patients in a combat setting: the pediatric trauma and tranexamic acid study (PED-TRAX). J Trauma Acute Care Surg. 2014;77(6):852-858. doi:10.1097/TA.0000000000000443. PMID: 25423534.
- 第一三共株式会社. トランサミン注5%・トランサミン注10% 電子添文(2023年1月改訂 第1版). KEGG MEDICUS掲載. https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00048970(2026年9月24日閲覧).
- Kuppermann N, Holmes JF, Dayan PS, et al. Identification of children at very low risk of clinically-important brain injuries after head trauma: a prospective cohort study. Lancet. 2009;374(9696):1160-1170. doi:10.1016/S0140-6736(09)61558-0. PMID: 19758692.
- Holmes JF, Yen K, Ugalde IT, et al. PECARN prediction rules for CT imaging of children presenting to the emergency department with blunt abdominal or minor head trauma: a multicentre prospective validation study. Lancet Child Adolesc Health. 2024;8(5):339-347. doi:10.1016/S2352-4642(24)00029-4. PMID: 38609287. PMCID: PMC13525905.
- Babl FE, Borland ML, Phillips N, et al. Accuracy of PECARN, CATCH, and CHALICE head injury decision rules in children: a prospective cohort study. Lancet. 2017;389(10087):2393-2402. doi:10.1016/S0140-6736(17)30555-X. PMID: 28410792.
- American College of Surgeons Trauma Quality Improvement Program. ACS TQIP Best Practices Guidelines in Imaging. October 2018. https://www.facs.org/media/oxdjw5zj/imaging_guidelines.pdf(2026年9月24日閲覧).
- 下川尚子, 室谷健太, 五百路徹也, 森岡基浩. 6歳未満児の軽症頭部外傷に対するCT検査数と実施理由のリアルワールドデータ解析. 日本小児科学会雑誌. 2025;129(11):1342-1352. doi:10.82602/jpeds.25-0043.
- Leonard JC, Harding M, Cook LJ, et al. PECARN prediction rule for cervical spine imaging of children presenting to the emergency department with blunt trauma: a multicentre prospective observational study. Lancet Child Adolesc Health. 2024;8(7):482-490. doi:10.1016/S2352-4642(24)00104-4. PMID: 38843852. PMCID: PMC11261431. 訂正:Correction to Lancet Child Adolesc Health 2024; 8: 482–90(2024年11月、doi:10.1016/S2352-4642(24)00311-0、PMID: 39572126。訂正の内容は未確認).
- Corwin DJ, Chaudhari PP, Tzimenatos LS, et al. Comparison of cervical spine injury prediction rule across ages. Pediatrics. 2026;157(6):e2025075341. doi:10.1542/peds.2025-075341. PMID: 42061904. PMCID: PMC13222121.
- Holmes JF, Lillis K, Monroe D, et al. Identifying children at very low risk of clinically important blunt abdominal injuries. Ann Emerg Med. 2013;62(2):107-116.e2. doi:10.1016/j.annemergmed.2012.11.009. PMID: 23375510.
- Holmes JF, Kelley KM, Wootton-Gorges SL, et al. Effect of abdominal ultrasound on clinical care, outcomes, and resource use among children with blunt torso trauma: a randomized clinical trial. JAMA. 2017;317(22):2290-2296. doi:10.1001/jama.2017.6322. PMID: 28609532.
- Pearce MS, Salotti JA, Little MP, et al. Radiation exposure from CT scans in childhood and subsequent risk of leukaemia and brain tumours: a retrospective cohort study. Lancet. 2012;380(9840):499-505. doi:10.1016/S0140-6736(12)60815-0. PMID: 22681860.
- Ishii W, Hitosugi M, Kandori K, Miyaguni M, Iizuka R. Increased CT use and no change in injury severity among child motor vehicle victims: a national trauma database study in Japan. Healthcare (Basel). 2023;11(9):1240. doi:10.3390/healthcare11091240. PMID: 37174781.
- Williams RF, Grewal H, Jamshidi R, et al. Updated APSA guidelines for the management of blunt liver and spleen injuries. J Pediatr Surg. 2023;58(8):1411-1418. doi:10.1016/j.jpedsurg.2023.03.012. PMID: 37117078.
- Fadl N, Choi RB, Master L, et al. An opportunity for continued improvement: evaluating the use of angiography for pediatric blunt liver/spleen injuries post 2019 APSA guidelines. J Pediatr Surg. 2026:163384. doi:10.1016/j.jpedsurg.2026.163384. PMID: 42586409.
- Aoki M, Abe T, Hagiwara S, Saitoh D, Oshima K. Isolated high-grade splenic injury among pediatric patients in Japan: nationwide descriptive study. J Pediatr Surg. 2021;56(5):1030-1034. doi:10.1016/j.jpedsurg.2020.07.011. PMID: 32800601.
- Newgard CD, Lin A, Goldhaber-Fiebert JD, et al. Changes in emergency department pediatric readiness, inpatient services, and excess child deaths. JAMA Pediatr. 2026. doi:10.1001/jamapediatrics.2026.3497. PMID: 42606885.
- Mitchell IC, Norat BJ, Auerbach M, et al. Identifying maltreatment in infants and young children presenting with fractures: does age matter? Acad Emerg Med. 2021;28(1):5-18. doi:10.1111/acem.14122. PMID: 32888348.
- Toida C, Muguruma T, Gakumazawa M, et al. Correlation between hospital volume of severely injured patients and in-hospital mortality of severely injured pediatric patients in Japan: a nationwide 5-year retrospective study. J Clin Med. 2021;10(7):1422. doi:10.3390/jcm10071422. PMID: 33915985.
- Ohki S, Matsuo R, Nishikimi M, et al. Association between hospital arrival time/day and mortality in pediatric patients with severe trauma: a nationwide retrospective observational study in Japan. Injury. 2025;57(2):112946. doi:10.1016/j.injury.2025.112946. PMID: 41365281.
- Utsumi S, Ohki S, Ueda T, et al. Association between hospital volume and in-hospital mortality in pediatric severe traumatic brain injury: a nationwide retrospective observational study in Japan. J Neurosurg Pediatr. 2024;33(2):137. doi:10.3171/2023.10.PEDS23425. PMID: 38064695.
- Otaka S, Ohbe H, Igeta R, et al. Factors associated with an increase in on-site time of pediatric trauma patients in a prehospital setting: a nationwide observational study in Japan. Children (Basel). 2022;9(11):1658. doi:10.3390/children9111658. PMID: 36360384.
- 境野高資, 本間多恵子, 辻聡, 石黒精, 阪井裕一. 搬送先選定困難により東京ルールに該当した小児救急症例の検討-小児外傷診療体制整備の必要性-. 日本救急医学会雑誌. 2013;24(5):241-246. doi:10.3893/jjaam.24.241.
医学的内容の最終確認日・確認範囲
文献ごとの確認範囲を開く(最終確認日:2026年9月25日)
医学的内容の最終確認日:2026年9月25日(著者確認)。文献照合日:2026年9月24日(文献検索も同日)。一般の検索エンジンは使えなかったため、PubTator3・NCBI BioC(PubMedの抄録)、PubMed Central、OpenAlex、Crossref、J-STAGE、出版社・学会・公的機関のページで確認した。検索記録は編集部で保管している。数値・用量・適用条件を含む医学的内容は、2026年9月25日に著者(医師)が確認した。
- 全文を確認:[14] Leonard 2024(PubMed Centralの著者原稿。2024年11月に訂正が出ているが、訂正の内容は取得できず未確認)、[15] Corwin 2026(PubMed CentralのNIH著者原稿)、[19] Ishii 2023(出版社の公開全文。群別のCT施行率の数値は読み取れず、本文には有意差の記載のみ使用)、[25] Toida 2021(出版社の公開全文)、[28] Otaka 2022(出版社の公開全文)。
- 抄録のみ確認:[3] [4] [5] [6] [7] [9] [10] [11] [13] [16] [17] [18] [20] [21] [22] [23] [24] [26] [27] [29]。本文中の数値は抄録にある範囲に限った。2026年の研究のうち [5] [21] [23] は、出版社のページの自動取得が許可されていなかったため全文を確認できていない。[10] はPubMed Centralに全文があるが、そのページを取得できず、特異度などは未確認である。
- 公式資料を確認:[1] RCHの指針(ウェブ版)、[2] JATEC改訂第6版の改訂概要(PDF)、[8] 電子添文(KEGG MEDICUS掲載分)、[12] ACS TQIP画像検査の指針(PDF。小児の頭部・頸椎・胸部の記載を確認し、腹部と全身CTの節は読み取り範囲外)。
- 未取得:JATEC改訂第6版の小児外傷の章の本文、ATLS第11版の小児の章、APSA 2023の全文(輸血のヘモグロビン閾値の単位を確認できず、本文では数値を省いた)、小児外傷性出血性ショック合意会議の個々の推奨文、国の小児救命救急センターの指定状況。
- 講演(本文の根拠には用いていない):初回公開版が構成の出発点とした講演は、第40回日本外傷学会総会・学術集会(2026年6月11〜12日)の教育講演10「小児外傷への対応 -for Future Heroes-」(演者:西山和孝〔大阪けいさつ病院 ER・救命救急科〕、座長:村田希吉〔松戸市立総合医療センター〕、オンデマンド配信)であることを、学会公式プログラム(https://www.congre.co.jp/jast2026/program)で確認した。本文の記述の根拠には講演を用いていない。
更新履歴
更新履歴を開く(全4件・最新:2026年9月26日)
- 2026年9月26日(表記):確認範囲の記載を読者向けの表現に改め、関連記事と分野の一覧へのリンクを加えた(医学的内容は変えていない)。
- 2026年9月25日(著者確認):著者(医師)が数値・用量・適用条件を含む医学的内容を確認した。確認日の表記を更新した。
- 2026年9月24日(改訂):原著照合にもとづき全面改訂。冒頭の要点、対象と扱わない範囲、JTDBの年齢別バイタルサイン基準の研究、初期輸液・製剤比・全血・TXAの根拠と国内の電子添文、PECARN頭部ルール(2009年の導出・検証、2017年の外部検証、2024年の前向き検証)の対象と感度(95%CI付き)、頸椎ルール(2024年)と年齢別解析(2026年、PubMed Centralの著者原稿で全文確認)、腹部ルールとFASTの無作為化試験、被ばくの研究、APSA 2023と米国・国内の肝脾損傷の研究、小児対応準備の研究、虐待の評価に関するEASTの推奨、根拠の比較表、「日本で実施するとき」(JATEC、国内の診療体制と搬送の実情、薬剤)、文献ごとの確認範囲を追加した。RCHの指針にない許容低血圧の記述は出典表示を外して書き改めた。FASTは、RCHの指針にある「小児外傷ではeFASTの役割は限られる」との記載に、無作為化試験の結果を加えて説明した。低体温の予防と頭部外傷時の二次性脳損傷の予防は、RCHの記載に沿って残した。2026年の研究のうち年齢別解析は全文で照合し、他の2件(TQIPの肝脾損傷研究、小児対応準備の研究)は出版社のページが取得できず抄録での確認にとどまることを明記した。出発点とした講演(第40回日本外傷学会総会・学術集会 教育講演10)の演題名・演者・座長を学会公式プログラムで確認して確認範囲に記録し、本文は原著と指針で確かめた内容に組み替えた。理由:国内の体制・搬送、主要研究の信頼区間と比較表が不足し、2026年の研究が抄録だけの確認だったため。
- 2026年9月20日(初回公開):小児外傷の初期診療として公開(RCHの指針、PECARN頸椎ルール2024、年齢別解析2026、APSA 2023、TQIPの肝脾損傷研究2026、小児対応準備の研究2026の6文献。構成の出発点は教育講演10「小児外傷への対応 -for Future Heroes-」の提供資料)。
本記事は医療従事者への教育および一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。実際の診療では、各施設のプロトコルおよび最新の診療ガイドラインをご確認ください。
利益相反:本記事に関連して開示すべき利益相反はありません。


コメント
コメント一覧 (7件)
[…] 小児外傷の初期診療 […]
[…] 小児。WSES 2022は小児に、塞栓の適応、安静期間、画像フォローアップについて成人と別の推奨を置いている[4]。成人の方針を小児にそのまま当てはめない。小児外傷の初期診療を参照。 […]
[…] 小児。WSES 2020は、循環の安定した小児ではCTのblushが血管造影・塞栓の絶対的な適応にならないとしている(GoR 2B)[5]。小児外傷の初期診療を参照。 […]
[…] 小児。本稿の数値を小児にそのまま当てはめない。小児外傷の初期診療を参照。 […]
[…] 小児。骨の成長や乳歯の扱いが成人と異なる。小児外傷の初期診療を参照(見た目が軽い眼窩骨折の絞扼だけは4節で触れる)。 […]
[…] 小児。成人の数値や目標をそのまま当てはめない。初期診療の全体像は小児外傷の初期診療を参照。 […]
[…] 小児外傷。本稿で引用する研究は、成人を対象とするか、年齢を区別しないチーム研究である。小児は小児外傷の初期診療:年齢・体重・画像検査・搬送をつなぐ実践ガイドを参照。 […]