抗凝固薬内服中の外傷:中和すべき患者をどう見極めるか

抗凝固薬と外傷:中和の適応と血栓リスク

抗凝固薬を飲んでいる外傷患者に中和薬を使うかは、薬の名前だけでは決まらない。出血が生命や脳を脅かすか、薬がまだ効いているか、止血の処置を待てないかで判断し、中和によって増えうる血栓症のリスクも同時に引き受ける。本稿は成人の外傷を対象に、ワルファリン、ダビガトラン、直接Xa阻害薬(アピキサバン、リバーロキサバン、エドキサバン)の中和について、主要試験の数値と限界、指針、国内の電子添文と適応の範囲を整理する。

  • 抗凝固薬
  • DOAC
  • 中和薬
  • プロトロンビン複合体
  • 頭部外傷

医療従事者向け:本記事は教育および一般的な医学情報の提供を目的としています。個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。

目次

まず押さえる要点

  1. 中和するかは、出血の重さ・薬効の残存・処置の緊急度で決める。ACC 2020は、重要な部位の出血、循環動態の不安定、ヘモグロビン2 g/dL以上の低下または赤血球2単位以上の輸血を伴う出血を「大出血」とし、大出血でない出血へのルーチンの中和は支持しないとしている[1]。国内の中和薬の電子添文も、抗凝固作用が残っていると推定される患者に限って使うよう定めている[2][3]。
  2. PT・APTTが正常でもDOACの作用は否定できない。WSES 2023は、PTとAPTTはDOAC、とくにアピキサバンとエドキサバンの作用の評価に信頼できないとしている[4]。薬剤名、用量、最終内服時刻が最初の手がかりになる。
  3. ワルファリンは4因子PCCとビタミンKで中和する。大出血の無作為化試験で、4因子PCCは血漿よりINRの是正が速く(62.2%対9.6%)、止血効果は非劣性だった(72.4%対65.4%)[5]。国内のケイセントラは投与前のPT-INRと体重で用量を決め、DICの患者には禁忌である[6]。
  4. Xa阻害薬の中和薬は、止血の改善と血栓症の増加を一組で読む。脳内出血の無作為化試験ANNEXA-Iで、アンデキサネットは止血効果の達成を増やした(67.0%対53.1%)が、血栓性イベントも増え(10.3%対5.6%)、30日以内の死亡とmodified Rankin Scaleに明らかな差はなかった[7]。米国FDAは2025年12月にリスクが便益を上回ると判断し、販売元は同月22日までに米国での販売を終えるとした[8]。2026年9月24日に閲覧できた国内の電子添文(2025年11月改訂)には効能・効果が記載されている[3]。
  5. 外傷に限った証拠は乏しい。中和薬の主要試験は外傷患者に限った試験ではなく、本稿で確認した外傷の研究は小規模な観察研究だった[9][10]。中和したら、止血と血栓症を並行して評価し、抗凝固を再開する時期と担当を決めておく(本稿の解釈)。

対象と扱わない範囲

対象:経口抗凝固薬(ワルファリン、ダビガトラン、アピキサバン、リバーロキサバン、エドキサバン)を内服中の成人外傷患者で、出血がある、または緊急の手術・処置が必要な場面。救急外来から入院早期までの判断を扱う。

扱わない範囲:

  • 抗血小板薬の対応、ヘパリン・低分子ヘパリンなど注射薬の中和、小児。
  • 外傷性凝固障害そのものの治療と大量輸血の手順(外傷性凝固障害(TIC)を参照)、入院後の静脈血栓塞栓症の予防(外傷後VTE予防を参照)。
  • 抗凝固療法の適応そのもの(心房細動、静脈血栓塞栓症、機械弁など)の長期的な見直し。

本稿は検索方法を記録した臨床ナラティブレビューで、系統的レビューではない。引用する主要試験の多くは外傷以外の出血や脳内出血を対象としており、外傷への当てはめには本稿の解釈が入る。その部分は文中で区別する。

1.最初の判断:出血の重さ、薬効の残存、待てない処置

ACC 2020の専門家合意(推奨の強さを付けた指針ではない)は、①重要な部位の出血、②循環動態の不安定、③ヘモグロビン2 g/dL以上の低下または赤血球2単位以上の輸血を伴う明らかな出血のいずれか一つでもあれば「大出血」と分類する。大出血では、使える薬剤があれば中和・止血の手段を考慮し、大出血でない出血ではルーチンの中和を支持しないとしている[1]。

もう一つの軸は、薬がまだ効いているかである。オンデキサの電子添文は、Xa阻害薬の種類、最終投与時の1回投与量、最終投与からの経過時間、患者背景などから、抗凝固作用が発現している期間と推定される患者にのみ使うよう定めている[3]。プリズバインドにも同じ趣旨の注意がある[2]。薬剤名、用量、最終内服時刻は、本人・家族・お薬手帳・処方元から確かめる。ダビガトランのように腎排泄の割合が大きい薬では、腎機能も残存を見積もる手がかりになる(本稿の解釈)。

頭部外傷について、外傷初期診療ガイドライン改訂第6版(JATEC)の改訂概要は「頭部外傷における危険因子として抗凝固薬服用を改めて強調し、頭蓋内出血を認める場合は抗凝固薬中断と中和の検討を推奨した」と記している[11]。本文の記載(対象、薬剤、時間の目安)は本稿では確認できていない。

本稿の解釈中和は止血の一部であって、止血そのものではない。損傷血管や臓器からの出血は、中和しても残る。循環が不安定な患者では、出血源の検索、輸血、手術・血管内治療の準備を中和薬の調達と並行して進め、外傷性凝固障害の評価も別に行う。

2.検査の読み方:PT・APTTが正常でもDOACは否定できない

WSES 2023(高齢・フレイル外傷の指針)は、高齢の外傷患者で抗凝固薬の影響を早期に評価するため、APTT、TT、PT、INR、抗Xa活性などの一般的な凝固検査をルーチンに行うよう推奨している(推奨4.1、強い推奨・1B)。同時に、PTとAPTTはDOACへの感度・特異度が低く、とくにアピキサバンとエドキサバンの作用の評価には信頼できないとしている(根拠の質は高い)。エカリン凝固時間、希釈トロンビン時間、抗Xa活性などの定量法は、すべての病院ですぐ使えるわけではなく、急ぎでない場面での二次的な検査として使えるとしている(根拠の質は中〜低)[4]。

主要試験でも、ダビガトランの作用は希釈トロンビン時間またはエカリン凝固時間で[12]、アピキサバンとリバーロキサバンの作用は薬剤ごとの濃度(ng/mL)に換算した抗Xa活性で評価された[13]。検査室には、どの薬剤に合わせた測定系があるか、結果の単位、夜間に何分で返るかを事前に確認しておきたい(本稿の解釈)。

アンデキサネット投与後は、測定法によっては阻害薬がアンデキサネットから離れるため、抗Xa活性が高く検出されることがある(電子添文の臨床検査結果に及ぼす影響の項)[3]。再出血や出血の持続に対する追加投与の有効性と安全性は確立しておらず、電子添文は他の止血処置の検討を求めている[3]。ANNEXA-4でも、抗Xa活性の低下は全体では止血効果を予測せず、頭蓋内出血でわずかに予測するにとどまった[13]。投与後の抗Xa値だけで追加投与を決めず、画像、神経所見、出血量で止血を評価する(本稿の解釈)。

3.ワルファリン:4因子PCCとビタミンK

研究結果Sarode 2013は、ビタミンK拮抗薬の内服中に大出血を来した非手術患者を、4因子PCCと血漿に無作為に割り付けた非盲検の非劣性試験である(第IIIb相、多施設)。有効性の解析対象は202例(PCC 98例、血漿104例)、投与前INRの中央値は3.90と3.60だった。投与開始から24時間の止血効果は72.4%対65.4%(差7.1%、95%CI −5.8〜19.9)で非劣性、投与終了30分後のINR 1.3以下の達成は62.2%対9.6%(差52.6%、95%CI 39.4〜65.9)で優越性が示された。有害事象、重篤な有害事象、血栓塞栓症、死亡を合わせた安全性は両群で同程度と報告された[5]。組み入れ時のINRの下限などの詳細は抄録に記載がなく、本稿では確認していない。

研究結果Goldstein 2015は、緊急の手術・侵襲的処置の前に迅速な中和が必要な18歳以上の患者181例を、ビタミンKに加えて4因子PCCまたは血漿を単回投与する群に割り付けた(非盲検、第IIIb相)。有効性の解析対象168例で、止血効果は90%対75%(差14.3%、95%CI 2.8〜25.8)、投与終了30分後のINR 1.3以下は55%対10%(差45.3%、95%CI 31.9〜56.4)で、いずれも非劣性と優越性が示された。血栓塞栓性の有害事象は7%対8%、体液過剰などの心臓関連事象は3%対13%、遅発性の出血は3%対5%だった(有害事象は10日目、重篤な有害事象は45日目まで収集)[14]。

2試験とも評価項目は止血とINRで、死亡や機能予後を比べるための試験ではない。非盲検で、外傷患者に限った試験でもない(本稿の解釈)。欧州脳卒中学会(ESO)の2019年の指針は、ビタミンK拮抗薬に関連した脳内出血で、新鮮凍結血漿よりPCCを推奨し(強い推奨、根拠の質は中等度)、INR 1.3以上ではPCCなどの迅速な中和に加えてビタミンK 10 mgの静注を推奨している(強い推奨、根拠の質は非常に低い)[15]。

国内のケイセントラの効能・効果は「ビタミンK拮抗薬投与中の患者における、急性重篤出血時、又は重大な出血が予想される緊急を要する手術・処置の施行時の出血傾向の抑制」である。用量は血液凝固第IX因子として、投与前のPT-INRと体重で決める[6]。ACC 2020もINRに応じた同じ段階(25・35・50単位/kg、最大5,000単位)を示している[1]。

投与前のPT-INR体重100 kg以下体重100 kg超
2以上4未満25 IU/kg2,500 IU
4以上6以下35 IU/kg3,500 IU
6超50 IU/kg5,000 IU

表:ケイセントラの用量(国内電子添文、2025年5月改訂 第3版)[6]。注入速度は3 IU/kg/分以下で、210 IU/分を超えない。ビタミンK製剤の併用を考慮する。追加投与の有効性と安全性は検討されておらず、追加投与後に血栓塞栓性事象を発現して死亡した症例が報告されている。DICの患者は禁忌で、添加剤にヘパリンを含むためヘパリン起因性血小板減少症の既往には注意が必要である[6]。表はINR 2以上から始まっており、INR 2未満の状況にそのまま外挿しない(本稿の解釈)。

国内のビタミンK注射剤(ケイツーN静注10mg、メナテトレノン)は、効能・効果に「クマリン系抗凝血薬投与中に起こる低プロトロンビン血症」を含み、成人に1日1回10〜20 mgを静注する用量が記載されている(効能ごとの用量の区分は電子添文で確認する)。急速な投与でショックが起こりうるため、点滴静注が望ましく、静注する場合は緩徐に注射するとされている[16]。

4.ダビガトラン:イダルシズマブ

研究結果RE-VERSE AD(全コホート解析)は、イダルシズマブ5 gの静注を評価した多施設・前向き・非盲検の単群試験である。止まらない出血のA群301例と、緊急の手術・処置を控えたB群202例、計503例を登録した。主要評価項目は投与後4時間以内の最大中和率(希釈トロンビン時間またはエカリン凝固時間)で、中央値は100%(95%CI 100〜100)だった。A群は消化管出血45.5%、頭蓋内出血32.6%で、評価できた患者の止血までの時間の中央値は2.5時間。B群は処置開始までの中央値1.6時間で、周術期の止血は93.4%で正常、5.1%で軽度異常、1.5%で中等度異常と評価された。90日時点の血栓性イベントはA群6.3%、B群7.4%、死亡率は18.8%、18.9%だった[12]。

対照群がないため、この試験は凝固検査上の中和が速く確実なことを示すが、中和によって死亡や機能予後が改善したかは示していない。90日の死亡率が2割近いことは、登録患者の重症度と基礎疾患の重さを反映していると考えられる(本稿の解釈)。ESO 2019は、ダビガトラン内服中の脳内出血にイダルシズマブを推奨している(強い推奨、根拠の質は低い)[15]。

国内のプリズバインドの効能・効果は、ダビガトランの抗凝固作用の中和で、「生命を脅かす出血又は止血困難な出血の発現時」と「重大な出血が予想される緊急を要する手術又は処置の施行時」の二つである。手術・処置では、手技に伴う出血リスクが高く、止血困難な場合に致死的または重篤な経過になるおそれがあるものに限る。成人には5 g(2.5 g/50 mLを2バイアル)を点滴静注または急速静注し、点滴静注では1バイアルにつき5〜10分かける。ダビガトラン以外の抗凝固薬の中和には使わない[2]。

5.直接Xa阻害薬:アンデキサネットとPCC

ANNEXA-4:単群試験

研究結果ANNEXA-4(2019年の報告)は、Xa阻害薬の投与後18時間以内に急性の大出血を来した352例に、アンデキサネットのボーラスと2時間の持続投与を行った単群試験である。有効性は、大出血が確認され、投与前の抗Xa活性が75 ng/mL以上(エノキサパリンでは0.25 IU/mL以上)の患者で評価した。平均年齢77歳、出血は頭蓋内227例(64%)、消化管90例(26%)が中心だった。抗Xa活性の中央値は、アピキサバンで149.7から11.1 ng/mLへ(92%低下、95%CI 91〜93)、リバーロキサバンで211.8から14.2 ng/mLへ(92%低下、95%CI 88〜94)下がった。投与終了12時間後に止血が「優」または「良」と判定されたのは評価可能な249例中204例(82%)で、30日以内に49例(14%)が死亡し、34例(10%)に血栓性イベントが起きた[13]。最終報告では479例が登録され、止血「優・良」は評価可能な342例中274例(80%)、血栓性イベントは50例(10%)だった[17]。

ANNEXA-I:脳内出血での無作為化試験

研究結果ANNEXA-Iは、急性の脳内出血を来す前15時間以内にXa阻害薬を服用した患者を、アンデキサネット(263例)と通常治療(267例)に1対1で割り付けた無作為化試験である。登録は発症6時間以内の18歳以上で、23か国131施設、2019年6月〜2023年5月に行われた[18]。通常治療群の85.5%がPCCを受けた。主要評価項目の「止血効果」は、12時間後の血腫増大が35%以下、12時間後のNIHSSの増加が7点未満、3〜12時間に救済治療を受けていない、のすべてを満たすことと定義された[7]。除外基準は抄録に記載がなく、本稿では確認していない。

  • 止血効果(中間解析の452例):アンデキサネット150/224例(67.0%)対通常治療121/228例(53.1%)、調整後の差13.4ポイント(95%CI 4.6〜22.2、P=0.003)。
  • 抗Xa活性:投与前から1〜2時間後の最低値までの低下の中央値は94.5%対26.9%。
  • 血栓性イベント(登録530例全員):27/263例(10.3%)対15/267例(5.6%)、差4.6ポイント(95%CI 0.1〜9.2、P=0.048)。このうち虚血性脳卒中は17例(6.5%)対4例(1.5%)。
  • 死亡と機能:30日以内の死亡とmodified Rankin Scaleに明らかな群間差はなかった[7]。群別の値は抄録になく、本稿では確認していない。

2025年の総説は、この試験は死亡や機能予後の差を検出するための検出力をもたず、評価も30日までだったと指摘している[19]。「差が見られなかった」は「同じだった」ではない。止血効果の13.4ポイントの差を、救命率の差に読み替えることもできない。また、対象は脳内出血で、外傷性の頭蓋内出血(脳挫傷、硬膜下血腫など)や体幹部の出血について結果は示されていない(本稿の解釈)。

ANNEXA-Iの追加解析

  • バイオマーカー(2025年):1時間後の抗Xa活性の低下は血腫増大の減少と、内因性トロンビン産生能の増加は血腫増大の減少と30日以内の動脈血栓塞栓症の増加の両方と関連した(抗Xa活性は438例、トロンビン産生能は328例で評価)[20]。止血に有利な変化と血栓のリスクが同じ方向に動くことを示唆するが、個々の患者で使える閾値は示されていない。
  • 血腫増大の予測因子(2026年):画像評価が可能な459例のうち149例(32.5%)で血腫が増大した。発症から治療までが短い、初期血腫が大きい、拡張期血圧が高い、撮影前の増大速度が速いことが血腫増大と関連し、血栓性イベントとは関連しなかった。初期血腫量と増大速度の最上位4分の1では、アンデキサネットによる絶対リスク減少が数値上約25%(治療必要数4)と大きかった[18]。二次解析での層別の結果で、この層で死亡や機能が改善したことは示されていない。
  • 単純CTの所見(2026年9月公開):434例の事後解析で、不均一な濃度、低吸収域、black hole signが血腫増大と独立して関連し、アンデキサネットの効果は所見の有無で概ね一貫していた[21]。

米国FDAの判断(2025年12月)

FDAは2025年12月18日の安全性情報で、アンデキサネット(Andexxa)は2018年に健康成人での抗Xa活性の変化を代替評価項目として迅速承認されたこと、確認のための無作為化試験ANNEXA-Iで血栓症(14.6%対6.9%)と30日時点の血栓症に関連する死亡(2.5%対0.9%)が増えたことを挙げ、血栓塞栓症の増加を含む重大なリスクが便益を上回ると判断した。販売元は2025年12月22日までに米国での販売を終えるとした[8]。FDAのページは試験の対象を「リバーロキサバンまたはアピキサバンの投与後の脳内出血患者」と記しているが、各群の分母や集計の方法は示していない。NEJMの報告(登録530例全員で10.3%対5.6%)[7]と数値が異なる理由は、本稿では確認できなかった。

PCCで代える場合の根拠

ESO 2019は、リバーロキサバンまたはアピキサバン内服中の脳内出血で、利用できればアンデキサネットを使うことを弱く推奨し(根拠の質は低い)、DOAC内服中の脳内出血で特異的な中和薬が使えないときは、凝固検査を正常化するために4因子PCC(37.5〜50 IU/kg)を考慮することを弱く推奨している(根拠の質は非常に低い)[15]。ACC 2020は、Xa阻害薬による重篤または生命を脅かす出血に、4因子PCCを固定用量2,000単位で投与するのは妥当としている[1]。どちらもANNEXA-IとFDAの判断より前の文書である。

PCCとアンデキサネットを外傷患者で直接比べた無作為化試験は、本稿の検索では見つからなかった。ANNEXA-Iの通常治療群の多くはPCCを受けていたが、PCCの用量や投与の時期を揃えた比較ではない[7]。国内のケイセントラの効能・効果はビタミンK拮抗薬に限られ、DOACの中和に使うことは電子添文の効能・効果に含まれない(適応外使用)[6]。

6.頭部外傷を伴うとき

外傷でとくに判断に迷いやすいのは、少量の頭蓋内出血を伴う高齢者である(本稿の解釈)。主要な中和試験の対象の外にある場面で、本稿で確認した根拠は観察研究に限られる。

  • 研究結果Prexl 2018:2014年1月〜2017年5月にICUに入室した60歳以上の頭部外傷186例(抗血栓薬なし80例、抗血小板薬41例、ビタミンK拮抗薬32例、DOAC 33例)の単施設後ろ向き研究。血腫の進行はDOAC群で最も少なく、死亡はビタミンK拮抗薬群で有意に多かった(p=0.047)。中和薬の使用はビタミンK拮抗薬群84.4%、DOAC群24.2%で、脳神経外科的介入は少なく群間差はなかった[22]。群ごとの死亡率の絶対値は、本稿で確認した抄録の範囲では確かめられなかった。
  • 研究結果Cooksey 2022:アピキサバンまたはリバーロキサバンを内服中の18歳以上の頭部外傷(重症度を問わない)で、PCCによる中和の有無を比べた単施設後ろ向きコホート(2016年9月〜2019年9月)。対象115例のうち84例を傾向スコアでマッチングした。出血の進行は中和なし10.8%対中和あり15.0%(p=0.739)、出血量の変化の中央値は0 mL対1 mL(p=0.2199)、院内死亡は3例(7.1%)対4例(9.5%)(p>0.999)で、いずれも有意差はなかった[9]。例数が少なく、差がないことの証明ではない。

国内の研究は「日本で実施するとき」で示す。ANNEXA-Iの結果を外傷性頭蓋内出血に当てはめるときは、出血の形(脳挫傷、硬膜下血腫、くも膜下出血)、増大の起こりやすさ、手術の予定が脳内出血とは異なることを考慮する(本稿の解釈)。中和するかどうかにかかわらず、神経所見と再撮影の時期を決め、増大したときに誰に連絡するかを申し送る。高齢者の評価は高齢者外傷の初期診療と回復支援も参照。

7.中和した後:血栓症、ヘパリン抵抗性、再開の時期

中和は、もともと抗凝固療法が必要だった患者の血栓リスクを表に出す。プリズバインドの電子添文も、ダビガトランの抗凝固作用を中和することで血栓症のリスクが増加するとしている[2]。主要試験の血栓性イベントは、RE-VERSE ADで90日時点6.3〜7.4%[12]、ANNEXA-4で30日以内10%[13]、ANNEXA-Iでアンデキサネット10.3%対通常治療5.6%[7]、Goldstein 2015で4因子PCC 7%対血漿8%だった[14]。単群試験の値は対照がないため、中和薬による上乗せ分と基礎疾患による分を区別できない。

ヘパリンを使う手術の前は、アンデキサネットの必要性を慎重に判断する。オンデキサの電子添文は、本剤の投与時にヘパリン抵抗性を示すことがあるとし、ヘパリンの抗凝固作用が十分に得られず人工心肺回路が血栓で閉塞し、重篤な転帰に至った症例を記載している[3]。血管手術、人工心肺、体外循環が見込まれるときは、投与前に手術・麻酔・集中治療のチームで共有する。

抗凝固の再開について、電子添文には薬理学的な目安が書かれている。プリズバインドでは、ダビガトランは投与から24時間後に再開でき、他の抗凝固薬はいつでも再開できる[2]。オンデキサでは、シミュレーションの結果にもとづき、投与終了4時間後の時点でXa阻害薬または低分子ヘパリンの本来の抗凝固作用が期待できるとされる[3]。3製剤とも、止血後は血栓塞栓症のリスクを踏まえて抗凝固療法の再開を考慮するよう求めており、オンデキサとケイセントラは再出血・出血のリスクの評価も併記している[2][3][6]。

本稿の解釈「薬理学的に再開できる時刻」と「損傷部位が再開に耐えられる時刻」は別である。頭蓋内出血、実質臓器損傷、手術予定のある患者では、再撮影の結果、再出血の有無、もともとの塞栓リスク(機械弁、最近の静脈血栓塞栓症など)を合わせ、予防量と治療量のどちらをいつ始めるかを、日付と担当を決めて記録する。全外傷に共通する再開日を一つの数字で決める根拠は、本稿の確認範囲にはない。

指針の比較表

表はスマートフォンでは横にスクロールして読む。推奨の強さは各指針の体系の表記をそのまま示す。

指針(年)対象ワルファリンダビガトラン直接Xa阻害薬注意点
WSES(2023)[4]高齢・フレイルの外傷一般的な凝固検査をルーチンに(推奨4.1、強い推奨・1B)。PT・APTTはDOACの評価に信頼できない中和薬についての記載は本稿では取得できず未確認
ESO(2019)[15]抗凝固薬に関連した脳内出血FFPよりPCC(強い推奨)、ビタミンK 10 mg静注の併用(強い推奨)イダルシズマブ(強い推奨、根拠の質は低い)利用できればアンデキサネット(弱い推奨)。特異的中和薬がなければ4因子PCC 37.5〜50 IU/kgを考慮(弱い推奨)ANNEXA-Iより前。対象は脳内出血
ACC(2020)[1]経口抗凝固薬内服中の出血INRに応じた4因子PCCイダルシズマブ5 g4因子PCC 2,000単位の固定用量は妥当専門家合意で推奨の強さはない。大出血でない出血へのルーチンの中和は支持しない。2021年に正誤表あり
欧州外傷出血ガイドライン第6版(2023)[23]外傷の大出血と凝固障害推奨文は本稿では原文を取得できず未確認文献検索は2021年12月まで。ANNEXA-IとFDAの判断を含まない
JATEC改訂第6版[11]外傷初期診療頭蓋内出血を認める場合、抗凝固薬の中断と中和の検討を推奨(改訂概要の記載)本文は未確認

このほか、米国血液学会(ASH)2018年の静脈血栓塞栓症の指針と、米国外科学会(ACS)TQIPの外傷性脳損傷ベストプラクティス(2024年)の中和に関する記載は、本改訂では該当部分を取得できず未確認である。

根拠の比較表

表はスマートフォンでは横にスクロールして読む。「A対B」の順は「介入・比較」の列と「主な結果」の列で揃えている。

出典(年)デザイン対象介入・比較主な結果限界と診療への意味
Sarode(2013)[5]無作為化・非盲検・非劣性(第IIIb相)ビタミンK拮抗薬内服中の大出血、非手術。有効性解析202例4因子PCC対血漿止血(24時間)72.4%対65.4%(差7.1%、95%CI −5.8〜19.9)。INR 1.3以下(投与終了30分後)62.2%対9.6%(差52.6%、95%CI 39.4〜65.9)死亡は主要評価項目でない。外傷に限らない
Goldstein(2015)[14]無作為化・非盲検・非劣性(第IIIb相)緊急手術・処置前のビタミンK拮抗薬中和、18歳以上。有効性解析168例ビタミンK+4因子PCC対ビタミンK+血漿止血90%対75%(差14.3%、95%CI 2.8〜25.8)。INR 55%対10%。血栓塞栓症7%対8%、体液過剰など3%対13%手術前の中和を比べた無作為化試験。外傷に限らない
RE-VERSE AD(2017)[12]前向き・非盲検・単群ダビガトラン内服中。止まらない出血301例、緊急処置202例イダルシズマブ5 g(対照なし)最大中和率の中央値100%(4時間以内)。周術期止血の正常93.4%。90日の血栓性イベント6.3%・7.4%、死亡18.8%・18.9%対照がなく転帰改善は示せない
ANNEXA-4(2019)[13]単群(対照なし)Xa阻害薬投与後18時間以内の急性大出血352例(頭蓋内64%)アンデキサネット(対照なし)抗Xa活性92%低下(アピキサバン、リバーロキサバン)。止血「優・良」82%(204/249、12時間)。30日の死亡14%、血栓性イベント10%抗Xa活性の低下は全体では止血を予測せず。最終報告479例でも止血80%、血栓性イベント10%[17]
ANNEXA-I(2024)[7]無作為化Xa阻害薬服用後15時間以内の急性脳内出血、発症6時間以内。530例アンデキサネット対通常治療(85.5%がPCC)止血効果67.0%対53.1%(差13.4ポイント、95%CI 4.6〜22.2)。血栓性イベント10.3%対5.6%(差4.6、95%CI 0.1〜9.2)。虚血性脳卒中6.5%対1.5%。30日死亡・mRSに明らかな差なし有効性は中間解析。死亡・機能の検出力なし、30日まで[19]。外傷性の出血の結果は示されていない
Shoamanesh(2026)[18]ANNEXA-Iの二次解析画像評価可能な脳内出血459例血腫増大の予測因子と治療効果の層別血腫増大32.5%。発症から治療までが短い、初期血腫が大きい、拡張期血圧が高い、増大速度が速いと増大しやすい。最上位の層で絶対リスク減少が約25%二次解析での層別。死亡・機能の改善は示していない
Cooksey(2022)[9]単施設後ろ向き・傾向スコアマッチングアピキサバン・リバーロキサバン内服中の頭部外傷。84例中和なし対PCCによる中和出血の進行10.8%対15.0%(p=0.739)。院内死亡7.1%対9.5%(p>0.999)小規模で検出力不足。有意差なしは同等を意味しない
Prexl(2018)[22]単施設後ろ向きICU入室の60歳以上の頭部外傷186例抗血栓薬なし・抗血小板薬・ビタミンK拮抗薬・DOAC血腫の進行はDOAC群で最少。死亡はビタミンK拮抗薬群で有意に多い(p=0.047)群ごとの例数が少ない。交絡の調整は抄録で確認できず
林(2026)[10]国内5施設・後ろ向き抗凝固薬内服中の外傷性頭蓋内出血で入院した113例(2015〜2024年)中和剤あり(28例)対なし来院時から手術予定の例で、早期中和により術中FFPが少ない(中央値0単位対4単位、p=0.0162)。保存的治療例の血腫増大は早期中和7.1%、比較群24.7%(p=0.356)小規模。血腫増大の差は有意でない
Nagai(2024)[24]国内単施設後ろ向き+国内登録の解析自施設の頭部外傷58例(2017〜2023年)と抗血栓薬内服中の頭部外傷の国内登録特異的中和薬の使用あり対なし使用群で塞栓性脳梗塞が有意に多く、退院時mRSが悪かった意識障害・手術例に多く使われる傾向があり、重症度の交絡がある

評価時点について:止血はANNEXA-4とANNEXA-Iで12時間、Sarode 2013で24時間の評価である。血栓性イベントと死亡は、RE-VERSE ADが90日、ANNEXA-4とANNEXA-Iが30日で、Goldstein 2015は重篤な有害事象を45日まで集めた。外傷の観察研究は、院内死亡(Cooksey)や退院時のmRS(Nagai)など入院中の転帰を扱い、Prexlと林の評価時点は抄録では確認できなかった。評価時点が異なる数値を並べて比べない。

日本で実施するとき

国内の指針

  • JATEC:改訂第6版の改訂概要に、頭部外傷の危険因子として抗凝固薬の服用を強調し、頭蓋内出血を認める場合は抗凝固薬の中断と中和の検討を推奨したとの記載がある[11]。本文(薬剤ごとの方法、時間の目安)は未確認である。
  • 脳卒中治療ガイドライン:日本脳卒中学会の『脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕』が2025年8月30日に発行され、140項目中52項目が改訂されたと出版社は紹介している[25]。抗凝固薬に関連した脳出血での中和の推奨は、本文を取得できず未確認である。
  • 循環器の指針:2024年JCS/JHRSガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈治療には「第Xa因子(FXa)阻害薬に対する特異的中和薬」の節(抗凝固療法中の活動性出血への対応の図と、中和薬の表)がある[26]。推奨の内容と強さは本文を取得できず未確認である。
  • 本稿の検索では、外傷患者の抗凝固薬の中和に特化した国内学会の指針は見つからなかった。

国内の中和薬の電子添文

製剤(改訂)効能・効果用法・用量主な注意薬価
プリズバインド静注液2.5g(イダルシズマブ。2025年12月改訂 第6版)[2]ダビガトランの中和:生命を脅かす出血・止血困難な出血の発現時、重大な出血が予想される緊急の手術・処置の施行時1回5 g(2バイアル)を点滴静注または急速静注ダビガトラン以外には使わない。ダビガトランの再開は24時間後から。遺伝性果糖不耐症(添加物ソルビトール)203,626円/瓶
オンデキサ静注用200mg(アンデキサネット アルファ。2025年11月改訂 第6版)[3]アピキサバン、リバーロキサバン、エドキサバン投与中の、生命を脅かす出血・止血困難な出血の発現時の中和A法:400 mgを30 mg/分、続いて480 mgを4 mg/分で2時間。B法:800 mgを30 mg/分、続いて960 mgを8 mg/分で2時間。薬剤・最終投与量・経過時間で選ぶ緊急手術の前の中和は効能に含まれない。追加投与は未確立。ヘパリン抵抗性。重大な副作用に虚血性脳卒中(1.5%)などの血栓塞栓症338,671円/瓶
ケイセントラ静注用500・1000(乾燥濃縮人プロトロンビン複合体。2025年5月改訂 第3版)[6]ビタミンK拮抗薬投与中の急性重篤出血時、重大な出血が予想される緊急の手術・処置の施行時の出血傾向の抑制PT-INRと体重で決める単回静注(上の表)DICは禁忌。追加投与は未検討。ビタミンK併用を考慮。ヒト血液由来500:35,571円、1000:66,306円/瓶
ケイツーN静注10mg(メナテトレノン。2023年5月改訂 第1版)[16]クマリン系抗凝血薬投与中に起こる低プロトロンビン血症など成人1日1回10〜20 mgを静注急速投与でショック。緩徐に注射本稿では未確認

薬価はKEGG MEDICUSの掲載値(2026年9月24日閲覧)。オンデキサのA法とB法の選択は、電子添文7.1の表(薬剤の種類、最終投与時の1回投与量、最終投与から8時間未満または不明/8時間以上)で行う[3]。海外の資料の簡略表を流用せず、オーダーの時点で国内の表と照合する。総量はA法880 mg、B法1,760 mgで、200 mg瓶ではそれぞれ5瓶、9瓶を要する(本稿の計算)。

適応と保険上の扱い

  • PCCによるDOACの中和は適応外:ケイセントラの効能・効果はビタミンK拮抗薬に限られる[6]。海外の指針や総説がXa阻害薬へのPCCを挙げていても、国内では適応外使用に当たる。保険診療での審査上の扱いは本稿では未確認で、施設の適応外使用の手続きと説明の記録を確認したい。
  • オンデキサは手術前の中和に使えない:効能・効果は生命を脅かす出血または止血困難な出血の発現時に限られ、プリズバインドやケイセントラと違って「緊急を要する手術・処置の施行時」を含まない[3][2][6]。
  • 米国の措置と国内の扱い:2026年9月24日にPMDAで閲覧できたオンデキサの電子添文は2025年11月改訂(第6版)で、効能・効果は上記のとおりだった[3]。米国の規制・販売上の措置を国内の承認取り消しと同じ意味に読み替えない。一方で、国内での今後の供給や添付文書改訂の予定は未確認である。

国内の研究と症例報告

研究結果林ら(2026年)は、国内5施設で2015年1月〜2024年7月に入院した、抗凝固薬内服中の外傷性頭蓋内出血113例を後ろ向きに検討した。中和剤は28例に使われ、来院から投与までの平均は160分だった。手術例では術中出血量と手術時間に中和の有無による有意差はなかったが、来院時から手術を予定していた患者で早期に中和した場合は術中のFFP輸血が少なかった(中央値0単位対4単位、p=0.0162)。保存的治療で始めた95例(うち中和21例)では、血腫増大と手術への移行に有意差はなく、早期中和で血腫増大が少ない傾向(7.1%対24.7%、p=0.356)は有意ではなかった[10]。

研究結果Nagaiら(2024年)は、2017年9月〜2023年1月の自施設の頭部外傷58例と、抗血栓薬内服中の頭部外傷の国内登録研究(Think FAST registry)のデータを解析した。中和薬は来院時の意識レベルが低い患者と手術を要する患者に多く使われる傾向があり、特異的中和薬を使った群では塞栓性脳梗塞が有意に多く、退院時のmRSが悪かった。著者らは、抗凝固の再開の遅れとアンデキサネットの使用が塞栓のリスクを高めた可能性を挙げ、塞栓性合併症が想定より早く起こりうると述べている[24]。重症の患者ほど中和薬が使われているため、中和薬が転帰を悪くしたとは言えない(本稿の解釈)。

国内の症例報告として、アンデキサネット投与後の両側腎動脈を含む多発動脈閉塞[27]、Xa阻害薬内服中の脳出血へのアンデキサネット投与直後の内頸動脈閉塞[28]、DOAC中和剤によるヘパリン抵抗性に対応した急性大動脈解離の手術例[29]が報告されている(いずれも題名・書誌のみ確認)。

施設で決めておくこと

  • 3種類の中和薬とビタミンK製剤の院内在庫、夜間の払い出し経路、薬剤師の関与。林らの報告では来院から投与まで平均160分かかっていた[10]。
  • ダビガトランの定量(希釈トロンビン時間など)と薬剤別の抗Xa活性が院内で測れるか、結果が何分で返るか。
  • 中和の適応を誰が判断するか(救急・外傷、脳神経外科、循環器・血液内科)と、PCCをDOACに使う場合の適応外使用の手続き。
  • 中和後の再撮影の時期、血栓性イベントの観察項目、抗凝固を再開する時期と担当の記録の仕方(本稿の解釈)。

まだ分からないこと

  • 外傷患者で中和が転帰を改善するか。外傷患者に限った無作為化試験は、本稿の検索では見つからなかった。外傷の研究は小規模な観察研究で、重症の患者ほど中和されるという交絡を避けられない。
  • Xa阻害薬ではアンデキサネットとPCCのどちらがよいか。ANNEXA-Iは止血の改善と血栓性イベントの増加を示したが、死亡・機能の差を見る検出力はなかった[7][19]。PCCの用量も、ESOの体重あたり37.5〜50 IU/kgとACCの固定2,000単位のように文書で異なり[15][1]、外傷で比べた研究は確認できなかった。
  • 誰に中和の利益が大きいか。血腫が大きく増大が速い脳内出血で絶対効果が大きい可能性が示されたが[18]、外傷性頭蓋内出血で同じ選び方が使えるかは分からない。
  • 抗凝固の再開時期。国内の報告は塞栓性合併症が早く起こりうるとしているが[24]、頭部外傷後にいつ再開するのが安全かを比べた試験は確認できなかった。
  • 国内の指針と供給。JATEC本文、脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕、JCS/JHRS 2024の該当部分と、アンデキサネットの国内での今後の扱いは、本稿では未確認である。

文献

  1. Tomaselli GF, Mahaffey KW, Cuker A, et al. 2020 ACC Expert Consensus Decision Pathway on Management of Bleeding in Patients on Oral Anticoagulants: a report of the American College of Cardiology Solution Set Oversight Committee. J Am Coll Cardiol. 2020;76(5):594-622. doi:10.1016/j.jacc.2020.04.053. 正誤表:doi:10.1016/j.jacc.2021.04.020(2021年6月、内容は未確認).
  2. 日本ベーリンガーインゲルハイム. プリズバインド静注液2.5g(イダルシズマブ〔遺伝子組換え〕)電子添文(2025年12月改訂 第6版). KEGG MEDICUS掲載. https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00066527(2026年9月24日閲覧).
  3. アストラゼネカ. オンデキサ静注用200mg(アンデキサネット アルファ〔遺伝子組換え〕)電子添文(2025年11月改訂 第6版). PMDA掲載:https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/670227_3399414D1022_2_05、KEGG MEDICUS掲載:https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00070274(いずれも2026年9月24日閲覧).
  4. De Simone B, Chouillard E, Podda M, et al. The 2023 WSES guidelines on the management of trauma in elderly and frail patients. World J Emerg Surg. 2024;19:18. doi:10.1186/s13017-024-00537-8. PMID: 38816766.
  5. Sarode R, Milling TJ Jr, Refaai MA, et al. Efficacy and safety of a 4-factor prothrombin complex concentrate in patients on vitamin K antagonists presenting with major bleeding: a randomized, plasma-controlled, phase IIIb study. Circulation. 2013;128(11):1234-1243. doi:10.1161/CIRCULATIONAHA.113.002283. PMID: 23935011.
  6. CSLベーリング. ケイセントラ静注用500・1000(乾燥濃縮人プロトロンビン複合体)電子添文(2025年5月改訂 第3版). KEGG MEDICUS掲載. https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00066866(2026年9月24日閲覧).
  7. Connolly SJ, Sharma M, Cohen AT, et al. Andexanet for factor Xa inhibitor-associated acute intracerebral hemorrhage. N Engl J Med. 2024;390(19):1745-1755. doi:10.1056/NEJMoa2313040. PMID: 38749032.
  8. U.S. Food and Drug Administration. Update on the Safety of Andexxa. FDA Safety Communication. 2025年12月18日. https://www.fda.gov/vaccines-blood-biologics/safety-availability-biologics/update-safety-andexxa(2026年9月24日閲覧).
  9. Cooksey GE, Hamilton LA, McMillen JC, et al. Impact of factor Xa inhibitor reversal with prothrombin complex concentrate in patients with traumatic brain injuries. Neurocrit Care. 2022;37(2):471-478. doi:10.1007/s12028-022-01521-3. PMID: 35624388.
  10. 林 俊彦, 阿部大数, 稲次基希, 唐鎌 淳, 石井洋介, 廣田 晋, 早川隆宣, 前原健寿. 抗凝固薬内服中の外傷性頭蓋内出血例に対する中和剤使用の検討. Journal of Japan Society of Neurological Emergencies & Critical Care. 2026;38(2):71-79. doi:10.11170/jjsnecc.38.2_71.
  11. 日本外傷診療研究機構. JATEC コースに関連する改訂の概要(外傷初期診療ガイドライン改訂第6版). https://www.jtcr-jatec.org/JATEC6th_kaiteigaiyo.pdf(2026年9月24日閲覧).
  12. Pollack CV Jr, Reilly PA, van Ryn J, et al. Idarucizumab for dabigatran reversal — full cohort analysis. N Engl J Med. 2017;377(5):431-441. doi:10.1056/NEJMoa1707278. PMID: 28693366.
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  14. Goldstein JN, Refaai MA, Milling TJ Jr, et al. Four-factor prothrombin complex concentrate versus plasma for rapid vitamin K antagonist reversal in patients needing urgent surgical or invasive interventions: a phase 3b, open-label, non-inferiority, randomised trial. Lancet. 2015;385(9982):2077-2087. doi:10.1016/S0140-6736(14)61685-8. PMID: 25728933.
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  22. Prexl O, Bruckbauer M, Voelckel W, et al. The impact of direct oral anticoagulants in traumatic brain injury patients greater than 60-years-old. Scand J Trauma Resusc Emerg Med. 2018;26:20. doi:10.1186/s13049-018-0487-0. PMID: 29580268.
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  24. Nagai A, Karibe H, Narisawa A, Endo H. 抗凝固薬の特異的中和薬を使用した頭部外傷患者の特徴と転帰. Journal of Japan Society of Neurological Emergencies & Critical Care. 2024;36(2):27-33. doi:10.11170/jjsnecc.36.2_27.
  25. 日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会 編. 脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕. 協和企画; 2025年8月30日発行. ISBN 978-4-87794-241-0. 書誌:https://www.kk-kyowa.co.jp/service/publishing/book_list/d20250830/(2026年9月24日閲覧、本文未取得).
  26. 日本循環器学会/日本不整脈心電学会. 2024年JCS/JHRSガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈治療. 2024年3月8日発行(2025年5月26日更新). https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2024/03/JCS2024_Iwasaki.pdf(2026年9月24日閲覧、該当節の本文は未取得).
  27. Fukuoka H, et al. アンデキサネットアルファ投与後に両側腎動脈閉塞を含む,多発動脈閉塞をきたした1例. 日本臨床救急医学会雑誌. 2025;28(3):583-588. doi:10.11240/jsem.28.583.
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  29. Morimoto K, et al. DOAC中和剤によるヘパリン抵抗性に対してナファモスタットを用いた急性大動脈解離の1手術例. 日本心臓血管外科学会雑誌. 2024;53(3):127-130. doi:10.4326/jjcvs.53.127.

医学的内容の最終確認日・確認範囲

文献ごとの確認範囲を開く(最終確認日:2026年9月25日)

医学的内容の最終確認日:2026年9月25日(著者確認)。文献照合日:2026年9月24日(文献検索も同日)。この日は一般の検索エンジンが使えず、PubMed本体とPMCのページは取得できなかったため、書誌と抄録はNCBIのBioC(PubMedの抄録)、Crossref、OpenAlex、Semantic Scholar、J-STAGEの検索API、出版社・学会・公的機関の公開資料で確認した。いずれも本文を要約した形でしか読めなかったため、数値は抄録の該当部分を取り出して照合し、群の向きや母数が確かめられない値は本文に入れていない。Crossrefで照会した文献(ANNEXA-I、ANNEXA-4最終報告、Sarode 2013、欧州外傷出血ガイドライン第6版、ANNEXA-Iの追加解析3件、ACC 2020)のうち、訂正の登録があったのはACC 2020の正誤表のみで、撤回の登録はなかった。その他の文献の訂正の有無は照会していない。検索記録は編集部で保管している。数値・用量・適用条件を含む医学的内容は、2026年9月25日に著者(医師)が確認した。

  • 全文(公開ページ・PDF)の一部を確認:[1](専門家合意の本文から大出血の定義、ルーチンの中和、4因子PCCの記載を確認。全体は未確認、正誤表の内容は未確認)、[4](推奨4.1と関連するステートメントのみ。中和薬の推奨は取得できず)、[11](改訂概要の全体)、[26](目次と該当節の見出しのみ)、[19](抄録とANNEXA-Iに関する本文の記述)、[22](抄録と、本文の群別の例数)。
  • 推奨の本文(出版社ページ)を確認:[15](脳内出血での中和に関する推奨文と強さ)。
  • 抄録のみ確認:[12] [13] [5] [14] [7] [17] [20] [18] [21] [9] [10] [24]。本文中の数値は抄録にある範囲に限った。[17] [20]はCrossref掲載の抄録で、数値は例数と主要な値に限った。
  • 公式情報を確認:[2] [3] [6] [16](KEGG MEDICUS掲載の電子添文、オンデキサはPMDAの掲載ページでも確認)、[8](FDAの安全性情報のページ)、[25](出版社の書誌ページのみ)。
  • 書誌のみ確認:[23](書誌と文献検索の期間のみ。抗凝固薬に関する推奨文は取得できず)、[27] [28] [29](J-STAGEの書誌。内容は題名の範囲でのみ記載)。
  • 未取得:ANNEXA-Iの本文と補足資料(除外基準、30日死亡の群別の値)、欧州外傷出血ガイドライン第6版の抗凝固薬の節、ASH 2018指針、ACS TQIP外傷性脳損傷ベストプラクティス(2024)の中和の節、JATEC改訂第6版の本文、脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕の本文、JCS/JHRS 2024の該当節の本文、ESC・AHA/ASAの関連指針。

更新履歴

更新履歴を開く(全5件・最新:2026年9月26日)
  • 2026年9月26日(表記):確認範囲の記載を読者向けの表現に改め、関連記事と分野の一覧へのリンクを加えた(医学的内容は変えていない)。
  • 2026年9月25日(著者確認):著者(医師)が数値・用量・適用条件を含む医学的内容を確認した。確認日の表記を更新した。
  • 2026年9月24日(改訂):原著照合にもとづき全面改訂。冒頭の要点、対象と扱わない範囲、大出血の定義(ACC 2020)、検査の読み方(WSES 2023)、ワルファリン中和の2つの無作為化試験(Sarode 2013、Goldstein 2015)、RE-VERSE AD・ANNEXA-4・ANNEXA-Iの対象と群別の値・評価時点、ANNEXA-Iの追加解析、FDAの判断の内容、頭部外傷の観察研究(Prexl 2018、Cooksey 2022)、指針の比較表、中和薬の主要試験を比べる根拠の比較表、「日本で実施するとき」(JATEC改訂概要、国内の指針の確認状況、4製剤の電子添文と薬価、適応外使用、国内研究2件と症例報告)、文献ごとの確認範囲を追加した。改訂前に欧州外傷出血ガイドライン第6版を出典としていた記述(ビタミンK拮抗薬へのPCCとビタミンKの早期併用、PCC 25〜50 U/kg)は、推奨文を原文で確認できなかったため本文から外した。文献一覧の直後にあった「関連して読む」(2本)を独立した「関連記事」の節に改め、5本にした。理由:更新履歴、主要試験の比較、国内での適用、文献ごとの確認範囲の記載が不足していたため。
  • 2026年9月20日(更新):サイト上の更新日。変更内容の記録はない。保存されている唯一の版(2026年9月15日)と改訂前の本文を目視で比べたところ、本文の文言に違いは見当たらず、目次の差し込み部分の表記だけが異なっていた。
  • 2026年9月15日(初回公開):欧州外傷出血ガイドライン第6版、国内の電子添文3件、RE-VERSE AD、ANNEXA-Iとその追加解析、FDAの安全性情報(文献10件、文献確認日2026年9月15日)にもとづく版として公開。

本記事は医療従事者への教育および一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。実際の診療では、各施設のプロトコルおよび最新の診療ガイドラインをご確認ください。
利益相反:本記事に関連して開示すべき利益相反はありません。

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外科医・救急科専門医。外傷外科、Acute Care Surgery、救急・集中治療領域の診療と研究に従事しています。外傷性凝固障害、出血性ショック、止血蘇生、大量輸血、腹部外傷を中心に、臨床で使えるエビデンスを解説します。

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