PTD ZERO / LEARNING GUIDE
次に学ぶことを、
目的から選ぶ。
JATEC、MIMMS、ACLS、FCCS、MCLS、C-BEST、献体を用いた実習、DSTC、SSTT、DIRECT、外傷外科手術指南塾、ASSETの12項目。研修医・救急科専攻医・外傷外科を目指す医師へ、学べる領域と受講前に確かめたいことをまとめました。
公式情報確認:2026年9月20日 / 編集:外傷外科医ベル・PTD ZERO
いま、補いたい力は?
一律の受講順や、全コースの受講を勧めるものではありません。担当する診療と研修目標に合わせて選ぶためのガイドです。
01 / TRAUMA INITIAL CARE
JATEC|外傷初期診療の土台を整える
外傷患者を受け入れたときの評価と対応を学ぶ、医師向けの外傷初期診療研修です。手術手技そのものを学ぶコースとは役割が異なります。
対象と形式
公式の受講者概要では、医師免許を持ち、外傷診療に関心のある医師が対象で、日程は2日間とされています。一定の臨床経験を想定した内容のため、臨床経験がごく浅い段階では十分な効果が得られない場合がある、との案内もあります。申込時には最新の募集要項を確認してください。
こんな課題を感じたときに
救急外来で外傷患者を経験し、「所見は拾えても、評価や対応の優先順位を整理しにくい」と感じたとき。経験した場面を振り返ってから受講すると、日常診療につなげやすくなります。
受講前の問い:自施設では誰が初期診療を統括し、手術・IVR・転送をどのように相談していますか?
公式の受講案内 →開催予定を確認 →02 / MAJOR INCIDENT MANAGEMENT
MIMMS|災害・大事故で医療を組み立てる
多数傷病者が発生する状況で、医療対応をどう管理するかを学びます。個々の患者への処置だけでなく、指揮・連携・資源配分など、組織としての動きに視点を広げるコースです。
現場と病院、目的に合う形式を選ぶ
- Advanced MIMMS:3日間。講義、通信・トリアージ、机上・現場想定の演習などを通して学び、指揮を担う立場にもつながる内容です。
- MIMMS One-day:1日間。現場で活動するスタッフ向けの内容を凝縮した形式です。
- Hospital MIMMS:2日間。病院の受け入れから機能の回復までを、病院全体の対応として考えます。
- Hospital MIMMS One-day:1日間。病院対応を学ぶ別形式です。
医師・看護師に限らず、消防・救急、警察、行政など、多職種が関わる教育です。対象と申込条件は各回の案内で確認してください。
選び方:「現場に派遣されるのか」「院内の受け入れを担うのか」を先に決めると、コースを選びやすくなります。MCLSの上位・下位という関係ではなく、学びたい役割から比較しましょう。
公式のコース比較・案内 →03 / RESUSCITATION
ACLS|チームで行う二次救命処置
Advanced Cardiovascular Life Support。AHAが提供する、心停止などの心血管救急に対応する医療従事者向けの教育です。BLSを土台に、チームでの蘇生対応を学びます。
対象と形式
心停止や心血管救急に関わる医師、看護師、救急救命士などが対象です。インストラクターによる対面形式と、オンライン学習を組み合わせるHeartCode形式があります。HeartCodeも、オンライン学習だけで全課程が完了するわけではなく、所定の実技確認が必要です。AHAの修了カードの有効期間は2年間と案内されています。
外傷診療との関係
蘇生チームの中で共通の手順や役割を持つための基礎になります。一方、外傷初期診療を扱うJATECとは学習の範囲が異なるため、自分が補いたい領域を分けて考えると選びやすくなります。
受講前の確認:求められるBLSの技能、事前学習、受講言語、実技評価の方法を、開催するトレーニングセンターで確認しましょう。
AHA公式のコース案内(英語) →04 / CRITICAL CARE
FCCS|重症患者管理を体系的に学ぶ
Fundamental Critical Care Support。SCCMが開発した、重症患者の初期対応と管理の基礎を学ぶコースです。集中治療を専門としない医療従事者にも向けられています。
何を学ぶか
JSEPTICの紹介では、臓器灌流、酸素の需要と供給、ショック、輸液・電解質、酸塩基平衡などを、講義とスキルステーションで学びます。医師・研修医のほか、看護師、臨床工学技士、救急救命士なども対象に含まれます。
こんな課題を感じたときに
救急外来からICUへ診療が続くときや、手術後の重症患者を担当するときに、病態生理を整理して学び直したい場合に検討できます。集中治療専門医の資格を得る研修とは別です。
形式に注意:国内の開催案内には1日・2日・オンラインなど複数の形式があります。標準FCCSとFCCS Surgicalなどの区分も含め、当日の実習、事前学習、修了条件を各回の要項で確認してください。
JSEPTICのコース紹介 →国内の開催情報 →05 / MASS CASUALTY RESPONSE
MCLS|多数傷病者対応の共通言語を持つ
Mass Casualty Life Support。日本災害医学会による、多数傷病者への対応を学ぶ教育です。医療職だけでなく、消防・警察など、現場に関わる職種との連携を重視しています。
何を学ぶか
標準コースの公式資料には、指揮・連携、安全、情報伝達、状況評価などの考え方(CSCA)と、トリアージ・治療・搬送(3T)、机上演習や実技が示されています。DMATと連携するための共通認識にもつながりますが、受講によってDMAT隊員の資格を得るわけではありません。
申し込みは開催ごとの窓口へ
学会の案内では、原則として各コースの受講・見学の一般公募を行っていないとされています。地域や所属施設の研修担当者、各開催事務局に受講方法を確認してください。CBRNEコースなどは標準コースと区分・条件が異なります。
受講前の問い:自施設で多数傷病者の受け入れが始まったとき、あなたは誰に報告し、どこで、何を担当しますか?
学会の案内・受講方法を確認 →06 / TRAUMA SURGERY & ANATOMY
C-BEST|献体を用いた外傷手術の研修
「献体による外傷手術臨床解剖学的研究会」として、日本外科学会CST推進委員会の承認研修一覧に掲載されています。献体を用いる手術手技研修(CST)の中で、外傷手術に関わる研修として位置づけて理解すると整理しやすくなります。
公式資料で確認できたこと
2026年8月13日現在の承認研修一覧には、東京医科大学、愛知医科大学、鳥取大学などでの実施実績が記載されています。東京医科大学の記録には基礎コースとアドバンストコースがあります。
募集状況:この一覧は承認された研修の実施記録で、現在の募集一覧ではありません。本ページでは最新回の募集要項・参加条件・費用までは確認できていません。参加を検討する場合は、開催施設が出す最新の案内を確認してください。
受講前に確かめたいこと
扱う部位と手技、必要な外科経験、見学と実技の範囲、予習内容を確認しましょう。「基礎」「アドバンスト」という名称だけで判断せず、現在の研修内容と、自分が手術で担う役割が合っているかを指導医と相談するのが実用的です。
日本外科学会の承認研修一覧(PDF) →07 / CADAVER SURGICAL TRAINING
献体を用いた実習|解剖を手術の理解につなぐ
献体を用いた臨床解剖・手術手技実習は、単一のコース名ではありません。CST(Cadaver Surgical Training)を含め、開催施設、対象領域、研修目的によって内容が異なります。外傷手術、局所解剖、特定の手術手技など、学習目標を確かめて選ぶことが大切です。
「どの実習か」を具体的に比較する
- 学ぶ範囲:どの部位・進入路・手術手技を扱うか。
- 参加の形:見学中心か、参加者が実技を行うか。指導体制はどうか。
- 前提となる経験:参加対象と必要な手術経験・事前学習。
- 診療へのつなぎ方:実習後、所属施設の指導のもとで何を復習・実践するか。
日本外科学会は関連ガイドラインと承認研修一覧を公開しています。一覧に載っていることと、現在参加者を募集していることは別なので、申込先は開催施設の案内まで確認しましょう。
献体への敬意も、学びの前提
献体者とご遺族の意思・尊厳を尊重し、守秘と撮影・発信のルールを事前に理解して参加します。解剖室での撮影や、実習で知り得た内容のSNS発信を自己判断で行わず、主催者の説明と倫理指針に従ってください。
日本外科学会のガイドライン・研修情報 →献体解剖倫理指針(PDF) →08 / DEFINITIVE TRAUMA SURGERY
DSTC|外傷手術のdecision makingとdamage controlを国際標準で学ぶ
IATSIC監修の外科医向け国際コース。講義、症例検討、skills labを通じ、major traumaの手術戦略・生理・damage controlを学ぶ。2026年日本開催は12月2–4日、ATLSまたはJATEC受講が条件、使用言語は英語と日本外科学会が案内している。
向く課題:「手技は知っているが、いつ開腹し、何を先に止め、どこで撤退するか」を鍛えたい。
09 / SURGICAL STRATEGY & TEAM
SSTT|日本の外傷手術を「戦略・戦術・チーム」で学ぶ
Surgical Strategy and Treatment for Trauma。JATECの先にある蘇生的手術・根本手術を、strategy、tactics、speed/suitability、teamworkとして学ぶ日本のコース。標準コースは大動物を用いる2日間で、日本外科学会外傷修練4点の対象。座学1日版もある。
特徴:手術手技だけでなく、外傷外科チーム全体のdecision makingを訓練する。
10 / IMAGING & IVR
DIRECT|画像診断とIVRを外傷decision makingにつなぐ
Diagnosis and Interventional Radiology in Emergency, Critical care, and Trauma。日本外傷学会の専門医研修カリキュラムでは「DIRECTセミナー外傷画像診断コース」「DIRECTセミナーIVRハンズオンコース」が重要講習に含まれる。SSTT×DIRECTでは手術とIVRを両輪として4講義+4 Decision makingで治療戦略を学ぶ。
向く課題:「手術かTAEか」ではなく、CT・hybrid strategyを含めて順番を考えたい。
11 / TRAUMA OPERATIVE TRAINING
外傷外科手術指南塾|外傷手術を実践的に学ぶ国内研修
日本外科学会の外傷修練制度では「外傷外科手術指南塾受講」が外傷修練3点として記載されてきた。日本外傷学会総会のpre-congress courseとして開催実績もある。開催形式・募集状況は年度ごとの差が大きいため、最新の学会案内を確認する。
注意:今回確認できた公式情報では恒常的な最新募集ページを確認できていない。開催予定は学会プログラムで再確認する。
12 / SURGICAL EXPOSURE
ASSET|献体で「到達する解剖」を徹底して学ぶ
Advanced Surgical Skills for Exposure in Trauma。ACSの外傷手術courseで、日本では献体を用い、腋窩・上腕・膝窩、頸動静脈、胸部大動脈、clamshell、骨盤packing、腸骨血管、Mattox、Kocher、IVCなどへのexposureを1日で学ぶ。ATLS/JATEC受講と外科専門医相当の修練が望ましいとされ、日本外科学会外傷修練4点の対象。
強み:「損傷を直す」前に必要な、普段触らない血管・後腹膜へ安全に到達する解剖を反復できる。
研修と両立するための、受講前チェック
- 今の課題を一つ書く。外傷初期診療、蘇生、ICU、災害対応、手術のどこを補うか。
- 参加条件と形式を確かめる。対象職種、経験、事前課題、実技、試験、修了要件を確認する。
- 総負担を見積もる。受講料だけでなく、教材・予習時間・移動・宿泊・勤務調整まで含める。
- 受講後の振り返りを決める。指導医との振り返りや院内勉強会など、診療に戻して学ぶ機会を作る。
ここでの「選び方」はPTD ZEROの編集上の提案です。公式の参加要件や、専門医制度上の必須要件を示すものではありません。
よくある疑問
研修医は、どれから受けるとよい?
卒後年数だけでは決めず、担当する診療と受講条件を照らし合わせましょう。蘇生、外傷初期診療、重症患者管理など、今の課題に近いコースを検討し、指導医と学習目標を共有すると選びやすくなります。JATECは一定の臨床経験を想定している点にも注意してください。
外傷外科を目指すなら、全部必要?
この12項目は同じ領域の研修ではなく、すべてを一括で受講する順番表でもありません。日々の診療・外科研修と並行し、補いたい領域を選ぶ使い方を想定しています。資格・研修プログラム上の要件は、所属先と各制度の最新案内で確認してください。
C-BESTと献体実習は別のもの?
C-BESTは、献体を用いた外傷手術の研修です。「献体実習」はそれを含みうる広い分類なので、重なりがあります。今回は、名前から探せるC-BESTと、他の実習も比較するためのCSTの案内を分けて掲載しています。
費用、日程、更新、専門医の単位は?
開催回や形式、制度によって異なるため、各公式リンクから最新の募集要項を確認してください。本ページの掲載は参加枠の確保や募集中であることを意味しません。
掲載内容は各主催団体・学会等の公開資料を参照した紹介です。受講体験に基づく評価や、主催団体による推薦・提携を示すものではありません。コース内容や参加条件は変更されることがあります。情報の訂正・更新のご連絡は ts@saveptdqq.com へ。
