出血性ショックを伴う外傷患者の麻酔導入では、気管挿管の成功と、導入後に循環を保てたかを分けて評価する必要がある。重症成人2,365例の無作為化試験では、ケタミンはエトミデートと比べて28日死亡を有意には減らさず、挿管時の循環虚脱はケタミン群に多かった(外傷が主診断の患者は除外)。本稿は成人の出血性外傷を対象に、導入薬と筋弛緩薬、前酸素化と喉頭鏡、血管アクセスと急速輸液、血圧目標と昇圧薬、輸血・トラネキサム酸・カルシウム・体温を、主要な試験の対象・結果と外傷への当てはめの限界とともに整理する。
医療従事者向け:本記事は教育および一般的な医学情報の提供を目的としています。個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。
まず押さえる要点
- 導入薬の名前だけでは循環は守れない。RSI試験(米国14施設の重症成人2,365例、外傷が主診断の患者は除外)で、28日までの院内死亡はケタミン28.1%対エトミデート29.1%(調整リスク差−0.8ポイント、95%CI −4.5〜2.9)、挿管時の循環虚脱は22.1%対17.0%(差5.1ポイント、95%CI 1.9〜8.3)だった[1][2]。外傷患者で導入薬を比べた無作為化試験は本稿の確認範囲では見つからず、外傷のデータは観察研究にとどまる[3][4]。薬剤名と一緒に、用量、輸血の実投与、昇圧薬、止血までの見通しを共有する。
- 気道確保は遅らせないが、急がなくてよい患者では止血と時機を合わせる。欧州外傷出血ガイドライン第6版は、気道閉塞、意識障害(GCS 8以下)、低換気、低酸素血症があれば遅滞なく気管挿管などの気道確保を行うこと(1B)と、受傷から止血までの時間を最小にすること(1B)を推奨する[5]。NIVによる前酸素化(PREOXI)とビデオ喉頭鏡(DEVICE)は重症成人で低酸素血症・初回失敗を減らしたが、循環虚脱や死亡を主要評価として検証した試験ではない[6][7]。
- 止血前の血圧目標は、脳損傷の有無で変わる。同指針は、脳損傷の臨床所見がなければ止血まで収縮期血圧80〜90 mmHg(平均動脈圧50〜60 mmHg)を目標とする制限的な輸液(1B)、GCS 8以下の重症頭部外傷では平均動脈圧80 mmHg以上(1C)、目標に届かなければ輸液に加えてノルアドレナリン(1C)を推奨する[5]。外傷の出血性ショックで昇圧薬の生存利益を示した無作為化試験はなく、早期ノルアドレナリンと24時間死亡の間に有意な関連はなかった(観察研究)[8]。
- 流量は針の表示ではなく、回路全体で決まる。ベンチ実験では、14Gの単腔中心静脈カテーテルと18Gの末梢留置針の流量が同程度で、針なしコネクタは血液用回路の流量を75%下げた[9]。8.5 Frシースに針なしコネクタを付けると、生理食塩液の流量は64 mL/minまで落ちた[10]。カタログ値や生理食塩液の実験値を、患者への赤血球製剤の投与速度として読まない。
- 輸血・トラネキサム酸・カルシウムは、決まった型だけでは完結しない。PROPPRの1:1:1は主要評価の24時間・30日死亡に有意差がなかった(止血達成と24時間以内の失血死は改善)[11]。トラネキサム酸は受傷3時間以内の投与が前提で、3時間を過ぎた開始では出血死が増えた(探索的解析)[12][5]。カルシウム補充の生存利益は示されていない[13]。国内では、添付文書上の効能・用量と海外試験の用法が一致しない薬剤がある(「日本で実施するとき」)。
対象と扱わない範囲
対象:成人(多くの研究は18歳以上)の外傷で、出血性ショックまたは大量出血が疑われ、救急外来や手術室で麻酔導入(気管挿管)から止血までを管理する場面。麻酔科医、救急医、外科医が導入前後に共有すべき判断を扱う。引用する気道・導入薬の試験の多くは外傷に限らない重症成人が対象で、その都度、外傷に当てはめる際の限界を示す。
扱わない範囲:
- 小児、妊婦、熱傷。妊婦は妊産婦外傷の初期対応を参照。
- 孤立性頭部外傷の包括的な管理。頭部外傷を合併する場合の例外(血圧目標、換気、ケタミン、輸血閾値)は各節で示す。
- 大量輸血プロトコル(MTP)の設計と国内の製剤単位での読み替え。大量輸血プロトコル(MTP)を参照。
- 外傷性凝固障害の病態(外傷性凝固障害(TIC))、止血手技(ダメージコントロール手術、骨盤骨折出血)、抗凝固薬の中和(抗凝固薬内服中の外傷)。
- 外科的気道確保などの困難気道の手技、個々の薬剤の用量の推奨。本稿は試験と国内添付文書の用量を紹介するにとどめる。
1.気道確保と導入:挿管の成功と導入後の循環を分けて考える
1-1.挿管の周辺で何が起きているか
研究結果INTUBEは、29か国197施設のICU・救急外来・病棟で2018年10月〜2019年7月に挿管された重症患者2,964例を追った前向き観察研究である。挿管開始から30分以内の重大な有害事象(循環不安定、SpO2 80%未満の重度低酸素血症、心停止のいずれか)は45.2%に起き、循環不安定42.6%、重度低酸素血症9.3%、心停止3.1%だった。循環不安定の定義は、収縮期血圧65 mmHg未満が1回以上、90 mmHg未満が30分を超える、昇圧薬の新規開始・増量、15 mL/kgを超える輸液ボーラスのいずれかである。主な挿管理由は呼吸不全52.3%、神経学的障害30.5%、循環不安定9.4%で、出血性外傷だけの頻度ではない[14]。
本稿の解釈この数字を外傷患者の発生率として使うことはできない。持ち帰るのは、「一回で入った」と「導入後に血圧と灌流を保てたか」を別の項目として記録する姿勢である。
1-2.指針は何を推奨しているか
指針欧州指針第6版の推奨3は、気道閉塞、意識障害(GCS 8以下)、低換気、低酸素血症があれば、気管挿管または代替の気道確保を遅滞なく行うことを推奨する(1B)。同じ推奨で、低酸素血症の回避(1A)、差し迫った失血がある場合を除く高酸素血症の回避(提案、2B)、正常換気(1B)、脳ヘルニアの徴候がある場合の救命的な過換気(提案、2C)を挙げる。推奨1は、受傷から止血までの時間を最小にすることを推奨する(1B)[5]。
指針英国の重症成人の気管挿管の指針(Higgs 2018)は、酸素化(前酸素化と挿管中の酸素化)を最優先し、修正した迅速導入、画面を全員が見られるビデオ喉頭鏡の早期使用、第2世代声門上器具による救済を推奨している(抄録で確認)[15]。
指針国内では、JATECの改訂概要(外傷初期診療ガイドライン改訂第6版)が、RSIを含め、咽頭反射のある患者に鎮静・鎮痛薬などを用いる挿管を drug-assisted intubation(DAI)として解説し、「確実な気道確保」のアルゴリズムを簡素化したと記載している。導入薬の選択や用量をどう書いているかは、本文を取得できず未確認である[16]。
本稿の解釈気道確保の適応がある患者では挿管を遅らせない。一方、直ちに気道確保を要さない患者では、輸血の開始、止血を行う場所への移動と、挿管の時機をチームで調整する。これは推奨3と推奨1を合わせた本稿の解釈で、「循環を先に」はすべての患者で挿管を後回しにする規則ではない。
1-3.導入薬:ケタミンとエトミデートの試験をどう読むか
重症成人を対象とした主な無作為化試験は3つあり、いずれも外傷に限った試験ではない。結果の向きは一致していない。
- 研究結果RSI試験(2025年オンライン公開):米国14施設の救急外来・ICUで挿管される重症成人2,365例を、ケタミン(1,176例)とエトミデート(1,189例)に割り付けた。主要評価の28日までの院内死亡は28.1%(330/1,173)対29.1%(345/1,186)で、施設で調整したリスク差は−0.8ポイント(95%CI −4.5〜2.9、P=0.65)。副次評価の挿管時の循環虚脱(収縮期血圧65 mmHg未満、昇圧薬の新規開始・増量、心停止のいずれか)は22.1%対17.0%(リスク差5.1ポイント、95%CI 1.9〜8.3)で、事前に定めた安全性の評価項目は両群で同程度だった[1]。
- 研究結果RSI試験のプロトコル論文:除外された診断は「救急外来を受診する前の主診断が外傷」のみである。ケタミンが頭蓋内圧を上げ得るという既存のデータと、外傷の有無で治療効果が異なる可能性を示した先行試験を理由に、外傷患者での比較は別の試験で評価すべきと判断したと記載している。循環虚脱は導入から挿管後2分までで評価し、用量は標準・中間・減量の3段階(ケタミン2.0・1.5・1.0 mg/kg、エトミデート0.3・0.25・0.2 mg/kg)を定めていた[2]。
- 研究結果KETASED(Jabre 2009):フランスの救急医療サービス・救急外来12施設とICU 65施設で、緊急挿管に鎮静を要した655例を、エトミデート0.3 mg/kg(328例)とケタミン2 mg/kg(327例)に割り付けた単盲検試験。病院到着前の死亡とICUを3日未満で退室した患者を除く修正ITT(234例対235例)で、主要評価のICU最初の3日間の最大SOFAスコアは10.3対9.6(平均差0.7、95%CI 0.0〜1.4、p=0.056)で有意差はなく、副腎不全はエトミデート群に多かった(OR 6.7、95%CI 3.5〜12.7)[17]。外傷のサブグループの結果は抄録になく、本文は未取得である。
- 研究結果Matchett 2022:米国の単施設で、麻酔科の気道チームが緊急挿管した重症患者801例を、エトミデート0.2〜0.3 mg/kg(400例)とケタミン1〜2 mg/kg(401例)に割り付けた非盲検試験。解析396例対395例で、主要評価の7日生存はエトミデート群77.3%対ケタミン群85.1%(差−7.8、95%CI −13〜−2.4、p=0.005)だったが、28日生存は64.1%対66.8%(差−2.7、95%CI −9.3〜3.9、p=0.294)で有意差はなかった[18]。
研究結果RSI試験より前の試験を統合したベイズ・メタ解析(無作為化試験7件と傾向スコア一致研究1件、計2,978例、2023年4月27日までの検索)では、死亡はケタミン25%対エトミデート27%(RR 0.93、95%確信区間0.79〜1.08)で、ケタミンが死亡を減らす確率は83.2%とされた。導入後の平均動脈圧や初回成功を含む副次評価に有意差はなかった[19]。この解析にRSI試験は含まれていない。
外傷患者のデータは観察研究にとどまる。
- 研究結果Upchurch 2017:米国のレベルI外傷センター1施設で、RSIの導入薬をエトミデートからケタミンへ切り替えたプロトコル変更の前後4年間(2011年1月〜2014年12月)の成人外傷968例(エトミデート526例、ケタミン442例)。院内死亡はケタミン20.4%、エトミデート17.3%(調整OR 1.41、95%CI 0.92〜2.16)で、ICU非滞在日数と人工呼吸器非装着日数も同程度だった[3]。
- 研究結果Leede 2021:米国のレベルI外傷センター8施設の後ろ向き研究(2014〜2019年)で、成人外傷2,092例(エトミデート85%、ケタミン8%、プロポフォール7%)。導入前の収縮期血圧はケタミン群で低かった(135、125、135 mmHg、p=0.04)が、RSI前後の収縮期血圧の平均変化は0.2、5.2、−1.8 mmHg(p=0.4)で差はなかった[4]。
- 研究結果Kim 2023:韓国のレベル1外傷センター1施設(2019〜2021年)で外傷初療室の挿管944例を見直し、620例(ケタミン118例、エトミデート502例)を解析した。ケタミン群は初期の心拍数が多く血圧が低かった(収縮期血圧114.2対139.3 mmHg)。傾向スコアで1:3に一致させた解析で、初回成功率と最終的な死亡に有意差はなかった[20]。
本稿の解釈観察研究では、血圧の低い患者にケタミンが選ばれやすい(適応による交絡)。外傷の観察研究で差が出ないことは、同等であることの証明ではない。RSI試験の循環虚脱の差は、外傷を除いた重症成人での結果である。「ケタミンなら循環が安定する」とも「エトミデートなら安全」とも言えず、どちらを選んでも減量、輸血の実投与、昇圧薬の準備、導入後の再評価を同時に進める。
研究結果頭部外傷とケタミン:Gregers 2020の系統的レビュー(11研究、334例、無作為化試験は3件でいずれも割り付けの隠蔽と盲検がなかった)は、根拠の水準は低いとした。頭蓋内圧を評価した研究はICUで調節換気下の患者が対象で、頭蓋内圧が小さく上がった研究が2件、下がった小規模研究が2件あり、ケタミン使用時の害の根拠は見いだせなかったとしている[21]。
一方、国内のケタラール静注用の電子添文は、脳血管障害、高血圧(収縮期圧160 mmHg以上、拡張期圧100 mmHg以上)、脳圧亢進症、重症の心代償不全の患者などを禁忌とし、用法は初回1〜2 mg/kgを1分以上かけて緩徐に静注としている[22]。レビューの結果を「頭部外傷でも使える」と一般化せず、国内では禁忌との関係を施設で確認する。
未確認エトミデートは、KEGG MEDICUSの医薬品検索(2026年9月25日)で国内の製品が見つからなかった[23]。国内で承認・販売されている製剤は本稿の確認範囲では見当たらず、PMDAでの照会は行っていない。海外の比較試験を、そのまま国内の選択肢の比較として読むことはできない。
1-4.筋弛緩薬:ロクロニウムとスキサメトニウム
研究結果CURASMURは、フランスの病院前救急17施設(2014年1月〜2016年8月)で病院前のRSIを要した成人1,248例を、ロクロニウム1.2 mg/kg(624例)とスキサメトニウム1 mg/kg(624例)に割り付けた単盲検の非劣性試験である。プロトコル遵守解析1,226例で、初回挿管成功は74.6%(455/610)対79.4%(489/616)、差−4.8%(片側97.5%CI −9%〜)で、非劣性マージン7%を満たさなかった。低酸素血症は9.0%対9.9%、低血圧は6.4%対10.1%だった[24]。外傷患者の割合と外傷のサブグループの結果は抄録にない。
国内の電子添文では、エスラックス(ロクロニウム)の挿管用量は0.6 mg/kg、上限は0.9 mg/kgで、CURASMURの1.2 mg/kgは添付文書の上限を超える[25]。ブリディオン(スガマデクス)は、ロクロニウムの挿管用量の投与直後に緊急に筋弛緩からの回復が必要な場合、ロクロニウム投与3分後を目安に16 mg/kgを静注するとしている[26]。スキサメトニウム注は1回10〜60 mgの静注で、急性期後の重症の熱傷、急性期後の広範性挫滅性外傷、四肢麻痺のある患者を、血中カリウム上昇による心停止のおそれから禁忌としている[27]。
本稿の解釈同じ患者でも、受傷直後の導入と、日数がたってからの再手術では、スキサメトニウムの禁忌に当たるかが変わり得る。受傷からの日数と挫滅の範囲を麻酔記録に残す。
1-5.前酸素化とビデオ喉頭鏡
- 研究結果PREOXI:米国24施設の救急外来・ICUで挿管される18歳以上の重症成人1,301例で、非侵襲的換気(NIV)による前酸素化と酸素マスクを比べた。主要評価の挿管中の低酸素血症(導入から挿管後2分までのSpO2 85%未満)は9.1%(57/624)対18.5%(118/637)、差−9.4ポイント(95%CI −13.2〜−5.6)。心停止は0.2%対1.1%(差−0.9、95%CI −1.8〜−0.1)、誤嚥は0.9%対1.4%(差−0.4、95%CI −1.6〜0.7)だった[6]。
- 研究結果DEVICE:米国17施設の救急外来・ICUで挿管される重症成人で、ビデオ喉頭鏡と直視型喉頭鏡を比べた。1回の中間解析で有効中止となり、最終解析は1,417例(91.5%は救急科レジデントまたはクリティカルケアのフェローが実施)。初回成功は85.1%(600/705)対70.8%(504/712)、差14.3ポイント(95%CI 9.9〜18.7)。重篤な合併症(重度低酸素血症、重度低血圧、昇圧薬の新規開始・増量、心停止、死亡)は21.4%対20.9%(差0.5、95%CI −3.9〜4.9)で、食道挿管、歯の損傷、誤嚥も同程度だった[7]。
本稿の解釈どちらも出血性外傷に限った試験ではない。顔面外傷、嘔吐や口腔内の出血、頸椎を保護した挿管では、NIVによる前酸素化が使えるとは限らず、ビデオ喉頭鏡の視野も血液で妨げられ得る。PREOXIは酸素化、DEVICEは初回成功への介入で、DEVICEの重篤な合併症(低血圧を含む)に差はなかった。吸引、頸椎保護、救済手段まで含めて準備する。
1-6.導入直後の循環悪化:原因を並べて確認する
研究結果PREPARE IIは、米国11のICUで鎮静下に陽圧換気を伴う挿管を受ける重症成人1,067例(解析1,065例)を、500 mLの輸液ボーラスありとなしに割り付けた。循環虚脱(導入から挿管後2分までの昇圧薬の新規開始・増量または収縮期血圧65 mmHg未満、あるいは挿管後1時間以内の心停止・死亡)は21.0%対18.2%(差2.8%、95%CI −2.2〜7.7%)で有意差はなかった[28]。ICUの重症成人の試験で、出血性ショックに限ったものではなく、輸液ボーラス(液の種類は抄録に記載がない)の結果を血液製剤の投与に当てはめることはできない。
本稿の解釈導入後の低血圧を「導入薬のせい」と決めつけると、持続する出血、緊張性気胸、低酸素、チューブの位置異常、輸液路の閉塞や血管外漏出を見落とす。チューブ位置と換気、胸郭の動きと呼吸音、血液の実投与量、術野の出血、動脈圧波形を並行して確認する。昇圧薬は、出血源の制御と循環血液量の補充の代わりにならない。この確認の並びは本稿の整理で、順序を固定した検証済みのアルゴリズムではない。
2.血管アクセスと急速輸液:針の表示ではなく回路全体で考える
輸血を指示したこと、血液が届いたこと、患者の血管に入っていることは、それぞれ別の段階である。導入前には「輸血を頼んだか」に加えて、どの経路を通って、どれくらいの速度で実際に入っているかまで確認したい。この節の数値は、指針・ベンチ実験・メーカー資料のどれに由来するかを分けて示す。いずれも特定の装置の生存利益や、患者での実投与速度を示すものではない。
- 今ある静脈路から蘇生を始め、追加の経路、血液の供給、加温装置の準備を並行する。
- 深い静脈に短い針を選んで逸脱させない。「太く短く」は、抜けずに血管内にとどまる範囲での話である。
- 多腔の中心静脈カテーテル(CVC)と大口径シースは別物。本体の太さではなく、液体が通る内腔と回路全体を見る。
- 末梢静脈路がすぐ取れない緊急時は骨髄路を考える。皮下輸液は出血性ショックの蘇生経路にしない。
- 急速輸液装置の最大流量は目標投与量ではない。実流量、出血、灌流、体温、イオン化カルシウムを繰り返し評価する。
2-1.どこに確保するか
MSDマニュアル(2025年10月更新)は、成人の大量輸液には14Gまたは16Gを挙げ、上肢の部位が最も長持ちし合併症が少ないとして、下肢の静脈は上肢が使えない場合に限るとしている[29]。Association of Anaesthetistsの2025年の指針は、器具の選択、超音波ガイドやカテーテルの位置決めを含む挿入手技など6つの主題にわたる15の推奨を示している(抄録で確認。個々の推奨文は本文を取得できず未確認)[30]。
次の表は、部位を選ぶときの見方を本稿で整理したもので、施設の手順と採用品の添付文書を優先する。表はスマートフォンでは横にスクロールして読む。
| 候補 | 使いどころ | 外傷で確認したいこと |
|---|---|---|
| 前腕の橈側皮静脈・尺側皮静脈、肘正中皮静脈 | 視認・触知または超音波で、径のある直線的な部分を選ぶ。大量出血では14〜16Gを検討 | 肘窩は太い静脈を得やすいが、屈曲や移動で閉塞し得る。固定後も流れを確認する。細い手背の静脈に太いカテーテルを無理に入れない |
| 超音波で確認する上腕の静脈 | 見えない・触れない静脈を早めに探す。深い静脈には十分な長さのカテーテルを選ぶ | 上腕動脈・神経に近い深部静脈を区別する。刺入角度を含めた皮下の距離を考え、血管内に短くしか残らない留置を避ける |
| 外頸静脈 | 上肢で確保できない場合の候補 | 頸部損傷、頸椎固定具、気道の手技、手術野との競合を確認する |
| 内頸・大腿・鎖骨下(腋窩)静脈 | 大口径シースやCVCを、必要性と術者の経験から選ぶ | 頸胸部損傷、骨盤・腸骨静脈系の損傷、圧迫止血のしやすさ、術野を考える。超音波で静脈を確認し、拡張前にガイドワイヤーが静脈内にあることを確かめる |
| 損傷肢、感染部位、著しく腫れた部位 | 健常な部位を優先する | 投与した液体が漏れていないかを確認する。動脈シースやREBOAの経路を輸液用の静脈路と区別する |
経路の種類とサイズの読み方も整理しておく。
| 種類 | 太さ・長さの例/確認すること | 急速輸血との関係 |
|---|---|---|
| 短い末梢留置針 | 14〜22G、25〜50 mmの具体例を次の表に示す。Gの数字が小さいほど一般に太い | 確保が速く、短く太いものは高流量に向く。深い血管で短すぎると逸脱し得る |
| 長い末梢カテーテル・ミッドライン | 血管の深さに応じて選ぶ。規格は製品ごとに異なる | 固定性は得られるが、長さと接続部が流量を制限する。短い留置針の数値を流用しない |
| 急速輸液用の大口径末梢カテーテル | 外径、長さ、適合する血管径を製品ごとに確認する | 通常の多腔CVCとは用途が異なる。拡張操作を伴う製品では、ワイヤーが静脈内にあることを確認する |
| 中心静脈シース(イントロデューサー) | 後述の実験例は8.5 Frと9 Fr。製品の長さ、側管の内径、内腔に挿入する機器の有無を確認する | 輸液用の側管を添付文書どおりに使う。内腔に別のカテーテルを入れると、残る流路が狭くなる |
| 多腔の中心静脈カテーテル(CVC) | 本体のFr、各ルーメンのGと長さを別々に確認する | 昇圧薬などの持続投与には使いやすいが、本体が太く見えても各内腔は細い。大量出血用の経路として十分かは別に評価する |
| 骨髄針(EZ-IO) | 15G、長さ15・25・45 mm[31]。部位、皮下組織の厚さ、製品の適応で選ぶ | 静脈路が得られない緊急時の橋渡し。15Gの末梢静脈カテーテルと同じ流量にはならない(本稿の解釈) |
| 皮下輸液 | 静脈ではなく皮下組織に専用の針・カテーテルを置く方法 | 吸収を待つ経路で、出血性ショックの補充経路にならない[32] |
Frはカテーテル全体やシースの外径の規格、Gは針や各内腔の規格に使われることが多い。同じ数値でも、液体が流れる内径は同じとは限らない。多腔カテーテルでは、外径から1本の輸液路の流量を推定しない。
2-2.太さと長さでどれだけ変わるか:カタログ値と実験値を分ける
同じ製品系列の例として、B. Braun Vasofix Safety PURの英国公式カタログの掲載値を示す。患者に赤血球製剤を投与した実測値ではない。製品ページには試験液、液温、落差・圧などの測定条件が記載されておらず、特定の加圧条件や血液製剤で同じ流量が出るとは扱わない[33]。
| 規格 | カテーテル長 | 外径 | 内径 | 掲載流量(mL/min) |
|---|---|---|---|---|
| 14G | 50 mm | 2.20 mm | 1.80 mm | 343 |
| 16G | 50 mm | 1.70 mm | 1.30 mm | 196 |
| 18G | 33 mm | 1.30 mm | 1.00 mm | 103 |
| 18G | 45 mm | 1.30 mm | 1.00 mm | 96 |
| 20G | 33 mm | 1.10 mm | 0.80 mm | 61 |
| 22G | 25 mm | 0.90 mm | 0.60 mm | 36 |
掲載値では、14G・50 mmは18G・33 mmの約3.3倍、18G同士では45 mmが33 mmより約7%低い。ただし、この差を「長さだけを変えた実験の結果」と読まない。材質、実際の内径、ハブの形、測定系が違えば流量は変わる。採用品の仕様を確認するための比較例である。
流量を考える物理(Hagen–Poiseuilleの式):Q=πΔP r4/(8ηL)。Qは流量、ΔPは圧力差、rは内半径、ηは粘度、Lは長さで、円管の定常層流を仮定した式である。ほかの条件が同じ理想的な管なら、長さが2倍で流量は1/2、内半径が2倍で16倍になる。実際の輸液系にはハブ、弁、分岐、フィルター、圧の制御があり、血液の性質も単純なモデルに収まらない。GやFrの表示をそのままrに代入して患者の流量を計算しない。
研究結果Berman 2020のベンチ実験は、末梢・中心静脈カテーテル16種の流量を通常の輸液セットと急速輸液セットで測り、延長管・活栓・針なしコネクタを加えた影響と、血液製剤・膠質液の生理食塩液に対する相対粘度を調べた。最大流量は通常のセットで200 mL/min、急速輸液セットで800 mL/minで、太いカテーテルの多くでは輸液セットが流量を決める部分になった。14Gの単腔CVCと18Gの末梢留置針はすべてのセットで同程度の流量で、16Gの単腔CVCは20Gの末梢留置針より遅く22Gより速かった。追加部品は流量を下げ、針なしコネクタは血液用セットで流量を75%下げた。濃厚赤血球の粘度は生理食塩液の4.5倍だった[9]。
本稿の解釈「中心静脈に入っているから速い」とは限らない。生理食塩液の数値を輸血の速度として使わない。
2-3.太いシースでも遅くなる:接続部品と内腔の占有
研究結果Smeltz 2024は、急速輸液装置で室温の生理食塩液を8.5 Frと9 Frのイントロデューサーシースに流し、針なしコネクタや内腔に挿入したカテーテルの影響を測った。患者を対象としない実験である。抄録に示された値を次の表にまとめる[10]。装置の機種、圧の上限、測定回数、コネクタの製品名は本文を取得できず未確認である。
| 構成 | 8.5 Frシース(平均±SD、mL/min) | 9 Frシース(平均±SD、mL/min) |
|---|---|---|
| 追加部品なし | 抄録は「急速輸液装置が送れた最大流量は1,000 mL/min」と記載 | 同左 |
| 針なしコネクタを追加 | 64±6 | 61±7 |
| 7 Frのカテーテルを内腔に挿入 | 298±9 | 649±6 |
| 8 Frのカテーテルを内腔に挿入 | 74±9 | 356±14 |
本稿の解釈特定の製品と生理食塩液の結果で、血液製剤や患者での流量を保証するものではない。輸血が進まないときは、カテーテルの交換だけでなく、針なしコネクタ、三方活栓、延長管、屈曲、フィルター、シース内に入れた機器まで順にたどる。流量のために安全機構や必要なフィルターを外すのではなく、添付文書に適合する高流量用の回路を選び、接続の変更は清潔操作で行う。
2-4.骨髄路はいつ使うか。皮下輸液とは何が違うか
骨髄路は、静脈路がすぐ得られない緊急時に蘇生を始めるための選択肢である。Teleflexのオーストラリア・ニュージーランド向け製品ページは、穿刺部位として上腕骨近位と脛骨近位の動画を掲載し、針の長さを45 mm(40 kg以上)、25 mm(3 kg以上)、15 mm(3〜39 kg)と表示し、代替の静脈路がない場合に最長72時間まで使用できるとしている[34]。一方、米国向けのポケットガイド(2016年7月版)は、15Gの針で最長24時間とし、成人の穿刺後のフラッシュを5〜10 mL、最適な流量のために加圧して注入すること、血液・血液製剤を投与できることを記載し、覚醒患者では施設のプロトコルに応じてリドカインの骨髄内投与を考慮するとしている[31]。
本稿の解釈留置できる時間の記載は、地域と版で異なる。国内の採用品の添付文書で、適応、禁忌(穿刺部位の骨折など)、留置時間を確認する。国内の添付文書は本稿では未確認である。長さは主に骨に達するまでの深さで選び、15Gでも骨髄の抵抗が加わるため、自然滴下で十分な流量が出るとは限らない。骨髄路で大量出血の必要量をすべて賄えるとは考えず、安定した静脈路の確保も並行する。
皮下輸液(hypodermoclysis)は静脈路ではない。NHS Bordersの手順書は、皮下輸液は緊急時に使えず、低血圧またはショックの患者には使えないと明記している[32]。血管外に漏れた輸液を「皮下から吸収されるからよい」と扱うこともできない。
2-5.急速輸液装置と加温器:何を比べるか
比べる軸は、①どう圧を作るか、②どう温めるか、③流量を設定する機械か、④空気をどう検出・遮断するか、⑤どの使い捨て回路を使うか、である。次の表は海外の公開資料にもとづく例で、国内の採用品、回路、ソフトウェアの版で仕様が異なることがある。
| 装置 | 駆動・加温(メーカー資料) | 流量の読み方 | 使いどころと準備の焦点(本稿の整理) |
|---|---|---|---|
| Level 1 H-1200[35] | 硬い加圧チャンバーでバッグに一定の300 mmHgをかける。42℃の循環水による向流式の熱交換。空気検出・クランプ機構 | パンフレットの装置の最大は「最大1,400 mL/min」。回路ごとに「加温しながら流せる最大流量」が別に示される(次の表)。一定圧で流す方式で、流量を設定するポンプではない(本稿の解釈) | 持続する大量出血で加温した血液を急速に入れる場面。循環水、電源、適合する回路、バッグ交換、空気検出部への装着を確認する |
| Belmont Rapid Infuser RI-2[36] | 乾式の電磁誘導加温。超音波の空気検出器2個と患者側の安全弁 | 製品ページは2.5〜1,000 mL/min。英国軍仕様の取扱説明書は10〜750 mL/minで1,000 mL/minはオプションとし、2.5・5.0 mL/minは静脈路を保つ(KVO)ための設定としている。同説明書は、回路内圧が上限(工場設定300 mmHg)に近づくと流量を自動で下げるとしている | 流量の設定値、実流量、累積量、圧を見ながら大量輸血を行う場面。本体と患者ラインのプライミングを確認する |
| Hotline Blood and Fluid Warmer[37] | 三重管の回路で患者側まで加温する通常流量用の加温器(自然落下)。37〜42℃ | 上限は5,000 mL/時(約83 mL/min)。5,000 mL/minではない。加圧送液ポンプの能力を示すものではない | 必要な流量がこの範囲に収まる輸液・輸血の加温。急速な大量輸血が必要な患者で、急速輸液装置と同等には扱わない |
| 加圧バッグ+適合する輸血回路・加温器 | バッグの圧と回路の抵抗で送液する | 組み合わせで性能が変わり、一律の最大値は置けない | 専用装置の準備中にも使える構成を施設で決める。空気の混入、バッグ残量、温度、刺入部を監視する |
Level 1のパンフレットは、使い捨て回路ごとに「maximum normothermic flow rate」を示している。表示の42℃は循環水の温度で、患者に入る血液が常に42℃という意味ではない。回路表には流入する液の温度などの条件が書かれておらず、冷蔵の赤血球製剤を同じ速度・温度で投与できるとは結論できない[35]。
| 使い捨て回路 | Maximum normothermic flow rate(メーカー公表値) |
|---|---|
| D-60HL | 530 mL/min |
| D-70 | 675 mL/min |
| D-100 | 950 mL/min |
| D-300 | 1,100 mL/min |
指針ACS TQIPの大量輸血の指針(2014年)は、赤血球と血漿は急速輸血装置と血液加温器を通して投与し、血小板とクリオプレシピテートは血液加温器を通さないとしている[38]。Belmont RI-2の英国軍仕様の取扱説明書も、血小板、クリオプレシピテート、顆粒球浮遊液の加温には使わないこと、薬剤投与用ではないこと、乳酸リンゲル液などカルシウムを含む液をクエン酸加血液製剤と混ぜないことを記載している[36]。Belmontの製品ページの「1分未満で完全にプライミング」は、搬入、組み立て、血液の準備、患者への接続までを含む総準備時間ではない(本稿の解釈)[36]。
2-6.いつ準備を始め、何を確認するか
本稿の解釈「出血が何mLになったら」という単一の基準ではなく、出血の持続、灌流不全、今ある経路の実投与速度、止血までに見込む時間で判断する。次の段階分けは止血蘇生の原則を現場に落とした本稿の提案で、この順番が死亡率を改善すると検証した試験はない。
- 大量輸血が予想される段階:MTPの起動・血液搬送の連絡と同時に、担当者が装置と適合する回路を準備する。導入前から並行して進める。
- 血液は届いたが入らない段階:出血源への介入と並行して、刺入部、屈曲、活栓、接続部、装置の圧と実流量を確認する。必要なら追加の末梢路や大口径の経路を、静脈路が難しければ骨髄路を検討する。
- 導入の直前:経路の本数だけでなく、輸血の開始、実投与、担当者、バッグ交換、次の血液の到着、止血への移動を声に出して共有する。
- 止血の後:出血の速度と循環を再評価し、急速投与の設定を見直す。最大流量を保つこと自体を治療目標にしない。
速度の単位をそろえる:100 mL/minは6,000 mL/時、500 mL/時は約8.3 mL/minである。引き継ぎでは単位まで読む。実投与速度は「その時間に患者へ入った量÷時間」で確認し、プライミングに使った量や装置内に残る量を投与量に含めない。
次の表は、取扱説明書を読みながらチームで確認するための項目で、ボタン操作の代わりにはならない。装置を扱える担当者が操作し、採用品の添付文書と院内の輸血手順を優先する(本稿の整理)。
| 段階 | 具体的に確認すること |
|---|---|
| 役割と物品 | 患者と製剤の照合、血液の搬送、アクセスの確保、装置の操作を分担する。採用機種に合う回路、フィルター、プライミング液、電源をそろえる |
| 患者側の経路 | 静脈内・骨髄内の位置と固定、漏れ、腫脹、疼痛、屈曲を確認する。血液が流れる内腔を特定し、不要な細い延長管や抵抗の大きい接続を見直す |
| 回路の装着 | ポンプ、熱交換部、気泡検出部、クランプ・弁に指定どおり装着する。ルアーロック、閉じるべきポート、流れの向き、扉の閉鎖を確認する |
| 患者に接続する前のプライミング | 指定の液で回路を満たす。Belmont RI-2の取扱説明書は、本体は血液ではなく血液と適合する液でプライミングし、患者ラインは弁より先に空気がないことを確認するとしている[36] |
| 輸血の開始 | 患者と製剤を照合してから接続する。設定流量と実流量、圧、温度、患者の循環、刺入部を確認する。機器を回すためだけに晶質液を大量に入れない |
| 継続中 | バッグ・リザーバーの残量、血液の供給、気泡・高圧・温度のアラーム、実投与量、出血、体温、イオン化カルシウムを繰り返し確認する |
| 止血・移動 | 必要な速度に変更する。移動先の電源、回路の牽引、体位変換後の刺入部、加温を続ける条件を確認する |
本稿の解釈流れないとき:設定を上げ続けず、残量、クランプ、活栓、屈曲、コネクタ、フィルター、刺入部を患者側へ順にたどる。腫脹や血管外漏出を疑えば、その経路への投与を止めて別の経路を確保する。アラームは原因を確かめて対応し、検出機能を外して使い続けない。空気検出部を迂回して流量を上げない。
本稿の解釈カルシウムと薬剤の経路:カルシウム製剤や持続投与の昇圧薬を急速輸血のリザーバーに加える運用にせず、適合性を確認した別の経路で管理する。装置、輸血、薬剤それぞれの添付文書と施設手順を照合する。
2-7.動画で確認する
メーカーの公式チャンネルが公開している動画を紹介する。機器や部位の理解を助けるもので、針の太さ別の流量を同じ条件で比べた映像ではない。
本稿の解釈「14Gと18Gでどれだけ違うか」を目で見るなら、院内の研修で、同じ液体・温度・落差または圧・回路を使い、患者につながずに一定時間の排出量を測ると採用品の比較になる。針だけを替えた比較と、接続部品まで替えた比較を分け、条件を記録する。教育用の実測であり、血液製剤の患者での流量やメーカーの許容圧を置き換えるものではない。
3.血圧目標と昇圧薬:止血の前後と脳損傷の有無で変える
指針欧州指針第6版は、受傷後の初期に、脳損傷の臨床所見がなければ、大出血が止まるまで収縮期血圧80〜90 mmHg(平均動脈圧50〜60 mmHg)を目標とする制限的な輸液を推奨し(推奨13、1B)、GCS 8以下の重症頭部外傷では平均動脈圧80 mmHg以上の維持を推奨する(1C)。輸液は、低血圧の出血患者に0.9%食塩液または調整晶質液で開始し(1B)、重症頭部外傷では乳酸リンゲル液などの低張液を避け(1B)、膠質液は止血への悪影響から制限する(1C)。制限的な輸液で目標血圧に届かなければ、輸液に加えてノルアドレナリンを投与し(推奨14、1C)、心機能障害があればドブタミンを投与する(1C)[5]。
許容低血圧の根拠:
- 研究結果Bickell 1994:病院前の救急システムと重症外傷の受け入れ施設がそれぞれ1つの都市で、病院前の収縮期血圧90 mmHg以下の体幹部穿通性外傷の成人598例を対象に、病院前から輸液を行う即時群と、静脈路は確保するが手術室まで輸液しない遅延群を比べた。退院まで生存したのは遅延群70%(203/289)、即時群62%(193/309)(P=0.04)で、術後合併症は23%対30%(P=0.08)だった[39]。
- 研究結果Schreiber 2015(ROCの予備的RCT):19の救急医療サービスで、病院前の収縮期血圧90 mmHg以下の外傷192例を、制御した蘇生(橈骨動脈を触れないか収縮期血圧70 mmHg未満のとき250 mLずつ、97例)と標準の蘇生(まず2 L、以後は収縮期血圧110 mmHg以上を保つ、95例)に割り付けた。晶質液の量は1.0 L対2.0 L(差1.0 L、95%CI 0.6〜1.4)。24時間死亡は5%対15%(調整OR 0.39、95%CI 0.12〜1.26)で、鈍的外傷では3%対18%(調整OR 0.17、95%CI 0.03〜0.92)、穿通性外傷では9%対9%(調整OR 1.93、95%CI 0.19〜19.17)だった[40]。
本稿の解釈Bickellは1990年代の単一都市での穿通性外傷の試験、Schreiberは実行可能性を見た予備的な試験で、鈍的外傷での差はサブグループの結果である。いずれも、脳損傷を伴う患者に低い血圧目標を当てはめる根拠にはならない。数値を伝えるときは、止血の前か後か、脳・脊髄の灌流を優先すべき損傷があるかを一緒に伝える。脊髄損傷の血圧管理は急性脊髄損傷の初期診療と集中治療を参照。
昇圧薬の根拠:
- 研究結果ノルアドレナリン(Gauss 2022):米国とフランスの3つのレジストリ(2013〜2018年)で、病院前または来院時の収縮期血圧100 mmHg未満と出血の証拠がある鈍的外傷2,164例を解析した後ろ向き研究。止血前にノルアドレナリンの持続投与を受けたのは1,498例(69.2%)。24時間死亡は17.8%で、5つの解析方法のいずれでも、早期ノルアドレナリンと24時間死亡(平均処置効果 −4.6〔95%CI −11.9〜2.7〕〜2.1〔95%CI −2.1〜6.3〕)、院内死亡の間に有意な関連はなかった。著者は、安全性を評価するRCTが必要としている[8]。
- 研究結果バソプレシン(Sims 2019):レベル1外傷センター1施設の二重盲検プラセボ対照試験で、受傷12時間以内に血液製剤6単位以上を受けた18〜65歳の外傷100例(バソプレシン49例、プラセボ51例)。4単位のボーラスの後、平均動脈圧65 mmHg以上を保つよう0.04単位/分以下で48時間投与した。48時間の血液製剤は中央値1.4 L対2.9 L(P=0.01)で少なく、晶質液と昇圧薬の必要量に有意差はなく、死亡は12%(6/49)対12%(6/51)、深部静脈血栓症は11%(5/44)対34%(16/47)だった[41]。
- 進行中の試験:病院前のカルシウムと院内のバソプレシンをプラセボと比べる二重盲検試験(CAVALIER、18〜90歳の重症外傷)の試験ページには、2026年9月25日の確認時点で結果は掲載されていない[42]。
本稿の解釈昇圧薬は、出血源の制御と循環血液量の補充に「加える」位置づけで、代わりにはならない。Sims 2019は単施設・100例で、死亡を評価する規模ではない。国内では、ノルアドリナリン注の効能・効果は「各種疾患もしくは状態に伴う急性低血圧またはショック時の補助治療」である[43]。ピトレシン注射液の効能・効果に、ショックや低血圧は含まれていない[44]。
4.輸血・止血薬・カルシウム・体温
4-1.輸血比と凝固因子:比率は初期の供給の型
研究結果PROPPRは、北米のレベルI外傷センター12施設に到着し大量輸血が予測された重症外傷680例で、血漿:血小板:赤血球の1:1:1(338例)と1:1:2(342例)を比べた。主要評価の24時間死亡は12.7%対17.0%(差−4.2%、95%CI −9.6〜1.1%)、30日死亡は22.4%対26.1%(差−3.7%、95%CI −10.2〜2.7%)で有意差はなかった。事前に規定した副次評価では、1:1:1群で止血達成が多く(86%対78%)、24時間以内の失血死が少なかった(9.2%対14.6%、差−5.4%、95%CI −10.4〜−0.5%)[11]。
本稿の解釈早期にバランスのとれた製剤を供給する根拠にはなるが、「1:1:1で全死亡が減った」とは書けない。比率は試験で定めた製剤の構成で、国内の製剤単位に機械的に置き換えるものではない。国内の単位での読み替えはMTPの記事にまとめている。
指針欧州指針第6版は、大量出血が予想される初期に、フィブリノゲン濃縮製剤またはクリオプレシピテートと赤血球、あるいはFFPと赤血球を少なくとも1:2の比で投与する、のいずれかの戦略を推奨し(推奨25、各1C)、その後は標準的な凝固検査と粘弾性検査(VEM)の両方または一方に基づく目標指向型の管理を続けることを推奨する(推奨26、1B)。止血能の早期かつ繰り返しの監視も推奨している(推奨11、1C)[5]。
未選択の患者への一律の追加は、試験で利益が示されていない。
- CRYOSTAT-2:大出血プロトコルに加えて、無作為化から90分以内(受傷から3時間以内)にクリオプレシピテート3プール(フィブリノゲン6 g相当)を投与する群(799例)と標準治療(805例)を比べ、主要解析1,531例で28日死亡は標準治療26.1%対クリオ25.3%(OR 0.96、95%CI 0.75〜1.23)、血栓性イベントは12.9%対12.7%だった[45]。
- PROCOAG:大量輸血の危険がある外傷324例(4因子PCC 164例、生理食塩液160例)で、PCC 1 mL/kg(第IX因子25 IU/kg)は24時間の全製剤使用量を減らさず(中央値12単位対11単位、差0.2単位、95%CI −2.99〜3.33)、血栓塞栓イベントは35%対24%とPCC群に多かった[46]。
- FiiRST-2:大出血プロトコルの最初の2パックで、フィブリノゲン濃縮製剤4 gとPCC 2,000 IUを血漿4単位の代わりに用いた群(66例)と血漿群(71例)を比べ、24時間の輸血は平均20.8単位対23.8単位(平均比0.87、片側97.5%CI 0.00〜1.19、P=.20)で優越性は示されなかった[47]。
- ITACTIC:大出血プロトコルにVEMを加えた群(201例)と標準の凝固検査を加えた群(195例)で、24時間時点で生存かつ大量輸血を要しなかった割合は67%対64%(OR 1.15、95%CI 0.76〜1.73)で差はなかった[48]。
- 院外の全血輸血:SWiFT(解析616例)では、主要評価の発生は全血群48.7%対標準治療群47.7%(RR 1.02、95%CI 0.80〜1.31)[49]、TOWAR(解析993例)では30日死亡が全血群25.9%対成分群20.5%(調整OR 1.24、95%CI 0.87〜1.76)で、いずれも全血の優越性は示されなかった[50]。
本稿の解釈「低フィブリノゲン血症を確かめて補う」と「確かめずに一律に追加する」は別の問いで、上の試験は後者に答えたものである。有意差がないことは同等であることの証明ではない。試験の組み入れ基準と詳しい比較はMTPの記事を参照。
4-2.トラネキサム酸:適応と投与時刻を一緒に扱う
研究結果CRASH-2は、40か国274施設で、受傷8時間以内の、大出血があるかその危険がある成人外傷20,211例を、トラネキサム酸(1 gを10分で投与し、続いて1 gを8時間で投与)とプラセボに割り付けた。受傷4週間以内の院内死亡は14.5%対16.0%(RR 0.91、95%CI 0.85〜0.97)、出血による死亡は4.9%対5.7%(RR 0.85、95%CI 0.76〜0.96)だった[51]。受傷からの時間で分けた探索的解析では、出血死のRRは1時間以内0.68(95%CI 0.57〜0.82)、1〜3時間0.79(0.64〜0.97)で低下したが、3時間を超えた開始では1.44(1.12〜1.84)と上昇した[12]。
研究結果PATCH-Traumaは、オーストラリア、ニュージーランド、ドイツの15の救急医療サービスで、外傷性凝固障害の危険がある重症外傷の成人1,310例を、病院前のトラネキサム酸1 g(来院後に1 gを8時間で追加)とプラセボに割り付けた。主要評価の6か月時点の良好な機能予後を伴う生存は53.7%対53.5%(RR 1.00、95%CI 0.90〜1.12)で差がなく、副次評価の28日死亡は17.3%対21.8%(RR 0.79、95%CI 0.63〜0.99)だった[52]。
指針欧州指針第6版は、出血しているか大出血の危険がある外傷患者に、できるだけ早く、可能なら病院への搬送中に、受傷3時間以内に1 gを10分で負荷投与し、続いて1 gを8時間で静注することを推奨し(推奨23、1A)、粘弾性検査の結果を待たずに投与することを推奨する(1B)[5]。JATECの改訂概要も、受傷早期(1時間以内、遅くとも3時間以内)の投与を推奨に加えたとしている[16]。
本稿の解釈早期死亡の減少と、長期の機能予後の改善は別の効果として説明する。導入の場面では、投与済みか、何時何分に投与したか、受傷時刻は何時かを引き継ぎで確認する。
4-3.カルシウム:測って補正する。予防投与の生存利益は断定しない
研究結果Helsloot 2024は、TraumaRegister DGU(2015〜2019年)で欧州の外傷センターに直接搬送された成人重症外傷28,323例のうち、カルシウムを補充された1,593例(5.6%)を含めて傾向スコアで1,447例ずつを一致させた。6時間・24時間死亡に差はなく、院内死亡は補充群で高かった(28.3%対24.5%、P=0.020)が、予測死亡率で調整すると有意ではなかった(P=0.244)。著者は、補充の生存利益を支持する根拠も否定する根拠も見いだせなかったと結論している[13]。
研究結果Schauer 2026は、米国のレベルI外傷センター3施設(2022〜2024年)の前向きコホートで、救急外来到着時のイオン化カルシウムを重症外傷1,270例で測った。基準範囲4.4〜5.2 mg/dL(1.1〜1.3 mmol/L)に対し、低カルシウム血症22%、正常73%、高カルシウム血症5%で、24時間死亡はそれぞれ11.9%、4.3%、22.8%だった[53]。いずれも観察研究で、補充の効果を示す試験ではない。
指針国内の「危機的出血への対応ガイドライン」(2025年4月改訂)は、低カルシウム血症は血液製剤中のクエン酸が患者血中のイオン化カルシウムをキレートすることで生じると記載している[54]。ACS TQIPの指針は、低体温、アシドーシスとともに低カルシウム血症を、凝固障害を悪化させ是正すべき因子に挙げている[38]。欧州指針第6版のカルシウムに関する推奨文は、本稿の取得範囲(推奨26まで)を超えており未確認である。Helsloot 2024は、同指針がイオン化カルシウムの監視と0.9 mmol/L未満を避けることを推奨し、根拠の質は低いと要約している[13]。
本稿の解釈「FFPを何単位入れたら何アンプル」と一般化するより、イオン化カルシウムの推移、輸血の速度、補正後の値を確認する。アンプル数で指示する場合は、製剤名、濃度、元素量、投与経路を明記して取り違えを防ぐ。補充の目標値と効果は、試験で確立していない。
4-4.体温
指針欧州指針第6版は、熱喪失を減らす処置を早期に行い、低体温の患者を加温して正常体温を達成・維持することを推奨する(推奨18、1C)[5]。国内の「危機的出血への対応ガイドライン」は、低体温は輸血用血液製剤の不十分な加温によって生じると記載している[54]。
本稿の解釈「ある体温を切ったら全員が同じ危険度」という単一の閾値だけで管理せず、加温器の能力(前節の表)、室温、体表の露出、輸血の速度を合わせて見る。
5.換気・REBOA・止血後の輸血閾値
5-1.EtCO2をPaCO2の代わりにしない
研究結果Sardesai 2024は、英国イースト・オブ・イングランドの地域外傷センター(2015〜2019年)で、重い頭部外傷を伴う挿管された成人外傷695例の、PaCO2とEtCO2の組3,812組を後ろ向きに解析した。入院時のPaCO2−EtCO2較差は中央値0.8 kPa(四分位0.4〜1.4)、Bland-Altmanの偏り0.96 kPa(一致限界−1.00〜+2.93)、相関R2は0.149だった。較差は頭部以外の損傷を伴う患者で大きく(0.9対0.7 kPa)、時間とともに小さくなり、30日以内の死亡例で大きかった(1.2対0.7 kPa)[55]。
本稿の解釈観察研究で、特定の補正式や換気目標が転帰を改善すると示したものではない。動脈血ガスを採った時点のEtCO2と対応させて読み、循環や呼吸の状態が変われば関係を見直す。欧州指針は外傷患者の正常換気を推奨し(1B)、過換気は脳ヘルニアの徴候がある場合の救命的な措置として提案している(2C)[5]。
5-2.REBOAは「入れた後の血圧」で評価しない
研究結果UK-REBOAは、英国の重症外傷センター16施設(2017年10月〜2022年3月)で、失血の危機にある16歳以上の外傷90例を、救急部でのREBOA+標準治療(46例)と標準治療のみ(44例)に割り付けたベイズ流の実用的試験である。90日の全死亡は54%(25/46)対42%(18/43)(OR 1.58、95%確信区間0.72〜3.52)で、REBOAで死亡のオッズが高い事後確率は86.9%だった。著者は、救急部でのREBOAを加える戦略は死亡を減らさず、増やす可能性があると結論している[56]。
本稿の解釈装置による一時的な血圧の変化と、最終的な転帰は分けて評価する。選ぶなら、止血までの見通し、実施にかかる時間、その後の治療へつなぐ体制まで含めて判断する。「全例で使う」でも「全例で禁止」でもなく、その施設の治療経路全体を評価する。骨盤骨折での位置づけは骨盤骨折出血を参照。
5-3.止血後の貧血と脳損傷:活動性出血とは別の問い
血液が失われ続けている場面で、Hbが一定の値になるまで輸血を待つことはできない。一方、止血後に中等症〜重症の頭部外傷を管理するときは、貧血をどこまで許すかが新しい問いになる。進行中の大量出血の蘇生と、ICUでの輸血閾値の試験を混同しない。欧州指針第6版は、赤血球輸血が必要な場合のHbの目標を70〜90 g/Lとすることを推奨している(推奨16、1C)[5]。
- 研究結果HEMOTION:中等症〜重症の外傷性脳損傷と貧血がある成人742例を、Hb 10 g/dL以下で輸血を始める制限の緩い戦略と、7 g/dL以下で始める制限的な戦略に割り付けた。ICUでのHbの中央値は10.8対8.8 g/dL。6か月時点のGOS-Eによる不良な転帰は68.4%(249/364)対73.5%(263/358)で、調整絶対差(制限的−緩い戦略)は5.4ポイント(95%CI −2.9〜13.7)と有意ではなかった[57]。
- 研究結果TRAIN:22か国72のICUで、外傷性脳損傷、動脈瘤性くも膜下出血、脳内出血のいずれかで、受傷後10日以内にHb 9 g/dL未満となった850例を、Hb 9 g/dL未満で輸血する緩い戦略(408例)と7 g/dL未満の制限的な戦略(442例)に割り付けた。主要評価のデータがある806例(393例対413例)で、180日時点の不良な神経学的転帰(GOS-E 1〜5)は62.6%対72.6%(絶対差−10.0%、95%CI −16.5〜−3.6%、調整RR 0.86、95%CI 0.79〜0.94)だった[58]。
本稿の解釈対象、閾値、評価方法の違う2つの試験から、全外傷に1つのHb目標を当てはめることはできない。脳損傷を合併する患者では、Hb 7 g/dLを機械的に採用せず、止血の状況、脳虚血の懸念、輸血の危険を合わせて個別に判断する根拠として読む。
6.導入直前に、外科と麻酔で共有したい6項目
本稿の解釈以下は文献の論点から組み立てた確認項目で、検証済みの予後予測スコアではない。
- 気道確保を今すぐ必要とする理由は何か。失敗したときの救済手段は何か。
- 血液は患者に実際に入っているか。次の血液の供給と、投与経路は確保できるか。
- 導入薬と用量、導入後に循環が崩れたときの対応を誰が担当するか。
- 止血を、いつ、どこで、誰が始められるか。
- 脳損傷の有無を踏まえた血圧目標と、直近の血液ガス、イオン化カルシウム、体温、トラネキサム酸の投与時刻はどうか。
- 挿管後の鎮痛・鎮静、換気、再採血をどう続けるか。
麻酔科医に薬剤の選択を任せた後にも、外科医と共有すべき判断は残る。術野の出血と止血の見通しを伝え、輸血と循環の情報に応じて次の操作を決める。その往復を導入前から始めたい。
根拠の比較表
表はスマートフォンでは横にスクロールして読む。「介入・比較」の列の並び(A 対 B)と、「主な結果」の数値の並びをそろえている。評価時点は結果の列に括弧で示す。
| 出典(年) | デザイン | 対象 | 介入・比較 | 主な結果(評価時点) | 外傷への当てはめの限界 |
|---|---|---|---|---|---|
| KETASED(2009)[17] | 多施設RCT(単盲検、仏の病院前・救急外来12施設とICU 65施設) | 緊急挿管の重症成人655例(修正ITT 469例) | エトミデート0.3 mg/kg 対 ケタミン2 mg/kg | 最大SOFA 10.3対9.6(平均差0.7、95%CI 0.0〜1.4、ICU最初の3日間)。副腎不全OR 6.7(3.5〜12.7) | 外傷のサブグループは抄録になく未確認。主要評価は死亡ではない |
| Matchett(2022)[18] | 単施設RCT(非盲検、米国) | 緊急挿管の重症患者801例(解析791例) | エトミデート 対 ケタミン | 生存77.3%対85.1%(差−7.8、95%CI −13〜−2.4、7日)。64.1%対66.8%(差−2.7、−9.3〜3.9、28日) | 単施設・非盲検。28日では差なし。外傷の結果は抄録にない |
| RSI試験(2025)[1][2] | 多施設RCT(米国14施設) | 挿管される重症成人2,365例。救急外来受診前の主診断が外傷の患者は除外 | ケタミン 対 エトミデート | 院内死亡28.1%対29.1%(調整差−0.8、95%CI −4.5〜2.9、28日)。循環虚脱22.1%対17.0%(差5.1、1.9〜8.3、導入〜挿管後2分) | 外傷を除外。出血性ショックの患者での差は不明 |
| Koroki(2024)[19] | ベイズ・メタ解析(RCT 7件+傾向スコア研究1件) | 重症成人2,978例 | ケタミン 対 エトミデート | 死亡25%対27%(RR 0.93、95%確信区間0.79〜1.08、最長の追跡時点)。減少の確率83.2% | RSI試験を含まない。外傷に限った解析ではない |
| Upchurch(2017)[3] | 単施設の前後比較(後ろ向き) | 成人外傷968例 | ケタミン 対 エトミデート | 院内死亡20.4%対17.3%(調整OR 1.41、95%CI 0.92〜2.16) | 時代の違いと交絡。同等性の証明ではない |
| Leede(2021)[4] | 8施設の後ろ向き研究 | 成人外傷2,092例(ケタミン8%) | エトミデート 対 ケタミン 対 プロポフォール | RSI前後の収縮期血圧の変化0.2、5.2、−1.8 mmHg(p=0.4) | ケタミン群が少数。導入前の血圧が異なる(適応による交絡) |
| CURASMUR(2019)[24] | 多施設RCT(非劣性、単盲検、仏の病院前17施設) | 病院前RSIの成人1,248例(遵守解析1,226例) | ロクロニウム1.2 mg/kg 対 スキサメトニウム1 mg/kg | 初回成功74.6%対79.4%(差−4.8%、片側97.5%CI −9%〜)。非劣性を示せず | 病院前の試験。1.2 mg/kgは国内添付文書の上限(0.9 mg/kg)を超える |
| PREOXI(2024)[6] | 多施設RCT(米国24施設) | 救急外来・ICUの重症成人1,301例 | NIV 対 酸素マスク | 低酸素血症9.1%対18.5%(差−9.4、95%CI −13.2〜−5.6、導入〜挿管後2分) | 顔面外傷や口腔内出血・嘔吐ではNIVが使えないことがある |
| DEVICE(2023)[7] | 多施設RCT(米国17施設、有効中止) | 救急外来・ICUの重症成人1,417例 | ビデオ喉頭鏡 対 直視型喉頭鏡 | 初回成功85.1%対70.8%(差14.3、95%CI 9.9〜18.7)。重篤な合併症21.4%対20.9% | 術者の多くは研修中の医師。血液で視野が妨げられる外傷の結果ではない |
| PREPARE II(2022)[28] | 多施設RCT(米国11 ICU) | ICUの重症成人1,065例 | 輸液ボーラス500 mL 対 なし | 循環虚脱21.0%対18.2%(差2.8%、95%CI −2.2〜7.7%、導入〜挿管後2分・1時間) | 輸液ボーラスの試験。出血性ショックの血液製剤投与には当てはまらない |
| INTUBE(2021)[14] | 国際前向き観察研究(29か国197施設) | 挿管された重症患者2,964例 | — | 重大な有害事象45.2%、循環不安定42.6%、心停止3.1%(挿管開始30分以内) | 挿管理由の多くは呼吸不全。外傷だけの頻度ではない |
| Bickell(1994)[39] | 前向き比較試験(単一都市) | 病院前収縮期血圧90 mmHg以下の体幹部穿通性外傷598例 | 遅延輸液 対 即時輸液 | 退院までの生存70%対62%(P=0.04) | 穿通性外傷のみ。1990年代の病院前診療 |
| Schreiber(2015)[40] | 予備的RCT(19の救急医療サービス) | 病院前収縮期血圧90 mmHg以下の外傷192例 | 制御した蘇生 対 標準の蘇生 | 24時間死亡5%対15%(調整OR 0.39、95%CI 0.12〜1.26)。鈍的外傷3%対18%(0.17、0.03〜0.92) | 実行可能性の試験。鈍的外傷の差はサブグループ |
| Gauss(2022)[8] | 後ろ向き多施設研究(米仏3レジストリ) | 出血性ショックの鈍的外傷2,164例 | 早期ノルアドレナリン 対 なし | 24時間死亡との関連なし(平均処置効果 −4.6〔95%CI −11.9〜2.7〕〜2.1〔−2.1〜6.3〕) | 観察研究。有意な関連がないことは安全性の証明ではない |
| Sims(2019)[41] | 単施設RCT(二重盲検) | 12時間以内に製剤6単位以上の18〜65歳の外傷100例 | バソプレシン 対 プラセボ | 血液製剤1.4 L対2.9 L(P=0.01、48時間)。死亡12%対12% | 少数例で死亡は評価できない。国内では効能外 |
| PROPPR(2015)[11] | 実用的多施設RCT(北米12施設) | 大量輸血が予測された重症外傷680例 | 血漿:血小板:赤血球 1:1:1 対 1:1:2 | 死亡12.7%対17.0%(差−4.2%、95%CI −9.6〜1.1%、24時間)、22.4%対26.1%(−3.7%、−10.2〜2.7%、30日)。失血死9.2%対14.6% | 主要評価は有意差なし。高い比率どうしの比較 |
| CRASH-2(2010、2011)[51][12] | 国際RCT(40か国274施設、二重盲検) | 受傷8時間以内の出血またはその危険のある成人外傷20,211例 | トラネキサム酸 対 プラセボ | 死亡14.5%対16.0%(RR 0.91、95%CI 0.85〜0.97、受傷4週以内の院内)。3時間超の開始で出血死RR 1.44(1.12〜1.84、探索的) | 40か国の多様な医療体制での試験。時間の解析は探索的 |
| PATCH-Trauma(2023)[52] | 多施設RCT(豪・NZ・独の15の救急医療サービス) | 凝固障害の危険がある重症外傷1,310例 | 病院前トラネキサム酸 対 プラセボ | 良好な機能予後を伴う生存53.7%対53.5%(RR 1.00、95%CI 0.90〜1.12、6か月)。死亡17.3%対21.8%(RR 0.79、0.63〜0.99、28日、副次) | 主要評価は差なし。早期死亡と長期機能は別の効果 |
| Helsloot(2024)[13] | レジストリの傾向スコア一致解析 | 直接搬送の成人重症外傷(1,447組) | カルシウム補充 対 なし | 院内死亡28.3%対24.5%(P=0.020、予測死亡率で調整後P=0.244)。6時間・24時間死亡に差なし | 観察研究。補充の利益も害も示せない |
| UK-REBOA(2023)[56] | ベイズ流の実用的RCT(英国16施設) | 失血の危機にある16歳以上の外傷90例 | REBOA+標準治療 対 標準治療 | 死亡54%対42%(OR 1.58、95%確信区間0.72〜3.52、90日)。害の事後確率86.9% | 少数例。救急部でのREBOAの評価 |
| HEMOTION(2024)[57] | 多施設RCT | 中等症〜重症の外傷性脳損傷と貧血の742例 | Hb 10 g/dL以下で輸血 対 7 g/dL以下で輸血 | 不良な転帰68.4%対73.5%(調整差5.4、95%CI −2.9〜13.7、6か月) | 止血後のICUの問い。活動性出血には当てはまらない |
| TRAIN(2024)[58] | 多施設RCT(22か国72 ICU) | 外傷性脳損傷、動脈瘤性くも膜下出血、脳内出血でHb 9 g/dL未満の850例 | Hb 9 g/dL未満で輸血 対 7 g/dL未満で輸血 | 不良な転帰62.6%対72.6%(調整RR 0.86、95%CI 0.79〜0.94、180日) | 外傷以外の脳損傷を含む |
| Berman(2020)[9] | ベンチ実験 | カテーテル16種 | 輸液セット、追加部品、液体の粘度 | 14G単腔CVCと18G末梢留置針が同程度。針なしコネクタで血液用セットの流量75%低下。赤血球の粘度は生食の4.5倍 | 患者での測定ではない |
| Smeltz(2024)[10] | ベンチ実験 | 8.5 Fr・9 Frのシース | 針なしコネクタ、内腔に挿入したカテーテル | 8.5 Frで針なしコネクタ64±6 mL/min、7 Frカテーテル挿入298±9 mL/min | 室温の生理食塩液。血液製剤では異なる |
指針の比較表
| 指針(年) | 気道・導入 | 血圧・輸液・昇圧薬 | 輸血・止血薬・カルシウム・体温 | 強さ・注意 |
|---|---|---|---|---|
| 欧州外傷出血ガイドライン第6版(2023)[5] | 気道閉塞、GCS 8以下、低換気、低酸素血症で遅滞なく気道確保(1B)。低酸素血症の回避(1A)。正常換気(1B) | 脳損傷なしで収縮期血圧80〜90 mmHg(1B)。重症頭部外傷で平均動脈圧80 mmHg以上(1C)。晶質液(1B)。ノルアドレナリン(1C) | 初期はフィブリノゲン製剤またはクリオ+赤血球、またはFFP:赤血球 少なくとも1:2(1C)。目標指向型(1B)。TXA 3時間以内(1A)。正常体温(1C)。赤血球輸血時のHb目標70〜90 g/L(1C)。カルシウムの推奨文は未確認 | 文献検索は既存の推奨が2018年1月1日〜2021年12月2日、新しい項目が2001年1月1日〜2021年12月2日。”recommend”は1、”suggest”は2 |
| 英国の重症成人の挿管指針(Higgs 2018)[15] | 酸素化の優先、修正迅速導入、ビデオ喉頭鏡の早期使用、第2世代声門上器具での救済 | — | — | 重症成人全般。外傷に限らない(抄録で確認) |
| JATEC改訂第6版(改訂概要)[16] | RSIを含むDAIとして解説。「確実な気道確保」のアルゴリズムを簡素化 | 初期輸液は成人1 L、小児20 mL/kg。循環が明らかに破綻していれば初期輸液の反応を待たずに蘇生的止血術と大量輸血プロトコル | TXAは受傷早期(1時間以内、遅くとも3時間以内) | 改訂概要のみ確認。本文の推奨の強さは未確認 |
| ACS TQIP 大量輸血(2014)[38] | — | 晶質液・膠質液ではなく血液製剤で開始 | 赤血球・血漿は急速輸血装置と加温器を通す。血小板・クリオは加温器を通さない。TXA 3時間以内。低カルシウム血症を是正 | 米国の体制が前提。TQIPの一覧に麻酔・気道の指針はない |
| 危機的出血への対応ガイドライン(日本麻酔科学会・日本輸血・細胞治療学会、2025年4月改訂)[54] | — | — | コマンダーの決定、非常事態宣言、血液型未確定なら交差適合試験を省略したO型赤血球、ABO同型血が不足する場合のABO異型適合血の使用。低カルシウム血症・低体温・希釈性凝固障害の記載 | 対象は危機的出血(心停止や高度な神経学的合併症、死亡に至る可能性のある出血)。推奨の強さの表記は本稿では確認していない |
| Association of Anaesthetists 安全な血管アクセス(2025)[30] | — | — | 器具選択、超音波ガイドやカテーテルの位置決めを含む挿入手技など15の推奨 | 個々の推奨文は未確認(抄録のみ) |
日本で実施するとき
国内の指針
- 指針JATEC(外傷初期診療ガイドライン改訂第6版):改訂概要で、RSIを含むDAIの解説、「確実な気道確保」のアルゴリズムの簡素化、初期輸液量を成人1 L・小児20 mL/kgに変更、循環が明らかに破綻している場合は初期輸液の反応を見るまでもなく蘇生的な止血術と大量輸血プロトコルを発動すること、受傷早期(1時間以内、遅くとも3時間以内)のトラネキサム酸投与を確認した[16]。導入薬・筋弛緩薬の選択、血圧目標の数値は本文を取得できず未確認である。
- 指針危機的出血への対応ガイドライン(2025年4月改訂):日本麻酔科学会と日本輸血・細胞治療学会の指針で、統括指揮者(コマンダー)の決定、非常事態の宣言と輸血管理部門・臨床検査部門への連絡、血液型が確定していない患者への交差適合試験を省略したO型赤血球製剤、ABO同型血が不足する場合のABO異型適合血の使用を記載し、「緊急度に応じて交差適合試験の省略や異型適合血の使用を躊躇せず、救命を最優先する」としている。MTPを「外傷を中心とした大量出血症例」で製剤を一定の割合で投与する輸血療法と説明し、フィブリノゲン値150 mg/dL未満で出血量や輸血量が増えるとの報告、乾燥人フィブリノゲン製剤3 gで100 mg/dL程度の上昇が期待されることにも触れている[54]。2025年の改訂で何が変わったかの記載は、本稿の確認範囲では見つからなかった。
- 指針輸血療法実践ガイド:厚生労働省は2026年3月24日の通知で「血液製剤の使用指針」「輸血療法の実施に関する指針」「血液製剤保管管理マニュアル」を廃止し、日本輸血・細胞治療学会の「輸血療法実践ガイド」(令和8年2月)を周知した[59]。同ガイドには「大量出血時の輸血療法(外傷)」の章があるが、本文は本稿では未確認である[60]。院内のMTP文書の参照先を、現行のガイドに更新しておきたい。
- 臓器別の損傷分類(日本外傷学会臓器損傷分類2008)に基づく止血方針は、本稿では扱わない。各臓器の記事を参照する。
添付文書で確かめること
次の表は、KEGG MEDICUSに掲載された電子添文で確認した内容である(2026年9月25日)。海外試験の用量と国内の効能・用量が一致しない場合、適応外の使用に当たり得る。保険上の扱いは本稿では未確認である。
| 薬剤 | 国内製剤(電子添文の版) | 効能・用法の要点 | 外傷麻酔での注意(本稿の解釈) |
|---|---|---|---|
| ケタミン | ケタラール静注用(2025年4月 第2版)[22] | 初回1〜2 mg/kgを1分以上かけて静注。禁忌:脳血管障害、高血圧(160/100 mmHg以上)、脳圧亢進症、重症の心代償不全、痙攣発作の既往、外来患者など。麻薬 | 頭部外傷を伴う患者では禁忌との関係を確認する |
| エトミデート | KEGG MEDICUSで該当なし[23] | 国内の製剤を確認できなかった | 海外の比較試験は国内の選択肢の比較にならない |
| ロクロニウム | エスラックス静注(2024年3月 第2版)[25] | 挿管用量0.6 mg/kg、上限0.9 mg/kg | 海外試験の1.2 mg/kgは上限を超える |
| スガマデクス | ブリディオン静注(2023年11月 第2版)[26] | 浅い筋弛緩2 mg/kg、深い筋弛緩4 mg/kg。挿管用量のロクロニウム直後の緊急回復では投与3分後を目安に16 mg/kg | 「挿管できず換気もできない」場面の救済計画に、必要量と置き場所を含める |
| スキサメトニウム | スキサメトニウム注「マルイシ」(2023年5月 第1版)[27] | 1回10〜60 mgを静注。禁忌:急性期後の重症の熱傷、急性期後の広範性挫滅性外傷、四肢麻痺など | 受傷からの日数で禁忌に当たるかが変わり得る |
| ノルアドレナリン | ノルアドリナリン注1mg(2026年4月 第2版)[43] | 急性低血圧またはショック時の補助治療。点滴静注は1 mgを250 mLに溶解 | 出血源の制御と補充に加える位置づけ |
| バソプレシン | ピトレシン注射液20(2022年12月 第2版)[44] | 効能は尿崩症、腸内ガスの除去、食道静脈瘤出血の緊急処置など。ショックは含まれない | 外傷の出血性ショックへの使用は効能外 |
| トラネキサム酸 | トランサミン注(2023年1月 第1版)[61] | 全身性・局所の線溶亢進が関与する出血など。術中・術後等には1回500〜1,000 mgを静注、または500〜2,500 mgを点滴静注。外傷の明記はない | CRASH-2の用法(1 gを10分、続いて1 gを8時間)を当てはめるときは、効能・用法との関係を施設で確認する |
| フィブリノゲン濃縮製剤 | フィブリノゲンHT静注用1g「JB」(2026年3月 第2版)[62] | 先天性低フィブリノゲン血症の出血傾向、産科危機的出血、心臓血管外科手術における出血に伴う後天性低フィブリノゲン血症 | 外傷性出血は効能に含まれない |
国内のデータ
未確認外傷患者で導入薬、筋弛緩薬、喉頭鏡を比べた国内の研究は、本稿の検索(J-STAGE、PubTator3)では見つからなかった。国内の論文として、多発外傷における麻酔科医の役割を述べたシンポジウム論文(井上ら、2024)があり、気道確保、呼吸・循環の安定化、外傷死の三徴の改善、疼痛管理を含む集中治療での麻酔科医の役割を挙げている(抄録で確認)[63]。
施設体制
- 導入薬の第一選択、減量の考え方、禁忌(頭部外傷とケタミン、受傷後日数とスキサメトニウム)を、麻酔科と救急・外傷チームで文書にする。
- 急速輸液装置と血液加温器の機種、適合する回路、置き場所、準備の担当者、夜間の操作者を決める。血小板・クリオを加温器に通さない運用を明記する。
- 危機的出血・MTPの起動から、O型赤血球の搬送、交差適合試験の省略の判断、コマンダーの指名までを、院内の輸血部門と共有する。
- イオン化カルシウム、血液ガス、体温を測る間隔と、結果を受けて補正する担当を決める。
- スガマデクスの必要量と置き場所、ビデオ喉頭鏡・吸引・声門上器具・外科的気道の器材を、外傷初療室と手術室の両方で確認する。
- 高齢者では、抗血栓薬の内服や予備能の低下で導入後の循環の余裕がさらに小さいことがある。高齢者外傷の初期診療と回復支援も参照。
まだ分からないこと
- 外傷患者での導入薬の比較。RSI試験は外傷を除外し、プロトコル論文は外傷での比較を別の試験で評価すべきとした[2]。出血性ショックの外傷患者でケタミンとエトミデート(国内では別の薬剤)を比べたRCTは、本稿の確認範囲では見つからなかった。
- 導入薬の減量の目安。循環が不安定な患者でどこまで減らすかを比べた試験は、本稿の確認範囲にはない。
- 昇圧薬とカルシウム。外傷の出血性ショックでノルアドレナリンの効果を検証したRCTはなく[8]、カルシウムとバソプレシンのRCT(CAVALIER)は結果が未公表である[42]。カルシウム補充の目標値も確立していない[13]。
- 実際の患者での流量。本稿の流量はカタログ値と生理食塩液のベンチ実験で、赤血球製剤を患者に投与したときの流量は、回路・温度・圧の条件ごとに施設で確かめる必要がある。
- 指針の未確認部分。欧州指針第6版のカルシウムの推奨文、JATEC改訂第6版の本文、輸血療法実践ガイドの外傷の章は、本稿では確認できていない。確認でき次第、本稿を見直す。
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文献
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医学的内容の最終確認日・確認範囲
文献ごとの確認範囲を開く(最終確認日:2026年9月26日)
医学的内容の最終確認日:2026年9月26日(著者確認)。文献照合日:2026年9月25日(日本時間。文献の検索・照合は2026年9月24〜25日)。PubMedの抄録(NCBI BioC、PubTator3)、Crossref、OpenAlex、Europe PMC、J-STAGE、出版社、学会・公的機関・メーカーの公式資料、KEGG MEDICUSを直接開いて確認した。Semantic Scholar、Europe PMCの検索、NCBIの一部には途中から接続できなくなり、ClinicalTrials.govは自動取得が許可されていなかった。検索記録は編集部で保管している。
- 本文(全文または該当箇所)を確認:[5] 欧州指針第6版(出版社のHTML・PDFとEurope PMCの本文で、推奨1・3・11・13〜16・18・22・23・25・26と文献検索期間。推奨27以降〔カルシウムなど〕は取得範囲外)、[2] RSI試験のプロトコル論文(除外基準、循環虚脱の定義、用量)、[21] Gregers 2020(出版社ページで抄録と方法・結果の一部)、[13] Helsloot 2024(出版社ページで抄録と、欧州指針に触れた一文)、[38] TQIP 2014(公式PDF)、[54] 危機的出血への対応ガイドライン(公式PDF)、[36] Belmontの製品ページと取扱説明書(公式PDF)。
- 抄録のみ確認:[1] [3] [4] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [14] [17] [18] [19] [20] [24] [28] [39] [40] [41] [45] [46] [47] [48] [49] [50] [51] [52] [53] [55] [56] [57] [58] [63]。本文中の数値は抄録にある範囲に限った。KETASED、Matchett、CURASMUR、DEVICEの外傷サブグループ、Smeltz 2024の装置・圧・測定回数は本文を取得できず、書いていない。
- 公式情報(メーカー・公的機関・電子添文)を確認:[22] [23] [25] [26] [27] [29] [31] [32] [33] [34] [35] [37] [42] [43] [44] [59] [61] [62]。B. Braunのカタログには測定条件の記載がなかった。YouTubeの2本の動画は、公式チャンネルと題名を確認した(内容の逐一の照合はしていない)。
- 一部のみ確認:[15] [16] [30] [60]。JATECは改訂概要のみ、輸血療法実践ガイドは目次の章の見出しのみ、Association of Anaesthetists 2025とHiggs 2018は抄録のみ。
- 未取得:JATEC改訂第6版の本文、輸血療法実践ガイドの大量出血の章、欧州指針第6版の推奨27以降、Difficult Airway Society 2025の予期しない困難気管挿管の指針(Br J Anaesth 2026;136:283-307。論評の書誌のみ確認)、国内の骨髄針の添付文書、PMDAでのエトミデートの照会。
- 訂正・撤回:RSI試験、PREOXI、DEVICE、SWiFT、Upchurch 2017、Gauss 2022、Berman 2020、Smeltz 2024、Association of Anaesthetists 2025はCrossrefで訂正・撤回の登録なし。Schauer 2026は、PubMedに訂正(Error in Table. JAMA Netw Open. 2026;9(4):e2611311)が登録されていた。訂正の内容は未確認で、本文の数値はPubMedの現行の抄録による。改訂前の本文にあった「2026年4月15日」という訂正日は確認できていない(2026年9月25日確認)。
- 著者確認:数値・用量・適用条件を含む医学的内容は、2026年9月26日に著者(医師)が確認した。
- 改訂前の本文にあった講演への言及:改訂前の第16節は「提供講演の論点」に触れていたが、講演名・演者・学会の記載がなく、本稿では確認していない。本文からは削除した。
更新履歴
更新履歴を開く(全6件・最新:2026年9月26日)
- 2026年9月26日(表記):確認範囲の記載を読者向けの表現に改め、関連記事と分野の一覧へのリンクを加えた(医学的内容は変えていない)。
- 2026年9月26日(著者確認):著者(医師)が数値・用量・適用条件を含む医学的内容を確認した。確認日の表記を更新した。
- 2026年9月25日(改訂):原著と指針の照合にもとづき全面改訂した。冒頭の導入文と要点5項目、対象と扱わない範囲、導入薬の3つのRCT(RSI試験、KETASED、Matchett)とメタ解析、外傷患者の観察研究、筋弛緩薬(CURASMUR)、輸液ボーラス(PREPARE II)、許容低血圧(Bickell、Schreiber)と昇圧薬(Gauss、バソプレシンのRCT)、根拠と指針の比較表、「日本で実施するとき」(国内の添付文書、JATEC改訂概要、危機的出血への対応ガイドライン2025年改訂、輸血療法実践ガイド)、まだ分からないこと、文献ごとの確認範囲を加え、16あった本文の節を6つにまとめ、文献を通し番号にした。理由:最終確認日と検索範囲、結論と適用条件の要点、主要研究の比較表がなく、流量の表がカタログ値とベンチの値に偏っていたため。あわせて、原著で確認できなかった記載を修正した(欧州指針が示すとしていたイオン化カルシウムの正常域1.1〜1.3 mmol/L・1Cは推奨文を確認できず削除、Smeltz 2024の装置名・圧・測定回数・コネクタの製品名は抄録にないため削除し9 Frシースと8 Frカテーテルの値を追加、Belmontの動画の題名を公式の題名に修正、BelmontのKVOの記載は取扱説明書で確認した値〔2.5・5.0 mL/min〕に改め、Schauer 2026の訂正の記載をPubMedの訂正〔表の誤り〕として記載し直し、講演への言及を削除)。
- 2026年9月21日・23日:更新(WordPressのリビジョン記録による。変更内容は本稿では照合していない)。
- 2026年9月20日(追記):血管アクセス・急速輸液の節を追加した(改訂前の本文の記載による)。
- 2026年9月14日(初回公開・エビデンス増補):初回公開し、同日から翌日にかけてエビデンスを増補した(WordPressのリビジョン記録と改訂前の本文の記載による)。
本記事は医療従事者への教育および一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。実際の診療では、各施設のプロトコルおよび最新の診療ガイドラインをご確認ください。
利益相反:本記事に関連して開示すべき利益相反はありません。


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[…] 頭蓋内圧管理など小児集中治療の詳細、脊髄損傷の治療(成人は急性脊髄損傷の初期診療と集中治療を参照)、麻酔導入の薬剤選択(外傷麻酔を参照)。 […]
[…] 高位頚髄損傷の気道・呼吸管理と、麻酔導入時の低血圧への備えを外傷チームと麻酔科で共有する(外傷麻酔の実践も参照)。 […]
[…] 関連する背景として、外傷麻酔と出血性ショック、外傷性凝固障害も参照できます。 […]
[…] 外傷麻酔・出血性ショック […]
[…] 抗凝固薬を内服する高齢者は高齢者外傷の初期診療と回復支援、出血性ショック下の麻酔は外傷麻酔の実践も参照。 […]
[…] 扱わない範囲:初療室での気道確保の手技と薬剤(外傷麻酔|出血性ショックの麻酔導入・輸血・止血)、肋骨骨折の鎮痛・非侵襲的換気・固定術(肋骨骨折の治療|鎮痛・呼吸管理・固定術の適応)、胸腔ドレーン、ECMOの導入基準と回路・抗凝固の管理(重症外傷とECMO:出血リスクのある患者にいつ導入を考えるか)、小児、熱傷・気道熱傷。 […]
[…] […]
[…] 扱わない範囲:小児の頭部外傷の低体温療法、熱傷、熱中症、寒冷環境での偶発性低体温症そのもの(山岳・水難事故、体外循環による復温)、脊髄損傷の冷却、発熱の原因の鑑別(外傷後の発熱の記事)、加温装置の機種ごとの流量と操作(外傷麻酔の記事)、外傷性心停止の蘇生手技そのもの。 […]
[…] […]