外傷後の輸液管理:止血後のFluid Stewardshipをどう考えるか

止血後の輸液管理のアイキャッチ:紺地に『止血後の輸液管理』とFLUID STEWARDSHIPの文字

外傷患者の輸液は、止血が得られた時点で目的が変わる。出血中は血液製剤と止血を優先して晶質液を絞る。止血後のICUでは「追加の輸液が本当に必要か」を毎日問い直し、維持輸液や薬剤の溶解液まで含めて水とナトリウムの総量を管理する(Fluid Stewardship)。本稿は止血後の輸液を4つの段階(ROSE)で整理し、晶質液の種類、アルブミン、輸液反応性の評価、体液過剰の是正(de-resuscitation)、腹部コンパートメント症候群を、主要な試験と指針の数値とともにまとめる。外傷患者に限った根拠は観察研究が中心で、de-resuscitationの無作為化試験の多くは敗血症・ARDSなど一般ICU患者からの外挿である。

  • 輸液
  • Fluid Stewardship
  • de-resuscitation
  • 腹部コンパートメント症候群
  • 集中治療

医療従事者向け:本記事は教育および一般的な医学情報の提供を目的としています。個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。

目次

まず押さえる要点

  1. 止血の前と後で、輸液の目的は別物として扱う。止血前の蘇生(制限的な輸液、大量輸血プロトコル)は大量輸血プロトコル(MTP)の記事に譲る。止血後は、蘇生(Resuscitation)の後に続く最適化(Optimization)・安定化(Stabilization)・排出(Evacuation)の段階で、水分バランスの目標がプラスからゼロ、マイナスへ移る[1]。段階の境目は時刻ではなく、出血の制御と灌流の指標で判断する(本稿の解釈)。
  2. 晶質液の種類で死亡が大きく変わる証拠は、一般ICUでは乏しい。ただし重症頭部外傷は例外として扱う。調整晶質液と生理食塩液を比べた一般ICUの大規模試験では、90日死亡は26.4%対27.2%(BaSICS)、21.8%対22.0%(PLUS)で有意差はなかった[5][6]。15試験のメタ解析では、頭部外傷の患者に限ると調整晶質液で死亡のオッズが高かった(OR 1.31、95%CI 1.03〜1.65)[7]。欧州の外傷出血ガイドラインは、重症頭部外傷で乳酸リンゲル液などの低張液を避けるよう推奨する(1B)[2]。
  3. 頭部外傷では、アルブミンを蘇生の輸液に使うことを避ける根拠がある。ICU患者6,997例のSAFE試験では28日死亡に有意差がなかった(相対リスク0.99)が[9]、頭部外傷460例の事後解析では24か月死亡が4%アルブミン群33.2%、生理食塩液群20.4%(相対リスク1.63、95%CI 1.17〜2.26)だった[10]。
  4. 追加の輸液の前に、反応するかを確かめる。中心静脈圧は輸液への反応を予測できない(AUC 0.56)[13]。受動的下肢挙上(PLR)による心拍出量の変化は予測能が高い(感度0.85、特異度0.91)が[14]、腹腔内圧が16 mmHg以上では偽陰性が増える[15]。反応性があることは、輸液が必要であることを意味しない(本稿の解釈)。
  5. 体液過剰は外傷でも不良転帰と関連するが、除水の効果を外傷で検証した無作為化試験は見つからなかった。ICUの頭部外傷2,125例では、1日平均の水分バランスが0.1 L多いごとにICU死亡のオッズが1.10倍だった[25]。de-resuscitationの根拠は急性肺損傷・敗血症の試験(FACTT、CLASSICなど)からの外挿で、死亡の減少は示されていない[16][18]。

対象と扱わない範囲

対象:成人の重症外傷で、活動性の出血が止まり(手術、IVR、非手術治療のいずれでも)、ICUで管理している時期の輸液。扱う問いは、止血後の輸液をどの段階で減らすか、何を入れるか(晶質液の種類、アルブミン)、追加の輸液が必要かをどう評価するか、たまった水をいつ、どう抜くか、腹腔内圧をどう監視するか、である。

扱わない範囲:

読み方:根拠は、外傷患者で得られたもの(外傷の観察研究・小規模RCT・指針、一般ICU試験の頭部外傷の部分集団)と、一般ICU患者(敗血症、ARDS、混合ICU)の試験からの外挿に分かれ、本文ではどちらかをその都度書く。「本稿の解釈」は原著の結果ではなく、検証された手順でもない。本稿は検索方法を記録したナラティブレビューで、系統的レビューではない。

1.止血後の輸液を4つの段階で考える

研究結果Malbrainらの総説(敗血症性ショックを主題とする)は、輸液療法を蘇生(Resuscitation)、最適化(Optimization)、安定化(Stabilization)、排出(Evacuation)の4段階に分け(頭文字からROSE)、輸液を抗菌薬と同じように「薬剤・用量・期間・減量(4つのD)」で管理する「Fluid Stewardship」を提案した[1]。表の左3列は原著の記載、右の列は外傷ICUへの本稿の読み替えである。

段階時間の目安と目標(原著)水分バランス(原著)外傷ICUでの読み替え(本稿の解釈)
蘇生(R)分単位。生命を脅かすショックに対する早期の十分な輸液プラス止血前・止血中。外傷では晶質液ではなく血液製剤と止血が中心(MTPの記事)
最適化(O)時間単位。臓器の支持と組織灌流の維持ゼロ止血の直後からICU入室後の数時間。追加の輸液は反応性を確かめて少量ずつ。乳酸値、末梢の循環、尿量を追う
安定化(S)日単位。ショックやその差し迫った危険がない。後期の控えめな輸液管理ゼロ〜マイナス維持輸液を減らし、薬剤の溶解液をまとめ、経腸栄養の水分を数に入れる
排出(E)日〜週単位。目標を定めた後期の除水(de-resuscitation)マイナス自然な利尿でたまった水が抜けないときに、利尿薬や腎代替療法の除水を検討する

原著は、体液の蓄積率(累積の水分バランス〔L〕を基準となる体重〔kg〕で割って100を掛けた値)が10%を超えることを、どの段階でも「体液過剰」の目安とし、転帰の悪化と関連すると述べる。ショックが改善すれば(乳酸値の正常化)輸液を止めてよいこと、除水の段階では急ぎすぎて循環血液量減少を招く危険(原著は「4つ目の打撃」と呼ぶ)があることも記す[1]。

本稿の解釈外傷で段階の移行を決めるのは、出血が止まったかどうかである。輸血の追加が不要になり、ドレーンの排液とHbの推移が落ち着き、昇圧薬が減量の方向にあり、乳酸値が下がってきたら、最適化から安定化へ移ることを検討する。ROSEは概念の枠組みであり、この枠組みに沿った管理が外傷患者の転帰を改善するかは検証されていない。

止血後に血圧が下がったとき、最初に考えるのは輸液の不足ではなく再出血である(本稿の解釈)。Hb、ドレーンの排液、腹部の所見、画像を確かめ、再出血を疑えば輸液を重ねる前に外科・IVRと止血を相談し、血液製剤の供給はMTPの設計に戻す。晶質液で血圧を戻すことは、止血前と同じく希釈と組織の浮腫を招き得る。

2.入っている水をすべて数える

研究結果ICUで患者に入る水の多くは、蘇生のための輸液ではない。45床の三次医療機関の混合ICUで14,654例(延べ103,098 ICU日)の全輸液を記録した後ろ向き研究では、1日の総輸液量の平均に占める割合は、維持輸液と補充輸液が24.7%、蘇生の輸液が6.5%だった。薬剤や電解質の溶媒として意図せず入る水(fluid creep)は32.6%(中央値645 mL、IQR 308〜1,039 mL)で、維持輸液と補充輸液はナトリウムとクロールの最大の供給源だった[3]。外傷に限った研究ではない(一般ICUからの外挿)。

Malbrainらは、基本的な1日の必要量として、水25〜30 mL/kg、カリウム1 mmol/kg、ナトリウム1〜1.5 mmol/kg、ブドウ糖1.4〜1.6 g/kgを挙げる[1]。本稿では、経腸栄養、静脈栄養、溶解液、ラインを開けておくための持続投与も、この量に含めて数えることを勧める(本稿の解釈)。

本稿の解釈止血後のICUで、処方ごとに次を毎日確かめる。

確かめること具体例
この輸液の目的は何か蘇生、維持、喪失の補充(ドレーン、胃管、開放腹部)、薬剤の溶媒、栄養のどれか。目的のない持続投与は止める
栄養と重なっていないか経腸栄養が増えたら維持輸液を減らす(栄養療法の記事)
溶解液を減らせないか濃縮できる薬剤、まとめられる経路を薬剤部と確認する(配合変化と速度の上限は電子添文で)
累積の水分バランスと体重手術室・初療室の輸液と輸血を含めて入院から数える。記録の漏れで実態とずれ得る(6節のGODIF)
ナトリウムとクロール生理食塩液が多ければ高クロール性アシドーシス、低張の維持液なら低ナトリウム血症(頭部外傷で特に注意、3-3)

3.何を入れるか:晶質液の種類

3-1.一般ICUの大規模試験:SMART、BaSICS、PLUS

研究結果SMART(2018):米国の1施設の5つのICUで、15,802例をICU単位のクラスター・複数回クロスオーバーで調整晶質液(乳酸リンゲル液またはPlasma-Lyte A)と生理食塩液に割り付けた。主要評価の30日以内の主要腎有害事象(死亡、新たな腎代替療法、クレアチニン200%以上の持続上昇の複合)は14.3%対15.4%(marginal OR 0.91、95%CI 0.84〜0.99)で調整晶質液が少なかった。30日の院内死亡は10.3%対11.1%(P=0.06)で、有意差はなかった[4]。

研究結果BaSICS(2021):ブラジルの75のICUで、転帰不良の危険因子が1つ以上あり、少なくとも1回の輸液負荷を要し、24時間を超えてICUにとどまると見込まれた11,052例を二重盲検で割り付けた(解析10,520例)。90日死亡は調整晶質液26.4%(1,381/5,230)、生理食塩液27.2%(1,439/5,290)で、調整ハザード比0.97(95%CI 0.90〜1.05)だった[5]。

研究結果PLUS(2022):オーストラリアとニュージーランドの53のICUで5,037例をPlasma-Lyte 148と生理食塩液に二重盲検で割り付けた。90日死亡は21.8%対22.0%(差−0.15ポイント、95%CI −3.60〜3.30)、新たな腎代替療法の開始は12.7%対12.9%だった[6]。

研究結果頭部外傷の有無で分けたメタ解析(Diz 2025):15試験・35,207例で、90日死亡のオッズ比(調整晶質液対生理食塩液)は、頭部外傷のない患者で0.93(95%CI 0.87〜0.98、I²=0%)、頭部外傷の患者で1.31(95%CI 1.03〜1.65、I²=0%)だった[7]。本稿は抄録のみ確認で、頭部外傷の例数と組み入れた試験ごとの内訳は確認できていない。

3-2.外傷患者での無作為化試験

研究結果外傷患者で晶質液の種類を比べた無作為化試験は小規模である。米国の1施設で、来院60分以内に輸血、挿管、手術のいずれかを要した成人外傷を、受傷後24時間の輸液として生理食塩液とPlasma-Lyte A(カルシウムを含まない調整晶質液)に二重盲検で割り付けた試験では、65例を割り付け、評価できたのは46例だった。0〜24時間のbase excessの改善はPlasma-Lyte A群で大きく(7.5対4.4 mmol/L、差3.1、95%CI 0.5〜5.6)、24時間の動脈血pHは7.41対7.37、血清クロールは104対111 mEq/Lだった。輸液量、24時間尿量、医療資源の使用、死亡には有意差がなかった[8]。主要評価は酸塩基の変化で、臨床転帰を比べる検出力はない。

3-3.外傷の指針と頭部外傷での低張液

指針欧州の外傷出血ガイドライン第6版(2023)の推奨15は、次の3つである。低血圧のある出血中の外傷患者では、0.9%食塩液または調整晶質液で輸液を開始する(1B)。重症頭部外傷の患者では、乳酸リンゲル液などの低張液を避ける(1B)。膠質液は止血への悪影響から使用を制限する(1C)。根拠の文は、損傷した脳組織への水の移動を最小にするため頭部外傷では乳酸リンゲル液や低張のアルブミンを避けるべきとし、重症患者で調整晶質液と0.9%食塩液を比べた1件の無作為化試験と2件のメタ解析は死亡、急性腎障害、在院日数に差を示さなかったと記す[2]。この推奨は出血中の初期の蘇生についてのもので、止血後のICUの維持輸液を直接扱ってはいない。

本稿の解釈頭部外傷のない止血後の外傷患者では、どちらの晶質液を使っても死亡に大きな差は見込みにくい。生理食塩液を多く使って高クロール性アシドーシスが進むなら調整晶質液に替える、という使い分けが現実的である。重症頭部外傷では、蘇生の輸液に低張液を使わないことに加え、ICUで長く続ける維持輸液(ナトリウム濃度の低い維持液)も低ナトリウム血症と脳浮腫の面から見直す。脳灌流圧と血清ナトリウムの目標は頭部外傷の記事に従う。

4.アルブミンと人工膠質液

研究結果SAFE(2004):多施設のICU患者6,997例を、28日間の血管内の輸液として4%アルブミン(3,497例)と生理食塩液(3,500例)に二重盲検で割り付けた。28日死亡は726例対729例(相対リスク0.99、95%CI 0.91〜1.09)で、ICU日数、入院日数、人工呼吸日数、腎代替療法の日数にも有意差はなかった[9]。

研究結果SAFE-TBI(2007):SAFEに登録された頭部外傷(外傷歴、CTで頭部外傷の所見、GCS 13以下)460例を追跡した事後解析で、24か月の死亡は4%アルブミン群71/214例(33.2%)、生理食塩液群42/206例(20.4%)だった(相対リスク1.63、95%CI 1.17〜2.26)。GCS 3〜8の重症例では41.8%(61/146)対22.2%(32/144)(相対リスク1.88、95%CI 1.31〜2.70)、GCS 9〜12では16.0%(8/50)対21.6%(8/37)(相対リスク0.74、95%CI 0.31〜1.79)だった[10]。

本稿の解釈事後解析ではあるが、重症頭部外傷で死亡が2倍近い差は、頭部外傷でアルブミンを蘇生の輸液に選ばない理由として重く受け止める。SAFEで使われたのは4%製剤で、国内の5%製剤や高張製剤に同じ結果が当てはまるかは検証されていない。

指針欧州の外傷出血ガイドラインは膠質液の使用を制限し(1C)、頭部外傷では低張のアルブミンを避けるとする[2]。日本版敗血症診療ガイドライン2024(J-SSCG 2024)は、敗血症の初期輸液として、晶質液による標準治療に反応せず大量の晶質液を要する場合に等張アルブミン製剤(4〜5%)の投与を弱く推奨し(GRADE 2B)、人工膠質液は投与しないことを推奨する(GRADE 1B)[11]。敗血症の推奨であり、外傷への適用は外挿である。

本稿の解釈頭部外傷のない止血後の外傷患者でアルブミンが転帰を改善することを示した試験は、本稿の検索では見つからなかった。血清アルブミン値が低いことだけを理由に補充しない。国内の電子添文も、血清アルブミン濃度が2.5〜3 g/dLでは末梢の浮腫などの症状がない場合も多いとして、単なる濃度の維持や、たん白質源としての栄養補給を目的に使わないよう求めている[12]。

5.追加の輸液が必要か:輸液反応性をどう評価するか

研究結果輸液負荷に心拍出量が増える患者は、研究の平均で57%±13%にとどまる。中心静脈圧と、前負荷を変える介入の後の心拍出量の変化との関係を調べた43研究のメタ解析では、中心静脈圧の予測能はAUC 0.56(95%CI 0.54〜0.58)で、ICUと手術室のどちらでも同じだった[13]。

研究結果受動的下肢挙上(PLR)の21研究(成人991例、995回の輸液負荷)のメタ解析では、PLRによる心拍出量の変化で評価すると感度0.85(95%CI 0.81〜0.88)、特異度0.91(0.88〜0.93)、AUC 0.95で、最もよい閾値は心拍出量10%(±2%)以上の増加だった。動脈の脈圧の変化で評価すると感度0.56、特異度0.83、AUC 0.77と、感度が低かった[14]。

研究結果腹腔内圧が高いとPLRは当てにならない。脈圧変動が12%を超える人工呼吸中の41例の前向き研究(大学病院の内科・外科ICU)では、生理食塩液500 mLに反応した31例のうち15例(48%)がPLRでは反応を示さなかった(偽陰性)。偽陰性の群は腹腔内圧が高く(中央値20対11.5 mmHg)、腹腔内圧16 mmHg以上が偽陰性の唯一の独立した予測因子だった(OR 2.6、95%CI 1.1〜6.6)[15]。

指針J-SSCG 2024は、敗血症の初期蘇生で心エコーにより心機能と前負荷を評価するとし(Good Practice Statement)、組織低灌流の評価には乳酸値の測定が一般的で、毛細血管再充満時間(CRT)の有用性も報告されているとする[11]。

本稿の解釈外傷ICUでは、PLRができない、または慎重になる場面が多い。不安定な骨盤骨折、脊椎損傷が否定されていない状態、下肢の創外固定、頭蓋内圧が問題になる頭部外傷(上体を下げる操作を伴う)、開放腹部や腹腔内圧の上昇がそれに当たる。代わりに、少量の輸液負荷の前後で心エコーや動脈圧波形の解析により一回拍出量の変化を測る方法がある。反応性があることは「入れれば心拍出量が増える」ことを示すだけで、輸液が必要かどうかは、低灌流の徴候(乳酸値、CRT、尿量、意識)と、輸液の害の徴候(酸素化の悪化、腹腔内圧の上昇、浮腫、頭蓋内圧)を合わせて決める。

6.de-resuscitation:一般ICUの試験から何を外挿できるか

止血後の外傷患者で、除水(利尿薬や腎代替療法で水分バランスをマイナスにすること)の効果を死亡や機能転帰で検証した無作為化試験は、本稿の検索では見つからなかった。以下はすべて一般ICU患者の試験で、外傷への適用は外挿である。

研究結果FACTT(2006):急性肺損傷1,000例を、明示したプロトコルで7日間、控えめな輸液管理と自由な輸液管理に割り付けた。7日間の累積水分バランスは−136 mL対6,992 mLと大きく離れたが、60日死亡は25.5%対28.4%(差の95%CI −2.6〜8.4ポイント)で有意差はなかった。控えめな群は、人工呼吸なしの日数(14.6対12.1日)とICU外の日数(13.4対11.2日)が多く、ショックの頻度や60日までの透析(10%対14%、P=0.06)は増えなかった[16]。

研究結果系統的レビュー(Silversides 2017):ARDS・敗血症・SIRSの成人と小児で、蘇生後の控えめな輸液またはde-resuscitationを調べた無作為化試験11件(2,051例)のメタ解析で、死亡の相対リスクは0.92(95%CI 0.82〜1.02)と有意差がなく、人工呼吸なしの日数は1.82日(0.53〜3.10)多く、ICU在室日数は1.88日短かった[17]。

研究結果CLASSIC(2022):発症12時間以内で1 L以上の輸液を受けた敗血症性ショックの成人1,554例で、ICUでの輸液量の中央値は制限群1,798 mL、標準群3,811 mLだった。90日死亡は42.3%(323/764)対42.1%(329/781)(調整絶対差0.1ポイント、95%CI −4.7〜4.9)、ICUでの重篤な有害事象は29.4%対30.8%だった[18]。

研究結果CLOVERS(2023):1〜3 Lの初期輸液後も低血圧が続く敗血症1,563例を、24時間、昇圧薬を優先して輸液を絞る制限群と、昇圧薬の前に輸液を多く使う自由群に割り付けた(米国60施設、非盲検)。輸液量の中央値の差は−2,134 mL(95%CI −2,318〜−1,949)で、90日までに自宅へ退院する前の死亡は14.0%対14.9%(差−0.9ポイント、95%CI −4.4〜2.6)だった[19]。初期蘇生の24時間を比べた試験で、止血後の除水の問いには直接答えない。

研究結果GODIF(第1版、2023):臨床的に安定し5%以上の体液過剰があるICUの成人を、累積水分バランスをできるだけ早くゼロにすることを目標に、フロセミドの持続投与とプラセボに盲検で割り付けた。累積水分バランスだけで体液の状態を推定するのが臨床で難しく(登録時の値の修正32%、プロトコル逸脱29%)、予定1,000例のうち41例で中止された。90日の生存退院日数の中央値は50日対45日(平均差1日、95%CI −19〜21)で、精度のある推定はできなかった[20]。

指針J-SSCG 2024は、循環動態が安定した敗血症患者に、低灌流による虚血性の臓器障害を監視しながら制限的な輸液管理を行うことを弱く推奨する(GRADE 2C)。低灌流は皮膚所見(網状皮斑、末梢のチアノーゼ)、バイタルサイン、CRT、乳酸値、尿量で総合的に評価するとしている[11]。AKI(急性腎障害)診療ガイドライン2016は、AKIの予防を目的にループ利尿薬を投与しないことを推奨し(推奨の強さ1、エビデンスの強さB)、体液過剰を補正する目的での使用を除き、AKIの治療としてループ利尿薬を投与しないことを提案する(2C)[21]。世界腹部コンパートメント症候群学会(WSACS)の2013年の指針は、腹腔内圧上昇がある、またはその危険がある重症患者で、急性期の蘇生が終わった後に累積水分バランスのプラスを避けるプロトコルの使用を提案する(2C)が、利尿薬、腎代替療法、アルブミンについては推奨を示せないとした[22]。

本稿の解釈外挿して言えるのは、蘇生が済んだ患者で水を控えると人工呼吸の期間は短くなり得るが、死亡の減少は示されておらず、重篤な有害事象が増えたという結果も出ていない、というところまでである。外傷の止血後に適用するなら、手順は(1)目的のない輸液を止める、(2)溶解液と維持輸液を減らす、(3)自然な利尿を待つ、(4)体液過剰の害(酸素化の悪化、腹腔内圧の上昇、創部や腸管の浮腫)があればループ利尿薬を検討する、(5)腎機能が追いつかなければ腎代替療法の除水を検討する(AKIとRRTの記事)、の順に段階を上げる。

除水を止めて再評価する目安(本稿の解釈。検証された基準ではない):再出血の徴候(Hbの低下、ドレーン排液の増加)、乳酸値の再上昇、昇圧薬の再開・増量、尿量の減少とクレアチニンの上昇、頭部外傷での脳灌流圧の低下や血清ナトリウムの急な変化、脊髄損傷での平均血圧の目標割れ。どれかがあれば除水を止め、原因を確かめる。

7.腹腔内圧と腹部コンパートメント症候群

指針WSACSの2013年の定義では、腹腔内圧上昇(IAH)は12 mmHg以上の持続する、または繰り返す病的な上昇、腹部コンパートメント症候群(ACS)は20 mmHgを超える持続した腹腔内圧に新たな臓器障害・不全を伴うものである。腹部・骨盤の損傷や疾患による一次性と、腹部・骨盤以外に由来する二次性に分ける。測定は膀胱から行い、注入する生理食塩液は最大25 mL、仰臥位・呼気終末で、中腋窩線をゼロ点としてmmHgで表す。推奨は、既知の危険因子があれば腹腔内圧を測る(1C)、明らかなACSには減圧開腹を行う(1D)で、提案は、急性期の蘇生後に累積水分バランスのプラスを避ける(2C)、大量出血の蘇生で血漿と赤血球の比を高める(2D)などである[22]。

研究結果外傷では、晶質液の量とACSの関連が繰り返し示されてきた。地域のレベルI外傷センター(ICU 20床)で、ICU最初の24時間の酸素運搬量の目標を600 mL/分/m²以上(16か月、85例)から500 mL/分/m²以上(その後の16か月、71例)に下げた前後比較では、高い目標の時期にIAH(42%対20%)、ACS(16%対8%)、多臓器不全(22%対9%)、死亡(27%対11%)が多かった。この研究は乳酸リンゲル液の投与を目標達成の最初の手段としており、IAHを膀胱内圧20 mmHg超、ACSを25 mmHg超と臓器障害で定義していた(現在の定義とは違う)[23]。鈍的外傷で受傷24時間に赤血球10単位以上を要した患者の多施設前向きコホートでは、晶質液(L)と赤血球(単位)の比が1.5を超えると、多臓器不全の危険が70%以上、ARDSとACSの危険が2倍高かった。死亡や院内感染との有意な関連はみられなかった[24]。いずれも止血前後の蘇生期の晶質液の研究で、観察研究である。

本稿の解釈大量輸血、腹部・骨盤の損傷、開放腹部や一時閉腹、大きな水分バランスのプラスがある患者では、ICU入室時から腹腔内圧を定期的に測る。腹腔内圧が上がってきたら、輸液の追加ではなく、鎮痛・鎮静、胃・腸の減圧、腹水の経皮ドレナージ、水分バランスの是正を先に考え、ACSを疑えば外科と減圧を相談する(ダメージコントロール手術の記事)。腹腔内圧が高い患者では、PLRの結果を反応性なしと読まない(5節)。

8.体液過剰と転帰:外傷の観察研究

研究結果CENTER-TBI・OzENTER-TBI(2021):欧州とオーストラリアの18か国55施設で、2014年12月〜2017年12月に頭部CTを要する頭部外傷でICUに入った16歳以上の2,125例の前向きコホートである。1日平均の輸液量の中央値は施設間で1.48〜4.23 Lと大きくばらついた。患者単位の解析では、1日平均の水分バランスが0.1 L多いごとにICU死亡のオッズ比1.10(95%CI 1.07〜1.12)、6か月の機能転帰(GOSE)の悪化のオッズ比1.04(1.02〜1.05)だった。施設単位の解析でも、水分バランスのプラスが大きい施設ほどICU死亡(1.17、1.05〜1.29)と機能転帰(1.07、1.02〜1.13)が悪かったが、施設の輸液量そのものは死亡(0.95、0.90〜1.00)とも機能転帰(1.01、0.98〜1.03)とも有意な関連がなかった[25]。

研究結果外傷ICUの単施設後ろ向き研究(Wrzosek 2023):2019〜2020年に2日以上ICUに入った成人外傷52例で、水分バランスは死亡、合併症、人工呼吸期間、ICU在室日数と正の相関を示した。2日目の終わりの輸液量は非生存例で多く(2.77対2.14 mL/kg/時)、水分バランスも非生存例6.21 L、生存例2.48 Lだった[26]。

研究結果重症患者(外傷を含む)の系統的レビュー(Malbrain 2014):無作為化試験11件と観察研究24件などを含む計19,902例で、ICU 1週間の累積水分バランスは非生存例で4.4 L多かった。制限的な管理は累積水分バランスを5.6 L少なくし、死亡の低さと関連した(24.7%対33.2%、OR 0.42、95%CI 0.32〜0.55)。IAHの患者は累積水分バランスが3.4 L多く、平均4.9 Lの除水で腹腔内圧は19.3から11.5 mmHgに下がった[27]。設計の違う研究をまとめた結果で、無作為化試験だけの結果ではない。

本稿の解釈観察研究の関連は因果を示さない。重症な患者ほど輸液が多く入るため、輸液が死亡を増やしたのか、死亡しやすい患者に輸液が多く入ったのかを区別できない。CENTER-TBIの施設単位の解析は患者の重症度による交絡をある程度減らす設計だが、施設ごとの診療の違いによる交絡は残る。これらの研究が支えるのは「止血後に水分バランスのプラスを放置しない」という方向までで、目標とする数値ではない。

指針の比較表

指針・年対象推奨・提案(条件を含む)強さ注意
欧州外傷出血ガイドライン第6版(2023)[2]出血中の外傷患者脳損傷の臨床所見がなければ、大出血が止まるまで収縮期血圧80〜90 mmHgを目標とする制限的な輸液(推奨13)。低血圧の出血患者は0.9%食塩液または調整晶質液で開始、重症頭部外傷で低張液を避ける、膠質液を制限(推奨15)1B(推奨13、推奨15の前2項)、1C(膠質液)止血前の推奨。重症頭部外傷(GCS 8以下)は平均動脈圧80 mmHg以上(1C)
WSACS(2013)[22]IAH・ACSの危険がある重症患者危険因子があれば腹腔内圧を測る。急性期の蘇生後に累積水分バランスのプラスを避けるプロトコル。明らかなACSに減圧開腹1C、2C、1D利尿薬、腎代替療法、アルブミンは推奨なし
J-SSCG 2024[11]敗血症・敗血症性ショック初期輸液は生理食塩液より調整晶質液。大量の晶質液を要する場合に等張アルブミン。人工膠質液は投与しない。循環が安定したら虚血性臓器障害を監視しながら制限的な輸液管理2C、2B、1B、2C外傷は対象外。外傷患者の敗血症では参照できる
AKI診療ガイドライン2016[21]AKIAKI予防のループ利尿薬は投与しない。体液過剰の補正を除き、AKI治療としてループ利尿薬を投与しない1B、2C体液過剰の補正は除外されている
外傷初期診療ガイドライン改訂第6版(JATEC)[28]外傷の初期診療初期輸液は成人1 L、小児20 mL/kg。循環が明らかに破綻していれば初期輸液への反応をみずに蘇生的止血術と大量輸血プロトコルを発動改訂概要の記載(強さの表示なし)ICUの輸液管理の記載は改訂概要にない。本文は未確認

根拠の比較表

表はスマートフォンでは横にスクロールして読む。「外傷」の列は、対象が外傷患者か、一般ICU患者からの外挿かを示す。

出典(年)デザイン対象(外傷)比較主な結果(評価時点)限界と意味
CENTER-TBI(2021)[25]多施設前向きコホートICUの頭部外傷2,125例(外傷)水分バランス・輸液量ICU死亡OR 1.10(1.07〜1.12)/0.1 L/日。施設単位でも水分バランスは関連、輸液量は有意な関連なし観察研究。目標値は介入研究で未検証
Wrzosek(2023)[26]単施設後ろ向き外傷ICU 52例(外傷)生存例対非生存例2日目の水分バランス2.48対6.21 L少数。逆の因果を除けない
Young(2014)[8]二重盲検RCT(1施設)重症外傷46例(外傷)Plasma-Lyte A対生理食塩液(24時間)BE改善7.5対4.4 mmol/L、Cl 104対111 mEq/L。死亡に有意差なし代用評価項目。小規模
Balogh(2003)[23]前後比較(前向きデータベース)重症外傷156例(外傷)DO₂I目標600対500ACS 16%対8%、死亡27%対11%時期の違いによる交絡。旧定義
Neal(2012)[24]多施設前向きコホート大量輸血の鈍的外傷(外傷)晶質液:赤血球比比1.5超でARDS・ACSの危険2倍。死亡との有意な関連なし蘇生期の研究。観察研究
SMART(2018)[4]・BaSICS(2021)[5]・PLUS(2022)[6]クラスター・クロスオーバー1件、二重盲検RCT 2件ICU 15,802例・11,052例・5,037例(外挿)調整晶質液対生理食塩液SMART:30日の主要腎有害事象14.3%対15.4%。BaSICS:90日死亡26.4%対27.2%。PLUS:90日死亡21.8%対22.0%死亡の差は小さいか有意差なし。頭部外傷の部分集団は本稿で未確認
Diz(2025)[7]メタ解析15試験35,207例(頭部外傷の部分集団あり)調整晶質液対生理食塩液頭部外傷でOR 1.31(1.03〜1.65)、それ以外で0.93(0.87〜0.98)抄録のみ確認。部分集団の解析
SAFE-TBI(2007)[10]RCTの事後解析頭部外傷460例(外傷)4%アルブミン対生理食塩液24か月死亡33.2%対20.4%(RR 1.63)事後解析。差は重症例(GCS 3〜8)で大きく、GCS 9〜12では有意差なし
FACTT(2006)[16]RCT急性肺損傷1,000例(外挿)控えめ対自由な輸液管理(7日)60日死亡25.5%対28.4%(有意差なし)。人工呼吸なし日数14.6対12.1日外傷に限らない。プロトコルの詳細は本稿で未確認
CLASSIC(2022)[18]RCT敗血症性ショック1,554例(外挿)ICUでの輸液制限対標準90日死亡42.3%対42.1%死亡に有意差なし。ICUの重篤な有害事象29.4%対30.8%
CLOVERS(2023)[19]非盲検RCT敗血症の低血圧1,563例(外挿)昇圧薬優先対輸液優先(24時間)90日の自宅退院前死亡14.0%対14.9%初期蘇生の試験。除水の問いではない
GODIF第1版(2023)[20]盲検RCT(早期中止)体液過剰5%以上のICU 41例(外挿)フロセミド対プラセボ予定の4.1%で中止。生存退院日数50対45日累積水分バランスの記録の難しさを示した

評価時点について:CENTER-TBIはICU死亡と6か月のGOSE、Wrzosekは2日目の水分バランスと死亡(死亡の評価時点は抄録に明記なし)、Youngは受傷24時間の酸塩基、BaloghはICU最初の24時間の管理とその後の転帰(転帰の評価時点は抄録に明記なし)、SMARTは30日、BaSICS・PLUS・CLASSICは90日、CLOVERSは90日までの自宅退院前の死亡、SAFE-TBIは24か月、FACTTは60日、GODIFは90日の生存退院日数を主な評価時点とした。

日本で実施するとき

国内の指針

  • JATEC:外傷初期診療ガイドライン改訂第6版の改訂概要では、「初期輸液療法」の表記を「初期輸液」に改め、初期輸液の量を成人1 L、小児20 mL/kgに変更し、循環が明らかに破綻している場合は初期輸液への反応をみるまでもなく蘇生的な止血術と大量輸血プロトコルを発動することを強調した[28]。止血後のICUでの輸液管理の記載は改訂概要にはなく、ガイドライン本文は未確認である。
  • J-SSCG 2024:敗血症の推奨(調整晶質液、等張アルブミン、人工膠質液を使わない、循環安定後の制限的な輸液管理)は、外傷後に敗血症を合併した患者では直接参照できる[11]。敗血症のない止血後の外傷患者への適用は外挿である。
  • AKI(急性腎障害)診療ガイドライン2016:AKIの予防や治療の目的ではループ利尿薬を使わないとし、体液過剰の補正を目的とする使用はこの提案の対象から除いている(CQ6-2)[21]。腎代替療法の開始時期はAKIとRRTの記事に譲る。

製剤と電子添文

  • 晶質液:国内では乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、重炭酸リンゲル液、生理食塩液などが使われる。乳酸リンゲル液(ラクテック注)の電子添文の効能は、循環血液量と組織間液の減少時の細胞外液の補給・補正と代謝性アシドーシスの補正で、用法は通常成人1回500〜1,000 mL、投与速度は通常成人1時間あたり300〜500 mLとされている[29]。この速度は添付文書の標準の用法で、止血後のICUで続ける量の目安ではない(本稿の解釈)。各製剤のナトリウム濃度と浸透圧比は、本稿では電子添文の数値を確認できていない(未確認)。重症頭部外傷で使うときは、各製剤の電子添文で確かめる。
  • Plasma-Lyte:SMART、PLUS、Youngの試験で使われたPlasma-Lyte A・Plasma-Lyte 148の国内での承認・流通は未確認である。国内の調整晶質液で同じ結果が得られるとは限らない(本稿の解釈)。
  • アルブミン製剤:献血アルブミン25%の電子添文(2023年3月改訂)の効能は、アルブミンの喪失(熱傷、ネフローゼ症候群など)とアルブミン合成低下(肝硬変症など)による低アルブミン血症、出血性ショックである。投与後の血清アルブミン濃度の目標は急性の場合3.0 g/dL以上、慢性の場合2.5 g/dL以上とし、投与前後の血清アルブミン濃度と臨床所見の改善を比べた効果の評価を3日間をめどに行う[12]。国の「血液製剤の使用指針」は2026年3月24日の通知で廃止され、日本輸血・細胞治療学会の「輸血療法実践ガイド」(令和8年2月版)の周知に切り替わった[30]。同ガイドにはアルブミン製剤の節があるが[31]、本稿はその本文を確認できていない(未確認)。

施設体制と保険

本稿の解釈水分バランスを正しく数えるには、手術室・初療室の輸液と輸血、ドレーン排液、開放腹部からの喪失をICUの記録に引き継ぎ、体重を定期的に測る仕組みが要る。溶解液を減らすには、薬剤部と濃縮できる薬剤と配合を決めておく。膀胱内圧の測定の手順(注入量、体位、ゼロ点)は、WSACSの方法に合わせて看護手順に書いておく[22]。輸液管理や膀胱内圧の測定に対応する診療報酬上の扱い(算定の可否、加算)は、本稿では確認していない(未確認)。

まだ分からないこと

  • 止血後の外傷患者でde-resuscitationが転帰を変えるか。本稿の検索では、外傷患者に限った除水の無作為化試験は見つからなかった。一般ICUの試験(FACTT、CLASSIC)は死亡の減少を示していない[16][18]。
  • 目標とする水分バランスの数値。体液蓄積10%は原著の目安で[1]、外傷で検証された閾値ではない。CENTER-TBIの著者は中立の水分バランスを目標にすると転帰が改善する可能性を示唆したが、介入研究では確かめられていない[25]。
  • 頭部外傷での晶質液の選び方。調整晶質液で死亡が多い方向の結果は部分集団の解析で[7]、頭部外傷だけを対象に晶質液の種類を比べた大規模試験は確認できなかった。
  • 頭部外傷のない外傷でのアルブミン。SAFEの外傷の部分集団の数値は本文でしか確認できず、本稿では扱っていない。頭部外傷のない外傷で利益を示した試験は見つからなかった。
  • フロセミドによる除水の効果。GODIFの第1版は41例で中止され[20]、その後の版の結果は本稿の検索では確認できなかった。

文献

  1. Malbrain MLNG, Van Regenmortel N, Saugel B, De Tavernier B, Van Gaal PJ, Joannes-Boyau O, Teboul JL, Rice TW, Mythen M, Monnet X. Principles of fluid management and stewardship in septic shock: it is time to consider the four D’s and the four phases of fluid therapy. Ann Intensive Care. 2018;8:66. doi:10.1186/s13613-018-0402-x. PMID: 29789983.
  2. Rossaint R, Afshari A, Bouillon B, et al. The European guideline on management of major bleeding and coagulopathy following trauma: sixth edition. Crit Care. 2023;27:80. doi:10.1186/s13054-023-04327-7. PMID: 36859355.
  3. Van Regenmortel N, Verbrugghe W, Roelant E, et al. Maintenance fluid therapy and fluid creep impose more significant fluid, sodium, and chloride burdens than resuscitation fluids in critically ill patients: a retrospective study in a tertiary mixed ICU population. Intensive Care Med. 2018;44(4):409-417. doi:10.1007/s00134-018-5147-3. PMID: 29589054.
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  6. Finfer S, Micallef S, Hammond N, et al. Balanced multielectrolyte solution versus saline in critically ill adults. N Engl J Med. 2022;386(9):815-826. doi:10.1056/NEJMoa2114464. PMID: 35041780.
  7. Diz JC, Luna-Rojas P, Díaz-Vidal P, et al. Effect of treatment with balanced crystalloids versus normal saline on the mortality of critically ill patients with and without traumatic brain injury: a systematic review and meta-analysis. Anesth Analg. 2025;141(1):152-161. doi:10.1213/ANE.0000000000007368. PMID: 39832223.
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医学的内容の最終確認日:2026年9月26日(著者確認)。文献照合日:2026年9月26日(日本時間)。文献の検索・照合は2026年9月25〜26日に行った。OpenAlex(文献データベース。抄録は、OpenAlexが公開する抄録の単語データから復元したもの)、Crossref、NCBI BioC、PubMedの論文ページ、出版社(Springer)の公開ページとPDF、J-STAGE、学会・官公庁の公式ページ、KEGG MEDICUSの電子添文を直接開いて確認した。Europe PMC、Semantic Scholar、NCBIの一部の経路とPubMedの検索画面には、接続できない時間帯があった。数値・用量・適用条件を含む医学的内容は、2026年9月26日に著者(医師)が確認した。

  • 本文を確認:[1](出版社の公開PDF。4段階、4つのD、体液過剰10%の定義、1日の必要量)、[2](出版社の公開PDF。推奨13・14・15とその根拠の文)、[11](英語版の公開PDF。CQ3-1〜3-6、CQ3-13。日本語版は書誌と抄録のみ)、[22](出版社の公開ページ。定義、測定法、主な推奨と強さ)。
  • 抄録のみ確認:[3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [23] [24] [25] [26] [27]。本文中の数値は抄録にある範囲に限った。OpenAlexの単語データから復元した抄録で語順が乱れていた箇所([10]のGCS 9〜12の例数、[15]の群の向き、[23]の輸液量、[27]の比較の向き)は、公開前の独立検証で NCBI BioC([8] [9] [10] [15] [27])または PubTator3([3] [4] [5] [6] [7] [13] [14] [16] [17] [18] [19] [20] [23] [24] [25] [26])から PubMed の抄録を取り直して照合し、本文の数値と群の向きが一致することを確かめた。[23]の乳酸リンゲル液の量は本文に使っていない。
  • 公式情報・電子添文を確認:[12] [21](ダイジェスト版のCQ一覧とCQ6-2)[28] [29] [30]。[31]は目次のみ確認し、アルブミン製剤の節の本文は取得できなかった。
  • 未取得:SAFE(2004)とSAFE-TBI(2007)の本文(外傷の部分集団の数値、頭蓋内圧の追加解析)、BaSICSとPLUSの頭部外傷の部分集団の本文、Hammondら(2022)のメタ解析、外傷初期診療ガイドライン改訂第6版の本文、ARDS診療ガイドライン2021の輸液に関する記載、国内の晶質液・維持液の組成(電子添文の組成欄)。
  • 訂正・撤回:各文献の訂正・撤回の有無は、Crossrefへの接続の制限で個別には確認できていない。

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更新履歴を開く(全3件・最新:2026年9月26日)
  • 2026年9月26日(著者確認):著者(医師)が数値・用量・適用条件を含む医学的内容を確認した。確認日の表記を更新した。あわせて、確認範囲の記載を読者向けの表現に改め、関連記事と分野の一覧へのリンクを加えた(医学的内容は変えていない)。
  • 2026年9月26日(改訂):初回公開版は4文献の短い解説で、止血後の管理の具体性が不足していたため、全面的に書き直した。主な変更は次のとおり。(1)止血前の蘇生(許容低血圧、Bickell 1994)の記述は大量輸血プロトコル・外傷麻酔の記事に譲って縮め、止血後の管理を中心に据えた。(2)輸液の4段階(ROSE)と4つのD、維持輸液と溶解液(fluid creep)の数え方を加えた。(3)晶質液の種類(SMART、BaSICS、PLUS、頭部外傷の部分集団のメタ解析、外傷の小規模RCT)、アルブミン(SAFE、SAFE-TBI、J-SSCG 2024、電子添文)、輸液反応性の評価(中心静脈圧、PLR、腹腔内圧による偽陰性)、de-resuscitation(FACTT、系統的レビュー、CLOVERS、GODIF)、腹部コンパートメント症候群(WSACS 2013、外傷の研究)、体液過剰と転帰(CENTER-TBI、系統的レビュー)の節を加えた。(4)初回公開版で「Rola P」とした外傷ICU 52例の研究の筆頭著者を、原著どおりWrzosek Aに訂正し、抄録で確認できないオッズ比の数値を削除した。(5)指針の比較表に WSACS、J-SSCG 2024、AKI診療ガイドライン2016、JATEC改訂概要を加え、根拠の比較表に外傷か外挿かの区別を加えた。(6)「日本で実施するとき」に国内指針、電子添文、「血液製剤の使用指針」の廃止と「輸血療法実践ガイド」への移行を加え、確認できない事項を「未確認」とした。
  • 2026年9月26日(初回公開):出血中の制限的な輸液(欧州外傷出血ガイドライン2023、Bickell 1994)と止血後のFluid Stewardshipを分け、外傷ICUの観察研究とCLASSICを示して、止血後の外傷患者でde-resuscitationを直接検証した無作為化試験が乏しいことを述べた短い解説として公開(4文献)。

本記事は医療従事者への教育および一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。実際の診療では、各施設のプロトコルおよび最新の診療ガイドラインをご確認ください。
利益相反:本記事に関連して開示すべき利益相反はありません。

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この記事を書いた人

外科医・救急科専門医。外傷外科、Acute Care Surgery、救急・集中治療領域の診療と研究に従事しています。外傷性凝固障害、出血性ショック、止血蘇生、大量輸血、腹部外傷を中心に、臨床で使えるエビデンスを解説します。

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