重症外傷にARDSを合併したら、予測体重あたり4〜8 mL/kgの一回換気量とプラトー圧30 cmH2O未満を土台にし、中等症〜重症ではPEEPの設定、長時間の腹臥位、筋弛緩薬、ステロイド、ECMOを検討する。ただし主要な試験の多くは外傷に限らない一般のARDS患者で行われており、脊椎・骨盤の損傷、開腹創、頭部外傷の頭蓋内圧(ICP)がその適用を制限する。本稿は、外傷患者の根拠と一般のARDS試験から外挿する部分を分け、離脱と気管切開までを整理する。
医療従事者向け:本記事は教育および一般的な医学情報の提供を目的としています。個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。
まず押さえる要点
- 肺保護換気がすべての土台になる。ARMA試験(861例)で、一回換気量6 mL/kgの群の死亡は31.0%と、12 mL/kgの群の39.8%より低かった[1]。国内外の指針はいずれも4〜8 mL/kg(予測体重)を強く推奨する[2][3][4]。
- PaO2/FiO2が150 mmHg未満のまま続く中等症〜重症のARDSでは、1回16時間以上の腹臥位を早めに検討する。PROSEVA試験では28日死亡が16.0%対32.8%だった(HR 0.39、95%CI 0.25〜0.63)[5]。腹臥位の専門家による総説では不安定な脊椎骨折が唯一の絶対禁忌とされ[6]、外傷に多い骨盤・開腹創・ICPの問題は個別に判断する。
- 筋弛緩薬の持続投与をルーチンには行わない。ROSE試験(1,006例)で90日の院内死亡は42.5%対42.8%と差がなかった[7]。ATS 2024は早期の重症ARDSに条件付きで提案し、ESICM 2023はルーチンの持続投与に反対する[8][3]。試験で使われたシスアトラクリウムは国内の医薬品情報の検索で品目が見つからず、国内で使うロクロニウムの呼吸管理目的の長期投与は承認外である[9]。
- ステロイドはARDSでは提案されるが、頭部外傷では別に考える。ATS 2024は条件付きで提案する[8]が、頭部外傷へのメチルプレドニゾロンは2週間の死亡を増やした(21.1%対17.9%)[10]。外傷後ARDSに限った試験は見つからなかった。
- 頭部外傷の合併では、ICPの著しい上昇がなければPaCO2は35〜45 mmHgを目安にし、ICPが高いときは腹臥位や肺リクルートメントを慎重に判断する。ESICMの合意はICPが上がっていない脳損傷でこの範囲を推奨したが、ICPが高い場合の肺保護換気、腹臥位、肺リクルートメント手技については推奨を出せなかった[11]。ICPが高いときのPaCO2の目標は7節に示す。
対象と扱わない範囲
対象:気管挿管され、ICUで人工呼吸を受けている成人の重症外傷患者。ARDSを合併した患者と、ARDSのない患者の両方を扱う。頭部外傷を合併する場合の換気目標も扱う。
扱わない範囲:初療室での気道確保の手技と薬剤(外傷麻酔|出血性ショックの麻酔導入・輸血・止血)、肋骨骨折の鎮痛・非侵襲的換気・固定術(肋骨骨折の治療|鎮痛・呼吸管理・固定術の適応)、胸腔ドレーン、ECMOの導入基準と回路・抗凝固の管理(重症外傷とECMO:出血リスクのある患者にいつ導入を考えるか)、小児、熱傷・気道熱傷。
読み方:本稿の根拠は2種類に分かれる。①外傷患者を対象とした研究(外傷後ARDSの疫学、外傷での腹臥位の小規模試験、外傷でのヒドロコルチゾンの試験、頭部外傷の研究)と、②外傷に限らないARDS患者の試験と指針である。低一回換気量、PEEP、腹臥位、筋弛緩薬、ECMOの主要な数値の多くは②から来ている。①で確かめられていない部分は「外挿」または「本稿の解釈」と明記する。
1.外傷後ARDS:どれくらい起こり、誰に起こるか
指針2024年に提案されたARDSの新しい国際定義は、外傷、輸血、誤嚥、ショックなどの誘因から1週間以内の低酸素性呼吸不全で、心原性の肺水腫だけでは説明できない両側の陰影があるものとする。挿管患者ではPEEP 5 cmH2O以上でPaO2/FiO2 200〜300 mmHgを軽症、100〜200 mmHgを中等症、100 mmHg以下を重症とする。SpO2/FiO2、肺超音波、高流量鼻カニュラ(30 L/分以上)の患者を含められる点がBerlin定義との違いである[12]。
研究結果重症外傷ではARDSは珍しくない。米国のレベルI外傷センターと多施設共同研究の前向きコホートで作られた予測モデルの研究では、ARDSは開発コホート224例の35%、検証コホート1,762例の24%に起きた。予測因子は年齢、APACHE II、ISS、鈍的外傷、肺挫傷、大量輸血、フレイルチェストで、モデルの判別能(AUC)は検証コホートで0.71(95%CI 0.68〜0.74)だった[13]。肺挫傷のある胸部外傷49例では、入院時CTの3次元再構成で肺挫傷が全肺容量の20%以上の17例のうち82%がARDSになり、20%未満の32例の22%より多かった(P<0.001)[14]。
研究結果外傷後ARDSの死亡率を1980〜2018年の23研究(外傷患者486,861例、うちARDS 52,561例)で集計した系統的レビューでは、研究ごとの死亡率は4〜39%と幅があり、全体では21.8%だった。年代別(25.8%、20.6%、20.7%、22.5%)の変化も、欧州と北米の差も見られなかった[15]。
本稿の解釈外傷後の低酸素血症は、ARDSのほかに気胸・血胸、無気肺、胸壁の動揺、輸液過多、肺塞栓でも起こる。換気の設定を変える前に、これらを画像と診察で除外する。大量輸血と肺挫傷はARDSの予測因子なので[13]、止血後の輸液と輸血の管理は外傷後の輸液管理:止血後のFluid Stewardshipをどう考えるかも参照する。
2.一回換気量とプラトー圧:ARMA試験から各指針まで
研究結果ARMA試験(ARDS Network、2000年)は、急性肺傷害・ARDSの患者を、一回換気量6 mL/kg(予測体重)・プラトー圧30 cmH2O以下の群と、12 mL/kg・50 cmH2O以下の群に割り付けた。861例の時点で中止され、死亡(退院して自発呼吸になる前の死亡)は31.0%対39.8%(P=0.007)、28日までの人工呼吸器を使わない日数は平均12日対10日(P=0.007)だった[1]。
指針ATS/ESICM/SCCM 2017は、ARDSの全患者で一回換気量4〜8 mL/kg(予測体重)とプラトー圧30 cmH2O未満を強く推奨した(確実性は中等度)[2]。ESICM 2023も4〜8 mL/kgの低一回換気量を強く推奨し、推奨の解説でプラトー圧を30 cmH2O未満に保つことを挙げる[3]。日本のARDS診療ガイドライン2021は、一回換気量を4〜8 mL/kgに制限することを強く推奨し(GRADE 1D)、プラトー圧の制限を弱く推奨する(GRADE 2D)[4]。
研究結果ARDSのない患者では、低い一回換気量の利益は示されていない。ARDSのない961例のPReVENT試験では、28日時点の人工呼吸器を使わない日数は低一回換気量群と中間の一回換気量群でいずれも中央値21日(平均差−0.27日、95%CI −1.74〜1.19)で、死亡や呼吸器合併症にも有意差はなかった[16]。
本稿の解釈一回換気量は実体重ではなく、身長から計算する予測体重で決める。重症外傷ではARDSがまれでないので[13]、診断前から8 mL/kgを超えない設定で始め、プラトー圧を確かめておく考え方がある。ただしこの運用は、PReVENT試験の結果からは利益も害も示されていない。
3.PEEP・肺リクルートメント手技・駆動圧
研究結果高いPEEPと低いPEEPを比べた3試験(2,299例)の個別患者データのメタ解析では、全体の院内死亡に有意差はなかった(32.9%対35.2%、調整RR 0.94、95%CI 0.86〜1.04)。PaO2/FiO2 200 mmHg以下の患者(1,892例)では34.1%対39.1%(調整RR 0.90、95%CI 0.81〜1.00、P=0.049)と高いPEEPで低く、200 mmHgを超える患者(404例)では27.2%対19.4%(調整RR 1.37、95%CI 0.98〜1.92、P=0.07)と逆の方向だった[17]。
研究結果肺リクルートメント手技と、呼吸器系のコンプライアンスが最良となるPEEPへの調整を組み合わせたART試験(中等症〜重症ARDS 1,010例)では、28日死亡は55.3%対49.3%と、介入群で多かった(HR 1.20、95%CI 1.01〜1.42)。ドレナージを要する気胸(3.2%対1.2%)と圧外傷(5.6%対1.6%)も介入群で多かった[18]。
指針ATS 2024は、中等症〜重症ARDSで、肺リクルートメント手技を伴わない高いPEEPを低いPEEPより条件付きで提案し(確実性は低〜中等度)、長時間の肺リクルートメント手技には強く反対する(確実性は中等度)[8]。ESICM 2023は、高いPEEPと低いPEEP、呼吸メカニクスに基づくPEEP調整とPEEP/FiO2表のどちらについても推奨を出さず、35 cmH2O以上を1分以上保つ長時間の手技に強く反対し、1分未満の短時間の手技もルーチンには行わないよう弱く推奨する[3]。日本のガイドラインは高いPEEPを弱く推奨し(GRADE 2D)、肺リクルートメント手技のルーチン使用に弱く反対する(GRADE 2D)[4]。
研究結果駆動圧(プラトー圧−PEEP)は、9つの無作為化試験の3,562例を再解析した研究で、生存との関連が最も強い換気の変数だった。駆動圧が1標準偏差(約7 cmH2O)高いと死亡の相対リスクは1.41(95%CI 1.31〜1.51)で、プラトー圧が「保護的」な範囲の患者でも1.36(95%CI 1.17〜1.58)だった[19]。ただし試験の再解析による関連の研究で、駆動圧を目標にした管理を無作為化で検証したものではない。日本のガイドラインも、駆動圧を指標にすることについて推奨を出していない[4]。
本稿の解釈出血や循環血液量の減少が残る外傷患者では、PEEPを上げると静脈還流が減り血圧が下がりやすい。PEEPを上げたら、酸素化だけでなく血圧、乳酸、可能なら心エコーで右心を確かめる。空気漏れのある肺・気管支の損傷では、圧を上げる前に胸腔ドレーンの状態を確かめる。
4.腹臥位:PROSEVA試験と外傷での判断
研究結果PROSEVA試験は、PaO2/FiO2 150 mmHg未満(FiO2 0.6以上、PEEP 5 cmH2O以上、一回換気量6 mL/kg前後)の重症ARDS 466例を、1回16時間以上の腹臥位と仰臥位に割り付けた。28日死亡は16.0%対32.8%(HR 0.39、95%CI 0.25〜0.63)、90日死亡は23.6%対41.0%(HR 0.44、95%CI 0.29〜0.67)だった[5]。
指針ATS/ESICM/SCCM 2017は、重症ARDSで1日12時間を超える腹臥位を強く推奨した(確実性は中等度)[2]。ESICM 2023は、換気設定を最適化してもPaO2/FiO2が150 mmHg未満の中等症〜重症ARDSで腹臥位を強く推奨し、挿管後の安定化の期間ののち早期に始め、16時間以上連続する長いセッションで行うことも強く推奨する[3]。日本のARDS診療ガイドライン2021の腹臥位の推奨文は、本稿で取得できた範囲に含まれず未確認である。
研究結果外傷患者に限った無作為化試験は小規模なものに限られる。急性肺傷害またはARDSを合併した多発外傷40例の試験では、1日8〜23時間の腹臥位(21例)で最初の4日間の酸素化の改善が仰臥位(19例)より大きく(P=0.03)、ARDSと肺炎の有病率も低かったが、人工呼吸期間と死亡(1例対3例)には有意差がなかった[20]。
腹臥位の専門家による総説は、絶対禁忌を不安定な脊椎骨折のみとし、主な有害事象に褥瘡と顔面の浮腫を挙げ、体位変換には熟練した4〜5人のチームが必要としている[6]。頭部外傷などの脳損傷を合併したARDSでは、ESICMの合意が、ICPの著しい上昇がない場合に腹臥位を検討してよいとし(強い推奨、根拠の確実性は非常に低い)、ICPが高い場合には推奨を出せなかった[11]。
外傷患者を腹臥位にする前の確認(本稿の整理):①脊椎:画像で不安定性を否定できたか、固定術が済んでいるか(不安定な脊椎骨折は絶対禁忌[6])。②骨盤・大腿骨:創外固定器や牽引の位置、支点が固定部にかからないか。③開腹創・陰圧閉鎖療法:腹部を圧迫しない除圧、排液チューブの経路。④頭部外傷:ICP・脳灌流圧を監視しながら行い、ICPが高いときは実施を個別に判断する[11]。⑤顔面外傷・気管チューブ:再挿管が困難な気道かどうか、チューブの固定。⑥胸腔ドレーン、中心静脈・動脈ライン、ECMOカニューレの長さと固定。⑦止血が得られ、昇圧薬の量が増えていないか。②〜⑦の各項目を腹臥位の禁忌とする根拠は、本稿の検索では外傷の試験から得られなかった。
5.筋弛緩薬:ACURASYS試験とROSE試験
研究結果ACURASYS試験(2010年)は、発症48時間以内でPaO2/FiO2 150 mmHg未満の重症ARDS 340例に、シスアトラクリウムまたはプラセボを48時間投与した。背景因子で調整した90日死亡のHRは0.68(95%CI 0.48〜0.98、P=0.04)だったが、調整前の90日死亡は31.6%対40.7%(P=0.08)で有意差はなかった。ICU獲得性の麻痺の頻度に有意差はなかった[21]。
研究結果ROSE試験(2019年)は、PaO2/FiO2 150 mmHg未満・PEEP 8 cmH2O以上の中等症〜重症ARDS 1,006例で、シスアトラクリウムの48時間持続投与と深い鎮静を、ルーチンの筋弛緩を行わず浅い鎮静を目標にする通常治療と比べた。両群とも高いPEEPの戦略を用いた。無益で中止され、90日の院内死亡は42.5%対42.8%(差−0.3ポイント、95%CI −6.4〜5.9)だった。介入群は入院中の身体活動が少なく、心血管の有害事象が多かった[7]。
指針指針の判断は分かれている。ATS 2024は早期の重症ARDSで筋弛緩薬を条件付きで提案する(確実性は低い)[8]。ESICM 2023は、COVID-19によらない中等症〜重症ARDSで死亡を減らす目的の持続投与をルーチンに行わないよう強く推奨する[3]。日本のガイドラインは、中等症〜重症の成人ARDSで早期の筋弛緩薬の投与を弱く推奨する(GRADE 2D)[4]。脳損傷と重症ARDSの合併では、鎮静下での短期の筋弛緩を検討してよいとされた[11]。
本稿の解釈筋弛緩中は、神経所見、腹部所見、痛みの訴えが取れなくなる。使うときは十分な鎮静と鎮痛を確かめ、目的(腹臥位への移行、高度の非同調など)と見直す時点を決めておく。鎮痛・鎮静の設計は重症外傷の鎮痛・鎮静:痛みを抑えながら神経評価と早期離床をどう両立するか、筋力低下はICU-Acquired Weaknessと早期離床:重症外傷の筋力低下をどう防ぐかを参照。
6.副腎皮質ステロイド:ARDS、外傷、頭部外傷を分ける
研究結果DEXA-ARDS試験は、発症24時間後にPEEP 10 cmH2O以上でPaO2/FiO2 200 mmHg以下が続く中等症〜重症ARDS 277例(スペインの17 ICU)で、デキサメタゾン(1〜5日目20 mg/日、6〜10日目10 mg/日)を通常治療と比べた。人工呼吸器を使わない日数は4.8日多く(95%CI 2.57〜7.03)、60日死亡は21%対36%(差−15.3%、95%CI −25.9〜−4.9)だった。登録が遅く予定の88%で中止され、高血糖は76%対70%だった[22]。
指針ATS 2024はARDS患者へのステロイドを条件付きで提案する(確実性は中等度)[8]。日本のガイドライン(英語版の抄録)は、高用量のステロイドに弱く反対し(GRADE 2C)、低用量のステロイドを推奨する(GRADE 1B)[4]。低用量の定義と投与期間は、本稿で取得できた範囲では確認できていない。
研究結果外傷患者での試験は、ARDSの治療ではなく肺炎の予防を目的としていた。多発外傷150例のHYPOLYTE試験では、ヒドロコルチゾン(200 mg/日を5日間、その後漸減)で28日までの院内肺炎が35.6%(26/73)対51.3%(39/76)と少なかった(HR 0.51、95%CI 0.30〜0.83)[23]。重症頭部外傷336例のCorti-TC試験では、ヒドロコルチゾンとフルドロコルチゾンの10日間投与で院内肺炎は45%対53%(HR 0.75、95%CI 0.55〜1.03、P=0.07)で、有意差はなかった[24]。
本稿の解釈外傷後ARDSへのステロイドは一般のARDSからの外挿になる。頭部外傷の有無、感染の制御、高血糖を確かめてから判断する。
7.頭部外傷の合併:PaCO2・PEEP・腹臥位
肺保護換気で許容されることのある高二酸化炭素血症は、頭部外傷ではICPを上げるおそれがあり、両者の目標が衝突する。
指針ESICMの脳損傷の人工呼吸に関する合意(頭部外傷と脳血管障害が対象)は、ICPの著しい上昇がない場合、PaCO2 35〜45 mmHg、PaO2 80〜120 mmHgを目標とし(いずれも強い推奨)、PEEPは脳損傷のない患者と同じ水準を用いるとした。ARDSを合併しICPの著しい上昇がない患者には肺保護換気を強く推奨した。ICPが高い場合の肺保護換気と腹臥位には推奨を出せず、肺リクルートメント手技とECMOはICPの状態にかかわらず推奨を出せなかった[11]。
指針重症頭部外傷では、BTF第4版がPaCO2 25 mmHg以下にする長時間の予防的な過換気を推奨せず(Level IIB)[25]、ICPを測っている患者についてSIBICCはPaCO2を第1段階で正常下限(35〜38 mmHg)、第2段階で軽度の低二酸化炭素血症(32〜35 mmHg)とし、30 mmHg未満へのルーチンの低下を行わない治療に挙げる[26]。数値は頭部外傷の血圧・ICP・CPP・Hb管理:HEMOTIONとTRAINをどう読むかと同じである。
本稿の解釈ICPが安定していれば、肺保護換気とPaCO2 35〜45 mmHgの両立を目指し、PaCO2が上がれば呼吸数と回路の死腔を見直す。ICPが高く両立できないときは、ICPを見ながら脳神経外科と目標を個別に決める。この場面の比較試験は本稿の検索では見つからなかった。
8.それでも酸素化が保てないとき:ECMOへの橋渡し
研究結果EOLIA試験は、PaO2/FiO2 50 mmHg未満が3時間を超えるなどの非常に重症なARDS 249例で、早期のVV-ECMOと、救済としてのECMOを含む従来の換気を比べた。60日死亡は35%対46%(RR 0.76、95%CI 0.55〜1.04、P=0.09)で有意差はなく、対照群の28%(35例)が平均6.5日後にECMOへ移った[27]。
指針ATS 2024は選ばれた重症ARDSでVV-ECMOを条件付きで提案する(確実性は低い)[8]。ESICM 2023は、EOLIAの基準(PaO2/FiO2 50 mmHg未満が3時間超、80 mmHg未満が6時間超、またはpH 7.25未満かつPaCO2 60 mmHg以上が6時間超)を満たすCOVID-19によらない重症ARDSを、経験のある施設でECMOで治療するよう強く推奨する[3]。日本のガイドラインは重症ARDSへのECMOを弱く推奨する(GRADE 2B)[4]。脳損傷の合併では推奨は出されていない[11]。
本稿の解釈EOLIAの基準に近づく前に、低一回換気量、PEEP、腹臥位、筋弛緩を行ったか(行えない理由があるか)を確かめ、ECMOセンターへの相談を早めに始める。外傷では出血と抗凝固の問題が加わるため、導入の判断は重症外傷とECMO:出血リスクのある患者にいつ導入を考えるかで扱う。
9.人工呼吸からの離脱と気管切開
研究結果ABC試験(336例)では、毎日の鎮静中断(覚醒試験)と自発呼吸試験を組み合わせた群で、28日間の人工呼吸器を使わない日数が14.7日対11.6日(差3.1日、95%CI 0.7〜5.6)と多く、1年死亡も低かった(HR 0.68、95%CI 0.50〜0.92)。自己抜管は16例対6例と多かったが、再挿管の率は13.8%対12.5%で差がなかった[28]。日本のガイドラインは、成人ARDSでプロトコルに基づく離脱を弱く推奨する(GRADE 2D)[4]。
研究結果TracMan試験は、人工呼吸が4日未満で、さらに長期の人工呼吸が見込まれた英国の成人909例を、4日以内の早期気管切開と10日以降の後期気管切開(必要な場合のみ)に割り付けた。実際に気管切開を受けたのは91.9%対44.9%で、30日死亡は30.8%対31.5%(絶対リスク差0.7%、95%CI −5.4〜6.7)、2年死亡は51.0%対53.7%と、有意差はなかった[29]。外傷患者に限った試験ではない。
指針脳損傷患者については、ESICMの合意が、抜管に失敗した場合(強い推奨)と意識障害が続く場合(弱い推奨)に気管切開を検討するとし、最適な時期については推奨を出せなかった[11]。
本稿の解釈外傷で早期の気管切開を考えるのは、意識の回復が遅い頭部外傷、呼吸筋の弱い頸髄損傷、再挿管が難しい顔面・頸部の損傷など、抜管しても気道や換気を保てない見込みがあるときである。日数だけで決めず、凝固障害や頸椎の固定などの危険と合わせて判断する。頸髄損傷の呼吸と回復は頸髄損傷・中心性頸髄損傷のリハビリテーション:急性期から機能回復をどうつなぐかも参照。
指針の比較表
「—」は、その指針が本稿で確認した範囲でその問いを扱っていないか、推奨文を確認できなかったことを示す。表はスマートフォンでは横にスクロールして読む。
| 項目 | ATS/ESICM/SCCM 2017・ATS 2024 | ESICM 2023 | 日本 ARDS診療ガイドライン2021 | ESICM 脳損傷の合意 2020 |
|---|---|---|---|---|
| 一回換気量 | 4〜8 mL/kg、プラトー圧30未満:強い推奨(2017)[2] | 4〜8 mL/kg:強い推奨[3] | 4〜8 mL/kg:強い推奨(1D)。プラトー圧制限:弱い推奨(2D)[4] | ARDS合併でICP上昇なし:肺保護換気を強い推奨。ICP上昇あり:推奨なし[11] |
| PEEP | 中等症〜重症で、手技を伴わない高いPEEP:条件付き提案(2024)[8] | 高い対低い:推奨なし[3] | 高いPEEP:弱い推奨(2D)[4] | ICP上昇なし:脳損傷のない患者と同じ水準(強い推奨)[11] |
| 肺リクルートメント手技 | 長時間の手技:強く反対(2024)[8] | 長時間:強く反対。短時間のルーチン:弱く反対[3] | ルーチン使用:弱く反対(2D)[4] | 推奨なし[11] |
| 腹臥位 | 重症で12時間/日超:強い推奨(2017)[2] | P/F 150未満で早期・16時間以上:強い推奨[3] | —(推奨文は未確認) | ICP上昇なし:検討してよい(強い推奨)。上昇あり:推奨なし[11] |
| 筋弛緩薬 | 早期の重症ARDS:条件付き提案(2024)[8] | ルーチンの持続投与:強く反対[3] | 中等症〜重症で早期投与:弱い推奨(2D)[4] | 重症ARDS合併で短期:検討してよい[11] |
| ステロイド | 条件付き提案(2024、確実性中等度)[8] | —(呼吸補助の指針で対象外) | 低用量:推奨(1B)。高用量:弱く反対(2C)[4] | — |
| ECMO | 選ばれた重症ARDS:条件付き提案(2024)[8] | EOLIA基準の重症ARDS:経験のある施設で強い推奨[3] | 重症ARDS:弱い推奨(2B)[4] | 推奨なし[11] |
根拠の比較表
数値は抄録で確認できた範囲に限った。「外傷」の列は、その研究が外傷患者に限っているかを示す。
| 出典(年) | デザイン・外傷 | 対象 | 介入対比較 | 主な結果 | 限界と診療への意味 |
|---|---|---|---|---|---|
| Watkins(2012)[13] | 前向きコホート・外傷のみ | 重症外傷 224例(開発)、1,762例(検証) | —(予測モデル) | ARDS 35%、24%。検証AUC 0.71 | 米国の施設。予測因子に肺挫傷・大量輸血 |
| ARMA(2000)[1] | RCT・外傷に限らない | 急性肺傷害・ARDS 861例 | 6 mL/kg対12 mL/kg | 死亡31.0%対39.8%(P=0.007) | 早期中止。低一回換気量の基本の根拠 |
| PReVENT(2018)[16] | RCT・外傷に限らない | ARDSのない961例 | 低対中間の一回換気量 | 人工呼吸器を使わない日数 中央値21日対21日 | ARDSのない患者で利益を示さず |
| Briel(2010)[17] | 個別データのメタ解析 | 3試験 2,299例 | 高いPEEP対低いPEEP | P/F 200以下で死亡34.1%対39.1%(RR 0.90) | 全体では有意差なし。軽症では逆の方向 |
| ART(2017)[18] | RCT・外傷に限らない | 中等症〜重症ARDS 1,010例 | リクルートメント+PEEP調整対低いPEEP | 28日死亡55.3%対49.3%(HR 1.20) | 手技とPEEP調整の組み合わせの害を示した |
| Amato(2015)[19] | 9試験の再解析 | ARDS 3,562例 | —(駆動圧と生存の関連) | 駆動圧1SD上昇で死亡RR 1.41 | 関連の研究。目標値としては未検証 |
| PROSEVA(2013)[5] | RCT・外傷に限らない | 重症ARDS 466例 | 16時間以上の腹臥位対仰臥位 | 28日死亡16.0%対32.8%(HR 0.39) | 外傷患者の扱い(除外基準)は抄録になく未確認 |
| Voggenreiter(2005)[20] | RCT・外傷のみ | 多発外傷の急性肺傷害・ARDS 40例 | 腹臥位対仰臥位 | 酸素化改善、ARDS・肺炎の有病率低下。死亡1例対3例 | 小規模で死亡の評価に足りない |
| ACURASYS(2010)[21] | RCT・外傷に限らない | 早期の重症ARDS 340例 | シスアトラクリウム48時間対プラセボ | 調整HR 0.68。調整前90日死亡31.6%対40.7%(P=0.08) | 調整前の死亡は有意差なし |
| ROSE(2019)[7] | RCT・外傷に限らない | 中等症〜重症ARDS 1,006例 | シスアトラクリウム+深い鎮静対通常治療 | 90日死亡42.5%対42.8% | ルーチン投与の利益を示さず |
| DEXA-ARDS(2020)[22] | RCT・外傷に限らない | 中等症〜重症ARDS 277例 | デキサメタゾン10日間対通常治療 | 60日死亡21%対36% | 登録不足で早期中止 |
| HYPOLYTE(2011)[23] | RCT・外傷のみ | 多発外傷150例 | ヒドロコルチゾン対プラセボ | 28日の院内肺炎35.6%対51.3%(HR 0.51) | ARDSの治療の試験ではない |
| CRASH(2004)[10] | RCT・頭部外傷のみ | GCS 14以下 10,008例 | メチルプレドニゾロン対プラセボ | 2週間の死亡21.1%対17.9%(RR 1.18) | 頭部外傷で高用量ステロイドの害 |
| EOLIA(2018)[27] | RCT・外傷に限らない | 非常に重症なARDS 249例 | 早期ECMO対従来の換気 | 60日死亡35%対46%(RR 0.76、95%CI 0.55〜1.04) | 有意差なし。対照の28%がECMOへ移行 |
| TracMan(2013)[29] | RCT・外傷に限らない | 成人909例 | 4日以内対10日以降の気管切開 | 30日死亡30.8%対31.5% | 有意差なし。後期群の約55%は気管切開を受けなかった |
評価時点:PROSEVAは28日・90日、ACURASYSとROSEは90日、DEXA-ARDSとEOLIAは60日、TracManは30日・2年、HYPOLYTEは28日、CRASHは2週間。
日本で実施するとき
国内の指針
指針ARDS診療ガイドライン2021は、日本集中治療医学会・日本呼吸器学会・日本呼吸療法医学会の合同委員会が作成し、成人の46のCQと小児の15のCQをGRADEで扱う[30][4]。主な推奨は指針の比較表に示した。ほかに、HFOVを中等症〜重症で行わないこと(2A)、過度に低いSpO2を目標にしないこと(2D)、プロトコルに基づく離脱(2D)が弱く推奨されている[4]。腹臥位、輸液、気管切開の推奨文は未確認である。外傷患者に特有の推奨は、確認した範囲にはなかった。JATEC(外傷初期診療ガイドライン)のICUでの人工呼吸に関する記載は、本稿では確認していない。
薬剤
ACURASYSとROSEで使われたシスアトラクリウムは、KEGG MEDICUSの医薬品検索で国内の品目が見つからなかった(2026年9月25日検索)。国内で使う非脱分極性筋弛緩薬のロクロニウム(エスラックス)の効能・効果は「麻酔時の筋弛緩、気管挿管時の筋弛緩」で、電子添文には、承認外の呼吸管理を目的として長期に連続投与した際に、筋弛緩作用の遷延や四肢麻痺などが起きたという報告が記載されている[9]。
本稿の解釈ICUでの持続投与は適応外使用になるため、施設の手続きに従い、筋弛緩モニターで投与量を調整し、目的と中止の時点を記録する。海外の試験の結果をロクロニウムにそのまま当てはめられるかは確かめられていない。
体制と保険
- 腹臥位には熟練した4〜5人のチームが必要とされる[6]。夜間・休日の人数と、脊椎・骨盤・開腹創を担当する診療科との手順を事前に決めておく。
- ECMOは経験のある施設での実施が推奨されている[3]。自施設で行わない場合は、相談先を平時に決めておく(国内の搬送体制は未確認)。
- 人工呼吸(J045)の点数と、覚醒試験・離脱試験に関する加算の現行の要件は、本稿では公式資料で確認できていない(未確認)。
まだ分からないこと
- 外傷後ARDSで腹臥位が死亡を減らすか。外傷に限った試験は40例の1件だけである[20]。PROSEVAで外傷患者がどう扱われたかも未確認。
- 骨盤の創外固定、開腹創、陰圧閉鎖療法のある患者での腹臥位の安全性(比較研究は見つからなかった)。
- ICPが高い頭部外傷とARDSの合併で、PaCO2、PEEP、腹臥位をどう優先するか。ESICMの合意でも推奨が出されていない[11]。
- 外傷後ARDSでのステロイドの効果と、頭部外傷を合併する場合の安全性。
- 肺挫傷の広がりに合わせたPEEPや駆動圧の設定[19]。
- 外傷患者、とくに頭部外傷と頸髄損傷での気管切開の最適な時期[11][29]。
関連記事
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文献
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医学的内容の最終確認日・確認範囲
文献ごとの確認範囲を開く(最終確認日:2026年9月26日)
医学的内容の最終確認日:2026年9月26日(著者確認)。文献照合日:2026年9月26日(日本時間)。文献の検索・照合は2026年9月25〜26日に行った。PubMedの抄録(NCBI BioC)、PMCの公開本文(NCBI BioC)、OpenAlex・Crossrefの書誌、出版社の公開本文、J-STAGE、学会と医薬品情報の公式ページを直接開いて確認した。OpenAlex(文献データベース)で確認した抄録は、OpenAlexが公開する抄録の単語データから復元した文である。PubMed・PMCのウェブページ、Europe PMC、Semantic Scholar、OpenAlex・Crossrefの一部には接続できない時間帯があった。数値・用量・適用条件を含む医学的内容は、2026年9月26日に著者(医師)が確認した。
- 本文を確認(公開本文の一部を含む):[3](出版社の公開PDF。推奨3.1〜9.1とその強さ・確実性)、[4](出版社の公開PDFとPMC。抄録と成人のCQ1〜32の推奨文。CQ33以降の本文は取得できた範囲に含まれず、腹臥位・輸液・気管切開の推奨文と低用量ステロイドの定義は未確認)、[12](PMCの公開本文。定義の項目と重症度の閾値、Berlin定義との違い)、[11](PMCの公開本文。36の記述のうち換気、PEEP、PaCO2・PaO2、腹臥位、リクルートメント、救済療法、気管切開の記述と強さ)、[6](出版社の公開PDFの一部。絶対禁忌、主な有害事象、必要な人数。PROSEVAの除外基準は含まれていなかった)。
- 抄録のみ確認:[1] [2] [5] [7] [8] [10] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [27] [28] [29]。本文中の数値は抄録にある範囲に限った。PROSEVA、ACURASYS、ROSE、TracManの除外基準(外傷患者の扱いを含む)は抄録になく、扱っていない。ARMA、ROSE、ART、Amato、PReVENT、BirknerはOpenAlexの単語データから復元した抄録で確認し、このうちARMA、ROSE、PReVENTはPubMedの抄録(NCBI BioC)、ARTとBirknerは出版社の抄録で取り直して数値の一致を確かめた(Amatoは復元した抄録のみ)。ARTの6か月死亡と圧外傷の信頼区間は復元した文が不完全だったため、本文には書いていない。PROSEVAはOpenAlexの抄録で数値を確かめ、組み入れ条件の文をNCBI BioCの抄録で照合した。DEXA-ARDSの組み入れ条件のFiO2の値は取得経路で表記が一致せず、本文では書いていない。
- 書誌と抄録のみ:[30](J-STAGEの論文ページの書誌と抄録。日本集中治療医学会の委員会報告版PDFから一回換気量・PEEP・プラトー圧のCQを確認)。詳細版と一般向け版のPDFは取得できなかった。
- 公式情報を確認:[9](KEGG MEDICUSの電子添文。効能・効果、持続注入の用量、長期投与に関する記載。2026年9月25日閲覧)。シスアトラクリウムはKEGG MEDICUSの医薬品検索で該当なし(同日)。
- 既存記事の照合結果に依拠:[25] [26]。PaCO2の目標とステロイドの推奨は、本サイトの頭部外傷の記事(2026年9月の改訂で原典と照合済み)の記載と一致させた。本改訂では原典を取得し直していない。
- 未取得・未確認:PROSEVAの本文と補遺(除外基準)、ARDS診療ガイドライン2021の詳細版、EAST(米国東部外傷外科学会)の気管切開の時期に関する指針の推奨文(抄録に推奨が記載されておらず、公式ページは取得できなかったため本文から外した)、人工呼吸の診療報酬の現行の要件、国内のECMO搬送体制。
- 訂正・撤回:[8] [10] [13] [14] [17] [18] [20] [21] [23] [28] [29]はCrossrefの登録で訂正・撤回の記録なし(2026年9月26日確認)。そのほかの文献は、アクセス制限のため訂正・撤回の有無を個別には確認できていない。
更新履歴
更新履歴を開く(全3件・最新:2026年9月26日)
- 2026年9月26日(著者確認):著者(医師)が数値・用量・適用条件を含む医学的内容を確認した。確認日の表記を更新した。あわせて、確認範囲の記載を読者向けの表現に改め、関連記事と分野の一覧へのリンクを加えた(医学的内容は変えていない)。
- 2026年9月26日(改訂):全面的に書き直した。主な変更は次のとおり。(1)一回換気量とプラトー圧の強い推奨をATS 2024に帰属させていた誤りを直し、ATS/ESICM/SCCM 2017の推奨として示した(2024年版が扱うのはステロイド、ECMO、筋弛緩薬、PEEPとリクルートメント)。腹臥位の推奨も2017年版に限った。(2)外傷後ARDSの頻度・予測因子・死亡率、ARMA、ARDSのない患者の試験、PEEPのメタ解析、ART、駆動圧、外傷患者での腹臥位の試験、ACURASYS、ステロイド(DEXA-ARDS、HYPOLYTE、Corti-TC、CRASH)、頭部外傷の合併時の換気目標、ECMO(EOLIA)、離脱(ABC)と気管切開(TracMan)を加え、文献を3件から30件にした。(3)ESICM 2023と日本のARDS診療ガイドライン2021、ESICMの脳損傷の合意を加え、指針の比較表を作り直した。(4)外傷で腹臥位を行う前の確認項目を加え、外傷の試験で裏づけられていない部分を明記した。(5)シスアトラクリウムが国内の医薬品情報の検索で見つからないことと、ロクロニウムの電子添文の記載を加えた。(6)本文に引用番号を付け、文献にDOI・PMIDのリンクを付け、文献ごとの確認範囲を記した。理由:現行版は本文約2,000字・文献3件で、本文に引用番号がなく、外傷に特有の注意と国内での実施の記載が不足していたため。
- 2026年9月26日(初回公開):集中治療管理の新規記事として公開。肺保護換気(ATS 2024)、PEEPとリクルートメント手技、腹臥位(PROSEVA)、筋弛緩薬(ROSE)を要点、指針と根拠の表、日本での実施、未解決点とともに短く示した(文献3件)。
本記事は医療従事者への教育および一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。実際の診療では、各施設のプロトコルおよび最新の診療ガイドラインをご確認ください。
利益相反:本記事に関連して開示すべき利益相反はありません。


コメント
コメント一覧 (4件)
[…] 扱わない範囲:小児外傷、カニューレ挿入の手技と回路・機器の選択、抗凝固薬の具体的な投与量の設計、ECPRの適応判断の詳細、REBOA(大動脈遮断バルーン)との使い分け。肺保護換気と腹臥位そのものは重症外傷の人工呼吸・ARDS:肺保護換気から腹臥位までどう組み立てるか、頭蓋内圧の管理は頭部外傷の血圧・ICP・CPP・Hb管理:HEMOTIONとTRAINをどう読むかで扱う。 […]
[…] リハビリテーションとしては、体位ドレナージ、徒手的な咳の介助、排痰補助装置、呼吸筋の訓練などが選択肢になる。日本リハビリテーション医学会は「神経・筋疾患、脊髄損傷の呼吸障害:リハビリテーション診療ガイドライン」の案について2026年6月に意見を募集した[19]。確定版の公開状況と推奨の内容は、本稿では確認していない(未確認)。人工呼吸の設定と離脱は重症外傷の人工呼吸・ARDSの記事で扱う。 […]
[…] 指針SCCM/IDSAは、肺炎がICU患者の発熱の原因として多く、発熱したICU患者で最も多い感染だとする[1]。AASTは、発熱も白血球増多も、その組み合わせも、気道培養の陽性とは関連しないこと、陽性の培養は臨床の判断にかかわらず抗菌薬で治療されがちなことを挙げ、肺炎の症候群を臨床的に判断してから検体を採るとする。気管吸引より気管支肺胞洗浄などの侵襲的な採取を勧める強い根拠はないとし、治療期間は多くの患者で7日で足りるとする[2]。人工呼吸の管理は重症外傷の人工呼吸・ARDS:肺保護換気から腹臥位までどう組み立てるかを参照。 […]
[…] 扱わない範囲:小児、熱傷の感染管理、戦傷、動物咬傷の詳細、待機手術の手術部位感染予防、骨折関連感染の治療。感染症ごとの第一選択薬、腎機能に応じた用量、薬物血中濃度モニタリング(TDM)は扱わない。発熱の鑑別は外傷後の発熱、VAPの予防策は重症外傷の人工呼吸・ARDSで扱う。本文の薬剤名は指針や試験に書かれた例であり、実際の選択は施設の感受性データ(アンチバイオグラム)、アレルギー、腎機能、国内の電子添文で決める。 […]