外傷手技|蘇生的開胸術:適応・器具・左前側方開胸から心膜切開・大動脈遮断まで

蘇生的開胸術のアイキャッチ:紺地に『蘇生的開胸術』とERTの文字

蘇生的開胸術(emergency resuscitative thoracotomy:ERT)は、外傷で心停止に陥った、またはその直前の患者に救急外来で左前側方開胸を行い、心タンポナーデの解除、心損傷・胸腔内出血の一時止血、開胸心マッサージ、下行大動脈遮断を行う手技である。成績は受傷機転と来院時の生命徴候で大きく違い、EAST 2015の集計では、穿通性胸部外傷で生命徴候のある例の生存は21.3%、鈍的外傷で生命徴候のない例は0.7%だった。本稿は成人の救急外来での実施を対象に、適応の推奨とその条件、時間の目安、段階ごとの手順と確認点、失敗と合併症、医療者の曝露、REBOAとの位置づけ、国内の成績を、原著と指針で確かめて整理する。

  • 蘇生的開胸術
  • 外傷性心停止
  • 大動脈遮断
  • 心タンポナーデ
  • REBOA

医療従事者向け:本記事は教育および一般的な医学情報の提供を目的としています。個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。

目次

まず押さえる要点

  1. 適応は「受傷機転」と「生命徴候(signs of life)の有無」の組み合わせで考える。EAST 2015は、来院時に脈を触れない患者のうち、穿通性胸部外傷で生命徴候がある場合にだけERTを強く推奨し(生存182/853例、21.3%、95%CI 18.7〜24.2%)、鈍的外傷で生命徴候がない場合には条件付きで反対した(生存7/995例、0.7%。神経学的に良好な生存は1/825例)[1]。そのほかの4つの状況は条件付きの推奨である。
  2. 心肺蘇生(CPR)の時間の目安は、生存者の集計から作られた目安である。18施設でERT後に退院した56例では、病院前CPRの時間は鈍的外傷で最長9分、穿通性外傷で最長15分だった。著者らは、鈍的で10分超、穿通性で15分超のCPRに反応がない場合と、心タンポナーデのない心静止を、ERTの限界として提案した[2]。WTAは2024年にアルゴリズムを改訂したが[3]、本稿では本文を取得できず、分岐の内容は確認していない。
  3. 手順の順番は「開ける→心膜を開ける→出血を押さえる→心臓を動かす→大動脈を遮断する」。左第4または第5肋間で開胸し、心膜は横隔神経の1〜2 cm前方で神経と平行に切開する[4]。大動脈遮断は、開胸と心膜切開の後も低血圧(収縮期血圧70 mmHg未満)が続くときに行い、遮断は通常30分以内に解除するか腎動脈より遠位へ移す、とする総説がある[5]。
  4. 医療者の曝露は、ERT 1件あたり7.2%で起きた。米国16施設の前向き研究では、305件のERTに関わった1,360人に22件の曝露があり(1件あたり7.2%、95%CI 4.7〜10.5%)、86%は経皮的な損傷だった。曝露した人のうち標準予防策を完全に満たしていたのは46%だった[6]。
  5. REBOAは胸腔内出血と心タンポナーデには使えない。米国の共同声明はこの2つをREBOAの禁忌とする[7]。一方、EAST 2025は、横隔膜下の出血が疑われる外傷性心停止では、ERTのほかの適応がない場合に限り、ERTよりREBOAを条件付きで推奨した(確実性は非常に低い)[8]。国内のJTDB(日本外傷データバンク)では、ERTを受けた成人5,062例の退院時生存は13.5%で、9割以上が鈍的外傷だった[9]。

対象と扱わない範囲

対象:成人外傷患者に対し、救急外来(初療室)で行う蘇生的開胸術。適応の判断、準備、左前側方開胸から大動脈遮断までの手順、手術室への移行、成績、医療者の安全、REBOAとの使い分けを扱う。読者は手技を行う医師と外傷チームを想定する。

扱わない範囲:

読み方:ERTの根拠は、症例集積と登録研究を集計したものと、専門家の経験をまとめた手技の総説でできている。適応の推奨は観察研究の生存率に基づき、手順の記述は教科書・総説・献体での比較研究による。無作為化試験はない。「本稿の解釈」と記した部分は原著の結果ではない。

1.何のために開胸するのか

Cothren と Moore の総説は、救急外来での開胸の目的を、①心タンポナーデの解除、②心臓からの出血の制御、③胸腔内出血の制御、④大量の空気塞栓の除去、⑤開胸心マッサージ、⑥下行胸部大動脈の一時遮断、の6つに整理している[5]。①〜④は原因そのものへの処置、⑤⑥は脳と心臓への血流を一時的に保つための処置である。

本稿の解釈このため、ERTの見込みは「開胸で直せる原因があるか」で大きく変わる。心タンポナーデを伴う刺創では①②で原因に届くが、腹部や骨盤からの出血では⑥で時間を稼ぐことしかできず、止血は開腹やパッキング、塞栓術に委ねられる。4節で見るように、損傷部位別の生存率の差はこの構造と合う。

用語は、救急外来で行うことを強調するEDT(emergency department thoracotomy)、RT(resuscitative thoracotomy)、ERTが文献によって使い分けられている。国内のJATEC改訂第6版は「蘇生的開胸術(RT)」の語を用いている[10]。

2.適応:EAST 2015の6つの推奨

EAST(Eastern Association for the Surgery of Trauma)の2015年の指針は、来院時に脈を触れない外傷患者にERTを行うべきかを、受傷機転(穿通性胸部、穿通性胸部外、鈍的)と生命徴候の有無で6つの問いに分け、GRADEで評価した。72研究のERT 10,238例を集計し、病院前の開胸と手術室での開胸は除いている[1]。重大な転帰は退院時生存と神経学的に良好な生存とし、医療者の血液曝露は「中等度に重要」、費用は「重要性が低い」と位置づけた[1]。

生命徴候の定義は、瞳孔の反応、自発呼吸、頸動脈の拍動、測定または触知できる血圧、四肢の動き、心臓の電気活動のいずれかである[1]。

状況(脈を触れない患者)推奨(強さ、根拠の質)生存(95%CI)神経学的に良好な生存(95%CI)
穿通性胸部外傷・生命徴候あり行うことを強く推奨(中)182/853(21.3%、18.7〜24.2%)53/454(11.7%、9.0〜15.0%)
穿通性胸部外傷・生命徴候なし条件付きで推奨(中)76/920(8.3%、6.6〜10.2%)25/641(3.9%、2.6〜5.6%)
穿通性胸部外(腹部・四肢など)・生命徴候あり条件付きで推奨(中)。頭部単独損傷には当てはまらない25/160(15.6%、10.6〜21.9%)14/85(16.5%、9.7〜25.5%)
穿通性胸部外・生命徴候なし条件付きで推奨(低)。頭部単独損傷には当てはまらない4/139(2.9%、0.9〜6.8%)3/60(5.0%、1.3〜13.0%)
鈍的外傷・生命徴候あり条件付きで推奨(中)21/454(4.6%、3.0〜6.9%)7/298(2.4%、1.0〜4.6%)
鈍的外傷・生命徴候なし条件付きで反対(低)7/995(0.7%、0.3〜1.4%)1/825(0.1%、0.01以下〜0.6%)

出典:EAST 2015の本文[1]。生存は退院時生存。神経学的に良好な生存は報告のある研究だけを集計しており、分母が生存の分母より小さい。

限界:6つの推奨のうち「強い」は1つだけで、残りは条件付きである。根拠はすべて観察研究の集計で、生命徴候の記録の仕方や、どの患者に開胸を試みたかという選択は研究ごとに違う[1]。本稿の解釈表の生存率は「開胸を受けた患者」の生存率で、同じ状況で開胸しなかった患者との比較ではない。推奨が「条件付きで推奨」でも、それは開胸を義務づけるものではなく、術者、器具、手術室への移行の体制を含めた判断が前提になる。

3.時間の目安と、超音波で心臓の動きを見ること

研究結果Moore らは、WTA(Western Trauma Association)の18施設で2003年1月からの6年間にERTを受けて退院まで生存した56例を集めた[2]。平均年齢は31.3歳、93%が男性で、主な損傷部位は胸部77%、腹部9%、四肢7%、頸部4%、頭部4%だった。病院前にCPRを受けていたのは34%で、その時間は鈍的外傷で最長9分、穿通性外傷で最長15分だった。心静止で来院した7例(生存者の12%)はすべて心タンポナーデを伴い、うち3例は神経学的に良好に回復した。著者らは、鈍的外傷で10分超、穿通性外傷で15分超のCPRに反応がない場合と、心タンポナーデのない心静止を、ERTを行わない目安として提案した[2]。

限界:生存者だけを集めた検討で、同じ条件で開胸して死亡した患者の数(分母)はこの抄録からは分からない[2]。2006年の総説は、鈍的外傷の上限を病院前CPR 5分としていた[5]。EAST 2015は、穿通性外傷で心停止から15分を超えたERTはほぼ無益で、15分を超えるCPRの後の生存は機転を問わずまれだとしつつ、時間の閾値を定める根拠は極めて限られると述べている[1]。2025年の総説の抄録も、ERTの対象を収縮期血圧60 mmHg未満の高度の低血圧、またはCPRが15分未満の外傷性心停止としている[11]。

研究結果超音波(FAST)で心臓の動きを見ることは、開胸を見送る判断の材料になる。単施設で2010年10月〜2014年5月に前向きに評価した外傷性心停止187例では、退院まで生存したのは3.2%、ほかに1.6%が臓器提供に至った[12]。来院時に心臓の動きが見えたのは28.9%、心嚢液は8.6%で、心臓の動きは生存と臓器提供を見分けるうえで感度100%、特異度73.7%だった。心臓の動きも心嚢液もない患者に生存者はいなかった[12]。

10分・15分の目安は、生存者の最長CPR時間から作られたもので、この時間を過ぎると生物学的に蘇生できなくなるという境界ではない。逆に、時間内であれば開胸すべきという意味でもない。CPRの開始時刻の記録は病院前の情報に頼るため不確かなことが多い。超音波の所見は単施設の187例の結果で、心臓の動きの判定は検者に左右されうる[12]。

4.成績:機転・損傷部位・生命徴候でどれだけ違うか

研究結果Rhee らは、25年間に報告された24研究のERT 4,620例をまとめ、全体の生存率を7.4%と報告した[13]。機転別では穿通性8.8%、鈍的1.4%、穿通性のうち刺創16.8%、銃創4.3%だった。主な損傷部位別では胸部10.7%、腹部4.5%、心損傷19.4%だった。病院到着時に生命徴候があった例の生存は11.5%、なかった例は2.6%で、搬送中に生命徴候があった例は8.9%、現場で生命徴候がなかった例は1.2%だった。生存者の92.4%は神経学的に正常だった[13]。

2025年の総説の抄録は、穿通性外傷の瀕死例(特に心タンポナーデを伴う例)で15%を超え、鈍的外傷では2%未満と要約している[11]。

本稿の解釈どの集計でも、生存率が高いのは「刺創・心損傷・生命徴候あり」の組み合わせで、1節の目的のうち原因に直接届く①②が効く患者である。鈍的外傷の多発損傷は開胸で原因に届かないことが多い。ただし、これらは古い報告を含む集計で、研究ごとに患者の選び方が違う。国内の成績は「日本で実施するとき」で扱う。

5.準備:器具と、開胸の前に決めておくこと

Ball らの総説は、開胸セットの基本器具を使う順に、10番メス、曲がりのMayo剪刀、Finochietto開胸器、Lebscheナイフとハンマー、Allis鉗子、Metzenbaum剪刀、持針器、DeBakey鑷子、2-0または3-0のポリプロピレン糸(丸針)、DeBakey大動脈遮断鉗子、Satinsky鉗子と挙げている[4]。Cothren らは、心臓用の体内パドルと、その充電量に慣れておく必要があるとし、パドルは心臓の前面と後面に当てるとしている[5]。

  • 個人防護具:関わる全員が標準予防策(個人防護具)を整えてから始める。9節の前向き研究では、防護具を1品目多く使うごとに曝露のリスクが34%低かった(オッズ比0.66、95%CI 0.48〜0.91)[6]。
  • 次の行き先:ERTは時間を作る手技で、止血は手術室で完結させる。開胸を決めた時点で手術室、輸血部門、麻酔科への連絡を並行して始める(本稿の解釈)。大量輸血は大量輸血プロトコル(MTP)の記事を参照。
  • 中止の基準:開胸しても原因が見つからない、心臓が動き出さない場合にいつ中止するかを、チームで先に共有しておく。中止の基準を示した指針は、本稿の確認範囲では見つからなかった(未確認)。

6.手順:段階ごとに、何を確かめて次へ進むか

以下は、Ball らの総説[4]とCothren らの総説[5]で確かめられた範囲の記述である。細部が2つの総説で違う点は、そのまま併記する。

6-1.左前側方開胸

  1. 皮切:左第4または第5肋間で、胸骨縁から左後腋窩線まで肋骨の弯曲に沿って切る。この肋間の目印には乳房下溝が使える[4]。Cothren らは、胸骨の右側から始めて横に進み、乳頭の下を過ぎたところで腋窩に向かって緩やかに弯曲させるとしている[5](右側への延長を見越した書き方)。
  2. 胸腔に入る:肋間筋と胸膜を、下の肋骨の上縁に沿って曲がり剪刀で切る[4]。
  3. 開胸器:Finochietto開胸器をかける。Ball らは器具の関節を切開の外側に置くとし[4]、Cothren らはハンドルを下方(ベッド側)に向けて、胸骨横断が必要になったときの妨げにならないようにするとしている[5]。

次へ進む前に確かめること:心膜と左肺が見えているか。左胸腔に大量の血液があれば、出血源が胸腔内にあることを示す(本稿の解釈)。

6-2.心膜切開

心膜は横隔神経のちょうど1〜2 cm前方で切開を始め、神経と平行に剪刀で延長する[4]。心膜が緊満していないときは心尖部で有鉤鑷子でつまみ上げて剪刀で開く。緊満した心タンポナーデではつまめないため、メスか剪刀の先で切開を始める[5][4]。心嚢内の凝血と血液を除き、心臓のリズムと損傷の位置を確かめる。

次へ進む前に確かめること:心臓が動いているか、どこから出血しているか。心タンポナーデの解除だけで心拍が戻ることもある(本稿の解釈)。

6-3.心損傷の一時止血

  • 指での圧迫:すぐ止まれば修復へ進める。創を広げないよう細心の注意を払う[4]。
  • 皮膚ステープラー:複数の裂創で一時止血に使われる[4]。Cothren らは左室の直線状の創の一時止血として挙げている[5]。
  • バルーン:大きな欠損では、Foleyカテーテルなどのバルーンを心腔内で膨らませ、壁に向けてそっと引く方法がある。引きすぎると創が広がり、致命的になる[4]。
  • 心房の創:血管鉗子を創の下にかけて修復し、心房壁を引っ張らない[4]。
  • 心臓が止まっている場合:創を先に修復してから、心マッサージを行う[5]。

縫合の糸と方法、冠動脈近傍の処理は外傷性心損傷の記事で扱う。

6-4.開胸心マッサージと体内除細動

両手で行うことが強く勧められている。手首を合わせ、手のひらから指先へ順に閉じる蝶番のような動きで、心尖部から心基部へ向けて圧迫する[5]。平らな両手のひらで挟み、指先を心筋に食い込ませない[4]。片手で握ると指で心筋を穿孔する危険がある[5]。心室細動には体内パドルを前後に当てて除細動する[5]。

6-5.下行胸部大動脈の遮断

開胸と心膜切開の後も低血圧(収縮期血圧70 mmHg未満)が続く場合に行う[5]。目的は、残っている大動脈圧を脳と心筋に振り向けることである[4]。

  1. 左肺を上方(前方)へよけ、横隔膜のすぐ上で縦隔胸膜を切開する[5][4]。直視下で大動脈を前方の食道と後方の椎前筋膜から鈍的に分ける。出血で直視できないときは、親指と指先で鈍的に剥離する[5]。
  2. 大動脈遮断鉗子をかける。大動脈を周囲の組織から容易に分けられないときは、指で脊椎に押し付けて遮断する[5]。
  3. 下肺靭帯の扱いは2つの総説で分かれる。Ball らは縦隔胸膜とともに下肺靭帯を切開するとし[4]、Cothren らは肺を動かすための切離は不要で、下肺静脈を損傷するおそれがあるとしている[5]。
  4. 遮断した時刻を記録する。有効な心拍と十分な血圧が得られたら、できるだけ早く遮断を外す。通常は30分以内に完全に外すか、腎動脈より遠位に移す[5]。

6-6.両側開胸(clamshell)への延長と肺門

右胸腔や心臓の後面に届かないときは、胸骨を太い剪刀、Lebscheナイフ、またはGigli線鋸で横断して右側へ延長する[4]。内胸動脈は胸骨の外縁から約1 cm外側を縦に走り(走行には個人差がある)、閉胸までに近位と遠位の両端を結紮しなければならない[4]。Cothren らは2-0絹糸の8字縫合を挙げている[5]。大量の空気塞栓では、肺門を遮断して空気がさらに入るのを防ぐ[5]。

研究結果最初からclamshellで開くべきかは、献体での比較しかない。外科研修医16人を2群に分けた献体研究では、皮切から右室の刺創の制御までの時間は左前側方開胸6.62分、clamshell 4.63分で有意差はなく(p=0.46)、創の制御にかかる時間はclamshellで短かった(4.16分対1.85分、p=0.018)[14]。救急医15人の無作為化献体研究では、心臓を完全に脱転し大動脈を完全に遮断できた割合は、変法clamshell 67%、左前側方開胸40%で有意差はなかった(差27%、95%CI −61〜8%)。医原性損傷のなかった試行は変法clamshell 33%、左前側方開胸0%だった[15]。いずれも生体の患者での比較ではなく、例数も少ない。

7.よくある失敗と合併症

段階起こりうる失敗避けるための確認
心膜切開横隔神経の損傷神経を先に見つけ、1〜2 cm前方で平行に切る[4]
一時止血指やバルーンの牽引で創が広がる圧迫は軽く、バルーンは引きすぎない[4]
心マッサージ指先による心筋の穿孔両手の手のひらで挟む[5][4]
大動脈遮断食道を挟む、下肺静脈の損傷食道から大動脈を分けてからかける。下肺靭帯を切る場合は下肺静脈に注意する(切離の要否は総説で分かれる)[4][5]
遮断後遮断が長引き、虚血と臓器障害が進む時刻を記録し、30分以内を目安に外すか遠位へ移す[5]
clamshell循環が戻った後の内胸動脈からの出血閉胸前に両端を結紮する[4]
術者針やメス、肋骨断端による受傷標準予防策を整える(9節)[6]

患者側の合併症として、Cothren らは胸腔内の再出血、心膜・胸腔・胸骨・胸壁の感染、心膜切開後症候群を挙げている[5]。救急医(指導医と上級研修医)の献体研究では、医原性損傷のなかった試行は変法clamshell 33%、左前側方開胸0%だった[15]。

8.その後の管理:手術室と止血の完結へ

  • 止血を完結させる:心損傷の修復、肺門・胸腔内の出血、腹部・骨盤の出血を手術室で処理する。腹部の手術を短く切り上げる判断はダメージコントロール手術(DCS)、骨盤は骨盤骨折出血:TAE・PPP・REBOAをどう組み合わせるかを参照。
  • 大動脈遮断の解除:有効な心拍と十分な血圧が得られたらできるだけ早く外す。長い遮断は代謝の悪化と臓器不全のリスクを高める[5]。
  • 心膜を閉じるか:外傷では、心筋の浮腫のため心膜の閉鎖が医原性の心タンポナーデを起こしうる[4]。
  • 閉胸前:胸骨を横断した場合は内胸動脈の両端を結紮する[4]。術後は胸腔内の再出血と感染に注意する[5]。

9.医療者の針刺し・血液曝露

研究結果Nunn らは、2015〜2016年に米国16の外傷センターで行われたERT 305件に関わった1,360人(指導医23%、研修医59%、看護師11%、その他7%)を前向きに調べた[6]。曝露は22件で、ERT 1件あたり7.2%(95%CI 4.7〜10.5%)、参加者1人あたり1.6%(95%CI 1.0〜2.4%)だった。曝露した人の68%が研修医で、86%が経皮的な損傷、73%が開胸の最中に起きた。標準予防策を完全に満たしていたのは曝露した人の46%で、防護具を1品目多く使うごとにリスクが34%低かった(オッズ比0.66、95%CI 0.48〜0.91)。同じ研究で患者15例が生存し、うち13例は神経学的に良好だった。著者らは、曝露のリスクがERTをためらう理由になってはならないとした[6]。

EAST 2015は、外傷患者の血清陽性率を鈍的外傷でHIV 3.7%、C型肝炎12.3%、穿通性外傷でHIV 1.9%、C型肝炎9.9%とし、陽性血液による経皮的曝露の後の感染率をHIV 0.3%、B型肝炎6〜30%、C型肝炎1.8%とまとめた。そのうえで、すべての蘇生で標準予防策を守るよう求めている[1]。限界:血清陽性率は米国の研究の集計で、国内の外傷患者に当てはまるとは限らない(本稿の解釈)。

10.REBOAとの位置づけ

REBOA(大動脈内バルーン遮断)は大動脈を血管内から遮断するが、胸腔内の出血と心タンポナーデには届かない。米国の共同声明(2019年)は、大量の胸腔内出血と心タンポナーデをREBOAの禁忌とし、決定的な止血へすぐ移れない状況では大動脈遮断を行ってはならないとしている[7]。

指針EAST 2025(1946年1月〜2024年2月の文献の系統的レビュー)は、横隔膜下の出血が疑われる外傷性心停止について、REBOAとERTを比べた4研究を統合し、死亡のオッズ比0.32(95%CI 0.15〜0.69、1,000人あたり22人少ない)、確実性は非常に低いとした。そのうえで、ERTのほかの適応がない場合に限り、ERTよりREBOAを条件付きで推奨した[8]。心停止が差し迫った患者を含めた問いでは、REBOA群の方が軽症だった可能性(適応による交絡)が大きいとして、推奨を出さなかった[8]。外傷性心停止の問いで検討された7研究には、国内のJTDBを用いた研究が2件含まれる[8]。

研究結果その根拠の一つであるAAST(米国外傷外科学会)の登録研究(胸部の穿通性外傷を除き、救急外来で胸部下行大動脈を遮断した285例)では、退院時の生存はERT 2.5%、REBOA 9.6%だったが、CPRを要した60%の患者では群を合わせて3%で、群間に有意差はなかった[16]。著者ではなくEAST 2025が、この研究のREBOA群はもともと軽症だったと指摘している[8]。

本稿の解釈分かれ目は出血源である。胸部の穿通性外傷や心タンポナーデが疑われればERTしかなく、横隔膜下の出血が主で胸部に原因がなければ、REBOAを扱える体制がある施設ではREBOAが候補になる。ただし、EAST 2025の推奨は非常に確実性の低い観察研究に基づく条件付きのもので、REBOAを使えない施設でERTを見送る理由にはならない。REBOA全体の評価(UK-REBOA試験など)はREBOAの記事と骨盤骨折出血の記事を参照。

根拠の比較表

出典(年)デザイン対象比較・評価主な結果限界と意味
Rhee(2000)[13]既報の集計24研究のERT 4,620例機転・部位・生命徴候別の生存全体7.4%。刺創16.8%、銃創4.3%、鈍的1.4%、心損傷19.4%古い報告を含み、選択は研究ごと。比較対照なし
EAST(2015)[1]系統的レビュー・GRADE指針脈を触れない外傷のERT 10,238例(72研究)機転×生命徴候の6群穿通性胸部・生命徴候あり21.3%、鈍的・生命徴候なし0.7%強い推奨は1つ。すべて観察研究
Moore(2011)[2]多施設の生存者の集計18施設でERT後に退院した56例病院前CPRの時間、心静止CPRは鈍的で最長9分、穿通性で最長15分。心静止の生存者は全例タンポナーデ分母がない。10分・15分の目安の出どころ
Inaba(2015)[12]単施設前向き外傷性心停止187例FASTの心臓の動き生存3.2%。心臓の動きは感度100%、特異度73.7%単施設。検者の技量に左右されうる
Flaris(2015)[14]献体の比較外科研修医16人clamshell 対 左前側方総時間4.63分対6.62分(p=0.46)献体で少数。患者の転帰ではない
Newberry(2021)[15]献体の無作為化救急医15人変法clamshell 対 左前側方成功67%対40%(有意差なし)。損傷なし33%対0%同上
Nunn(2018)[6]多施設前向きERT 305件、1,360人医療者の曝露1件あたり7.2%、86%が経皮的米国の施設。国内の頻度は未確認
Brenner(2018)[16]登録研究胸部の穿通性外傷を除く大動脈遮断285例REBOA 対 ERT退院時生存9.6%対2.5%。CPR例では有意差なしREBOA群が軽症(適応による交絡)
EAST(2025)[8]系統的レビュー・GRADE指針横隔膜下出血が疑われる外傷性心停止REBOA 対 ERT死亡のOR 0.32(0.15〜0.69)。条件付きでREBOA確実性は非常に低い。ほかのERT適応がない場合に限る

評価時点:Rhee、EAST 2015、Brenner、Okano(国内)は主に退院時生存、Inabaは退院時生存と臓器提供、Mooreは退院まで生存した例の集計である。表の数値は時点と対象をそろえた比較ではない。

日本で実施するとき

国内の指針:JATEC(外傷初期診療ガイドライン改訂第6版、2021年)は、第3章「外傷と循環」の参考として「蘇生を目的とする手術」の項に大動脈遮断法と蘇生的開胸術(RT)を置き、第5章の技能として心嚢穿刺を扱っている(目次で確認)[10]。JETEC(外傷専門診療ガイドライン改訂第3版、2023年)は、「蘇生的開胸術(RT)」の項で胸部外傷に対するRT、下行大動脈遮断のためのRT、RTの施行場所、手術手技を扱い、「蘇生に必要なIVR」の項でREBOAを扱う(目次で確認)[17]。いずれも本文は取得できず、国内指針の適応の条件、時間の目安、手順の細部は未確認である。

研究結果国内の成績:JTDBの2004〜2019年の登録から、救急外来でERT(心膜切開、大動脈遮断、開胸心マッサージを含む)を受けた18歳以上の5,062例を解析した研究では、退院時生存は684例(13.5%)だった[9]。鈍的外傷は4,649例で生存12.8%、穿通性外傷は321例で23.4%だった。来院時心肺停止(救急外来の収縮期血圧または脈拍が0と定義)の3,423例では11.5%、心肺停止でない1,430例では19.2%だった。多変量解析で生存と関連したのは、65歳未満(調整オッズ比1.351、95%CI 1.130〜1.615)、来院時心肺停止でないこと(1.694、1.280〜2.243)、ISS 16未満(2.195、1.611〜2.992)、穿通性外傷(1.834、1.384〜2.431)だった[9]。

限界:JTDBが生命徴候を記録し始めたのは2019年からで、この研究では生命徴候もCPRから開胸までの時間も使えなかった。適応は施設ごとに違い、著者らは他国の指針をそのまま当てはめにくいとしている[9]。本稿の解釈国内のERTは9割以上が鈍的外傷で、米国の集計とは患者の構成が大きく違う。心肺停止例の生存11.5%は、EAST 2015の鈍的外傷の生存(生命徴候ありで4.6%)より高いが、心肺停止の定義(救急外来の血圧・脈拍が0)が生命徴候の有無と一致しないこと、登録施設と開胸の選び方の違いがあり、直接は比べられない。

国内の大動脈遮断の比較:JTDB(2004〜2013年、14歳以上、来院時心肺停止を除く)で、REBOAと開胸・開腹による大動脈遮断を傾向スコアで合わせた研究では、院内死亡はREBOA 73%、開胸・開腹による遮断91%だった(調整オッズ比0.261、95%CI 0.130〜0.523)。著者らは、適応による偏りが残りうるとしている[18]。DPC(診断群分類)データ(2010年7月〜2014年3月、胸部の穿通性外傷を除く)で、止血できない出血性ショックへのREBOA 191例と大動脈遮断を伴うERT 68例を比べた研究では、院内死亡のハザード比は0.94(95%CI 0.60〜1.48)で有意差はなかった[19]。いずれも観察研究で、どちらが優れるかは決まっていない。

保険:令和8年度の医科診療報酬点数表では、K545 開胸心臓マッサージは9,400点で、同時に行った人工呼吸(J045)とカウンターショック(J047)は別に算定できる[20]。二次資料で確認したもので、告示・通知の原文とは照合していない。心膜切開や大動脈遮断を同時に行ったときの算定の扱いは未確認である。

体制と研修:国内の施設で、ERTを行う医師、器具の配置、手術室への移行、中止の基準をどう定めているかの全国データは、本稿の検索では見つからなかった(未確認)。米国外科学会のASSETは、頸部・胸部・腹部と骨盤・上下肢の展開を学ぶ1日の献体講習だが[21]、公式ページでは開胸の個々の手技名は確認できず、国内での受講の可否も未確認である。薬剤の添付文書と日本外傷学会の臓器損傷分類2008は、本稿の主題(適応と手順)には直接かかわらない。

まだ分からないこと

  • 時間の閾値の妥当性。10分・15分は生存者の集計から作られ[2]、EAST 2015も根拠は極めて限られるとしている[1]。WTA 2024の改訂の中身は本稿では確認できていない[3]。
  • 国内の鈍的外傷でERTの恩恵を受ける患者。国内のERTの大半は鈍的外傷で[9]、生命徴候を含めた国内データでの解析はまだない。
  • ERTとREBOAの使い分け。無作為化試験はなく、比較はすべて適応による交絡を受けうる観察研究である[8][16][18][19]。
  • 最初からclamshellで開くべきか。比較は献体の小規模研究だけである[14][15]。
  • 国内の医療者の曝露の頻度。国内での調査は、本稿の検索では見つからなかった。

まとめ

ERTの成否は、開胸の技術より前に、開胸で直せる原因があるかどうかで大きく決まる。刺創・心損傷・生命徴候ありの組み合わせで成績が最もよく、生命徴候のない鈍的外傷ではまれにしか助からない。開胸したら、心膜を横隔神経の前方で開き、出血を押さえ、両手で心臓を動かし、必要なら大動脈を遮断して、遮断時刻を記録したまま手術室で止血を完結させる。医療者の曝露は1件あたり7%程度で起こり、防護具で減らせる可能性がある。

文献

  1. Seamon MJ, Haut ER, Van Arendonk K, Barbosa RR, Chiu WC, Dente CJ, et al. An evidence-based approach to patient selection for emergency department thoracotomy: a practice management guideline from the Eastern Association for the Surgery of Trauma. J Trauma Acute Care Surg. 2015;79(1):159-173. doi:10.1097/TA.0000000000000648. PMID: 26091330. 全文:EAST公式PDF.
  2. Moore EE, Knudson MM, Burlew CC, Inaba K, Dicker RA, Biffl WL, et al. Defining the limits of resuscitative emergency department thoracotomy: a contemporary Western Trauma Association perspective. J Trauma. 2011;70(2):334-339. doi:10.1097/TA.0b013e3182077c35. PMID: 21307731.
  3. Tesoriero R, Coimbra R, Biffl WL, Burlew CC, Croft CA, Fox C, et al. Adult emergency resuscitative thoracotomy: a Western Trauma Association clinical decisions algorithm. J Trauma Acute Care Surg. 2024;97(6):961-968. doi:10.1097/TA.0000000000004462. PMID: 39451159.
  4. Ball CG, Lee A, Kaminsky M, Hameed SM. Technical considerations in the management of penetrating cardiac injury. Can J Surg. 2022;65(5):E580-E592. doi:10.1503/cjs.008521. PMID: 36302130. PMCID: PMC9451503.
  5. Cothren CC, Moore EE. Emergency department thoracotomy for the critically injured patient: objectives, indications, and outcomes. World J Emerg Surg. 2006;1:4. doi:10.1186/1749-7922-1-4. PMID: 16759407. PMCID: PMC1459269.
  6. Nunn A, Prakash P, Inaba K, Escalante A, Maher Z, et al. Occupational exposure during emergency department thoracotomy: a prospective, multi-institution study. J Trauma Acute Care Surg. 2018;85(1):78-84. doi:10.1097/TA.0000000000001940. PMID: 29664893.
  7. Bulger EM, Perina DG, Qasim Z, Beldowicz B, Brenner M, et al. Clinical use of resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta (REBOA) in civilian trauma systems in the USA, 2019: a joint statement from the American College of Surgeons Committee on Trauma, the American College of Emergency Physicians, the National Association of Emergency Medical Services Physicians and the National Association of Emergency Medical Technicians. Trauma Surg Acute Care Open. 2019;4(1):e000376. doi:10.1136/tsaco-2019-000376. PMID: 31673635. PMCID: PMC6802990.
  8. Harfouche MN, Bugaev N, Como JJ, Fraser DR, McNickle AG, et al. Resuscitative Endovascular Balloon Occlusion of the Aorta in surgical and trauma patients: a systematic review, meta-analysis and practice management guideline from the Eastern Association for the Surgery of Trauma. Trauma Surg Acute Care Open. 2025;10(1):e001730. doi:10.1136/tsaco-2024-001730. PMID: 40166770. PMCID: PMC11956280.
  9. Okano H, Terayama T, Okamoto H, Yamazaki T. Emergency resuscitative thoracotomy in severe trauma: analysis of nation-wide registry data in Japan. Acute Med Surg. 2024;11(1):e958. doi:10.1002/ams2.958. PMID: 38660025. PMCID: PMC11041373.
  10. 日本外傷学会・日本救急医学会 監修, 日本外傷学会外傷初期診療ガイドライン改訂第6版編集委員会 編. 改訂第6版 外傷初期診療ガイドラインJATEC. へるす出版; 2021年2月. ISBN 978-4-86719-014-2. 書誌・目次:https://www.herusu-shuppan.co.jp/014-2/(2026年9月25日閲覧、本文未取得).
  11. Dewey MG, Moore EE, Sauaia A, Moore HB. Resuscitative thoracotomy: what you need to know. J Trauma Acute Care Surg. 2026;100(2):153-161 (online 2025). doi:10.1097/TA.0000000000004803. PMID: 41417726.
  12. Inaba K, Chouliaras K, Zakaluzny S, Swadron S, Mailhot T, Seif D, et al. FAST ultrasound examination as a predictor of outcomes after resuscitative thoracotomy: a prospective evaluation. Ann Surg. 2015;262(3):512-518. doi:10.1097/SLA.0000000000001421. PMID: 26258320.
  13. Rhee PM, Acosta J, Bridgeman A, Wang D, Jordan M, Rich N. Survival after emergency department thoracotomy: review of published data from the past 25 years. J Am Coll Surg. 2000;190(3):288-298. doi:10.1016/S1072-7515(99)00233-1. PMID: 10703853.
  14. Flaris AN, Simms ER, Prat N, Reynard F, Caillot JL, Voiglio EJ. Clamshell incision versus left anterolateral thoracotomy. Which one is faster when performing a resuscitative thoracotomy? The tortoise and the hare revisited. World J Surg. 2015;39(5):1306-1311. doi:10.1007/s00268-014-2924-1. PMID: 25561192.
  15. Newberry R, Brown D, Mitchell T, Maddry JK, Arana AA, Achay J, et al. Prospective randomized trial of standard left anterolateral thoracotomy versus modified bilateral clamshell thoracotomy performed by emergency physicians. Ann Emerg Med. 2021;77(3):317-326. doi:10.1016/j.annemergmed.2020.05.042. PMID: 32807537.
  16. Brenner M, Inaba K, Aiolfi A, DuBose J, Fabian T, Bee T, et al. Resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta and resuscitative thoracotomy in select patients with hemorrhagic shock: early results from the American Association for the Surgery of Trauma’s Aortic Occlusion in Resuscitation for Trauma and Acute Care Surgery Registry. J Am Coll Surg. 2018;226(5):730-740. doi:10.1016/j.jamcollsurg.2018.01.044. PMID: 29421694.
  17. 日本外傷学会 監修, 日本外傷学会外傷専門診療ガイドライン改訂第3版編集委員会 編. 改訂第3版 外傷専門診療ガイドラインJETEC. へるす出版; 2023年6月. ISBN 978-4-86719-068-5. 書誌・目次:https://www.herusu-shuppan.co.jp/068-2/(2026年9月25日閲覧、本文未取得).
  18. Abe T, Uchida M, Nagata I, Saitoh D, Tamiya N. Resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta versus aortic cross clamping among patients with critical trauma: a nationwide cohort study in Japan. Crit Care. 2016;20:400. doi:10.1186/s13054-016-1577-x. PMID: 27978846. PMCID: PMC5159991.
  19. Aso S, Matsui H, Fushimi K, Yasunaga H. Resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta or resuscitative thoracotomy with aortic clamping for noncompressible torso hemorrhage: a retrospective nationwide study. J Trauma Acute Care Surg. 2017;82(5):910-914. doi:10.1097/TA.0000000000001345. PMID: 28430760.
  20. 令和8年度 医科診療報酬点数表「K545 開胸心臓マッサージ」. 二次資料:ナレティ(https://knowlety.jp/ika/k545/、2026年9月25日閲覧). 告示・通知の原文とは未照合.
  21. American College of Surgeons. Advanced Surgical Skills for Exposure in Trauma (ASSET). https://www.facs.org/quality-programs/trauma/education/advanced-surgical-skills-for-exposure-in-trauma/(2026年9月25日閲覧).

医学的内容の最終確認日・確認範囲

文献ごとの確認範囲を開く(最終確認日:2026年9月26日)

医学的内容の最終確認日:2026年9月26日(著者確認)。文献照合日:2026年9月26日(日本時間)。文献の検索・照合は2026年9月25〜26日に行った。PubMedの抄録(NCBI BioC、PubTator3)、PMCの公開本文(NCBI BioC)、Crossref・Semantic Scholarの書誌、出版社・学会・公的機関の公式ページを直接開いて確認した。一部のデータベース(NCBI、OpenAlex、Semantic Scholar、Europe PMC)には接続できない時間帯があった。数値・用量・適用条件を含む医学的内容は、2026年9月26日に著者(医師)が確認した。

  • 本文を確認:[1](EAST公式PDF。推奨文と強さ・根拠の質、生命徴候の定義、6群の生存と95%CI、CPRの時間についての記述、血清陽性率と感染率)、[4](PMCと出版社の公開本文。器具、切開、心膜切開と横隔神経、一時止血、大動脈の露出と下肺靭帯、clamshellと内胸動脈、心膜閉鎖)、[5](PMCの公開本文。目的、切開、開胸器、心膜切開、一時止血、心マッサージ、体内除細動、大動脈遮断と解除、下肺靭帯、合併症)、[7](PMCの公開本文。禁忌と決定的止血についての記述)、[8](PMCの公開本文。外傷性心停止の2つの問い、統合結果、推奨と条件)、[9](PMCの公開本文。対象、心肺停止の定義、群別の生存、調整オッズ比、限界)、[18](出版社とPMCの公開本文。対象と除外、傾向スコアでそろえた群の死亡とオッズ比)。
  • 抄録のみ確認:[2] [6] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [19]。本文中の数値は抄録にある範囲に限った。[2]は生存者だけの集計で、分母は抄録にない。
  • 書誌のみ(本文・抄録なし):[3]。WTA 2024のアルゴリズムは出版社のページが有料で、PubMedに抄録がなく、分岐の内容は確認できなかった。
  • 公式情報・二次資料を確認:[10] [17](出版社の書誌と目次。本文は未取得)、[20](点数表の二次資料。告示原文とは未照合)、[21](米国外科学会の講習の公式ページ)。
  • 訂正・撤回:[1] [3] [4] [5] はCrossrefで訂正・撤回の登録がないことを確認した(2026年9月25日)。そのほかの文献は、Crossrefの制限により個別には確認できていない。
  • 未取得:WTA 2024のアルゴリズムの本文、JATEC改訂第6版・JETEC改訂第3版の本文、Flaris 2015とNewberry 2021の本文。

更新履歴

更新履歴を開く(全3件・最新:2026年9月26日)
  • 2026年9月26日(著者確認):著者(医師)が数値・用量・適用条件を含む医学的内容を確認した。確認日の表記を更新した。あわせて、確認範囲の記載を読者向けの表現に改め、関連記事と分野の一覧へのリンクを加えた(医学的内容は変えていない)。
  • 2026年9月26日(改訂):原著・指針と照合して全面改訂した。主な変更は次のとおり。(1)EAST 2015の6つの推奨を、強さ・根拠の質・生存と神経学的に良好な生存(95%CI)・頭部単独損傷の除外の条件とともに表にした。(2)WTA 2024のアルゴリズムは本文を取得できず確認できないため、同アルゴリズムに帰していた記述(生命徴候の定義、CPR時間の分岐、Zone 1 REBOAの分岐)を削除し、時間の目安は根拠となった多施設の生存者の集計(Moore 2011)と、EAST 2015・2025年の総説の記述で示し直した。生命徴候の定義はEAST 2015の本文によるものに改めた。(3)確認できなかった手技の記述(経鼻胃管で食道を見分ける、心尖部の持ち上げで大血管が屈曲する、遮断解除時のカリウムの洗い出しなど)を削除した。下肺靭帯については、切開するとする総説と、切離は不要で下肺静脈損傷のおそれがあるとする総説を併記した。(4)文献の誤りを直した。心損傷の技術総説の著者を「Kang N, Hsee L, Rizoli S」からBall CG, Lee A, Kaminsky M, Hameed SMに、米国外科学会2001年の指針として挙げていた文献を、実際に参照していたCothren & Moore 2006(World J Emerg Surg)に改めた。(5)成績(Rhee 2000)、超音波の予測能(Inaba 2015)、clamshellの献体研究、医療者の曝露の前向き研究(Nunn 2018)、REBOAとの比較(共同声明2019、EAST 2025、AORTA登録)、国内の成績(JTDBのOkano 2024、Abe 2016、DPCのAso 2017)、JATEC・JETECの目次、保険の区分、「日本で実施するとき」「まだ分からないこと」、根拠の比較表、文献ごとの確認範囲を加え、文献を4件から21件にした。理由:確認できない記述と確認できた記述を分け、手技を行う医師が適応の条件と数値の出どころをたどれるようにするため。
  • 2026年9月26日(初回公開・同日改訂):外傷手技シリーズとして公開。EAST 2015とWTA 2024を軸に、適応、器具、左前側方開胸、clamshellと内胸動脈、心膜切開、心損傷の一時止血、開胸心マッサージ、下行大動脈遮断、遮断後の管理、失敗の早見表をまとめた(文献4件)。

本記事は医療従事者への教育および一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。実際の診療では、各施設のプロトコルおよび最新の診療ガイドラインをご確認ください。
利益相反:本記事に関連して開示すべき利益相反はありません。

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この記事を書いた人

外科医・救急科専門医。外傷外科、Acute Care Surgery、救急・集中治療領域の診療と研究に従事しています。外傷性凝固障害、出血性ショック、止血蘇生、大量輸血、腹部外傷を中心に、臨床で使えるエビデンスを解説します。

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