外傷後の抗菌薬:予防投与と感染治療をどう分けるか

外傷後の抗菌薬投与のアイキャッチ:紺地に『外傷後の抗菌薬』とANTIBIOTICSの文字

外傷後の抗菌薬は、感染が成立する前に損傷の種類に応じて短期間だけ使う「予防投与」と、診断した感染症に対する「治療」に分けて考える。予防投与は早く始めて短く終え、治療は感染源の制御を前提に短い期間を基本とする方向が、指針と無作為化試験で支持されている。本稿は成人外傷を対象に、開放骨折、穿通性腹部外傷、胸腔ドレーン、頭蓋底骨折・髄液漏、穿通性脳・脊椎損傷、顔面骨折の予防投与、破傷風予防と脾摘後のワクチン、ICUでの人工呼吸器関連肺炎(VAP)・腹腔内感染・菌血症の治療期間とデエスカレーションを、指針と主要研究の数値で整理する。

  • 抗菌薬
  • 予防投与
  • 開放骨折
  • 破傷風
  • デエスカレーション

医療従事者向け:本記事は教育および一般的な医学情報の提供を目的としています。個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。

目次

まず押さえる要点

  1. 開放骨折の予防投与は、早く始めて短く終える。無作為化・準無作為化試験7件(913人)の統合で、抗菌薬は開放骨折の早期感染を減らした(相対危険0.41、95%CI 0.27〜0.63)[1]。米国外傷外科学会(AAST)の合意文書は受傷1時間以内の開始と24時間の継続を[2]、EASTはIII型で受傷後72時間まで、または軟部組織の被覆から24時間以内までを掲げ[3]、国内の実践ガイドラインはI・II型で48時間以内、IIIA型で48〜72時間以内とする[4]。1日と5日の投与を比べた無作為化試験で、感染率は13%対12〜13%だった[5]。
  2. 予防投与を勧めない場面がある。頭蓋底骨折では、髄液漏の有無を問わず、無作為化試験5件(208人)で髄膜炎の減少は示されなかった[6]。AASTは髄液漏、外傷性気脳症、手術しない顔面骨折、鼻腔パッキング、熱傷に予防投与を勧めない[2]。一方、胸腔ドレーン挿入時の予防投与は、膿胸を減らす目的でEAST 2022が条件付きで推奨した(オッズ比0.47、95%CI 0.25〜0.86)[7]。
  3. 穿通性の損傷でも、長い投与を支える根拠は乏しい。管腔臓器損傷のある穿通性腹部外傷では予防投与は24時間まで(EAST、Level I)で、ダメージコントロール手術の後に24時間を超えて続けることを支持するデータはない[8]。AASTは穿通性脳損傷で短期間(3日を超える延長には利益がないとする)、低速の銃創による脊椎損傷で48時間以内を勧めるが、前向きの比較試験はない[2]。
  4. ICUの感染治療も、感染源を制御できれば短くできる。感染源が適切に制御された腹腔内感染518例の無作為化試験(STOP-IT)では、固定4日間の治療と、解熱などを待って続ける治療で、30日以内の複合転帰は21.8%対22.3%だった[9]。VAPでは8日と15日の治療で28日死亡は18.8%対17.2%だったが、ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌による例では再発が多かった(40.6%対25.4%)[10]。いずれも外傷患者に限った試験ではない。
  5. 破傷風予防と脾摘後のワクチンは、抗菌薬とは別に確認する。破傷風を防ぐ目的の抗菌薬は推奨されず、ワクチン歴と創の種類でトキソイドと抗破傷風人免疫グロブリン(TIG)の要否を決める[11]。国内の定期接種は1968年に始まり、発症の危険が高いのはワクチン未接種者、特に高齢者である[12]。脾摘後は肺炎球菌・インフルエンザ菌・髄膜炎菌に対する接種を、脾摘から14日以降に行うよう世界救急外科学会(WSES)が推奨している[13]。

対象と扱わない範囲

対象:成人の鈍的・穿通性外傷(AASTの合意文書は16歳以上を対象とする[2])。救急外来と手術室で予防投与を始めるか、いつ終えるか。入院後の破傷風予防と脾摘後のワクチン。ICUで感染を疑ったときの治療期間、デエスカレーション(培養結果にもとづく狭域化)と中止の判断。

扱わない範囲:小児、熱傷の感染管理、戦傷、動物咬傷の詳細、待機手術の手術部位感染予防、骨折関連感染の治療。感染症ごとの第一選択薬、腎機能に応じた用量、薬物血中濃度モニタリング(TDM)は扱わない。発熱の鑑別は外傷後の発熱、VAPの予防策は重症外傷の人工呼吸・ARDSで扱う。本文の薬剤名は指針や試験に書かれた例であり、実際の選択は施設の感受性データ(アンチバイオグラム)、アレルギー、腎機能、国内の電子添文で決める。

1.予防投与と感染治療を分ける

予防投与は、損傷によって感染の危険が高まった患者に、感染が成立する前の限られた期間だけ抗菌薬を使うことである。感染治療は、肺炎や腹腔内膿瘍などの感染症を診断し、または強く疑い、培養と感染源の制御(ドレナージ、デブリードマン、再手術など)とあわせて行う。両者は、始める理由も、終える基準も違う。

本稿の解釈外傷の現場で混ざりやすいのは、予防投与が「ドレーンが入っている」「創外固定がある」「発熱した」という理由で延び、いつの間にか治療のような長さになることである。そこで、抗菌薬を始めるときに「予防か治療か」「対象は何か」「いつ見直し、いつ終えるか」を記録しておく。

指針本稿で最も多く参照するAAST 2024の予防投与の文書は、題名のとおり臨床的な合意文書(clinical consensus document)である。作業部会が主に過去10年の研究を検討し、根拠が乏しい、または食い違う論点はAASTの集中治療委員会が匿名の調査で合意を求めた[2]。系統的レビューにもとづく指針ではないため、文書中の”recommend”を、強い推奨が確立したものと読み替えない。国内では、日本化学療法学会と日本外科感染症学会の「術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン」(2016年)の整形外科の表に、開放骨折の項目がある[4]。

予防投与の「24時間」「48時間」「3日以内」は、感染が成立した患者の治療期間ではない。膿瘍、肺炎、腹膜炎、菌血症、骨髄炎などを診断した後は、感染症ごとの治療と感染源の制御に切り替える。反対に、予防投与を続けていても、破傷風予防の評価は省略できない。

2.開放骨折:早く始め、短く終える

Gustilo分類と、その限界

AASTの合意文書は、Gustilo・Anderson分類を次のように説明している。I型は低エネルギーの損傷で創が1 cm未満、肉眼的な汚染がないもの。II型は創が1〜10 cmで、肉眼的な汚染や広い軟部組織損傷、皮弁・剥脱を伴わないもの。III型は10 cmを超える創と広い軟部組織損傷、外傷性切断、高エネルギー外傷(高速の銃創を含む)による開放骨折、または創の大きさにかかわらず肉眼的な汚染があるもの[2]。

研究結果分類の再現性は高くない。整形外科医245人が同じ12例の脛骨開放骨折(病歴、診察所見、創の映像、術前X線)を分類した調査では、一致率は症例により42〜94%、平均60%だった[14]。本稿の解釈救急外来の見た目だけで「I型だからグラム陽性菌だけでよい」と決めつけず、汚染の状況とエネルギーを重く見る。型は手術時の所見で見直す。

開始時期:救急外来で最も動かしやすい要素

研究結果コクランレビュー(2004年、検索は2003年まで)は、開放骨折の患者に初期治療の前または同時に抗菌薬を投与し、プラセボまたは無投与と比べた無作為化・準無作為化試験7件(913人)を統合し、抗菌薬で早期感染が減ったと報告した(相対危険0.41、95%CI 0.27〜0.63、絶対危険減少0.08、95%CI 0.04〜0.12、治療必要数13、95%CI 8〜25)[1]。そのほかの転帰(慢性の排膿、骨髄炎、偽関節など)はデータが不十分だった。

研究結果時間の根拠としてよく引用されるのは、レベルI外傷センター1施設のGustilo III型脛骨開放骨折137例(除外後)の後ろ向き研究である。受傷後90日以内の深部感染について、多変量解析で抗菌薬まで66分超(オッズ比3.78、95%CI 1.16〜12.31)と、被覆まで5日超(オッズ比7.39、95%CI 2.33〜23.45)が独立した因子だった[15]。66分という区切りはデータから求めた値で、重症ほど投与も被覆も遅れやすいという交絡は残る。

指針英国整形外科学会のBOAST(2017年)は、予防的な静注抗菌薬を「できるだけ早く、理想的には受傷1時間以内」に投与し、開放骨折の抗菌薬について地域の診療ネットワークの指針をすぐ参照できる形で公開しておくことを基準とした[16]。EAST(2011年改訂)もLevel Iとして、グラム陽性菌を対象とする全身投与を受傷後できるだけ早く開始するとしている[3]。

薬剤の範囲と期間

指針AAST 2024は、I・II型はグラム陽性菌(例:第1世代セファロスポリン)、III型はグラム陽性菌とグラム陰性菌(例:第1世代セファロスポリンにアミノグリコシドを併用、ピペラシリン・タゾバクタム、セフトリアキソン)を対象とし、受傷1時間以内に開始して24時間継続、洗浄とデブリードマンは受傷24時間以内、軟部組織の被覆後24時間を超えて継続しない、とした。本文は、24時間を超える投与は必要なく、切開前の単回投与で足りるとする研究も多いと述べている[2]。

指針汚染の種類によっては、AASTの表が別の薬剤と3〜5日の投与を挙げている。海水ではドキシサイクリンとセフタジジム、またはフルオロキノロン。淡水ではシプロフロキサシン、レボフロキサシン、または第3・第4世代セファロスポリン(ビブリオ、エロモナス、緑膿菌を想定)。農場などの土壌汚染ではクロストリジウムに対する高用量ペニシリン。哺乳類の咬傷ではアモキシシリン・クラブラン酸などである[2]。EASTも、糞便やクロストリジウムの汚染がある場合に高用量ペニシリンの追加をLevel Iとしている[3]。

研究結果期間を直接比べた古い二重盲検の無作為化試験(248例)では、セフォニシド1日、セフォニシド5日、セファマンドール5日の骨折部感染は、10/79(13%)、10/85(12%)、11/84(13%)だった。著者らは、短い投与は長い投与に劣らないと結論した[5]。現在は使われない薬剤で、抄録からは骨折型の内訳が分からない。

指針(年)開始時期薬剤の範囲期間性格と注意
AAST(2024)[2]受傷1時間以内I・II型:グラム陽性菌。III型:グラム陽性菌+陰性菌24時間。被覆後24時間を超えない。水・土壌・咬傷の汚染では3〜5日専門家の合意。系統的レビューではない
EAST(2011)[3]できるだけ早く(Level I)グラム陽性菌。III型でグラム陰性菌を追加(Level I)III型:受傷後72時間まで、または被覆後24時間以内(Level II)フルオロキノロンに利点なし(Level I)。アミノグリコシド1日1回投与はII・III型で安全かつ有効(Level II)
BOAST(2017)[16]できるだけ早く、理想的には受傷1時間以内地域ネットワークの指針に従う記載は各ネットワークの指針に委ねる英国の診療体制が前提
日本化学療法学会・日本外科感染症学会(2016)[4]記載なし(本稿の確認範囲)I・II型:セファゾリン。IIIA型:セファゾリン+ゲンタマイシン、またはセフトリアキソン。土壌汚染ではスルバクタム・アンピシリンI・II型:48時間以内。IIIA型:48〜72時間以内。IIIB・C型は治療としての抗菌薬を選ぶ受傷後6時間以内で、軟部組織が適切に処置された場合の記載。推奨度は薬剤A-I、投与期間C1-III

本稿の解釈指針の期間は24時間から72時間まで幅があるが、長い投与が感染を減らすと示した比較試験は、本稿の検索では見当たらなかった。差は、III型の扱いと被覆までの時間の前提の違いと読む。期間を延ばす理由にしてよいのは、被覆の遅れそのものではなく、汚染の種類(水・土壌)や新たな感染の徴候であり、その場合は予防から治療へ切り替える判断になる。デブリードマンと被覆の時期は重度四肢外傷と皮弁再建で詳しく扱う。

3.穿通性腹部外傷:管腔臓器損傷があっても24時間まで

指針EASTの2012年の改訂は、1973〜2011年の英語文献44件を検討し、管腔臓器損傷がある場合の予防的抗菌薬は24時間に限って投与するとLevel Iで推奨した。ダメージコントロール開腹術の後に予防投与を24時間より長く続けることを支持するデータはない、ともした[8]。改訂では出血性ショックの患者での投与量も論点に挙げているが、抄録に具体的な推奨はなく、本稿では扱わない。

研究結果一方、予防投与そのものの効果について、コクランレビュー(2019年、検索は2019年7月まで)はプラセボ対照の無作為化試験を1件も見つけられず、穿通性腹部外傷の抗菌薬を支持も否定もできる無作為化試験の情報はないと結論した[17]。予防投与の実施は、主に歴史的な観察と手術部位感染予防の考え方に支えられている。

本稿の解釈開腹を決めた時点で投与し、管腔臓器損傷がなければ術後に続けず、あれば24時間で終える。開腹したまま(オープンアブドメン)であることは、それだけでは延長の理由にならない。手術時にすでに汚染が広がり腹膜炎が成立していると判断した場合は、予防ではなく腹腔内感染の治療として扱い、感染源の制御と9節の治療期間の考え方へ移る。腸管損傷の診断は腸管・腸間膜損傷を見逃さない、開腹の戦略はダメージコントロール手術(DCS)を参照。

4.胸腔ドレーン:挿入時の予防投与は条件付きで推奨

指針EASTの2022年の指針は、外傷性の血胸・気胸に対するドレーン挿入時の予防投与について14研究(1件を除き前向き研究、うち8件が無作為化試験)を解析した。予防投与を受けた患者は膿胸が少なかった(オッズ比0.47、95%CI 0.25〜0.86、p=0.01)。穿通性外傷ではオッズ比0.25(95%CI 0.10〜0.59)、鈍的外傷ではオッズ比0.25(95%CI 0.06〜1.12)で、鈍的外傷では有意ではなかった。肺炎と死亡には有意な影響がなかった。これにもとづき、挿入時の予防投与を条件付きで推奨した[7]。

本稿の解釈抄録には薬剤と期間の推奨がなく、組み入れ研究の投与法は挿入時の単回から抜去後48時間までと幅があった[7]。どの期間がよいかは示されておらず、「ドレーンが入っている間は続ける」運用を支持する根拠もない。鈍的外傷では信頼区間が広く、効果は確かではない。膿胸を防ぐうえでは、残存血胸を早く見つけて排出することも重要である。詳しくは外傷性気胸・血胸と胸腔ドレーンを参照。

5.頭部・脊椎:髄液漏には予防投与をしない

頭蓋底骨折・髄液漏・気脳症

研究結果コクランレビュー(2015年)は、頭蓋底骨折の患者の無作為化試験5件(208人)で、予防投与群と対照群の間に、髄膜炎の頻度、全死亡、髄膜炎による死亡、髄液漏の患者での外科的修復の必要性のいずれも有意差がなかったとした。予防投与と無投与などを比べた非無作為化研究17件(2,168人)の解析も同じ方向だった。著者らは、髄液漏の有無にかかわらず予防投与を支持しないと結論した[6]。

指針AAST 2024は、外傷後の髄液漏と外傷性気脳症に予防投与を勧めない[2]。本稿の解釈予防投与をしないことは、髄膜炎を気にしなくてよいという意味ではない。有意差がないことは、髄膜炎の危険が同じだと示したものでもない。発熱、頭痛、意識の変化を見逃さず、髄液漏が続くときは脳神経外科と修復の時期を相談する。

穿通性脳損傷

指針AAST 2024は、穿通性脳損傷に短期間の予防投与を行うとし、3日を超える延長には利益がないようだとした。目に見える汚染があればメトロニダゾールを加える[2]。研究結果AASTが引用した系統的レビューでは、327例のうち216例(66%)が予防投与を受け、中枢神経感染は投与例で38/216例(17%)、非投与例で21例(19%)で、p=0.76だった[2][18]。前向きの無作為化試験はない。

穿通性脊椎損傷

指針AAST 2024は、低速の銃創による脊椎損傷に48時間以内の予防投与を推奨する。本文では、脊椎感染は消化管の損傷を伴う例にだけ起こったが、投与期間(5日と5日未満)にかかわらず感染率は同程度(12%と15%)だったという研究を引用している[2]。

研究結果系統的レビュー(2020年、9研究、459例、多くは銃創)では、脊椎・傍脊椎の感染は21例(4.58%)だった。5日以上の投与で感染率5%未満とした研究が5件、48時間の投与で同程度とした新しい研究が2件あった。著者らは、組み入れ研究がすべて後ろ向きで期間について確定的な推奨はできないとしたうえで、多くの患者では48時間の予防投与で足りる可能性があるが、汚染が強く脊椎感染の危険が高い経結腸損傷は例外とした[19]。経結腸損傷で48時間を超える投与が必要かは、AASTとこのレビューで見方が分かれる。

脳損傷で挿管した患者:早期VAPの予防

研究結果フランスの大学病院8施設・9つのICUで行われた二重盲検の無作為化試験(PROPHY-VAP、2015〜2020年)は、48時間以上の人工呼吸を要する昏睡(GCS 12以下)の成人の急性脳損傷患者に、挿管後12時間以内のセフトリアキソン2 g単回静注とプラセボを比べた。345例を割り付け、319例を解析した。人工呼吸2〜7日目の早期VAPは14%(23例)対32%(51例)で、ハザード比0.60(95%CI 0.38〜0.95、p=0.030)だった。抄録では、セフトリアキソンによる微生物学的な影響や有害事象はないとされた[20]。

本稿の解釈対象は外傷性脳損傷に限らない急性脳損傷で、外傷例の割合、死亡や人工呼吸期間への影響は抄録からは分からない。単回投与の試験であり、挿管した脳損傷患者に抗菌薬を数日続ける根拠にはならない。国内でこの目的の投与が電子添文上どう扱われるかは未確認である。

6.顔面骨折・顔面の創:術後に延ばさない

研究結果1987年の無作為化試験は、抗菌薬を受けていない顔面骨折の成人101例(下顎骨骨折79例、頬骨骨折18例、Le Fort骨折4例)を、セファゾリン1 gを手術の1時間前と8時間後に静注する群と無投与群に分け、術後感染は8.9%対42.2%だった[21]。一方、術前・周術期の投与に術後の予防投与を上乗せする効果を検討したメタ解析(13研究)では、手術部位感染に有意差はなかった(相対危険1.11、95%CI 0.86〜1.44)。下顎骨骨折に限っても1.22(95%CI 0.92〜1.62)、無作為化試験に限っても1.00(95%CI 0.61〜1.67)だった[22]。

指針AAST 2024は、開放性または汚染のある顔面骨折には24時間以内の予防投与(例:セファゾリン、セフトリアキソン、アンピシリン・スルバクタム、クリンダマイシン)、汚染のない閉鎖性骨折で手術するものには術後の予防投与なし、手術しない顔面骨折には予防投与なし、とした。顔面・頭皮の裂創は原則として予防投与を行わず、組織の破壊が大きい、死腔が大きい、汚染が広いなどの複雑な創や、糖尿病、免疫抑制、ステロイド使用、高齢や若年、肥満などの高リスクの患者で24時間以内を考える。鼻腔パッキングには予防投与を勧めない[2]。気道と視機能を含む初期評価は顔面外傷の初期診療を参照。

7.脾摘後のワクチン:塞栓術は脾摘と同じではない

指針WSES 2017は、脾摘または脾臓全体の血流遮断の後に、肺炎球菌、インフルエンザ菌、髄膜炎菌に対する予防接種を推奨し(GoR 1A)、接種は脾摘から14日以降とした(GoR 2C)[13]。脾臓を塞栓して温存した患者について、EAST 2022は、塞栓例240例と対照443例で脾臓の免疫機能に統計学的な差がなかったことなどから、ルーチンの脾摘後ワクチンに条件付きで反対した[23]。WSES 2022は、塞栓の有無を問わず非手術治療例へのルーチン接種に反対を提案したうえで、脾臓の50%以上を失った場合とgrade Vでは接種を考慮できるとした[24]。

本稿の解釈接種の時期は、外来で確実に接種できるかどうかで現実的に決まる。退院時に、誰が、いつ、どのワクチンを接種するかを紹介状に書く。国内の保険給付の範囲は「日本で実施するとき」で示す。塞栓後の判断は脾損傷の非手術治療と塞栓術を参照。

8.破傷風予防:抗菌薬とは別に必ず確認する

指針米国疾病予防管理センター(CDC)の創傷管理の指針は、すべての創を洗浄し、土や異物を除き、壊死組織を除去するとしたうえで、破傷風を防ぐ目的で局所・全身の抗菌薬を使うことは推奨しない。破傷風の危険が高い創(汚染創・大きな創)の例として、穿通創・刺創、土・糞便・唾液を含む創(動物や人の咬傷など)、壊死組織を含む創(熱傷、開放骨折、挫滅創、凍傷、壊死・壊疽を伴う創)を挙げている[11]。

ワクチン歴清潔で小さな創汚染創・大きな創
不明、未接種、初回免疫が未完了ワクチン:必要。TIG:不要ワクチン:必要。TIG:必要
初回免疫が完了、最終接種から5年未満ワクチン:不要。TIG:不要ワクチン:不要。TIG:不要
初回免疫が完了、最終接種から5年以上10年未満ワクチン:不要。TIG:不要ワクチン:必要。TIG:不要
初回免疫が完了、最終接種から10年以上ワクチン:必要。TIG:不要ワクチン:必要。TIG:不要
HIV感染、重度の免疫不全TIG:不要(ワクチンは上の区分に従う)TIG:必要(ワクチンは上の区分に従う)

表はCDCの指針[11]を本稿で整理したもので、CDCはTIGの予防量を250国際単位の筋注としている。国内の製剤の用量は「日本で実施するとき」に示す。

本稿の解釈多発外傷の患者は、ワクチン歴を本人から聞けないことが多い。確認できなければ「不明」として扱い、開放骨折や挫滅創なら汚染創の区分で判断する。抗菌薬を投与していても、この評価は省略できない。

9.ICUの感染治療:診断を定め、期間を決め、狭める

発熱は感染の証拠ではない

指針AAST 2024の発熱と感染の合意文書は、重症患者の38.3℃を超える体温を発熱と定義し、外科系ICUの発熱は多いが感染が原因なのは半分にとどまるとした。新たな肺炎の臨床像がなければ気道の検体は不要で、発熱だけを理由に気道の培養を出さない[25]。鑑別の進め方は外傷後の発熱で扱う。

人工呼吸器関連肺炎(VAP):7日を基本に

指針米国感染症学会と米国胸部学会(IDSA/ATS)の2016年の指針は、VAPに対して、より長い期間ではなく7日間の治療を推奨した(強い推奨、中等度の質の根拠)。培養結果による狭域化(弱い推奨、非常に低い質)と、プロカルシトニン(PCT)と臨床基準を組み合わせた中止の判断(弱い推奨、低い質)も提案している[26]。AAST 2024も、ほとんどの患者で7日間の治療で足りるとした[25]。

研究結果根拠の中心は、フランスの51のICUで行われた無作為化試験(PneumA、2003年。8日目まで二重盲検)である。微生物学的に確認され、適切な初期治療を受けたVAPの成人401例を8日群197例と15日群204例に分けた。28日死亡は18.8%対17.2%(差の90%CI −3.7〜6.9%)、感染の再発は28.9%対26.0%(90%CI −3.2〜9.1%)で、抗菌薬を使わない日数は8日群で多かった(平均13.1日対8.7日、p<0.001)。ただし緑膿菌を含むブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌による例では、8日群で再発が多かった(40.6%対25.4%、90%CI 3.9〜26.6%)[10]。外傷患者に限った試験ではない。

腹腔内感染:感染源を制御できたら4日

研究結果STOP-IT試験(2015年)は、感染源が適切に制御された複雑性腹腔内感染の患者518例を、解熱・白血球増多の改善・イレウスの解消から2日後まで(最長10日)続ける対照群と、4±1日の固定期間の実験群に割り付けた。30日以内の手術部位感染・腹腔内感染の再発・死亡の複合は、実験群56/257例(21.8%)、対照群58/260例(22.3%)だった(絶対差−0.5ポイント、95%CI −7.0〜8.0、P=0.92)。投与期間の中央値は4.0日(四分位範囲4.0〜5.0)対8.0日(5.0〜10.0)で、複合転帰の各項目とほかの副次評価項目にも有意差はなかった[9]。

指針AASTの発熱と感染の合意文書は、感染源が適切に制御された複雑性腹腔内感染について、IDSA(2010年)が4〜7日、外科感染症学会(SIS、2017年)が4日の短い治療を推奨していることを紹介し、制御が不十分な場合はSISが5〜7日の治療と、患者の状態が悪いままなら感染源の制御の再評価を勧めているとした[25]。本稿の解釈STOP-ITの結果は「感染源が制御できている」ことが前提である。外傷後の腹腔内感染では、計画的な再開腹やドレナージの後にこの条件を満たしているかを毎日確かめ、満たさないなら期間を延ばすより先に感染源を探す。

菌血症:7日で足りる場合が多い

研究結果BALANCE試験(7か国74病院)は、菌血症で入院した3,608例(55%がICU)を7日と14日の治療に割り付けた非劣性試験である。重度の免疫抑制、長期の治療が必要な感染巣、汚染菌の可能性がある単独の培養陽性、黄色ブドウ球菌が培養された例は除外された。90日死亡は7日群14.5%、14日群16.1%(差−1.6ポイント、95.7%CI −4.0〜0.8)で、非劣性の許容幅(4ポイント)を満たした。感染源は尿路42.2%、腹部18.8%、肺13.0%が多かった[27]。

指針AASTの合意文書は、菌血症の治療期間として、グラム陰性菌とコアグラーゼ陰性ブドウ球菌で7日、MRSA(合併症のない場合)とカンジダで14日を挙げ、カテーテルは可能な限り抜去または入れ替えるとした[25]。

デエスカレーションとPCT

指針日本版敗血症診療ガイドライン2024(J-SSCG 2024)は、敗血症に対して、デエスカレーションを行うこと(GRADE 2C)、PCTを指標とした抗菌薬の中止(GRADE 2A)、比較的短期間(7日間以内)の抗菌薬治療(GRADE 2C)をいずれも弱く推奨した。抗菌薬は可及的早期に開始するが、必ずしも1時間以内という目標は用いないことも弱く推奨している(GRADE 2C)[28]。

研究結果デエスカレーションの無作為化試験は少ない。フランスの9つのICUで重症敗血症の116例を、デエスカレーション群59例と経験的治療の継続群57例に分けた非盲検の非劣性試験では、主要評価項目のICU滞在日数の中央値は9日対8日(平均差3.4日、95%CI −1.7〜8.5)で、非劣性は示されなかった。重複感染は27%(16例)対11%(6例)(P=0.03)、抗菌薬の投与日数は9日対7.5日(P=0.03)で、死亡に有意差はなかった[29]。非盲検の小規模な1試験であり、これだけで狭域化の方針を否定することはできない(本稿の解釈)。

指針AASTの合意文書は、培養が確定したら狭域化するか中止すべきだとする一方、PCTは施設の多職種のプロトコルの中で使えるが、重症の外傷患者などでは有用性が限られ、外傷のように受傷時点でPCTが上がる状況では注意が要るとした[25]。本稿の解釈外傷ICUでは、PCTの単回の値で感染の有無を決めず、経過の推移を中止判断の補助に使う。

毎日の見直しで問うこと(本稿の整理):①いま使っている抗菌薬は予防か治療か。②治療なら、どの感染症を、どの検体の結果で治療しているか。③感染源は制御できているか。④培養と感受性の結果で狭められるか。⑤終了予定日はいつか(開始時に決めておく)。

根拠の比較表

表はスマートフォンでは横にスクロールして読む。数値は抄録(STOP-ITなど一部は抄録の原文、AASTの2文書は本文)で確認できた範囲に限った。

出典(年)デザイン対象介入・比較主な結果限界と診療への意味
Gosselin(2004)[1]系統的レビュー(無作為化・準無作為化7試験)四肢の開放骨折913人抗菌薬対プラセボ・無投与早期感染 相対危険0.41(95%CI 0.27〜0.63)、治療必要数13古い試験。現在の論点は投与するかではなく、いつ・どれだけか
Dellinger(1988)[5]二重盲検RCT開放骨折248例1日対5日(2種類の薬剤)骨折部感染13%対12%・13%現在使わない薬剤。短期投与を支持する数少ない比較試験
Lack(2015)[15]単施設後ろ向きGustilo III型脛骨開放骨折137例抗菌薬までの時間、被覆までの時間90日以内の深部感染:66分超 OR 3.78(1.16〜12.31)、被覆5日超 OR 7.39(2.33〜23.45)区切りはデータ由来で交絡が残る。早期投与の動機づけ
Ratilal(2015)[6]コクランレビュー頭蓋底骨折(RCT 5件208人)予防投与対対照髄膜炎、死亡、外科的修復に有意差なし小規模。危険が同じとは示していない。予防投与の根拠にはならない
Freeman(EAST 2022)[7]指針(メタ解析、14研究)外傷の胸腔ドレーン挿入予防投与対なし膿胸 OR 0.47(0.25〜0.86)。鈍的外傷では有意でない薬剤と期間は未確立。条件付き推奨
Habib(2019)[22]メタ解析(13研究)顔面骨折の手術周術期投与+術後投与対周術期投与のみ手術部位感染 相対危険1.11(0.86〜1.44)観察研究を含む。術後に延ばす根拠はない
Dahyot-Fizelier(PROPHY-VAP、2024)[20]二重盲検RCT(仏9 ICU)GCS 12以下で人工呼吸48時間以上の急性脳損傷345例セフトリアキソン2 g単回対プラセボ早期VAP 14%対32%、HR 0.60(0.38〜0.95)外傷以外の脳損傷を含む。死亡への影響は抄録に記載なし
Chastre(PneumA、2003)[10]二重盲検RCT(仏51 ICU)確定診断のVAP 401例8日対15日28日死亡18.8%対17.2%。非発酵菌で再発40.6%対25.4%外傷に限らない。非発酵菌では経過をみて判断
Sawyer(STOP-IT、2015)[9]RCT感染源が制御された複雑性腹腔内感染518例固定4±1日対、改善後2日まで(最長10日)30日の複合転帰21.8%対22.3%(差−0.5、95%CI −7.0〜8.0)感染源の制御が前提。外傷例の割合は抄録に記載なし
BALANCE(2025)[27]非劣性RCT(74病院)菌血症3,608例(55%がICU)7日対14日90日死亡14.5%対16.1%(差−1.6、95.7%CI −4.0〜0.8)重度免疫抑制、黄色ブドウ球菌菌血症などを除外。外傷例の割合は未確認
Leone(2014)[29]非盲検の非劣性RCT重症敗血症116例デエスカレーション対継続ICU滞在9日対8日(非劣性示せず)、重複感染27%対11%小規模。狭域化の安全性はなお検証が必要

評価時点について:Lackは受傷後90日以内、PneumAは肺炎の発症から28日、STOP-ITは30日、BALANCEは90日の評価である。PROPHY-VAPの主要評価項目は人工呼吸2〜7日目の早期VAPである。Gosselin、Dellinger、Ratilal、Habibの評価時点は、抄録からは分からない。予防投与の研究と治療期間の研究は、対象も評価項目も違うため、同じ「抗菌薬の日数」として比べない。

日本で実施するとき

国内の指針

開放骨折については、日本化学療法学会・日本外科感染症学会の実践ガイドライン(2016年)が、受傷後6時間以内で軟部組織が適切に処置された開放骨折について、Gustilo I・II型にセファゾリン(β-ラクタム薬アレルギーではバンコマイシン、テイコプラニン、クリンダマイシン)を48時間以内、IIIA型にセファゾリン+ゲンタマイシンまたはセフトリアキソン(土壌などの汚染ではスルバクタム・アンピシリン)を48〜72時間以内とし、IIIB・C型は治療としての抗菌薬を選ぶとしている(推奨度は薬剤がA-I、投与期間がC1-III)。セファゾリンの1回量は通常1 g、体重80 kg以上で2 g(120 kg以上で3 g)、腎機能が正常なら術中の再投与は3〜4時間ごとである[4]。AASTの24時間とは期間が異なるため、施設の方針として、どの指針にそろえるかを決めておく。

ICUの感染治療については、J-SSCG 2024のデエスカレーション、PCTを指標とした中止、7日間以内の治療の推奨(いずれも弱い推奨)が、国内の敗血症診療の拠り所になる[28]。外傷患者に限った推奨ではない。

電子添文と製剤

  • セファゾリン(セファメジンα注射用):適応症に「外傷・熱傷及び手術創等の二次感染」などがある。成人の通常量は1日1 g(力価)を2回に分けて静注し、症状が特に重篤な場合は1日5 g(力価)まで分割投与できる。耐性菌の発現を防ぐため、原則として感受性を確認し、治療上必要な最小限の期間の投与にとどめるとされている[30]。予防目的の単回2 gなど、指針の用量と保険審査上の扱いの関係は本稿では確認していない。
  • 抗破傷風人免疫グロブリン:筋注用(テタノブリン筋注用250単位)は、予防には成人で250国際単位を用い、静注してはならない[31]。静注用(テタノブリンIH静注)は、予防には通常250国際単位、重症の外傷例には1,500国際単位を投与するとされている[32]。CDCの250国際単位筋注[11]とは、製剤と投与経路によって記載が異なる。
  • 沈降破傷風トキソイド:初回免疫は0.5 mLを3〜8週間隔で2回、追加免疫は初回免疫後6か月以上(標準として12〜18か月)あけて0.5 mLを1回とされる。初回免疫、追加免疫または再追加免疫を受けた者が破傷風感染のおそれのある負傷を受けたときは、直ちに0.5 mLを皮下または筋肉内に注射する[33]。
  • 破傷風の国内状況:DPTワクチンは1964年に導入され、1968年から定期接種になった。届出は最近は年間約100例(2012〜2018年は年118〜134例)で、発症の危険が高いのはワクチン未接種者(特に高齢者)や糖尿病患者とされる[12]。1968年より前に生まれた患者は、初回免疫を受けていない可能性を考える(本稿の解釈)。
  • 23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23、ニューモバックスNP):効能に脾摘患者の肺炎球菌感染症の発症予防がある。保険給付は「2歳以上の脾摘患者における肺炎球菌による感染症の発症予防」の目的などに限られる[34]。塞栓術で脾臓を温存した患者は、この規定の文言では対象として明記されていない(費用区分は薬剤部・医事部門に確認する。本稿の解釈)。成人の無脾症に対する結合型ワクチン、インフルエンザ菌b型・髄膜炎菌ワクチンの国内での推奨と費用の区分は未確認である。

未確認の事項と施設の体制

未確認外傷初期診療ガイドライン(JATEC)改訂第6版、重症頭部外傷の国内ガイドライン、口腔顎顔面外傷の国内ガイドラインの、予防的抗菌薬と破傷風予防の記載は本文を取得しておらず確認していない。抗菌薬適正使用支援チーム(AST)に関連する診療報酬上の加算の要件も、本稿では確認していない。

本稿の解釈国内で運用するには、救急外来、手術室、ICUで同じ予防投与の表(損傷、薬剤、開始時期、終了時期)を共有し、電子カルテのオーダーに終了日を入れる形にすると、延長が起こりにくい。感染症科やASTに相談する場面(非発酵菌のVAP、黄色ブドウ球菌菌血症、感染源が制御できない腹腔内感染など)も決めておく。

まだ分からないこと

  • 開放骨折III型で、24時間と72時間の予防投与を現在の薬剤で直接比べた無作為化試験。国内指針(48〜72時間)とAAST(24時間)のどちらにそろえるべきか。
  • 穿通性脳損傷の最適な薬剤と期間、経結腸の穿通性脊椎損傷で48時間を超える投与が必要な患者。
  • 挿管した外傷性脳損傷の患者に限った場合の、セフトリアキソン単回投与の効果と耐性菌への影響。
  • STOP-IT、PneumA、BALANCEの短期治療の結果が、多発外傷、開腹したままの腹部、出血性ショック後の患者に同じように当てはまるか。
  • 受傷そのものでPCTが上がる外傷患者で、PCTを中止判断に使う基準をどう設定するか。

文献

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医学的内容の最終確認日・確認範囲

文献ごとの確認範囲を開く(最終確認日:2026年9月26日)

医学的内容の最終確認日:2026年9月26日(著者確認)。文献照合日:2026年9月26日(日本時間)。文献の検索・照合は2026年9月25〜26日に行った。PubMedの抄録(NCBI BioC)、PMCの公開本文(NCBI BioC)、OpenAlex・Crossrefの書誌、出版社・学会・公的機関の公式ページ、KEGG MEDICUS掲載の電子添文を直接開いて確認した。NCBI、Europe PMC、Semantic Scholar、Crossref、OpenAlexには接続できない時間帯があった。数値・用量・適用条件を含む医学的内容は、2026年9月26日に著者(医師)が確認した。

  • 本文を確認:[2] [25](PMCの公開本文。推奨文、開放骨折・穿通性脳損傷・脊椎損傷・髄液漏の本文、汚染の種類別の表、顔面外傷の表、発熱の定義、治療期間とPCTの記載)。[26](出版社の公開本文から推奨文XXI〜XXIVのみ)。[28](日本語版本文PDFから推奨文、英語版から推奨文と効果推定値。CQ2-12の対象・除外の詳細は未確認)。[4](学会公開PDFから開放骨折の表〔薬剤・期間とそれぞれの推奨度〕とセファゾリンの用量・再投与間隔のみ)。
  • 抄録の原文を確認(NCBI BioC・PubTator3、Semantic Scholar、出版社ページ):[6] [20] [9] [5] [7] [22] [29] [19] [1] [8] [10] [14] [18] [27]。本文中の数値は抄録にある範囲に限った。
  • 復元した抄録(OpenAlex)で確認:[17]。OpenAlex(文献データベース)が公開する抄録の単語データから復元した抄録で、原文との逐語の照合はできていない。
  • 同サイトの既存記事の照合記録を利用(今回は再取得せず、または一部のみ再確認):[15](重度四肢外傷の記事で抄録を照合)、[21](顔面外傷の記事で抄録を照合)、[13] [23] [24](脾損傷の記事の検証報告で推奨文を照合)。[22]と[7]は今回あらためて抄録を確認した。
  • 公式情報を確認:[16](英国整形外科学会の公開ページ)、[3](EASTの公開ページのLevel別推奨。原著本文は未取得)、[11](CDCの公開ページ)、[12](国立感染症研究所の公開ページ)、[34] [31] [32] [33] [30](KEGG MEDICUS掲載の電子添文)。
  • 未取得:外傷初期診療ガイドライン改訂第6版、重症頭部外傷の国内ガイドライン、口腔顎顔面外傷診療ガイドライン2025の抗菌薬に関する本文。STOP-IT、PneumA、BALANCEの本文(外傷例の割合など)。
  • 訂正・撤回:[29]には訂正記事(Intensive Care Med. 2014;40(11):1794)がCrossrefに登録されている(内容は未確認)。[6]はCrossrefで旧版(2004年、2006年、2011年)からの改訂版であることを確認した。そのほかの文献は、接続の制限のため訂正・撤回の有無を個別には確認できていない。

更新履歴

更新履歴を開く(全3件・最新:2026年9月26日)
  • 2026年9月26日(著者確認):著者(医師)が数値・用量・適用条件を含む医学的内容を確認した。確認日の表記を更新した。あわせて、確認範囲の記載を読者向けの表現に改め、関連記事と分野の一覧へのリンクを加えた(医学的内容は変えていない)。
  • 2026年9月26日(改訂):初回の版は根拠がAASTの合意文書2件とCDCの指針に限られ、主要な比較試験の数値、国内の指針・電子添文、ICUでの治療期間の根拠がなかったため、全面的に書き直した。主な変更は次のとおり。(1)開放骨折について、コクランレビュー、開始時期の観察研究、期間を比べた無作為化試験、EAST・BOAST・国内の実践ガイドライン(2016年)を加え、指針ごとの期間の違いを表にした。(2)穿通性腹部外傷(EAST 2012、コクラン2019)、胸腔ドレーン(EAST 2022)、顔面骨折(無作為化試験とメタ解析)、脾摘後のワクチン(WSES・EAST)、脳損傷患者の早期VAP予防(PROPHY-VAP)を追加した。(3)ICUの感染治療に、VAP(IDSA/ATS 2016、PneumA)、腹腔内感染(STOP-IT)、菌血症(BALANCE)、デエスカレーションとPCT(J-SSCG 2024、無作為化試験)を加えた。(4)穿通性脊椎損傷の研究で、投与期間ごとの感染率(12%と15%)をどちらの群の値か確定できなかったため、群への割り当てをやめた。穿通性脳損傷の系統的レビューの数値は、確認できたAASTの本文の範囲に限った。(5)破傷風予防に国内の製剤(TIG・トキソイド)の電子添文の用量と、国内の定期接種の開始年を加えた。(6)文献にDOI・PMIDのリンクを付け、すべての文献を本文で引用し、文献ごとの確認範囲を示した。英語の用語を日本語に改めた。
  • 2026年9月26日(初回公開):AAST 2024の予防投与の合意文書を軸に、開放骨折、顔面の創、穿通性脳・脊椎損傷の予防投与と、ICUでの発熱後の感染治療を分けて整理した解説として公開(5文献)。CDCの破傷風予防の指針にもとづく創の分類、トキソイドの追加接種の基準、TIGの適応を含んでいた。公開された版の更新履歴には、2026年9月25日の日付で作成と、CDCの指針を加えた改訂が記録されている。

本記事は医療従事者への教育および一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。実際の診療では、各施設のプロトコルおよび最新の診療ガイドラインをご確認ください。
利益相反:本記事に関連して開示すべき利益相反はありません。

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外科医・救急科専門医。外傷外科、Acute Care Surgery、救急・集中治療領域の診療と研究に従事しています。外傷性凝固障害、出血性ショック、止血蘇生、大量輸血、腹部外傷を中心に、臨床で使えるエビデンスを解説します。

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