脾損傷の非手術治療と塞栓術:止血から仮性動脈瘤・退院後まで

脾損傷 — PTD ZERO

脾損傷で大切なのは、手術を回避したという結果だけでなく、悪化したときに遅れず治療を変更できることである。循環が安定した成人の鈍的脾損傷では、非手術治療(non-operative management:NOM)が推奨されている[1][2]。一方、脾動脈塞栓術(splenic artery embolization:SAE)を誰に先に行うか、塞栓後に何を再評価するか、退院後の感染予防と活動再開をどう説明するかは、指針と根拠の強さに差がある。本稿はこれらを指針と主要研究の数値で整理する。

  • 脾損傷
  • 非手術治療(NOM)
  • 脾動脈塞栓術
  • SPLASH試験
  • 退院後フォロー

医療従事者向け:本記事は教育および一般的な医学情報の提供を目的としています。個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。

目次

まず押さえる要点

  1. NOMの前提は「安定」と「すぐ手術へ移れる体制」。循環不安定やびまん性腹膜炎があれば緊急開腹を優先する。安定していれば、grade、腹腔内出血の量、55歳超、合併損傷だけでNOMを諦めない(EAST 2012)[1]。
  2. CTの血管損傷は実質損傷とは別に拾う。AAST 2018改訂では、仮性動脈瘤・動静脈瘻や被膜内の活動性出血があればgrade IV、腹腔内へ広がる活動性出血はgrade Vになる[3]。安定例で造影剤の血管外漏出(blush)があれば、gradeにかかわらずSAEを第一選択として考える(WSES 2022では経験と資源のある施設での条件付き推奨)[2][4]。
  3. 血管損傷のない高リスク例への予防的SAEは決着していない。唯一のRCT(SPLASH)では、1か月の脾温存が98.2%対93.3%(差4.9%、95%CI −2.4〜12.1%)で有意差はなかった。ただし監視群の29.2%は5日目までに塞栓を要した[5]。有意差なしは同等を意味しない。
  4. 塞栓しても再評価は終わらない。WSES 2022は、grade III以上で入院48〜72時間に造影超音波(CEUS)またはCTの再検を、塞栓の有無を問わず提案する(根拠の質は低い)[4]。ルーチン画像の上乗せは小さいという研究もあり[6]、症状や血液検査が変われば予定を待たない。
  5. 塞栓は脾摘と同じではない。EAST 2022は塞栓後のルーチンの脾摘後ワクチンに条件付きで反対し[7]、WSES 2022は脾の50%以上を失った場合とgrade Vでは接種を考慮するとした[4]。国内でPPSV23の保険給付は、外傷の場面では脾摘患者の発症予防に限られる[8]。

対象と扱わない範囲

対象:成人(多くの研究は18歳以上、一部の統合研究は15歳以上を含む)の鈍的脾損傷。初期診療での方針決定から、入院中の再評価、退院後の説明までを扱う。

扱わない範囲:

  • 小児。WSES 2022は小児に、塞栓の適応、安静期間、画像フォローアップについて成人と別の推奨を置いている[4]。成人の方針を小児にそのまま当てはめない。小児外傷の初期診療を参照。
  • 穿通性の脾損傷。
  • 循環不安定例の開腹手術(脾摘・脾縫合)とダメージコントロールの詳細。Damage Control Surgery:いつ手術を切り上げ、いつ再建するかを参照。
  • 塞栓物質や手技、脾摘後の長期の感染管理の詳細。

1.非手術治療は、観察だけを意味しない

NOMには、監視下での経過観察と、必要に応じたSAEが含まれる。循環動態が安定し、腹膜炎がなく、緊急手術へ移れる体制が前提になる。循環不安定や腹膜炎があれば、臓器温存の希望によって手術を遅らせない[1]。

EAST 2012(1996〜2010年の文献)は、安定例では損傷の重症度(CT gradeや腹腔内出血の程度)、意識状態、55歳超、合併損傷をNOMの禁忌としない一方、NOMはモニタリング、繰り返す診察、緊急開腹に使える手術室がそろった環境に限るとした(Level 2)[1]。EASTの脾損傷指針はこの2012年版が現行で、2026年9月23日に確認した改訂作業中の一覧にも脾損傷の項目はなかった[9]。

WSES 2017(1980年〜2016年5月の文献)は、AAST gradeと循環動態から、class I(grade I〜IIで安定)、II(grade IIIで安定)、III(grade IV〜Vで安定)、IV(不安定)に分け、安定し手術を要する他の腹部臓器損傷がなければ、gradeにかかわらずまずNOMを試みるとした(GoR 2A)[2]。

CTの損傷分類はリスクを共有する道具である。しかし「高いgradeだから必ず脾摘」「低いgradeだから経過観察」という一対一の対応にはならない。一方で、gradeが上がるほど介入は増える。SPLASH試験の監視群と非組み入れ登録の患者のうち最初にNOMとした123例では、30日目までに27.6%が塞栓または脾摘を受け、AAST grade 4(HR 4.51、95%CI 2.06〜9.88)、grade 5(HR 34.5、同6.84〜174)、経過中の動脈性漏出・仮性動脈瘤・仮性嚢胞が独立した危険因子だった[10]。WSES 2017はNOM失敗を4〜15%と要約しているが[2]、失敗に塞栓を含めるか、どのgradeを数えるかで値は大きく変わる。

NOMを選ぶ時点で、誰が診察し、何を悪化と判断し、どこへ連絡するかを決めたい。これは数時間後の担当医へ治療方針を引き継ぐための情報であり、「保存的にみる」という一文では不足する。

2.CTで血管損傷を見つけたら

AAST 2018改訂で変わったこと

AASTの臓器損傷分類(OIS)は2018年に改訂され、CTで診断される血管損傷(仮性動脈瘤または動静脈瘻)が組み込まれた。脾内の血管損傷、または被膜内にとどまる活動性出血があれば、実質損傷の程度を問わずgrade IV。脾臓を越えて腹腔内へ広がる活動性出血を伴えばgrade V(粉砕脾もgrade V)である。grade I・IIの損傷が複数あれば、grade IIIを上限に1段階上げる[3]。改訂前の研究とは同じgradeでも中身が異なり得るため、版を確かめて比べたい(この論文には正誤表があるが、本稿では内容を未確認)。

血管損傷所見と塞栓の適応

造影剤の血管外漏出(blush)、仮性動脈瘤、動静脈瘻は、実質損傷とは別に拾う。主な指針の推奨は次のとおりである。

  • WSES 2017:安定例でblushがあれば、gradeにかかわらず血管造影・塞栓を第一選択として考慮してよい(GoR 2B)。class IIIでは、blushがなくても全例で考慮すべき(GoR 1B)[2]。
  • WSES 2022:blushのある安定例では、経験と資源がすぐ使える施設なら、gradeにかかわらずSAEを第一選択とする(条件付き推奨、根拠の質は中等度、合意93.5%)。grade IIIでblushがなくても、55歳超、高い外傷重症度スコア(ISS)、救急外来または最初の24時間の赤血球輸血、抗凝固療法、HIV感染症、肝硬変、薬物依存といった危険因子があれば、SAEの閾値を下げる(条件付き、低)。grade IV〜Vは、経験があり塞栓をすぐ行える施設では、blushがなくても血管造影を提案し、腹臥位の脊椎手術など体位変換を伴う手術を控える場合はとくにそうである(条件付き、中等度)[4]。
  • EAST 2012:grade IIIを超える損傷、blush、中等量の腹腔内出血、持続出血の所見で血管造影を考慮する(Level 2)。ただしblushだけで手術や塞栓の絶対適応とはせず、年齢、grade、低血圧を合わせて判断する(Level 3)[1]。

「blushがあれば塞栓を考える」点はそろうが、gradeだけを理由に塞栓するかは指針によって強さが違う。また、CTで漏出が見えないことは、その後の出血を否定しない。SPLASH試験は初回CTで血管異常のない患者だけを組み入れたが、監視群では5日目までに12.3%(65例中8例)で仮性動脈瘤が見つかり、29.2%(65例中19例)が塞栓を受けた[5]。

仮性動脈瘤について、すべてを「直径何mm以上」という一つの数字で処理することは避けたい。17研究・3,392例の系統的レビューでは、血管損傷は4.5%に生じ、仮性動脈瘤の多くは受傷後2〜6日に診断され、その60%が介入に至った[11]。見つかった全例が治療されたわけではない。本稿では、活動性出血、経時的変化、循環・輸血の状況、損傷grade、再評価とIVRが可能な体制を、放射線科と共有する項目として整理する。小さければ安全という保証にも、検出したら条件を問わず同じ治療という主張にもしない。

塞栓にも失敗と合併症がある

33研究(後ろ向き29、前向き3、RCT 1)でSAEを受けた3,835例をまとめた系統的レビューでは、SAEの失敗率は5.3%、再出血4.8%、梗塞4.6%、膿瘍4%、塞栓後の死亡0.08%だった[12]。抄録に信頼区間と評価時点はなく、定義も研究ごとに異なり得る。脾動脈本幹での近位塞栓と選択的な遠位塞栓について、WSES 2017は後ろ向き15研究のメタ解析を引用し、重大な梗塞・感染・再出血は同等で、軽い合併症は遠位塞栓で多かったとしている[2]。SPLASH試験の予防的SAEは脾動脈本幹での近位塞栓で、血管プラグやコイルが使われた[13]。

3.予防的SAEのRCTを読む

SPLASH試験(フランス16施設、2014年2月〜2017年9月)は、破裂のリスクが高い脾損傷に対し、予防的SAE(pSAE)と、監視して必要時に塞栓する戦略(SURV)を比べたRCTである[5]。

  • 対象:18歳を超え、AAST grade IIIで多量の腹腔内出血(脾周囲に加えて骨盤腔に液体貯留)があるもの、grade IV、または血流のある実質が25%を超えて残るgrade Vで、初回CTで血管異常のない、循環の安定した脾損傷。循環不安定例、粉砕脾、CT所見から脾や他の腹部臓器の緊急塞栓を要する例は除外[13]。
  • 例数:140例を無作為化し、133例(男性78.9%、年齢中央値30歳)が残った。主要評価項目を解析できたのは117例(pSAE 57例、SURV 60例)[5]。
  • 主要評価項目:受傷1か月後の動脈相CTで、脾臓が無傷か実質の50%以上に血流が保たれていること(盲検化した放射線科医が判定、per-protocol解析)[5]。
  • 1か月の脾温存:pSAE 98.2%(56/57)、SURV 93.3%(56/60)。差4.9%(95%CI −2.4〜12.1%)、P=.37[5]。
  • 5日目まで:仮性動脈瘤1.5%(1/65)対12.3%(8/65)、差−10.8%(95%CI −19.3〜−2.1%)。二次的な塞栓1.5%(1/65)対29.2%(19/65)、差−27.7%(同−41.0〜−15.9%)。合併症29.2%対41.5%、差−12.3%(同−28.3〜4.4%)[5]。
  • 5日目〜1か月の合併症:18.6%(11/59)対19.0%(12/63)。入院日数(中央値):9日(IQR 6〜14)対13日(同9〜17)、P=.002[5]。

著者らは、1か月の脾温存に統計学的な差はなく、SURV群で塞栓を要した割合が高いことを踏まえると、どちらの戦略も擁護できると結論した[5]。

どう読むか

有意差なしは同等ではない。試験の目的は1か月の脾温存率がどちらで良いかを調べることで、同等性や非劣性を検証する設計ではない。差の95%信頼区間は−2.4%から12.1%で、pSAEが脾温存を最大12%程度増やす可能性も、わずかに劣る可能性も残る。133例中117例でのper-protocol解析である点も割り引いて読む。

監視群にも救済治療が用意されていた。SURV群の約3割は5日以内に塞栓を受けており、「監視」は迅速な塞栓が前提だった。参加施設のIVR医は25件以上の経験者に限られ、吸収性の粒子・微粒子は使わないと定められていた[14]。夜間や休日に塞栓までの時間がかかる施設で、同じ結果になるとは限らない。

初回CTで血管異常がある患者は対象外だった。したがってこの試験を、すでに血管損傷がある患者で介入を控える根拠にはできない。

この比較からの実務的な読み方は、初回治療の選択だけでなく、再出血を拾って介入できる能力まで含めてNOMの成績を考えることである。監視や救済治療の条件が違う病院間で、温存率だけを比べても同じ戦略を評価したことにはならない。著者らは後の解説で、grade IV〜Vの損傷について、迅速に、訓練を受けた医師が、最適な技術条件で行えるなら予防的塞栓を提案できるとしたが[14]、これは試験結果ではなく著者らの解釈である。

RCT以外の根拠と、指針の不一致

grade 3〜5の鈍的脾損傷(15歳以上)で予防的塞栓と経過観察を比べたメタ解析(16研究)では、予防的塞栓で管理の失敗(追加介入)が少なく(OR 0.43、95%CI 0.28〜0.68、I²=53%)、死亡(OR 0.63、同0.43〜0.93、9研究)と合併症(OR 0.53、同0.29〜0.95、4研究)も少なかった。赤血球輸血量と入院日数に差はなかった[15]。ただし抄録によれば多くの研究にバイアスのリスクがあり、主な懸念は損傷重症度の差と交絡だった。RCTより強い結論としては扱わない。

指針も一致していない。2003〜2023年の28の診療指針のうち、予防的SAEを推奨していたのは15指針(54%)だった[16]。2026年には、予防的SAEでコイルとプラグを比べる多施設RCT(ELSA-2、5施設、予定250例)の報告が出た[17]。これは塞栓物質の比較で、塞栓と監視のどちらが良いかを問う試験ではない。本稿では結果を確認していない。

4.塞栓後も、再評価を終わらせない

WSES 2022の合意文書(専門家48人の修正Delphi法、2000年1月〜2022年3月の文献)は、入院中の管理を次のように提案する[4]。

  • 画像(grade III以上):塞栓の有無にかかわらず、入院48〜72時間でCEUSまたはCTを再検する。5〜7日目の再検は、72時間の画像で目立つ変化があった場合か、新たな症状・徴候が出た場合に限る(条件付き、根拠の質は低い、合意82.6%)。
  • 画像(grade I〜II):ルーチンの再検はせず、臨床所見で判断する(条件付き、低)。
  • 入院期間:grade I〜IIで1日、III〜Vで3日を目安に、循環、Hbの安定、画像結果で調整する(条件付き、中等度)。高gradeは監視できる病床で(条件付き、低)。
  • 離床:grade I〜IIは24時間以内、IIIは受傷2日後から。IV〜Vは、他に禁忌がなく、最初の測定後8時間ごとの3回のHbが互いに10%以内で臨床的に安定していれば2日後から(条件付き、低)。
  • VTE予防:特別な合併症がなければ、低分子ヘパリンをgrade I〜IIで入院24時間以内、III〜Vで48〜72時間以内に開始する(条件付き、中等度)。EAST 2012は、単独の鈍的脾損傷では薬物的予防でNOM失敗は増えないとしつつ、安全に始める最適な時期は定まっていないとした[1]。国内での考え方は外傷後VTE予防:出血を恐れて待つ間に、何を再評価するかを参照。

画像再検の根拠は強くない。前述の系統的レビューでも、推奨される時期は48時間から7日まで幅があり、臨床所見などに基づく方針を提案した研究も4件あった[11]。反対方向の結果もある。成人122例(NOM 102例)の単施設研究では、NOM失敗は4例(3.9%)で、ルーチンの画像57件中55件(96.4%)に新たな重要所見はなく、失敗はすべて最初の48時間以内に臨床的な悪化を契機に見つかった[6]。小規模で、grade別の内訳は抄録から確認できない。EAST 2012も、腹痛の増悪・持続や説明のつかないHb低下などの臨床所見で画像の要否を決めるとしている(Level 3)[1]。

実務では、grade III以上で48〜72時間の再評価を予定に入れつつ、腹痛、循環、Hb推移、輸血の必要性が変われば予定時刻を待たない。どちらの考え方も、異常を見つけたらすぐ塞栓や手術へ移れることが前提である。

遅れて起こる出血と退院の判断

11のレベルI外傷センターによる前向き観察研究(SIOT)は、受傷24時間の時点でNOMを続けていた成人383例を180日間追跡した。24時間以降の入院中の脾摘は12例(3.1%、受傷24時間〜9日)だった。脾臓を残して退院した366例のうち、脾摘のため再入院したのは1例(0.27%、受傷12日目)で、grade Iでは遅発性の脾摘はなかった。入院時CTの血管外漏出だけが遅発性の脾摘と関連した(OR 3.6、95%CI 1.4〜12.4)[18]。

遅発性の脾摘の多くは入院中に起こり、退院後はまれだがゼロではない。WSES 2022は、とくにgrade III以上で早期に退院させる場合、外来での破裂のリスクを患者と家族に明確に説明し、5〜7日後に外来受診、電話、かかりつけ医などで経過を確かめることを提案している(条件付き、中等度)[4]。退院は日数だけで決めず、状態の安定、合併損傷、帰宅後に異常へ対応できる条件を評価する。

5.ワクチン:塞栓は脾摘と同じではない

脾摘後の重症感染症(overwhelming post-splenectomy infection:OPSI)を防ぐため、WSES 2017は、脾摘または脾臓全体の血流遮断の後に、肺炎球菌、インフルエンザ菌、髄膜炎菌に対する予防接種を推奨し(GoR 1A)、開始は14日以降としている(GoR 2C)[2]。塞栓で脾臓を残した患者については、二つの指針がある。

  • EAST 2022:GRADEを用いた系統的レビュー(9研究)で、塞栓例240例と対照443例では脾臓の免疫機能に統計学的な差がなく、脾摘3,974例と塞栓686例では塞栓例で感染性合併症が少なく免疫機能が保たれていた。これにもとづき、成人外傷で塞栓を受けた患者へのルーチンの脾摘後ワクチンに条件付きで反対している[7]。
  • WSES 2022:塞栓の有無にかかわらず、NOM例へのルーチン接種に反対を提案する(条件付き、中等度、合意89.1%)。ただし受傷前の免疫状態と塞栓の影響を踏まえて個別に判断し、脾の50%以上を失った場合とgrade Vの全例は無脾に準じるとして、莢膜を持つ菌に対する接種を考慮できるとした(条件付き、低、合意93.5%)[4]。

両者は「塞栓後に一律には打たない」点で一致し、WSES 2022は脾の残り方で例外を置く。EAST 2022の根拠は免疫機能の代用指標が中心で(本稿では抄録のみ確認)、OPSIそのものを長期に比べたものではなく、「50%以上」も合意による目安である。したがって、脾摘や実質的な脾機能低下がある場合まで塞栓後の推奨を広げない。残った脾の状態と感染予防の方針を退院時の記録に残す。

6.活動再開と退院時の説明

病棟で歩けることと、接触スポーツや重量物を扱う作業へ戻れることは別の判断になる。WSES 2022は、大きな活動の制限をgrade I〜IIで3〜5週、III〜Vで最大2〜4か月とし、全面的な復帰の前に造影CTまたはCEUSで治癒を確かめることを提案する(条件付き、低、合意89.1%)。退院後の画像は、危険因子や活動レベルに応じて選択的に行うとしている[4]。いずれも比較試験ではなく合意による目安で、職業、損傷grade、画像での治癒を合わせて再開時期を患者と具体的に決める。

以下は本文の判断を引き継ぐための編集上の整理である。右列は指針・合意による目安で、個別の判断に代わるものではない。

項目記録したい内容参考になる目安
損傷JAST分類とAAST grade(版)、血管損傷、治療内容AAST 2018では血管損傷でgrade IV[3]
残る問題再検査が必要な所見、症状・Hbの推移grade III以上は48〜72時間で再評価[4]
生活許可する活動と、再診まで控える活動大きな活動はIII〜Vで最大2〜4か月制限し、復帰前に画像[4]
再診受診先、時期、急な腹痛や失神の際の連絡方法早期退院では5〜7日後に確認[4]
感染予防脾摘か、残った脾の量、接種計画と費用区分塞栓後のルーチン接種には2指針とも反対[7][4]。脾50%以上喪失・grade Vは考慮[4]

「脾臓が残った」という結果に加えて、患者が安全に生活へ戻るまでの計画を残す。それが脾温存治療の出口になる。

根拠の比較表

表はスマートフォンでは横にスクロールして読む。

出典(年)デザイン対象介入・比較主な結果限界と診療への意味
EAST/Stassen(2012)[1]指針成人の鈍的脾損傷NOM・血管造影の適応不安定・腹膜炎は開腹。gradeや55歳超はNOMの禁忌でない文献は2010年まで。改訂作業中の一覧になし[9]
WSES/Coccolini(2017)[2]指針成人・小児NOM、塞栓、ワクチン、活動制限gradeを問わずNOM(2A)。class IIIはblushがなくても塞栓を考慮(1B)推奨の強さは項目で異なる
WSES/Podda(2022)[4]修正Delphi法の合意成人(一部小児)再評価、離床、VTE予防、活動、ワクチンgrade III以上で48〜72時間のCEUS/CT。脾50%以上喪失・grade Vは接種を考慮合意であり、多くは根拠の質が低い
SPLASH/Arvieux(2020)[5]RCT(仏16施設)grade III+多量の腹腔内出血、またはgrade IV〜V。血管異常なし、133例予防的SAE対監視1か月の脾温存98.2%対93.3%(差4.9%、95%CI −2.4〜12.1%)。5日目までの二次塞栓1.5%対29.2%同等性は未検証。熟練IVR医が前提。血管損傷例は対象外
Tidadini(2024)[10]SPLASHデータの二次解析最初にNOMとした123例介入の危険因子30日以内に27.6%が介入。grade 5 HR 34.5事後解析。CIが広い
Nann(2025)[15]メタ解析(16研究)grade 3〜5、15歳以上予防的塞栓対観察失敗OR 0.43(95%CI 0.28〜0.68)、死亡OR 0.63(同0.43〜0.93)重症度差と交絡。評価時点不明。抄録のみ確認
Zarzaur/SIOT(2015)[18]11施設前向き観察24時間時点でNOM中の成人383例180日追跡24時間以降の入院中脾摘3.1%、退院後0.27%。入院時blush OR 3.6塞栓の効果は少数例で結論できない
Olsen(2024)[11]系統的レビュー(17研究)NOM後の3,392例画像フォロー血管損傷4.5%。仮性動脈瘤の60%に介入最適な時期は未解決
Liechti(2020)[6]単施設後ろ向き成人122例ルーチン画像の有用性ルーチン画像の96.4%で新所見なし小規模。WSES 2022と反対方向
Alomar(2024)[12]系統的レビュー(33研究)SAE 3,835例SAEの失敗・合併症失敗5.3%、再出血4.8%、梗塞4.6%、膿瘍4%CIなし。定義の統一は未確認
EAST/Freeman(2022)[7]指針(GRADE、9研究)成人外傷のSAE後塞栓後のワクチン塞栓240例と対照443例で免疫機能に差なし。ルーチン接種に条件付き反対代用指標が中心。抄録のみ確認
Suzuki(2024)[19]JTDB後ろ向き(傾向スコア)377組SAE対開腹手術院内死亡11.6%対11.2%(aRR 0.64、95%CI 0.38〜1.09)。脾温存87.1%対32.1%適応による交絡。同等を示したものではない
Aoki(2023)[20]JTDB横断研究上位25%の病院の3,319例病院ごとの初回塞栓率0〜52%と大きな施設差施設体制の詳細は不明

評価時点について:SPLASHは5日目と1か月、SIOTは180日、JTDBのSuzukiとTanakaは院内死亡(Tanakaは院内30日死亡)で評価している。Nann、Alomar、Freemanの抄録には評価時点の記載がない。表の数値は各期間内の発生率として読み、長期転帰の比較として扱わない。

日本で実施するとき

国内の指針

  • JATEC:外傷初期診療ガイドライン改訂第6版での脾損傷のNOMやTAE(経カテーテル動脈塞栓術)の記載は、本文を取得できず未確認である。公開されている改訂概要には脾損傷やTAEの記載は見当たらなかった[21]。
  • JETEC:日本外傷学会の『改訂第3版 外傷専門診療ガイドラインJETEC』(2023年6月)には「脾損傷の治療戦略と戦術」の章があるが[22]、本文未取得のため内容は未確認である。
  • 脾損傷のNOMや塞栓後のフォローアップに関する国内学会の独立した指針は見つからなかった。

損傷分類:JAST分類2008とAAST 2018

日本外傷学会の脾損傷分類2008は、損傷の深さと脾門部への広がりで型を決める[23]。

  • I型 被膜下損傷:脾被膜の連続性が保たれている損傷。a 被膜下血腫、b 実質内血腫。
  • II型 表在性損傷:脾表面から実質の約1/2の深さ未満の実質損傷。
  • III型 深在性損傷:脾表面から実質の約1/2の深さ以上に及ぶ実質損傷。a 単純深在性(創縁や創の走行が比較的単純で、脾門部領域にかからない)、b 複雑深在性(創縁や創の走行が複雑、または脾門部領域にかかる)。
  • 付記と部位:脾門部血管損傷はHVと付記し、部位は上部(U)、中部(M)、下部(L)で示す(例:IIIa(L)HV)。

今回確認した範囲では、この分類に造影CTの血管外漏出や仮性動脈瘤を型の決定に使う規定は見当たらず、これらでgrade IV〜Vが決まるAAST 2018とは一対一に対応しない。海外の指針や研究と照らし合わせるには、JAST分類に加えてAAST gradeとその版、血管損傷の所見を別に記録しておくとよい。JTDB研究でも、脾損傷の重症度はAIS(AASTのgrade III〜Vに相当)で扱われている[24]。

国内のデータとIVR体制

  • 死亡の推移:日本外傷データバンク(JTDB)でAAST grade III〜Vの成人1,721例(2004〜2014年)の30日死亡は、2004〜2008年に比べ2013〜2014年でOR 0.34(95%CI 0.19〜0.62)と低下した。低下は脾摘・脾縫合の群で有意で、NOMの群では有意な変化はなかった。JTDBにはNOM失敗や再介入の情報がない[24]。
  • 施設差:脾損傷の登録数が上位25%の病院の3,319例で、初回塞栓の割合は病院により0〜52%と幅があり、患者要因で調整後も大きな差が残った。初回塞栓の割合は年とともに増えていた[20]。
  • SAEと開腹手術:JTDB(2004〜2019年)の傾向スコア解析(377組)で、院内死亡はSAE 11.6%、開腹11.2%(調整相対リスク0.64、95%CI 0.38〜1.09)、脾温存は87.1%、32.1%だった[19]。治療選択の理由を調整しきれない観察研究で、循環不安定例にSAEを選ぶ根拠にも、死亡の同等性の証明にもならない。

夜間・休日を含め、国内の施設がどれだけの時間で塞栓を始められるかを示す全国データは、今回の検索では見つからず未確認である。同じ「NOM」でも中身は施設で異なり得る。次の点を施設で決めておきたい。

  • 循環不安定化や塞栓の遅れの際に手術へ切り替える基準と決定者。
  • 夜間・休日のIVR医の呼び出し方法と、血管造影を始められるまでの時間。WSES 2022の推奨は、経験と資源がすぐ使える施設が条件である[4]。
  • 48〜72時間の再評価をCTとCEUSのどちらで行い、誰が判断するか。自施設で塞栓できない場合の転院基準。肝損傷や骨盤骨折の出血と重なる場面は肝損傷の初期治療と骨盤骨折出血も参照。

脾摘後・塞栓後のワクチンの扱い

  • PPSV23の保険給付:23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(ニューモバックスNP)の電子添文(2025年10月改訂 第5版)では、効能・効果の対象に脾摘患者や脾機能不全の患者などが挙がるが、保険給付は「2歳以上の脾摘患者における肺炎球菌による感染症の発症予防」の目的で使う場合(ほか特定の薬剤の投与患者)に限定される[8]。
  • 塞栓後の患者:脾臓が残る塞栓後の患者は、この文言では対象として明記されていない。WSES 2022の考え方で接種する場合(脾の50%以上の喪失、grade V)は、費用区分を薬剤部・医事部門に確認する(本稿の解釈)。
  • 定期接種:高齢者の肺炎球菌の定期接種は、65歳と、60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器またはHIVによる免疫の機能に一定の障害がある人が対象で、2026年4月からワクチンがPCV20(20価結合型)に変わった[25]。脾摘や無脾は対象条件にないため、これに当てはまらない64歳以下の脾摘患者は任意接種になる。
  • 学会の考え方:日本呼吸器学会・日本感染症学会・日本ワクチン学会の「64歳以下のハイリスク者に対する肺炎球菌ワクチン接種の考え方」第4版(2026年2月9日)は、解剖学的・機能的無脾症を免疫能低下状態の一つに挙げている[26]。成人の無脾症に勧めるワクチンの種類・順序・間隔と、Hib・髄膜炎菌ワクチンの国内での扱いは未確認で、接種時は最新版を確認する。

まだ分からないこと

  • 予防的SAEで利益を得るのは誰か。RCTは1件で信頼区間は広く、grade IV〜Vでの利益は事後解析と観察研究の統合しかない[10][15]。
  • 48〜72時間の画像再検は転帰を改善するか。両方針を比べた試験は見当たらない[4][6]。
  • 塞栓後の長期の感染リスクと活動再開の時期。OPSIそのものの長期比較はなく、「脾の50%以上」「2〜4か月」はいずれも合意による目安である[7][4]。
  • 塞栓物質の選び方。コイルとプラグを比べるRCT(ELSA-2)の結果は本稿では確認していない[17]。
  • 国内の実態。JTDBにはNOM失敗や再介入の情報がなく[24]、夜間・休日のIVR体制の全国データとJATEC・JETECの該当箇所も未確認である。

文献

  1. Stassen NA, et al. Selective nonoperative management of blunt splenic injury: an Eastern Association for the Surgery of Trauma practice management guideline. J Trauma Acute Care Surg. 2012;73:S294-S300. doi:10.1097/TA.0b013e3182702afc. PMID: 23114484. 学会公開版:EAST公式PDF.
  2. Coccolini F, Montori G, Catena F, et al. Splenic trauma: WSES classification and guidelines for adult and pediatric patients. World J Emerg Surg. 2017;12:40. doi:10.1186/s13017-017-0151-4. PMID: 28828034.
  3. Kozar RA, Crandall M, Shanmuganathan K, Zarzaur BL, Coburn M, Cribari C, et al. Organ injury scaling 2018 update: spleen, liver, and kidney. J Trauma Acute Care Surg. 2018;85(6):1119-1122. doi:10.1097/TA.0000000000002058. PMID: 30462622. 正誤表:PMID 31348410(内容未確認). 学会公開版:AAST公式PDF.
  4. Podda M, De Simone B, Ceresoli M, Virdis F, Favi F, Wiik Larsen J, et al. Follow-up strategies for patients with splenic trauma managed non-operatively: the 2022 World Society of Emergency Surgery consensus document. World J Emerg Surg. 2022;17:52. doi:10.1186/s13017-022-00457-5. PMID: 36224617. 全文:UCL Discovery(出版社版PDF).
  5. Arvieux C, Frandon J, Tidadini F, Monnin-Barès V, Foote A, Dubuisson V, et al; Splenic Arterial Embolization to Avoid Splenectomy (SPLASH) Study Group. Effect of prophylactic embolization on patients with blunt trauma at high risk of splenectomy: a randomized clinical trial. JAMA Surg. 2020;155(12):1102-1111. doi:10.1001/jamasurg.2020.3672. PMID: 32936242. 試験登録:ClinicalTrials.gov NCT02021396.
  6. Liechti R, Fourie L, Stickel M, Schrading S, Link BC, Fischer H, et al. Routine follow-up imaging has limited advantage in the non-operative management of blunt splenic injury in adult patients. Injury. 2020;51(4):863-870. doi:10.1016/j.injury.2020.02.089.
  7. Freeman JJ, Yorkgitis BK, Haines K, Koganti D, Patel NJ, Maine RG, et al. Vaccination after spleen embolization: a practice management guideline from the Eastern Association for the Surgery of Trauma. Injury. 2022;53(11):3569-3574. doi:10.1016/j.injury.2022.08.006. PMID: 36038390.
  8. MSD株式会社. ニューモバックスNPシリンジ 電子添文(2025年10月改訂 第5版). KEGG MEDICUS掲載. https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00069058(2026年9月23日閲覧).
  9. Eastern Association for the Surgery of Trauma. Guidelines Under Development. https://www.east.org/education-resources/practice-management-guidelines/under-development(2026年9月23日閲覧).
  10. Tidadini F, Martinet E, Quesada JL, et al. Patient factors associated with embolization or splenectomy within 30 days of initiating surveillance for splenic trauma. Emerg Radiol. 2024;31(6):823-833. doi:10.1007/s10140-024-02285-3. PMID: 39365384.
  11. Olsen A, Possfelt-Møller E, Jensen LR, Taudorf M, Rudolph SS, Preisler L, Penninga L. Follow-up strategies after non-operative treatment of traumatic splenic injuries: a systematic review. Langenbecks Arch Surg. 2024;409:315. doi:10.1007/s00423-024-03504-8. PMID: 39432154.
  12. Alomar Z, et al. Complications and failure rate of splenic artery angioembolization following blunt splenic trauma: a systematic review. Injury. 2024;55(10):111753. doi:10.1016/j.injury.2024.111753. PMID: 39111269.
  13. Sammoud S, Ghelfi J, Barbois S, Beregi JP, Arvieux C, Frandon J. Preventive proximal splenic artery embolization for high-grade AAST-OIS adult spleen trauma without vascular anomaly on the initial CT scan: technical aspect, safety, and efficacy—an ancillary study. J Pers Med. 2023;13(6):889. doi:10.3390/jpm13060889. PMID: 37373879.
  14. Arvieux C, Thony F. Management of splenic trauma in hemodynamically stable patients: lessons to be drawn from the French SPLASH trial. J Visc Surg. 2022;159(1):43-46. doi:10.1016/j.jviscsurg.2021.09.003.
  15. Nann SD, Clark MS, Kovoor JG, Jog S, Aromataris E. Prophylactic embolization vs observation for high-grade blunt trauma splenic injury: a systematic review with meta-analysis. JBI Evid Synth. 2025;23(2):208-243(オンライン公開2024年). doi:10.11124/JBIES-24-00110. PMID: 39028141.
  16. Clements W, et al. A systematic review assessing incorporation of prophylactic splenic artery embolisation (pSAE) into trauma guidelines for the management of high-grade splenic injury. CVIR Endovasc. 2023;6:62. doi:10.1186/s42155-023-00414-6. PMID: 38103054.
  17. Gunn AJ, Devane AM, Durrani R, Abdel-Aal AK, Makary MS, Richman J, Jansen JO. Embolization of the Splenic Artery after Trauma (ELSA-2): a randomized trial. J Vasc Interv Radiol. 2026;37(7):108775(Letter、2026年4月1日オンライン公開). doi:10.1016/j.jvir.2026.108775. PMID: 41932541.
  18. Zarzaur BL, Kozar RA, Myers JG, Claridge JA, Scalea TM, Neideen T, et al. The splenic injury outcomes trial: an American Association for the Surgery of Trauma multi-institutional study. J Trauma Acute Care Surg. 2015;79(3):335-342. doi:10.1097/TA.0000000000000782. PMID: 26307863.
  19. Suzuki T, Shiraishi A, Ito K, et al. Comparative effectiveness of angioembolization versus open surgery in patients with blunt splenic injury. Sci Rep. 2024;14:8800. doi:10.1038/s41598-024-59420-w. PMID: 38627581.
  20. Aoki M, Abe T, Hagiwara S, Saitoh D. Variation in the utilization of angioembolization for splenic injury in hospitals: a nationwide cross-sectional study in Japan. Acute Med Surg. 2023;10(1):e837. doi:10.1002/ams2.837. PMID: 37064787.
  21. 日本外傷診療研究機構. JATEC コースに関連する改訂の概要(外傷初期診療ガイドライン改訂第6版). https://www.jtcr-jatec.org/JATEC6th_kaiteigaiyo.pdf(2026年9月23日閲覧).
  22. 日本外傷学会外傷専門診療ガイドライン改訂第3版編集委員会 編. 改訂第3版 外傷専門診療ガイドラインJETEC. へるす出版; 2023年6月. ISBN 978-4-86719-068-5. 書誌:https://www.herusu-shuppan.co.jp/068-2/(2026年9月23日閲覧、本文未取得).
  23. 日本外傷学会臓器損傷分類委員会. 脾損傷分類2008(日本外傷学会). 日本外傷学会雑誌. 2008;22:263. 学会公開:日本外傷学会臓器損傷分類2008(PDF)(2026年9月23日閲覧).
  24. Tanaka C, Tagami T, Matsumoto H, et al. Recent trends in 30-day mortality in patients with blunt splenic injury: a nationwide trauma database study in Japan. PLoS One. 2017;12(9):e0184690. doi:10.1371/journal.pone.0184690. PMID: 28910356.
  25. 厚生労働省. 高齢者の肺炎球菌ワクチン. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/pneumococcus-senior/index.html(2026年9月23日閲覧).
  26. 日本呼吸器学会・日本感染症学会・日本ワクチン学会. 64歳以下のハイリスク者に対する肺炎球菌ワクチン接種の考え方 第4版(2026年2月9日). https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/64haienlinenashi_260209.pdf(2026年9月23日閲覧).

医学的内容の最終確認日・確認範囲

文献ごとの確認範囲を開く(最終確認日:2026年9月24日)

医学的内容の最終確認日:2026年9月24日(著者確認)。文献照合日:2026年9月23日(文献検索も同日)。PubMed本体とPMCのページは開けなかったため、書誌と抄録はEurope PMC、OpenAlex、出版社、学会・機関リポジトリで確認した。検索記録は編集部で保管している。EASTとWSESの脾損傷指針の新しい版と、SPLASH試験の訂正・撤回は、確認時点で見つからなかった。数値・用量・適用条件を含む医学的内容は、2026年9月24日に著者(医師)が確認した。

  • 全文を確認:[1] EAST 2012(学会公開PDF)、[2] WSES 2017(公開PDF)、[3] AAST 2018(学会公開PDFで分類表と改訂点を確認。正誤表は未確認)、[4] WSES 2022(機関リポジトリの出版社版PDF)、[13] SPLASHの付随研究(出版社公開本文の方法と結果)、[23] JAST脾損傷分類2008(学会公開PDF)。
  • 抄録のみ確認:[5] [6] [7] [10] [11] [12] [15] [16] [18] [19] [20]。SPLASHの組み入れ基準と塞栓手技は付随研究[13]の本文で補った。本文中の数値は抄録にある範囲に限った。[18]は抄録の結論部分の転写が不明瞭だったため、明瞭に読める数値だけを用いた。[24]は出版社公開ページで抄録と限界の記載を確認した。
  • 一部のみ確認:[14](出版社ページで閲覧できた範囲)、[17](出版社のプレビューのみ。試験結果は未確認)。
  • 公式情報を確認:[8] 電子添文(KEGG MEDICUS掲載分)、[9] EAST公式ページ、[21] 日本外傷診療研究機構の改訂概要PDF、[22] 出版社の書誌・目次(本文未取得)、[25] 厚生労働省のページ、[26] 学会の公開PDF(該当箇所の一部)。
  • 未取得:SPLASH試験の本文・補足資料、JATEC改訂第6版とJETEC改訂第3版の本文、AAST 2018正誤表の本文、Hib・髄膜炎菌ワクチンの国内添付文書。

更新履歴

更新履歴を開く(全4件・最新:2026年9月26日)
  • 2026年9月26日(表記):確認範囲の記載を読者向けの表現に改め、関連記事と分野の一覧へのリンクを加えた(医学的内容は変えていない)。
  • 2026年9月24日(著者確認):著者(医師)が数値・用量・適用条件を含む医学的内容を確認した。確認日の表記を更新した。
  • 2026年9月23日(改訂):原著照合にもとづき全面改訂。冒頭の要点、対象と扱わない範囲(成人に限定し、小児・穿通性損傷を除外)、AAST 2018改訂とJAST脾損傷分類2008、SPLASH試験の例数・群別の絶対値・差と95%CI・評価時点、予防的SAEのメタ解析と指針間の不一致、SAEの失敗と合併症、WSES 2022の再評価・入院期間・離床・VTE予防・活動再開の具体的内容、ルーチン画像に否定的な研究、塞栓後ワクチンについてのEAST 2022とWSES 2022の違い、国内の保険給付と定期接種の扱い、JTDB研究とIVR体制、根拠の比較表、文献ごとの確認範囲を追加した。「初稿」の表示と改訂状況の注記を外した。理由:冒頭の要点、主要試験の数値、2012年以降の指針、国内での適用、確認日と更新履歴の記載が不足していたため。
  • 2026年9月23日(初回公開):成人を中心としたナラティブレビュー初稿として公開(EAST 2012、WSES 2017、SPLASH 2020、WSES 2022、EAST 2022の5文献)。

本記事は医療従事者への教育および一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。実際の診療では、各施設のプロトコルおよび最新の診療ガイドラインをご確認ください。
利益相反:本記事に関連して開示すべき利益相反はありません。

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この記事を書いた人

外科医・救急科専門医。外傷外科、Acute Care Surgery、救急・集中治療領域の診療と研究に従事しています。外傷性凝固障害、出血性ショック、止血蘇生、大量輸血、腹部外傷を中心に、臨床で使えるエビデンスを解説します。

コメント

コメント一覧 (6件)

  • […] この表は独立した治療アルゴリズムではない。上記の資料から、診療上の論点を整理したものである。最初のCT、初回の術式、術後の経過を一本の記録としてつなげておくと、遅れて表に出た問題を「新しい病気」として切り離さずに考えられる。手術を避けたことを成功と定義すると、その後のリークや再介入が見えにくくなる。治療を比べるときは、初回の手術率だけでなく、入院中の合併症と追加処置まで確認したい。他の実質臓器の非手術管理の考え方は、脾損傷と肝損傷の記事で扱っている。 […]

  • […] 脾損傷の検出では、三次外傷センター1施設の腹部造影CT 600例(2008〜2018年、半数が脾損傷)で開発したモデルが、テスト120例でAUROC 0.901(95%CI 0.836〜0.953)、感度0.81、特異度0.92だった。別の病院での外部検証は感度0.92、正解率0.80で、例数と特異度は抄録に記載がない[28]。北米放射線学会(RSNA)は、23施設・14か国の腹部外傷CT 4,274件に、放射線科医が肝・脾・腎・腸管・腸間膜の損傷と活動性出血のラベルを付けたデータセット(RATIC)を公開し、2023年の競技会に用いた[29]。性能を比べる共通のデータはできつつあるが、救急の現場での成績は別に確かめる必要がある。損傷ごとのCT所見と治療判断は、脾損傷、肝損傷、膵・十二指腸損傷の各記事を参照。 […]

  • […] 本稿の解釈二つの結果は逆向きに見えるが、どちらも「出血が続いたので開始が遅れた」のか「開始した後に出血した」のかを、完全には切り分けられない。NOM失敗の多いgrade IV〜Vでは特に、循環、輸血の必要、Hbの推移、塞栓術の後かどうか、再画像の所見を開始の条件として毎日確かめる。臓器ごとの経過観察は脾損傷の非手術治療と塞栓術、肝損傷の初期治療を参照。 […]

  • […] 国内のJTDB(2004〜2018年)の小児の単独の高度脾損傷(AIS 3以上)230例では、保存的管理68%、保存的管理と脾動脈塞栓27%、手術5.2%で、死亡はなく、脾温存率は97%だった[22]。対象が高度脾損傷に限られるため、米国のデータと塞栓の割合を単純には比べられない。塞栓の適応を画像所見で決めるか、循環で決めるかは施設で差が出やすい点である(本稿の解釈)。成人の脾損傷の塞栓と退院後の管理は脾損傷の非手術治療と塞栓術を参照。 […]

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