急性外傷性脊髄損傷の初期診療では、低血圧を避けて脊髄の血流を保ち、医学的に可能なら受傷24時間以内の除圧を目指す。高用量メチルプレドニゾロン(MPSS)は指針の間で評価が割れており、全例に行う標準治療ではない。平均動脈圧(MAP)の目標値は確実性の非常に低い根拠による弱い推奨で、2025年の無作為化試験では高い目標で神経回復の改善は示されず、呼吸器合併症が増えた。本稿は成人を対象に、2024年の国際指針、2025年の試験、ステロイドの試験と指針、国内の添付文書と体制を原著の数値で整理する。
医療従事者向け:本記事は教育および一般的な医学情報の提供を目的としています。個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。
まず押さえる要点
- 低血圧を神経原性ショックだけで説明しない。脊髄損傷の患者は、合併損傷による出血性ショックや心原性ショックを起こすこともある[1]。昇圧薬で数値を整える前に、出血の検索と蘇生を並行する。
- MAPの数値は「弱い推奨」として扱う。AO Spine/Praxis 2024は、MAPを少なくとも75〜80 mmHgまで上げ、90〜95 mmHgを超えて積極的には上げず、3〜7日続けることを提案した。いずれも弱い推奨で、根拠の確実性は非常に低い[1]。
- 高いMAP目標を一律に使う利益は示されず、害の信号がある。2025年のRCT(92例)では、MAP 85〜90 mmHg超を目標とした群と65〜70 mmHg超の群で、6か月の運動・感覚スコアに有意差はなく、呼吸器合併症は78%対39%(リスク差40%、95%CI 22〜58%)だった。ただし予定の126例に届かず、6か月のASIA評価を終えたのは38例で、効果が同等だとは言えない[2]。
- 除圧は、医学的に可能なら受傷24時間以内に(強い推奨)。2024年の指針は、損傷の高位を問わず成人に早期手術(受傷24時間以内)を選択肢として提示することを推奨した(強い推奨、中等度の確実性)。12時間未満などの超早期手術については、推奨を出せないとした[3]。国内のRCT(骨傷のない脊柱管狭窄を伴うAIS Cの頚髄損傷)では、1年の運動回復に有意差はなかった[14]。
- MPSSは「効能がある」ことと「推奨が強い」ことを分ける。国内の電子添文には、受傷後8時間以内で運動機能障害と感覚機能障害を併せ持つ場合の効能・用法がある[22]。一方、AO Spine 2017は8時間以内の24時間投与を選択肢として提示する弱い推奨にとどめ[4]、AANS/CNS 2013は使用に反対した(AO Spine 2017の引用で確認)[7]。国内の行政データでは、消化管潰瘍・出血の増加が報告されている[18]。
対象と扱わない範囲
対象:成人の急性外傷性脊髄損傷。引用する研究の多くは18歳以上(STASCISは16〜80歳、国内のOSCISは20〜79歳)を対象としている。救急外来から集中治療室(ICU)での受傷後およそ1週間までの、血圧管理、手術時期、ステロイドの判断を扱う。
扱わない範囲:
- 小児。成人の数値や目標をそのまま当てはめない。初期診療の全体像は小児外傷の初期診療を参照。
- 穿通性脊髄損傷、T9以下の損傷、馬尾症候群のみの損傷。2025年のRCTはこれらを除外している[2]。
- 重症頭部外傷の合併例。2025年のRCTの除外対象であり、頭部外傷の血圧目標との調整は本稿では扱わない。
- 脊椎損傷の画像診断と分類、固定・手術手技、気道確保の手技、呼吸管理・VTE予防・リハビリテーションの詳細。
用語:AIS(ASIA Impairment Scale)はAの完全損傷からEの正常までの重症度分類。MAPは平均動脈圧。SCPP(脊髄灌流圧)は、MAPから腰椎くも膜下腔で測った脳脊髄液圧を引いた値である[10]。MPSSはメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム(国内の製品名はソル・メドロール)。
1.低血圧を神経原性ショックだけで説明しない
AO Spine/Praxis 2024の血圧管理の指針は、脊髄損傷の患者が神経原性ショックに加えて、合併損傷による出血性ショックや心原性ショックを起こしうると記載している[1]。麻痺と徐脈があっても、それだけで低血圧の原因を決めない。
脊髄損傷の診断がついても、胸腔・腹腔・骨盤・長管骨からの出血の検索と蘇生を止めない。昇圧薬でMAPを目標に合わせることは、出血の制御の代わりにならない。
本稿の解釈初期に記録しておきたいのは次の3点である。後の治療判断が、いずれもこれらに依存する。
- 受傷時刻:手術の「受傷24時間以内」[3]も、MPSSの「受傷後8時間以内」[4][22]も、来院時刻ではなく受傷からの時間で定義されている。
- 最初の神経所見と評価時刻:AISと運動・感覚スコア。2025年のRCTは、挿管などで開始時のASIA評価を完了できず、主要評価項目の開始時データが欠けたことを限界に挙げている[2]。鎮静・挿管の前に診察できたかを残す。
- MAPの目標と昇圧薬、出血源の評価状況:目標値とその終了予定日、薬剤名と開始時刻、何を調べて何が未評価か。
2.MAPの目標:推奨の文言と強さ
指針米国のAANS/CNS 2013指針は、急性脊髄損傷の受傷後最初の7日間、MAPを85〜90 mmHgに維持することを推奨していた[6]。この記載は、AO Spine/Praxis 2024[1]と2025年のRCT[2]による引用で確認した(2013年指針の本文は未取得)。
指針AO Spine/Praxis 2024は、成人の急性脊髄損傷について次の2つを提案した[1]。
- 目標範囲:急性外傷性脊髄損傷では、脊髄の灌流を最適化するため、MAPを少なくとも75〜80 mmHgまで上げ、90〜95 mmHgを超えては上げないことを提案する(弱い推奨、根拠の確実性は非常に低い)。
- 期間:MAPの増強を3〜7日続けることを提案する(弱い推奨、確実性は非常に低い)。
同指針は、上限の90〜95 mmHgは補液や昇圧薬・強心薬で積極的にMAPを上げている患者にだけ当てはまると明記している。治療なしでMAPが95 mmHgを超える患者を、降圧薬で下げることは求めていない[1]。昇圧薬の種類とSCPPの目標については、根拠が乏しいとして推奨を出さなかった[1]。
同じ特集号に掲載された系統的レビュー(Evaniew 2024)は28研究を統合し、MAPを支える治療が神経回復に与える影響は「不確か」とした。低血圧を避けることは重要だが、特定のプロトコルを支持する質の高い根拠はないと結論している[8]。AO Spineが2026年に公表した臨床推奨(Neal 2026)も、この2024年の推奨を条件付き推奨として再掲した。ただし、評価した3論文の中に2025年のRCTは含まれていない[5]。
3.2025年のRCTは何を示し、何を示していないか
研究結果Sajdeyaら(JAMA Network Open 2025)は、米国の13外傷センターで2017年10月から2023年7月まで行われた多施設RCTである[2]。
- 対象:18歳以上、頚椎または胸椎(C0〜T8)の急性外傷性脊髄損傷で、画像所見に合う新たな神経脱落がありAIS A・B・Cの患者。穿通性損傷、T9以下の損傷、馬尾症候群のみ、重症頭部外傷などは除外した。
- 介入:MAP 85〜90 mmHg超を目標とする増強群(46例)と、65〜70 mmHg超を目標とする通常群(46例)に割り付け、7日間またはICU退室まで続けた。昇圧薬はフェニレフリン、ノルアドレナリン、バソプレシン、ドパミンまたはその併用。治療チームは盲検化されず、神経学的評価者は盲検化された。
- 主要評価項目:ASIAの運動・感覚スコアの、開始時から6か月までの変化。
主要結果(増強群対通常群、6か月のASIA評価を終えた38例[各群19例]):6か月時点の上肢運動スコアは34.95対32.95(群間差2.48、95%CI −5.93〜10.90、P=.55)、下肢運動スコアは18.53対19.95(差−4.56、95%CI −16.11〜7.03、P=.43)、感覚スコアの合計は108.47対130.89(差−32.00、95%CI −65.40〜1.40、P=.06)だった。いずれも有意差はなかった[2]。括弧の前の数値は6か月時点の各群の平均(調整前)で、群間差は開始時のASIAスコアで調整した共分散分析による「開始時からの変化」の差の推定値である。そのため、6か月の平均値の単純な差とは一致しない[2]。
安全性:増強群では、心血管の項目を除いた修正SOFAスコアが3日目(1.65対0.80、差0.85、95%CI 0.23〜1.47)と6日目(1.55対0.80、差0.74、95%CI 0.05〜1.44)に高く、人工呼吸の期間が長く(9.44日対3.78日、差5.67日、95%CI 0.48〜10.85)、呼吸器合併症が多かった(36例[78%]対18例[39%]、リスク差40%、95%CI 22〜58%)。死亡とその他の副次評価項目には有意差が報告されていない[2]。
追跡と解析:登録が遅く、予定数(126例)に達する前に終了した。6か月時点で15例(16%)が死亡し、ASIA評価を終えたのは38例(41%)、27例(29%)が追跡不能だった。主要解析は、評価を終えた例を用いるcomplete-caseの解析である[2]。
原著が挙げた限界:主にCOVID-19流行期に登録が進まず、症例数が予定を下回ったため、検出力が不足した可能性がある。参加者の約3分の1が追跡不能になった。挿管などで開始時のASIA評価を完全に行えず、主要評価項目の開始時データが欠けた例があった[2]。著者は結論でも検出力不足(underpowered)を認めたうえで、血圧増強という慣行に疑問を投げかけている。
本稿の解釈この試験から言えることと言えないことを分けておく。
- 言えること:MAPを85〜90 mmHg超に保つ方針で、神経回復の改善は示されなかった。一方、呼吸器合併症と人工呼吸期間の増加は、信頼区間が0をまたがない差として示された。
- 言えないこと:低い目標と高い目標の効果が同等だということ。38例での比較で信頼区間は広い。
- 指針との関係:通常群の目標(65〜70 mmHg超)は、2024年指針の下限(75〜80 mmHg)より低い。ただし原著の考察によると、通常群で実際に観察されたMAPは75〜85 mmHgの範囲だった[2]。増強群はAANS/CNS 2013の目標に近い。この試験は「75〜80 mmHgの下限」を目標として直接検証したものではない。
2026年6月に公表された系統的レビュー・メタ解析(Kale 2026、33研究・3,535例、主に観察研究)でも、神経学的改善は標準MAP群31.4%、増強MAP群37.6%で有意差はなく(P=0.25)、呼吸器合併症は標準MAP群で有意に少なかった(P=0.04)。死亡は38.8%対10.3%(P=0.08)だったが、分母が103例対1,162例と大きく偏っており、著者は治療効果を反映したものではないだろうとしている。確実性は低い[9]。著者らの結論は、低血圧を避けることは支持されるが、一律にMAPを引き上げる利益は確立していない、というものである。
本稿の解釈現時点の読み方は「低血圧は避ける。高い目標を全例に長く固定しない」である。高い目標を選ぶなら、その目標をいつまで続けるか、呼吸器合併症や人工呼吸の負担をどう見直すかを、あらかじめ決めておく。
4.脊髄灌流圧(SCPP)と昇圧薬の選択
研究結果Squairら(2017)の多施設前向き観察研究は、急性脊髄損傷92例で腰椎くも膜下腔カテーテルにより脳脊髄液圧を測り、受傷後1週間のMAP・脳脊髄液圧・SCPPと6か月の神経回復の関係を調べた。SCPPは神経回復と独立に関連し(オッズ比1.039、p=0.002)、SCPPが50 mmHgを下回った患者は開始時の重症度から改善しにくかった(p=0.0056)。MAPと脳脊髄液圧では同様の関連は見られなかった[10]。
これは観察研究での関連であり、SCPPを目標にした治療で回復が良くなることを示したものではない。AO Spine/Praxis 2024[1]もNeal 2026[5]も、SCPPに基づく管理には推奨を出せないとしている。腰椎くも膜下腔へのカテーテル留置という侵襲も伴う。
研究結果昇圧薬について、レベル1外傷センター1施設の後ろ向き研究(Inoue 2014、2005〜2011年に昇圧薬を使った脊髄損傷131例)では、ドパミン48.0%、フェニレフリン45.0%、ノルアドレナリン5.0%の順に使われていた。心室頻拍、トロポニン上昇、心房細動などの合併症は、ドパミン(オッズ比8.97)、フェニレフリン(同5.92)、60歳以上(同5.16)、完全損傷(同3.23)と独立に関連した。神経学的改善とは、ドパミンもフェニレフリンも有意な関連がなかった[11]。
抄録に信頼区間はなく、重症な患者ほど特定の薬を使われた可能性(適応による交絡)もある。AO Spine/Praxis 2024も、昇圧薬の選択について推奨を出すだけの根拠がないとしている[1]。
本稿の解釈薬剤は患者ごとの循環動態(徐脈、心機能、合併損傷)を見て選ぶことになる。国内の添付文書との関係は後述する。
5.手術時期:24時間以内の除圧と、その根拠の限界
指針AO Spine/Praxis 2024の手術時期の指針は、損傷の高位を問わず、成人の急性脊髄損傷に対して早期手術(受傷後24時間以内)を選択肢として提示することを推奨した(強い推奨、中等度の確実性)。抄録はこれを「優先の選択肢(preferred option)」として提示すると要約し、結論は「医学的に実施可能なら(when medically feasible)」受傷24時間以内に手術を行うことを推奨する、である[3]。
- 24時間以内の除圧では、AISが2段階以上改善する割合が、6か月でリスク比2.76(95%CI 1.60〜4.98)、12か月で1.95(同1.26〜3.18)と高かった。運動スコアの改善は4.50点(同1.70〜7.29)上回った[3]。
- 超早期(主に12時間未満)の手術は、症例数の少なさ、定義のばらつき、結果の不一致から、推奨を出せないとした[3]。
- 中心性頚髄損傷に絞った手術時期の研究は少ない。指針は、ほかの損傷型の根拠から同様の利益を外挿するのは合理的としつつ、追加研究が必要だとしている[3]。
研究結果代表的な研究は次の2つで、いずれも無作為化試験ではない。
- STASCIS(2012):北米6施設の前向きコホート研究。16〜80歳の頚髄損傷313例のうち182例が24時間未満(平均14.2時間)、131例が24時間以降(平均48.3時間)に手術を受けた。6か月の評価ができた222例で、AISが2段階以上改善したのは19.8%対8.8%。術前の神経状態とステロイド投与で調整したオッズ比は2.83(95%CI 1.10〜7.28)だった。合併症は24.2%対30.5%で有意差はなかった(p=0.21)[12]。
- Badhiwala 2021(個人データの統合解析):前向き多施設の4データから除圧術を受けた1,548例(24時間未満528例、以降1,020例)。1年の総運動スコアの改善は23.7点対19.7点(差4.0点、95%CI 1.7〜6.3)、1年のAIS gradeも早期群で良好だった(共通オッズ比1.48、95%CI 1.16〜1.89)。受傷後24〜36時間までは時間とともに改善幅が急に小さくなり、36時間以降は横ばいだった。1年の転帰データがあったのは1,031例(66.6%)である[13]。
研究結果国内の多施設RCT(OSCIS、2021)は、骨傷のない不全頚髄損傷に対象を絞り、早期手術と待機手術を比べた。対象は国内43施設の20〜79歳で、既存の脊柱管狭窄を伴い、骨折・脱臼のない運動不全のAIS C頚髄損傷である。入院後24時間以内の手術群と、2週間以上の保存療法の後に手術する群を比べた。解析対象70例(早期37例、遅延33例)で、1年の運動スコアの改善は53.7対48.5(差5.2、95%CI −4.2〜14.5、P=.27)、独歩可能は70.0%対61.5%(P=.51)で、主要評価項目に有意差はなかった。運動スコアは2週、3か月、6か月の時点では早期群で高かった[14]。
OSCISは各群50例を予定していたが、登録が遅く早期に終了した。著者は第2種の過誤の可能性を認めている。遅延群33例のうち7例は研究期間中に手術を要しなかった[14]。有意差がないことは「遅く手術しても同じ」を意味しない。著者は探索的な結果として、早期手術で回復が早まることを示唆するとしている。
本稿の解釈観察研究では、手術が遅れた患者は合併損傷や転院などで重症度や背景が異なる可能性がある。調整しても残る交絡は否定できない。それでも、強い推奨と国際的な統合解析がそろっているため、医学的に可能なら受傷24時間以内の除圧を目指すのが現在の指針の考え方である。骨傷のない不全頚髄損傷では、国内RCTの結果も合わせて判断する。「24時間」は受傷からの時間なので、転院と画像検査の時間も含まれる。受傷地点から脊椎手術のできる施設まで、何時間で届くかが実際の分かれ目になる。
6.ステロイド(MPSS):NASCISから2017年指針まで
研究結果NASCIS II(1990)は、多施設の二重盲検RCTである。MPSS(30 mg/kgをボーラス投与後、5.4 mg/kg/時を23時間)162例、ナロキソン154例、プラセボ171例を比べ、95%が受傷14時間以内に治療を受けた。受傷8時間以内にMPSSを受けた患者では、6か月の運動の変化スコアが16.0対11.2(P=0.03)とプラセボより改善した。8時間を過ぎてMPSSを受けた患者では、神経学的転帰にプラセボとの有意差がなかった。死亡と主要な合併症は3群で同程度と報告された[15]。
NASCIS III(1997)は、受傷8時間以内の499例を、MPSS 24時間、MPSS 48時間、tirilazad 48時間に割り付けた(北米16施設、二重盲検)。受傷後3〜8時間に治療を始めた患者では、48時間投与で運動回復が良く(6週P=.04、6か月P=.01)、一方で重症敗血症と重症肺炎が多かった。死亡に有意差はなかった(P=.97)[16]。AO Spine 2017は、重症肺炎の増加は有意、重症敗血症の差は偶然の範囲内と整理している[4]。この試験には非投与の対照群がない。
Cochraneレビュー(2012)は8試験(7試験がメチルプレドニゾロン)を検討し、受傷8時間以内の投与で運動機能の回復が有意に改善し、合併症や死亡の有意な増加を示す根拠はないとした。北米の試験結果は日本の試験で再現され、フランスの試験では再現されなかったと記載している[17]。このレビューの著者はNASCIS II・IIIの筆頭著者と同じBracken氏の単独である。
指針指針の評価は分かれる。
- AANS/CNS 2013:MPSSの使用に反対するレベルIの推奨を出した。理由は、米国FDAの承認がないこと、臨床的利益を示すクラスI・IIの根拠がないこと、高用量ステロイドに死亡を含む有害作用のクラスI〜IIIの根拠があることである(AO Spine 2017の引用で確認)[4][7]。
- AO Spine 2017:系統的レビューでは、全体としてMPSS群と非投与群で、どの時点でも運動スコアの変化に差は認められなかった。受傷8時間以内の投与に限ると、RCTの統合で最終評価時(6または12か月)の運動スコアが3.88点(95%CI 0.50〜7.27、P=.02)上回った。24時間投与と対照群で合併症に統計的な差はなかった[4]。
AO Spine 2017の推奨は次の3つである[4]。
- 受傷後8時間を過ぎて来院した成人には、高用量MPSSの24時間投与を提示しないことを提案する(弱い推奨、根拠の質:中等度)。
- 受傷後8時間以内の成人には、高用量MPSSの24時間投与を治療の選択肢として提示することを提案する(弱い推奨、中等度)。
- 成人に高用量MPSSの48時間投与を提示しないことを提案する(弱い推奨、根拠の質の欄は「該当研究なし」)。
同指針は、運動スコアの差(3〜4点)は小さいが、わずかな改善が機能的に重要な患者もいるとしている[4]。一方、国内の行政データ(DPC)を用いた傾向スコアマッチング研究(Chikuda 2014、2007〜2009年の各年7〜12月に緊急入院した頚髄損傷3,508例、うち高用量MPSS[5,000 mg超]824例、23.5%)では、高用量MPSS群で消化管潰瘍・出血(68/812対31/812)と主要な合併症全体(144/812対96/812、オッズ比1.66、95%CI 1.23〜2.24)が多かった。院内死亡に有意差はなかった(p=0.884)[18]。この研究は神経学的転帰を評価していない。
本稿の解釈指針の違いは、主に「受傷8時間以内」という時間で区切った解析をどこまで重く見るかから生じている。したがって、投与するかどうかを外傷チームだけで慣習的に決めず、脊椎・脊髄チームと施設の方針として決めておく。投与するなら、受傷時刻が8時間以内であることの確認、体重あたりの用量、心電図モニター、血糖と消化管出血の観察を同時に準備する。
指針の比較表
表はスマートフォンでは横にスクロールして読む。「-」はその資料が扱っていない、または本稿で確認できなかった項目。
| 論点 | AANS/CNS 2013 | AO Spine 2017・2024 | AO Spine 2026(Neal) | 国内の電子添文 |
|---|---|---|---|---|
| MAPの目標 | 受傷後7日間、85〜90 mmHgに維持[6](二次引用で確認) | 2024:少なくとも75〜80 mmHg、90〜95 mmHgを超えては上げない(弱い推奨、非常に低い)[1] | 2024年の推奨を条件付き推奨として再掲[5] | ノルアドレナリンの効能は急性低血圧・ショックの補助治療。脊髄損傷でのMAP増強の記載はない[23] |
| MAP増強の期間 | 7日間[6] | 2024:3〜7日(弱い推奨、非常に低い)[1] | 3〜7日を再掲[5] | - |
| 昇圧薬の種類・SCPP | - | 2024:推奨なし(根拠不足)[1] | SCPPに基づく管理は、現時点で推奨を出せない[5] | - |
| 手術時期 | - | 2024:受傷24時間以内の早期手術を選択肢として提示することを推奨(強い推奨、中等度)。超早期は推奨なし[3] | - | - |
| MPSS | 使用に反対(レベルI)[7](二次引用で確認) | 2017:8時間以内は24時間投与を選択肢として提示(弱い推奨、中等度)。8時間以降と48時間投与は提示しないことを提案(弱い推奨)[4] | - | 受傷後8時間以内で運動機能障害と感覚機能障害を有する場合に効能あり[22] |
| リルゾール | - | - | 急性頚髄損傷へのルーチン使用について、現時点で推奨を出せない[5] | - |
根拠の比較表
上の3行が、本稿の判断の中心になる2024年指針・2025年RCT・2017年MPSS指針である。数値は「A対B」の順で、列の「介入・比較」と同じ並びにしている。
| 出典(年) | デザイン | 対象 | 介入・比較 | 主な結果(絶対値・95%CI) | 限界と診療への意味 |
|---|---|---|---|---|---|
| AO Spine/Praxis 血圧管理(Kwon 2024)[1] | 指針(GRADE、系統的レビューに基づく) | 成人の急性外傷性脊髄損傷 | MAPの下限・上限、期間、昇圧薬、SCPP | MAP少なくとも75〜80 mmHg、90〜95 mmHgを超えて上げない、3〜7日(いずれも弱い推奨、確実性は非常に低い)。昇圧薬・SCPPは推奨なし | 根拠の確実性が非常に低い。2025年RCTより前の指針。上限は積極的に上げている患者だけに適用 |
| Sajdeya(2025)[2] | 多施設RCT(米国13施設、予定数に達する前に終了) | 18歳以上、C0〜T8、AIS A〜C。穿通性、T9以下、重症頭部外傷などを除外。92例 | MAP 85〜90 mmHg超(46例)対65〜70 mmHg超(46例)、7日またはICU退室まで | 6か月時点のスコア(評価を終えた各群19例、調整前):上肢運動34.95対32.95、下肢運動18.53対19.95、感覚108.47対130.89。開始時で調整した変化の群間差:上肢2.48(−5.93〜10.90)、下肢−4.56(−16.11〜7.03)、感覚−32.00(−65.40〜1.40)。呼吸器合併症78%対39%(リスク差40%、22〜58%)。人工呼吸9.44日対3.78日(差5.67日、0.48〜10.85) | 予定126例に届かず。6か月のASIA評価は38例(41%)のみ。有意差なしは同等を意味しない。通常群の目標は2024年指針の下限より低い(観察されたMAPは75〜85 mmHg) |
| AO Spine MPSS(Fehlings 2017)[4] | 指針(GRADE、系統的レビュー・メタ解析) | 成人の急性脊髄損傷 | 高用量MPSSの24時間・48時間投与対非投与 | 全体では運動スコアに差を認めず。8時間以内に限るとRCTの統合で3.88点(0.50〜7.27、6または12か月)上回る。24時間投与と対照で合併症に統計的な差なし | 8時間で区切った解析に依存し、効果は3〜4点と小さい。48時間投与を非投与・プラセボと比べた研究はない |
| AO Spine/Praxis 手術時期(Fehlings 2024)[3] | 指針(GRADE) | 成人の急性脊髄損傷(高位を問わない) | 受傷24時間以内対24時間以降の除圧 | AIS 2段階以上の改善:6か月リスク比2.76(1.60〜4.98)、12か月1.95(1.26〜3.18)。運動スコア4.50点(1.70〜7.29)上回る | 超早期手術は推奨なし。中心性頚髄損傷の研究は少ない |
| Kale(2026)[9] | 系統的レビュー・メタ解析(主に観察研究) | 33研究・3,535例 | 標準MAP(65 mmHg以上)対増強MAP(85 mmHg以上) | 神経学的改善31.4%対37.6%(P=0.25)。死亡38.8%対10.3%(P=0.08、分母103例対1,162例)。呼吸器合併症は標準MAP群で少ない(P=0.04) | 確実性は低い。異質性が大きい。抄録に効果量のCIの記載なし |
| Squair(2017)[10] | 多施設前向き観察研究 | 急性脊髄損傷92例 | 受傷後1週間のSCPP・MAP・脳脊髄液圧 | SCPPが回復と独立に関連(オッズ比1.039、p=0.002)。50 mmHg未満への曝露で改善しにくい(p=0.0056)。MAPでは同様の関連を認めず | 関連の研究。SCPPを目標にした治療の効果は未検証 |
| STASCIS(Fehlings 2012)[12] | 多施設前向きコホート(北米6施設) | 16〜80歳の頚髄損傷313例(6か月評価222例) | 24時間未満(182例)対24時間以降(131例) | AIS 2段階以上の改善19.8%対8.8%、調整オッズ比2.83(1.10〜7.28)。合併症24.2%対30.5%(p=0.21) | 非無作為化。6か月の評価は313例中222例 |
| Badhiwala(2021)[13] | 前向き多施設4データの個人データ統合解析 | 除圧術を受けた1,548例(1年の転帰1,031例) | 24時間未満(528例)対24時間以降(1,020例) | 1年の総運動スコア改善23.7点対19.7点(差4.0、1.7〜6.3)。AIS grade 共通オッズ比1.48(1.16〜1.89) | 観察データ。1年の転帰の欠測が約3分の1 |
| OSCIS(Chikuda 2021)[14] | 国内43施設のRCT(登録が遅く早期終了) | 20〜79歳、脊柱管狭窄を伴い骨折・脱臼のないAIS Cの頚髄損傷。解析70例 | 入院後24時間以内の手術(37例)対2週間以上の保存療法後の手術(33例) | 1年の運動スコア改善53.7対48.5(差5.2、−4.2〜14.5)。独歩可能70.0%対61.5%。6か月までは早期群が高い | 予定の各群50例に届かず。遅延群の7例は手術なし。有意差なしは同等を意味しない |
| NASCIS II(Bracken 1990)[15] | 多施設RCT(二重盲検) | 急性脊髄損傷487例(95%が受傷14時間以内に治療) | MPSS(162例)対ナロキソン(154例)対プラセボ(171例) | 8時間以内のMPSSで6か月の運動変化16.0対11.2(P=0.03、対プラセボ)。8時間以降は有意差なし | 8時間で区切った部分集団での結果。後の指針で評価が分かれた |
| NASCIS III(Bracken 1997)[16] | 多施設RCT(二重盲検、16施設) | 受傷8時間以内の499例 | MPSS 24時間対MPSS 48時間対tirilazad 48時間 | 3〜8時間開始では48時間投与で運動回復が良好(6週P=.04、6か月P=.01)。48時間投与で重症敗血症・重症肺炎が多い。死亡に有意差なし(P=.97) | 非投与の対照群がない。48時間投与は後の指針で提示しないとされた |
| Chikuda(2014)[18] | 国内DPCデータ、傾向スコアマッチング | 頚髄損傷3,508例(高用量MPSS 824例) | 高用量MPSS(5,000 mg超)対非投与 | 消化管潰瘍・出血68/812対31/812。主要な合併症144/812対96/812(オッズ比1.66、1.23〜2.24)。院内死亡に有意差なし(p=0.884) | 行政データで神経学的転帰は未評価。2007〜2009年のデータ |
評価時点について:神経学的転帰の評価時点は、2025年RCTが6か月、STASCISが6か月、Badhiwala・OSCISが1年、NASCIS IIが6週と6か月である。AO Spine 2017のMPSSの統合は6か月または12か月の最終評価を用いている。時点の異なる数値を直接比べない。
日本で実施するとき
国内の指針
- JATEC:外傷初期診療ガイドライン改訂第6版が、脊髄損傷の血圧目標、手術時期、ステロイドをどう記載しているかは、本文を取得できず未確認である。日本外傷診療研究機構が公開する改訂の概要には、脊椎・脊髄・ステロイドに関する記載は見当たらなかった[24]。
- 学会の指針・見解:J-STAGEの検索と日本脊髄障害医学会のウェブサイトでは、急性期の血圧目標・手術時期・ステロイドを対象とした国内学会の診療ガイドラインや見解は見つからなかった(未確認)。同学会のサイトには、全国調査とリハビリテーションの資料が掲載されている[25]。
- 損傷の分類:本稿は国際的に使われるAISで重症度を記述した。国内の全国調査はFrankel分類を用いている[20]。日本外傷学会臓器損傷分類2008に脊髄損傷の分類が含まれるかは確認していない。
国内の患者像
2018年の全国調査(救急・急性期病院3,771施設中2,804施設が回答、回答率74.4%)では、Frankel Eを除く外傷性脊髄損傷の推定発生率は人口100万人あたり年49人、受傷年齢の中央値は70.0歳、男女比は3対1、頚髄損傷が88.1%を占めた。重症度はFrankel D(46.3%)、C(33.0%)の順に多く、原因は平地での転倒(38.6%)、交通事故(20.1%)の順だった[20]。時岡(2025)は、1990〜92年の調査の40.2人から増えたと要約している[21]。
本稿の解釈国内の急性脊髄損傷の多くは、高齢者の転倒による不全頚髄損傷である。一方、2024年の指針は、中心性頚髄損傷に絞った手術時期の研究は少ないとしている[3]。骨傷のない不全損傷では、国内のRCTで1年の転帰に有意差がなかったこと[14]も合わせて判断する。高齢者では、MAPの増強や昇圧薬の合併症も重くなりうる(Inoue 2014では60歳以上が合併症と関連[11])。高齢外傷の全体像は高齢者外傷の初期診療と回復支援を参照。
MPSS(ソル・メドロール)の電子添文
ソル・メドロール静注用の電子添文(ファイザー、2026年3月改訂 第4版)では、効能・効果に「受傷後8時間以内の急性脊髄損傷患者(運動機能障害及び感覚機能障害を有する場合)における神経機能障害の改善」がある。用法・用量は、受傷後8時間以内に30 mg/kgを15分かけて点滴静注し、45分休薬した後、5.4 mg/kg/時を23時間点滴静注する[22]。
- 用法・用量に関連する注意:受傷後8時間以内に投与を開始し、体重換算の用量を厳守する。
- 重要な基本的注意:急性脊髄損傷に使う場合は心電図モニターで十分に観察する。
- 臨床成績:国内の比較臨床試験で、運動機能障害のみの患者では対照群と有意差がなく、運動機能障害と感覚機能障害を併せ持つ患者で有意な改善を認めたと記載されている。因果関係のある副作用として糖尿2例、血糖上昇3例が記載されている[22]。
電子添文は、本剤の高用量を急速静注(500 mgを超える用量を10分未満で投与)した際に、心停止、循環性虚脱、不整脈の報告があるとして、緩徐な投与を求めている[22]。脊髄損傷の初回量(30 mg/kg)は15分かけて点滴静注する。
本稿の解釈電子添文の条件(受傷後8時間以内、運動機能障害と感覚機能障害を有する、規定の用法・用量)を満たせば、国内では効能・効果に含まれる使い方である。しかし、AANS/CNS 2013は使用に反対し、AO Spine 2017も弱い推奨の選択肢にとどめている。「添付文書にあるから行う」でも「指針が反対だから行わない」でもなく、施設として方針を決め、行うなら時間・用量・監視の条件を満たす。保険請求上の扱いは本稿では確認していない。
昇圧薬の添付文書
ノルアドリナリン注1mgの電子添文(アルフレッサ ファーマ、2026年4月改訂 第2版)では、効能・効果は各種疾患もしくは状態に伴う急性低血圧またはショック時の補助治療で、例として心筋梗塞によるショック、敗血症によるショック、アナフィラキシー性ショック、循環血液量低下を伴う急性低血圧ないしショック、全身麻酔時の急性低血圧などが挙げられている。禁忌には、アドレナリン、イソプレナリンなどのカテコールアミン製剤を投与中の患者が挙げられている。点滴静注で大量の注射液が血管外に漏れると、局所の虚血性壊死が起こりうる。投与中は血圧を絶えず観察して調節する[23]。
電子添文には「脊髄」「神経原性」の語はなく、脊髄損傷で脊髄の灌流を保つ目的のMAPの増強は明記されていない。低血圧のない患者でMAPを目標値まで上げる使い方を添付文書上どう位置づけるかは、施設で確認しておきたい。2025年のRCTで使われたフェニレフリン、ドパミン、バソプレシンの国内添付文書は、今回未確認である。
施設体制
国内で急性脊髄損傷のMAP管理や24時間以内の手術がどの程度行われているか、その全国データは確認できなかった(未確認)。OSCISの著者は、参加施設の多くが人員の整った大学病院であり、緊急手術がどこでも行えるようになるまでには課題があると述べている[14]。以下は本稿の解釈による確認項目である。
- MAPの目標、目標をやめる日、見直す人を記録する。観血的動脈圧のモニターと昇圧薬を使える病床(ICUなど)で管理する。
- 受傷24時間以内に脊椎手術ができるかを、夜間・休日も含めて把握する。できない場合の転院先と連絡の時点を決めておく。
- MPSSを使うか使わないかを施設の方針として文書にし、使う場合は受傷時刻、体重、心電図モニターの確認を手順に入れる。
- 高位頚髄損傷の気道・呼吸管理と、麻酔導入時の低血圧への備えを外傷チームと麻酔科で共有する(外傷麻酔の実践も参照)。
- 頚椎損傷では鈍的頸部血管損傷の評価も検討する(鈍的頸部血管損傷(BCVI))。麻痺のある患者の静脈血栓塞栓症の予防は外傷後VTE予防を参照。
まだ分からないこと
- MAPの最適な下限と、誰に上げる意味があるか。2025年のRCTの著者は、血圧増強で利益を得る集団と、害が生じる機序を明らかにする研究が必要だとしている[2]。75〜80 mmHgの下限と、より低い目標を比べた試験は本稿の確認範囲にはない。
- SCPPに基づく管理。観察研究での関連はあるが[10]、指針は推奨を出していない[1][5]。
- 超早期手術と、骨傷のない不全頚髄損傷の手術時期。超早期は推奨を出せず[3]、国内のRCTは1年の転帰に有意差を示さなかった[14]。
- ほかの薬物療法。リルゾールの第III相RCT(RISCIS、受傷12時間以内のAIS A〜C、C4〜C8の頚髄損傷193例)は、180日の上肢運動スコアという主要評価項目を達成しなかった。著者は検出力不足の可能性を挙げ、事前に計画した副次解析では機能回復の改善を報告している[19]。AO Spine 2026は、ルーチン使用について現時点で推奨を出せないとした[5]。
- 国内の実態。MAP管理、MPSSの現在の使用率、24時間以内の手術の実施率を示す最近の全国データは確認できなかった。
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文献
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- Sajdeya R, Yanez ND, Kampp M, Goodman MD, Zonies D, et al; Treggiari MM. Early Blood Pressure Targets in Acute Spinal Cord Injury: A Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open. 2025;8(9):e2525364. doi:10.1001/jamanetworkopen.2025.25364. PMID: 40965887. ClinicalTrials.gov: NCT02878850.
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医学的内容の最終確認日・確認範囲
文献ごとの確認範囲を開く(最終確認日:2026年9月25日)
医学的内容の最終確認日:2026年9月25日(著者確認)。文献照合日:2026年9月24日(文献検索も同日)。PMC(ページを取得できなかった)、Europe PMC・OpenAlex・Semantic Scholar(接続できない時間帯があった)、PubMedの検索サービス(自動取得が許可されていなかった)が使えなかったため、書誌と抄録はNCBI BioC(PubMedの抄録)、PMCの文献ID変換サービス、Crossref、J-STAGE、出版社、学会・公的機関のページで確認した。検索記録は編集部で保管している。数値・用量・適用条件を含む医学的内容は、2026年9月25日に著者(医師)が確認した。
- 全文(本文)を確認:[1] Kwon 2024(出版社の全文ページ)、[2] Sajdeya 2025(出版社の全文ページ。補足資料は未確認)、[3] Fehlings 2024(出版社の全文ページ)、[4] Fehlings 2017(出版社の全文ページ)、[5] Neal 2026(出版社の全文ページ)、[14] OSCIS(出版社の全文ページ)。
- 抄録のみ確認:[8] [9] [10] [11] [12] [13] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21]。本文中の数値は抄録にある範囲に限った。
- 書誌のみ確認(推奨内容は二次引用):[6] Ryken 2013、[7] Hurlbert 2013。推奨の内容は[1] [2] [4]による引用で確認した。
- 公式情報を確認:[22] [23] 電子添文(KEGG MEDICUS掲載分)、[24] 日本外傷診療研究機構の改訂概要PDF、[25] 日本脊髄障害医学会のページ。
- 未取得:JATEC改訂第6版の本文、AANS/CNS 2013の各章の本文、2025年RCTの補足資料と招待論評、フェニレフリン・ドパミン・バソプレシンの国内添付文書。
- 訂正・撤回:[1] [2] [3] [4] [5] [10] [13] [14] [15] [19]について、Crossrefの登録に訂正・撤回の記録はなかった(2026年9月24日時点)。
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- 2026年9月26日(表記):確認範囲の記載を読者向けの表現に改め、関連記事と分野の一覧へのリンクを加えた(医学的内容は変えていない)。
- 2026年9月25日(著者確認):著者(医師)が数値・用量・適用条件を含む医学的内容を確認した。確認日の表記を更新した。
- 2026年9月24日(改訂):原著照合にもとづき全面改訂。冒頭を要旨の導入文に改め(検索結果の説明文が確認記録の欄から作られていたため)、「初稿」表示を外した。2025年RCTに対象・除外基準、群別の値、群間差と95%CI、6か月の評価例数と脱落、原著が挙げた限界を加え、文献表記に著者名・DOI・PMIDを付けた。AANS/CNS 2013、2017年のMPSS指針の推奨文と強さ、NASCIS II・III、Cochraneレビュー、STASCIS、Badhiwala 2021、国内のOSCIS、脊髄灌流圧と昇圧薬の研究、2026年のメタ解析を追加した。指針の比較表と根拠の比較表、「日本で実施するとき」(電子添文、疫学、体制)、文献ごとの確認範囲を新設した。理由:主要試験の効果量と国内での適用が欠けていたため。
- 2026年9月23日(初回公開):ナラティブレビュー初稿として公開(Kwon 2024、2025年RCT、Fehlings 2024、Fehlings 2017、Neal 2026の5文献)。
本記事は医療従事者への教育および一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。実際の診療では、各施設のプロトコルおよび最新の診療ガイドラインをご確認ください。
利益相反:本記事に関連して開示すべき利益相反はありません。


コメント
コメント一覧 (8件)
[…] 頸椎損傷との関係は急性脊髄損傷の初期診療と集中治療、顔面骨骨折の扱いは顔面外傷の初期診療も参照。 […]
[…] 頭蓋内圧管理など小児集中治療の詳細、脊髄損傷の治療(成人は急性脊髄損傷の初期診療と集中治療を参照)、麻酔導入の薬剤選択(外傷麻酔を参照)。 […]
[…] 本稿の解釈頸椎損傷が否定されていない患者では、カラーを外すより先に、サイズと締め具合を確かめ頭を正中に保つ。頸椎の評価は急性脊髄損傷の初期診療と集中治療も参照。挙上の角度を変えたら、脳室ドレーンのトランスデューサーの高さも見直す。 […]
[…] 急性脊髄損傷の初期診療と集中治療 […]
[…] […]
[…] 国内の口腔顎顔面外傷診療ガイドライン(2025改訂版)も、下顎骨骨折(特に両側)やLe Fort Ⅱ/Ⅲ型骨折などの顔面多発骨折、意識障害を伴う頭部外傷では頸椎損傷を伴うことも多いとする[3]。EASTのBCVI指針が示すDenver基準の危険因子には、転位のある中顔面骨折(Le Fort II・III型)と下顎骨骨折が含まれる[13]。血管はBCVIの記事、頸椎・脊髄は急性脊髄損傷の記事で扱う。 […]
[…] 骨盤骨折:WTAは高リスクに挙げる[1]。予防なしの時代の研究ではDVTが61%にみられた[14]。手術を受けた四肢骨折と、手術の有無を問わない骨盤・寛骨臼骨折はPREVENT CLOTの対象である(8節)。止血の考え方は骨盤骨折出血、脊髄損傷の急性期管理は急性脊髄損傷の初期診療と集中治療を参照。 […]
[…] […]