外傷手技|輪状甲状膜切開:CICOで迷わないScalpel–Bougie–Tube

輪状甲状膜切開のアイキャッチ:紺地に『輪状甲状膜切開』とCRICOTHYROTOMYの文字

挿管も声門上器具もマスク換気もできず、酸素化を保てない(CICO:cannot intubate, cannot oxygenate)とき、前頸部から気道を確保する輪状甲状膜切開は、ほとんどの医師が一生に数回しか行わない救命手技である。本稿は成人外傷を対象に、DAS 2025・DAS 2015・日本麻酔科学会(JSA)・EAST・JATECの記載、scalpel–bougie–tubeの手順と確認点、輪状甲状膜の同定(触診、laryngeal handshake、超音波)、病院前と救急外来での頻度と成功率、合併症、その後の管理、小児の扱いを、原著と指針で照合して整理する。

  • 輪状甲状膜切開
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医療従事者向け:本記事は教育および一般的な医学情報の提供を目的としています。個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。

目次

まず押さえる要点

  1. CICOを宣言したら、ためらわずに前頸部へ移る。DAS 2025は、挿管(最大3回+より経験のある者の1回)、声門上器具(最大3回)、マスク換気がいずれも失敗したらCICOを宣言し、役割を割り振って直ちに緊急の前頸部気道確保(eFONA)を行うとする[1]。外傷の指針(EAST 2012)も、直視型喉頭鏡でも代替の気道器具・手技でも速やかに挿管できないときに輪状甲状靱帯切開を適切とする(Level 1)[2]。
  2. DAS 2025の標準はscalpel–bougie–tube。迷ったら皮膚は縦に切る。器具は10番のメス、ブジー、6.0 mmのカフ付き気管チューブ。輪状甲状膜を触診で確実に同定できるか、事前に超音波で印を付けた場合を除き、最長8 cmの正中縦切開を既定とした(DAS 2015は触知できれば横の刺入切開、触知できなければ8〜10 cmの縦切開)[1][3]。
  3. 国内の指針は方法の優先が違う。JSAの気道管理ガイドライン2014は、輪状甲状膜が触知できれば市販の穿刺キットを推奨し、頸部を切開しても同定できなければ外科的気管切開が必要とする[4]。JATEC改訂第6版の改訂概要は、輪状甲状靱帯穿刺後のジェット換気を推奨しないとした[5]。どの方法を施設の第一選択にするかを、事前に決めておく必要がある(本稿の解釈)。
  4. 外科的気道はまれで、成功率は方法と場面で違う。日本外傷データバンク(JTDB)の成人外傷198,182例で緊急の前頸部気道確保は0.24%だった[6]。病院前の系統的レビュー(69研究)の統合成功率は外科的方法92.0%(95%CI 88.0〜95.0%)、穿刺法52.0%(同28.0〜76.0%)で、研究の質は低い〜非常に低い[7]。
  5. 入った後が終わりではない。換気を波形カプノグラフィで確かめ、片肺挿管と気胸を除外し、適切な外科医が次の気道管理を判断する[1]。緊急の輪状甲状膜切開を長期の気道とする根拠は不十分とし、時機をみて気管切開へ切り替えるよう勧める系統的レビューがある[8]。

対象と扱わない範囲

対象:救急外来・手術室・病院前で、成人外傷患者の気道確保に失敗しCICOとなった場面での、外科的な輪状甲状膜切開(scalpel–bougie–tube)。適応の判断、準備、同定、手順、合併症、その後の管理、国内での運用を扱う。本稿の手順の記述は、DAS 2025の19段階の手順[1]とDAS 2015の説明[3]で確かめた範囲に限った。

扱わない範囲:

用語:JSAの指針は「輪状甲状膜」、JATECの改訂概要は「輪状甲状靱帯」を用いる[4][5]。本稿は題名に合わせて「輪状甲状膜」とし、引用では原文の語を残した。手技の写真・図・動画は載せない。

1.どれくらいまれで、どれくらい成功するか

研究結果国内の外傷:JTDBの成人外傷198,182例(2004〜2017年)では、緊急の前頸部気道確保は467例(0.24%)で、予測スコアの項目には、開眼、受傷機転、口腔・顎顔面の損傷、頸部・気管の損傷、救急隊による気道管理が含まれた(検証群のC統計量0.820)[6]。救急外来で挿管された成人の鈍的外傷17,036例(2004〜2014年)では、外科的気道(輪状甲状靱帯切開または気管切開)は開発群1.4%・検証群1.2%で、男性・顔面の損傷・頸部の損傷の3項目がそろうと25.0%だった(検証群)[9]。国内13施設の救急外来の多施設前向き登録(JEAN、2010年3月〜2012年8月)で挿管された外傷723例では、最初の方法として輪状甲状膜切開が選ばれたのは2.2%(95%CI 1.4〜3.6%)、心停止を除くと0.4%(同0.1〜1.5%)だった[10]。

研究結果米国の外傷登録:ACS TQIPの2017〜2022年のデータで、救急外来で気管挿管または外科的気道を受けた238,128例のうち、外科的気道は2,264例(約0.95%)で、両方の記録があるのは428例だった。著者らは、外科的気道はまれだが、この登録では最初の気道確保として使われることが多いとした。顔面の損傷は外科的気道と関連した(調整オッズ比3.41、95%CI 2.83〜4.11)[11]。

研究結果病院内の重大な気道合併症(英国NAP4):英国の全NHS病院から1年間集めた重大な気道合併症184件のうち、緊急の外科的気道が試みられたのは80件(43%)だった。麻酔中の58件では、外科医が33件、麻酔科医が25件を行い、麻酔科医の25件のうち気道を救えたのは9件だった。最初の方法が細径(2 mm以下)のカニューレによる輪状甲状膜穿刺だった19件のうち12件は失敗し、緊急気管切開はすべて成功した[12]。救急外来では外科的気道10件に完全な失敗はなかったが、針による輪状甲状膜穿刺3件はすべて失敗し、外科的または経皮的な方法に置き換えられた[13]。

研究結果病院前:病院前の前頸部気道確保の系統的レビュー(データベース開始〜2022年7月、69研究:低品質33・非常に低品質36、試行3,292件のうち解析可能1,229件)では、統合成功率は88.0%(95%CI 85.0〜91.0%)で、外科的方法92.0%(同88.0〜95.0%)、穿刺法52.0%(同28.0〜76.0%)だった。担い手別では医師主体のチーム89.0%(同83.0〜93.0%)、パラメディック主体90.0%(同86.0〜94.0%)、フライトナース94.0%(同86.0〜98.0%)、軍81.0%(同69.0〜89.0%)だった。著者らは、成功の定義が研究ごとに異なり、換気と低酸素の回避まで達成したかは必ずしも明らかでないとしている[7]。

研究結果救急外来の実際:症例数の多い米国の救急外来1施設の録画研究(2007〜2020年、挿管約10,000件中25例)では、原因は心停止11例(44%)、気道閉塞と外傷9例(36%)が多く、来院から切開までの中央値は24分(IQR 7〜33分)だった。1例を除き開放的な外科的方法で、多くは正中の皮膚切開の後に輪状甲状膜を切るメス・フック・ブジーの方法だった。最短24秒、最長685秒で、最も時間を要したのは皮膚切開からフックまたは指を置くまでの段階(中央値48秒、IQR 22〜78秒)だった。成功は22例(88%、95%CI 69〜97%)、気道管理に起因する死亡または慢性の障害は3例(12%)で、著者らは時機を逸さず熟練した切開を行うことの重要性を強調した[14]。オーストラリアの主要外傷センター救急外来の8年間では、挿管1,805例のうち輪状甲状膜切開は4例(0.22%、約2年に1例)で、scalpel–finger–bougie–tubeで全例成功し、全例が事前に献体で練習した医師によるものだった[15]。

本稿の解釈いずれの頻度も1%前後かそれ以下で、個々の医師が経験を積める手技ではない。成功率の研究は小規模の症例集積と登録研究が中心で、成功の定義も揃わない。数字は「このくらい起こり、このくらい失敗し得る」目安として読み、技法の優劣の証明とは読まない。

2.適応:いつCICOを宣言するか

指針DAS 2025は、成人の予期しない挿管困難を、挿管(Plan A)、声門上器具による換気(Plan B)、マスク換気(Plan C)、緊急の前頸部気道確保(Plan D)の直線的なアルゴリズムで示す。挿管は最大3回に、より経験のある者の最後の1回を加えた「3+1」、声門上器具の挿入は最大3回とし、マスク換気もできなければCICOを宣言し、役割を割り振り、直ちにPlan Dへ進む。Plan A〜Cが失敗しCICOであれば、eFONAを行わなければならない(must)とする[1]。eFONAの前には、可能であれば頸部を最大に伸展し、筋弛緩薬を十分量投与する。前頸部の操作の間も、声門上器具・マスク・鼻カニューレで上気道から酸素を与え続ける[1]。推奨は系統的レビュー(1,241論文)と3回のデルファイ法で作られ、根拠の水準は改変したOxford方式(A〜D)で示された[1]。

指針JSAの気道管理ガイドライン2014(麻酔導入時を主な対象)は、カプノグラムの波形で換気を3段階(V1〜V3)に分け、最大限の努力にもかかわらず声門上器具での換気がV3(波形なし)のときは、重篤な低酸素血症に進む前にレッドゾーン(緊急領域)へ移るとする。レッドゾーンでは、まず外科的気道確保器具を要請し、不整脈や心停止に備えて救急カートも要請する[4]。

指針外傷ではEAST 2012が、直視型喉頭鏡で速やかに挿管できないときの救済手段として、声門上器具、ガムエラスティックブジー、ビデオ喉頭鏡、外科的輪状甲状靱帯切開を並べ(Level 2)、直視型喉頭鏡でも代替の気道器具・手技でも速やかに挿管できないときに輪状甲状靱帯切開を適切とする(Level 1)[2]。JATEC改訂第6版の改訂概要は、気道緊急で経口挿管ができない場合に、外科的気道確保までに声門上器具による気道確保を採用する機会を設けた[5]。

禁忌について:本稿で確認したDAS 2025、DAS 2015、JSA 2014、EAST 2012には、CICOで前頸部気道確保を行わない理由としての禁忌の列挙は見当たらなかった。示されている条件は、成人が対象であること(DAS 2025)、小児の外傷気道を検討していないこと(EAST 2012)[1][2]、頸部を切開しても輪状甲状膜を同定できなければ外科的気管切開が必要であること(JSA 2014)[4]である。喉頭・気管そのものの損傷がある場合の方法の選び方は、本稿で確認した指針には記載がなく未確認である。

本稿の解釈外傷では、顔面の損傷や口腔内の出血でPlan B・Cが成り立ちにくい場面、頸部の損傷で前頸部の解剖が変わる場面があり得る。JTDBとTQIPで顔面・頸部の損傷が外科的気道と関連したこと[6][9][11]は、こうした患者で最初から前頸部の準備(器具を開ける、担当者を決める、輪状甲状膜に印を付ける)をしておく理由になる。頸椎損傷が否定できない外傷患者で、頸部の伸展をどこまで許すかを定めた記載は、本稿で確認した指針には見当たらなかった(DAS 2025は「可能であれば」と条件を付けている)[1]。

3.準備と器具

  • 指針器具(DAS 2025):10番のメス、ブジー(先端が曲がったcoudé tip)、6.0 mmの気管チューブ(カフ付き)の3点[1]。DAS 2015は、気管チューブと同じ幅の広い刃が必須とし、チューブに潤滑剤を付けるとしている[3]。
  • 指針立ち位置:右利きなら患者の左側に立つ(左利きなら逆)[1]。
  • 指針確認の器具:換気の確認は波形カプノグラフィで行う[1]。NAP4では、カプノグラフィを使わなかったことが、ICUと救急外来での死亡・持続する神経障害の74%に寄与していた[13]。
  • 本稿の解釈外傷初療室での準備:3点の器具を気道カートの決まった場所にまとめ、挿管の担当とは別に前頸部の担当を決めておく。顔面・頸部の損傷がある患者では、導入の前に輪状甲状膜の位置を確かめて皮膚に印を付けておく(4節)。

4.輪状甲状膜を見つける:触診・laryngeal handshake・超音波

触診は当てにならない。DAS 2025は、輪状甲状膜を触診で見つけることは予定手術の場面でも信頼できず、超音波を使わなければ輪状軟骨と周囲の構造の位置の判断は不正確になりやすいとする[1]。超音波の総説が引用する研究では、触診による同定の成功は医師18人の研究で30%、肥満の女性で0〜6%だった[16]。

laryngeal handshake:DAS 2015は、利き手でない手で舌骨と甲状軟骨板を確かめ、母指と中指で喉頭を挟んで固定し、頸部を下へたどって示指で輪状甲状膜を触れる方法として説明した[3]。研究結果全身麻酔下の女性で、標準の触診45例とlaryngeal handshake 45例を順に比べた非無作為化の研究では、正しい同定(膜の上下端の間、かつ正中から5 mm以内)は33%対62%(差29%、95%CI 21〜39%)、同定までの時間は18秒対31秒だった。肥満の患者では0%対42%だった。著者らは、前後比較の設計で交絡とバイアスを受けやすいことを限界に挙げている[17]。

超音波:DAS 2025は、困難な気道管理が予想される患者では、導入前に超音波で輪状甲状膜を同定して印を付けることが有益とする[1]。総説は、高周波リニアプローブを用いる2つの方法を示す。横断走査で甲状軟骨(高エコーの三角形)から尾側へ動かし、輪状甲状膜(高エコーの線)、輪状軟骨(白い縁取りの「横に寝たC」)を確かめてから少し頭側へ戻る方法(TACA)と、胸骨上の気管から縦断走査に回転させて頭側へたどり輪状軟骨を見つける方法(string of pearls)である[16]。研究結果総説が引用する無作為化試験では、構造化した短い訓練の後、病的肥満の対象者での同定の成功は超音波83%、触診37%で、6か月後も78%対33%だった[16]。いずれも麻酔導入前の予定の場面の研究で、CICOの最中に超音波を使って時間を短縮できるかは示されていない(本稿の解釈)。

解剖の目安(日本人の献体):献体9体(男性7、女性2)の検討では、上甲状腺動脈からの輪状甲状枝が9体すべてで輪状甲状靱帯の上方1/3を走り、6体で下行する血管、4体で錐体葉が膜の中央付近にあった。膜の高さは男性10.1 mm、女性9.3 mm、輪状軟骨上縁の高さでの左右の輪状甲状筋の間隔は男性9.2 mm、女性6.0 mmだった[18]。例数が少ない研究で、切開の位置やチューブの太さの推奨を直接導くものではない(本稿の解釈)。

5.手順:scalpel–bougie–tube の段階と確認点

DAS 2025の19段階の手順[1]を、次の段階へ進む前に確かめることで区切って示す。確認点のうち、原文の手順に明示されていないものは「本稿の整理」とした。

  1. 同定と固定:頸部を最大に伸展した状態で喉頭の解剖を確かめ、利き手でない手で正中を捉え、皮膚に張力をかけて喉頭を固定する。→ 次へ進む前に:輪状甲状膜を触診で確実に同定できるか、超音波の印があるか(本稿の整理)。
  2. 皮膚切開(既定は縦):正中に最長8 cmの縦切開を、尾側から頭側へ入れる。両手の指で鈍的に組織を分け、利き手でない手で喉頭を捉えて固定し、示指で輪状甲状膜を確かめる。触診で確実に同定できるか事前に超音波で印を付けた場合に限り、皮膚と膜を一度に貫く横の刺入切開を選べる。→ 次へ:指先で輪状甲状膜を触れているか。
  3. 膜の切開と回転:メスを利き手に持ち、刃を術者側に向けて輪状甲状膜を横に刺入切開する。メスを皮膚に垂直に保ったまま90度回し、刃を尾側(足側)に向ける。持ち手を替えて利き手でない手でメスを持ち、柄を垂直に保ったまま術者側(外側)へ軽く引いて開口を保つ。→ 次へ:開口が保たれているか(本稿の整理)。
  4. ブジー:利き手でブジーを持ち、曲がった先端をメスの刃の側面に沿わせて気管内へ滑り込ませ、気管の走行に合わせて回し、10〜15 cm進めてからメスを抜く。
  5. チューブ:気管を固定し皮膚に張力をかけ、利き手でない手でブジーを保持して、6.0 mmのカフ付き気管チューブを回しながらブジーに沿って進め、ブジーを抜く。
  6. 確認と固定:カフを膨らませ、100%酸素で換気し、波形カプノグラフィで換気を確かめてから固定する。→ 次へ:カプノグラムの波形が続くか。

指針2015年版からの変更:DAS 2015は、触知できる膜には横の刺入切開、触知できない膜には8〜10 cmの正中縦切開という使い分けで、「stab, twist, bougie, tube」と要約した[3]。DAS 2025は、縦の皮膚切開は触知できる膜にもできない膜にも使え、横の刺入切開は触診で正しく同定できるか超音波で印を付けた場合にしか使えないとして、触知できるかが明示的に評価・決定されていないか不確かなら、縦切開を既定とするよう推奨した[1]。一方で、臨床の状況に応じて対応すべきで、ほかのscalpel–bougie–tubeの方法も許容されるとしている[1]。救急外来の録画研究では、フックを併用する方法が多く用いられていた[14]。

6.方法の比較:メスか、穿刺キットか、針か

研究結果市販キットと外科的方法・針による方法を比べた24研究(マネキン、動物、ヒト)の系統的レビューでは、どの方法も他より優れるとは示されなかったが、研究が小さく、根拠の質は低い〜非常に低いため、同等とも言えないとされた[19]。外科的気道の経験がない医学生20人が献体60体で3つの方法を無作為の順に行った交差試験では、3分以内の成功は外科的方法95%、QuickTrach II 55%、Melker 50%(P=0.025)で、成功例の所要時間は94±35秒、77±34秒、149±24秒だった[20]。救急医と米空軍の救難員99人を穿刺法(51人)と外科的方法(48人)に無作為に割り付け、30分の講義の後に未固定の献体で1回行わせた2026年の研究では、完了時間の中央値は56.5秒対65秒(差8秒、有意差なし)、初回成功は94%対94%、合併症は27%対33%(P=0.52)だった[21]。献体の研究は出血や低酸素の時間的な圧力がなく、実臨床の成功率にそのまま置き換えられない(本稿の解釈)。

指針細いカニューレについて、DAS 2015は、内径4 mm未満では高圧の酸素源でしか換気できず、重大な圧損傷の危険があり、使用は経験のある臨床医に限るべきとした。セルジンガー法の太いカニューレの器具もあるが、外科的輪状甲状膜切開の方が速く確実であることを根拠が示すとしている[3]。DAS 2025は、2015年版がeFONAの方法をカニューレからメスの方法へ大きく転換させたことを踏まえ、scalpel–bougie–tubeを示した[1]。JSA 2014は、直接穿刺型のキットは迅速だが気管外への誤挿入などの重篤な合併症の報告があり、セルジンガー型は時間がかかるが重篤な合併症は少ないと考えられるとし、太い静脈留置針による穿刺は他に手段がない場合を除き推奨せず、緊急時のジェット換気は熟練者に限るとした[4]。

本稿の解釈臨床の成績(NAP4、病院前の系統的レビュー)は外科的方法の成功が高いことと合うが[7][12][13]、方法を無作為に比べた臨床試験はない。献体の試験の結果は、訓練の内容と器具によって変わる。

7.よくある失敗と合併症、その後の管理

  • 研究結果決断と到達の遅れ:救急外来の録画研究では、来院から切開までの中央値が24分で、手技の中で最も時間を要したのは皮膚切開から膜に指やフックを置くまで(中央値48秒)だった。気道管理に起因する死亡・慢性の障害は25例中3例だった[14]。
  • 研究結果チューブの位置の異常:病院前の系統的レビューは、合併症として主気管支への挿管と皮下気腫を挙げている[7]。オーストラリアの4例では2例が右主気管支に入っていた[15]。DAS 2025は、成功して患者が安定したら片肺挿管と気胸を除外するよう求める[1]。
  • 研究結果早期と晩期の合併症:緊急の輪状甲状膜切開と気管切開を比べた21研究(観察研究20、無作為化試験1。輪状甲状膜切開725件、気管切開282件)の系統的レビューでは、軽微・重大・早期(7日以内)の合併症に有意差はなく、晩期の合併症は気管切開で多かった(オッズ比0.21、95%CI 0.20〜0.22)。報告された合併症には出血、感染、誤挿入、声門下狭窄があった[8]。
  • 指針ジェット換気:JATEC改訂第6版の改訂概要は、縦隔気腫などの圧損傷の合併症が少なくないとして、輪状甲状靱帯穿刺後のジェット換気を推奨しないとした[5]。

その後の管理(definitive airwayへ):DAS 2025は、eFONAの後、適切な外科医が次の気道管理を判断することを求め、関わった職員への心理的支援、困難気道であったことの患者とかかりつけ医への口頭・文書での伝達も推奨する[1]。DAS 2015は、前頸部気道確保を要したすべての事例を部門の気道担当者が見直し、合併症検討会で扱うよう勧めた[3]。緊急の輪状甲状膜切開が長期の気道として使えるとする根拠は不十分で、時機をみて気管切開へ切り替えるべきとする系統的レビューの著者の勧告がある[8]。切り替えの時期を比べた研究は、本稿の検索では確認できなかった。

本稿の解釈外傷患者では、気道の確保後も止血と蘇生が続く。チューブの深さ、カフ圧、固定、頸部の出血を手術室・CT・ICUへの移動のたびに確かめ、どの科が気管切開への切り替えと声門下の評価を担うかを記録に残して引き継ぐ。

8.小児の扱い

DAS 2025は成人の指針で、EAST 2012は小児の外傷気道を検討していない[1][2]。英国の小児麻酔の学会(APA)とDASは、デルファイ法を用いて、1〜8歳の小児の予期しない困難気道の急性期管理について3つの指針を作成した[22]。本稿ではその本文を取得できず、CICOでどの方法を勧めているかは未確認である。JSA 2014は、小児では根拠も経験も少なく、体格の幅が大きいため、使える外科的気道確保器具が非常に限られるとする[4]。

研究結果病院前の系統的レビューで小児のみを対象とした5研究(29例)の統合成功率は74.0%(95%CI 56.0〜87.0%、22/29例)で、著者らは小児で最適な方法を決める根拠は不十分とした[7]。米国のTQIPでは、救急外来の外科的気道のうち82例が15歳未満の小児で、最年少は1歳だった[11]。小児は体格・器材・用量の考え方が成人と異なるため、初期診療の全体は小児外傷の初期診療:年齢・体重・画像検査・搬送をつなぐ実践ガイドを参照し、小児のCICOの方法は施設の小児麻酔・耳鼻咽喉科と事前に決めておく(本稿の解釈)。

指針の比較表

指針(年)対象・場面前頸部へ移る条件推奨する方法同定・切開針・ジェット換気
DAS 2025[1]成人の予期しない挿管困難(想定する術者は麻酔科医のほか集中治療・救急・病院前の医師)挿管3+1回、声門上器具3回、マスク換気が失敗しCICOscalpel–bougie–tube(10番メス、ブジー、6.0 mmカフ付き)縦切開(最長8 cm)が既定。横の刺入切開は触知確実または超音波で印がある場合カニューレからメスへの転換を維持
DAS 2015[3]同上CICOstab, twist, bougie, tube触知できれば横の刺入切開、できなければ8〜10 cmの縦切開。laryngeal handshake内径4 mm未満は高圧酸素源が必要で圧損傷の危険。経験者に限る
JSA 2014[4]麻酔導入時声門上器具で換気V3(レッドゾーン)市販の穿刺キット(直接穿刺型・セルジンガー型)触知できれば穿刺キット。同定できないかキットがなければ皮膚を2〜3 cm縦に切開し、膜の横切開からキットか小口径のカフ付きチューブを挿入。切開しても同定できなければ気管切開太い静脈留置針は原則推奨せず。ジェット換気は熟練者に限る
EAST 2012[2]外傷直後の緊急挿管(小児は検討外)直視型喉頭鏡でも代替の器具・手技でも速やかに挿管できない(Level 1)輪状甲状靱帯切開記載なし記載なし
JATEC改訂第6版(改訂概要)[5]外傷初期診療経口挿管不能の気道緊急。外科的気道の前に声門上器具の機会本文未取得本文未取得穿刺後のジェット換気は推奨しない

根拠の比較表

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出典(年)デザイン対象介入・比較主な結果限界と診療への意味
Okada(2020)[6]JTDB後ろ向き(予測モデル)成人外傷198,182例(2004〜2017年)—緊急の前頸部気道確保467例(0.24%)。検証群C統計量0.820術式の内訳は抄録になし
Hayashida(2018)[9]JTDB後ろ向き(予測スコア)救急外来で挿管された成人鈍的外傷17,036例qSAT 0〜3点外科的気道1.2〜1.4%。3点で25.0%(検証群)気管切開を含む。方法の優劣は示さない
Nakao(2015)[10]多施設前向き登録(JEAN、13施設)救急外来で挿管された外傷723例—最初の方法が輪状甲状膜切開2.2%(95%CI 1.4〜3.6%)、心停止除く0.4%救済としての切開の数は本文で確認できず
Krepps(2024)[11]TQIP後ろ向き救急外来の挿管・外科的気道238,128例(2017〜2022年)外科的気道対挿管のみ外科的気道2,264例。顔面損傷OR 3.41(2.83〜4.11)。24時間生存76%対83%登録データ。生存差は重症度の違いを含む
Cook(NAP4、2011)[12][13]全国1年間の事例収集重大な気道合併症184件—細径カニューレ19件中12件失敗。緊急気管切開は全例成功。救急外来の針3件は全例失敗該当事例のうち報告されたのは25%程度にとどまる可能性(著者)
Morton(2023)[7]系統的レビュー・メタ解析病院前69研究(解析1,229件)外科的方法対穿刺法全体88.0%(85.0〜91.0%)、外科的92.0%、穿刺法52.0%低〜非常に低品質。成功の定義が不統一
Merkle(2025)[14]単施設後ろ向き(録画)救急外来の輪状甲状膜切開25例—成功88%(69〜97%)。来院から切開24分。起因する死亡・障害12%小規模。外傷は一部
Groombridge(2025)[15]単施設後ろ向き+調査外傷センター救急外来の挿管1,805例—輪状甲状膜切開4例(0.22%)、全例成功。右主気管支2例4例のみ
Drew(2018)[17]非無作為化の前後比較全身麻酔下の女性90例laryngeal handshake対標準の触診正しい同定62%対33%(差29%、21〜39%)予定の場面。CICOでの効果は不明
Langvad(2013)[19]系統的レビュー24研究(マネキン・動物・ヒト)キット対外科的方法・針どの方法も優越を示さず小規模で根拠の質が低い
Heymans(2016)[20]無作為化交差試験(献体)未経験の医学生20人、献体60体外科的方法対QuickTrach II対Melker3分以内の成功95%、55%、50%献体・未経験者。出血なし
Boccio(2026)[21]無作為化比較(献体)救急医・救難員99人穿刺法対外科的方法完了56.5秒対65秒(有意差なし)。初回成功94%対94%1回のみの施行。換気の成否は評価外
Zasso(2020)[8]系統的レビュー21研究、輪状甲状膜切開725件・気管切開282件輪状甲状膜切開対気管切開早期合併症に差なし。晩期は気管切開で多い観察研究が中心

評価時点について:頻度の研究は初療(救急外来)での施行、Krepps 2024の生存は24時間と退院時、Merkle 2025の成功と死亡・障害の定義と評価時点は、抄録からは分からない。献体の研究は手技の完了(Heymansは3分以内)、Zasso 2020の早期合併症は7日以内である。Morton 2023の成功の評価時点は研究ごとに異なる。

日本で実施するとき

  • JATEC:改訂第6版の改訂概要は、確実な気道確保のアルゴリズムを簡素化し、経口挿管ができない気道緊急で外科的気道確保までに声門上器具を用いる機会を設け、輪状甲状靱帯穿刺後のジェット換気を推奨しないとした[5]。外科的輪状甲状靱帯切開の手順(切開の向き、ブジーの使用、チューブの太さ)を本文でどう記載しているかは、本文を取得できず未確認である。
  • JSAの気道管理ガイドライン2014:日本語訳(2015年3月制定、4月改訂)が学会から公開されている。触知できる場合の市販穿刺キットの推奨、成人用キットの多くが内径4 mmのチューブであること、同定できなければ気管切開という記載は[4]、DAS 2025のscalpel–bougie–tubeを既定とする考え方[1]と異なる。対象は麻酔導入時である。
  • 国内の頻度:JTDBの0.24%[6]、JEANの2.2%(心停止を除くと0.4%)[10]という頻度では、個々の医師が実症例で習熟することは期待できない。DAS 2025は、気道を管理するすべての者がeFONAの訓練を定期的に受けるべきとする[1]。
  • 診療報酬・器材:輪状甲状膜切開に対応する診療報酬の区分と点数は、本稿では公式資料で確認できず未確認である。市販の穿刺キットは添付文書に従う。個々の製品の国内の承認状況は確認していない。
  • 動画:NEJMのVideos in Clinical Medicineに「Cricothyroidotomy」(2008年)がある[23]。本稿では出版社のページを開けず、内容と視聴条件(購読の要否)は未確認である。

施設で決めておくこと(本稿の解釈):

  • 成人の第一選択の方法(scalpel–bougie–tubeか穿刺キットか)と、その器具を置く場所。初療室・手術室・ICUで同じ構成にするか。
  • 外傷の気道で、挿管の担当と前頸部の担当を誰にするか(救急科・外傷外科・麻酔科)。顔面・頸部の損傷がある患者で、導入前に輪状甲状膜に印を付けるか。
  • 小児のCICOの方法と担当(小児麻酔・耳鼻咽喉科・小児外科)。
  • 施行後の気管切開への切り替えと声門下の評価を担う科、事例の見直しと記録の方法。

まだ分からないこと

  • 臨床でscalpel–bougie–tubeと穿刺キットを無作為に比べた試験はない。献体の試験は結果が一致しない[20][21]。
  • 気管チューブの太さ。DAS 2025は6.0 mmとするが、2026年にはeFONAのチューブ径の見直しを論じた書簡が出ている(題名のみ確認)[24]。日本人の献体9体(女性は2体)では、輪状軟骨上縁の高さでの輪状甲状筋の間隔が女性で狭かった[18]。
  • CICOの最中に超音波を使うことが、時間と成功率に利益があるか[16]。
  • 喉頭・気管の損傷、頸椎損傷の疑いがある外傷患者での方法の選び方と、気管切開へ切り替える時期。
  • 小児で最適な方法[7]。

文献

  1. Ahmad I, El-Boghdadly K, Iliff H, Dua G, Higgs A, Huntington M, Mir F, Nouraei SAR, O’Sullivan EP, Patel A, Rivett K, McNarry AF. Difficult Airway Society 2025 guidelines for management of unanticipated difficult tracheal intubation in adults. Br J Anaesth. 2026;136(1):283-307. doi:10.1016/j.bja.2025.10.006. PMID: 41203471.
  2. Mayglothling J, Duane TM, Gibbs M, McCunn M, Legome E, Eastman AL, Whelan J, Shah KH. Emergency tracheal intubation immediately following traumatic injury: an Eastern Association for the Surgery of Trauma practice management guideline. J Trauma Acute Care Surg. 2012;73(5):S333-S340. doi:10.1097/TA.0b013e31827018a5. PMID: 23114490. 学会公開版:EAST公式ページ.
  3. Frerk C, Mitchell VS, McNarry AF, Mendonca C, Bhagrath R, Patel A, O’Sullivan EP, Woodall NM, Ahmad I; Difficult Airway Society intubation guidelines working group. Difficult Airway Society 2015 guidelines for management of unanticipated difficult intubation in adults. Br J Anaesth. 2015;115(6):827-848. doi:10.1093/bja/aev371. PMID: 26556848.
  4. Japanese Society of Anesthesiologists. JSA airway management guideline 2014: to improve the safety of induction of anesthesia. J Anesth. 2014;28(4):482-493. doi:10.1007/s00540-014-1844-4. 日本語訳:日本麻酔科学会. 日本麻酔科学会気道管理ガイドライン2014(日本語訳). https://anesth.or.jp/files/pdf/20150427-2guidelin.pdf(2026年9月25日閲覧).
  5. 日本外傷診療研究機構. JATEC コースに関連する改訂の概要(外傷初期診療ガイドライン改訂第6版). https://www.jtcr-jatec.org/JATEC6th_kaiteigaiyo.pdf(2026年9月25日閲覧).
  6. Okada Y, Hashimoto K, Ishii W, Iiduka R, Koike K. Development and validation of a model to predict the need for emergency front-of-neck airway procedures in trauma patients. Anaesthesia. 2020;75(5):591-598. doi:10.1111/anae.14895. PMID: 31788784.
  7. Morton S, Avery P, Kua J, O’Meara M. Success rate of prehospital emergency front-of-neck access (FONA): a systematic review and meta-analysis. Br J Anaesth. 2023;130(5):636-644. doi:10.1016/j.bja.2023.01.022. PMID: 36858888.
  8. Zasso FB, You-Ten KE, Ryu M, Losyeva K, Tanwani J, Siddiqui N. Complications of cricothyroidotomy versus tracheostomy in emergency surgical airway management: a systematic review. BMC Anesthesiol. 2020;20:216. doi:10.1186/s12871-020-01135-2.
  9. Hayashida K, Matsumoto S, Kitano M, Sasaki J. Predictive value of quick surgical airway assessment for trauma (qSAT) score for identifying trauma patients requiring surgical airway in emergency room. BMC Emerg Med. 2018;18:48. doi:10.1186/s12873-018-0203-4. PMID: 30497393.
  10. Nakao S, Kimura A, Hagiwara Y, Hasegawa K. Trauma airway management in emergency departments: a multicentre, prospective, observational study in Japan. BMJ Open. 2015;5(2):e006623. doi:10.1136/bmjopen-2014-006623.
  11. Krepps AR, Douin DJ, Winkle JM, Wright FL, Fisher AD, April MD, Schauer SG. Characterizing emergency department surgical airway placement in the setting of trauma. Am J Emerg Med. 2024;85:48-51. doi:10.1016/j.ajem.2024.08.032.
  12. Cook TM, Woodall N, Frerk C; Fourth National Audit Project. Major complications of airway management in the UK: results of the Fourth National Audit Project of the Royal College of Anaesthetists and the Difficult Airway Society. Part 1: anaesthesia. Br J Anaesth. 2011;106(5):617-631. doi:10.1093/bja/aer058.
  13. Cook TM, Woodall N, Harper J, Benger J; Fourth National Audit Project. Major complications of airway management in the UK: results of the Fourth National Audit Project of the Royal College of Anaesthetists and the Difficult Airway Society. Part 2: intensive care and emergency departments. Br J Anaesth. 2011;106(5):632-642. doi:10.1093/bja/aer059.
  14. Merkle F, Robinson AE, Reardon RF, Driver BE. Cricothyrotomy in the emergency department: a video review study. J Emerg Med. 2025;78:214-223. doi:10.1016/j.jemermed.2025.08.013. PMID: 41005264.
  15. Groombridge C, Maini A, Helsloot D, Luckhoff C, Fitzgerald M. Emergency surgical airway experience from an Australian major trauma centre emergency department. Scand J Trauma Resusc Emerg Med. 2025;33:104. doi:10.1186/s13049-025-01413-3.
  16. Kristensen MS, Teoh WH, Rudolph SS. Ultrasonographic identification of the cricothyroid membrane: best evidence, techniques, and clinical impact. Br J Anaesth. 2016;117(Suppl 1):i39-i48. doi:10.1093/bja/aew176.
  17. Drew T, McCaul CL. Laryngeal handshake technique in locating the cricothyroid membrane: a non-randomised comparative study. Br J Anaesth. 2018;121(5):1173-1178. doi:10.1016/j.bja.2018.07.034.
  18. Miyamoto M, Saito K, Nagase M. 日本人における輪状甲状靭帯部分の解剖学的検討. 日本気管食道科学会会報. 2021;72(4):187-195. doi:10.2468/jbes.72.187.
  19. Langvad S, Hyldmo PK, Nakstad AR, Vist GE, Sandberg M. Emergency cricothyrotomy – a systematic review. Scand J Trauma Resusc Emerg Med. 2013;21:43. doi:10.1186/1757-7241-21-43. PMID: 23725520.
  20. Heymans F, Feigl G, Graber S, Courvoisier DS, Weber KM, Dulguerov P. Emergency cricothyrotomy performed by surgical airway-naive medical personnel: a randomized crossover study in cadavers comparing three commonly used techniques. Anesthesiology. 2016;125(2):295-303. doi:10.1097/ALN.0000000000001196. PMID: 27275669.
  21. Boccio E, Levi D, Bonz J, et al. Emergency front-of-neck access: comparing needle and surgical cricothyrotomy using a human cadaver model. West J Emerg Med. 2026;27(4):964-970. doi:10.5811/westjem.52840. PMID: 42550714.
  22. Black AE, Flynn PER, Smith HL, Thomas ML, Wilkinson KA. Development of a guideline for the management of the unanticipated difficult airway in pediatric practice. Paediatr Anaesth. 2015;25(4):346-362. doi:10.1111/pan.12615.
  23. Hsiao J, Pacheco-Fowler V. Cricothyroidotomy. N Engl J Med. 2008;358(22):e25. doi:10.1056/NEJMvcm0706755.
  24. Noakes K, Paterson SM. Difficult Airway Society 2025 guidelines for management of unanticipated difficult tracheal intubation in adults: rethinking tracheal tube size for emergency scalpel cricothyroidotomy. Br J Anaesth. 2026;137(4):1267-1268. doi:10.1016/j.bja.2026.06.027.

医学的内容の最終確認日・確認範囲

文献ごとの確認範囲を開く(最終確認日:2026年9月26日)

医学的内容の最終確認日:2026年9月26日(著者確認)。文献照合日:2026年9月26日(日本時間)。文献の検索・照合は2026年9月25〜26日に行った。出版社の論文ページ、Crossref・OpenAlex・Semantic Scholarの書誌、PubTator3(PubMedの抄録)、Europe PMC、J-STAGE、学会・公的機関の公式ページを直接開いて確認した。Europe PMC・OpenAlex・Semantic Scholar・NCBIの一部の経路には、接続できない時間帯があった。数値・用量・適用条件を含む医学的内容は、2026年9月26日に著者(医師)が確認した。

  • 本文を確認:[1](出版社ページ。Plan D の推奨と19段階の手順、試行回数、超音波、施行後の管理、根拠の水準の方法)、[3](出版社ページ。laryngeal handshake、手順、カニューレの記載、事例の見直し)、[4](学会公開の日本語訳。レッドゾーンの定義と対応、穿刺キット、静脈留置針、ジェット換気、小児)、[7](出版社ページ。抄録、担い手別と小児の統合成功率)、[8](出版社の公開本文。抄録と群別の件数、研究デザイン、著者の勧告)、[10](出版社の公開本文。抄録と輪状甲状膜切開の割合)、[12] [13](出版社ページ。抄録と外科的気道の結果)、[15](出版社の公開本文)、[16](出版社ページ。抄録、2つの走査法、訓練と成功率)、[19](出版社の公開本文)。
  • 抄録のみ確認:[6](PubTator3。顔面外傷の記事の検証でもNCBI BioCで照合済み)、[9](出版社ページの抄録と外科的気道の定義)、[11](出版社ページの抄録と、オッズ比・小児の数の記載)、[14] [20] [21](PubTator3のPubMed抄録)、[17](出版社ページの抄録と限界の記載)、[18](J-STAGEの抄録)、[22](Crossrefに登録された抄録。指針の本文は未取得)。本文中の数値は抄録にある範囲に限った。[20]はOpenAlex(文献データベース)が公開する抄録の単語データから復元した抄録で群と成功率の対応が入れ替わっていたため、PubTator3の原文で確かめた値を用いた。
  • 公式情報を確認:[2](EASTの公式ページ。推奨文とLevel、小児を検討していない旨)、[5](日本外傷診療研究機構の公開PDF)。
  • 書誌のみ確認:[23](Crossref。出版社のページは開けず、内容と視聴条件は未確認)、[24](Crossrefと出版社ページの題名。本文は未取得)。
  • 未取得:外傷初期診療ガイドライン改訂第6版の本文、APA/DASの小児困難気道の指針の本文とアルゴリズム、輪状甲状膜切開の診療報酬の区分。
  • 訂正・撤回:[20]はOpenAlexで撤回の登録なし(2026年9月25日確認)。[1] [2] [4] [6] [7] [19] [21]もOpenAlexで撤回の登録なし(2026年9月26日確認)。[2] [6] [9]は顔面外傷の記事の検証(2026年9月23日)で撤回の登録なしと確認されている。そのほかの文献は、制限により訂正・撤回の有無を個別には確認できていない。

更新履歴

更新履歴を開く(全3件・最新:2026年9月26日)
  • 2026年9月26日(著者確認):著者(医師)が数値・用量・適用条件を含む医学的内容を確認した。確認日の表記を更新した。あわせて、確認範囲の記載を読者向けの表現に改め、関連記事と分野の一覧へのリンクを加えた(医学的内容は変えていない)。
  • 2026年9月26日(改訂):原著・指針との照合にもとづき全面改訂した。主な変更は次のとおり。(1)DAS 2025の推奨(CICOの宣言までの試行回数、器具、19段階の手順、縦切開を既定とした変更、施行後の管理)とDAS 2015との違いを加えた。(2)国内のJSA気道管理ガイドライン2014とJATEC改訂第6版の改訂概要、外傷のEAST 2012の推奨を条件ごと示し、指針の比較表を作り直した。(3)輪状甲状膜の同定(laryngeal handshake、超音波、日本人の解剖)を加えた。(4)頻度と成功率(JTDB、JEAN、TQIP、NAP4、病院前の系統的レビュー、救急外来の症例集積)、方法の比較(献体の試験)、合併症と気管切開への切り替えの研究を加え、根拠の比較表を作った。(5)小児の扱い、日本で実施するとき、まだ分からないことを加えた。(6)現行版の「報告手順では6.0 ETTを用いる」は出典が示されていなかったため、DAS 2025・2015の記載として出典を付けた。COVID-19流行下の手技を扱った文献(Fong 2020)は、本稿の主題の根拠に用いないため外した。文献は2件から24件になった。理由:現行版は手順・適応・成績の記載が短く、主要研究の数値、指針の条件、国内での適用、文献ごとの確認範囲が不足していたため。
  • 2026年9月26日(初回公開):外傷手技シリーズの1本として、CICOの認識、scalpel–bougie–tubeの手順(皮膚縦切開、膜の横切開、指での確認、ブジー、カフ付きチューブ)、確認と固定を短く示し、文献2件(Langvad 2013の系統的レビュー、Fong 2020)を付けた概説として公開した。

本記事は医療従事者への教育および一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。実際の診療では、各施設のプロトコルおよび最新の診療ガイドラインをご確認ください。
利益相反:本記事に関連して開示すべき利益相反はありません。

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この記事を書いた人

外科医・救急科専門医。外傷外科、Acute Care Surgery、救急・集中治療領域の診療と研究に従事しています。外傷性凝固障害、出血性ショック、止血蘇生、大量輸血、腹部外傷を中心に、臨床で使えるエビデンスを解説します。

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