重症外傷の鎮痛・鎮静:痛みを抑えながら神経評価と早期離床をどう両立するか

外傷患者の鎮痛・鎮静のアイキャッチ:紺地に『外傷の鎮痛・鎮静』とANALGESIA & SEDATIONの文字

重症外傷の鎮痛・鎮静は、痛みを評価して鎮痛を先に行い、鎮静薬は目的があるときに必要な深さだけ使う、という順番で組み立てる。浅い鎮静と毎日の覚醒確認は一般ICUの無作為化試験で人工呼吸期間を短くしたが、鎮静薬どうしの比較では死亡の差は示されていない。本稿は成人の重症外傷患者を対象に、痛みと鎮静の評価尺度、多角的鎮痛、浅い鎮静と自発覚醒トライアル(SAT)、プロポフォール・デクスメデトミジン・ミダゾラムの主要試験、頭部外傷で深い鎮静が必要な場面との使い分け、オピオイドの離脱までを、外傷に限った根拠と一般ICUからの外挿を分けて整理し、国内の添付文書の用量と使用条件を示す。

  • 鎮痛
  • 鎮静
  • PADIS
  • デクスメデトミジン
  • 人工呼吸

医療従事者向け:本記事は教育および一般的な医学情報の提供を目的としています。個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。

目次

まず押さえる要点

  1. 鎮静薬を足す前に、痛みを測って鎮痛する。米国集中治療医学会(SCCM)のPADISガイドライン(2018)は、評価に基づきプロトコルで段階的に進める鎮痛・鎮静を提案し(条件付き推奨、根拠の質は中等度)、自己申告できない患者ではBPSとCPOTが最も妥当性と信頼性が高いとした[1]。外傷ICUを扱うERAS学会とIATSICの指針(ERATIC、2025)も、非オピオイド・非ベンゾジアゼピン系の薬を組み込んだ鎮痛中心の鎮静を勧めるが、根拠の水準は低く、推奨は弱い[2]。
  2. 浅い鎮静が基本だが、「鎮静しない」ほうが良いとまでは言えない。自発覚醒トライアルと自発呼吸トライアルを組み合わせたABC試験(336例)では、28日間の人工呼吸器非装着日数が14.7日対11.6日(差3.1日、95%CI 0.7〜5.6)に増え、1年死亡のハザード比は0.68(95%CI 0.50〜0.92)だった[3]。一方、無鎮静と、毎日の中断を伴う浅い鎮静を比べたNONSEDA試験(700例)では、90日死亡は42.4%対37.0%(差5.4ポイント、95%CI −2.2〜12.2)で有意差はなかった[4]。
  3. 持続鎮静にはベンゾジアゼピンよりプロポフォールかデクスメデトミジンを使う。ただし、デクスメデトミジンで死亡が減るとは示されていない。PADISの2025年の改訂は、浅い鎮静やせん妄の減少を最優先する人工呼吸患者に限って、デクスメデトミジンをプロポフォールより提案した(条件付き、確実性は中等度)[5]。SPICE III(90日死亡29.1%対29.1%)[6]、敗血症患者のMENDS2[7]、英国のA2B(抜管までの時間に有意差なし。重い徐脈と興奮は増加)[8]は、いずれも主要評価項目で優越を示さなかった。
  4. 頭蓋内圧(ICP)が問題になる頭部外傷は、浅い鎮静の原則の外で管理する。ICPを下げるために鎮静を深くする段階と薬剤ごとの根拠は、頭部外傷の記事で扱う。国内のケタミン製剤は脳圧亢進症と高血圧(収縮期160 mmHg以上、拡張期100 mmHg以上)を禁忌とし、効能は手術・検査・処置時の全身麻酔と吸入麻酔の導入である[9]。
  5. 国内の添付文書の用量範囲は、海外の試験より狭いことがある。デクスメデトミジンの維持量は0.2〜0.7 µg/kg/時で[10]、MENDS2(0.2〜1.5 µg/kg/時)[7]やSEDCOM(0.2〜1.4 µg/kg/時)[11]の上限を下回る。ミダゾラムはショックの患者に禁忌で[12]、プロポフォールは人工呼吸中の鎮静に通常7日を超えて投与しない[13]。

対象と扱わない範囲

対象:ICUに入室した成人の重症外傷患者で、人工呼吸中またはその前後に鎮痛・鎮静を要する患者。扱う問いは、痛みと鎮静の深さをどう測るか、どの鎮痛薬を組み合わせるか、どこまで浅くするか、どの鎮静薬を選ぶか、頭部外傷でいつ浅い鎮静の原則から外れるか、長く使った薬をどう減らすか、である。

扱わない範囲:

読み方:外傷患者に限った根拠は少ない。本稿で外傷患者を対象とする研究は、外傷センター入院患者の多角的鎮痛の試験(MAST)[14]、肋骨骨折のケタミンの試験[15]、外傷ICUの指針(ERATIC)[2]、外傷・外科ICUでBPSを開発した研究[16]である。SAT、浅い鎮静、鎮静薬の比較の主要な無作為化試験は内科・外科の一般ICUの研究で、本稿で確認した抄録には外傷患者の割合の記載がなかった。これらは外傷への外挿として読む。「本稿の解釈」と記した部分は、原著の結果ではなく本稿の読み方である。本稿は検索方法を記録したナラティブレビューで、系統的レビューではない。

1.鎮痛優先:鎮静薬を足す前に痛みを取る

指針PADIS 2018は、重症成人の鎮痛・鎮静を、評価に基づきプロトコルで段階的に進めることを提案した(条件付き推奨、根拠の質は中等度)。この推奨の説明では、鎮静の目標に達するために鎮静薬より先に鎮痛薬(通常はオピオイド)を使う「鎮痛優先の鎮静(analgesia-first sedation)」を、鎮痛を中心とする鎮静(analgosedation)の一つの形として定義している[1]。

指針外傷ICUを扱うERATIC指針(ERAS学会とIATSICの合同、2025)は、「多角的な治療が標準で、鎮静と快適さを尺度の目標に合わせて達成し、近年は鎮痛の側面を重視してオピオイドの節減を試みる」と述べ、非オピオイド・非ベンゾジアゼピン系の薬を組み込んだ多角的鎮痛中心の鎮静と、検証済みの尺度による鎮静度の監視を勧めた(根拠の水準は低、推奨は弱)[2]。

本稿の解釈外傷ICUの患者は、骨折、胸腔ドレーン、開腹創、創外固定に加えて、体位変換、吸引、ドレッシング交換などの処置で繰り返し痛みを受ける。興奮や人工呼吸器との非同調の原因が痛みであれば、鎮静薬を増やしても原因は残る。一方、鎮痛優先は「オピオイドを増やして鎮静薬の代わりにする」ことではない。オピオイドの量は後の離脱の危険とも関係するため(7節)、非オピオイド薬と区域麻酔を組み合わせ、処置の前に先回りして鎮痛する。

指針の比較表

指針(年)対象推奨・声明(原文の条件を含む)強さ・根拠の質
PADIS(2018)[1]重症成人評価に基づき、プロトコルで段階的に進める鎮痛・鎮静条件付き・中等度
PADIS(2018)[1]人工呼吸中の重症成人深い鎮静より浅い鎮静条件付き・低
PADIS(2018)[1]人工呼吸中の重症成人ベンゾジアゼピンよりプロポフォールかデクスメデトミジン条件付き・低
PADIS(2018)[1]重症成人痛みの強さとオピオイド量を減らすため、オピオイドの補助にアセトアミノフェン条件付き・非常に低
PADIS(2018)[1]ICUに入室した術後の成人オピオイド量を減らしたいとき、低用量ケタミン(0.5 mg/kgを1回静注し、1〜2 µg/kg/分で持続)をオピオイドの補助に条件付き・非常に低
PADIS(2018)[1]重症成人神経障害性疼痛に、神経障害性疼痛薬(ガバペンチン、カルバマゼピン、プレガバリンなど)をオピオイドと併用強い・中等度
PADIS(2018)[1]重症成人COX-1選択的NSAIDsと静注リドカインを、オピオイドの補助としてルーチンには使わないいずれも条件付き・低
PADIS改訂(2025)[5]ICUに入室した人工呼吸中の成人で、浅い鎮静とせん妄の減少の両方またはいずれかを最優先する場合プロポフォールよりデクスメデトミジン条件付き・中等度
ERATIC(2025)[2]外傷ICU非オピオイド・非ベンゾジアゼピン系の薬を組み込んだ多角的鎮痛中心の鎮静。鎮静度は検証済みの尺度で監視根拠の水準は低・推奨は弱
ERATIC(2025)[2]外傷ICU薬物・物質の離脱の予防は難しく、治療の選択肢は多い。臨床反応を評価し、プロトコルで行う(プロトコルは転帰を改善する)根拠の水準は中等度・推奨は強
J-PAD(2014)[17]国内のICUの成人重症患者2013年の米国PADガイドラインの方法に沿い、非挿管患者、身体抑制、リハビリテーションの内容を加えた個々の推奨は本稿では未確認

2.評価:痛み・鎮静の深さ・覚醒を同じ尺度で測る

痛み:自己申告、できなければBPSかCPOT

指針PADIS 2018は、確実に意思を伝えられる患者では自己申告が痛みの評価の基準であり、自己申告できず行動を観察できる患者ではBPS(挿管患者用と非挿管患者用のBPS-NI)とCPOTが最も妥当性と信頼性が高いとした。心拍数、血圧、呼吸数、酸素飽和度、呼気終末二酸化炭素は、痛みの指標として妥当でないとしている(いずれも等級を付けない声明)[1]。

  • 研究結果BPS:10床の外傷・外科ICUで、鎮痛・鎮静下に人工呼吸中の30例に計269回評価した前向き研究で、痛みを伴う処置のBPSは痛みを伴わない処置より高く(4.9対3.5、p<0.01)、評価者間の相関は良好だった[16]。
  • 研究結果CPOT:心臓外科ICUの105例で、評価者間の一致(重み付きκが中等度〜高度)と、体位変換時に安静時より点数が高いことが示された[18]。
  • 研究結果日本語版CPOT(CPOT-J):心臓血管外科の27例で、評価者間一致率はκ=0.803、NRSとの相関はr=0.652で、痛み刺激の直後に最も高かった。著者は、興奮と痛みの弁別は検証できなかったとしている[19]。

本稿の解釈BPSとCPOTは表情、上肢の動き、人工呼吸器との同調(非挿管なら発声)で評価する。頭部外傷で意識が低い患者、四肢の骨折や脊髄損傷で上肢が動かない患者、顔面外傷で表情が読めない患者では、項目の一部が評価できない。本稿で確認した検証研究は心臓外科と外傷・外科ICUの患者で、頭部外傷の患者に限った妥当性は確認していない。

鎮静の深さ:RASSで目標を決め、毎日見直す

研究結果RASS(Richmond Agitation-Sedation Scale)は−5(反応なし)から+4(闘争的)までの10段階の尺度で、成人ICUの2段階の検証では評価者間の信頼性が高かった(κ=0.73と0.80)[20]。PADIS 2018は、自発覚醒トライアル(SAT、毎日の鎮静中断)を、覚醒(SAS 4〜7またはRASS −1〜+1)に達することと定義している。脳波由来の指標(BIS)は、深い鎮静や神経筋遮断中の鎮静薬の調節に最も適するとした(等級を付けない声明)[1]。

本稿の解釈「浅い鎮静」の数値は試験ごとに違う。SPICE III、SEDCOM、A2Bの目標はRASS −2〜+1だったが[6][11][8]、NONSEDAの浅い鎮静群の目標はRASS −2〜−3だった[4]。施設では、患者ごとに鎮静の目的(人工呼吸器との同調、安全、ICPの制御など)とRASSの目標値を毎日決め、目的がなくなれば減量する。せん妄の評価(CAM-ICU、ICDSC)はせん妄・睡眠の記事で扱う。

3.多角的鎮痛:オピオイドを軸に、何を足すか

指針PADIS 2018の補助薬(アセトアミノフェン、低用量ケタミン、神経障害性疼痛薬、NSAIDs、静注リドカイン)の推奨と強さは、上の指針の比較表に示した。オピオイドはフェンタニル、ヒドロモルフォン、モルヒネ、レミフェンタニルを挙げている[1]。ケタミンの推奨の対象は術後の成人で、外傷患者ではない。

外傷患者の試験

研究結果MAST(Harvin 2021):都市部の外傷センター1施設で、外傷患者1,561例を2つの多角的鎮痛の処方に割り付けた実践的な無作為化試験である[14]。従来の処方(787例)は、アセトアミノフェン静注から内服への切り替え、48時間のセレコキシブとプレガバリン、その後のナプロキセンとガバペンチン、定時のトラマドール、頓用のオキシコドンだった。MASTの処方(774例)は、アセトアミノフェン内服、ナプロキセン、ガバペンチン、リドカイン貼付剤、頓用のオピオイドだった。主要評価項目の1日あたりの経口モルヒネ換算量は、MAST群34(IQR 15〜61)対48(IQR 22〜74)で少なく(p<0.001)、退院時のオピオイド処方も62%対67%(RR 0.92、95%信用区間 0.86〜0.99)と少なかった。痛みの点数に臨床的に意味のある差はなかった[14]。

限界:単施設で、ICU患者に限った試験ではない。比べたのは2つの多角的処方どうしで、オピオイド単独との比較ではない(本稿の解釈)。

研究結果ケタミン(Carver 2019):レベルI外傷センターに入院した3本以上の肋骨骨折の成人91例の二重盲検プラセボ対照試験で、64歳超、GCS 13未満、オピオイドの慢性使用は除外された。低用量ケタミン2.5 µg/kg/分(45例)または生理食塩水を48時間持続した。主要評価項目の最初の24時間の疼痛点数と、オピオイド量(経口モルヒネ換算)は、全体では有意に減らなかった。ISS 15超の45例のサブグループでは、オピオイド量が最初の24時間で35.7対68(p=0.03)、全体で152.1対198(p=0.048)と少なかった。サブグループ解析の結果で、確認が必要である(本稿の解釈)[15]。中間治療室またはICUでの管理を要する16歳以上の外傷患者で、多角的鎮痛にケタミンの持続投与を加える単施設の無作為化試験(KAPT、NCT04129086)の計画が2022年に報告されているが[21]、本稿の確認時点で結果は確認できなかった。

指針ERATICは、ケタミンを「鎮静と鎮痛の作用をもち、オピオイド、プロポフォール、ベンゾジアゼピンより循環への副作用が少ない」薬として、プロポフォールかデクスメデトミジンとの組み合わせで使う選択肢に挙げ、デクスメデトミジンとリドカインの持続投与をオピオイドとベンゾジアゼピンを節減する補助薬としている[2]。

区域麻酔:肋骨骨折の硬膜外鎮痛と筋膜面ブロックの試験は、主に短期の鎮痛とオピオイドの節減を示し、肺炎や死亡の減少は示していない。試験の数値と抗血栓薬との関係は肋骨骨折の記事にまとめた。骨盤・四肢の骨折の区域麻酔は本稿では扱わない。

注意:アセトアミノフェン静注液の添付文書は、アセトアミノフェンを含む他の薬剤(一般用医薬品を含む)との併用を、過量投与による重篤な肝障害のおそれから避けるよう警告している[22]。ケタミンは、頭部外傷でICPが上がっている患者と高血圧の患者に、国内の添付文書上は禁忌である[9]。

4.浅い鎮静とSAT:何が示され、何が示されていないか

研究結果毎日の鎮静中断(Kress 2000):内科ICUで鎮静薬を持続投与中の人工呼吸患者128例の無作為化試験で、毎日中断した群は人工呼吸期間の中央値が4.9日対7.3日(P=0.004)、ICU在室期間が6.4日対9.9日(P=0.02)と短かった[23]。

研究結果SATとSBTの組み合わせ(Girard 2008、ABC試験):3次医療病院4施設で人工呼吸患者336例を、毎日のSATとSBT(自発呼吸トライアル)を組み合わせる群と、通常の鎮静に毎日のSBTを行う群に割り付けた。28日間の人工呼吸器非装着日数は14.7日対11.6日(差3.1日、95%CI 0.7〜5.6、p=0.02)、ICU在室期間の中央値は9.1日対12.9日、入院期間は14.9日対19.2日だった。1年死亡のハザード比は0.68(95%CI 0.50〜0.92)で、1人の死亡を防ぐのに必要な治療数は7.4(95%CI 4.2〜35.5)だった。自己抜管は16例対6例と介入群に多かったが、自己抜管後の再挿管は5例対3例で有意差はなかった[3]。

研究結果プロトコル化された鎮静に中断を足す(Mehta 2012、SLEAP):16のICUで、看護師がプロトコルで鎮静薬を調節している人工呼吸患者430例に、毎日の中断を加えても、抜管成功までの期間の中央値は7日対7日(ハザード比1.08、95%CI 0.86〜1.35)で差はなかった。中断群ではミダゾラム(1日平均102 mg対82 mg)とフェンタニル(1日量の中央値550対260)の量がむしろ多く、看護師の業務負担も増えた[24]。

研究結果無鎮静(Strøm 2010とNONSEDA):デンマークのオーデンセ大学病院の単施設試験(140例)では、モルヒネのボーラス(2.5または5 mg)のみで鎮静薬を使わない群で、28日間の人工呼吸器非装着日数が13.8日対9.6日(平均差4.2日、95%CI 0.3〜8.1)と多かったが、興奮を伴うせん妄は20%対7%と多かった[25]。その後の多施設試験NONSEDA(無作為化710例、解析700例)では、無鎮静群と、毎日の中断を伴う浅い鎮静(RASS −2〜−3)群の90日死亡は42.4%対37.0%(差5.4ポイント、95%CI −2.2〜12.2)で有意差はなく、ICU非在室日数と人工呼吸器非装着日数にも有意差はなかった。主な血栓塞栓症は0.3%対2.8%だった(多重比較の補正なし)[4]。

研究結果早期の深い鎮静(Shehabi 2012):オーストラリアとニュージーランドの25病院で、24時間以上の人工呼吸と鎮静を受けた251例の前向きコホートでは、人工呼吸開始から4時間以内に76.1%が深い鎮静(RASS −3〜−5)だった。診断、年齢、APACHE IIなどで調整すると、最初の48時間の深い鎮静は抜管の遅れ(HR 0.90、95%CI 0.87〜0.94)、院内死亡(HR 1.11、95%CI 1.02〜1.20)、180日死亡(HR 1.08、95%CI 1.01〜1.16)と独立して関連した[26]。観察研究で、重症の患者ほど深く鎮静される交絡は残り得る(本稿の解釈)。

本稿の解釈効果が示された試験(Kress、ABC)は持続投与の深い鎮静が一般的だった時代の比較で、すでに浅い鎮静が保たれている状況では中断を加える上乗せ効果は示されなかった(SLEAP)。無鎮静は、浅い鎮静に比べて死亡を減らさなかった(NONSEDA)。外傷ICUへの当てはめとしては、「鎮痛を先に行ったうえで、目的に見合う最も浅い目標を毎日決め、目標より深ければ減らす」が根拠に沿う。SATを行わない条件(安全確認の項目)は各試験の本文で定義されており、本稿は抄録のみ確認したため列挙しない。ICP上昇の治療中や神経筋遮断中の患者は、通常のSATの手順から外して個別に判断する(6節)。

5.鎮静薬の選び方:プロポフォール、デクスメデトミジン、ミダゾラム

研究結果デクスメデトミジン対ミダゾラム(Riker 2009、SEDCOM):5か国68施設の内科・外科ICUで24時間超の人工呼吸が見込まれる375例を、RASS −2〜+1を目標にデクスメデトミジン(244例)とミダゾラム(122例)に割り付けた二重盲検試験。目標範囲内の時間の割合は77.3%対75.1%で差がなかったが、せん妄の有病率は54%対76.6%(差22.6%、95%CI 14〜33%)、抜管までの時間の中央値は3.7日対5.6日とデクスメデトミジン群で少なく・短かった。徐脈は42.2%対18.9%と多く、治療を要した徐脈は4.9%対0.8%(P=0.07)だった[11]。

研究結果MIDEXとPRODEX(Jakob 2012):欧州とロシアの施設で、24時間を超える軽度〜中等度の鎮静を要する人工呼吸患者を対象にした2つの二重盲検試験(ミダゾラム251例対デクスメデトミジン249例、プロポフォール247例対デクスメデトミジン251例)。目標鎮静の時間でデクスメデトミジンは非劣性だった。人工呼吸期間の中央値はミダゾラムより短かった(123時間対164時間、P=0.03)が、プロポフォールとは有意差がなかった(97時間対118時間、P=0.24)。患者との意思疎通の評価(VAS)は、ミダゾラム(差19.7、95%CI 15.2〜24.2)とプロポフォール(差11.2、95%CI 6.4〜15.9)のいずれよりも良かった。ミダゾラムとの比較では低血圧(20.6%対11.6%)と徐脈(14.2%対5.2%)が多かった[27]。

研究結果SPICE III(Shehabi 2019):人工呼吸開始から12時間未満で、翌日以降も人工呼吸が必要と見込まれた重症成人を、デクスメデトミジンを唯一または主な鎮静薬とする群と通常の鎮静(プロポフォール、ミダゾラムなど)に割り付けた非盲検試験(修正ITT 3,904例、目標RASS −2〜+1)。90日死亡は29.1%(566/1,948)対29.1%(569/1,956)(調整リスク差0.0ポイント、95%CI −2.9〜2.8)だった。デクスメデトミジン群では最初の2日間に、64%がプロポフォール、3%がミダゾラム、7%が両方の追加を要し、徐脈と低血圧が多かった[6]。

研究結果MENDS2(Hughes 2021):敗血症で人工呼吸中の成人422例(無作為化432例)の多施設二重盲検試験で、デクスメデトミジン(0.2〜1.5 µg/kg/時、中央値0.27)とプロポフォール(5〜50 µg/kg/分、中央値10.21)を比べた。14日間のせん妄・昏睡のない生存日数(調整中央値10.7日対10.8日、OR 0.96、95%CI 0.74〜1.26)、28日の人工呼吸器非装着日数、90日死亡(38%対39%、HR 1.06、95%CI 0.74〜1.52)、6か月の認知機能に差はなかった[7]。

研究結果A2B(Walsh 2025):英国41のICUで、人工呼吸開始から48時間以内にプロポフォールとオピオイドで鎮静・鎮痛を受けている成人1,404例を、デクスメデトミジン、クロニジン、プロポフォール(通常治療)に割り付けた非盲検の実践的試験(目標RASS −2〜+1)。抜管成功までの時間の部分分布ハザード比は、デクスメデトミジン対プロポフォールで1.09(95%CI 0.96〜1.25)、クロニジン対プロポフォールで1.05(95%CI 0.95〜1.17)で、いずれも有意差はなかった。興奮(RR 1.54、95%CI 1.21〜1.97)と心拍数50/分未満の重い徐脈(RR 1.62、95%CI 1.36〜1.93)はデクスメデトミジンで多く、180日死亡は同程度だった(HR 0.98、95%CI 0.77〜1.24)[8]。

本稿の解釈デクスメデトミジンの利点として比較的一貫しているのは、ミダゾラムと比べたせん妄と人工呼吸期間の減少と、ミダゾラム・プロポフォールと比べた痛みを伝える能力(意思疎通)の評価の改善である[11][27]。プロポフォールとの比較では、死亡、せん妄、抜管までの時間の差は示されず[6][7][8]、徐脈と低血圧は増える。2025年の改訂の推奨は「浅い鎮静やせん妄の減少を最優先する場合」に限った条件付きのもので[5]、出血が続く患者や循環が不安定な患者に広げる根拠ではない。外傷の患者では、出血と循環血液量の不足が残る時期に、どの鎮静薬も低血圧を起こし得る。ERATICも、デクスメデトミジンとプロポフォールがいずれも相対的な低血圧と関連するとしている[2]。

国内の製剤:3剤の効能、用量、使用条件は「日本で実施するとき」の表にまとめた。デクスメデトミジンの警告は低血圧、高血圧、徐脈、心室細動などと心停止のおそれを挙げ、集中治療に習熟した医師が使うこととしている[10]。長期・高用量のプロポフォールによるプロポフォール注入症候群は頭部外傷の記事で扱う。

循環が不安定な時期:デクスメデトミジンの添付文書は、循環動態が安定し、循環・呼吸の継続的な監視体制が整った状況で投与を開始するとし、循環血流量が低下した患者では低血圧があらわれやすいとしている(初期負荷を行わず維持投与から始めることは可能)[10]。ミダゾラムはショックの患者に禁忌である[12]。

本稿の解釈出血の制御が終わっていない時期は、デクスメデトミジンを持続鎮静の主薬として始める場面ではない。この時期に鎮静が必要なら、どの薬も少量から始め、循環を見ながら調節する。ベンゾジアゼピンは持続鎮静の第一選択にはしないが[1]、けいれんやアルコール離脱などで必要になる場面はある。その判断は本稿の範囲外とする。

6.頭部外傷と深い鎮静:浅い鎮静の原則から外れる場面

浅い鎮静とSATの試験は、ICP上昇の治療中の患者を対象にした試験ではない。重症頭部外傷でICPを監視している時期の鎮痛・鎮静は、頭部外傷の記事でSIBICCに沿って、快適さと非同調の予防のための基本処置と、ICPを下げるための増量に分けて整理した。この段階的な治療(SIBICCの整理、BTF第4版のプロポフォールとバルビツレートの推奨、鎮静薬の比較のレビュー)は頭部外傷の血圧・ICP・CPP・Hb管理の記事に詳しく、本稿は重複して扱わない。

  • 指針神経診察のための鎮静中断:SIBICC(42人の専門家によるデルファイ法の合意、根拠はクラスIII)は、ICP監視中の重症頭部外傷で、神経診察のための鎮静中断を考慮するかどうかを判断する図(heatmap)を示した[28]。本稿は抄録のみ確認で、図の中身は扱わない。
  • 指針ケタミン:ERATICは、頭部外傷を伴う多発外傷でケタミンは安全でICPを上げないようにみえるとする一方、その根拠は小規模の観察研究と方法に懸念のある小規模の無作為化試験だとしている[2]。国内の添付文書は脳圧亢進症を禁忌とするため[9]、ICPが上がっている患者には使わない。
  • 指針神経筋遮断中:PADIS 2018は、BISは深い鎮静や神経筋遮断中の鎮静薬の調節に最も適するとした[1]。重症ARDSでの神経筋遮断は人工呼吸・ARDSの記事で扱う。

本稿の解釈深い鎮静が必要な理由(ICPの制御、神経筋遮断、重い呼吸不全など)がなくなった時点で、浅い鎮静の原則に戻す。その日の目標と理由をカルテに書くと、深い鎮静が惰性で続くのを防ぎやすい。デクスメデトミジンはミダゾラム・プロポフォールより痛みを伝える能力の評価が良かったが[27]、頭部外傷の神経評価の質や転帰を改善するかは、本稿の確認範囲では示されていない。脊髄損傷では、鎮静・挿管の前の神経所見を残すことが後の評価の基準になる(急性脊髄損傷の記事)。

7.減量と離脱:長く使ったオピオイドと鎮静薬をどう止めるか

研究結果内科ICUで24時間以上オピオイドの持続投与を受けた成人92例の前向き観察研究では、Clinical Opiate Withdrawal Scale(COWS)で中等度以上の離脱が12%(11例)にみられ、DSM-5の基準で重症度を問わず数えると約3人に1人だった。72時間以上の持続投与と、1日総量1,200 µg以上(抄録の表記)が独立した予測因子だった[29]。成人ICUの医原性離脱症候群のスコーピングレビュー(29研究)では、頻度は13.6〜49.5%と研究ごとに幅があり、治療や予防を検討した研究は20%にとどまった。クロニジンに利益の可能性が示されたが、多くの介入は頻度を有意には変えなかった[30]。いずれも外傷患者に限った研究ではない。

指針ERATICは減量のプロトコルを勧め、離脱の危険が低い患者では持続投与の速度をまず20〜40%下げ、その後12〜24時間ごとに10%ずつ下げる、5日を超えて高用量のオピオイドを受けた患者では1日5〜10%ずつ下げる、という案を示し、高用量のフェンタニル持続投与を受けた患者は離脱を起こしやすいとしている[2]。また、外傷患者は薬物・アルコールの離脱症候群の危険が高いようにみえるとし、アルコール離脱にはベンゾジアゼピンかフェノバルビタール、オピオイド離脱にはメサドンを挙げ、プロトコルで行うことを強い推奨とした[2]。これらの減量の割合を無作為化試験で比べた研究は、本稿の確認範囲では見つからなかった。

本稿の解釈国内の添付文書も、ミダゾラムは連用後の急な減量・中止で離脱症状が起こり得るため徐々に減らすこと[12]、デクスメデトミジンは長期投与後の急な中止でリバウンドが起こり得ること[10]を挙げる。長期投与の後は、急に止めずに段階的に減らし、頻脈、高血圧、発汗、興奮、せん妄を離脱の可能性として評価する。せん妄と見分けにくい症状があるため、せん妄の記事の評価と合わせて読む。

根拠の比較表

出典(年)デザイン対象介入・比較主な結果(評価時点)限界と外傷への意味
Kress(2000)[23]RCT内科ICUで鎮静薬持続中の人工呼吸患者128例毎日の中断 対 通常人工呼吸4.9日対7.3日、ICU 6.4日対9.9日(中央値)単施設・内科ICU。深い持続鎮静の時代の比較
Girard(2008)ABC[3]多施設RCT(4施設)人工呼吸患者336例SAT+SBT 対 通常の鎮静+SBT人工呼吸器非装着日数14.7日対11.6日(28日)、1年死亡HR 0.68(95%CI 0.50〜0.92)自己抜管が増加。外傷の割合は抄録に記載なし
Mehta(2012)SLEAP[24]多施設RCT(16 ICU)プロトコル鎮静中の人工呼吸患者430例プロトコル+毎日中断 対 プロトコルのみ抜管成功まで7日対7日(HR 1.08、95%CI 0.86〜1.35)浅い鎮静が保たれていれば中断の上乗せはない。鎮静薬量は増加
Strøm(2010)[25]単施設RCT人工呼吸患者140例無鎮静(モルヒネのボーラス)対 鎮静+毎日中断人工呼吸器非装着日数13.8日対9.6日(28日)興奮を伴うせん妄20%対7%。単施設
Olsen(2020)NONSEDA[4]多施設RCT人工呼吸患者700例(解析)無鎮静 対 浅い鎮静(RASS −2〜−3)+毎日中断90日死亡42.4%対37.0%(差5.4、95%CI −2.2〜12.2)有意差なし。無鎮静の優越は示されず
Shehabi(2012)[26]前向きコホート(25病院)人工呼吸・鎮静24時間以上の251例最初の48時間の深い鎮静(RASS −3〜−5)院内死亡HR 1.11、180日死亡HR 1.08観察研究で、重症度による交絡が残り得る
Riker(2009)SEDCOM[11]二重盲検RCT(68施設)内科・外科ICUの375例デクスメデトミジン 対 ミダゾラムせん妄54%対76.6%、抜管まで3.7日対5.6日徐脈42.2%対18.9%。用量上限1.4 µg/kg/時
Jakob(2012)MIDEX/PRODEX[27]2つの二重盲検RCT軽度〜中等度の鎮静を要する人工呼吸患者 約1,000例デクスメデトミジン 対 ミダゾラム/プロポフォール人工呼吸はミダゾラムより短い(123対164時間)が、プロポフォールとは差なし低血圧・徐脈が多い(対ミダゾラム)
Shehabi(2019)SPICE III[6]非盲検RCT早期の人工呼吸患者3,904例デクスメデトミジン主体 対 通常の鎮静90日死亡29.1%対29.1%(差0.0、95%CI −2.9〜2.8)追加の鎮静薬を多く要した。徐脈・低血圧が多い
Hughes(2021)MENDS2[7]二重盲検RCT敗血症の人工呼吸患者422例デクスメデトミジン 対 プロポフォールせん妄・昏睡のない生存日数10.7日対10.8日(14日)、90日死亡38%対39%敗血症に限る。外傷への外挿
Walsh(2025)A2B[8]非盲検の実践的RCT(英国41 ICU)プロポフォール鎮静中の人工呼吸患者1,404例デクスメデトミジン/クロニジン 対 プロポフォール抜管成功までの時間の部分分布HR 1.09(95%CI 0.96〜1.25)興奮・重い徐脈が増加。180日死亡は同程度
Harvin(2021)MAST[14]単施設の実践的RCT外傷センター入院の外傷患者1,561例2つの多角的鎮痛処方経口モルヒネ換算34対48 mg/日外傷に限った試験。ICUに限らない
Carver(2019)[15]単施設の二重盲検RCT3本以上の肋骨骨折の成人91例(64歳以下、GCS 13以上)低用量ケタミン2.5 µg/kg/分 対 プラセボ(48時間)24時間の疼痛点数・オピオイド量に有意差なしISS 15超のサブグループでオピオイド量が減少。確認が必要

日本で実施するとき

指針国内の指針:日本集中治療医学会は2014年に「日本版・集中治療室における成人重症患者に対する痛み・不穏・せん妄管理のための臨床ガイドライン」(J-PAD)を公表した。2013年の米国PADガイドラインの方法に沿い、非挿管患者、身体抑制、重症患者のリハビリテーションの内容を加えたものである[17]。同学会はSCCMと協力してPADIS 2018の日本語訳を作成し、SCCMのサイトに掲載している[31]。本稿の確認範囲では、J-PADの改訂版と、2025年の改訂の日本語訳は見つからなかった(未確認)。J-PADの個々の推奨文は、本稿では本文を確認していない。

尺度:日本語版CPOT(CPOT-J)は心臓血管外科の患者で検証されている[19]。BPSとRASSの日本語版の検証論文は、本稿では確認していない(未確認)。院内の記録様式で、どの版を使うかをそろえる。

添付文書の要点(本稿で確認した版):

薬剤(製剤、電子添文の版)ICUに関係する効能用法・用量(成人)外傷ICUで確認する使用条件
デクスメデトミジン(プレセデックス、2026年8月 第3版)[10]集中治療における人工呼吸中および離脱後の鎮静6 µg/kg/時で10分の初期負荷の後、0.2〜0.7 µg/kg/時。維持量からの開始も可低血圧・高血圧・徐脈・心停止の警告。循環動態が安定し、監視体制が整った状況で投与を開始する。維持速度は0.7 µg/kg/時を超えない。循環血流量が低下した患者では低血圧が出やすい。120時間超の使用経験は少ない。急な中止でリバウンド
プロポフォール(1%ディプリバン注、2026年8月 第2版)[13]集中治療における人工呼吸中の鎮静0.3 mg/kg/時で開始、通常0.3〜3.0 mg/kg/時急速投与をしない。通常7日まで。気管挿管が前提。小児は禁忌
ミダゾラム(ドルミカム注射液、2025年11月 第3版)[12]集中治療における人工呼吸中の鎮静0.03 mg/kgを1分以上かけて静注、0.03〜0.06 mg/kg/時で開始し0.03〜0.18 mg/kg/時ショック・昏睡などは禁忌。連用後の急な中止で離脱症状
フェンタニル(フェンタニル注射液「第一三共」、2025年4月 第4版)[32]激しい疼痛(術後疼痛、癌性疼痛など)に対する鎮痛など術後疼痛:1〜2 µg/kg静注の後、1〜2 µg/kg/時呼吸抑制。集中治療・人工呼吸中を名指しした記載は確認できず
アセトアミノフェン(アセリオ、2026年8月 第4版)[22]経口・坐剤が困難な場合の疼痛・発熱疼痛:300〜1,000 mgを15分、4〜6時間以上あけて1日4,000 mgまで(50 kg未満は15 mg/kg・1日60 mg/kgまで)。発熱:1回300〜500 mgを15分、4〜6時間以上あけ、原則1日2回まで、1日最大1,500 mg重篤な肝障害は禁忌。警告:1日1,500 mgを超える長期投与では肝機能を定期的に確認。一般用医薬品を含む他のアセトアミノフェン製剤との併用による過量投与
ケタミン(ケタラール静注用、2025年4月 第2版)[9]手術、検査および処置時の全身麻酔および吸入麻酔の導入(ICUの鎮痛・鎮静は効能に含まれない)導入:1〜2 mg/kgを1分以上かけて静注麻薬。脳圧亢進症、高血圧、脳血管障害、重症の心代償不全、痙攣の既往などは禁忌。覚醒時の幻覚・興奮・錯乱

本稿の解釈海外の試験の用量(デクスメデトミジンの上限1.4〜1.5 µg/kg/時、低用量ケタミンの持続投与)は、国内の添付文書の範囲や効能と一致しない。試験の結果を国内で当てはめるときは、この差を施設のプロトコルに明記する。診療報酬の加算(早期離床・リハビリテーション加算など)と鎮静管理の関係、外傷初期診療ガイドライン(JATEC)のICU鎮静の記載は、本稿では確認していない(未確認)。

まだ分からないこと

  • 外傷患者、とくに頭部外傷、脊髄損傷、多発骨折の患者に限って鎮静薬を比べた大規模な無作為化試験は、本稿の確認範囲では見つからなかった。
  • ICP監視中の頭部外傷で、神経診察のための鎮静中断が転帰を改善するか。
  • ICUの外傷患者で、低用量ケタミンの持続投与が痛みとオピオイド量以外の転帰(せん妄、人工呼吸期間、慢性痛)を変えるか。KAPT試験の結果は本稿の確認時点で未確認である。
  • オピオイドと鎮静薬の減量の速さを比べた試験。ERATICの減量案は無作為化試験で検証されたものではない。
  • BPSとCPOTの、頭部外傷で意識が低い患者での妥当性。

文献

  1. Devlin JW, Skrobik Y, Gélinas C, Needham DM, Slooter AJC, Pandharipande PP, et al. Clinical practice guidelines for the prevention and management of pain, agitation/sedation, delirium, immobility, and sleep disruption in adult patients in the ICU. Crit Care Med. 2018;46(9):e825-e873. doi:10.1097/CCM.0000000000003299. PMID: 30113379. 推奨文はSCCM公式ページ(https://www.sccm.org/clinical-resources/guidelines/guidelines/guidelines-for-the-prevention-and-management-of-pa、2026年9月25日閲覧)で確認。
  2. Hardcastle TC, Gaarder C, Balogh Z, et al. Guidelines for Enhanced Recovery After Trauma and Intensive Care (ERATIC): Enhanced Recovery After Surgery (ERAS) and International Association for Trauma Surgery and Intensive Care (IATSIC) Society recommendations: Paper 2: postoperative and intensive care recommendations. World J Surg. 2025;49(8):2029-2054. doi:10.1002/wjs.70004. PMID: 40696568. PMCID: PMC12338449.
  3. Girard TD, Kress JP, Fuchs BD, et al. Efficacy and safety of a paired sedation and ventilator weaning protocol for mechanically ventilated patients in intensive care (Awakening and Breathing Controlled trial): a randomised controlled trial. Lancet. 2008;371(9607):126-134. doi:10.1016/S0140-6736(08)60105-1. PMID: 18191684.
  4. Olsen HT, Nedergaard HK, Strøm T, et al. Nonsedation or light sedation in critically ill, mechanically ventilated patients. N Engl J Med. 2020;382(12):1103-1111. doi:10.1056/NEJMoa1906759. PMID: 32068366.
  5. Lewis K, Balas MC, Stollings JL, McNett M, Girard TD, Chanques G, et al. A focused update to the clinical practice guidelines for the prevention and management of pain, anxiety, agitation/sedation, delirium, immobility, and sleep disruption in adult patients in the ICU. Crit Care Med. 2025;53(3):e711-e727. doi:10.1097/CCM.0000000000006574. PMID: 39982143. 推奨文はSCCM公式ページ(https://www.sccm.org/clinical-resources/guidelines/guidelines/focused-update-padis-guideline、2026年9月25日閲覧)で確認。
  6. Shehabi Y, Howe BD, Bellomo R, et al. Early sedation with dexmedetomidine in critically ill patients. N Engl J Med. 2019;380(26):2506-2517. doi:10.1056/NEJMoa1904710. PMID: 31112380.
  7. Hughes CG, Mailloux PT, Devlin JW, et al. Dexmedetomidine or propofol for sedation in mechanically ventilated adults with sepsis. N Engl J Med. 2021;384(15):1424-1436. doi:10.1056/NEJMoa2024922. PMID: 33528922.
  8. Walsh TS, Parker RA, Aitken LM, McKenzie CA, Emerson L, Boyd J, et al. Dexmedetomidine- or clonidine-based sedation compared with propofol in critically ill patients: the A2B randomized clinical trial. JAMA. 2025 (2025年5月19日オンライン公開). doi:10.1001/jama.2025.7200. PMID: 40388916.(巻・頁は本稿の確認時点で未確認)
  9. 第一三共. ケタラール静注用50mg・200mg 電子添文(2025年4月改訂 第2版). KEGG MEDICUS https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00058297(2026年9月25日閲覧)
  10. ファイザー. プレセデックス静注液200µg「ファイザー」電子添文(2026年8月改訂 第3版). KEGG MEDICUS https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00070782(2026年9月25日閲覧)
  11. Riker RR, Shehabi Y, Bokesch PM, et al. Dexmedetomidine vs midazolam for sedation of critically ill patients: a randomized trial. JAMA. 2009;301(5):489-499. doi:10.1001/jama.2009.56. PMID: 19188334.
  12. 丸石製薬. ドルミカム注射液10mg 電子添文(2025年11月改訂 第3版). KEGG MEDICUS https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00051314(2026年9月25日閲覧)
  13. サンドファーマ. 1%ディプリバン注 電子添文(2026年8月改訂 第2版). KEGG MEDICUS https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00072070(2026年9月25日閲覧)
  14. Harvin JA, Albarado R, Truong VTT, Green C, Tyson JE, Pedroza C, et al. Multi-modal analgesic strategy for trauma: a pragmatic randomized clinical trial. J Am Coll Surg. 2021;232(3):241-251.e3. doi:10.1016/j.jamcollsurg.2020.12.014. PMID: 33486130. PMCID: PMC7914202.
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  28. Hawryluk GWJ, Aguilera S, Buki A, et al. A management algorithm for patients with intracranial pressure monitoring: the Seattle International Severe Traumatic Brain Injury Consensus Conference (SIBICC). Intensive Care Med. 2019;45(12):1783-1794. doi:10.1007/s00134-019-05805-9. PMID: 31659383.
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  30. Moisa E, Tuculeanu G, Corneci D, Negoita SI, Bilotta F, et al. Iatrogenic withdrawal syndrome in adult intensive care unit: a scoping review. Front Med (Lausanne). 2025. doi:10.3389/fmed.2025.1573363. PMID: 40771468.(巻は本稿の確認時点で未確認)
  31. 日本集中治療医学会. PADISガイドライン日本語訳完成のお知らせ. https://www.jsicm.org/news/news191112.html(ページに掲載日の記載なし。2026年9月25日閲覧)
  32. 第一三共. フェンタニル注射液0.1mg・0.25mg「第一三共」電子添文(2025年4月改訂 第4版). KEGG MEDICUS https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00058028(2026年9月25日閲覧)

医学的内容の最終確認日・確認範囲

文献ごとの確認範囲を開く(最終確認日:2026年9月26日)

医学的内容の最終確認日:2026年9月26日(著者確認)。文献照合日:2026年9月26日(日本時間)。文献の検索・照合は2026年9月25〜26日に行った。PubMedの抄録(NCBI BioC、PubTator3)、PMCの公開本文(NCBI BioC)、Crossref・Semantic Scholarの書誌、学会・公的機関の公式ページ、J-STAGE、KEGG MEDICUSの電子添文を直接開いて確認した。Europe PMC、OpenAlex、Crossref・Semantic Scholar・NCBIの一部には接続できない時間帯があった。数値・用量・適用条件を含む医学的内容は、2026年9月26日に著者(医師)が確認した。検索記録は編集部で保管している。

  • 本文の該当節を確認:[2](PMCの公開本文。27節「鎮痛・鎮静と離脱」の推奨、根拠の水準と推奨の強さ、減量の案、ケタミン・デクスメデトミジン・リドカインの記載。そのほかの節は扱っていない)。
  • 公式要約(推奨文)のみ確認:[1] [5](SCCMの公式ページの推奨文・強さ・根拠の質。本文は出版社のページが有料で取得できず、根拠の要約表と推奨の説明の細部は確認していない。[5]は抄録も確認)。
  • 抄録のみ確認:[16] [18] [20] [19] [14] [15] [21] [23] [3] [24] [25] [4] [26] [11] [27] [6] [7] [8] [28] [29] [30] [17]。本文中の数値は抄録にある範囲に限った。SPICE IIIの徐脈・低血圧の頻度、各試験のSATの安全確認の項目、外傷患者の割合は抄録になく、扱っていない。
  • 公式情報を確認:[31](日本集中治療医学会のお知らせ)、[10] [13] [12] [32] [22] [9](KEGG MEDICUSに掲載の電子添文。版は表に記載)。
  • 未取得:PADIS 2018と2025年の改訂の本文、J-PAD 2014の本文、PADIS日本語訳のPDF、SIBICCの本文、頭部外傷での神経診察のための鎮静中断(neurological wake-up test)の原著、KAPT試験の結果。
  • 訂正・撤回:[5]はCrossrefで訂正・撤回の登録なし(2026年9月25日確認)。そのほかの文献は、Crossrefへの接続の制限により訂正・撤回の有無を個別には確認できていない。

更新履歴

更新履歴を開く(全3件・最新:2026年9月26日)
  • 2026年9月26日(著者確認):著者(医師)が数値・用量・適用条件を含む医学的内容を確認した。確認日の表記を更新した。あわせて、確認範囲の記載を読者向けの表現に改め、関連記事と分野の一覧へのリンクを加えた(医学的内容は変えていない)。
  • 2026年9月26日(改訂):全面的に書き直した。(1)痛みと鎮静の評価(自己申告、BPS、CPOT、日本語版CPOT、RASS、SATの定義)、多角的鎮痛(PADIS 2018の補助薬の推奨と強さ、外傷患者のMAST試験とケタミンの試験)、浅い鎮静とSATの主要試験(Kress 2000、ABC、SLEAP、Strøm 2010、NONSEDA、Shehabi 2012)、鎮静薬の比較試験(SEDCOM、MIDEX/PRODEX、SPICE III、MENDS2、A2B)を、例数・群別の値・95%CI・評価時点とともに加えた。(2)外傷ICUの指針ERATIC(2025)を加え、外傷に限った根拠と一般ICUからの外挿を分けた。(3)頭部外傷で深い鎮静が必要な場面を、頭部外傷の記事と整合させてリンクで渡した。(4)オピオイド・鎮静薬の離脱と減量の節を加えた。(5)「日本で実施するとき」に、J-PAD、PADIS日本語訳、CPOT-J、6剤の電子添文の効能・用量・使用条件を加えた。(6)文献を2件から32件にし、DOI・PMIDをリンクにした。2025年の改訂の書誌を正式な題名に改めた。(7)文献ごとの確認範囲を、実際に確認した経路に合わせて書いた。理由:初回公開版は主要試験の数値、陰性試験、国内の用量と使用条件、文献ごとの確認範囲がなく、臨床で使える水準に達していなかったため。
  • 2026年9月26日(初回公開):集中治療管理の新規記事として公開。PADIS 2018と2025年の改訂を出典に、鎮痛と鎮静を分けて考えること、浅い鎮静、デクスメデトミジンとプロポフォールの使い分け、ベンゾジアゼピンの位置づけ、神経評価と離床へのつなぎを要約した(文献2件)。

本記事は医療従事者への教育および一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者に対する診断・治療を代替するものではありません。実際の診療では、各施設のプロトコルおよび最新の診療ガイドラインをご確認ください。
利益相反:本記事に関連して開示すべき利益相反はありません。

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外科医・救急科専門医。外傷外科、Acute Care Surgery、救急・集中治療領域の診療と研究に従事しています。外傷性凝固障害、出血性ショック、止血蘇生、大量輸血、腹部外傷を中心に、臨床で使えるエビデンスを解説します。

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