「Bの異常を見つけた。では、どこから、何を使い、どう減圧するか」。緊張性気胸への針による緊急脱気、指による胸腔開放、胸腔ドレーン留置は、目的も器具も同じではない。第2・第4・第5肋間の使い分け、シリンジと局所麻酔、切開の大きさ、トロッカー内筒、胸腔内到達の確認、チューブの方向と深さまで、判断と手技をつなげて整理する。
医療従事者向け。主に成人外傷の初期診療を扱う教育記事です。侵襲的手技は、訓練・監督、施設の診療手順、使用する医療機器の添付文書に基づいて実施してください。
最初に押さえる5つのこと
- 緊急脱気の適応は、緊張性気胸を疑う所見に、重い呼吸障害または循環不安定が重なった時。CTの順番や気管偏位の出現を待たない。一方、画像で気胸が見えたことだけを根拠に、全例へ緊急穿刺するわけではない。[3]
- 「ATLSで第2肋間から第4肋間に一律変更」は正確ではない。第10版の本文は第5肋間、中腋窩線よりやや前方、手技章は成人の第4または第5肋間を記載。第11版の公開本文では、第5肋間の前〜中腋窩線間と第2肋間鎖骨中線の両方が示されている。版・章・手技を分けて読む。[1,2]
- 針による脱気は一時的な橋渡し。成人では太い留置カテーテルと十分な長さが必要だが、長い金属針を根元まで一気に進めることを意味しない。抜け、屈曲、閉塞、再緊張を監視し、確実な胸腔ドレナージへつなぐ。[4,6–8]
- 意識のある患者の胸腔ドレーン留置では、局所麻酔と鎮痛が基本。心停止・切迫停止などでは、麻酔の準備や効果発現のために救命的減圧を遅らせない。挿管や筋弛緩だけでは鎮痛を保証しない。[1][9,10]
- 本稿の基本は、鈍的に開放し、指で胸腔を確認してから柔らかい管を入れる方法。鋭いトロッカーを突き出して胸腔内へ押し込まない。留置の成否は、全側孔が胸腔内にあり、排気・排血でき、患者が改善しているかで判断する。[10–13]
この記事の範囲と、血胸の記事との関係
関連記事:外傷性血胸ドレナージのエビデンスヒストリーでは、ドレーンサイズ、経過観察、残存血胸への介入について、研究の変遷と限界を整理しています。
本稿は「Bの異常に対して、今どう減圧し、どう安全に胸腔へ到達するか」が中心である。ドレーンを入れるか経過観察するか、細径カテーテルの試験、開胸を考える排液量、残存血胸へのVATS、抗菌薬や抜去は、外傷性気胸・血胸と胸腔ドレーン:入れる判断から残存血胸までを併せて参照してほしい。
成人の緊急対応を主に扱い、小児、妊娠、術後胸腔、胸膜癒着、限局性の気胸・血胸では、ここに示す器具のサイズや刺入部位をそのまま当てはめない。JATECのBを入口に、ATLS、国際指針、公的機関の手技資料、国内添付文書を照合した解説であり、JATEC公式テキストの転載や公式認定手順ではない。[17]
1|JATECのB:呼吸が悪い原因は、胸腔内の空気とは限らない
BはBreathing and ventilationの評価である。酸素を投与し、胸を露出し、呼吸の速さと努力、胸郭運動の左右差、呼吸音、胸壁の創・動揺・皮下気腫を確認する。同時にSpO₂、循環、意識、挿管患者なら換気量・気道内圧・呼気CO₂の変化を読む。BとCは分離して進む箱ではなく、緊張性気胸では換気障害と静脈還流の低下が同時に起こり得る。[4,7]
緊張性気胸を疑う状況で、呼吸音低下、低酸素、頻脈、血圧低下、換気困難がすべて揃うまで待つ必要はない。自発呼吸患者では強い呼吸苦が先行することがあり、陽圧換気下では急速な循環虚脱として表れることがある。頸静脈怒張は併存する出血で目立たず、気管偏位も早期の必須所見ではない。[7]
| 考える状態 | 判断の手掛かり | 減圧との関係 |
|---|---|---|
| 緊張性気胸 | 片側の換気低下を伴う重い呼吸障害・循環不安定。陽圧換気開始後の急変も含む | 臨床的に疑えば直ちに減圧。画像待ちで遅らせない |
| 大量血胸 | 換気障害に出血性ショックが重なる。超音波で液体を確認できる場合がある | 細い脱気針では血液・凝血塊への対応が不十分。胸腔ドレナージ、輸血、止血へ |
| 開放性気胸 | 胸壁創を介する空気の出入り | 創の一時的被覆と適切な胸腔ドレナージ。被覆後の再緊張にも注意 |
| 肺挫傷・胸壁損傷 | ガス交換障害、疼痛、換気量低下、胸郭の動揺 | 鎮痛・呼吸管理が必要。気胸・血胸の合併がなければドレーンだけでは解決しない |
| 気道・挿管・回路の問題 | 片肺挿管、気管チューブ閉塞や逸脱、回路異常など | Aと換気回路も並行評価。胸腔処置を繰り返すだけにしない |
この表は各指針の病態を整理したもの。胸部超音波(eFAST)は迅速な判断の助けになるが、準備や画像取得で救命的処置を遅らせない。陰性だけで疑いを消さず、検査の質と臨床像を合わせる。[3,4]
2|緊急脱気の適応:「気胸がある」と「今、減圧が必要」を分ける
循環不安定、または重い呼吸障害がある
NICE NG39は、緊張性気胸を疑い、循環不安定または重い呼吸障害がある場合に緊急減圧を行うとしている。血圧が保たれているから待てる、という意味ではない。呼吸状態が破綻しかけている患者も対象となる。処置可能なチームと器具が揃えば、針を必ず経由せず、開放による減圧から胸腔ドレーンへ進む選択がある。[3]
針・指・管は、それぞれ何をしているか
| 手技 | 役割 | 限界・次の行動 |
|---|---|---|
| 針による脱気 Needle decompression | 留置カテーテルを介して加圧された空気を逃がす。胸腔開放まで時間がかかる時の橋渡し | 細い管は閉塞・屈曲・逸脱する。大量血胸の排血手段ではない。改善しても確実な胸腔ドレナージを準備 |
| 指による胸腔開放 Finger thoracostomy | 皮膚切開、鈍的剥離、胸膜開放により減圧し、指で胸腔内を確認する | 訓練と器具が必要。自発呼吸患者を開放創のまま放置せず、閉鎖ドレナージへ接続 |
| 胸腔ドレーン Tube thoracostomy | 空気・血液の持続的な排出経路を確保し、排液量やエアリークを追う | 入っただけで完了しない。機能と患者の反応を確認し、出血源や肺・気管支損傷の治療へつなぐ |
外傷性心停止では、緊張性気胸は迅速に解除すべき可逆的原因の一つとなる。両側への対応や開放の維持は、外傷性心停止の蘇生手順と担当者の権限・訓練に従う。「心停止なら全員に盲目的穿刺」「Finger thoracostomyをしたら管はいらない」という一般則にはしない。陽圧換気下の蘇生中に一時的に開放を維持する運用と、自発呼吸患者の管理は別である。[3,7,9]
3|第2肋間から第4肋間へ? ATLSの版と「どの手技か」を確認する
側胸部が注目された理由
従来の第2肋間鎖骨中線では、胸壁が厚く短い針が胸腔へ届かないこと、鎖骨中線を誤って内側に取ることなどが問題になった。そこで第4・第5肋間の側胸部と、より長いカテーテルが検討された。ただし、「側胸部なら必ず薄い」「長くすれば必ず安全」ではない。体格、皮下気腫、穿刺角度、前腋窩線か中腋窩線かでも条件が変わる。[5,6]
| 資料 | 確認できた記載 | 読み方 |
|---|---|---|
| ATLS第10版(2018) 胸部外傷の本文 | 針による脱気:第5肋間、中腋窩線よりやや前方 | 側胸部の推奨は、第11版で初めて登場したものではない |
| 同・手技章 Appendix G, pp.346–347 | 成人の針:第4または第5肋間、中腋窩線より前方。ドレーン:第4または第5肋間、前〜中腋窩線間 | 本文と手技章で表現の幅がある。「第4だけ」と要約しない |
| ATLS第11版(2025) 公開本文の胸部外傷章 | 針:第5肋間の前〜中腋窩線間、または第2肋間鎖骨中線。患者と状況により選択 | 第2肋間が全面廃止されたとは読めない。公式配布原本との版面照合は未実施 |
| WSES–AAST(2025) | 緊急時の針:第2肋間鎖骨中線、または第5肋間中腋窩線を選択肢として記載 | 国際指針でも刺入部位は単一ではない |
| Queensland Ambulance Service(2026) | Finger thoracostomy:第4肋間、中腋窩線より前方、安全三角内 | 第4肋間を明示する手順があるが、これを「最新ATLSの針の唯一の部位」と置き換えない |
出典:[1,2,4,9]。この差を患者の前で初めて議論しないことが重要である。施設で採用する部位と器具、針が無効だった時の次の手段を、訓練時に合わせておく。
第4肋間の胸腔ドレーン:どこを触り、どの肋骨の上を通るか
一般的な成人の側胸部アプローチでは、第4または第5肋間、前腋窩線から中腋窩線の間を用いる。第4肋間を選ぶ場合は、腋窩の真下という印象だけで決めず、肋骨を数え、前方の大胸筋外側縁と後方の広背筋前縁の間で確認する。安全三角はこの筋の境界と腋窩方向の頂点、第5肋間付近を下限の目安とする領域である。乳頭や乳房下縁は参考になるが、乳房の位置・体格・腕の挙上で変わり、唯一の基準にはできない。[9,10]
| 目的の肋間 | その空間 | 基本となる進入側 |
|---|---|---|
| 第4肋間 | 第4肋骨と第5肋骨の間 | 下側にある第5肋骨の上縁側 |
| 第5肋間 | 第5肋骨と第6肋骨の間 | 下側にある第6肋骨の上縁側 |
肋骨の下縁には主な肋間神経血管束が走るため、上縁側から進入する。ただし、側副枝や血管走行の個人差があり、「上縁なら出血しない」という保証ではない。低すぎる肋間、下方への鋭い進入、乳房組織を貫く経路を避ける。安定していて超音波を利用できる時は、胸壁の厚さ、胸膜、横隔膜、液体貯留を患者の処置体位で確認する。[10,11]
4|針による脱気:針、シリンジ、局所麻酔をどう選ぶか
金属針を残すのではなく、排気できるカテーテルを残す
成人で用いる器具の基本は、太いover-the-needle catheter、または緊急脱気用に設計された器具である。14 G程度の太いカテーテルが代表例だが、Gの数字だけでは長さ、内腔、屈曲しにくさ、通気機構は分からない。一般的な短い末梢静脈留置針が、すべての成人の胸膜まで届くとは限らない。専用器具の国際的な使用実績を、そのまま国内の承認・採用品と同一視しない。[2,7,8]
5 cmと8 cmは研究・手技資料で登場する代表的な長さであり、全成人に同じ長さを同じ深さまで入れる指示ではない。長い器具では胸膜に到達しやすい一方、その後も金属針を進めれば肺、血管、心臓、横隔膜側の臓器を傷つけ得る。必要なのは「胸膜へ届く長さ」と「胸膜を越えた後の進み過ぎを防ぐ操作」の両方である。[5–7]
シリンジは付ける? 付けない?
通常の留置針では、シリンジを付けて吸引しながら胸膜到達を確認する方法がある。専用器具を含むすべての方式で必須、とはいえない。ATLS第10版の手技章には10 mLのロック式シリンジを接続する方法があり、少量の生理食塩液を入れると吸引された空気を確認しやすいと記載されている。一方、専用器具には別の確認機構を使うものがある。[1,7]
| 場面 | 考え方 |
|---|---|
| 通常の留置カテーテルで吸引確認する | シリンジを接続し、軽く吸引しながら進める方式。接続の安定と空気の吸引を確認する |
| 専用の減圧器具を使う | 作動表示、バルブ、針の収納などは機種で異なる。通常の留置針の手順を継ぎ足さず、その器具の使用手順に従う |
| カテーテルを留置した後 | 確認用のシリンジ、キャップ、閉じた三方活栓などで排気を止めない。排気を維持できる状態か、実際の構造を確認する |
| 止血弁付きの静脈留置針しかない | 内針を抜くだけで大気へ開放されると決めつけない。通気の可否を把握していない器具を、通常の開放カテーテルと同じように扱わない |
「シリンジなしなら速い」「付ければ必ず確実」と比較効果を断言できる臨床試験は、本稿の検索では確認していない。何を使うかよりも、胸腔へ到達し、空気が持続して逃げられ、次の処置まで機能しているかが評価点になる。[1,7,8]
針の前に局所麻酔をするか
時間と患者の状態が許せば行う。著しい低酸素、循環虚脱、心停止・切迫停止では、薬剤の準備や作用を待つために減圧を遅らせない。ただし、緊急の脱気を無麻酔で行ったことは、その後の皮膚切開、剥離、縫合まで無鎮痛で続ける理由にはならない。減圧後に状態が持ち直したら、続く処置の鎮痛・麻酔を改めて整える。[1,9,10]
5|針による緊急脱気:実施してから、効いたかを確かめるまで
以下は訓練を受けた術者が、施設の手順で選択した成人の刺入部位に通常の留置カテーテルを用いる場合の考え方である。専用器具の個別操作は添付文書を優先する。[1,4,7,8]
- 適応・側・次の手段を共有する。「緊張性気胸を疑い減圧する」と伝え、酸素化・換気・循環の支援を続ける。別の担当者は胸腔開放・ドレーンの準備を進める。
- 部位を触って確認する。選択した肋間と腋窩線、または第2肋間鎖骨中線を同定する。胸骨寄りや低すぎる位置へ流れない。可能な範囲で消毒し、遅延を生じない条件なら局所麻酔を行う。
- 器具の進み過ぎを制御する。下側の肋骨の上縁側から、予定した胸壁への進入方向を保つ。通常は胸壁に対して直角に近い方向を意識し、心臓方向や尾側へ斜めに深く突き進めない。吸引方式なら空気の吸引を確認する。
- 胸膜到達後に金属針を深く進め続けない。胸腔へ達したら、器具の方式に従って柔らかいカテーテルを進め、内針を抜く。針を抜いたカテーテル内へ再び鋭い針を差し込んで通りを作ろうとしない。
- 排気を維持する。確認用接続を解除し、器具が予定する排気経路を確保する。皮下で曲がる、ハブを押し付けて折れる、固定やキャップが排気を妨げる、といった状態を避ける。
- 患者を再評価し、胸腔ドレナージへ進む。呼吸努力、換気、SpO₂、血圧・脈拍の変化を見る。改善しない、または一度改善して悪化した場合は、カテーテル不全と診断の再検討を並行し、経験者による胸腔開放などへ速やかに進む。
「シューと音がした」だけで成功としない。空気の流出音は補助所見であり、聞こえなくても失敗とは限らない。反対に、音があっても十分な減圧が続いているとは限らない。細い針の排気能力を大きなエアリークが上回ることもある。繰り返し穿刺するうちに、確実な減圧が遅れることを避ける。
6|胸腔ドレーンの物品:切る前に閉鎖回路まで準備する
| 目的 | 準備するもの・確認点 |
|---|---|
| 蘇生・監視 | 酸素、換気補助、SpO₂・血圧・心電図、静脈路。鎮静を伴う場合は呼吸監視と救済手段。血胸なら輸血・止血チームへの連絡 |
| 清潔操作 | 手袋、ガウン等の防護具、消毒薬、滅菌ドレープ、ガーゼ。時間切迫時も可能な清潔操作を確保 |
| 鎮痛・局所麻酔 | 採用する局所麻酔薬、濃度と総投与量の確認、シリンジ、皮膚用・深部用の針。必要に応じた全身鎮痛 |
| 切開・鈍的剥離 | メス、大きな湾曲鉗子、持針器、剪刀。指を通せる開放に対応した器具 |
| 胸腔ドレーン | 成人の大量血胸・不安定例では28–32 Frが代表的選択肢。重症度、エアリーク、内容物と採用品で決める |
| 接続・排液 | 適合するコネクタ、回路、水封・集液装置。接続法、バルブ、必要な充填、吸引圧の設定方法を事前確認 |
| 固定・確認 | 非吸収糸、製品に適合した固定具、ドレッシング。超音波、処置後胸部X線の準備 |
細径pigtailの有効性を示す研究は、主として選択された安定例の話である。ショック、大量血胸、凝血塊、強いエアリークを、そのまま同じ条件として扱わない。一方、太いほど常に良いとも限らない。サイズの比較試験と適用範囲は既存の気胸・血胸記事で扱う。[4,11]
局所麻酔は「皮膚だけ」では足りない
意識のある患者では、処置の説明と鎮痛を行い、皮膚、皮下、肋間の進入経路、肋骨骨膜、壁側胸膜まで麻酔が届くようにする。指や鉗子によって肋骨周囲へ圧がかかるため、皮膚の膨疹だけで十分とはいえない。血管内注入を避ける確認を行いながら少量ずつ投与し、状態が許す範囲で効果を確かめる。[10,12,14]
深部の麻酔針から空気・液体が吸引されることは、予定する経路と深さの参考になる。非切迫例で吸引できなければ、部位、病態、画像を再確認する。「吸引できないから、もっと長い針を深く入れる」ではない。逆に、切迫する緊張性気胸で、確認のための検査を繰り返して減圧を遅らせることも避ける。[3,10,12]
濃度とmLを、mgへ直して確認する
国内のキシロカイン注射液1%は、1 mLにリドカイン塩酸塩10 mgを含む。確認した添付文書では、成人の浸潤麻酔は通常20–200 mg、基準最高用量は1回200 mgとされ、年齢・部位・全身状態などに応じた調整が必要である。1%を10 mLなら100 mg、20 mLなら200 mgであり、20 mLを全員に使うという意味ではない。[14]
海外資料のmg/kg上限やアドレナリン添加製剤の上限を、国内の非添加製剤へ無条件に移さない。両側処置、他部位の局所麻酔、追加投与を含めて総量を計算する。鎮静薬による呼吸・循環抑制にも注意し、低酸素・ショック下で「動かないようにする」ことだけを優先しない。
7|第4肋間での切開から、指による胸腔内確認まで
① 体位と部位を最終確認する
他の損傷が許せば患側の腕を上げ、側胸部を露出する。脊椎・上肢損傷や蘇生の状況で無理に体位を変えない。処置時の体位で肋骨・筋の境界を再確認し、乳房組織を避ける。腕を下ろした時に皮膚と管の関係が変わることも、固定時に考慮する。[9,10]
② 皮膚切開は何cmか
ATLS第10版は肋骨と平行な2–3 cm、QASの2026年Finger thoracostomy手順は3–4 cmを記載している。数字の違いをどちらかの誤りと考えるより、指と選択した管が、過大な力なしに通る開口を作れているかが重要になる。[1,9]
皮膚を切る段階と、肋間筋・胸膜へ進む段階は分ける。メスで胸壁全層を一気に深く貫かない。皮膚切開が小さすぎると、その後に強い力が必要となり、抵抗が抜けた瞬間に器具が奥へ走る。大柄な患者や太い管では、固定された長さにこだわらず必要に応じて切開を調整する。[9,10,13]
③ 鉗子で鈍的に経路を作る
指で下側の肋骨を確認し、その上縁側から進む経路を作る。鉗子は先端の動きと進入深さを制御できるように持ち、皮下と肋間の組織を段階的に鈍的剥離する。胸膜を越える瞬間も、反対の手を支えにして急な深刺しを防ぐ。鉗子全体を胸腔の奥まで埋めてから大きく開く操作は避ける。[9,10]
皮膚の切開位置と胸膜を通過する位置は、胸壁内の経路によって完全には一致しない場合がある。したがって「乳頭の高さで切ったから正しい肋間」という確認では不十分で、最後にどの肋骨の上を通って胸膜へ入るかを触って把握する。
④ 指で、胸壁の外ではなく胸腔内へ入ったことを確かめる
胸膜開放後、滅菌手袋をした指で開口部を確認する。胸壁の内面を触れ、胸腔に続く空間であること、直下に癒着した肺や臓器がないかを評価する。空気や血液の流出は補助所見であり、それだけで適切な経路と断定しない。[9,10,16]
ここでのfinger sweepは、胸腔全体を盲目的に剥離する操作ではない。強固な癒着、通常と異なる組織、肺実質へ入り込んだ疑い、横隔膜や腹腔臓器の疑いがあれば、力で突破しない。経験者の支援を得て、患者が許せば画像と別のアプローチを検討する。既往の胸部手術や胸膜癒着術は、事前に分かる範囲で確認しておく。
先に脱気針が留置されている場合は、鋭い針が近傍に残っていないかを共有する。管への移行で減圧を途切れさせない一方、指を入れる経路に鋭利物を残さない。[9]
8|胸腔へ入った後、トロッカーの内筒は入れたままでよいか
本稿の鈍的剥離法では、胸腔内を指で確認した後、鋭い内筒を外した柔らかい管を、指や鉗子で誘導する。尖端を突出させたトロッカーを、胸腔内へさらに押し進める方法を基本にしない。
「トロッカーカテーテル」は製品名・構造の話、「トロッカーで突き込む」は操作の話であり、同じではない。BTSは、鋭い金属トロッカーで剥離せずに管を押し込む方法を、重篤な臓器損傷の危険から避けるとしている。NSWの鈍的剥離手順もトロッカーを用いない方式を明記している。[10,11]
ただし、製品の添付文書を「全部抜いてから」と書き換えてはいけない
国内のSBカワスミ「トロッカーカテーテル」の確認した添付文書には、胸膜腔への到達後に針を少し引き、カテーテルを進めてから針を抜くという、その製品の手順が記載されている。胸腔内の操作では針を引き込んだ状態にする注意もある。つまり、「国内の全製品が、管を進める前に内筒を完全抜去するよう指示している」とは書けない。[13]
これは、尖った金属先端を突出させたまま胸腔内を押し進めてよい、という意味ではない。鈍的剥離法を採用するなら、その方法に適した柔らかい管を選び、内筒を必要とする製品の手順と途中で混ぜない。採用品の適合性が不明なら、指導者・製造販売業者と確認し、器具と手技を組として統一する。
| 器具・部品 | 扱いの要点 |
|---|---|
| 鋭い金属のトロッカー内筒 | 臓器損傷の原因になり得る。鈍的剥離法で柔らかい管を誘導する時のガイドとして、尖端を突出させて使わない |
| 柔らかい管の支持用スタイレット | トロッカーと同じ構造とは限らない。支持材の留置・抜去の時点は製品で異なる |
| Seldinger法のガイドワイヤ・ダイレータ | 別の挿入法。ワイヤの保持、拡張器の過深挿入防止など、専用の手順が必要。指による鈍的剥離の説明と混ぜない |
カテーテル内で内針を前後に動かすと管を損傷し得る。抜去した鋭い針を再挿入して管を硬くする操作は避ける。留置位置や通過抵抗の問題は、針で押し通すのではなく、経路と器具を再評価して解決する。[15]
9|管の挿入方向、深さ、固定、回路接続
気胸は上、血胸は下? 「向き」と「機能」を分ける
一般には気胸で前上方・肺尖側、血胸で後下方・肺底側への誘導が教えられる。ただし、これは先端を狙った場所へ無理に押し込む理由にはならない。指で確認した胸腔への経路に沿って管を導き、縦隔へ向けて深く押さず、胸壁内側に沿うように入れる。抵抗があれば一度止まり、屈曲、胸壁内への迷入、癒着などを考える。[12,16]
胸腔内にある管の位置と追加処置の関連を調べた外傷の観察研究では、特定の向きが追加処置の必要性を決定するとは示されなかった。だからといって、限局した血胸や機能していない管を放置してよいわけではない。適切な胸腔内位置、全側孔の収まり、実際の排気・排血を優先する。[12,18]
何cmまで入れるか
「成人は全員○cmで固定」という共通値は作れない。胸壁の厚さ、体格、体位、管の側孔の数と範囲が異なるからである。挿入前に、最も手前の側孔がどこにあるか、目盛が先端からの距離なのか、側孔を基準にするのかを確認する。例えば国内製品でも、製品・型式により目盛の基準は異なる。[12,13,15]
全側孔が胸腔内へ十分入る深さを確保し、胸壁内に側孔を残さない。側孔が外へ出ると外気の流入、皮下気腫、排液不良を起こし得る。一方、必要以上に深く進めると、肺・縦隔への接触、折れ曲がり、疼痛を増やす。固定時の皮膚面の目盛を記録し、体位変換・搬送後に比較できるようにする。
水封・集液装置につないでから、通りを確認する
挿入前に準備した閉鎖式ドレナージ回路へ接続し、抜けにくく固定する。接続時に一時的なクランプを用いる方式なら、接続後に確実に解除する。集液装置は規定の向きと高さ、通常は胸部より低い位置に保ち、回路の屈曲や圧迫、患者の下敷き、接続の外れをなくす。[10,15,16]
水封と持続吸引は同じではない。壁吸引へ直接つないで強く引けばよいわけではなく、必要性を判断し、装置に応じた調整された吸引を使う。活動性エアリーク、特に陽圧換気中の管を漫然とクランプすると、再緊張の危険がある。「排液が急に多い」「咳が出た」などの場面も、気胸と単純胸水の管理を混同せず、患者・病態を再評価する。[11,16]
固定は、太い管の縫合固定、製品の固定翼や固定具など、管の構造に適した方法を選ぶ。直接糸を掛けることを禁止している細径製品もあるため、「すべての管を強く縛る」ではない。ドレッシングと回路の牽引防止まで含めて完了させる。[12,15]
10|胸腔内到達と機能の確認:「空気が出た」だけで終えない
| 確認するもの | 得られる情報 | それだけでは分からないこと |
|---|---|---|
| 指で確認した胸腔への経路 | 胸壁を越えた開口と周囲の触知。管を入れる前の重要な確認 | 管の先端が最後まで適切に進んだか、すべての側孔が入ったか |
| 空気・血液の排出、回路の動き | 排気・排液の存在。水封部の呼吸性変動、バブリングなど | バブリングは回路漏れでも起こる。呼吸性変動がない理由も、再膨張と閉塞の両方がある |
| 患者の反応 | 呼吸努力、換気、SpO₂、血圧・脈拍の改善または再悪化 | 改善が乏しい時、管の不全と併存損傷を区別するには追加評価が必要 |
| 超音波・胸部X線、必要時CT | 残存気胸・血胸、肺の再膨張、管の位置・屈曲、合併損傷 | 単純X線だけで胸膜外・葉間・肺実質内の走行を完全に判定できるとは限らない |
この4段階は、複数の手技資料をもとにした実務上の整理である。状態が許せば、留置後早期に胸部X線などで確認する。不安定な患者では、画像撮影の完了を待ってから機能不全に対応するのではなく、蘇生と回路・胸腔の再評価を同時に進める。[4,10,16]
よくある失敗と、次に確認すること
| 状況 | 確認・対応の方向 |
|---|---|
| 針の後も改善しない | 胸腔未到達、短いカテーテル、閉塞・屈曲、排気経路、十分に排気できない大きな漏れを確認。胸腔開放へ進む体制を作り、気道・出血など他原因も評価 |
| 一度改善して再び悪化 | 針の逸脱、管・回路の折れやクランプ、閉塞、側孔の逸脱を確認。再緊張を疑えば迅速に再減圧 |
| 皮下気腫が増える | 側孔が胸壁内・皮下にないか、排気が十分か、管・回路に閉塞がないか。大きな気管支損傷やエアリークも考える |
| 血胸なのに排血が少ない | 出血が少ないと即断しない。凝血塊、閉塞、屈曲、位置、限局した貯留を評価。超音波・CTと全身状態を合わせる |
| エアリークが続き、肺が膨らまない | 装置・接続からの漏れと、患者側の持続漏を区別。適切な管でも改善しなければ肺・気管支損傷を疑い、外傷外科・呼吸器外科へ相談 |
| 臓器内への誤挿入を疑う | 盲目的に抜いて終わりにしない。管を安定させ、専門チームへ緊急相談。循環が許せばCTで位置と損傷を評価し、管理下の抜去・修復を計画 |
特に最後の項目は重要である。臓器や大血管に入った管を不用意に抜くと、出血を増やす可能性がある。WSES–AASTも、意図しない臓器内への留置では直ちに抜去せず、専門的評価と対応を行うとしている。[4]
排液量を測り、止血へつなぐ
大量血胸では、ドレーンは排血経路を作ると同時に、出血の評価手段にもなる。しかし、管が止血するわけではない。初回排液量、時間当たり排液、性状、輸血量と循環の反応を記録し、蘇生と外科的止血の相談を並行する。排液量が一定の数字に達するまで、悪化する循環を放置しない。
初回約1,500 mL、持続約200 mL/時といった従来の目安は、時間幅・対象・指針によって表現が異なる。数字だけで決めず、気胸・血胸記事の原典と判断条件を確認する。抗菌薬、残存血胸とVATS、吸引・抜去の詳細も同記事へつなぐ。
11|主要研究:何が分かり、何を証明していないか
5 cmの針が届くか:部位の比較は主に解剖学的な研究
Laanらの2016年メタ解析は、CTまたは献体による胸壁の測定を用い、胸壁厚の解析15研究、5 cmカテーテルの不成功の解析13研究をまとめた。下表の不成功率は、主として解剖学的な到達不能の予測・評価であり、救急現場での全要因を含む臨床失敗率や死亡率ではない。[5]
| 部位 | 統合値(95%信頼区間) |
|---|---|
| 第2肋間・鎖骨中線 | 38%(24–54%) |
| 第4/5肋間・中腋窩線 | 31%(10–64%) |
| 第4/5肋間・前腋窩線 | 13%(8–22%) |
研究間の異質性は非常に大きく、胸壁厚の部位差自体は統計学的有意に至っていない。対象集団や体格も異なる。側胸部、とくに前腋窩線の有用性を支持する材料ではあるが、この13%を「第4肋間にすれば臨床失敗が13%」と読まない。
8 cmは5 cmより効くか:小規模な後ろ向き研究
Ahoらは成人外傷70例、91回の針による脱気を後ろ向きに検討した。部位は第2肋間鎖骨中線で、8 cm群の記録上の臨床改善は83%、5 cm群は41%だった(p=0.01)。改善の定義は、呼吸・循環・全身状態が良くなったという診療記録である。[6]
無作為比較ではなく、器具変更の時期、病院前か院内か、患者背景が重なる。論文で合併症が同定されなかったことは、8 cmを深く入れても安全という証明ではない。また、第4/5肋間で8 cmを使った結果と取り違えない。
「肺尖へ向いていない」だけで入れ替えるべきか
Bennsらの外傷患者の後ろ向き研究は、挿入後にCTで位置を評価できた291例を対象とし、48例(16.5%)に追加処置が必要だった。胸腔内にある管の位置そのものと、追加処置の必要性との明確な関連は示されなかった。[18]
これは、方向を整えるために機能する管をむやみに入れ替えない根拠の一つとなる。一方、胸腔外への迷入や、凝血塊で排液できない状態を容認する研究ではない。CTを撮れた患者の観察研究であり、すべての救命処置にそのまま適用できるわけでもない。
手技の細部は、すべてRCTで決まっているわけではない
切開を2 cmにするか4 cmにするか、シリンジの有無、鉗子の持ち方などには、解剖、器具の構造、専門家の手技指導、安全性報告に基づく部分が大きい。手順書に書かれていることを、高確実性の比較試験で優越性が証明されたことと混同しない。反対に、RCTが乏しいことを、深い鋭的穿刺や無鎮痛の処置を容認する理由にもしない。
12|日本で使う時に、採用品で確かめること
海外の手技図を見て操作を覚える前に、自施設の棚にある器具が同じ構造かを確認する。針の実長、カテーテルの通気、内筒・支持材の形状、目盛、側孔、固定法、接続バルブは、見た目が似ていても異なる。
- 脱気針:長さと太さ、内針抜去後の通気、バルブや作動機構、カテーテルを残す時の手順。
- ドレーン:鈍的剥離で使う管か、固有の挿入機構を持つ製品か。内筒の抜去・引き込み、側孔と目盛の位置。
- 固定:直接縫合できる管か、固定翼を使う製品か。強い結紮で管を潰さないか。
- 排気・排液回路:一時的吸引に使うバルブを、持続ドレナージへそのまま残してよいか。自然排気時の通りと、吸引装置の適合性。
- 局所麻酔:実際の製剤、濃度、アドレナリンの有無、患者ごとの許容量、複数部位での総投与量。
例えば「アスピレーション セルジンガー キット」の添付文書では、低圧持続吸引・自然排液へ移行する時に、特定のアスピレーションバルブを使用しないよう指示している。閉塞に伴う緊張性気胸が理由であり、「弁が付いていれば安全」とは限らない。また、製品添付文書に記載された広い使用部位を、成人外傷の標準刺入部位と読み替えない。[13–15]
よくある疑問
第4肋間なら、腋窩線はどこでもよい?
よくない。肋間と前後方向の位置はセットで示す。通常の側胸部の胸腔ドレーンは、第4または第5肋間の前〜中腋窩線間を目安に、筋の境界と肋骨を実際に確認する。針については、採用している指針・器具の部位を確認する。
局所麻酔なしで始めたら、そのままドレーンまで入れる?
切迫した減圧を遅らせないことと、その後も鎮痛を省くことは別である。状態が改善したら、続く切開・剥離・縫合に必要な麻酔と鎮痛を整える。
ドレーンが入りにくい時、内筒を戻して押せばよい?
鋭い内筒を再挿入して押し通す方法は避ける。皮膚切開、胸壁内の経路、開口の広さ、管の屈曲、癒着、誤った経路を再確認する。器具を硬くして力をかけるほど、解決から遠ざかる場合がある。
バブリングがなければ、胸腔に入っていない?
そうとは限らない。エアリークがない、肺が再膨張した、閉塞しているなど、複数の可能性がある。患者の状態、排液、回路、画像を合わせて判断する。
先端が肺尖を向いていなければ、再挿入する?
先端の見た目だけでは決めない。胸腔内にあり、全側孔が収まり、必要な排気・排血ができているかで評価する。機能不全、限局性貯留、臓器への接触などがあれば、その問題に応じた修正を行う。
現場に持ち帰る確認
適応 → 側と部位 → 器具と麻酔 → 深さを制御した胸腔到達 → 全側孔と回路 → 患者の改善と画像確認。この順で考えると、「針を刺した」「管が入った」という操作の完了と、Bの異常を解決したことを区別できる。
処置記録には、適応、左右・肋間と腋窩線、器具の型式・サイズ、麻酔薬の濃度・量、挿入法、皮膚面の固定目盛、初回排液・エアリーク、患者の反応、確認画像、継続する吸引・観察の指示を残す。搬送・体位変換の後も、同じ項目で再評価する。
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文献・公式資料
- American College of Surgeons Committee on Trauma. ATLS Student Course Manual. 10th ed. 2018. Chapter 4; Appendix G, pp.346–347. 大学公開の書籍PDF。本文と手技章を確認。逐語転載・原図転載は行っていない。
- American College of Surgeons. Advanced Trauma Life Support Course Manual. 11th ed. 2025. Chapter 5, Thoracic Trauma. ACS公式の第11版公開案内/公式コース。版の公開はACS公式で確認。該当記載は公開転載テキストで確認した範囲であり、公式配布原本との版面照合は未実施。
- National Institute for Health and Care Excellence. Major trauma: assessment and initial management. NG39. 2016. 推奨/公式ガイドラインの胸部外傷章(NCBI Bookshelf)。緊急減圧の適応、方法選択、再緊張の観察を確認。
- Coccolini F, et al. Thoracic trauma WSES-AAST guidelines. World J Emerg Surg. 2025. DOI: 10.1186/s13017-025-00651-1。公開本文。成人外傷の病態・減圧・誤挿入への対応を確認。
- Laan DV, et al. Chest wall thickness and decompression failure: A systematic review and meta-analysis comparing anatomic locations in needle thoracostomy. Injury. 2016;47:797–804. DOI: 10.1016/j.injury.2015.11.045. PMID: 26724173. 公開本文。方法・結果・異質性を確認。
- Aho JM, et al. Needle thoracostomy: Clinical effectiveness is improved using a longer angiocatheter. J Trauma Acute Care Surg. 2016;80:272–277. DOI: 10.1097/TA.0000000000000889. PMID: 26670108. 著者所属機関の抄録。本稿では抄録で対象・評価定義・結果を確認。
- UK Defence Medical Services. Needle thoracocentesis. Clinical Guidelines for Operations. Review: 7 February 2026. 公式手技資料。緊張性気胸の所見、器具別手順、処置後評価。特定製品・軍事医療の条件を国内へ一律に転用しない。
- Queensland Ambulance Service. Emergency chest decompression — Cannula. March 2026. 公式PDF。通気を妨げるblood-control機構への注意を確認。この資料の小児の針長は成人の推奨値として引用していない。
- Queensland Ambulance Service. Emergency chest decompression — Finger thoracostomy. March 2026. 公式PDF。第4肋間、切開30–40 mm、深刺し防止、指での確認。対象職種・適応条件は地域の救急医療手順。
- NSW Agency for Clinical Innovation. Pleural Drains in Adults — Blunt dissection. 公式手技資料。成人の胸腔処置一般。鈍的剥離、麻酔、接続、固定を確認。切迫した外傷への適用は緊急度を区別。
- Asciak R, et al. British Thoracic Society Clinical Statement on pleural procedures. Thorax. 2023;78(Suppl 3):s43–s68. DOI: 10.1136/thorax-2022-219371。BTS公開本文。手技・ドレーンの章を確認。2026年の訂正告知については文献19と確認範囲を参照。
- BTS Clinical Statement on pleural procedures. Online Appendix 4: Intercostal drain insertion. 2023. 公式補足PDF。局所麻酔、方向、側孔、固定を確認。挿入深さの目安は製品の目盛基準が異なるため共通値として採用していない。
- SBカワスミ株式会社. トロッカーカテーテル 添付文書. 2024年4月改訂(第8版). 承認番号15800BZZ00799000. 製造販売業者の添付文書。針の引き込み、切開不足と過大な力、目盛を確認。
- キシロカイン注射液0.5%・1%・2% 電子添文. 2023年9月改訂(第1版). PMDA公開PDF。非アドレナリン添加製剤の濃度、浸潤麻酔の用量と注意を確認。
- カーディナルヘルス株式会社. アスピレーション セルジンガー キット 添付文書. 2022年4月改訂(第16版). 承認番号21200BZZ00302000. 製造販売業者の添付文書。内針による損傷、型式別目盛、固定翼、持続排液への移行時のバルブを確認。
- American Association for Thoracic Surgery. TSRA Primer — Thoracic Trauma. 学会の教育資料。胸腔への進入、管の誘導、機能確認を確認。
- 日本外傷学会/日本外傷診療研究機構. JATEC関連公式情報. 日本外傷学会/第6版改訂概要。第6版と改訂概要を確認。現行B章全文は未取得であり、海外の手技記載をJATECの逐語的推奨とはしていない。
- Benns MV, et al. Does chest tube location matter? An analysis of chest tube position and the need for secondary interventions. J Trauma Acute Care Surg. 2015;78:386–390. DOI: 10.1097/TA.0000000000000479. PMID: 25757126。抄録の対象・結果とBTS補足の引用を照合。本文・補足は未取得。
- Correction: British Thoracic Society Clinical Statement on pleural procedures. Thorax. 2026;81:e2. DOI: 10.1136/thorax-2022-219371corr1. PMID: 42134858. 訂正告知の存在と書誌を確認。訂正本文は未取得のため、引用箇所への影響は未照合。
検索と確認範囲
文献ごとの確認範囲を開く
最終検索・確認日:2026年10月1日(日本時間)。ACS・学会・公的機関・PMDA・メーカー資料、PubMed/PMCと公開論文を対象に、ATLS 10/11、tension pneumothorax、needle decompression、chest wall thickness、finger thoracostomy、blunt dissection、trocar、chest tube position、リドカイン電子添文を組み合わせて確認した。本稿は臨床ナラティブレビューであり、網羅的なシステマティックレビューではない。
ATLS第10版の該当章、国内添付文書、QAS・NSW等の手技資料は本文を確認した。第11版は公式公開案内と公開転載テキストの確認に留まり、公式配布原本との照合は未実施。JATECの現行B章全文、BTSの2026年訂正本文も未取得である。これらを原本確認済みとは扱わない。数字のある研究は、本文・抄録の確認範囲を文献ごとに明示した。
更新履歴
更新履歴を開く(2026年10月1日)
2026年10月1日:初稿。ATLSの版・章による刺入部位の違い、針・指・ドレーンの役割、シリンジと局所麻酔、トロッカーの製品差、挿入確認と再評価を整理。外傷性気胸・血胸の記事への内部リンクを追加。著者の公開承認を受け公開。


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[…] 緊張性気胸の減圧と挿入手技の詳細(JATEC Bの異常|緊急脱気・胸腔ドレーンの適応と手技を徹底解説を参照)、救急室開胸、気管・気管支損傷、心・大血管損傷(大動脈は外傷性大動脈損傷とTEVARを参照)。 […]