BELL’S STUDY NOTE
ひとことで言うと:iPad 1台に動画編集アプリLumaFusion(買い切り、講演では約4,500円と紹介)とイラストアプリProcreate(約2,000円)を入れ、Split Viewで左右に並べるだけで、解剖用語や矢印入りの手術動画を短時間で作れる。
勉強した日:2025-11-27(録画を2026-10-14に見直し) / きっかけ:録画した講演・勉強会
医療従事者向け:本記事は教育・一般的な医学情報のための記事です。個々の患者の診断・治療を代替しません。
要点
- iPad 1台に動画編集アプリLumaFusion(買い切り、講演では約4,500円と紹介)とイラストアプリProcreate(約2,000円)を入れ、Split Viewで左右に並べるだけで、解剖用語や矢印入りの手術動画を短時間で作れる。
- 基本操作は「LumaFusionでスナップショット → Procreateで書き込み → ドラッグでLumaFusionに戻してタイムラインに置く」の繰り返し。静止画1枚なら慣れれば3分程度。
- Procreateで新しいレイヤーに文字や矢印だけを書いて1枚ずつ持ち込み、LumaFusionの上のトラックに重ねると、動いている動画の上にテロップのように文字・記号を載せられる。
- ピクチャー・イン・ピクチャー(2画面並列)、速度調節、書き出し、PowerPointでのCT連続画像の動画化もあわせて紹介された。
- 最大の障壁は拡張子(ファイル形式)問題。講師は手術直後にiPadの変換アプリでMOVに変換しておくことをルーチンにしている。
背景と動画作成のねらい
講師は秋田県由利本荘市(スライドでは人口約76,000人、病床数142床)の病院で、外来・検査・手術・病棟・緩和までを担う自己完結型の医師の育成を目指している。外科医の減少が見込まれる中、学生・研修医に外科へ興味を持ってもらう方法を考えた。
学生に聞くと「見ているだけでは解剖や手順が分からない」「今どの段階か分からない」「ルールを知らない麻雀を後ろで見せられているようで、同じ部屋にいても仲間外れの気分」という声があった。そこで若手と一緒に、イラスト手術書の読み合わせ、過去の手術所見の解説、手術動画の解説を試したところ、手術動画の解説が最も好評だった。
ただし日常業務や働き方改革で時間の確保が難しいため、解剖用語や展開方法を盛り込んだ短い動画を作り、すきま時間に見てもらう形にした。動画編集はコスト・時間・労力がかかり教えてくれる人もいなかったので、動画サイトや書籍で独学し、iPad 1台で行う方法にたどり着いた。
使用機器とアプリ
- iPad Pro 11インチ(第2世代)。講師によれば現行の通常のiPadでも十分編集できる。
- LumaFusion: 動画編集アプリ。買い切り。価格はセールや為替で変動する。
- Procreate: イラスト作成アプリ。約2,000円(変動あり)。
- 文字を打ち込む場合は外付けキーボードがあると良い(無いと画面の下半分がキーボードで隠れて操作しづらい)。手書きでも問題ない。
- LumaFusionの画面は、素材エリア、動画確認エリア、タイムライン(動画編集)エリア、音声編集エリアに分かれる。
手順1 静止画に文字や画像を入れる
- 手術中、あとで解説を入れたい場面(例: ルビエール溝、Calot三角、十二指腸が見える場面)では、カメラを5秒ほど静止させておくと編集しやすい。
- LumaFusionに手術動画を読み込み、タイムラインで目的の場面に合わせる。
- 右下の「四角に上向き矢印」のボタンをタップし、出てきたメニューのカメラマーク「スナップショット」をタップ。その画面が写真に保存される。
- 挿入する位置が分からなくならないよう、その位置にハサミでタイムラインに切れ目を入れておく。
- Split Viewで右側にProcreateを出す(画面下から出す方法と、上部の「…」から分割する方法がある)。中央の境界を動かして作業しやすい大きさにする。
- Procreateで「写真」をタップし、いま保存したスナップショットを選んで開く。
- 解剖名や記号を書き込む(文字入力でも手書きでもよい)。
- 書き込んだ画像をProcreateから左のLumaFusionへドラッグすると、素材エリアに取り込まれる。
- 素材エリアから、切れ目を入れた位置へドラッグして挿入する。解説入りの静止画が動画の途中に入る。
手順2 動いている動画の上に文字や記号を載せる
- スナップショット、ハサミ、Procreateで写真を開くところまでは手順1と同じ。
- Procreateで新しいレイヤーを追加する。レイヤーはトレーシングペーパーを重ねるようなもので、元の画像には影響しない。
- 載せたい要素ごとにレイヤーを分けて書く(例: 術者が切り上げる方向、術者が左下に引く方向、助手が10〜11時方向に展開する方向)。
- レイヤーを1枚ずつLumaFusion側へドラッグする。それぞれ別の素材として取り込まれる(どこに落としても素材エリアに入る)。
- 素材を、手術動画と同じ段ではなく上の段のトラックに重ねて置く。講師の説明では6層まで重ねられる。元の動画はそのままで、再生すると動画の上に文字・矢印が表示される。
作例と応用
- 作例は急性胆管炎・EST後の腹腔鏡下胆嚢摘出術(スライド: 60代女性、全身麻酔、頭高位15度、左回旋10度、4ポート)。炎症による癒着を剥離して解剖を確認し、展開方向を矢印で示している。
- 胆嚢動脈に見えた血管について、CT画像を並べて表示し、右肝動脈が早期に分岐して総胆管の前面を走行していることを示した。切ってはいけない血管であり、右肝動脈から出る胆嚢動脈を確認してから処理する方針とした。
- 慣れればこの程度の動画は30分ほどで作れるとのこと。
- 手術所見への応用: 作成した画像を手術所見のテンプレートに貼り込めば、そのまま所見として使える。写真が使えず手書きが必要な場面もあると述べていた(詳細は聞き取り不確か)。
- 手技教育への応用: エコーガイド下の血管穿刺(カテーテル留置)について、エコー画像と手元の映像を左右に並べた動画を作り、特定行為看護師や学生に前日に送って予習してもらうと好評。
手順3 ピクチャー・イン・ピクチャー(2画面を左右に並べる)
- 1本目の動画をタイムラインの1段目に置き、クリップを選んで鉛筆マークをタップする(そのクリップを編集する合図。頻繁に使う)。
- 編集画面の「フレームとフィット」で、サイズを半分程度に小さくし、切り取りで不要な側を削り、位置のX軸を動かして左に寄せる。
- 操作は右側のスライダーで行う。プレビュー画面を直接つまんで縮小することはできない、との説明だった。
- 戻るボタンで編集画面を閉じ、2本目の動画を上の段に載せる(上の段が優先表示される)。同様に鉛筆マークからサイズを小さくし、切り取って右に寄せる。
- 編集画面の他の機能は、速度と逆再生、エフェクトなど。講師は左側の2つ(フレームとフィット、速度)でほぼ足りるとしている。
手順4 速度調節と書き出し
- 速度調節: クリップを選んで鉛筆マーク → 速度のボタン → 速度のつまみを動かすだけ。
- 書き出し: 右下の「四角に上向き矢印」→「ムービー」→ 保存先に「写真」を選ぶ(動画でも「写真」でよい)。
- 解像度などを選ぶと下に書き出し後のファイルサイズが表示される。4Kにするとすぐ容量が無くなるので、普段は低めの設定、学会用などきれいに見せたいときだけ高画質にする。
- 最後に画面上部の書き出しボタンを押して初めて書き出しが始まる。下にある同じ形のマークを押しただけでは書き出されないので注意。
PowerPointでCT連続画像から動画を作る
- CTの連続画像をパソコンの1つのフォルダに入れておく。
- PowerPointで「挿入」→「フォトアルバム」→「ファイル/ディスク」でフォルダ内の画像をすべて選択して挿入し、「作成」。1画像1スライドのファイルができる。
- 「ファイル」→「エクスポート」→「ビデオの作成」。各スライドの表示時間を短く設定する(講師は0.5秒ほど)と、スクロールするCT動画になる。
拡張子(ファイル形式)問題
- iPadで撮った動画(MOV): iPadでの再生とLumaFusionでの編集は問題ない。Windowsでは再生できない場合がある。
- 天吊りカメラ(MTS): iPadでの再生、LumaFusionでの編集、Windowsでの再生のいずれもできない。
- 腹腔鏡カメラ(MP4): Windowsでは再生できるが、iPadでの再生とLumaFusionでの編集はうまくいかないことがある(講師の施設では映像が緑色になり乱れた)。
- 対策としてiPadの変換アプリ(講演では「ビデオコンバータ MP3抽出」のような名称で紹介。正確なアプリ名は聞き取り不確か)でMOVに変換してからLumaFusionに読み込む。無料のままだと変換に1日近くかかることがあり、課金(500円〜1,000円程度)しても手術時間と同じくらいかかる。
- そのため、手術が終わったらまず動画をiPadに入れて変換を始め、処方や術後管理をしている間に終わらせるのをルーチンにしている。講師自身これが最適解とは考えておらず、良い方法があれば教えてほしいとのこと。
質疑・補足
- 山本先生の補足: Mac標準のiMovieは無料だが、任意の場所に文字を入れることができない。同じことをするにはFinal Cut Pro(現在約5万円とのこと)が必要。肥田先生はPowerDirectorを使用しており、2本の動画を音声で自動的に同期できる点が利点。基本操作がそろっていて最も安価なのが今回の組み合わせで、入門に向く。
- Procreateでの文字入れについて: 文字の大きさや色を変えながら進める必要があり、外付けキーボードが無いと操作しづらい。
- 第2部(実習)の冒頭: LumaFusionを起動し、左下の「+」のボタンから新規プロジェクトを作成して名前(課題1)を付け、素材エリアの読み込み元(写真やファイル)から事前配布の課題動画を選ぶ。素材の場所は人によって異なる。録画はここで終わっている。
学び・実践へのポイント
- 手術中から「ここは後で解説を入れる」と決め、見せたい解剖が出た場面でカメラを数秒静止させておく。
- スナップショットを撮ったら、その場でハサミを入れて挿入位置を残す。
- 静止画への書き込みは同じ段に挿入、動画に重ねる文字・矢印はProcreateの別レイヤーで作り上の段に置く、と使い分ける。
- 書き出しは保存先と解像度を選んだあと、上部の書き出しボタンを押したか確認する。
- 録画機器のファイル形式を事前に確認し、変換が必要な場合は手術直後に変換を始めておく。
- 作った画像や動画は、手術所見、学会発表、学生・研修医・看護師向けの予習教材に転用できる。講師は教育的有用性の検証を今後の課題としている。
自分用メモ
(迷ったところ、自施設での運用、次に調べたいこと)
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確認の範囲
このノートは、録画の音声の自動文字起こし(Notta)とスライドの画像から作成した要約である。音声認識の誤りは文脈とスライドで補ったが、数値や固有名詞には聞き取りの誤りが残り得る。演者の発言とスライドの内容を整理したもので、言及された論文やガイドラインの原著とは照合していない。
このノートは外傷外科医ベル個人の勉強メモです。演者の見解を記録したもので、実際の診療では最新のガイドラインと各施設の方針を確認してください。


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