臨床監修前 · 文献症例の検討用
判断 1 / 3 · 振り返り
選択を振り返る
選んだ判断
輸血・骨盤の安定化と、迅速な止血への準備を並行する
選択についての振り返り(編集)
出血への対応を、アクセス確保・蘇生と並行して進める視点です。原著では大量輸血と骨盤Cクランプを用いました。何を行ったかに加え、反応が得られなければ次の止血手段へ移る時間も考えます。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 1 / 3 · 振り返り
選択を振り返る
選んだ判断
REBOAの留置を最優先の目標にする
選択についての振り返り(編集)
一時的な出血制御を考える選択です。ただし留置そのものが最終目標ではありません。原著ではREBOAが施設の標準手順にまだ含まれておらず、実施可能性や止血までの遅延も検討点になります。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 1 / 3 · 振り返り
選択を振り返る
選んだ判断
まずCTで損傷部位を詳しく調べる
選択についての振り返り(編集)
画像で損傷を把握したい状況ですが、この時点では心肺蘇生が継続しています。画像の情報価値と、蘇生・止血までの時間を比べる必要があります。原著の施設では反応しない出血性ショックを緊急手術の対象としていました。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 1 / 3
救出時の急変
原著の経過
トラックを持ち上げ、タイヤによる骨盤への圧迫が弱まると、低血圧から心肺蘇生を要した。現場で骨盤バインダーを装着し、挿管された。搬入時も蘇生中。静脈路はなく、左脛骨近位の骨髄路のみが確保されている。
ここまでの情報を確認する
17歳女性。自転車走行中にトラックに轢かれ、骨盤部を圧挫された。救急隊到着時は覚醒し、指示に従えていた。
次の対応で、何を中心に組み立てますか。
今の判断に近いものを選んでください。
A|輸血・骨盤の安定化と、迅速な止血への準備を並行するB|REBOAの留置を最優先の目標にするC|まずCTで損傷部位を詳しく調べる
判断 2 / 3 · 振り返り
選択を振り返る
選んだ判断
挿入できたことを根拠に、遮断位置まで到達したと扱う
選択についての振り返り(編集)
動脈への挿入と、目的位置への到達は別の確認事項です。挿入できたという情報だけでは、バルーンの位置や血管内にあることを保証できません。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 2 / 3 · 振り返り
選択を振り返る
選んだ判断
走行・位置と血管損傷の可能性を再評価し、止血手段を見直す
選択についての振り返り(編集)
進まない理由を単なる手技の難しさに限定しない視点です。抵抗のあるまま盲目的に進めることや、位置未確認での拡張を避け、止血までの時間も含めて対応を見直す必要があります。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 2 / 3 · 振り返り
選択を振り返る
選んだ判断
カテーテルを交換すれば解決すると考える
選択についての振り返り(編集)
器材の問題は検討できますが、交換で解決するとは限りません。強い外力による血管の連続性の破綻など、器材以外の原因も残ります。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 2 / 3
処置が進まない
原著の経過
初期評価後に骨盤Cクランプを装着し、大量輸血を開始した。静脈切開によるアクセス確保と、左大腿動脈を外科的に露出してのREBOA留置が試みられた。カテーテルは挿入できたが、鼠径部を越えて進められない。
ここまでの情報を確認する
17歳女性。自転車走行中にトラックに轢かれ、骨盤部を圧挫された。救急隊到着時は覚醒し、指示に従えていた。
トラックを持ち上げ、タイヤによる骨盤への圧迫が弱まると、低血圧から心肺蘇生を要した。現場で骨盤バインダーを装着し、挿管された。搬入時も蘇生中。静脈路はなく、左脛骨近位の骨髄路のみが確保されている。
この抵抗をどう捉えますか。
今の判断に近いものを選んでください。
A|挿入できたことを根拠に、遮断位置まで到達したと扱うB|走行・位置と血管損傷の可能性を再評価し、止血手段を見直すC|カテーテルを交換すれば解決すると考える
判断 3 / 3 · 振り返り
選択を振り返る
選んだ判断
カテーテルが血管外にあるため、すべて手技で生じた損傷と断定する
選択についての振り返り(編集)
最終位置だけでは損傷の発生時点を確定できません。外傷による既存損傷を通って逸脱した可能性と、手技の関与を区別して検討します。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 3 / 3 · 振り返り
選択を振り返る
選んだ判断
重大な外傷があるため、手技の関与は完全に否定できる
選択についての振り返り(編集)
重度外傷があっても、手技の寄与がなかったとは証明できません。原著も断定を避けています。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 3 / 3 · 振り返り
選択を振り返る
選んだ判断
受傷時の損傷が強く疑われるが、手技の寄与までは断定しない
選択についての振り返り(編集)
原著の法医学的評価に沿う整理です。周囲の大量出血から蘇生開始前の血管損傷が最も考えられましたが、シース挿入の関与は確定できませんでした。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 3 / 3
術中・剖検所見を読む
原著の経過
開腹すると骨盤内から大量に出血していた。カテーテルは腸骨動脈損傷部から血管外へ抜け、骨盤内に達していた。外科的処置を完了する前に死亡し、蘇生は計100分続けられた。剖検では外腸骨動脈の長い範囲の断裂・離開を認めた。
ここまでの情報を確認する
17歳女性。自転車走行中にトラックに轢かれ、骨盤部を圧挫された。救急隊到着時は覚醒し、指示に従えていた。
トラックを持ち上げ、タイヤによる骨盤への圧迫が弱まると、低血圧から心肺蘇生を要した。現場で骨盤バインダーを装着し、挿管された。搬入時も蘇生中。静脈路はなく、左脛骨近位の骨髄路のみが確保されている。
初期評価後に骨盤Cクランプを装着し、大量輸血を開始した。静脈切開によるアクセス確保と、左大腿動脈を外科的に露出してのREBOA留置が試みられた。カテーテルは挿入できたが、鼠径部を越えて進められない。
血管損傷の原因について、どこまで言えますか。
今の判断に近いものを選んでください。
A|カテーテルが血管外にあるため、すべて手技で生じた損傷と断定するB|重大な外傷があるため、手技の関与は完全に否定できるC|受傷時の損傷が強く疑われるが、手技の寄与までは断定しない
3つの判断を振り返る
診断・実際の経過
緊急開腹で血管外へ逸脱したカテーテルと大量出血を確認した。外科的処置を完了する前に死亡した。剖検で重度骨盤損傷と外腸骨動脈の断裂を確認した。
持ち帰るポイント
- 「挿入できた」と「目的位置にある」を分けて確認する。
- 器材が進まないときは、損傷した血管の解剖を再考する。
- 一症例から、REBOA一般の有効性や別の対応で救命できたかを断定しない。
原著の治療・転帰と、編集した判断の解説を区別しています。別の選択でどのような転帰になったかは、この症例からは分かりません。
詳しい症例解説・図版・出典を開く
BELL’S CASE CONFERENCE / CASE 09
Technical limitations of REBOA in a patient with exsanguinating pelvic crush trauma: a case report
Özkurtul O, Staab H, Osterhoff G, Ondruschka B, Höch A, Josten C, Fakler JKM. Patient safety in surgery. 2019;13:25.
原著の症例経過を日本語で詳しく紹介しています。Discussion・Conclusionは要点を整理し、症例で行われた治療と一般的な推奨を区別して解説します。
Case presentation|症例紹介
受傷現場での急変
17歳女性。自転車走行中にトラックに轢かれ、骨盤部を圧挫された。救急隊到着時は覚醒し、指示に従えていたが、救出のためトラックを持ち上げて骨盤へのタイヤの圧迫が弱まると、急に循環が不安定になった。低血圧から心肺蘇生を要し、現場で骨盤バインダーを装着、気管挿管された。
搬入時も蘇生が続いており、静脈路は未確保で、左脛骨近位の骨髄路だけがあった。ATLSに沿う初期評価後、骨盤Cクランプを装着し、大量輸血プロトコルを開始した。赤血球製剤10単位、新鮮凍結血漿10単位が投与された。
REBOAの留置困難から開腹へ
輸液・輸血に反応しない場合は直ちに緊急手術とする施設だったが、REBOAはまだ標準アルゴリズムに含まれていなかった。静脈切開によるアクセス確保と、左大腿動脈を外科的に露出してのREBOA留置が選択された。閉塞用には大動脈ステントグラフト用バルーンカテーテルを使用した。
カテーテルは挿入できたものの、鼠径部を越えて進められなかった。手術室へ移動して正中切開で緊急開腹すると、骨盤内から大量出血していた。大腿動脈に入ったカテーテルが腸骨動脈の損傷部から血管外へ抜け、骨盤腔内に達していたことが判明した。蘇生を継続したが、外科的処置を完了する前に死亡した。心肺蘇生は計100分続けられた。
剖検で明らかになった損傷
剖検では外腸骨動脈が長い範囲で断裂・離開し、骨盤内に大量出血していた。骨盤は両側のvertical shear型損傷で、後腹膜・腹膜前血腫、両側寛骨臼骨折、左大腿骨頭の小骨盤内への陥入を認めた。
血管損傷が轢過外傷だけで生じたのか、シース挿入が一部に関与したのかは断定できなかった。ただし周囲の大量出血から、循環虚脱・蘇生開始前に血管が損傷していた可能性が最も高いと法医学的に判断された。
Figures|原著の図版
日本語の図説明を掲載しています。「原図を開く」を押すと実際の画像が表示されます。
第三者の図版につき、画像を転載せず原著へリンクしています。
Özkurtul O, Staab H, Osterhoff G, Ondruschka B, Höch A, Josten C, Fakler JKM., Figure 2. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。
Özkurtul O, Staab H, Osterhoff G, Ondruschka B, Höch A, Josten C, Fakler JKM., Figure 3. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。
Özkurtul O, Staab H, Osterhoff G, Ondruschka B, Höch A, Josten C, Fakler JKM., Figure 4. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。
Özkurtul O, Staab H, Osterhoff G, Ondruschka B, Höch A, Josten C, Fakler JKM., Figure 5. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。
Discussion|論文の解説と根拠
本報告の中心は「REBOAの不成功を早く認識すること」です。動脈穿刺に成功しても、中枢へ連続する血管が保たれているとは限りません。重度の骨盤変形と腸骨動脈損傷がある場合、カテーテルが進まないこと自体が重要な所見です。抵抗のある状態での強行や、位置不明のままの拡張を正当化する報告ではありません。[1]
REBOAは止血手術の代わりにはなりません。著者らは外科的救済へ直ちに移れる体制を重視しています。後年のUK-REBOA無作為化試験は、重症体幹出血にREBOAを追加する戦略で生存利益を示さず、害の可能性も示しました。この症例から、骨盤出血なら一律にREBOAを選ぶとは結論できません。[2]
Conclusion|この症例から持ち帰ること
デバイスが血管内の目的位置へ届かなければ、遮断は成立しない。留置困難の原因を見直し、確実な出血制御へ切り替える判断を学ぶ症例。
References|出典・利用条件
- Technical limitations of REBOA in a patient with exsanguinating pelvic crush trauma: a case report — 原著
- Jansen JO, et al. UK-REBOA randomized clinical trial. JAMA. 2023.
原著の利用条件:CC BY 4.0。原著を出典として症例部分の日本語化、見出し追加、構成変更、Discussion・Conclusionの要約と補足を行いました。転載可能な原図の内容は改変していません。個別に転載許諾が必要な第三者の図は原著へのリンクのみです。原著者が本ページを監修・推奨していることを意味しません。
症例で実際に行われた治療と、一般的な診療上の推奨を区別して紹介しています。一症例の転帰は、治療法の優劣を証明するものではありません。
編集:外傷外科医ベル / 公開・資料確認:2026年10月11日
文献症例 · 3つの判断点 · 入力不要
その時点の情報で、考える。
17歳女性。自転車走行中にトラックに轢かれ、骨盤部を圧挫された。救急隊到着時は覚醒し、指示に従えていた。
選ぶ → 判断を振り返る → 次の情報へ。
診断名・原著タイトルは最後に確認できます。
選択に応じた解説を表示します。患者の経過は原著どおりに進みます。自動採点・回答の保存はありません。
