CASE 05|ベルの症例検討

ベルの症例検討CASE 05

臨床監修前 · 文献症例の検討用

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
元の外傷と処置に関連する損傷の両方を検討する

選択についての振り返り(編集)

原著では遮断に関連する分枝損傷の可能性が考察されていますが、原因が確定したという意味ではありません。

この判断時点の患者情報を確認する

42歳女性。約15 mから転落し、血圧60/30 mmHg、心拍140/分。急速に循環が悪化した。

開胸下の大動脈遮断からREBOAへ切り替えて循環を支えた。CTで下行大動脈の分枝から造影剤漏出を認めた。初期の胸腔内出血は少量だった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
初めの胸腔出血が少ないので、今回の漏出を軽視する

選択についての振り返り(編集)

初期の所見はその後の変化を否定しません。現在の画像と循環を基に判断します。

この判断時点の患者情報を確認する

42歳女性。約15 mから転落し、血圧60/30 mmHg、心拍140/分。急速に循環が悪化した。

開胸下の大動脈遮断からREBOAへ切り替えて循環を支えた。CTで下行大動脈の分枝から造影剤漏出を認めた。初期の胸腔内出血は少量だった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
処置のあとに発見されたので、原因は処置と断定する

選択についての振り返り(編集)

時間的な前後関係だけでは原因を確定できません。損傷機転と経過を合わせて評価します。

この判断時点の患者情報を確認する

42歳女性。約15 mから転落し、血圧60/30 mmHg、心拍140/分。急速に循環が悪化した。

開胸下の大動脈遮断からREBOAへ切り替えて循環を支えた。CTで下行大動脈の分枝から造影剤漏出を認めた。初期の胸腔内出血は少量だった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2

蘇生処置のあと

原著の経過

開胸下の大動脈遮断からREBOAへ切り替えて循環を支えた。CTで下行大動脈の分枝から造影剤漏出を認めた。初期の胸腔内出血は少量だった。

ここまでの情報を確認する

42歳女性。約15 mから転落し、血圧60/30 mmHg、心拍140/分。急速に循環が悪化した。

新たに見えた漏出をどう考えますか。

今の判断に近いものを選んでください。

A|元の外傷と処置に関連する損傷の両方を検討するB|初めの胸腔出血が少ないので、今回の漏出を軽視するC|処置のあとに発見されたので、原因は処置と断定する

判断 2 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
一度止血できたので、同じ状態が続くと考える

選択についての振り返り(編集)

再出血が確認されれば止血の持続性を再評価します。初回の成功に判断を固定しません。

この判断時点の患者情報を確認する

42歳女性。約15 mから転落し、血圧60/30 mmHg、心拍140/分。急速に循環が悪化した。

開胸下の大動脈遮断からREBOAへ切り替えて循環を支えた。CTで下行大動脈の分枝から造影剤漏出を認めた。初期の胸腔内出血は少量だった。

分枝をコイル塞栓したが、約6時間後に再出血と造影剤漏出を認めた。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
再出血の部位・機序を再評価し、別の制御法を検討する

選択についての振り返り(編集)

原著では分枝起始部を覆うTEVARを追加して止血しました。選ぶ手段は解剖と病態に応じます。

この判断時点の患者情報を確認する

42歳女性。約15 mから転落し、血圧60/30 mmHg、心拍140/分。急速に循環が悪化した。

開胸下の大動脈遮断からREBOAへ切り替えて循環を支えた。CTで下行大動脈の分枝から造影剤漏出を認めた。初期の胸腔内出血は少量だった。

分枝をコイル塞栓したが、約6時間後に再出血と造影剤漏出を認めた。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
再出血があることだけで、塞栓術全般が無効と考える

選択についての振り返り(編集)

一症例の再出血は治療全般の優劣を示しません。この患者で何が残ったかを確認します。

この判断時点の患者情報を確認する

42歳女性。約15 mから転落し、血圧60/30 mmHg、心拍140/分。急速に循環が悪化した。

開胸下の大動脈遮断からREBOAへ切り替えて循環を支えた。CTで下行大動脈の分枝から造影剤漏出を認めた。初期の胸腔内出血は少量だった。

分枝をコイル塞栓したが、約6時間後に再出血と造影剤漏出を認めた。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2

一時的止血のあと

原著の経過

分枝をコイル塞栓したが、約6時間後に再出血と造影剤漏出を認めた。

ここまでの情報を確認する

42歳女性。約15 mから転落し、血圧60/30 mmHg、心拍140/分。急速に循環が悪化した。

開胸下の大動脈遮断からREBOAへ切り替えて循環を支えた。CTで下行大動脈の分枝から造影剤漏出を認めた。初期の胸腔内出血は少量だった。

最初の塞栓結果をどう見直しますか。

今の判断に近いものを選んでください。

A|一度止血できたので、同じ状態が続くと考えるB|再出血の部位・機序を再評価し、別の制御法を検討するC|再出血があることだけで、塞栓術全般が無効と考える

2つの判断を振り返る

診断・実際の経過

蘇生処置後に判明した大動脈分枝出血

コイル塞栓後の再出血にTEVARを追加し、止血を得た。第59病日に退院した。処置との因果関係は著者らの考察である。

持ち帰るポイント

  • 初期の所見で後の出血を除外しない。
  • 一時的止血と、持続する止血を区別する。

原著の治療・転帰と、編集した判断の解説を区別しています。別の選択でどのような転帰になったかは、この症例からは分かりません。

原著を読む ↗

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BELL’S CASE CONFERENCE / CASE 05

Thoracic endovascular aortic repair for avulsion of aortic branches in a trauma patient requiring resuscitative thoracotomy: a case report

Tanikawa A, Sato T, Fujita M, et al. Surgical Case Reports. 2022;8:71.

原著を読む ↗ | DOI

蘇生的開胸後の大動脈分枝損傷と再出血

症例部分は、原著のCase presentationをほぼ全体にわたり日本語で紹介し、時系列に沿って見出しを加えています。Discussion・Conclusionは要点を整理し、関連する根拠を添えました。

Case presentation|症例紹介

受傷と初療時の状態

42歳女性が高さ15 mから墜落した。病院前評価ではGCS 14、右下肢に変形があり、橈骨動脈は弱く触知できた。来院時はGCS 13、血圧60/30 mmHg、心拍数140/分、呼吸数50/分だった。

下肢・骨盤外傷による循環悪化を防ぐため、初期蘇生の一環として大動脈遮断バルーン(REBOA)の挿入を開始した。しかしカテーテル挿入中に収縮期血圧は30 mmHgへ低下し、心停止が切迫した。

蘇生的開胸、大動脈遮断、REBOAへの切り替え

低血圧の進行と心停止を避けるため、仰臥位のまま左第4肋間から蘇生的開胸を行い、下行胸部大動脈を遮断した。開胸時は少量の血気胸と多発肋骨骨折があったが、心嚢内出血や縦隔血腫は認めなかった。

大動脈遮断後、収縮期血圧は約90 mmHgへ上昇し、心停止を回避した。その後REBOAの留置を完了し、直接クランプからバルーン遮断へ切り替えた。バルーンによる大動脈遮断を調節しながら造影CTを施行した。

CTで新たな出血を検出し、TAEを実施

CTでは、両側気胸、肺挫傷、両側多発肋骨骨折、骨盤骨折、右大腿骨骨幹部骨折を認めた。加えて、下行大動脈付近から造影剤が血管外へ漏出していた。初期の左胸腔内・縦隔所見を踏まえ、蘇生的開胸での大動脈遮断に関連して、1本または複数の大動脈分枝が引き抜かれた可能性を疑った。

大動脈分枝にコイルによるTAEを行うと、いったん循環状態は改善した。しかし輸血を続けていたにもかかわらず6時間後に循環血液量減少性ショックとなった。再CTで下行大動脈近傍の造影剤漏出が残っていたため、分枝損傷部からの出血を制御する目的でTEVARを選択した。

TEVARによる止血と転帰

損傷した分枝の起始部を十分に覆うように、Conformable GORE TAG 21×100 mmを留置した。大動脈からの造影剤漏出は消失した。対麻痺やその他の血栓・虚血性合併症は発生せず、第59病日に退院した。

Figures|原著の図版

図ごとの説明を以下に掲載しています。「原図を開く」から実際の画像を別タブで表示できます。

Figure 1 — 大動脈遮断後の造影CT。大動脈内のバルーン(矢印)と下行大動脈近傍の造影剤漏出(矢頭)を認める。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Tanikawa et al., 2022, Figure 1. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Figure 2 — 大動脈分枝塞栓後からTEVAR後にかけての血管造影。掲載像の左はコイルと残存する漏出、右はステントグラフト留置後で漏出が消失した状態を示す。原著キャプションの画像種別・左右表記との不一致は本文注記を参照。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Tanikawa et al., 2022, Figure 2. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Discussion|論文の解説と根拠

救命手技の後も、出血源を更新する:初回開胸では大量の胸腔内出血や縦隔血腫がなく、遮断操作後のCTで大動脈近傍の漏出が見つかった。原傷だけでなく処置に関連する損傷も鑑別し、TAE後の一時的改善をもって止血完了とはしなかった点が学習の中心となる。[1]

塞栓が不十分だったときの切り替え:分枝のコイル塞栓後にも再ショックと漏出があり、TEVARで分枝起始部を覆って止血した。原著はこの方法を治療選択肢として提案するが、開放修復などと比較して優れていると証明したものではない。[1]

REBOAと開胸の優劣をこの一例で決めない:原著の初期治療は当時の個別判断である。その後のUK-REBOA無作為化試験では、救急部でREBOAを追加する戦略の90日死亡率は標準治療のみより低下せず、害の可能性も示された。対象・体制の違いはあるが、REBOAを一律に優先する根拠にはならない。また大動脈遮断は遠位臓器の灌流を犠牲にするため、原著Discussion中の「腹部・骨盤・下肢血流を犠牲にしない」と読める表現は一般原則として採用しない。[1,2]

Conclusion|この症例から持ち帰ること

蘇生的開胸後に生じた大動脈分枝損傷で、TAE後も出血が続いた際にTEVARで止血した症例。復習すべきなのは、救命手技の効果と合併症を継続的に確認し、再悪化時に出血源と治療方法を見直す過程である。

References|出典・利用条件

  1. Tanikawa A, et al. 原著症例報告. Surg Case Rep. 2022;8:71.
  2. Jansen JO, et al. Emergency Department Resuscitative Endovascular Balloon Occlusion of the Aorta in Trauma Patients With Exsanguinating Hemorrhage: The UK-REBOA Randomized Clinical Trial. JAMA. 2023.

原著はCreative Commons Attribution 4.0(CC BY 4.0)。上記著者・論文を出典として、日本語訳、見出しの追加、構成の変更、Discussion・Conclusionの要約と補足を行いました。図の内容は改変していません。原著者が本ページを監修・推奨していることを意味しません。

症例で実際に行われた治療と、一般的な診療上の推奨を区別して紹介しています。一症例の転帰は、治療法の優劣を証明するものではありません。

編集:外傷外科医ベル / 公開・資料確認:2026年10月11日

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42歳女性。約15 mから転落し、血圧60/30 mmHg、心拍140/分。急速に循環が悪化した。

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