臨床監修前 · 文献症例の検討用
判断 1 / 2 · 振り返り
選択を振り返る
選んだ判断
乳酸の再上昇は骨盤出血だけで説明する
選択についての振り返り(編集)
下肢の冷感と血流消失が加わっています。新たな灌流障害を含めて考え直します。
この判断時点の患者情報を確認する
成人女性。転落による頭部・骨盤・胸部の多発外傷。骨盤への止血処置後、胸部大動脈損傷に対するTEVARを準備していた。
一度低下した乳酸が再上昇し、カリウムは7 mEq/L。両下肢は冷たく、Dopplerで下肢や腹部大動脈の血流を確認できなくなった。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 1 / 2 · 振り返り
選択を振り返る
選んだ判断
大動脈末梢への灌流障害を疑い、対応の優先度を上げる
選択についての振り返り(編集)
代謝の悪化と末梢所見をつなぐ選択です。出血への対応だけでは説明できない変化に注目します。
この判断時点の患者情報を確認する
成人女性。転落による頭部・骨盤・胸部の多発外傷。骨盤への止血処置後、胸部大動脈損傷に対するTEVARを準備していた。
一度低下した乳酸が再上昇し、カリウムは7 mEq/L。両下肢は冷たく、Dopplerで下肢や腹部大動脈の血流を確認できなくなった。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 1 / 2 · 振り返り
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選んだ判断
骨盤止血後なので、予定どおりの順番を保つ
選択についての振り返り(編集)
一度決めた順番より、新たな臓器・下肢虚血の脅威を優先して再検討します。
この判断時点の患者情報を確認する
成人女性。転落による頭部・骨盤・胸部の多発外傷。骨盤への止血処置後、胸部大動脈損傷に対するTEVARを準備していた。
一度低下した乳酸が再上昇し、カリウムは7 mEq/L。両下肢は冷たく、Dopplerで下肢や腹部大動脈の血流を確認できなくなった。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 1 / 2
準備中に状態が変わる
原著の経過
一度低下した乳酸が再上昇し、カリウムは7 mEq/L。両下肢は冷たく、Dopplerで下肢や腹部大動脈の血流を確認できなくなった。
ここまでの情報を確認する
成人女性。転落による頭部・骨盤・胸部の多発外傷。骨盤への止血処置後、胸部大動脈損傷に対するTEVARを準備していた。
次に何を重く見ますか。
今の判断に近いものを選んでください。
A|乳酸の再上昇は骨盤出血だけで説明するB|大動脈末梢への灌流障害を疑い、対応の優先度を上げるC|骨盤止血後なので、予定どおりの順番を保つ
判断 2 / 2 · 振り返り
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選んだ判断
ECMOが機能すれば、大動脈への治療は不要になる
選択についての振り返り(編集)
循環補助は損傷した大動脈を修復する処置ではありません。最終的な病変制御が残っています。
この判断時点の患者情報を確認する
成人女性。転落による頭部・骨盤・胸部の多発外傷。骨盤への止血処置後、胸部大動脈損傷に対するTEVARを準備していた。
一度低下した乳酸が再上昇し、カリウムは7 mEq/L。両下肢は冷たく、Dopplerで下肢や腹部大動脈の血流を確認できなくなった。
TEVARを直ちに開始できず、末梢灌流を支えるためVA-ECMOを導入した。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 2 / 2 · 振り返り
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選んだ判断
全ての大動脈損傷に同じ橋渡しを用いる
選択についての振り返り(編集)
出血、損傷位置、時間、人員などで適応は変わります。この報告は一般的な導入基準ではありません。
この判断時点の患者情報を確認する
成人女性。転落による頭部・骨盤・胸部の多発外傷。骨盤への止血処置後、胸部大動脈損傷に対するTEVARを準備していた。
一度低下した乳酸が再上昇し、カリウムは7 mEq/L。両下肢は冷たく、Dopplerで下肢や腹部大動脈の血流を確認できなくなった。
TEVARを直ちに開始できず、末梢灌流を支えるためVA-ECMOを導入した。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 2 / 2 · 振り返り
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選んだ判断
灌流を支えながら、確定的な大動脈治療へつなぐ
選択についての振り返り(編集)
原著ではその後TEVARを行い、翌日にECMOを離脱しました。補助の目的と終了条件を共有します。
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成人女性。転落による頭部・骨盤・胸部の多発外傷。骨盤への止血処置後、胸部大動脈損傷に対するTEVARを準備していた。
一度低下した乳酸が再上昇し、カリウムは7 mEq/L。両下肢は冷たく、Dopplerで下肢や腹部大動脈の血流を確認できなくなった。
TEVARを直ちに開始できず、末梢灌流を支えるためVA-ECMOを導入した。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 2 / 2
橋渡しの治療
原著の経過
TEVARを直ちに開始できず、末梢灌流を支えるためVA-ECMOを導入した。
ここまでの情報を確認する
成人女性。転落による頭部・骨盤・胸部の多発外傷。骨盤への止血処置後、胸部大動脈損傷に対するTEVARを準備していた。
一度低下した乳酸が再上昇し、カリウムは7 mEq/L。両下肢は冷たく、Dopplerで下肢や腹部大動脈の血流を確認できなくなった。
灌流が改善したあとの目標は何ですか。
今の判断に近いものを選んでください。
A|ECMOが機能すれば、大動脈への治療は不要になるB|全ての大動脈損傷に同じ橋渡しを用いるC|灌流を支えながら、確定的な大動脈治療へつなぐ
2つの判断を振り返る
診断・実際の経過
VA-ECMOを橋渡しとしてTEVARを実施。第127病日に神経学的障害なく退院した。
持ち帰るポイント
- 出血の改善後も、灌流障害の出現を追う。
- 一時的な補助と確定的な治療を区別する。
原著の治療・転帰と、編集した判断の解説を区別しています。別の選択でどのような転帰になったかは、この症例からは分かりません。
詳しい症例解説・出典を開く
BELL’S CASE CONFERENCE / CASE 04
A case of blunt thoracic aortic injury requiring ECMO for acute malperfusion before TEVAR
Wada D, Hayakawa K, Kanayama S, et al. Scandinavian Journal of Trauma, Resuscitation and Emergency Medicine. 2017;25:110.
症例部分は、原著のCase presentationをほぼ全体にわたり日本語で紹介し、時系列に沿って見出しを加えています。Discussion・Conclusionは要点を整理し、関連する根拠を添えました。
Case presentation|症例紹介
高所墜落後の初期評価
成人女性が高所墜落後に搬送された。年齢や墜落の高さは原著に記載されていない。来院時GCSは10/15で、循環動態は不安定だった。直ちに気管挿管と輸液を開始し、気胸に対して胸腔ドレーンを挿入した。
CTでは、外傷性くも膜下出血、両側多発肋骨骨折、重度の不安定型骨盤骨折、右脛骨骨折、右上腕骨骨折、grade IIIの胸部大動脈損傷を認めた。CT angiographyでは、原著の記載上、左鎖骨下動脈起始部の直近・近位側にある下行胸部大動脈の解離を認めた。ISS 59、RTS 5.15、TRISS法による予測生存率は29.67と報告されている。
まず骨盤の止血、続いて大動脈治療を準備
外傷チームは、くも膜下出血と骨盤出血を合併した状態での大動脈治療には高いリスクがあると判断した。まず骨盤に対して創外固定とTAEを行い、再CTでくも膜下出血の重大な増悪がないことを確認してTEVARの方針とした。
来院時の乳酸値は35 mg/dLで、輸液、骨盤創外固定、TAE後に9 mg/dLへ低下していた。一方、TAE中の腹部大動脈造影では血流不良を認めていた。
来院約3時間後に下半身虚血が顕在化
来院約3時間後、両下肢が冷たくなり、乳酸値は58 mg/dLへ急上昇、血清Kは7 mmol/Lに上昇した。腹部超音波で腹部大動脈内の血流が確認できず、両下肢のDopplerでも血流が認められなかった。胸部下行大動脈の近位部にある仮性瘤によって、その遠位側に重篤な虚血が生じたと診断した。
TEVARの準備がまだ整っていなかったため、開始までの下半身灌流を確保する目的でVA-ECMOを直ちに導入した。右総大腿静脈に脱血カニューレ、右大腿動脈に送血カニューレを置いた。VA-ECMO導入後、乳酸とKの値を制御できるようになった。
TEVARとその後の回復
来院8時間後、VA-ECMO補助下・全身麻酔下で血管外科チームがTEVARを行った。デリバリーシステムのアクセスは右大腿動脈で、GORE TAGを左鎖骨下動脈起始部の直近・近位側に留置した。造影では仮性瘤への造影剤貯留が消失し、左鎖骨下動脈の開存が示された。手技に伴う合併症はなかった。
受傷翌日にVA-ECMOのカニューレを抜去した。受傷7日目に重症骨盤骨折へ経腸骨および腸骨仙骨スクリューによる固定を行った。受傷30日目のCTではエンドリークを認めず、ステント位置も良好だった。入院リハビリテーションを経て、受傷127日目に神経学的後遺症なく自宅退院した。
Figures|原著の図版
図ごとの説明を以下に掲載しています。「原図を開く」から実際の画像を別タブで表示できます。
Wada et al., 2017, Figure 1. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。
Wada et al., 2017, Figure 2. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。
Wada et al., 2017, Figure 3. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。
Wada et al., 2017, Figure 4. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。
Discussion|論文の解説と根拠
最初の改善で評価を終えない:骨盤止血後に乳酸は低下したが、その後に両下肢冷感、乳酸再上昇、高K血症、腹部大動脈・下肢血流の消失が出現した。著者らはこれを大動脈損傷による遠位灌流障害と捉え、予定していた治療まで待つ方針を変更した。[1]
根本治療と橋渡しの役割:この症例のVA-ECMOは、大動脈損傷そのものを修復するためではなく、TEVAR開始までの下半身灌流を補う目的で用いられた。2025年WSES–AASTガイドラインは適応のある重症胸部大動脈損傷の血管内治療と継続的な画像フォローを重視しているが、こうしたVA-ECMOの使用を全例に行う根拠は本症例からは得られない。[1,2]
一例の限界:著者らは急性灌流障害に対するVA-ECMOを橋渡しの選択肢として提案している。出血を合併した多発外傷における適応、抗凝固、アクセス選択、安全性を比較検証した報告ではなく、実施には個別の解剖・出血状況と専門チームの判断が必要になる。[1]
Conclusion|この症例から持ち帰ること
大動脈損傷の評価では破裂・出血だけでなく、遠位臓器の灌流も追う。この症例は、止血後に新たな下半身虚血を検出し、VA-ECMOによる一時的灌流補助からTEVARへつないだ実例である。
References|出典・利用条件
- Wada D, et al. 原著症例報告. Scand J Trauma Resusc Emerg Med. 2017;25:110.
- Coccolini F, et al. Thoracic trauma WSES-AAST guidelines. World J Emerg Surg. 2025;20:78.
原著はCreative Commons Attribution 4.0(CC BY 4.0)。上記著者・論文を出典として、日本語訳、見出しの追加、構成の変更、Discussion・Conclusionの要約と補足を行いました。図の内容は改変していません。原著者が本ページを監修・推奨していることを意味しません。
症例で実際に行われた治療と、一般的な診療上の推奨を区別して紹介しています。一症例の転帰は、治療法の優劣を証明するものではありません。
編集:外傷外科医ベル / 公開・資料確認:2026年10月11日
文献症例 · 2つの判断点 · 入力不要
その時点の情報で、考える。
成人女性。転落による頭部・骨盤・胸部の多発外傷。骨盤への止血処置後、胸部大動脈損傷に対するTEVARを準備していた。
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原著タイトルと結末は、最後に確認できます。
選択に応じた解説を表示します。患者の経過は原著どおりに進みます。自動採点・回答の保存はありません。
