CASE 03|ベルの症例検討

ベルの症例検討CASE 03

臨床監修前 · 文献症例の検討用

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
パッキングをしたので、出血は静脈性と決める

選択についての振り返り(編集)

実施した手技だけでは出血源を分類できません。残る動脈性出血などを再評価します。

この判断時点の患者情報を確認する

46歳女性。スノーボード中に木へ衝突。高度肝損傷があり、輸液・輸血に反応しないショックで転送された。

肝周囲パッキングとPringle法を行ったが出血が続き、手術中に心停止を繰り返した。

この判断時点の補足

転送前:輸液1 L・赤血球2単位でも血圧70/45 mmHgへ低下。転送中にも赤血球6単位を投与した。

到着直前:血圧測定不能、脈拍126/分、呼吸数8/分、GCS 6。到着後に挿管・輸血。前医CTでは肝右葉損傷と右肝動脈からの漏出、頭蓋内出血・右腎挫傷・右肋骨骨折も認めた。

手術開始時:Hb 5.6 g/dL、PT-INR 1.51、フィブリノゲン140 mg/dL、BE −21.7 mmol/L。Hybrid ORで血管内治療を併用できる体制だった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
低体温・凝固障害があっても根治手術を完遂する

選択についての振り返り(編集)

手術を続ける負担と生理学的破綻を考える必要があります。止血の組み合わせと段階的な治療を検討します。

この判断時点の患者情報を確認する

46歳女性。スノーボード中に木へ衝突。高度肝損傷があり、輸液・輸血に反応しないショックで転送された。

肝周囲パッキングとPringle法を行ったが出血が続き、手術中に心停止を繰り返した。

この判断時点の補足

転送前:輸液1 L・赤血球2単位でも血圧70/45 mmHgへ低下。転送中にも赤血球6単位を投与した。

到着直前:血圧測定不能、脈拍126/分、呼吸数8/分、GCS 6。到着後に挿管・輸血。前医CTでは肝右葉損傷と右肝動脈からの漏出、頭蓋内出血・右腎挫傷・右肋骨骨折も認めた。

手術開始時:Hb 5.6 g/dL、PT-INR 1.51、フィブリノゲン140 mg/dL、BE −21.7 mmol/L。Hybrid ORで血管内治療を併用できる体制だった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
残る出血源を探し、手術と血管内治療の併用を検討する

選択についての振り返り(編集)

原著ではパッキング下の血管造影で肝動脈の漏出を確認し、塞栓術を併用しました。

この判断時点の患者情報を確認する

46歳女性。スノーボード中に木へ衝突。高度肝損傷があり、輸液・輸血に反応しないショックで転送された。

肝周囲パッキングとPringle法を行ったが出血が続き、手術中に心停止を繰り返した。

この判断時点の補足

転送前:輸液1 L・赤血球2単位でも血圧70/45 mmHgへ低下。転送中にも赤血球6単位を投与した。

到着直前:血圧測定不能、脈拍126/分、呼吸数8/分、GCS 6。到着後に挿管・輸血。前医CTでは肝右葉損傷と右肝動脈からの漏出、頭蓋内出血・右腎挫傷・右肋骨骨折も認めた。

手術開始時:Hb 5.6 g/dL、PT-INR 1.51、フィブリノゲン140 mg/dL、BE −21.7 mmol/L。Hybrid ORで血管内治療を併用できる体制だった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2

開腹しても出血が続く

原著の経過

肝周囲パッキングとPringle法を行ったが出血が続き、手術中に心停止を繰り返した。

ここまでの情報を確認する

46歳女性。スノーボード中に木へ衝突。高度肝損傷があり、輸液・輸血に反応しないショックで転送された。

判断に使う補足情報

転送前:輸液1 L・赤血球2単位でも血圧70/45 mmHgへ低下。転送中にも赤血球6単位を投与した。

到着直前:血圧測定不能、脈拍126/分、呼吸数8/分、GCS 6。到着後に挿管・輸血。前医CTでは肝右葉損傷と右肝動脈からの漏出、頭蓋内出血・右腎挫傷・右肋骨骨折も認めた。

手術開始時:Hb 5.6 g/dL、PT-INR 1.51、フィブリノゲン140 mg/dL、BE −21.7 mmol/L。Hybrid ORで血管内治療を併用できる体制だった。

止血戦略をどう見直しますか。

今の判断に近いものを選んでください。

A|パッキングをしたので、出血は静脈性と決めるB|低体温・凝固障害があっても根治手術を完遂するC|残る出血源を探し、手術と血管内治療の併用を検討する

判断 2 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
止血と生理学的回復を評価し、必要なら再パッキングする

選択についての振り返り(編集)

原著では再パッキングを選び、さらに後の手術で止血を確認しています。一度の再手術で完結するとは限りません。

この判断時点の患者情報を確認する

46歳女性。スノーボード中に木へ衝突。高度肝損傷があり、輸液・輸血に反応しないショックで転送された。

肝周囲パッキングとPringle法を行ったが出血が続き、手術中に心停止を繰り返した。

塞栓後は集中治療で低体温・アシドーシス・凝固障害の改善を図った。18時間後の再手術でも出血が残った。

判断 1 時点の補足

転送前:輸液1 L・赤血球2単位でも血圧70/45 mmHgへ低下。転送中にも赤血球6単位を投与した。

到着直前:血圧測定不能、脈拍126/分、呼吸数8/分、GCS 6。到着後に挿管・輸血。前医CTでは肝右葉損傷と右肝動脈からの漏出、頭蓋内出血・右腎挫傷・右肋骨骨折も認めた。

手術開始時:Hb 5.6 g/dL、PT-INR 1.51、フィブリノゲン140 mg/dL、BE −21.7 mmol/L。Hybrid ORで血管内治療を併用できる体制だった。

この判断時点の補足

初回止血後のICU入室時:血圧72/51 mmHg、脈拍109/分、体温32.1℃、BE −19.1 mmol/L。復温・凝固障害とアシドーシスの補正で徐々に改善した。

いまは初回手術18時間後の再開腹。肝裂創から出血が残っている。上記はICU入室時の値であり、再開腹時のバイタル・体温・凝固検査の具体値は本文に記載されていない。

検討の範囲:閉腹できるかの断定ではなく、出血と生理学的回復を再評価する観点を検討します。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
予定の再手術なので、その場で必ず閉腹する

選択についての振り返り(編集)

予定時刻より、実際の止血と生理学的状態が重要です。閉腹自体を目標にしません。

この判断時点の患者情報を確認する

46歳女性。スノーボード中に木へ衝突。高度肝損傷があり、輸液・輸血に反応しないショックで転送された。

肝周囲パッキングとPringle法を行ったが出血が続き、手術中に心停止を繰り返した。

塞栓後は集中治療で低体温・アシドーシス・凝固障害の改善を図った。18時間後の再手術でも出血が残った。

判断 1 時点の補足

転送前:輸液1 L・赤血球2単位でも血圧70/45 mmHgへ低下。転送中にも赤血球6単位を投与した。

到着直前:血圧測定不能、脈拍126/分、呼吸数8/分、GCS 6。到着後に挿管・輸血。前医CTでは肝右葉損傷と右肝動脈からの漏出、頭蓋内出血・右腎挫傷・右肋骨骨折も認めた。

手術開始時:Hb 5.6 g/dL、PT-INR 1.51、フィブリノゲン140 mg/dL、BE −21.7 mmol/L。Hybrid ORで血管内治療を併用できる体制だった。

この判断時点の補足

初回止血後のICU入室時:血圧72/51 mmHg、脈拍109/分、体温32.1℃、BE −19.1 mmol/L。復温・凝固障害とアシドーシスの補正で徐々に改善した。

いまは初回手術18時間後の再開腹。肝裂創から出血が残っている。上記はICU入室時の値であり、再開腹時のバイタル・体温・凝固検査の具体値は本文に記載されていない。

検討の範囲:閉腹できるかの断定ではなく、出血と生理学的回復を再評価する観点を検討します。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
塞栓した動脈以外からの出血は考えない

選択についての振り返り(編集)

出血は単一の機序とは限りません。凝固、損傷、圧迫の効果を再評価します。

この判断時点の患者情報を確認する

46歳女性。スノーボード中に木へ衝突。高度肝損傷があり、輸液・輸血に反応しないショックで転送された。

肝周囲パッキングとPringle法を行ったが出血が続き、手術中に心停止を繰り返した。

塞栓後は集中治療で低体温・アシドーシス・凝固障害の改善を図った。18時間後の再手術でも出血が残った。

判断 1 時点の補足

転送前:輸液1 L・赤血球2単位でも血圧70/45 mmHgへ低下。転送中にも赤血球6単位を投与した。

到着直前:血圧測定不能、脈拍126/分、呼吸数8/分、GCS 6。到着後に挿管・輸血。前医CTでは肝右葉損傷と右肝動脈からの漏出、頭蓋内出血・右腎挫傷・右肋骨骨折も認めた。

手術開始時:Hb 5.6 g/dL、PT-INR 1.51、フィブリノゲン140 mg/dL、BE −21.7 mmol/L。Hybrid ORで血管内治療を併用できる体制だった。

この判断時点の補足

初回止血後のICU入室時:血圧72/51 mmHg、脈拍109/分、体温32.1℃、BE −19.1 mmol/L。復温・凝固障害とアシドーシスの補正で徐々に改善した。

いまは初回手術18時間後の再開腹。肝裂創から出血が残っている。上記はICU入室時の値であり、再開腹時のバイタル・体温・凝固検査の具体値は本文に記載されていない。

検討の範囲:閉腹できるかの断定ではなく、出血と生理学的回復を再評価する観点を検討します。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2

再手術の時点

原著の経過

塞栓後は集中治療で低体温・アシドーシス・凝固障害の改善を図った。18時間後の再手術でも出血が残った。

ここまでの情報を確認する

46歳女性。スノーボード中に木へ衝突。高度肝損傷があり、輸液・輸血に反応しないショックで転送された。

肝周囲パッキングとPringle法を行ったが出血が続き、手術中に心停止を繰り返した。

判断 1 時点の補足

転送前:輸液1 L・赤血球2単位でも血圧70/45 mmHgへ低下。転送中にも赤血球6単位を投与した。

到着直前:血圧測定不能、脈拍126/分、呼吸数8/分、GCS 6。到着後に挿管・輸血。前医CTでは肝右葉損傷と右肝動脈からの漏出、頭蓋内出血・右腎挫傷・右肋骨骨折も認めた。

手術開始時:Hb 5.6 g/dL、PT-INR 1.51、フィブリノゲン140 mg/dL、BE −21.7 mmol/L。Hybrid ORで血管内治療を併用できる体制だった。

判断に使う補足情報

初回止血後のICU入室時:血圧72/51 mmHg、脈拍109/分、体温32.1℃、BE −19.1 mmol/L。復温・凝固障害とアシドーシスの補正で徐々に改善した。

いまは初回手術18時間後の再開腹。肝裂創から出血が残っている。上記はICU入室時の値であり、再開腹時のバイタル・体温・凝固検査の具体値は本文に記載されていない。

検討の範囲:閉腹できるかの断定ではなく、出血と生理学的回復を再評価する観点を検討します。

再開腹で出血が残るとき、閉腹の判断に何を確認しますか。

今の判断に近いものを選んでください。

A|止血と生理学的回復を評価し、必要なら再パッキングするB|予定の再手術なので、その場で必ず閉腹するC|塞栓した動脈以外からの出血は考えない

2つの判断を振り返る

診断・実際の経過

高度肝損傷に対するパッキング・動脈塞栓・段階的手術

後の再手術で止血を確認。胆汁漏にも内視鏡的治療を要し、第82病日に神経学的障害なく退院した。

持ち帰るポイント

  • 手術と血管内治療を補完的に組み合わせる。
  • 再手術でも、止血と生理学的回復を基に方針を決める。

原著の治療・転帰と、編集した判断の解説を区別しています。別の選択でどのような転帰になったかは、この症例からは分かりません。

原著を読む ↗

詳しい症例解説・出典を開く

← ベルの症例検討 一覧

BELL’S CASE CONFERENCE / CASE 03

Severe liver injury with traumatic cardiac arrest successfully treated by damage control surgery and transcatheter arterial embolization in the hybrid operating room: a case report

Hagiwara M, Iwata Y, Takahashi H, et al. Surgical Case Reports. 2021. DOI: 10.1186/s40792-021-01317-1.

原著を読む ↗ | DOI

重症肝損傷、心停止、パッキング後の持続出血

症例部分は、原著のCase presentationをほぼ全体にわたり日本語で紹介し、時系列に沿って見出しを加えています。Discussion・Conclusionは要点を整理し、関連する根拠を添えました。

Case presentation|症例紹介

受傷と前医での評価

46歳女性。スノーボード中に立木へ衝突し、近隣病院へ搬送された。到着時は体温35.0℃、血圧92/69 mmHg、心拍数81/分、呼吸数30/分、GCS 15だった。FASTで腹腔内液体貯留を認めた。

造影CTでgrade IVの肝右葉実質損傷と、右肝動脈から腹腔内への造影剤漏出を認めた。右腎挫傷、右第5〜8肋骨骨折、外傷性くも膜下出血、急性硬膜下血腫も合併していた。Hb 8.7 g/dL、血小板17.3万/μL、PT-INR 1.08、フィブリノゲン106 mg/dL。代謝性アシドーシスが著しく、BEは−15.08 mmol/Lだった。

輸血を行いながら転院、来院10分以内にHybrid ORへ

酢酸リンゲル液1 Lと、交差適合試験を行っていないO型赤血球製剤2単位を投与したが、血圧は70/45 mmHgへ低下し、心拍数は90/分へ上昇した。集学的治療のため大学病院へ転送となり、その間に同じく交差適合試験未実施のO型赤血球製剤6単位を受けた。

到着直前は気道開通が保たれていたものの、呼吸数8/分、心拍数126/分、血圧測定不能、GCS 6まで悪化した。ISS 38、RTS 3.19、予測生存率26.0%だった。患者情報は到着前から外傷チームへ共有され、Artis zeegoを備えたHybrid ORを準備した。到着直後に初療室で気管挿管・輸血を行い、10分以内にHybrid ORへ移動した。

手術室で心肺停止となったが、直ちに心肺蘇生を開始して自己心拍が再開した。手術開始時のHbは5.6 g/dL、血小板は原著記載で2×10³/μL、PT-INR 1.51、フィブリノゲン140 mg/dL、BE −21.7 mmol/Lだった。

Damage control surgeryからTAEへ

長い正中切開で緊急開腹すると、肝右葉の大きな裂創と大量の腹腔内出血を認めた。Pringle法を併用して肝周囲パッキング(PHP)を行い、vacuum packing closure(VPC)で一時的に腹部を被覆したが、出血は制御できなかった。手術中にも2回心肺停止となり、その都度自己心拍が再開した。

続いて放射線科医が経カテーテル動脈塞栓術(TAE)を施行した。腹腔動脈上方での大動脈造影と選択的肝動脈造影により、右肝動脈の前区域枝・後区域枝から造影剤漏出を確認し、両枝をn-butyl cyanoacrylate(NBCA)で塞栓した。ヨード含有の手術用ドレープで包んだタオルを用いて肝周囲をパッキングした。

低体温とアシドーシスは悪化し、VPCによる開放腹管理のままICUへ移動した。処置時間は合計120分で、手術27分、TAE 93分。術中出血量16,400 mL、術中輸血は赤血球76単位、FFP 60単位、血小板40単位だった。これらは原著に記載された単位数であり、他国の製剤単位へ換算していない。

再蘇生と2回の再開腹

ICU入室時は血圧72/51 mmHg、心拍数109/分、体温32.1℃、フィブリノゲン140 mg/dL、BE −19.1 mmol/L。復温、凝固障害とアシドーシスの補正により循環は徐々に改善した。

初回手術18時間後のsecond lookでは肝裂創部の出血が残っていたため、PHPとVPCを繰り返してICUへ戻った。さらに蘇生を行い、2回目の手術から46時間後に3回目の開腹を行った。タオルを除去しても出血はなく、壊死した胆嚢を摘出し、止血を確認して完全閉腹した。

呼吸管理、胆汁瘤、退院

入院7日目に気管切開、10日目にICUを退室、16日目に人工呼吸器から離脱した。胆汁瘤に対し27日目に内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)を行い、66日目にチューブを抜去した。入院82日目に退院し、神経学的後遺症はなかった。

Figures|原著の図版

図ごとの説明を以下に掲載しています。「原図を開く」から実際の画像を別タブで表示できます。

Figure 1 — 転院前の腹部CT。a:肝右葉の広範な不均一な造影不良域。b:右肝動脈からの造影剤漏出(矢印)と腹腔内出血。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Hagiwara et al., 2021, Figure 1. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Figure 2 — 原著施設のHybrid OR。IVR用のArtis zeegoを備える。これは同施設の当時の設備写真。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Hagiwara et al., 2021, Figure 2. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Figure 3 — 肝周囲パッキング直後の血管造影。a:右肝動脈後区域枝(赤矢印)と前区域枝(黒矢印)から造影剤漏出。b:両枝をNBCAで塞栓し、漏出が消失。RHA:右肝動脈、CHA:総肝動脈、SpA:脾動脈。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Hagiwara et al., 2021, Figure 3. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Figure 4 — 大学病院到着後72時間の経過。初回のPHP・TAE・VPC、2回目のPHP・VPC、3回目の胆嚢摘出・閉腹と、ICUでの低体温・アシドーシス・低血圧の補正を示す。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Hagiwara et al., 2021, Figure 4. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Figure 5 — 原著施設が当時用いていた重症腹部外傷の治療方針。循環状態により撮影と止血介入を分岐し、不安定化した場合は再評価する。施設独自の図であり、すべての施設に適用する一般的ガイドラインではない。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Hagiwara et al., 2021, Figure 5. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Discussion|論文の解説と根拠

パッキング後にも残る出血をどう捉えるか:この患者ではPHP後も出血が持続し、血管造影で肝動脈の前・後区域枝からの出血が確認された。圧迫による一時止血と、動脈性出血に対するTAEを組み合わせた症例である。WSES 2020肝外傷ガイドラインも、damage controlなどの処置後に残る動脈性出血に対して塞栓術を有用な手段として位置づけている。[1,2]

DCSは最初の短時間手術だけではない:初回処置後に生理学的状態を立て直し、second lookでも出血があれば再パッキングし、止血を確認できた段階で閉腹した。さらに胆嚢壊死と胆汁瘤への対応までが経過に含まれる。原著の成功は、パッキングやTAEの単独効果ではなく、連続した再評価と治療として読む必要がある。[1]

心停止を3回乗り越えたことの解釈:心停止はいずれも院内で直ちに蘇生された。長時間の院外心停止と同じ条件ではない。到着前の情報共有、手術・IVR・麻酔・輸血部門の準備が重要だったという著者の考察は妥当な学習点だが、この一例からHybrid ORの死亡率改善を証明することはできない。[1]

Conclusion|この症例から持ち帰ること

重症肝損傷では、PHPで十分に制御できない出血にTAEを組み合わせ、蘇生と再開腹を段階的に行う選択肢がある。原著は、それを同じ場所で実行できる設備と、到着前から方針を共有するチームの意義を示している。

References|出典・利用条件

  1. Hagiwara M, et al. 原著症例報告. Surg Case Rep. 2021.
  2. Coccolini F, et al. Liver trauma: WSES 2020 guidelines. World J Emerg Surg. 2020;15:24.

原著はCreative Commons Attribution 4.0(CC BY 4.0)。上記著者・論文を出典として、日本語訳、見出しの追加、構成の変更、Discussion・Conclusionの要約と補足を行いました。図の内容は改変していません。原著者が本ページを監修・推奨していることを意味しません。

症例で実際に行われた治療と、一般的な診療上の推奨を区別して紹介しています。一症例の転帰は、治療法の優劣を証明するものではありません。

編集:外傷外科医ベル / 公開・資料確認:2026年10月11日

← 症例一覧へ戻る ・ ベルの勉強部屋

もう一度考える別の症例を選ぶ →

文献症例 · 2つの判断点 · 入力不要

その時点の情報で、考える。

46歳女性。スノーボード中に木へ衝突。高度肝損傷があり、輸液・輸血に反応しないショックで転送された。

選ぶ → 判断を振り返る → 次の情報へ。
原著タイトルと結末は、最後に確認できます。

CASE 03 を始める →

選択に応じた解説を表示します。患者の経過は原著どおりに進みます。自動採点・回答の保存はありません。

復習する(診断名を表示)