臨床監修前 · 文献症例の検討用
判断 1 / 2 · 振り返り
選択を振り返る
選んだ判断
頭部・胸部の脅威と生理学的変化を共有し、並行して準備する
選択についての振り返り(編集)
競合する脅威を繰り返し評価します。原著の順序を、同じ臓器損傷を持つ全患者に固定することはできません。
その後|胸腔ドレナージ → 初回CT
左緊張性気胸に胸腔ドレーンを挿入。大量の空気と血性胸水が排出された。
ドレナージ後:血圧102/87 mmHg、脈拍150/分超。
血圧は上昇したが頻脈が持続し、原著では循環はなお不安定とされている。
来院6分後にCT撮影を開始。Hybrid ERの同じ診療台で撮影し、CT室への搬送は行っていない。
- 頭部
- 右急性硬膜下血腫・くも膜下出血、脳腫脹。
- 胸部
- 造影剤漏出を伴う左肺挫傷、左多発肋骨骨折・血気胸、仮性瘤を伴う胸部大動脈損傷(原著表記grade IIIa)。
胸腔排液の具体的な量・速度、CT直後の再測定バイタルは原著に記載なし。上記の血圧・脈拍はドレナージ後の値です。
来院時のprimary surveyを確認する
来院時|primary survey
46歳男性。仕事中に高所から墜落。既往に特記事項なし。墜落高・着地部位は原著に記載なし。
- A 気道
- 意識障害のため、救急医が現場で気管挿管。
- B 呼吸
- 呼吸数22/分。左胸部に皮下気腫。呼吸音・胸郭運動の詳細は記載なし。
- C 循環
- 上記の血圧・脈拍。末梢循環、外出血、腹部・骨盤所見、FASTの結果は記載なし。
- D 神経
- GCS 3は来院時の原著表記。瞳孔所見、鎮静薬・筋弛緩薬の影響は記載なし。
- E 全身
- その他の全身外表所見・体温は記載なし。
原著にある初期情報をABCDEで整理。「記載なし」は正常・陰性を意味しません。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 1 / 2 · 振り返り
選択を振り返る
選んだ判断
もっとも重い画像所見だけで、順序を固定する
選択についての振り返り(編集)
画像の重症度だけでなく、出血・換気・頭蓋内圧など今の脅威が順序を変えます。
その後|胸腔ドレナージ → 初回CT
左緊張性気胸に胸腔ドレーンを挿入。大量の空気と血性胸水が排出された。
ドレナージ後:血圧102/87 mmHg、脈拍150/分超。
血圧は上昇したが頻脈が持続し、原著では循環はなお不安定とされている。
来院6分後にCT撮影を開始。Hybrid ERの同じ診療台で撮影し、CT室への搬送は行っていない。
- 頭部
- 右急性硬膜下血腫・くも膜下出血、脳腫脹。
- 胸部
- 造影剤漏出を伴う左肺挫傷、左多発肋骨骨折・血気胸、仮性瘤を伴う胸部大動脈損傷(原著表記grade IIIa)。
胸腔排液の具体的な量・速度、CT直後の再測定バイタルは原著に記載なし。上記の血圧・脈拍はドレナージ後の値です。
来院時のprimary surveyを確認する
来院時|primary survey
46歳男性。仕事中に高所から墜落。既往に特記事項なし。墜落高・着地部位は原著に記載なし。
- A 気道
- 意識障害のため、救急医が現場で気管挿管。
- B 呼吸
- 呼吸数22/分。左胸部に皮下気腫。呼吸音・胸郭運動の詳細は記載なし。
- C 循環
- 上記の血圧・脈拍。末梢循環、外出血、腹部・骨盤所見、FASTの結果は記載なし。
- D 神経
- GCS 3は来院時の原著表記。瞳孔所見、鎮静薬・筋弛緩薬の影響は記載なし。
- E 全身
- その他の全身外表所見・体温は記載なし。
原著にある初期情報をABCDEで整理。「記載なし」は正常・陰性を意味しません。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 1 / 2 · 振り返り
選択を振り返る
選んだ判断
血圧が上がったので、各診療科が順番に評価する
選択についての振り返り(編集)
一時的改善の間にも病態は変化します。頻脈の持続を含め、次の悪化に並行して備えます。
その後|胸腔ドレナージ → 初回CT
左緊張性気胸に胸腔ドレーンを挿入。大量の空気と血性胸水が排出された。
ドレナージ後:血圧102/87 mmHg、脈拍150/分超。
血圧は上昇したが頻脈が持続し、原著では循環はなお不安定とされている。
来院6分後にCT撮影を開始。Hybrid ERの同じ診療台で撮影し、CT室への搬送は行っていない。
- 頭部
- 右急性硬膜下血腫・くも膜下出血、脳腫脹。
- 胸部
- 造影剤漏出を伴う左肺挫傷、左多発肋骨骨折・血気胸、仮性瘤を伴う胸部大動脈損傷(原著表記grade IIIa)。
胸腔排液の具体的な量・速度、CT直後の再測定バイタルは原著に記載なし。上記の血圧・脈拍はドレナージ後の値です。
来院時のprimary surveyを確認する
来院時|primary survey
46歳男性。仕事中に高所から墜落。既往に特記事項なし。墜落高・着地部位は原著に記載なし。
- A 気道
- 意識障害のため、救急医が現場で気管挿管。
- B 呼吸
- 呼吸数22/分。左胸部に皮下気腫。呼吸音・胸郭運動の詳細は記載なし。
- C 循環
- 上記の血圧・脈拍。末梢循環、外出血、腹部・骨盤所見、FASTの結果は記載なし。
- D 神経
- GCS 3は来院時の原著表記。瞳孔所見、鎮静薬・筋弛緩薬の影響は記載なし。
- E 全身
- その他の全身外表所見・体温は記載なし。
原著にある初期情報をABCDEで整理。「記載なし」は正常・陰性を意味しません。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 1 / 2
複数の損傷が見つかった
来院時|primary survey
46歳男性。仕事中に高所から墜落。既往に特記事項なし。墜落高・着地部位は原著に記載なし。
- A 気道
- 意識障害のため、救急医が現場で気管挿管。
- B 呼吸
- 呼吸数22/分。左胸部に皮下気腫。呼吸音・胸郭運動の詳細は記載なし。
- C 循環
- 上記の血圧・脈拍。末梢循環、外出血、腹部・骨盤所見、FASTの結果は記載なし。
- D 神経
- GCS 3は来院時の原著表記。瞳孔所見、鎮静薬・筋弛緩薬の影響は記載なし。
- E 全身
- その他の全身外表所見・体温は記載なし。
原著にある初期情報をABCDEで整理。「記載なし」は正常・陰性を意味しません。
その後|胸腔ドレナージ → 初回CT
左緊張性気胸に胸腔ドレーンを挿入。大量の空気と血性胸水が排出された。
ドレナージ後:血圧102/87 mmHg、脈拍150/分超。
血圧は上昇したが頻脈が持続し、原著では循環はなお不安定とされている。
来院6分後にCT撮影を開始。Hybrid ERの同じ診療台で撮影し、CT室への搬送は行っていない。
- 頭部
- 右急性硬膜下血腫・くも膜下出血、脳腫脹。
- 胸部
- 造影剤漏出を伴う左肺挫傷、左多発肋骨骨折・血気胸、仮性瘤を伴う胸部大動脈損傷(原著表記grade IIIa)。
胸腔排液の具体的な量・速度、CT直後の再測定バイタルは原著に記載なし。上記の血圧・脈拍はドレナージ後の値です。
介入の優先順位を検討する際、どの情報を重視しますか。
具体的な手技の順序を一つに決めるための情報は不足しています。ここでは、優先順位を考える際の姿勢を検討します。
A|頭部・胸部の脅威と生理学的変化を共有し、並行して準備するB|もっとも重い画像所見だけで、順序を固定するC|血圧が上がったので、各診療科が順番に評価する
判断 2 / 2 · 振り返り
選択を振り返る
選んだ判断
主要な血管を治療したので、止血は完了とする
選択についての振り返り(編集)
別の出血源や持続する肺出血は残り得ます。手技の完了は止血達成の証明ではありません。
この時点|TEVAR後
胸腔ドレーンからの血性排液が増え続けている。
再CTでは頭部損傷の増悪を認めなかった。
ここまでに、硬膜下血腫に対する穿頭、左上葉切除、胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)を実施した。
穿頭後に胸腔の空気・血性排液が増え、気管チューブから血性痰を吸引。左上葉切除後も肺門部出血が続いたため、続いてTEVARを行った。
TEVAR後の血圧・脈拍・酸素化、排液量・速度の具体的な数値は原著に記載なし。来院時・ドレナージ後の値を、この時点の値としては扱いません。
来院時のprimary survey・初回CTを確認する
来院時|primary survey
46歳男性。仕事中に高所から墜落。既往に特記事項なし。墜落高・着地部位は原著に記載なし。
- A 気道
- 意識障害のため、救急医が現場で気管挿管。
- B 呼吸
- 呼吸数22/分。左胸部に皮下気腫。呼吸音・胸郭運動の詳細は記載なし。
- C 循環
- 上記の血圧・脈拍。末梢循環、外出血、腹部・骨盤所見、FASTの結果は記載なし。
- D 神経
- GCS 3は来院時の原著表記。瞳孔所見、鎮静薬・筋弛緩薬の影響は記載なし。
- E 全身
- その他の全身外表所見・体温は記載なし。
原著にある初期情報をABCDEで整理。「記載なし」は正常・陰性を意味しません。
その後|胸腔ドレナージ → 初回CT
左緊張性気胸に胸腔ドレーンを挿入。大量の空気と血性胸水が排出された。
ドレナージ後:血圧102/87 mmHg、脈拍150/分超。
血圧は上昇したが頻脈が持続し、原著では循環はなお不安定とされている。
来院6分後にCT撮影を開始。Hybrid ERの同じ診療台で撮影し、CT室への搬送は行っていない。
- 頭部
- 右急性硬膜下血腫・くも膜下出血、脳腫脹。
- 胸部
- 造影剤漏出を伴う左肺挫傷、左多発肋骨骨折・血気胸、仮性瘤を伴う胸部大動脈損傷(原著表記grade IIIa)。
胸腔排液の具体的な量・速度、CT直後の再測定バイタルは原著に記載なし。上記の血圧・脈拍はドレナージ後の値です。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 2 / 2 · 振り返り
選択を振り返る
選んだ判断
残る出血源を再評価し、胸部への追加介入を検討する
選択についての振り返り(編集)
原著では左下葉も切除し、結果として左肺全摘となりました。次の介入は残る病態に基づいて選びます。
この時点|TEVAR後
胸腔ドレーンからの血性排液が増え続けている。
再CTでは頭部損傷の増悪を認めなかった。
ここまでに、硬膜下血腫に対する穿頭、左上葉切除、胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)を実施した。
穿頭後に胸腔の空気・血性排液が増え、気管チューブから血性痰を吸引。左上葉切除後も肺門部出血が続いたため、続いてTEVARを行った。
TEVAR後の血圧・脈拍・酸素化、排液量・速度の具体的な数値は原著に記載なし。来院時・ドレナージ後の値を、この時点の値としては扱いません。
来院時のprimary survey・初回CTを確認する
来院時|primary survey
46歳男性。仕事中に高所から墜落。既往に特記事項なし。墜落高・着地部位は原著に記載なし。
- A 気道
- 意識障害のため、救急医が現場で気管挿管。
- B 呼吸
- 呼吸数22/分。左胸部に皮下気腫。呼吸音・胸郭運動の詳細は記載なし。
- C 循環
- 上記の血圧・脈拍。末梢循環、外出血、腹部・骨盤所見、FASTの結果は記載なし。
- D 神経
- GCS 3は来院時の原著表記。瞳孔所見、鎮静薬・筋弛緩薬の影響は記載なし。
- E 全身
- その他の全身外表所見・体温は記載なし。
原著にある初期情報をABCDEで整理。「記載なし」は正常・陰性を意味しません。
その後|胸腔ドレナージ → 初回CT
左緊張性気胸に胸腔ドレーンを挿入。大量の空気と血性胸水が排出された。
ドレナージ後:血圧102/87 mmHg、脈拍150/分超。
血圧は上昇したが頻脈が持続し、原著では循環はなお不安定とされている。
来院6分後にCT撮影を開始。Hybrid ERの同じ診療台で撮影し、CT室への搬送は行っていない。
- 頭部
- 右急性硬膜下血腫・くも膜下出血、脳腫脹。
- 胸部
- 造影剤漏出を伴う左肺挫傷、左多発肋骨骨折・血気胸、仮性瘤を伴う胸部大動脈損傷(原著表記grade IIIa)。
胸腔排液の具体的な量・速度、CT直後の再測定バイタルは原著に記載なし。上記の血圧・脈拍はドレナージ後の値です。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 2 / 2 · 振り返り
選択を振り返る
選んだ判断
以後の悪化は頭部損傷だけで説明する
選択についての振り返り(編集)
胸腔への出血という直接の情報を軽視できません。複数の病態を同時に追います。
この時点|TEVAR後
胸腔ドレーンからの血性排液が増え続けている。
再CTでは頭部損傷の増悪を認めなかった。
ここまでに、硬膜下血腫に対する穿頭、左上葉切除、胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)を実施した。
穿頭後に胸腔の空気・血性排液が増え、気管チューブから血性痰を吸引。左上葉切除後も肺門部出血が続いたため、続いてTEVARを行った。
TEVAR後の血圧・脈拍・酸素化、排液量・速度の具体的な数値は原著に記載なし。来院時・ドレナージ後の値を、この時点の値としては扱いません。
来院時のprimary survey・初回CTを確認する
来院時|primary survey
46歳男性。仕事中に高所から墜落。既往に特記事項なし。墜落高・着地部位は原著に記載なし。
- A 気道
- 意識障害のため、救急医が現場で気管挿管。
- B 呼吸
- 呼吸数22/分。左胸部に皮下気腫。呼吸音・胸郭運動の詳細は記載なし。
- C 循環
- 上記の血圧・脈拍。末梢循環、外出血、腹部・骨盤所見、FASTの結果は記載なし。
- D 神経
- GCS 3は来院時の原著表記。瞳孔所見、鎮静薬・筋弛緩薬の影響は記載なし。
- E 全身
- その他の全身外表所見・体温は記載なし。
原著にある初期情報をABCDEで整理。「記載なし」は正常・陰性を意味しません。
その後|胸腔ドレナージ → 初回CT
左緊張性気胸に胸腔ドレーンを挿入。大量の空気と血性胸水が排出された。
ドレナージ後:血圧102/87 mmHg、脈拍150/分超。
血圧は上昇したが頻脈が持続し、原著では循環はなお不安定とされている。
来院6分後にCT撮影を開始。Hybrid ERの同じ診療台で撮影し、CT室への搬送は行っていない。
- 頭部
- 右急性硬膜下血腫・くも膜下出血、脳腫脹。
- 胸部
- 造影剤漏出を伴う左肺挫傷、左多発肋骨骨折・血気胸、仮性瘤を伴う胸部大動脈損傷(原著表記grade IIIa)。
胸腔排液の具体的な量・速度、CT直後の再測定バイタルは原著に記載なし。上記の血圧・脈拍はドレナージ後の値です。
ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。
判断 2 / 2
血管内治療のあと
この時点|TEVAR後
胸腔ドレーンからの血性排液が増え続けている。
再CTでは頭部損傷の増悪を認めなかった。
ここまでに、硬膜下血腫に対する穿頭、左上葉切除、胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)を実施した。
穿頭後に胸腔の空気・血性排液が増え、気管チューブから血性痰を吸引。左上葉切除後も肺門部出血が続いたため、続いてTEVARを行った。
TEVAR後の血圧・脈拍・酸素化、排液量・速度の具体的な数値は原著に記載なし。来院時・ドレナージ後の値を、この時点の値としては扱いません。
来院時のprimary survey・初回CTを確認する
来院時|primary survey
46歳男性。仕事中に高所から墜落。既往に特記事項なし。墜落高・着地部位は原著に記載なし。
- A 気道
- 意識障害のため、救急医が現場で気管挿管。
- B 呼吸
- 呼吸数22/分。左胸部に皮下気腫。呼吸音・胸郭運動の詳細は記載なし。
- C 循環
- 上記の血圧・脈拍。末梢循環、外出血、腹部・骨盤所見、FASTの結果は記載なし。
- D 神経
- GCS 3は来院時の原著表記。瞳孔所見、鎮静薬・筋弛緩薬の影響は記載なし。
- E 全身
- その他の全身外表所見・体温は記載なし。
原著にある初期情報をABCDEで整理。「記載なし」は正常・陰性を意味しません。
その後|胸腔ドレナージ → 初回CT
左緊張性気胸に胸腔ドレーンを挿入。大量の空気と血性胸水が排出された。
ドレナージ後:血圧102/87 mmHg、脈拍150/分超。
血圧は上昇したが頻脈が持続し、原著では循環はなお不安定とされている。
来院6分後にCT撮影を開始。Hybrid ERの同じ診療台で撮影し、CT室への搬送は行っていない。
- 頭部
- 右急性硬膜下血腫・くも膜下出血、脳腫脹。
- 胸部
- 造影剤漏出を伴う左肺挫傷、左多発肋骨骨折・血気胸、仮性瘤を伴う胸部大動脈損傷(原著表記grade IIIa)。
胸腔排液の具体的な量・速度、CT直後の再測定バイタルは原著に記載なし。上記の血圧・脈拍はドレナージ後の値です。
TEVARが終わったことを、どう扱いますか。
今の判断に近いものを選んでください。
A|主要な血管を治療したので、止血は完了とするB|残る出血源を再評価し、胸部への追加介入を検討するC|以後の悪化は頭部損傷だけで説明する
2つの判断を振り返る
診断・実際の経過
胸部の止血後も頭部への追加手術を要した。5か月後はGOS 4でリハビリテーションを継続していた。
持ち帰るポイント
- 優先順位を固定せず、変化する脅威をチームで共有する。
- 一つの治療の完了で、別の出血源を見落とさない。
初期評価と各判断時点の情報を原著本文に照合して追記(2026年10月11日)。原著にない所見・数値は補っていません。臨床監修は継続予定です。
原著の治療・転帰と、編集した判断の解説を区別しています。別の選択でどのような転帰になったかは、この症例からは分かりません。
詳しい症例解説・出典を開く
BELL’S CASE CONFERENCE / CASE 02
Combined brain and thoracic trauma surgery in a hybrid emergency room system: a case report
Wada D, Hayakawa K, Saito F, et al. BMC Surgery. 2021;21:219.
症例部分は、原著のCase presentationをほぼ全体にわたり日本語で紹介し、時系列に沿って見出しを加えています。Discussion・Conclusionは要点を整理し、関連する根拠を添えました。
Case presentation|症例紹介
受傷から来院まで
46歳の男性。仕事中の高所墜落で多発外傷を受傷した。受傷前は健康で、併存疾患はなかった。意識障害のため、救急医が現場で気管挿管した。来院時はGCS 3、血圧93/85 mmHg、脈拍156/分、呼吸数22/分。挿管下、FiO₂ 1.0でSpO₂ 99%であり、左胸部に皮下気腫を認めた。
左胸腔ドレナージと来院6分のCT
左緊張性気胸に対して胸腔ドレーンを挿入し、大量の空気と血性胸水が排出された。血圧は102/87 mmHgまで改善したが、脈拍は150/分を超えていた。循環はなお不安定だったものの、この施設ではHybrid ERの同じ処置台でCTを撮影できたため、患者を移動させず、来院6分後に撮影を開始した。
CTでは、仮性瘤を伴う胸部大動脈損傷(原著表記grade IIIa)、造影剤の血管外漏出を伴う左肺挫傷、左多発肋骨骨折・血気胸、脳腫脹を伴う右急性硬膜下血腫とくも膜下出血を認めた。通常は体幹の止血が頭部外傷治療に優先するが、著者らは本症例のCT所見から頭部への介入を最優先と判断した。
頭部の穿頭から左開胸へ
来院38分後に硬膜下血腫に対する穿頭・穿刺を行い、頭蓋内圧(ICP)は約10 mmHgだった。その後、胸腔ドレーンからの空気と血性排液が明らかに増加した。CTで左肺挫傷部からの造影剤漏出があり、気管チューブから血性痰も吸引されたため、左肺損傷が主出血源と判断した。
穿頭終了の1分後、患者を移動させずに左開胸を開始した。主出血源であった左上葉を切除したが、肺門部からの出血が続いた。大動脈損傷の関与が考えられ、開胸手術終了16分後に胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)を開始した。デリバリーシステムは右大腿動脈から挿入した。
TEVAR後も再評価し、左肺全摘へ
大動脈峡部に直径13 mmのgrade IIIaの仮性瘤があった。損傷部が左鎖骨下動脈に近接していたため、十分な近位ランディングゾーンを確保する目的で、左鎖骨下動脈を覆うように弓部から下行大動脈へステントグラフトを留置した。近位端は左総頸動脈から6 mm離れた位置に置き、左総頸動脈は温存した。
処置後に同じ台で再度CTを撮影し、頭部損傷の増悪がないことを確認した。しかし血性胸水は増え続けた。再左開胸で左下葉からの出血を確認して下葉を切除し、結果として左肺全摘となった。原著では全血(whole blood)30単位、FFP 30単位、血小板10単位を輸血したと記載されている。すべての処置をHybrid ERで終え、ICUへ入室した。
ICU以降の経過と転帰
難治性頭蓋内圧亢進に対して術後2日目に減圧開頭術、術後3日目に減圧目的の脳切除を行った。ISSは54、RTSは4.09。TRISS法の予測生存率は原文では「16」と記載されている。
術後13日目に気管切開、14日目に人工呼吸器を離脱した。入院リハビリテーション後、術後5か月にGlasgow Outcome Scale 4でリハビリテーション目的に転院した。転院時、人工呼吸器は不要だった。
Figures|原著の図版
図ごとの説明を以下に掲載しています。「原図を開く」から実際の画像を別タブで表示できます。
Wada et al., 2021, Figure 1. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。
Wada et al., 2021, Figure 2. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。
Wada et al., 2021, Figure 3. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。
Discussion|論文の解説と根拠
原著が示す判断:頭部、肺、大動脈のすべてに重大な損傷があり、脳灌流を維持したい一方、体幹出血も制御する必要があった。CTで優先順位を決め、穿頭後の胸腔排液、肺切除後の出血、TEVAR後の排液をその都度再評価して治療を追加した点が中心となる。最初に決めた順序を最後まで固定した症例ではない。[1]
設備条件を含めて読む:2025年WSES–AAST胸部外傷ガイドラインは、循環不安定例では迅速な評価と処置を重視する。本症例のCTは、別室へ搬送して行う一般的なCTとは条件が異なる。同一台で蘇生・撮影・手術ができたことを外して、「不安定でもCTを優先する」と一般化できない。[1,2]
この報告で分かる範囲:Hybrid ERで複数の根本的処置を組み合わせられた実例である。一例の良好な転帰から、設備そのものの死亡率低下や、すべての患者で頭部治療を先行させる優位性までは示せない。原著も、チームの熟練、部屋の長時間占有、患者選択の検討が必要とする。[1]
Conclusion|この症例から持ち帰ること
原著の結論は、Hybrid ERが重症頭部・体幹外傷に対する複数の治療を移動なく組み合わせる場になり得る、というもの。復習では、各処置の終了をゴールとせず、残った出血と新たな生理学的変化から次の処置を判断する経過に注目したい。
References|出典・利用条件
- Wada D, et al. 原著症例報告. BMC Surg. 2021;21:219.
- Coccolini F, et al. Thoracic trauma WSES-AAST guidelines. World J Emerg Surg. 2025;20:78.
原著はCreative Commons Attribution 4.0(CC BY 4.0)。上記著者・論文を出典として、日本語訳、見出しの追加、構成の変更、Discussion・Conclusionの要約と補足を行いました。図の内容は改変していません。原著者が本ページを監修・推奨していることを意味しません。
症例で実際に行われた治療と、一般的な診療上の推奨を区別して紹介しています。一症例の転帰は、治療法の優劣を証明するものではありません。
編集:外傷外科医ベル / 公開・資料確認:2026年10月11日
文献症例 · 2つの判断点 · 入力不要
その時点の情報で、考える。
来院時|primary survey
46歳男性。仕事中に高所から墜落。既往に特記事項なし。墜落高・着地部位は原著に記載なし。
- A 気道
- 意識障害のため、救急医が現場で気管挿管。
- B 呼吸
- 呼吸数22/分。左胸部に皮下気腫。呼吸音・胸郭運動の詳細は記載なし。
- C 循環
- 上記の血圧・脈拍。末梢循環、外出血、腹部・骨盤所見、FASTの結果は記載なし。
- D 神経
- GCS 3は来院時の原著表記。瞳孔所見、鎮静薬・筋弛緩薬の影響は記載なし。
- E 全身
- その他の全身外表所見・体温は記載なし。
原著にある初期情報をABCDEで整理。「記載なし」は正常・陰性を意味しません。
選ぶ → 判断を振り返る → 次の情報へ。
原著タイトルと結末は、最後に確認できます。
選択に応じた解説を表示します。患者の経過は原著どおりに進みます。自動採点・回答の保存はありません。
