CASE 35|ベルの症例検討

ベルの症例検討CASE 35

臨床監修前 · 文献症例の検討用

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
気管・気管支損傷を含め、空気漏れの原因を直接評価する

選択についての振り返り(編集)

原著では気管支鏡で大きな損傷を確認しました。ドレーンの有無だけで気道の連続性を判断しません。

この判断時点の患者情報を確認する

44歳女性。歩行中の事故で胸部を強く損傷した。胸腔ドレーンを留置しても重い低酸素血症が続いた。

大量のエアリークと肺の再膨張不良があり、挿管後も酸素化が悪化した。

この判断時点の補足

来院時GCS 15、SpO₂ 70%。頻脈はあるが血圧は保たれ、右呼吸音減弱と著しい皮下気腫を認めた。

右胸腔ドレーンの血性排液は少量。高流量の非再呼吸式マスクでもSpO₂ 57%へ低下し挿管した。吸引を中止してもエアリークが続き、左胸腔ドレーン追加でも酸素化は改善しなかった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
ドレーンがあるので、気道損傷は除外する

選択についての振り返り(編集)

胸腔の排気と、気管支が連続していることは別です。持続する漏れと再膨張不良を重く見ます。

この判断時点の患者情報を確認する

44歳女性。歩行中の事故で胸部を強く損傷した。胸腔ドレーンを留置しても重い低酸素血症が続いた。

大量のエアリークと肺の再膨張不良があり、挿管後も酸素化が悪化した。

この判断時点の補足

来院時GCS 15、SpO₂ 70%。頻脈はあるが血圧は保たれ、右呼吸音減弱と著しい皮下気腫を認めた。

右胸腔ドレーンの血性排液は少量。高流量の非再呼吸式マスクでもSpO₂ 57%へ低下し挿管した。吸引を中止してもエアリークが続き、左胸腔ドレーン追加でも酸素化は改善しなかった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
低酸素は肺挫傷だけで説明する

選択についての振り返り(編集)

肺挫傷はあり得ますが、大量エアリークを含む全所見を説明できるか再評価します。

この判断時点の患者情報を確認する

44歳女性。歩行中の事故で胸部を強く損傷した。胸腔ドレーンを留置しても重い低酸素血症が続いた。

大量のエアリークと肺の再膨張不良があり、挿管後も酸素化が悪化した。

この判断時点の補足

来院時GCS 15、SpO₂ 70%。頻脈はあるが血圧は保たれ、右呼吸音減弱と著しい皮下気腫を認めた。

右胸腔ドレーンの血性排液は少量。高流量の非再呼吸式マスクでもSpO₂ 57%へ低下し挿管した。吸引を中止してもエアリークが続き、左胸腔ドレーン追加でも酸素化は改善しなかった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2

空気漏れが続く

原著の経過

大量のエアリークと肺の再膨張不良があり、挿管後も酸素化が悪化した。

ここまでの情報を確認する

44歳女性。歩行中の事故で胸部を強く損傷した。胸腔ドレーンを留置しても重い低酸素血症が続いた。

判断に使う補足情報

来院時GCS 15、SpO₂ 70%。頻脈はあるが血圧は保たれ、右呼吸音減弱と著しい皮下気腫を認めた。

右胸腔ドレーンの血性排液は少量。高流量の非再呼吸式マスクでもSpO₂ 57%へ低下し挿管した。吸引を中止してもエアリークが続き、左胸腔ドレーン追加でも酸素化は改善しなかった。

何を疑って評価を進めますか。

今の判断に近いものを選んでください。

A|気管・気管支損傷を含め、空気漏れの原因を直接評価するB|ドレーンがあるので、気道損傷は除外するC|低酸素は肺挫傷だけで説明する

判断 2 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
最初の計画どおり、呼吸補助だけに固定する

選択についての振り返り(編集)

心停止により必要な支援が変わっています。全身循環の維持も評価する必要があります。

この判断時点の患者情報を確認する

44歳女性。歩行中の事故で胸部を強く損傷した。胸腔ドレーンを留置しても重い低酸素血症が続いた。

大量のエアリークと肺の再膨張不良があり、挿管後も酸素化が悪化した。

呼吸補助としてVV-ECMOを準備していたが、導入中に心停止した。

判断 1 時点の補足

来院時GCS 15、SpO₂ 70%。頻脈はあるが血圧は保たれ、右呼吸音減弱と著しい皮下気腫を認めた。

右胸腔ドレーンの血性排液は少量。高流量の非再呼吸式マスクでもSpO₂ 57%へ低下し挿管した。吸引を中止してもエアリークが続き、左胸腔ドレーン追加でも酸素化は改善しなかった。

この判断時点の補足

気管支鏡で右上葉気管支の区域枝の離断と中間気管支幹の大きな損傷を確認。気管チューブを左主気管支へ進めても換気障害が解決せず、チームでVV-ECMOを計画した。

最初のカニュレーション試行中に心停止し、心肺蘇生を開始した時点である。心停止前に保たれていた血圧を現在の状態としては扱わない。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2 · 振り返り

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選んだ判断
呼吸だけでなく循環補助の必要性を再評価する

選択についての振り返り(編集)

原著ではVA-ECMOへ変更しました。方式の名前ではなく、その時点で何を支える必要があるかから考えます。

この判断時点の患者情報を確認する

44歳女性。歩行中の事故で胸部を強く損傷した。胸腔ドレーンを留置しても重い低酸素血症が続いた。

大量のエアリークと肺の再膨張不良があり、挿管後も酸素化が悪化した。

呼吸補助としてVV-ECMOを準備していたが、導入中に心停止した。

判断 1 時点の補足

来院時GCS 15、SpO₂ 70%。頻脈はあるが血圧は保たれ、右呼吸音減弱と著しい皮下気腫を認めた。

右胸腔ドレーンの血性排液は少量。高流量の非再呼吸式マスクでもSpO₂ 57%へ低下し挿管した。吸引を中止してもエアリークが続き、左胸腔ドレーン追加でも酸素化は改善しなかった。

この判断時点の補足

気管支鏡で右上葉気管支の区域枝の離断と中間気管支幹の大きな損傷を確認。気管チューブを左主気管支へ進めても換気障害が解決せず、チームでVV-ECMOを計画した。

最初のカニュレーション試行中に心停止し、心肺蘇生を開始した時点である。心停止前に保たれていた血圧を現在の状態としては扱わない。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2 · 振り返り

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選んだ判断
ECMOを用いれば損傷部の修復は不要とする

選択についての振り返り(編集)

補助は破綻した気道や肺を修復しません。確定治療につなぐ役割を共有します。

この判断時点の患者情報を確認する

44歳女性。歩行中の事故で胸部を強く損傷した。胸腔ドレーンを留置しても重い低酸素血症が続いた。

大量のエアリークと肺の再膨張不良があり、挿管後も酸素化が悪化した。

呼吸補助としてVV-ECMOを準備していたが、導入中に心停止した。

判断 1 時点の補足

来院時GCS 15、SpO₂ 70%。頻脈はあるが血圧は保たれ、右呼吸音減弱と著しい皮下気腫を認めた。

右胸腔ドレーンの血性排液は少量。高流量の非再呼吸式マスクでもSpO₂ 57%へ低下し挿管した。吸引を中止してもエアリークが続き、左胸腔ドレーン追加でも酸素化は改善しなかった。

この判断時点の補足

気管支鏡で右上葉気管支の区域枝の離断と中間気管支幹の大きな損傷を確認。気管チューブを左主気管支へ進めても換気障害が解決せず、チームでVV-ECMOを計画した。

最初のカニュレーション試行中に心停止し、心肺蘇生を開始した時点である。心停止前に保たれていた血圧を現在の状態としては扱わない。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2

補助を準備中に心停止

原著の経過

呼吸補助としてVV-ECMOを準備していたが、導入中に心停止した。

ここまでの情報を確認する

44歳女性。歩行中の事故で胸部を強く損傷した。胸腔ドレーンを留置しても重い低酸素血症が続いた。

大量のエアリークと肺の再膨張不良があり、挿管後も酸素化が悪化した。

判断 1 時点の補足

来院時GCS 15、SpO₂ 70%。頻脈はあるが血圧は保たれ、右呼吸音減弱と著しい皮下気腫を認めた。

右胸腔ドレーンの血性排液は少量。高流量の非再呼吸式マスクでもSpO₂ 57%へ低下し挿管した。吸引を中止してもエアリークが続き、左胸腔ドレーン追加でも酸素化は改善しなかった。

判断に使う補足情報

気管支鏡で右上葉気管支の区域枝の離断と中間気管支幹の大きな損傷を確認。気管チューブを左主気管支へ進めても換気障害が解決せず、チームでVV-ECMOを計画した。

最初のカニュレーション試行中に心停止し、心肺蘇生を開始した時点である。心停止前に保たれていた血圧を現在の状態としては扱わない。

補助方式をどう見直しますか。

今の判断に近いものを選んでください。

A|最初の計画どおり、呼吸補助だけに固定するB|呼吸だけでなく循環補助の必要性を再評価するC|ECMOを用いれば損傷部の修復は不要とする

2つの判断を振り返る

診断・実際の経過

重症気管支・肺損傷に対する体外補助と肺切除

修復不能な右肺を切除し、循環・呼吸の変化に応じて補助方式を変更した。後に補助から離脱し、第45病日にリハビリテーションへ転院した。

持ち帰るポイント

  • 大量エアリークと再膨張不良では、気道の連続性を評価する。
  • 必要な臓器支援が変われば、補助の計画も変える。

原著の治療・転帰と、編集した判断の解説を区別しています。別の選択でどのような転帰になったかは、この症例からは分かりません。

原著を読む ↗

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BELL’S CASE CONFERENCE / CASE 35

Traumatic Bronchus Avulsion Managed With Extracorporeal Membrane Oxygenation, Pneumonectomy, and Rib Fixation

Hertslet GD, et al. Case Reports in Surgery. 2025;2025:1079046.

原著を読む ↗ | DOI

気管支離断:心停止でVA-ECMOへ変更し、肺全摘後にVV-ECMOを再導入

症例部分は、原著のCase presentationをほぼ全体にわたり日本語で紹介し、時系列に沿って見出しを加えています。Discussion・Conclusionは要点を整理し、関連する根拠を添えました。

Case presentation|症例紹介

来院・胸腔ドレナージに反応しない低酸素血症

44歳女性が歩行中に自動車にはねられ、胸部に強い圧挫損傷を受けた。来院時GCS 15、SpO₂ 70%。頻脈はあったが血圧は保たれていた。胸部には著しい捻髪音があり、右呼吸音が減弱していた。

胸部X線で右気胸を認め、胸腔ドレーンを留置した。血性排液は少量で、酸素化は改善せず、非再呼吸式マスクで高流量酸素を投与してもSpO₂は57%へ低下した。血液ガスでは重い呼吸性アシドーシスを認めた。原著Figure 2の初期値はpH 6.97、PaCO₂ 96、PaO₂ 48と示されている。

急性低酸素性呼吸不全のため挿管した。胸腔ドレーンからの連続したエアリークは吸引を中止しても続き、左胸腔にもドレーンを留置したがSpO₂は改善しなかった。循環は保たれているのに呼気終末CO₂が低く、外表診察とFASTでは出血源を認めなかった。

気管支鏡とECMO方針の変更

気管支鏡で右上葉気管支の前区域・後区域枝の完全離断を認め、肺尖区域枝は保たれているように見えた。中間気管支幹にも大きな損傷があり、出血で視野が妨げられ、中・下葉の区域枝を確認できなかった。チューブ先端を左主気管支へ進めても換気障害は解決しなかった。

外傷、心臓胸部外科、ECMOの各チームで協議し、大腿静脈―大腿静脈のVV-ECMOによる呼吸補助を計画した。ECMOチームが準備する間に追加画像評価を行い、頭蓋内出血などのカニュレーション禁忌を認めなかった。

しかし、初回カニュレーションの試行中に心停止した。心肺蘇生を開始し、循環補助も必要となったためVA-ECMOへ方針を変更した。既存の右大腿動脈ラインを17 Fr動脈カニューレに、右大腿静脈ラインを25 Fr脱血カニューレに置き換え、重篤な状態でICUへ入室した。

肺全摘と循環補助からの離脱

輸血需要が大きく、入院1日目に右肺全摘を行った。術中には修復不能な血管・気管支損傷があり、右肺は多数の出血性裂創を伴っていた。標本重量は540 gだった。

2日目にVA-ECMOから離脱できず、左室負荷を軽減するためImpella 5.5を留置した。3日目には過多月経によって繰り返し輸血を要し、IVRによる子宮動脈塞栓術を行った。5日目にVA-ECMOから離脱した。Discussionでは、左室駆出率が2日目の25%から60〜65%へ改善したと説明されている。

肺全摘後の呼吸・右心負荷に対してVV-ECMO

6日目の心エコーでは中等度の肺高血圧を認め、エポプロステノールを開始した。その夜の血液ガスはpH 7.252、PaCO₂ 73.2 mmHg、PaO₂ 75、酸素飽和度91%、HCO₃⁻ 32.3で、呼吸性アシドーシスが悪化した。本文では、吸入エポプロステノールでも肺動脈圧が80〜90 mmHgと高値のままだったと記載されている。

呼吸補助のため、右内頸静脈から30 FrのダブルルーメンカニューレでVV-ECMOを導入した。本文は6日目夜の悪化に続いて導入を記述し、DiscussionとFigure 8はVV-ECMO開始を7日目としている。

胸郭の再建・離脱・転帰

9日目に気管切開と、分節状骨折を伴う右第4〜7肋骨の観血的整復固定を行った。胸郭の安定化によりフレイルチェストを軽減し、呼吸力学の改善を図った。

その後は残る致命的でない整形外科損傷と、肺全摘後の肺水腫、肺高血圧、右心不全への対応を進めた。肺高血圧には静注エポプロステノールとシルデナフィル、肺水腫にはECMO回路を介した限外濾過を用いた。

原著では11日目以降は補助が少なくなり、気管切開チューブのキャッピングを24時間耐えられた後、16日目にVV-ECMOから離脱したと報告されている。21日目の心エコーで右室機能の改善を認め、エポプロステノールとシルデナフィルを終了した。22日目に中間ケア病棟へ移り、45日目に長期急性期ケア施設へ転院した。

Figures|原著の図版

日本語の図説明を掲載しています。「原図を開く」を押すと実際の画像が表示されます。

Figure 1 — 来院時胸部X線。原著はfallen lung signの可能性を指摘しているが、初期読影では認識されなかったと記している。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Hertslet GD, et al., 2025, Figure 1. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Figure 2 — 動脈血液ガスの推移。初療、挿管後、VA-ECMO導入・離脱時、VV-ECMO導入・離脱時。最終行PaO₂「3」は原図の記載で、誤記の可能性について本文注記を参照。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Hertslet GD, et al., 2025, Figure 2. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Figure 3 — 気管支離断の模式図。①右主気管支からの中間気管支幹離断。②中・下葉へ続く気管支の離断。③右上葉気管支もほぼ離断し、肺尖区域枝のみが保たれていた。

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Hertslet GD, et al., 2025, Figure 3. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Figure 4a — Figure 4a:受傷直後CTの軸位断。右肺の気管支離断、著明な血気胸・縦隔偏位、多発転位肋骨骨折を示す。

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Hertslet GD, et al., 2025, Figure 4a. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Figure 4b — Figure 4b:同CTの冠状断。広範な右胸部損傷を示す。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Hertslet GD, et al., 2025, Figure 4b. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Figure 5 — 右肺全摘標本(540 g)。多数の出血性裂創と不整な気管支断端を認め、著者らは温存不能と判断した。

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Hertslet GD, et al., 2025, Figure 5. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Figure 6 — 修復不能だった気管支損傷の術中写真。①右上葉気管支、②二次分岐部の損傷、③離断した中間気管支幹。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Hertslet GD, et al., 2025, Figure 6. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Figure 7a — Figure 7a:右第4〜7肋骨の整復固定前。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Hertslet GD, et al., 2025, Figure 7a. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Figure 7b — Figure 7b:右第4〜7肋骨の整復固定後。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Hertslet GD, et al., 2025, Figure 7b. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Figure 8 — 入院中の経過。VA-ECMO、右肺全摘、Impella、VV-ECMO、肋骨固定、離脱、転院の順序。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Hertslet GD, et al., 2025, Figure 8. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Discussion|論文の解説と根拠

持続するエアリークと換気不全から中枢気道損傷を探す。ドレーンで改善しない低酸素血症に対し、気管支鏡が離断の診断につながった。fallen lung signは原著で後から指摘された所見で、初期判断の根拠だったわけではない。[1]

必要な補助は途中で変わる。当初はVVを計画したが、心停止によりVAへ変更し、心機能回復後に離脱。その後の肺全摘後呼吸不全にはVVを再導入した。WSES-AASTも、VAは循環と呼吸、VVは呼吸補助という役割を踏まえて方式を選択するとする。[1,2]

救命処置の後に残る負担も読む。肺全摘後には肺水腫・肺高血圧・右心不全が問題となり、出血や胸郭不安定性への処置も必要だった。ガイドラインは手術時の肺温存を重視しており、本症例の全摘は修復不能損傷に対する選択だった。ECMO、Impella、肋骨固定それぞれの独立した効果を、この一例から分離して評価することはできない。[1,2]

Conclusion|この症例から持ち帰ること

呼吸補助を計画していても、心停止で循環補助へ変更し、心機能回復後も肺全摘に伴う呼吸・右心の問題を追う必要があった。治療の名称よりも、その時点で何が破綻しているかを読む症例。

References|出典・利用条件

  1. Hertslet GD, et al.. Traumatic Bronchus Avulsion Managed With Extracorporeal Membrane Oxygenation, Pneumonectomy, and Rib Fixation. Hertslet GD, et al. Case Reports in Surgery. 2025;2025:1079046.
  2. Coccolini F, et al. Thoracic trauma WSES-AAST guidelines. World J Emerg Surg. 2025.

原著の利用条件:CC BY 4.0。原著を出典として症例部分の日本語化、見出し追加、構成変更、Discussion・Conclusionの要約と補足を行いました。転載可能な原図の内容は改変していません。個別に転載許諾が必要な第三者の図は原著へのリンクのみです。原著者が本ページを監修・推奨していることを意味しません。

症例で実際に行われた治療と、一般的な診療上の推奨を区別して紹介しています。一症例の転帰は、治療法の優劣を証明するものではありません。

編集:外傷外科医ベル / 公開・資料確認:2026年10月11日

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