ベルの勉強部屋|外科基本手技・形成外科的閉創
目次
体表縫合を徹底解説:運針・真皮埋没・連続皮内縫合と減張
上面図と横断面図を区別して学ぶ、創の方向・糸の走行・結紮の基本
「きれいに縫合したつもりなのに糸痕が残る」「真皮連続埋没は良くないのか」「胸骨正中切開の瘢痕を減らすにはどうすればよいか」。この疑問を解くには、表皮を縫う技術だけではなく、創の走行と運針方向、真皮の正着、張力の分担、血流を損なわない結紮 を順に理解する必要がある。
本記事は、提供いただいた『手術』2025年、『外科』2024年、『Visual Dermatology』2026年などの総説を基礎に、臨床現場での使い分けを再構成した。図は出典原図を転載したものではなく、独自の模式図である。
最初に押さえる3点
① 創の長軸に対し、結節縫合は直交方向 、連続皮内埋没は長軸方向に進みながら左右交互 に真皮を拾う。 ② 深部真皮の結節埋没と表層の連続皮内埋没は目的が異なる。 ③ 結紮した糸は各々が独立した閉ループであり、表層糸と深部糸がつながることはない。
図の読み方:手術手技を誤認しないために
本記事では、上面図 (創の長軸に対してどちらへ運針するか)と創に直交する横断面図 (どの深さで真皮を拾うか)を区別する。断面図では、糸の走行を1つの面へ投影しているため、実際に連続皮内縫合が創の長軸方向へ前進する成分は必ずしも表現できない。
単純結節縫合・深部真皮結節埋没縫合では、それぞれの結紮済みの1針は独立した閉じたループ であり、深部の糸が表層の別の糸につながってはいない。結び目から見える短い糸端は切断後の端で、皮膚の外へ際限なく続く糸を意味しない。
連続皮内縫合は創の長軸に沿って左右の真皮を交互に拾い、表皮面を原則として貫通しない。ただし開始・終了の固定方法には埋没結紮、固定用ループ、外側への糸端固定など複数の方法があり、全例で同一側に結び目を作るわけではない 。
このページの構成: 創方向 / 解剖 / 真皮埋没 / ハート型運針 / 連続皮内 / 減張 / 糸の選択 / 胸部・ケロイド / 術後管理
1|まず創の長軸と縫う方向を理解する
運針は「皮膚上面」と「創に直交する横断面」で見え方が変わる。上面図で創の長軸を縦に統一すると、単純結節縫合では左右を横断するように糸が走り、埋没結節も皮内の左右の真皮を横断する。連続皮内埋没はその左右の拾い方を交互に繰り返しながら創の長軸方向へ前進する。
図1|創の長軸と縫合糸の走行(上面図) A|単純結節縫合 創に直交して、表面で結紮 創の長軸 ↓ 皮表の糸は横断方向 B|真皮の結節埋没 創に直交。皮表からは見えない 創の長軸 ↓ 破線は埋没した糸(透視) 1針ごとの糸は相互に独立 C|連続皮内埋没 創に沿い左右を交互に拾う 創の長軸 ↓ 進む 表皮を貫通せず長軸へ進む 上面図は方向の理解を目的とする。糸の結紮位置・閉ループは、次の創に直交する横断面図で確認する。 図1|すべて創の長軸を縦にそろえた上面図。青実線は皮表の糸、破線は皮内を通過する糸を透視した表現。実際の針孔・結び目の立体構造は横断面図で示す。
読み違いを防ぐ原則 :上面図で見える糸の走行と、横断面で示す糸の閉ループを同じ平面の図として考えない。表層の結節糸は皮表に糸と結び目があり、深部の埋没糸は皮表に糸が露出しない。
2|皮膚の解剖:真皮を正確に拾う
体表縫合を理解するうえで、最初に区別すべきは表皮・乳頭真皮・網状真皮・皮下脂肪 である。表皮は角化したバリアだが、皮膚の支持性を主に担うのは真皮のコラーゲン線維である。網状真皮は厚い結合組織が多く、正しい深さで縫い合わせることが創縁の安定性に重要である。
皮膚の層構造と血流 縫合の前に知っておく解剖 1 表皮 2 真皮 最も支持性が高い層 3 皮下組織 浅筋膜 (Camper/Scarpa) 4 深筋膜 5 筋層 Scarpa 筋膜(線維性で強靱) Camper 筋膜(脂肪に富む疎な層) 表皮下血管網(毛細血管叢) 径 10 µm 前後の極細血管。わずかな圧で虚脱 → ここに針をかけない 真皮深層の血管アーケード 穿通枝が真皮深層で網を形成 穿通枝 筋・筋膜から脂肪組織を貫き 皮膚へ向かう比較的太い血管 縫合に関わるポイント ・血流は筋層由来 → 皮下を貫き、真皮深層 で網を作り、浅層で毛細血管叢になる ・真皮=筋膜と同等に強靱な支持層 (約50%の強度回復に約4週間) ・真皮の密着 → 良好な血流 → 一次治癒 TRAUMA EVIDENCE LAB / PTD Zero — 外傷外科医ベル 図2|皮膚の層構造と血流 表皮・真皮・皮下組織(Camper/Scarpa 筋膜)・深筋膜・筋層と、穿通枝→真皮深層の血管アーケード→表皮下血管網という血流の流れ。真皮は筋膜と同等に強靱な支持層であり、表皮下血管網は細く圧で虚脱するため、ここに針をかけない。
真皮の深部には血管や神経の走行があり、皮膚を強く把持したり電気メスで過剰に凝固したりすれば、微小循環を損ねる。脂肪組織を結紮で絞り込むのではなく、支持性のある組織を愛護的に拾うことが重要である。
皮下脂肪と浅筋膜・深筋膜の区別については、独立記事「浅筋膜・深筋膜の解剖と熱傷手術」 で詳述している。皮膚縫合ではまず真皮の強度と血流の理解を優先する。
3|真皮埋没結節縫合:運針から結紮まで
真皮埋没結節縫合の主な目的は、創縁の真皮を同じ高さで正着させ、表層にかかる張力を軽減すること、必要に応じて死腔を小さくすることである。一側では深部から浅部に向かって針を進め、対側では同じ深さの真皮を拾って浅部から深部へ戻す。表皮を貫通しないため、結紮点は皮表から見えない。
真皮縫合(埋没縫合)の運針 ハート型(おにぎり型)に運針し、結び目を最深部に埋める a ✕ 脂肪は拾わない A C 創面は台形(深部ほど広く) 皮下(真皮の下面)から刺入し、脂肪を拾わずに真皮をすくう。 創縁からやや離れた位置で最も浅くなり(幅 C)、 創面の真皮から針を出す(深さ A)。 b B D A=B C=D 対側は同じ深さ(A=B)の創面から刺入し、 同じ幅(C=D)で最も浅くなるようにすくって皮下へ針を出す。 左右の深さと幅が揃うと表皮に段差ができない。 c 両端を引くと創縁が寄る 結び目は最深部にくる 糸の両端はどちらも皮下(最深部)から出ているので、 結紮すると結び目は創の最深部に埋まる。 糸は真皮のみを通り、ハート型(おにぎり型)のループになる。 d 結び目は最深部に、糸は際で切る notch(くぼみ) 浅くかけた部分にできる=うまく運針できたサイン 創縁がやや隆起(evert) → 表皮に緊張がかからず真皮が密着 死腔ができないよう、弛まない程度にしっかり結紮し、結び目ギリギリで切離。 糸は 4-0/5-0 のモノフィラメント吸収糸。 きつすぎる結紮・太い糸・長い糸端は血流障害と異物感のもと。 TRAUMA EVIDENCE LAB / PTD Zero — 外傷外科医ベル 図3|真皮縫合(埋没縫合)の運針 a:創面を台形にし、皮下から刺入して脂肪を拾わずに真皮をすくう。b:対側は同じ深さ(A=B)・同じ幅(C=D)。c:糸の両端が皮下から出るので結び目は最深部に埋まる。d:弛まない程度に結紮し、結び目の際で切る。浅くかけた部分の notch と創縁のわずかな evert が目印。
針は予定した経路を円弧に沿って通し、組織を無理に引きずらない。真皮の左右の深さが異なると段差が生じる。埋没結紮は深部に置き、糸端を長く残し過ぎず、結び目を過度に大きくしない。ただし、脂肪や線維性の薄い組織ばかりを結紮しても、安定した減張効果は得にくい。
真皮縫合と皮膚縫合 ― 2 層で縫う 役割がまったく違う 2 つの縫合を組み合わせる 1 2 表皮 真皮 皮下脂肪 1 真皮縫合(埋没縫合) 目的:創縁にかかる緊張を減らす(減張)+死腔をなくす 糸 :4-0/5-0 モノフィラメント吸収糸(顔面 5-0、体幹・四肢 4-0) 抗張力保持期間が長い糸ほど減張を長く維持できる 運針:真皮のみを拾う。ハート型に運針し、結び目は最深部へ 左右の深さ・幅を揃える → 段差を作らない 効果:皮膚縫合を細い糸・小さいバイト・早期抜糸にできる 2 皮膚縫合(表層縫合) 目的:創縁のずれの微調整と位置の保持(支持力は真皮縫合が担う) 糸 :5-0〜7-0 の細いモノフィラメント非吸収糸(ナイロン) 運針:小さなバイトで、創縁が隆起しているので針はほぼ水平に 結紮:術後の腫脹を見込んで「緩め」に。きつく締めると糸痕・血流障害 抜糸:顔面 4〜5 日(遅くとも 7 日)、その他 7〜10 日 緊張部位は遅らせ、半抜糸/1/3 ずつの抜糸も 原則 真皮が正着すれば表皮は自然に正着する。 真皮縫合で十分に減張できていれば、表層縫合は「合わせるだけ」でよく、 縫合糸痕の少ないきれいな創になる。 創縁はわずかに隆起(evert)させる:張力が減るにつれて平坦化し、最終的に細い線状瘢痕になる。 顔面・頸部では evert が残ることがあるので控えめに。 TRAUMA EVIDENCE LAB / PTD Zero — 外傷外科医ベル 図4|真皮縫合と皮膚縫合の 2 層 減張と死腔の消失を担う真皮縫合(吸収性モノフィラメント)と、創縁のずれの微調整を担う表層縫合(非吸収性モノフィラメント)。役割が異なる 2 つの縫合を組み合わせる。
3種類の縫合の役割を比較する
方法
主な目的
利点
注意
深部真皮の結節埋没(buried deep dermal)
減張・真皮の正着・死腔の軽減
左右別々に調整できる
結紮点の露出、段差、虚血、過剰な異物
連続皮内埋没(running subcuticular)
連続した創縁整列・皮表の糸痕の軽減
長い直線創で速く均一に整列
高張力を一本で負担させない。感染時の部分開放に不向き
表層結節縫合(interrupted cutaneous)
創縁の微調整、外反、必要部分のみの固定
部分抜糸・部分開放に対応
締めすぎはrailroad track状の糸痕や血流障害
注意したいのは「連続真皮埋没」という言葉の多義性である。浅い真皮内の連続皮内縫合 と、深い真皮を連続的に縫う連続深部真皮縫合 は、糸の走行も張力を受ける位置も異なる。文献を読むときは名称だけで判断せず、どの層に糸があるかを確認する。
大事な区別: 深部真皮の結節埋没 、創の長軸に沿う連続皮内埋没 、表面に結び目を置く表層結節縫合 は、すべて別の手技であり、同じ「皮膚縫合」という言葉だけでまとめない。
4|ハート型運針とnotchの意味
真皮埋没縫合では、皮下側から真皮を拾って創縁へ出し、対側ではほぼ対称の層を通って深部に戻る。浅い真皮を拾う位置と創縁で針を出す位置に深さの差をつけると、創縁が自然にわずかに外反する。国内の皮膚外科解説では、この運針がハート型・おにぎり型 と説明され、浅い部分の皮膚がわずかに凹むnotch が目印として紹介されている。
しかしnotchを作ること自体が目的ではない。左右の深さを揃え、創縁の段差をなくし、局所血流を維持することが目的である。真皮の厚さ、部位、張力によっては強い外反が不自然な隆起を残すため、顔面ではとくに慎重に調整する。結紮点は表面に露出しない位置へ置き、針を強く引きずって組織を裂かない。
運針の小ワザ ― 斜めの運針と、水平にかける表層縫合 真皮が薄い・間隔が狭いとき/真皮縫合で創縁が隆起しているとき a 真皮が薄い/狭くて垂直にかけられないとき → 斜めの運針 縫合線 通常の運針 縫合線に対して垂直に 真皮を上下にすくう 斜めの運針 縫合線に対して斜めに針を進める → 短い距離でも真皮をすくえる ・斜め下から浅いところに針をかけ、その位置より深いところで創縁から針を出す。 ・対側は斜め上から浅いところに針をかけ、刺入した位置より深いところで針を出す。 ・「浅くかけた所に notch ができる」のは通常の運針と同じ。 ・1/2 サークルでも把持部より先の彎曲は弱い =「少し曲がった直針」の感覚で扱う。 b 真皮縫合後の表層縫合 → 針はほぼ水平にかける 針はほぼ水平(横に出す) 真皮縫合で隆起した創縁 表皮 真皮 皮下脂肪 ・創縁が隆起しているので、針を水平に刺して横に出すと腕を捻らずスムーズ。 ・真皮縫合をしない/隆起が足りないときは、先に垂直マットレス縫合を 数か所かけておくと内反せずに創縁が密着する。 ・結紮は「糸端を持ってループが皮膚から持ち上がり、離すと隙間がなくなる」程度に。 TRAUMA EVIDENCE LAB / PTD Zero — 外傷外科医ベル 図5|運針の小ワザ a:真皮が薄い・間隔が狭くて垂直に運針できないときは縫合線に対して斜めに針を進める。b:真皮縫合で創縁が隆起していれば、表層縫合の針はほぼ水平にかけて横に出す。
よくある失敗と修正
左右で針を通す深さが違う: 表面に段差が生じる。高い側と低い側の真皮の拾い方を見直す。
片側だけ多量の脂肪を拾う: 外反の左右差や凹みを生む。真皮の支持性を意識する。
深部結紮点が浅すぎる: 糸の露出・異物感・stitch abscessの原因となり得る。
皮膚を強く把持する: 挫滅・血流障害・表皮剥離を招く。鑷子は必要最小限に使う。
表皮縫合で段差を合わせる 真皮縫合のあと表皮に段差が残ったときの運針 a 段差 低い側 高い側 真皮縫合を行ったが、表皮に段差が生じている。 表皮縫合の目的は「ずれの微調整」―― 段差のある部位を狙って縫う。 b 深く(真皮内まで) 低い側は深くすくう 段差をなくすために、低いほうの創縁から針を深く刺入する。 (深くかけた側は結紮で持ち上がる) c 浅く(表皮直下) 高い側は浅くすくう 次に、高いほうの創縁の浅層に針を通して抜く。 (浅くかけた側は結紮で押し下げられる) d 段差が解消 緩く結ぶ(合わせるだけ) 段差を合わせることが目的なので、緩く縫合する。 術後の腫脹を考慮し、きつく締めない。5-0〜7-0 の細い糸・小さなバイトで。 TRAUMA EVIDENCE LAB / PTD Zero — 外傷外科医ベル 図6|表皮縫合で段差を合わせる 真皮縫合後に表皮に段差が残ったら、低い側を深く、高い側を浅くすくい、緩く結ぶと段差が解消する。
いわゆるハート型・おにぎり型は、左右の真皮を適切な位置と深さで拾い、縫合後に創縁をやや外反させるための概念的な呼び方である。浅い部分に針をかけた位置のnotchは参考所見だが、notchを強く作ること自体が目的ではない。皮膚の厚さ、部位、左右の段差、血流を見ながら調整する。
5|連続皮内埋没縫合は悪いのか?
連続皮内埋没縫合は有効な標準的選択肢 であり、清潔で比較的整った直線創では、糸痕を少なく仕上げるために適している。ただし、高張力創で深い層の減張が不十分なまま皮内糸をきつく牽引すれば、創縁の虚血、糸の切れ込み、創離開、肥厚性瘢痕につながり得る。
Cochrane Review(2020)は非産科手術の66試験・7,487人を含み、皮内縫合はステープラーと比較してSSIの明確な増加を示さず、創合併症や患者満足度には有利な可能性を示した。Luoらのメタ解析(2022年オンライン公開/2023年掲載)では連続縫合と結節縫合を比較して離開は連続群で少なく、SSIに明確な差はなかった。ただし、いずれも深部真皮の連続埋没と結節埋没の直接比較と同義ではない 。創部位、糸、併用した深部縫合が研究間で異なる点に注意する。
結節縫合と連続縫合 1 針ずつ結ぶか、1 本の糸で縫い進めるか a 単純結節縫合(interrupted) 1 針ごとに結紮(結び目は創線から外す) 長所 1 本ずつ張力を調整できる 1 本が緩んでも他に影響しない 一部だけ抜糸して開放できる → 汚染創・感染リスク創で有利 短所 時間がかかる 糸(異物)の量が多い b 連続縫合(running / continuous) 始点と終点のみ結紮。組織内は直角、表面は斜めに渡る 長所 速い(時間短縮) 糸の量が少なく異物が減る 張力が創全体に分散する 短所 締めすぎると創縁がずれて 密着しにくい 部分的な抜糸ができない → 感染がある創には不向き 1 か所切れると全体が離開 使い分け ・汚染創・感染リスクの高い創、張力の調整が必要な創 → 結節縫合(2-0 ナイロンやステープラーで疎に) ・清潔な長い創で時間を短縮したい → 連続縫合(真皮では返しのついた連続吸収糸=barbed suture も普及) ・いずれも「締めすぎない」こと。糸の下の血流を保つ強さで結ぶ TRAUMA EVIDENCE LAB / PTD Zero — 外傷外科医ベル 図7|結節縫合と連続縫合(上面図) 張力を 1 針ずつ調整でき部分抜糸が可能な結節縫合と、速く均一で異物量が少ない連続縫合。汚染創・感染リスク創は結節縫合、清潔な長い創は連続縫合が向く。
実臨床で向くケース
汚染のない予定手術創、深部で必要な減張を終えた長い直線創、創縁の左右の高さがほぼ揃う創、表層の糸痕を避けたい部位。
慎重なケース
汚染・感染がある創、感染時に部分的に抜糸して排膿する可能性が高い創、形状や厚みが大きく不揃いな挫創、表面の糸だけに高い張力がかかる創。必要なら結節やマットレス、テープやステープラー、遅延一次閉鎖などを組み合わせる。
連続皮内埋没は、左右の真皮を交互に拾いながら創の長軸方向へ進む縫合である。清潔で直線的な創、深部で減張が得られた創では優れた選択肢となる。開始部・終了部の糸の固定方法には複数の技法があり、必ず同一の結紮方法を用いるわけではない。
2020年のCochrane Reviewでは66試験・7,487人を検討し、皮内縫合と他の閉創方法との間でSSIの明確な差を認めず、ステープラーと比べて創合併症が少ない可能性が示された。ただし比較対象と術式が多様であり、「深部真皮を結節にすべきか連続にすべきか」を直接決着させる結果ではない。原著解説(Cochrane)
6|創縁の減張:深い支持と表層の正着を分ける
術創の整容性を決めるのは、表面に針孔を残さないことだけではない。縫合前に創の方向と張力を評価し、必要な場合は適切な剥離・深部支持層の再建で張力を調節する。糸で強引に寄せるのではなく、組織が自然に近づく条件を作る。筋膜を直接縫って減張する方法は特定の瘢痕修正術で有用だが、通常の胸骨正中切開や創傷すべてに一般化できるわけではない。
縫合手順のチェック
創の条件: 血流、感染、挫滅、張力、解剖学的な段差と可動域を確認する。
皮膚切開: 可能な術式では皮膚割線・RSTLを意識し、創縁の熱損傷を必要最小限にする。
洗浄と止血: 血腫・壊死組織・異物を残さない。過度な焼灼は避ける。
深部支持: 筋膜、線維性皮下組織、網状真皮など実際の支持層を見極めて死腔と張力を減らす。
真皮の正着: 左右同じ層を拾い、段差と内反を修正する。
表層: 連続皮内埋没、結節、テープ等を適応で選ぶ。締めすぎない。
術後: 創の血流と密着、感染徴候を確認し、必要に応じ減張固定・瘢痕管理を行う。
創部の緊張と evert(減張縫合) 緊張の強い創ほど、遠くの真皮をすくってしっかり盛り上げる a 緊張が強い創 傷にかかる張力(強い) 遠くの真皮をすくう 緊張が強い創は治癒が遷延し、 幅の広い瘢痕になりやすい。 → 遠くの真皮を広くすくって減張する。 b 縫合直後:しっかり evert 張力はまだ強い 創縁を盛り上げる(evert) 創縁を盛り上げる(evert)ことで 皮膚表面の緊張を逃がす=減張縫合。 顔面・頸部は evert が残ることがあり控えめに。 c 数か月後:平坦化して細い瘢痕 吸収糸は分解・吸収される 張力は徐々に減少 細い線状瘢痕 張力が減るにつれて evert は平坦化し、 最終的に細いキズアトになる。 成熟瘢痕になるまで約 1 年。 緊張を減らすために縫合以外でできること ・切開は皺(RSTL)の方向に置く:創縁にかかる張力が弱く、瘢痕が目立ちにくい ・創の安静:関節部はシーネ・ギプス、顔面はテーピングやハイドロコロイド材で固定。縫合創への負担を減らす ・後療法:未成熟瘢痕は約 1 年かけて成熟する。テーピング固定 3〜6 か月+湿潤環境(ハイドロコロイド)で肥厚性瘢痕を予防 ・局所血行障害の原因:細かくきつい縫合、緊張のかかった縫合、過度の圧迫 → 縫合間隔は「創が開かない程度」でよい TRAUMA EVIDENCE LAB / PTD Zero — 外傷外科医ベル 図8|創部の緊張と evert(減張縫合) 緊張の強い創では遠くの真皮を広くすくってしっかり盛り上げる。張力の減少とともに evert は平坦化し、最終的に細い線状瘢痕となる。顔面・頸部では evert が残ることがあり控えめに。
減張の目的は皮表を強く圧迫することではない。必要な場合は支持性のある深部組織で張力を負担し、真皮を正確に合わせ、表面を軽い力で整列させる。深部支持縫合で実際に拾う組織は部位や術式で異なる。脂肪だけを大きく拾うことや、深筋膜を全例で縫うことは推奨しない。
重要な安全上の注意: 糸が閉じたループになるのは結紮後である。別々に結紮した表層糸と深部糸は互いにつながらない。創縁が内反・虚血・強い圧迫を呈する場合は、追加の強い結紮ではなく張力の原因と創の条件を見直す。
緊張のかかる創で使うマットレス縫合
関節部など緊張のかかる創や深い創では、結節縫合の変法である垂直マットレス縫合・水平マットレス縫合 も選択肢になる。いずれも創縁を寄せる力が強い反面、糸の下の皮膚は虚血になりやすい。緩めに結紮し、早めの抜糸を心がける。
垂直マットレス縫合 far-far(深く・遠く)→ 針を返して near-near(浅く・近く)。結び目は縫合線上に来ない 1 2 1 浅層:左右で同じ深さ 2 深層:左右で同じ深さ far-far(深く・遠く) near-near(浅く・近く) 表皮 真皮 皮下脂肪 結び目は創から離れた位置 上から見た図 far near near far 向いている創 緊張のかかる皮膚 深い創(死腔を作りたくない) 平面でない創 厚さの異なる組織どうし 長所 深部から密着し死腔ができにくい 創縁を外反させやすい 創面の密着性が高い 注意 強く締めると皮膚・皮下の壊死、 瘢痕が残りやすい → 緩めに結紮し、早めに抜糸 深い層を far-far で縫合したあと、針を逆向きに返して浅い層を near-near で縫合する。 浅層(1)・深層(2)それぞれで創内に出る点の深さを左右で揃えると、垂直方向に層が正しく正着する。 TRAUMA EVIDENCE LAB / PTD Zero — 外傷外科医ベル 図9|垂直マットレス縫合 far-far で深く縫合したあと針を返して near-near で浅層を縫う。浅層(1)・深層(2)それぞれで創内に出る点の深さを左右で揃える。緊張のかかる皮膚・深い創・厚さの異なる組織に有効だが、締めすぎると壊死・瘢痕の原因になる。
水平マットレス縫合 浅層で「コの字」に 2 回糸を通す。創縁を寄せる力が強い 浅 浅層(真皮の浅い部分)のみを通る バイト(左右等しく) 表皮 真皮 皮下脂肪 手前の糸と奥の糸(薄色)が 1 組 = 1 針 上から見た図(コの字) コ 向いている創 緊張がかかる部位で、 層があまり深くない創 (例:皮下が薄い部位) 長所 創縁を寄せる力が強い 減張効果が大きい 注意 創表面の密着性は弱い → 結節縫合やステープルの追加 が必要になることも 糸の下の皮膚は虚血になりやすい → 締めすぎない 創縁から等距離に刺入・刺出し、縫合線に平行に少し進んでから同じ深さで戻ってくる(コの字)。 創を寄せる力は強いが表面は合いにくいので、必要なら結節縫合で表面を整える。 TRAUMA EVIDENCE LAB / PTD Zero — 外傷外科医ベル 図10|水平マットレス縫合 浅層で「コの字」に糸を通す。創縁を寄せる力は強いが創表面の密着性は弱く、結節縫合やステープルの追加が必要になることがある。
7|部位・針・糸の選択と汚染創
深部真皮縫合には吸収性モノフィラメント(例:PDSなど)、表層には非吸収性モノフィラメント(例:ナイロンなど)が多く用いられる。国内総説では顔面の深部真皮5-0/表層6-0、体幹・四肢の深部真皮4-0/表層5-0などが一例として紹介されるが、患者の皮膚厚、緊張、創形態で変える 。長期の保持が必要な瘢痕修正では糸の抗張力保持期間も考慮する。
縫合針の構造と彎曲の種類 持針器で把持する位置と、彎曲ごとの使いどころ コード(弦) 半径 針の長さ(弧の長さ) 持針器で把持する位置 スウェッジから針先までの 1/3〜1/2 (スウェッジ付近は中空で折れやすい) ポイント(針先) ボディ スウェッジ(糸との接合部) 針と糸が一体化している ポイントの種類:丸針(刺通しやすい組織)/角針・テーパーカット(硬い組織)/逆三角針 迷ったら皮膚以外では丸針を選ぶ 彎曲による分類(円周に対する弧の長さ) 1/4 サークル (弱弱彎) 眼科など 3/8 サークル (弱彎) 皮下縫合・血管吻合 1/2 サークル (強彎) 外科で最も一般的(多くの部位) 5/8 サークル (強強彎) トロカール穿刺孔の閉鎖など 直針 彎曲のない針 運針の原則 針の彎曲に沿って運針する(無理な力を加えない) 引き抜くときは針先から離れた部位を把持し、彎曲に沿って抜く TRAUMA EVIDENCE LAB / PTD Zero — 外傷外科医ベル 図11|縫合針の構造と彎曲の種類 スウェッジから針先までの 1/3〜1/2 の位置を持針器で把持し、彎曲に沿って運針する。1/2 サークルが外科で最も一般的、3/8 は皮下縫合や血管吻合、5/8 はトロカール穿刺孔の閉鎖などに用いる。
部位別の糸の選択と抜糸の目安 真皮縫合は吸収糸、表層縫合は非吸収糸。部位と緊張で太さを変える 頭皮(被髪部) 表層:3-0 ナイロン または スキンステープラー 真皮縫合は最小限(毛根の血流を阻害し脱毛) 減張は帽状腱膜の縫合で 抜糸:7 日前後 顔面 真皮:5-0 モノフィラメント吸収糸(PDS など) 表層:6-0(5-0〜7-0)ナイロン、小さなバイト 抜糸:4〜5 日(表層のみなら 7 日程度) 眼瞼縁・耳介前面:真皮が薄く真皮縫合はしない 口腔内・粘膜:3-0/4-0 吸収糸 手掌・足底 真皮縫合は皮内に埋没した糸で 永続的な知覚異常を来しうる → 行わない 表層縫合のみ、抜糸 10〜14 日 体幹・四肢 真皮:4-0 モノフィラメント吸収糸 表層:4-0〜5-0 ナイロン(真皮縫合の 1 段細い糸) 抜糸:7〜10 日 真皮縫合ができていれば表層は 7 日前後で抜糸可 関節部など緊張のかかる部位 密に縫合し、緊張に応じて抜糸を遅らせる 抜糸は半抜糸/1/3 ずつ段階的に(離開予防) シーネやギプスで創部を安静に 抜糸後のケア 瘢痕の抗張力は 8 週で約 80% に回復 テープ固定(マイクロポア等)を 2〜3 か月: 哆開・瘢痕の拡大・紫外線による色素沈着を予防 顔面以外では創縁はわずかに evert させて縫う 糸の一般則 ・真皮縫合=吸収性モノフィラメント(抗張力保持期間が長いほど減張を長く維持)/表層縫合=非吸収性モノフィラメント(ナイロン) ・絹糸などの撚り糸は異物反応が強く皮膚縫合では避ける。埋没縫合に撚り糸を使うと縫合糸膿瘍のリスク ・汚染創:受傷 6〜8 時間以内(顔面は 24 時間まで)に十分な洗浄・デブリードマンができれば一期縫合可。咬傷・高リスク創は破傷風予防を TRAUMA EVIDENCE LAB / PTD Zero — 外傷外科医ベル 図12|部位別の糸の選択と抜糸の目安 国内総説に示された一例。患者の皮膚厚・緊張・創形態で調整する。真皮縫合を行わない部位(眼瞼縁・耳介前面・手掌足底)と、有毛部での注意点も示す。
部位・創
考え方
実務上の注意
顔面の精密な創
細い糸・小さいバイト・段差を優先
口唇赤唇縁、眼瞼、鼻翼などのランドマークを先に合わせる
頭皮・眉毛などの有毛部
毛包を避け、必要に応じ帽状腱膜で減張
深い真皮縫合を多用すると毛包障害・瘢痕性脱毛の懸念
体幹の長い予定創
深部減張後、連続皮内埋没が選択肢
創縁の血流、感染リスク、創の方向を評価
関節部や高張力創
支持層・固定・抜糸時期を個別調整
体動と術後浮腫による血流低下に注意
汚染創・挫滅創
洗浄・異物除去・壊死組織の評価を優先
閉創方式や時期は感染リスクと創の状態で判断
汚染や明らかな感染がある創では、外科的な洗浄・異物除去・壊死組織の評価とドレナージの要否を優先する。連続皮内埋没は感染時に局所的な抜糸・開放が難しいため、創の状態によっては結節縫合や遅延一次閉鎖を検討する。表層のステープラーやテープ固定も、創の張力と解剖で選択する。
スキンステープラーによる皮膚縫合 創縁を外翻させて、中央を合わせて打つ。抜鉤は専用リムーバーで a 創縁を外翻させて寄せる 有鉤鑷子で創縁を持ち上げ 表皮どうしが向き合うように外翻 皮膚が内反したまま打つと表皮が創内に 巻き込まれて治癒が悪くなる。 2 人法:助手が両側を把持し術者が打つ。 b 中央を創線に合わせて打つ 正中線=切開線 押し付けすぎない → 皮膚が過剰に入り込み うっ血・浮腫・壊死の原因 ステープラーの両端を皮膚に平行に当て、 ハンドルをしっかり握り切ってから緩める。 握りを緩めてからステープラーを創から離す。 c 抜鉤:リムーバーで M 字に変形 ① 下顎を ブリッジ下へ ③ M 字になったら 真上に持ち上げる ② ハンドルを握り切る:上顎がブリッジを押し下げ、脚が開く 脚が開いて抵抗なく抜ける。 抜鉤の時期は通常の抜糸と同じ。 抜糸より疼痛が軽い。 長所 迅速・容易/麻酔時間の短縮/針刺し事故がない 皮膚表面を圧迫せず、真皮深層からの血行を遮断しない 創感染・異物反応が少ない/抜鉤が容易 頭皮(被髪部)では表層の縫合として許容される 注意・使わない場面 皮下 5 mm 以内に骨・神経・血管・内臓がある部位は使用不可 顔面(頭皮以外)・眼周囲・可動性の大きい関節部には不向き(痕が残る) 緊張の強い創では支持糸(ナイロン)で創縁を寄せつつ打つ 汚染創では疎に打つ、または結節縫合を選ぶ TRAUMA EVIDENCE LAB / PTD Zero — 外傷外科医ベル 図13|スキンステープラーによる皮膚縫合 創縁を外翻させ、正中を切開線に合わせて押し付けすぎずに打つ。抜鉤は専用リムーバーでステープルを M 字に変形させてから真上に引き抜く。皮下 5 mm 以内に骨・神経・血管・内臓がある部位には使わない。
8|胸骨正中創・胸部の瘢痕とケロイド
前胸部は日常的な呼吸・体動による張力がかかりやすく、肥厚性瘢痕・ケロイドが生じやすい部位である。ただし瘢痕の原因は縫合のみでは説明できない。遺伝的素因、炎症、感染、創離開、個人の瘢痕形成傾向などが関与する。ケロイドは元の創の範囲を越えて拡大する 点で肥厚性瘢痕と異なる。
Japan Scar Workshop Consensus 2018は、胸部などの病的瘢痕の切除再建時に、深部筋膜・浅筋膜レベルの張力軽減、真皮への張力を最小限にした閉創、テープ・シリコーンによる長期固定を記載している。これは病的瘢痕の治療と再発予防 に関する推奨であり、胸骨正中切開の初回閉創手技が一律に間違っているという根拠ではない。
瘢痕が盛り上がり始めたときは、単に糸痕かケロイドかを判断するのでなく、創範囲内にとどまるか、掻痒・疼痛があるか、時間経過とともに拡大するかを診る。肥厚性瘢痕やケロイドが疑われるときは形成外科・皮膚科と連携し、ステロイドテープ・注射、シリコーン、必要に応じた専門的治療を検討する。
関連解説|浅筋膜・深筋膜と熱傷手術は独立記事へ
皮下脂肪のCamper層、膜様のScarpa筋膜、筋区画を形成する深筋膜の違いは、縫合の減張だけでなく、皮弁の剥離面、熱傷の接線切除・筋膜上切除、植皮床の判断にもつながる。詳しい解剖と手術上の注意点は、専用の図解記事にまとめた。
→ 浅筋膜・深筋膜を徹底解説|解剖、剥離層、熱傷手術と植皮床
心臓外科手術の初回閉創 と既に生じた病的瘢痕の修正手術 は区別すべきである。日本の瘢痕治療コンセンサスが述べる深部筋膜・浅筋膜レベルの減張は、主に高張力の病的瘢痕を再切除・再建する文脈の知見である。通常の胸骨正中切開に同じ層を一律に縫合すべきという意味ではない。
9|術後管理と瘢痕予防
創傷治癒の 4 つのステージ 手術創は「急性創傷」― このプロセスを邪魔しないことがきれいな創への近道 a 出血凝固期 受傷直後〜5 時間 出血による凝血塊が とりあえず傷をおおう b 炎症期 5 時間〜1 週間 炎症細胞が壊死組織や 細菌を除去する c 増殖期 〜2 週間ごろ 線維芽細胞・細胞外マトリックス・ 新生血管=肉芽組織が形成される d 成熟期 〜約 1 年 上皮化後、創部が安定化し 成熟瘢痕となる 創傷治癒を妨げる局所因子(これらを排除する) ① 壊死組織 ② 局所の血行不全 ③ 異物(埋没縫合の糸・結紮糸も含む) ④ 血腫 ⑤ 感染 ⑥ 浮腫 ⑦ 機械的刺激 ⑧ 化学的刺激(消毒を含む) ⑨ 乾燥 縫合に関係するポイント ・細かくきつい縫合/緊張のかかった縫合/過度の圧迫 → 局所血行障害 ・縫合創は湿潤環境(ハイドロコロイド等)で管理し、ガーゼで乾燥させない ・未成熟瘢痕は可塑性があり、持続する刺激で肥厚性瘢痕に → 3〜6 か月のテーピング TRAUMA EVIDENCE LAB / PTD Zero — 外傷外科医ベル 図14|創傷治癒の 4 つのステージ 出血凝固期→炎症期→増殖期→成熟期。手術創は急性創傷であり、治癒を妨げる局所因子(壊死組織・血行不全・異物・血腫・感染・浮腫・刺激・乾燥)を排除することが縫合の前提になる。
術後早期は創の血流・感染・浸出液を観察し、清潔な創が適切に上皮化する環境を維持する。局所の摩擦や不必要な乾燥・浸軟を避ける。テープ・シリコーンによる減張固定は、前胸部などの高リスク瘢痕や瘢痕修正術で有用とされるが、適応と継続期間は創の状態や患者の皮膚刺激性を考慮して個別化する。
抜糸日数も「すべて7日」と決めるのではなく、部位、創の張力、年齢、真皮縫合の有無、感染の有無に応じて調整する。創離開、発赤の増強、排膿、疼痛増悪は再評価する。病的瘢痕が疑われる場合は長期の経過観察を行う。
10|手術室でのチェックリスト
□ 真皮は左右同じ層で正着しているか
□ 表層糸に張力が集中していないか
□ 内反・段差・死腔・血腫がないか
□ 創縁を締めすぎて血流を損ねていないか
□ 汚染創で閉じ方と開放の必要性を判断したか
□ 術後の減張・瘢痕予防まで設計したか
まとめ: 真皮連続埋没縫合が「良い・悪い」という単純な話ではない。深部で張力を受け持ち、真皮を正着させ、表層は少ない負担で整列させる。何をどの層で減張し、どの層で創縁を合わせるかを明確にすることが、きれいな体表閉創への近道である。
文献|出典・エビデンス
提供資料(図版は転載せず要点を整理)
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森弘樹.顔面・露出部の皮膚縫合.臨床外科.2020;75(11 増刊):43–46.
芳賀貴裕.縫合の基本とコツ.Visual Dermatology.2026;25(8):683–687.
元村尚嗣.術創トラブルをなくすための皮膚縫合の工夫.外科.2024;86(5):569–575.
熊谷重城.皮膚縫合創に対するフィルム・ドレッシング材の使用例.耳鼻咽喉科.1998;70(11):772–775.
太田正敏,田島知郎.ステイプラーによる皮膚縫合.臨床外科.1998;53(11 増刊):38–40.
追加の公開エビデンス
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Ogawa R, et al. Diagnosis and Treatment of Keloids and Hypertrophic Scars—Japan Scar Workshop Consensus Document 2018. Burns Trauma. 2019.
記事の位置づけ: 外科医・救急医など医療従事者のための教育情報です。病院の手術手順書や患者個々の条件に優先するものではありません。図は解剖と原理を示す模式図であり、手術計画・切除線を規定しません。
図版に関する注記: 図1〜14は医学文献に記載された運針・減張原理・解剖をもとに独自作成した教育用の線図。解剖構造・針の通過位置・閉創後の外反度は非実寸であり、実際の手術で使用する刺入距離や針路を固定するものではない。原著図版の転載ではない。
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