CASE 20|ベルの症例検討

ベルの症例検討CASE 20

臨床監修前 · 文献症例の検討用

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
循環の推移と監視・介入体制を含めて温存の可否を検討する

選択についての振り返り(編集)

画像の重症度と生理学的状態を合わせます。原著では厳重な監視下で非手術治療が選択されました。

この判断時点の患者情報を確認する

19歳男性。二輪車事故後に搬送された。血圧98/60 mmHg、心拍104/分で、蘇生に反応した。

CTで高度の脾・左腎損傷を認めた。著者らはいずれもgrade Vと分類したが、蘇生後の循環は保たれていた。

この判断時点の補足

来院時は意識清明、左側腹部打撲と肉眼的血尿。左季肋部に軽い圧痛があったが、筋性防御・板状硬なし。Hb 8.7 g/dL、Cr 1.1 mg/dL。晶質液1,500 mL後に循環の安定を確認した。

CTで脾門に達する裂傷と血流消失、左腎下半分の造影欠如、腎門に達する裂傷と腎周囲血腫。原著では両臓器をgrade Vと分類。多職種で協議し、外科ICUで反復診察・採血・入出量監視を行える環境だった。

検討の範囲:原著の温存例を全てのgrade V損傷へ一般化せず、この患者の所見と監視体制を検討します。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
grade Vなら、循環にかかわらず両臓器の摘出を決める

選択についての振り返り(編集)

分類だけでは方針を決めきれません。血管、出血、合併損傷、体制なども判断材料です。

この判断時点の患者情報を確認する

19歳男性。二輪車事故後に搬送された。血圧98/60 mmHg、心拍104/分で、蘇生に反応した。

CTで高度の脾・左腎損傷を認めた。著者らはいずれもgrade Vと分類したが、蘇生後の循環は保たれていた。

この判断時点の補足

来院時は意識清明、左側腹部打撲と肉眼的血尿。左季肋部に軽い圧痛があったが、筋性防御・板状硬なし。Hb 8.7 g/dL、Cr 1.1 mg/dL。晶質液1,500 mL後に循環の安定を確認した。

CTで脾門に達する裂傷と血流消失、左腎下半分の造影欠如、腎門に達する裂傷と腎周囲血腫。原著では両臓器をgrade Vと分類。多職種で協議し、外科ICUで反復診察・採血・入出量監視を行える環境だった。

検討の範囲:原著の温存例を全てのgrade V損傷へ一般化せず、この患者の所見と監視体制を検討します。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
血圧が上がったので、一般的な観察だけでよい

選択についての振り返り(編集)

高度損傷では悪化を早期に捉え、必要時に介入できる監視体制が重要です。

この判断時点の患者情報を確認する

19歳男性。二輪車事故後に搬送された。血圧98/60 mmHg、心拍104/分で、蘇生に反応した。

CTで高度の脾・左腎損傷を認めた。著者らはいずれもgrade Vと分類したが、蘇生後の循環は保たれていた。

この判断時点の補足

来院時は意識清明、左側腹部打撲と肉眼的血尿。左季肋部に軽い圧痛があったが、筋性防御・板状硬なし。Hb 8.7 g/dL、Cr 1.1 mg/dL。晶質液1,500 mL後に循環の安定を確認した。

CTで脾門に達する裂傷と血流消失、左腎下半分の造影欠如、腎門に達する裂傷と腎周囲血腫。原著では両臓器をgrade Vと分類。多職種で協議し、外科ICUで反復診察・採血・入出量監視を行える環境だった。

検討の範囲:原著の温存例を全てのgrade V損傷へ一般化せず、この患者の所見と監視体制を検討します。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2

高度の画像所見

原著の経過

CTで高度の脾・左腎損傷を認めた。著者らはいずれもgrade Vと分類したが、蘇生後の循環は保たれていた。

ここまでの情報を確認する

19歳男性。二輪車事故後に搬送された。血圧98/60 mmHg、心拍104/分で、蘇生に反応した。

判断に使う補足情報

来院時は意識清明、左側腹部打撲と肉眼的血尿。左季肋部に軽い圧痛があったが、筋性防御・板状硬なし。Hb 8.7 g/dL、Cr 1.1 mg/dL。晶質液1,500 mL後に循環の安定を確認した。

CTで脾門に達する裂傷と血流消失、左腎下半分の造影欠如、腎門に達する裂傷と腎周囲血腫。原著では両臓器をgrade Vと分類。多職種で協議し、外科ICUで反復診察・採血・入出量監視を行える環境だった。

検討の範囲:原著の温存例を全てのgrade V損傷へ一般化せず、この患者の所見と監視体制を検討します。

治療方針をどう考えますか。

今の判断に近いものを選んでください。

A|循環の推移と監視・介入体制を含めて温存の可否を検討するB|grade Vなら、循環にかかわらず両臓器の摘出を決めるC|血圧が上がったので、一般的な観察だけでよい

判断 2 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
追加の処置が必要なら、温存は全て失敗と考える

選択についての振り返り(編集)

臓器温存には必要に応じた低侵襲な介入も含まれます。何が問題かを分けて判断します。

この判断時点の患者情報を確認する

19歳男性。二輪車事故後に搬送された。血圧98/60 mmHg、心拍104/分で、蘇生に反応した。

CTで高度の脾・左腎損傷を認めた。著者らはいずれもgrade Vと分類したが、蘇生後の循環は保たれていた。

非手術治療中、約72時間後に尿瘤を認めた。

判断 1 時点の補足

来院時は意識清明、左側腹部打撲と肉眼的血尿。左季肋部に軽い圧痛があったが、筋性防御・板状硬なし。Hb 8.7 g/dL、Cr 1.1 mg/dL。晶質液1,500 mL後に循環の安定を確認した。

CTで脾門に達する裂傷と血流消失、左腎下半分の造影欠如、腎門に達する裂傷と腎周囲血腫。原著では両臓器をgrade Vと分類。多職種で協議し、外科ICUで反復診察・採血・入出量監視を行える環境だった。

この判断時点の補足

72時間後のCTで腎周囲に約246 mLの尿瘤。原著ではバイタルと腎機能の悪化はなかった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
尿の流出と貯留を評価し、必要な尿路ドレナージを検討する

選択についての振り返り(編集)

原著では尿管ステントを追加しました。循環の安定だけで尿漏の問題が解消したとはいえません。

この判断時点の患者情報を確認する

19歳男性。二輪車事故後に搬送された。血圧98/60 mmHg、心拍104/分で、蘇生に反応した。

CTで高度の脾・左腎損傷を認めた。著者らはいずれもgrade Vと分類したが、蘇生後の循環は保たれていた。

非手術治療中、約72時間後に尿瘤を認めた。

判断 1 時点の補足

来院時は意識清明、左側腹部打撲と肉眼的血尿。左季肋部に軽い圧痛があったが、筋性防御・板状硬なし。Hb 8.7 g/dL、Cr 1.1 mg/dL。晶質液1,500 mL後に循環の安定を確認した。

CTで脾門に達する裂傷と血流消失、左腎下半分の造影欠如、腎門に達する裂傷と腎周囲血腫。原著では両臓器をgrade Vと分類。多職種で協議し、外科ICUで反復診察・採血・入出量監視を行える環境だった。

この判断時点の補足

72時間後のCTで腎周囲に約246 mLの尿瘤。原著ではバイタルと腎機能の悪化はなかった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
血圧が安定しているため、尿瘤は再評価しない

選択についての振り返り(編集)

循環障害と尿路合併症は別の評価項目です。画像や症状の変化を追います。

この判断時点の患者情報を確認する

19歳男性。二輪車事故後に搬送された。血圧98/60 mmHg、心拍104/分で、蘇生に反応した。

CTで高度の脾・左腎損傷を認めた。著者らはいずれもgrade Vと分類したが、蘇生後の循環は保たれていた。

非手術治療中、約72時間後に尿瘤を認めた。

判断 1 時点の補足

来院時は意識清明、左側腹部打撲と肉眼的血尿。左季肋部に軽い圧痛があったが、筋性防御・板状硬なし。Hb 8.7 g/dL、Cr 1.1 mg/dL。晶質液1,500 mL後に循環の安定を確認した。

CTで脾門に達する裂傷と血流消失、左腎下半分の造影欠如、腎門に達する裂傷と腎周囲血腫。原著では両臓器をgrade Vと分類。多職種で協議し、外科ICUで反復診察・採血・入出量監視を行える環境だった。

この判断時点の補足

72時間後のCTで腎周囲に約246 mLの尿瘤。原著ではバイタルと腎機能の悪化はなかった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2

経過中の貯留

原著の経過

非手術治療中、約72時間後に尿瘤を認めた。

ここまでの情報を確認する

19歳男性。二輪車事故後に搬送された。血圧98/60 mmHg、心拍104/分で、蘇生に反応した。

CTで高度の脾・左腎損傷を認めた。著者らはいずれもgrade Vと分類したが、蘇生後の循環は保たれていた。

判断 1 時点の補足

来院時は意識清明、左側腹部打撲と肉眼的血尿。左季肋部に軽い圧痛があったが、筋性防御・板状硬なし。Hb 8.7 g/dL、Cr 1.1 mg/dL。晶質液1,500 mL後に循環の安定を確認した。

CTで脾門に達する裂傷と血流消失、左腎下半分の造影欠如、腎門に達する裂傷と腎周囲血腫。原著では両臓器をgrade Vと分類。多職種で協議し、外科ICUで反復診察・採血・入出量監視を行える環境だった。

判断に使う補足情報

72時間後のCTで腎周囲に約246 mLの尿瘤。原著ではバイタルと腎機能の悪化はなかった。

温存方針をどう見直しますか。

今の判断に近いものを選んでください。

A|追加の処置が必要なら、温存は全て失敗と考えるB|尿の流出と貯留を評価し、必要な尿路ドレナージを検討するC|血圧が安定しているため、尿瘤は再評価しない

2つの判断を振り返る

診断・実際の経過

高度脾・腎損傷への非手術治療と尿路への追加介入

尿管ステント留置後に退院し、6か月の追跡で臓器温存が報告された。高度損傷への一律の温存を示す報告ではない。

持ち帰るポイント

  • 分類だけでなく、生理学的状態と体制で判断する。
  • 非手術治療にも、合併症への介入が含まれる。

原著の治療・転帰と、編集した判断の解説を区別しています。別の選択でどのような転帰になったかは、この症例からは分かりません。

原著を読む ↗

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BELL’S CASE CONFERENCE / CASE 20

Successful non-operative management of multiple intra-abdominal solid organ injury after blunt abdominal trauma: a case report

Mahawar R, Shinde R, Jogdand S. The Pan African medical journal. 2022;43:54.

原著を読む ↗ | DOI

脾・腎の高度損傷:非手術治療と尿路合併症への追加介入

原著の症例経過を日本語で詳しく紹介しています。Discussion・Conclusionは要点を整理し、症例で行われた治療と一般的な推奨を区別して解説します。

Case presentation|症例紹介

受傷・初期評価

19歳男性。夜間の二輪車事故後、腹痛と肉眼的血尿で受診した。頭部・長管骨損傷の所見はなく、左側腹部に打撲痕を認めた。意識は清明で、血圧98/60 mmHg、心拍104/分。左季肋部に軽度圧痛があったが、筋性防御や板状硬はなかった。

FASTで脾周囲液体貯留を認めた。Hb 8.7 g/dL、白血球13,600/μL、血小板200,000/μL、クレアチニン1.1 mg/dL、尿素41 mg/dL。尿中には多数の赤血球と少量のアルブミンを認めた。等張晶質液1,500 mLを投与し、循環の安定を確認してCTを行った。

画像と非手術方針

造影CTでは脾門へ達する裂傷と脾の血流消失、左腎下半分の造影欠如、腎の上下・中央部から腎門へ達する裂傷、大きな腎周囲血腫を認めた。原著では脾・左腎ともgrade Vと分類している。頭部・胸部CTには異常がなかった。

高度な複数臓器損傷でも循環が安定していたため、多職種で協議し、外科ICUで慎重な非手術治療を選んだ。全血1単位を輸血し、バイタル、入出量、毎日の血液検査を厳密に確認し、鎮痛薬と抗菌薬を使用した。

尿瘤への介入とフォロー

72時間後のCTで約246 mLの腎周囲尿瘤を認め、膀胱鏡下にdouble-J尿管ステントを挿入した。入院中はメロペネム1 gを1日3回・10日間、クリンダマイシン600 mgを1日3回・7日間投与した。循環と腎機能は悪化しなかった。

第9病日から血小板が増え、第13病日に最大1,200,000/μLに達した。第15病日に退院し、レボフロキサシン500 mg/日を10日間処方された。退院後15日の再診時には良好な状態で、CTで尿瘤の縮小を確認した。原著では30日後にステントを抜去したと記載している。6か月の追跡で脾・腎が温存され、二次的合併症なく回復した。

患者自身も、検査後に損傷の程度、ICU管理、必要なら手術へ移行する可能性について説明を受け、症状の改善とともに方針への安心が得られたと述べている。

Figures|原著の図版

日本語の図説明を掲載しています。「原図を開く」を押すと実際の画像が表示されます。

Figure 1 — CTでみられる脾裂傷・血流消失と、左腎の離断性損傷。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Mahawar R, Shinde R, Jogdand S., Figure 1. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Figure 2 — 3D再構成CTによる損傷範囲の表示。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Mahawar R, Shinde R, Jogdand S., Figure 2. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Figure 3 — 追跡CTで認めた造影剤漏出と尿瘤。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Mahawar R, Shinde R, Jogdand S., Figure 3. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Discussion|論文の解説と根拠

原著は、複数の高度実質臓器損傷があっても、安定例では臓器温存を検討し得ると述べています。ただし高度損傷は失敗リスクを高め、継続監視と迅速な手術・IVRへの移行体制が前提です。一例の成功で全grade Vへ広げることはできません。[1]

非手術治療には追加処置が含まれます。尿瘤に対する尿管ステントもその一部です。WSES-AAST腎外傷ガイドラインは、孤立した尿漏だけでは非手術治療の絶対禁忌としない一方、症状・合併症と全身状態に応じて介入を選びます。[2]

記載された抗菌薬・投与期間は、この患者の治療歴です。本報告は予防的な広域抗菌薬の組み合わせや、すべての同様症例での長期投与の有効性を検証していません。[1]

Conclusion|この症例から持ち帰ること

画像の重症度に加え、循環の維持と合併症の推移で方針を更新する。臓器温存は、何もしないことではない。

References|出典・利用条件

  1. Successful non-operative management of multiple intra-abdominal solid organ injury after blunt abdominal trauma: a case report — 原著
  2. Coccolini F, et al. Kidney and uro-trauma: WSES-AAST guidelines. 2019.

原著の利用条件:CC BY 4.0。原著を出典として症例部分の日本語化、見出し追加、構成変更、Discussion・Conclusionの要約と補足を行いました。転載可能な原図の内容は改変していません。個別に転載許諾が必要な第三者の図は原著へのリンクのみです。原著者が本ページを監修・推奨していることを意味しません。

症例で実際に行われた治療と、一般的な診療上の推奨を区別して紹介しています。一症例の転帰は、治療法の優劣を証明するものではありません。

編集:外傷外科医ベル / 公開・資料確認:2026年10月11日

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