来院時
初期情報
受傷機転
68歳男性。建設現場で約4mの高さから転落。コンクリート床に臀部から落下した。
既往・内服
- 高血圧
- 心房細動
- アピキサバン内服中
来院時バイタル
- GCS 15
- HR 132 /min
- BP 82/54 mmHg
- RR 28 /min
- SpO2 96%(酸素10L)
- 体温 35.7℃
身体所見
- 気道開通、会話可能
- 呼吸音左右差なし
- 腹部軽度膨満 + 軽度圧痛
- 骨盤部に強い疼痛
- 左大腿近位に皮下出血
- 冷汗あり
来院時
初期データ
血液ガス
- pH 7.28
- Lactate 5.8 mmol/L
- BE -8
- Hb 9.4 g/dL
- iCa 0.98 mmol/L
FAST
- 心嚢液なし
- Morrison pouch 陰性
- 脾周囲 陰性
- Douglas pouch 判定困難
初療室X線
- 胸部X線:明らかな血胸・気胸なし
- 骨盤X線:骨盤輪拡大を疑う所見
来院時
まず何を行うか
患者情報を確認する
68歳男性。4m転落・臀部着地。アピキサバン内服中。呼吸音左右差なし。腹部軽度膨満・圧痛、骨盤部に強い圧痛。FAST明らかな陽性なし・Douglas窩判定困難。骨盤X線で骨盤輪拡大を疑う。
選ぶと次の経過を表示します。別の選択も試せます。
CT室移動中
結果
選択後の経過(シミュレーション)
CT室へ移動中に血圧が68/40まで低下。脈圧は徐々に消失し、撮像前にCPAに至った。
この分岐の解説を読む
- 循環が破綻しかけている患者だった
- 診断のための移動そのものが危険だった
- CTは蘇生手段ではない
- 胸部とFASTで大出血が目立たないなら骨盤を強く疑う
- 不安定患者はまず止血に近づく
初期介入後
結果
選択後の経過(シミュレーション)
骨盤バインダーを装着し、MTPを起動。血圧は一時的に90/60まで改善したが、なお頻脈が持続している。
この分岐の解説を読む
- 最も疑うべき出血源は骨盤だった
- FAST陰性でも骨盤出血は否定できない
- バインダーと血液製剤主体の蘇生が初動として重要
- 出血源の推定
- 画像より前に蘇生
- 止血につなぐ蘇生
鎮痛後
結果
選択後の経過(シミュレーション)
疼痛はやや軽減したが、血圧はさらに低下。ショックは進行した。
この分岐の解説を読む
- 痛みは問題だが、優先順位の最上位ではない
- 根本病態は出血性ショックである
- 症候ではなく病態をみる
- つらそうより死にそうを優先する
転送調整中
結果
選択後の経過(シミュレーション)
転送調整中にショックが増悪。搬送に耐えられる循環がまだ作れていなかった。
この分岐の解説を読む
- 転送は治療の代わりではない
- 転送前に蘇生と機械的安定化が必要
- 送る判断より先に送れる状態を作る
介入後5分
介入後5分
実施済み
- 骨盤バインダー装着済み
- RBC投与開始
- FFP要請
- トラネキサム酸投与
- カルシウム補正開始
現在の状態
- HR 126 /min
- BP 90/60 mmHg
- RR 26 /min
- GCS 14
追加情報
- IVR開始まで30〜40分
- 緊急開腹は院内で対応可能
- REBOA経験者は1名のみ対応可能
- 高次外傷センターまで40分
介入後5分
次に最も適切な戦略はどれか
患者情報を確認する
68歳男性。4m転落・臀部着地。アピキサバン内服中。呼吸音左右差なし。腹部軽度膨満・圧痛、骨盤部に強い圧痛。FAST明らかな陽性なし・Douglas窩判定困難。骨盤X線で骨盤輪拡大を疑う。
選ぶと次の経過を表示します。別の選択も試せます。
CT搬送時
結果
選択後の経過(シミュレーション)
CT搬送時に再低下。画像で骨盤周囲血腫と造影剤漏出を認めたが、診断がついた時点でさらに状態悪化。
この分岐の解説を読む
- 一時的反応を安定化と誤認した
- CT情報が治療方針を大きく変えない場面だった
- transient responder を見抜く
- 診断完成より止血への接続を優先する
REBOA検討時
結果
選択後の経過(シミュレーション)
REBOAを考慮する段階に入った。次は、どの Zone に留置するかを判断する必要がある。
この分岐の解説を読む
- 持続性ショックであり、待機時間が危険だった
- 骨盤出血が本命で、REBOAを bridge として考える余地がある
- ただし Zone の選択を誤ると害になりうる
- REBOAは目的ではなく時間を稼ぐ手段
- 次の止血手段へ必ず接続する
出発準備中
結果
選択後の経過(シミュレーション)
出発準備中に血圧が再低下。不穏が増悪し、搬送中破綻のリスクが高くなった。
この分岐の解説を読む
- 搬送に耐える循環がまだ作れていない
- 転送は戦略だが、蘇生不十分のままでは成立しない
- 正しい場所に送る前に送れる状態にする
晶質液追加後
結果
選択後の経過(シミュレーション)
一時的な上昇後に再低下。希釈性凝固障害と低体温の進行が懸念された。
この分岐の解説を読む
- 晶質液だけでは酸素運搬能や凝固能を立て直せない
- 出血性ショックの本体を解決しない
- volumeではなく、止血と外傷蘇生の質を考える
REBOA手技直前
REBOAを使う場合、どの Zone に留置するか
患者情報を確認する
68歳男性。4m転落・臀部着地。アピキサバン内服中。呼吸音左右差なし。腹部軽度膨満・圧痛、骨盤部に強い圧痛。FAST明らかな陽性なし・Douglas窩判定困難。骨盤X線で骨盤輪拡大を疑う。
選ぶと次の経過を表示します。別の選択も試せます。
Zone I選択後
結果
選択後の経過(シミュレーション)
Zone I では過大な遮断となり、腹部臓器虚血や代謝悪化のリスクを不必要に高める。
この分岐の解説を読む
- この症例では骨盤出血が本命である
- より近位での遮断は利益より害が大きい可能性がある
- 出血源に応じて Zone を選ぶ
- REBOAは強い手段だからこそ精密に使う
Zone III留置後
結果
選択後の経過(シミュレーション)
Zone III REBOA を選択。収縮期血圧は104 mmHgまで改善し、IVRへの橋渡しが可能になった。
この分岐の解説を読む
- 骨盤出血が主座なら Zone III が理にかなう
- 必要以上に近位を遮断せずに済む
- 出血源の局在と遮断レベルを対応させる
- bridge から definitive care へつなぐ
Zone II選択
結果
選択後の経過(シミュレーション)
Zone II は原則として選択しない。解剖学的にも教育的にも誤った理解につながる。
この分岐の解説を読む
- REBOAの Zone 選択には原則がある
- 曖昧な知識で強い処置をしない
Zone軽視
結果
選択後の経過(シミュレーション)
Zone 選択は重要であり、どこでも同じではない。出血源と虚血リスクのバランスが変わる。
この分岐の解説を読む
- REBOAは詳細な判断を要する処置である
- 手技の有無だけでなく、中身を問う
15分後
15分後
現在の状態
- Zone III REBOAで一時安定
- BP 102/64
- HR 118
- Lactate高値継続
- IVR開始まであと20分
- 高次施設までは40分
15分後
次の方針として最も妥当なのはどれか
患者情報を確認する
68歳男性。4m転落・臀部着地。アピキサバン内服中。呼吸音左右差なし。腹部軽度膨満・圧痛、骨盤部に強い圧痛。FAST明らかな陽性なし・Douglas窩判定困難。骨盤X線で骨盤輪拡大を疑う。
選ぶと次の経過を表示します。別の選択も試せます。
搬送中
結果
選択後の経過(シミュレーション)
搬送中に再不安定化。REBOA管理下の長時間搬送は高リスクだった。
この分岐の解説を読む
- REBOAで安定したからといって長距離搬送向きとは限らない
- 近い側の definitive care に急ぐ
IVR後
結果
選択後の経過(シミュレーション)
IVRで内腸骨系の塞栓術を実施。循環動態は徐々に改善し、集中治療管理へ移行した。数日後に人工呼吸器を離脱し、歩行再獲得へ向かった。
この分岐の解説を読む
- REBOAは時間稼ぎ
- 最短距離で definitive hemostasis に到達した
- より高度な施設より、より早い止血が勝つことがある
- 可能な最短距離で definitive hemorrhage control へ到達する
REBOA解除後
結果
選択後の経過(シミュレーション)
REBOA解除後に数分で血圧が再低下。出血源が残っている以上、解除は危険だった。
この分岐の解説を読む
- 根本止血前に橋渡し手段を外してはいけない
- bridge手段は橋の先に到達する前に外さない
経過観察中
結果
選択後の経過(シミュレーション)
循環破綻リスクが持続し、再悪化した。止血前に観察する余地はなかった。
この分岐の解説を読む
- 出血性ショックは観察でよくならない
- 止血前に様子を見る余地はほぼない
ICU移行後
救命できた
この分岐の終了
- 骨盤バインダー
- MTP
- Zone III REBOA
- IVRで definitive hemostasis
- ICU管理
- 退院時歩行再獲得
不良転帰
救命に至らなかった
この分岐の終了
振り返り
この症例のキーメッセージ
この症例のテーマ
骨盤外傷・出血性ショックと止血への接続
- FAST陰性でもショックの出血源は骨盤でありうる
- 改善 ≠ 安定(transient responder)
- CTは循環が壊れかけた患者を救わない
- REBOAは definitive care への橋渡し
- 骨盤出血が本命なら Zone III を考える
- 転送前に転送可能な状態を作る
- 認知バイアスの自覚が重要である
- ショック患者でCTより先にやるべきことを判断する
- FAST陰性でも骨盤出血を疑う
- transient responder を見抜く
- REBOAを橋渡し手段として理解する
- 骨盤出血では Zone III を選択する
- 転送前に転送可能な状態を作る
あなたはどの情報で判断を変えましたか。施設で使える手段や所要時間が違えば、どう考えますか。
開始
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