CASE 33|ベルの症例検討

ベルの症例検討CASE 33

臨床監修前 · 文献症例の検討用

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
血管名だけで直ちに同じ手術を決める

選択についての振り返り(編集)

損傷部位は重要ですが、血腫の封じ込め、循環、経時変化、介入体制も判断材料です。

この判断時点の患者情報を確認する

52歳女性。シートベルトなしで交通事故に遭い、腹部の血管周囲に損傷を認めた。循環は安定していた。

CTで肝後面の下大静脈からの漏出と、限局した血腫が疑われた。腹部所見は穏やかだった。

この判断時点の補足

来院時は収縮期血圧180 mmHg、GCS 14、ほかのバイタルは正常範囲。腹部は軟で膨隆・圧痛なし。Ht 41.7%。

外科ICUで循環監視と反復Ht測定を行う体制だった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
安定しているので、血腫を追跡しない

選択についての振り返り(編集)

初期安定だけではその後の拡大を否定できません。厳重な再評価が必要です。

この判断時点の患者情報を確認する

52歳女性。シートベルトなしで交通事故に遭い、腹部の血管周囲に損傷を認めた。循環は安定していた。

CTで肝後面の下大静脈からの漏出と、限局した血腫が疑われた。腹部所見は穏やかだった。

この判断時点の補足

来院時は収縮期血圧180 mmHg、GCS 14、ほかのバイタルは正常範囲。腹部は軟で膨隆・圧痛なし。Ht 41.7%。

外科ICUで循環監視と反復Ht測定を行う体制だった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
封じ込めと循環の推移を評価し、即応できる監視下で方針を決める

選択についての振り返り(編集)

原著では集中治療下で非手術治療を選びました。全ての下大静脈損傷への一般方針ではありません。

この判断時点の患者情報を確認する

52歳女性。シートベルトなしで交通事故に遭い、腹部の血管周囲に損傷を認めた。循環は安定していた。

CTで肝後面の下大静脈からの漏出と、限局した血腫が疑われた。腹部所見は穏やかだった。

この判断時点の補足

来院時は収縮期血圧180 mmHg、GCS 14、ほかのバイタルは正常範囲。腹部は軟で膨隆・圧痛なし。Ht 41.7%。

外科ICUで循環監視と反復Ht測定を行う体制だった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2

静脈性の漏出がある

原著の経過

CTで肝後面の下大静脈からの漏出と、限局した血腫が疑われた。腹部所見は穏やかだった。

ここまでの情報を確認する

52歳女性。シートベルトなしで交通事故に遭い、腹部の血管周囲に損傷を認めた。循環は安定していた。

判断に使う補足情報

来院時は収縮期血圧180 mmHg、GCS 14、ほかのバイタルは正常範囲。腹部は軟で膨隆・圧痛なし。Ht 41.7%。

外科ICUで循環監視と反復Ht測定を行う体制だった。

方針を考えるとき何を重視しますか。

今の判断に近いものを選んでください。

A|血管名だけで直ちに同じ手術を決めるB|安定しているので、血腫を追跡しないC|封じ込めと循環の推移を評価し、即応できる監視下で方針を決める

判断 2 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
短期の経過は確認できるが、長期の安全性は不明とする

選択についての振り返り(編集)

報告された期間を越えて良好と推定しない姿勢です。退院という事実と長期成績を分けます。

この判断時点の患者情報を確認する

52歳女性。シートベルトなしで交通事故に遭い、腹部の血管周囲に損傷を認めた。循環は安定していた。

CTで肝後面の下大静脈からの漏出と、限局した血腫が疑われた。腹部所見は穏やかだった。

第2病日の再CTでは血腫の拡大はごくわずかで、新たな造影剤漏出を認めなかった。同日に退院したが、長期追跡は報告されていない。

判断 1 時点の補足

来院時は収縮期血圧180 mmHg、GCS 14、ほかのバイタルは正常範囲。腹部は軟で膨隆・圧痛なし。Ht 41.7%。

外科ICUで循環監視と反復Ht測定を行う体制だった。

この判断時点の補足

Htは来院時41.7%、12時間37.5%、24時間36.2%、36時間36.9%。第2病日のCTでは肝後面血腫の拡大がわずかで、新たな造影剤漏出はなかった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
早期退院なので、長期にも問題がないと断定する

選択についての振り返り(編集)

退院後のデータがありません。観察されていない結果を補えません。

この判断時点の患者情報を確認する

52歳女性。シートベルトなしで交通事故に遭い、腹部の血管周囲に損傷を認めた。循環は安定していた。

CTで肝後面の下大静脈からの漏出と、限局した血腫が疑われた。腹部所見は穏やかだった。

第2病日の再CTでは血腫の拡大はごくわずかで、新たな造影剤漏出を認めなかった。同日に退院したが、長期追跡は報告されていない。

判断 1 時点の補足

来院時は収縮期血圧180 mmHg、GCS 14、ほかのバイタルは正常範囲。腹部は軟で膨隆・圧痛なし。Ht 41.7%。

外科ICUで循環監視と反復Ht測定を行う体制だった。

この判断時点の補足

Htは来院時41.7%、12時間37.5%、24時間36.2%、36時間36.9%。第2病日のCTでは肝後面血腫の拡大がわずかで、新たな造影剤漏出はなかった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
一例の成功で、同部位の手術は不要と結論する

選択についての振り返り(編集)

治療法の比較を行った研究ではありません。選択された患者の結果として扱います。

この判断時点の患者情報を確認する

52歳女性。シートベルトなしで交通事故に遭い、腹部の血管周囲に損傷を認めた。循環は安定していた。

CTで肝後面の下大静脈からの漏出と、限局した血腫が疑われた。腹部所見は穏やかだった。

第2病日の再CTでは血腫の拡大はごくわずかで、新たな造影剤漏出を認めなかった。同日に退院したが、長期追跡は報告されていない。

判断 1 時点の補足

来院時は収縮期血圧180 mmHg、GCS 14、ほかのバイタルは正常範囲。腹部は軟で膨隆・圧痛なし。Ht 41.7%。

外科ICUで循環監視と反復Ht測定を行う体制だった。

この判断時点の補足

Htは来院時41.7%、12時間37.5%、24時間36.2%、36時間36.9%。第2病日のCTでは肝後面血腫の拡大がわずかで、新たな造影剤漏出はなかった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2

短期の経過を確認する

原著の経過

第2病日の再CTでは血腫の拡大はごくわずかで、新たな造影剤漏出を認めなかった。同日に退院したが、長期追跡は報告されていない。

ここまでの情報を確認する

52歳女性。シートベルトなしで交通事故に遭い、腹部の血管周囲に損傷を認めた。循環は安定していた。

CTで肝後面の下大静脈からの漏出と、限局した血腫が疑われた。腹部所見は穏やかだった。

判断 1 時点の補足

来院時は収縮期血圧180 mmHg、GCS 14、ほかのバイタルは正常範囲。腹部は軟で膨隆・圧痛なし。Ht 41.7%。

外科ICUで循環監視と反復Ht測定を行う体制だった。

判断に使う補足情報

Htは来院時41.7%、12時間37.5%、24時間36.2%、36時間36.9%。第2病日のCTでは肝後面血腫の拡大がわずかで、新たな造影剤漏出はなかった。

転帰をどう伝えますか。

今の判断に近いものを選んでください。

A|短期の経過は確認できるが、長期の安全性は不明とするB|早期退院なので、長期にも問題がないと断定するC|一例の成功で、同部位の手術は不要と結論する

2つの判断を振り返る

診断・実際の経過

限局した肝後面下大静脈損傷への非手術治療

短期の循環安定と退院が報告された。長期の経過は記載されていない。

持ち帰るポイント

  • 血管名だけでなく、循環と封じ込めを評価する。
  • 短期の成功を長期成績へ広げない。

原著の治療・転帰と、編集した判断の解説を区別しています。別の選択でどのような転帰になったかは、この症例からは分かりません。

原著を読む ↗

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BELL’S CASE CONFERENCE / CASE 33

Non-operative Management of an Isolated Blunt Traumatic Retrohepatic Inferior Vena Cava Injury

Pinto F, Alouidor R, Theodore S. Cureus. 2023;15:e36746.

原著を読む ↗ | DOI

造影剤漏出を伴うIVC損傷:血腫を開放せず監視した理由

症例部分は、原著のCase presentationをほぼ全体にわたり日本語で紹介し、時系列に沿って見出しを加えています。Discussion・Conclusionは要点を整理し、関連する根拠を添えました。

Case presentation|症例紹介

受傷・来院時:重い血管損傷でも循環は安定

52歳女性がシートベルトを装着せず運転中、単独でガードレールに衝突した。現場では飲酒の影響があり、GCS 13だった。救急車でレベル1外傷センターに搬送され、来院時GCSは14、収縮期血圧180 mmHgで、その他のバイタルサインは正常範囲だった。間欠的に興奮し、非協力的な状態を呈していた。

二次評価では左胸壁および両下肢前面に打撲痕を認めた。腹部は軟で膨隆・圧痛はなく、胸部X線で急性病変を認めなかった。背部痛の持続と意識状態の変化があり、胸腰椎も評価するため胸腹骨盤CTを撮影した。来院時ヘマトクリットは41.7だった。

CT所見と初期方針

造影CTで、肝後面IVCの断裂と活動性静脈出血に合致する造影剤漏出および周囲血腫を認めた。著者らは孤立性の肝後面IVC損傷と診断した。診察・循環動態が安定していたため、外科ICUで厳密な循環監視と経過観察を行うことになった。GCSは15まで改善した。

経時評価・転帰

ヘマトクリットを反復測定した。原著Table 1では、来院時41.7、受傷12時間後37.5、24時間後36.2、36時間後36.9と記載されている。入院2日目の腹部・骨盤CTでは、肝後面血腫の拡大はごくわずかで、新たな造影剤漏出を認めず、タンポナーデが得られた所見と判断された。

入院2日目に退院した。退院時には通常食を摂取でき、循環動態は安定し、腹部も軟で膨隆・圧痛を認めなかった。長期の追跡結果は本文に記載されていない。

ヘマトクリットの推移(原著Table 1)

時点 ヘマトクリット
来院時 41.7
受傷12時間後 37.5
受傷24時間後 36.2
受傷36時間後 36.9

Pinto et al., 2023, Table 1. CC BY 3.0。数値を維持し、見出しを日本語化。原表に単位の明示はない。

Figures|原著の図版

図と日本語の説明を掲載しています。「原図を開く」から原著の画像も確認できます。

造影CT軸位断。白矢印は肝後面IVC損傷とIVC周囲血腫を示す。
Figure 1 — 造影CT軸位断。白矢印は肝後面IVC損傷とIVC周囲血腫を示す。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Pinto F, Alouidor R, Theodore S, 2023, Figure 1. CC BY 3.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

造影CT矢状断。白矢印は肝後面IVCの損傷部と造影剤漏出を示す。
Figure 2 — 造影CT矢状断。白矢印は肝後面IVCの損傷部と造影剤漏出を示す。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Pinto F, Alouidor R, Theodore S, 2023, Figure 2. CC BY 3.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Discussion|論文の解説と根拠

漏出があるという画像情報と、患者の生理学的状態を併せて読む。本症例では血圧が保たれ、腹部診察も安定し、血管外科と相談して外科ICUで監視できた。著者らは、限局血腫によるタンポナーデを手術で解除するリスクも考慮した。[1]

この非手術管理は、出血性ショックのIVC損傷へ一般化できない。同施設は悪化時の手術・血管内治療を検討できる環境だった。緊急開腹と段階的IVC修復を要したCASE 32との対比では、損傷部位の名前よりも、持続出血・循環動態・血腫の広がりが異なることを押さえたい。[1,2]

観察の成功を示す一例で、適応基準を確立した研究ではない。2日目までの経過から、あらゆるIVC損傷に対する退院時期や再CTの頻度を決めることはできない。どの変化が介入への切り替えを要するかを、監視体制とともに考える教材になる。[1]

Conclusion|この症例から持ち帰ること

IVC損傷と造影剤漏出があっても、限局した血腫と安定した生理学的状態のもとで非手術管理を選択した例。血腫を開けるか否かを、画像だけでなく経過と救済体制から考える。

References|出典・利用条件

  1. Pinto F, Alouidor R, Theodore S. Non-operative Management of an Isolated Blunt Traumatic Retrohepatic Inferior Vena Cava Injury. Pinto F, Alouidor R, Theodore S. Cureus. 2023;15:e36746.
  2. Hirooka R, et al. Staged repair of penetrating retrohepatic IVC injury. Surgical Case Reports. 2021;7:55.

原著の利用条件:CC BY 3.0。原著を出典として症例部分の日本語化、見出し追加、構成変更、Discussion・Conclusionの要約と補足を行いました。転載可能な原図の内容は改変していません。個別に転載許諾が必要な第三者の図は原著へのリンクのみです。原著者が本ページを監修・推奨していることを意味しません。

症例で実際に行われた治療と、一般的な診療上の推奨を区別して紹介しています。一症例の転帰は、治療法の優劣を証明するものではありません。

編集:外傷外科医ベル / 公開・資料確認:2026年10月11日

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