CASE 26|ベルの症例検討

ベルの症例検討CASE 26

臨床監修前 · 文献症例の検討用

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
外傷なので、全て出血で説明する

選択についての振り返り(編集)

出血の再評価は必要ですが、心機能の低下も確認されています。複数の機序を検討します。

この判断時点の患者情報を確認する

53歳男性。下肢刺創後に心停止し、蘇生と大腿動静脈の修復を受けた。

翌日も循環不全が続き、心エコーで左室駆出率37.2%と収縮低下を認めた。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
止血の確認に加え、心停止後の心機能障害を評価する

選択についての振り返り(編集)

原著では心停止後の心機能障害を考え、VA-ECMOを用いて循環を支えました。外傷患者全例への適応ではありません。

この判断時点の患者情報を確認する

53歳男性。下肢刺創後に心停止し、蘇生と大腿動静脈の修復を受けた。

翌日も循環不全が続き、心エコーで左室駆出率37.2%と収縮低下を認めた。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
心機能が低いので、再出血の評価をやめる

選択についての振り返り(編集)

新たな病態の発見は、出血を除外したことにはなりません。両方を追跡します。

この判断時点の患者情報を確認する

53歳男性。下肢刺創後に心停止し、蘇生と大腿動静脈の修復を受けた。

翌日も循環不全が続き、心エコーで左室駆出率37.2%と収縮低下を認めた。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2

止血後もショックが続く

原著の経過

翌日も循環不全が続き、心エコーで左室駆出率37.2%と収縮低下を認めた。

ここまでの情報を確認する

53歳男性。下肢刺創後に心停止し、蘇生と大腿動静脈の修復を受けた。

ショックの見方をどう変えますか。

今の判断に近いものを選んでください。

A|外傷なので、全て出血で説明するB|止血の確認に加え、心停止後の心機能障害を評価するC|心機能が低いので、再出血の評価をやめる

判断 2 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
導入から決まった日数が来たら離脱する

選択についての振り返り(編集)

日数だけでは回復を判断できません。心機能と全身の灌流、補助を減らした反応が重要です。

この判断時点の患者情報を確認する

53歳男性。下肢刺創後に心停止し、蘇生と大腿動静脈の修復を受けた。

翌日も循環不全が続き、心エコーで左室駆出率37.2%と収縮低下を認めた。

VA-ECMO下で駆出率は50%へ改善し、乳酸は低下、昇圧薬も不要になった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
駆出率の数値だけで判断する

選択についての振り返り(編集)

駆出率だけで全身循環を代表できません。灌流や薬剤必要量なども合わせます。

この判断時点の患者情報を確認する

53歳男性。下肢刺創後に心停止し、蘇生と大腿動静脈の修復を受けた。

翌日も循環不全が続き、心エコーで左室駆出率37.2%と収縮低下を認めた。

VA-ECMO下で駆出率は50%へ改善し、乳酸は低下、昇圧薬も不要になった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
心機能・灌流・補助の必要量を合わせて回復を評価する

選択についての振り返り(編集)

原著では回復を確認して第3病日にECMOを離脱しました。報告の日数を一般基準にはしません。

この判断時点の患者情報を確認する

53歳男性。下肢刺創後に心停止し、蘇生と大腿動静脈の修復を受けた。

翌日も循環不全が続き、心エコーで左室駆出率37.2%と収縮低下を認めた。

VA-ECMO下で駆出率は50%へ改善し、乳酸は低下、昇圧薬も不要になった。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2

循環補助下で回復する

原著の経過

VA-ECMO下で駆出率は50%へ改善し、乳酸は低下、昇圧薬も不要になった。

ここまでの情報を確認する

53歳男性。下肢刺創後に心停止し、蘇生と大腿動静脈の修復を受けた。

翌日も循環不全が続き、心エコーで左室駆出率37.2%と収縮低下を認めた。

離脱を考えるときの軸は何ですか。

今の判断に近いものを選んでください。

A|導入から決まった日数が来たら離脱するB|駆出率の数値だけで判断するC|心機能・灌流・補助の必要量を合わせて回復を評価する

2つの判断を振り返る

診断・実際の経過

出血性心停止後の心機能障害に対するVA-ECMO

循環補助から離脱し、第18病日に退院した。初期に抗凝固を行わなかった判断も出血リスクに応じた個別対応である。

持ち帰るポイント

  • 止血後のショックでは機序を再分類する。
  • 補助の離脱は、回復を複数の指標から評価する。

原著の治療・転帰と、編集した判断の解説を区別しています。別の選択でどのような転帰になったかは、この症例からは分かりません。

原著を読む ↗

詳しい症例解説・出典を開く

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BELL’S CASE CONFERENCE / CASE 26

Successful rescue of a patient with cardiogenic shock following traumatic cardiac arrest using VA-ECMO after air medical transport: a case report

Wu H, Lan P, Zhou K, Xie L. Frontiers in cardiovascular medicine. 2025;12:1552037.

原著を読む ↗ | DOI

外傷性心停止後:止血後も続く心原性ショックへのVA-ECMO

原著の症例経過を日本語で詳しく紹介しています。Discussion・Conclusionは要点を整理し、症例で行われた治療と一般的な推奨を区別して解説します。

Case presentation|症例紹介

初療病院での心停止と止血

53歳男性。左下肢の刺創で前日に地域病院へ搬入された。既往歴は特になく、初診時は体温35℃、心拍23/分、血圧44/18 mmHg、室内気SpO₂ 69%。意識がなく蒼白で、四肢が冷たかった。左大腿外側2 cm・内側1 cm、下腿内側7 cm、下腿外側2か所各2 cmの創を認めた。

止血帯、迅速な輸血・輸液を開始したが心停止となり、胸骨圧迫、挿管、人工呼吸、輸液・輸血を含む蘇生で自己心拍が再開した。安定化後の造影CTで左大腿動静脈断裂を認めた。受入予定施設から血管外科・整形外科チームが派遣され、動静脈再建と左腓腹筋腱修復を行い、初療病院のICUに入室した。

止血後も循環が改善しない

翌朝も輸液・輸血にかかわらず不安定で、心エコーのびまん性左室壁運動低下から心原性ショックを考えた。地域病院にはECMOがなく、医師と看護師が同乗して190 kmを35分で空路搬送した。

受入施設でも不安定で、下大静脈径1.97 cm、左室EF 37.2%。心停止後心筋障害に伴う心原性ショックと判断し、損傷部を避けた反対側の大腿動静脈からVA-ECMOを開始した。血管再建直後の出血リスクを考慮し、ECMO中は抗凝固薬を用いず、凝固・出血を厳密に監視した。

循環回復と離脱

人工呼吸、ノルアドレナリン、アドレナリン、適宜輸血を併用した。トロポニンIは入院時1.78から離脱前0.192 ng/mL、ミオグロビンは921.4から251.6 ng/mL、乳酸は11.6から1.3 mmol/Lへ低下した。昇圧薬を中止しても平均血圧65 mmHg超が保たれ、悪性不整脈はなかった。

第3病日に総合評価してECMOを離脱した。原著が示す離脱時条件はEF 50%、人工呼吸器一回換気量550 mL・呼吸数14/分・SpO₂ 98%、24時間の平均血圧65 mmHg超、脈圧20 mmHg超、乳酸2 mmol/L未満、心筋逸脱酵素の低下だった。

退院まで

離脱後も鎮静・鎮痛、人工呼吸、感染管理などを継続した。第5病日に抜管して高流量酸素療法へ移行し、第10病日に一般病棟へ移った。入院18日で安定して退院した。電話での追跡では身体機能・精神状態とも良好と報告された。

原著Table 1|搬入後の推移

項目 第1日・0時間 第1日・6時間 第2日 第3日
心拍数(/分) 86 91 63 79
動脈圧(mmHg・原著表記) 79 141 108 121
ノルアドレナリン(μg/kg/分) 1.78 1.07 0 0
アドレナリン(μg/kg/分) 0.28 0 0 0
Hb(g/dL) 6.8 6.1 7.6 7.3
Ht(%) 19.4 17.7 21.2 20.6
血小板(/μL) 55,000 36,000 30,000 30,000
pH 7.25 7.447 7.46 7.46
pCO2 (mmHg) 26 30 31 37.4
pO2 (mmHg) 212 130 114 127
HCO3 (mmol/L) 11.7 15 21.1 26.8
BE (mmol/L) −14.5 −8.0 −5.0 2.5
乳酸(mmol/L) 11.6 2.5 2.4 1.3
ミオグロビン(ng/mL) 921.4 – 299.6 251.6
トロポニン(ng/mL) 1.78 0.82 0.192 0.192
クレアチニン(μmol/L) 140 96 64 69
APTT (s) 480 76.3 61.9 41.1
D-dimer (mg/L FEU) 1.85 4.61 16.67 19.63
呼吸数(/分) 14 14 17 14
酸素飽和度(%) – 100 97 98
換気モード VC VC PC PC
FiO2 (%) 50 40 35 35
IMV (times/min) 14 14 14 14
PEEP (cm H2O) 10 10 8 5
一回換気量(mL) 380 380 450 550
ECMOスイープガス(L/分) 3.0 2.9 2.9 1.4
ECMO血流(L/分) 3.1 3.0 3.0 1.5

Wu et al. 2025、Table 1(CC BY 4.0)。日本語化・表の配置を変更。第1日は受傷翌日の受入施設への入院日。動脈圧は原表で収縮期・平均の別が明記されていません。APTT 480秒を含む数値は原表の記載で、治療目標ではありません。– は原著の欠測表記。

Figures|原著の図版

日本語の図説明を掲載しています。「原図を開く」を押すと実際の画像が表示されます。

Figure 1 — 左下肢の刺創。大腿と下腿の複数の創を示す。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Wu H, Lan P, Zhou K, Xie L., Figure 1. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Figure 2 — 大腿動静脈損傷の造影CTと、転院時の下大静脈・左室機能の心エコー所見。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Wu H, Lan P, Zhou K, Xie L., Figure 2. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Figure 3 — 血管修復、搬送、VA-ECMO、離脱を含む治療経過。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Wu H, Lan P, Zhou K, Xie L., Figure 3. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Discussion|論文の解説と根拠

本例は心停止中にECMOを開始したECPRではありません。自己心拍再開と外科的止血・血管再建の後に、続く心原性ショックを支えた症例です。出血源の制御と心機能の再評価が、ECMOの前提になっています。[1]

抗凝固を使わずに管理できた一例は、一般的な安全性を証明しません。原著Conclusionの強い表現は、出血と血栓の両リスクを持つ単一症例の経験として読む必要があります。VA-ECMOの適応、回路監視、抗凝固の再評価、離脱は専門チームで個別化します。[1]

Conclusion|この症例から持ち帰ること

外傷後のショックをすべて出血とみなさない。止血後も改善しない循環を再評価し、回復可能な心機能障害に対する補助を検討する。

References|出典・利用条件

  1. Successful rescue of a patient with cardiogenic shock following traumatic cardiac arrest using VA-ECMO after air medical transport: a case report — 原著

原著の利用条件:CC BY 4.0。原著を出典として症例部分の日本語化、見出し追加、構成変更、Discussion・Conclusionの要約と補足を行いました。転載可能な原図の内容は改変していません。個別に転載許諾が必要な第三者の図は原著へのリンクのみです。原著者が本ページを監修・推奨していることを意味しません。

症例で実際に行われた治療と、一般的な診療上の推奨を区別して紹介しています。一症例の転帰は、治療法の優劣を証明するものではありません。

編集:外傷外科医ベル / 公開・資料確認:2026年10月11日

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