CASE 24|ベルの症例検討

ベルの症例検討CASE 24

臨床監修前 · 文献症例の検討用

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
出血部位と大動脈損傷の双方から、各手段の適否を検討する

選択についての振り返り(編集)

原著では大動脈損傷を考慮してREBOAを用いませんでした。出血性ショックという名称だけで手段を固定しません。

この判断時点の患者情報を確認する

70歳代男性。交通事故後、収縮期血圧を測定できず、FAST陽性と縦隔拡大を認めた。

輸血で一時的に循環が改善。CTで出血を伴う高度脾損傷と胸部大動脈損傷を認めた。

この判断時点の補足

来院時は血圧測定不能、脈拍130/分、両側胸壁にシートベルト痕。FAST陽性、縦隔拡大。挿管・緊急輸血に一時反応した。

CTで脾門の高度損傷と活動性漏出・血腹、膵尾部挫傷。下行胸部大動脈には外膜下血腫と瘤状形態(原著分類grade II)があり、既往画像はなかった。

検討の範囲:一時反応後の血圧具体値は原著にありません。CT実施の経過を、別の不安定患者の検査適応とは扱いません。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
重いショックなら、大動脈の状態を問わずREBOAを用いる

選択についての振り返り(編集)

出血源の位置と大動脈病変は手段の選択に関わります。補助による不利益も検討します。

この判断時点の患者情報を確認する

70歳代男性。交通事故後、収縮期血圧を測定できず、FAST陽性と縦隔拡大を認めた。

輸血で一時的に循環が改善。CTで出血を伴う高度脾損傷と胸部大動脈損傷を認めた。

この判断時点の補足

来院時は血圧測定不能、脈拍130/分、両側胸壁にシートベルト痕。FAST陽性、縦隔拡大。挿管・緊急輸血に一時反応した。

CTで脾門の高度損傷と活動性漏出・血腹、膵尾部挫傷。下行胸部大動脈には外膜下血腫と瘤状形態(原著分類grade II)があり、既往画像はなかった。

検討の範囲:一時反応後の血圧具体値は原著にありません。CT実施の経過を、別の不安定患者の検査適応とは扱いません。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
大動脈損傷があるので、腹腔内出血の制御は待つ

選択についての振り返り(編集)

切迫した腹腔内出血も同時に扱う必要があります。複数の脅威を比較し、並行して準備します。

この判断時点の患者情報を確認する

70歳代男性。交通事故後、収縮期血圧を測定できず、FAST陽性と縦隔拡大を認めた。

輸血で一時的に循環が改善。CTで出血を伴う高度脾損傷と胸部大動脈損傷を認めた。

この判断時点の補足

来院時は血圧測定不能、脈拍130/分、両側胸壁にシートベルト痕。FAST陽性、縦隔拡大。挿管・緊急輸血に一時反応した。

CTで脾門の高度損傷と活動性漏出・血腹、膵尾部挫傷。下行胸部大動脈には外膜下血腫と瘤状形態(原著分類grade II)があり、既往画像はなかった。

検討の範囲:一時反応後の血圧具体値は原著にありません。CT実施の経過を、別の不安定患者の検査適応とは扱いません。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の次の経過へ →選び直す

判断 1 / 2

蘇生への一時的な反応

原著の経過

輸血で一時的に循環が改善。CTで出血を伴う高度脾損傷と胸部大動脈損傷を認めた。

ここまでの情報を確認する

70歳代男性。交通事故後、収縮期血圧を測定できず、FAST陽性と縦隔拡大を認めた。

判断に使う補足情報

来院時は血圧測定不能、脈拍130/分、両側胸壁にシートベルト痕。FAST陽性、縦隔拡大。挿管・緊急輸血に一時反応した。

CTで脾門の高度損傷と活動性漏出・血腹、膵尾部挫傷。下行胸部大動脈には外膜下血腫と瘤状形態(原著分類grade II)があり、既往画像はなかった。

検討の範囲:一時反応後の血圧具体値は原著にありません。CT実施の経過を、別の不安定患者の検査適応とは扱いません。

止血の補助手段を選ぶとき、何を考えますか。

今の判断に近いものを選んでください。

A|出血部位と大動脈損傷の双方から、各手段の適否を検討するB|重いショックなら、大動脈の状態を問わずREBOAを用いるC|大動脈損傷があるので、腹腔内出血の制御は待つ

判断 2 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
全例で大動脈を先に治療する

選択についての振り返り(編集)

固定的な順序ではなく、今どこが循環を脅かしているかを評価します。

この判断時点の患者情報を確認する

70歳代男性。交通事故後、収縮期血圧を測定できず、FAST陽性と縦隔拡大を認めた。

輸血で一時的に循環が改善。CTで出血を伴う高度脾損傷と胸部大動脈損傷を認めた。

開腹による腹部止血と、胸部大動脈へのTEVARが必要と判断された。

判断 1 時点の補足

来院時は血圧測定不能、脈拍130/分、両側胸壁にシートベルト痕。FAST陽性、縦隔拡大。挿管・緊急輸血に一時反応した。

CTで脾門の高度損傷と活動性漏出・血腹、膵尾部挫傷。下行胸部大動脈には外膜下血腫と瘤状形態(原著分類grade II)があり、既往画像はなかった。

この判断時点の補足

腹部では活動性出血を伴う脾門損傷があり、著者らは即時の腹部止血が必要と判断した。一方、大動脈の血腫・瘤状形態もあり、長時間の治療延期は危険と判断した。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
最初の止血を進めながら、次の治療チームが準備する

選択についての振り返り(編集)

原著では腹部手術中にTEVARを計画し、続けて実施しました。順序はこの患者の病態と体制に基づきます。

この判断時点の患者情報を確認する

70歳代男性。交通事故後、収縮期血圧を測定できず、FAST陽性と縦隔拡大を認めた。

輸血で一時的に循環が改善。CTで出血を伴う高度脾損傷と胸部大動脈損傷を認めた。

開腹による腹部止血と、胸部大動脈へのTEVARが必要と判断された。

判断 1 時点の補足

来院時は血圧測定不能、脈拍130/分、両側胸壁にシートベルト痕。FAST陽性、縦隔拡大。挿管・緊急輸血に一時反応した。

CTで脾門の高度損傷と活動性漏出・血腹、膵尾部挫傷。下行胸部大動脈には外膜下血腫と瘤状形態(原著分類grade II)があり、既往画像はなかった。

この判断時点の補足

腹部では活動性出血を伴う脾門損傷があり、著者らは即時の腹部止血が必要と判断した。一方、大動脈の血腫・瘤状形態もあり、長時間の治療延期は危険と判断した。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2 · 振り返り

選択を振り返る

選んだ判断
一つ目が完全に終わってから二つ目のチームを呼ぶ

選択についての振り返り(編集)

準備の待ち時間も治療に影響します。並行して情報と計画を共有します。

この判断時点の患者情報を確認する

70歳代男性。交通事故後、収縮期血圧を測定できず、FAST陽性と縦隔拡大を認めた。

輸血で一時的に循環が改善。CTで出血を伴う高度脾損傷と胸部大動脈損傷を認めた。

開腹による腹部止血と、胸部大動脈へのTEVARが必要と判断された。

判断 1 時点の補足

来院時は血圧測定不能、脈拍130/分、両側胸壁にシートベルト痕。FAST陽性、縦隔拡大。挿管・緊急輸血に一時反応した。

CTで脾門の高度損傷と活動性漏出・血腹、膵尾部挫傷。下行胸部大動脈には外膜下血腫と瘤状形態(原著分類grade II)があり、既往画像はなかった。

この判断時点の補足

腹部では活動性出血を伴う脾門損傷があり、著者らは即時の腹部止血が必要と判断した。一方、大動脈の血腫・瘤状形態もあり、長時間の治療延期は危険と判断した。

ここから先は、選択による仮想の変化ではなく、原著に記載された経過を表示します。

実際の経過と解説へ →選び直す

判断 2 / 2

二つの治療を準備する

原著の経過

開腹による腹部止血と、胸部大動脈へのTEVARが必要と判断された。

ここまでの情報を確認する

70歳代男性。交通事故後、収縮期血圧を測定できず、FAST陽性と縦隔拡大を認めた。

輸血で一時的に循環が改善。CTで出血を伴う高度脾損傷と胸部大動脈損傷を認めた。

判断 1 時点の補足

来院時は血圧測定不能、脈拍130/分、両側胸壁にシートベルト痕。FAST陽性、縦隔拡大。挿管・緊急輸血に一時反応した。

CTで脾門の高度損傷と活動性漏出・血腹、膵尾部挫傷。下行胸部大動脈には外膜下血腫と瘤状形態(原著分類grade II)があり、既往画像はなかった。

判断に使う補足情報

腹部では活動性出血を伴う脾門損傷があり、著者らは即時の腹部止血が必要と判断した。一方、大動脈の血腫・瘤状形態もあり、長時間の治療延期は危険と判断した。

腹部止血と大動脈治療の準備を、どう並行して進めますか。

今の判断に近いものを選んでください。

A|全例で大動脈を先に治療するB|最初の止血を進めながら、次の治療チームが準備するC|一つ目が完全に終わってから二つ目のチームを呼ぶ

2つの判断を振り返る

診断・実際の経過

出血性脾損傷と胸部大動脈損傷の併存

膵尾部・脾の切除に続いてTEVARを行い、段階的に閉腹。第39病日に退院し、後に大動脈弓への追加治療を受けた。

持ち帰るポイント

  • 止血の補助手段は、出血源と血管損傷に合わせる。
  • 複数の確定治療を、並行準備でつなぐ。

原著の治療・転帰と、編集した判断の解説を区別しています。別の選択でどのような転帰になったかは、この症例からは分かりません。

原著を読む ↗

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BELL’S CASE CONFERENCE / CASE 24

A Damage-Control Strategy With Immediate Thoracic Endovascular Aortic Repair (TEVAR) for Polytrauma With Blunt Thoracic Aortic Injury and Intra-abdominal Hemorrhage: A Case Report

Saito Y, Irabu S, Yamamoto H. Cureus. 2026;18:e107868.

原著を読む ↗ | DOI

胸部大動脈損傷と腹腔内出血:開腹止血の直後にTEVAR

原著の症例経過を日本語で詳しく紹介しています。Discussion・Conclusionは要点を整理し、症例で行われた治療と一般的な推奨を区別して解説します。

Case presentation|症例紹介

競合する二つの致死的損傷

70歳代男性。既知の既往はなく、交通事故後に搬送された。心拍130/分、血圧測定不能のショックで、両側胸壁にシートベルト痕があった。FASTで腹腔内液体貯留、胸部X線で著明な縦隔拡大を認めた。

腹腔内出血と胸部大動脈損傷の両方を疑い、挿管と緊急輸血を開始した。通常なら直ちに開腹を考える状態だったが、輸血に一時的な反応があり、厳重な監視下で迅速な造影全身CTを実施し、二つの損傷の優先順位を検討した。胸部大動脈損傷が強く疑われたため、危険を考慮してREBOAは使わなかった。

CTと戦略の決定

CTで脾門の高度損傷と活動性漏出、腹腔内血液、脾下極裂傷、膵尾部挫傷を認めた。下行胸部大動脈には瘤状形態と外膜下血腫があり、著者らは元々あった可能性の高い大動脈瘤に外傷が加わったと考えた。ただし既往画像による確認はなかった。

原著の分類は脾損傷AAST grade IV、大動脈損傷grade IIで、胸骨骨折もあった。ISS 32、RTS 4.21、TRISS予測生存確率0.18。腹部出血の即時制御が必要であり、大動脈も長時間の蘇生中に安全に観察できる状態ではないと判断した。

最初に開腹し、その間にTEVARを準備

CT室から手術室へ移動して、まず開腹した。多量の腹腔内血液と脾門破壊、脾下極裂傷、膵尾部挫傷に対し、膵体尾部切除・脾摘を実施した。脾動静脈をステープラーで一括切離し、damage controlとして一時閉腹した。開腹部分は63分、出血量3,950 mLだった。

この間に血管内治療チームが計測とステントグラフトの準備を進めた。一時閉腹直後、合併損傷の出血リスクから全身ヘパリン化せずにTEVARを実施した。cTAGを2本重ねて留置し、近位type Ia endoleakが残らないことを確認した。遠位の少量漏出にはバルーンによる圧着を追加した。TEVARは72分、出血量30 mLで、終了後ICUへ入室した。

その後の治療

第3病日に最終閉腹した。大きな合併症なく回復し、第39病日に自宅退院した。退院6か月後に、大動脈弓部の瘤状病変に対して弓部全置換と追加TEVARを受けた。

Figures|原著の図版

日本語の図説明を掲載しています。「原図を開く」を押すと実際の画像が表示されます。

Figure 1 — 来院時X線での縦隔拡大、CTでの脾門損傷・活動性出血、胸部大動脈病変。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Saito Y, Irabu S, Yamamoto H., Figure 1. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Figure 2 — 緊急TEVAR時の透視所見と、後の大動脈治療を示す画像。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Saito Y, Irabu S, Yamamoto H., Figure 2. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Figure 3 — 開腹によるdamage controlを先行し、その間にTEVARを並行準備した治療順序。

原図を開く ↗ 原著の図説明

Saito Y, Irabu S, Yamamoto H., Figure 3. CC BY 4.0。図は原著のまま。説明文を日本語化。

Discussion|論文の解説と根拠

タイトルのImmediate TEVARは、TEVARを開腹より先に行ったという意味ではありません。実際の順序は、開腹止血・一時閉腹、その直後のTEVARです。著者らは司令塔となる医師が優先順位を共有し、開腹中に血管内治療を並行準備した点を重視します。[1]

gradeだけでこの順序を決めてはいません。原著は大動脈の著しい瘤状形態などから待機が危険と判断しています。既存瘤の可能性もあり、一般的なgrade II鈍的大動脈損傷へ直ちに外挿できません。ガイドラインの推奨は、形態、循環、合併損傷、実施可能な治療を合わせて読む必要があります。[1,2]

Conclusion|この症例から持ち帰ること

二つの致死的病態が並存するとき、先に実行する処置と同時に準備する処置を分け、止血から大動脈治療までの空白を縮める。

References|出典・利用条件

  1. A Damage-Control Strategy With Immediate Thoracic Endovascular Aortic Repair (TEVAR) for Polytrauma With Blunt Thoracic Aortic Injury and Intra-abdominal Hemorrhage: A Case Report — 原著
  2. Coccolini F, et al. Thoracic trauma WSES-AAST guidelines. 2025.

原著の利用条件:CC BY 4.0。原著を出典として症例部分の日本語化、見出し追加、構成変更、Discussion・Conclusionの要約と補足を行いました。転載可能な原図の内容は改変していません。個別に転載許諾が必要な第三者の図は原著へのリンクのみです。原著者が本ページを監修・推奨していることを意味しません。

症例で実際に行われた治療と、一般的な診療上の推奨を区別して紹介しています。一症例の転帰は、治療法の優劣を証明するものではありません。

編集:外傷外科医ベル / 公開・資料確認:2026年10月11日

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